説明

収納庫、及び、抗菌装置

【課題】閉じられた収納空間内での抗菌成分の放出により抗菌効果を得る構成の収納庫において、収納庫への適用に適した抗菌成分を採用した収納庫の構成を提供する。
【解決手段】閉じられた収納空間3に抗菌成分Kを放出する抗菌装置10を備える収納庫4であって、前記抗菌成分Kがイソチオシアン酸エステルである収納庫。抗菌装置10には、その内部に抗菌成分Kを含む抗菌剤を収納する交換可能なカートリッジ式容器を設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン収納庫、ランドリー用収納庫、ゴミ収納庫などの各種収納庫の内部のカビ防止対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キッチンシンクなどを備えるキッチン設備において、キッチンシンクなどの下側の空間は、食器類、鍋類、キッチン小物類を収納する収納庫(キッチン収納庫)として利用される形態が一般に知られている。
【0003】
また、着用済の衣類を一時的に内部に収納する空間を有し、着用済の衣類からの臭いを外部に漏らさないように構成される収納庫(ランドリー用収納庫)も知られている。
【0004】
また、ポリエチレンなどのゴミ袋を内部に収納する空間を有し、生ゴミや紙おむつなどの臭いが外部に漂わないようにするための収納庫(ゴミ収納庫)も知られている。
【0005】
他方、野菜などの生鮮食料品を保管する食料保管庫について、食料から発生するエチレンガスをエチレン分解触媒にて分解させるとともに、分解しきれない残余エチレンガスを庫外に排出する技術についても知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−50384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した各種の収納庫においては、使用される際にのみ扉などが開かれることから、扉が閉められたままとなる時間が長くなり、収納庫内に湿気がこもり易い。このため、収納庫には、カビ(カビ菌)が発生しやすい状況となっているものと考えられ、このためのカビ防止対策を講じる必要がある。
【0008】
他方、特許文献1に開示される技術では、食料から発生するエチレンガスを対象としており、上述した各種の収納庫に収納される物品の対象が異なるものであることから、仮に上述した各種の収納庫に適用した場合におけるカビ防止対策を目的として使用した場合に、その目的が十分に達成され得るか否かについては検討が必要である。
【0009】
また、特許文献1で開示される技術では、残余エチレンガスを庫外に排出する構成とするものであるが、仮に、上述した各種の収納庫へ適用した場合には、カビ臭、着用済衣類の臭い、ゴミの臭いなどが放出されることとなることから、適用は困難なものとなる。
【0010】
そこで、本発明は、以上の問題に鑑み、閉じられた収納空間内での抗菌成分の放出により抗菌効果を得る構成の収納庫において、収納庫への適用に適した抗菌成分を採用した収納庫の構成を提案するものである。
【0011】
また、カビ防止対策を図る場合には、その効果が持続できるようメンテナンス性を考慮する必要がある。
【0012】
そこで、本発明の他の課題として、庫内での抗菌成分の放出により抗菌効果を得る構成の収納庫において、収納庫への適用に適した抗菌成分を採用するとともに、メンテナンス性に優れた構成を提案する。
【0013】
また、抗菌成分を庫内に放出する形態においては、扉の開閉の度に抗菌成分が庫外に逃げてしまい、扉を閉めた直後では、抗菌成分の庫内濃度が低くなってしまうことが懸念される。このため、単純に収納庫に抗菌成分を放出させるだけの形態では、十分な抗菌効果を得られる濃度に戻るまでに長時間を要してしまい、カビの発生が抑制され難くなることが懸念される。また、扉が頻繁に開け閉めされる場合では、十分な抗菌効果を得られる濃度が達成されないことも懸念される。
【0014】
また、特許文献1で開示される技術では、庫内の残余エチレンガスを庫外に排出する形態となっているため、上述したような抗菌成分を庫内に放出させることでカビ防止対策を図ることを目的とする形態については、適用が難しいものである。
【0015】
そこで、本発明の他の課題として、庫内での抗菌成分の放出により抗菌効果を得る構成の収納庫において、扉を閉めた後において抗菌成分の庫内濃度を高く設定する構成を備える、新規な技術について提案する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0017】
即ち、請求項1に記載のごとく、
閉じられた収納空間に抗菌成分を放出する抗菌装置を備える収納庫であって、
前記抗菌成分は、イソチオシアン酸エステルである、
こととするものである。
【0018】
また、請求項2に記載のごとく、
前記抗菌装置には、前記抗菌成分を含む抗菌剤を収納するカートリッジ式容器を交換可能に設けられる、こととするものである。
【0019】
また、請求項3に記載のごとく、
前記収納庫は、
前記抗菌成分を含む抗菌剤を収納するカートリッジ式容器を収納し、前記抗菌成分を溜め込むための蓄積用空間を有する第二の抗菌装置を、さらに有し、
前記第二の抗菌装置は、前記収納庫の扉が閉じられる過程、及び/又は、閉じられた後の所定時間において、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とするものである。
【0020】
また、請求項4に記載のごとく、
前記第二の抗菌装置は、前記収納庫の前記扉が閉じられる際において発生する空気抵抗を受けて開かれる開閉蓋を有し、
前記開閉蓋が開かれた際に、前記蓄積用空間に溜め込まれていた高濃度の抗菌成分が放出され得る構成とするものである。
【0021】
また、請求項5に記載のごとく、
前記第二の抗菌装置は、扉、又は、収納空間内に設けられ、
前記第二の抗菌装置は、前記扉が閉じられる際に、前記収納空間内、又は、前記扉に設けられる接触部に接触して開かれる開閉蓋を有し、前記開閉蓋が開くことによって、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とするものである。
【0022】
また、請求項6に記載のごとく、
前記収納庫の扉は、収納物を収納する内側容器と、
前記内側容器に収納される収納物の重量に応じて前記抗菌成分を放出する第三の抗菌装置と、
をさらに備える構成とするものである。
【0023】
また、請求項7に記載のごとく、
収納庫の閉じられた収納空間に抗菌成分を放出する抗菌装置であって、
前記抗菌成分は、イソチオシアン酸エステルである、
こととするものである。
【0024】
また、請求項8に記載のごとく、
前記抗菌装置には、前記抗菌成分を含む抗菌剤を収納するカートリッジ式容器を交換可能に設けられる、こととするものである。
【0025】
また、請求項9に記載のごとく、
前記抗菌装置は、前記抗菌成分を溜め込むための蓄積用空間を有し、
前記収納庫の扉が閉じられる過程、及び/又は、閉じられた後の所定時間において、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とするものである。
【0026】
また、請求項10に記載のごとく、
前記抗菌装置は、前記収納庫の前記扉が閉じられる際において発生する空気抵抗を受けて開かれる開閉蓋を有し、
前記開閉蓋が開かれた際に、前記蓄積用空間に溜め込まれていた高濃度の抗菌成分が放出され得る構成とするものである。
【0027】
また、請求項11に記載のごとく、
前記抗菌装置は、前記収納庫の扉、又は、収納空間内に設けられ、
前記抗菌装置は、前記扉が閉じられる際に、前記収納空間内、又は、前記扉に設けられる接触部に接触して開かれる開閉蓋を有し、
前記開閉蓋が開くことによって、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0029】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
閉じられた空間となる収納空間について、イソチオシアン酸エステルを抗菌成分として放出することで、収納庫内のカビ防止対策を実施することが可能となる。
【0030】
また、請求項2に記載の発明においては、
抗菌成分が減少した場合には、カートリッジ式容器を交換することで、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0031】
また、請求項3に記載の発明においては、
扉が閉じられた後において、十分な抗菌効果を得られる庫内濃度に戻るまでの時間を短縮することが可能となり、カビの発生をより確実に防止することが可能となる。また、扉が開かれる際、もしくは、開いて静止している際には、抗菌成分の無駄な放出がなされないことから、カートリッジ式容器の交換回数も少なくなり、エコロジーな実施形態が可能となる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明においては、
開閉蓋を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となって、エコロジーな実施形態が可能となる。
【0033】
また、請求項5に記載の発明においては、
開閉蓋を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となって、エコロジーな実施形態が可能となる。
【0034】
また、請求項6に記載の発明においては、
衣類やゴミなどの量が多くなって、より強力な防臭対策が必要とされる場合にのみ、第三の抗菌装置を機能させることが可能となり、防臭対策の必要性に応じて、第三の抗菌装置による効果的な防臭対策を実施することが可能となる。また、衣類やゴミなどの量が多い場合には、湿気も多くなるため、カビ防止対策としても、効果的に実施することが可能となる。
【0035】
また、請求項7に記載の発明においては、
閉じられた空間となる収納空間について、イソチオシアン酸エステルを抗菌成分として放出することで、収納庫内のカビ防止対策を実施することが可能となる。
【0036】
また、請求項8に記載の発明においては、
抗菌成分が減少した場合には、カートリッジ式容器を交換することで、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0037】
また、請求項9に記載の発明においては、
扉が閉じられた後において、十分な抗菌効果を得られる庫内濃度に戻るまでの時間を短縮することが可能となり、カビの発生をより確実に防止することが可能となる。また、扉が開かれる際、もしくは、開いて静止している際には、抗菌成分の無駄な放出がなされないことから、カートリッジ式容器の交換回数も少なくなり、エコロジーな実施形態が可能となる。
【0038】
また、請求項10に記載の発明においては、
開閉蓋を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となって、エコロジーな実施形態が可能となる。
【0039】
また、請求項11に記載の発明においては、
開閉蓋を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となって、エコロジーな実施形態が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の収納庫の構成について示す側面視断面図。
【図2】実施例1の収納庫の構成について示す平面視概略図。
【図3】(a)は、実施例1の抗菌装置の構成について示す図。(b)は、実施例1の第二の抗菌装置の構成について示す図。(c)は、実施例1の第二の抗菌装置において抗菌成分が放出される状況について示す図。(d)は、実施例1の第二の抗菌装置の他の構成例について説明する図。
【図4】(a)は、実施例2の第二の抗菌装置の構成について示す図。(b)は、実施例2の第二の抗菌装置において抗菌成分が放出される状況について示す図。
【図5】(a)は、実施例3の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について示す側面視概略図。(b)は、実施例3の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について扉が開かれる際の状況について示す側面視概略図。(c)は、実施例3の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫において抗菌成分が放出される状況について示す側面視概略図。(d)は、実施例3の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫において開閉蓋が閉じられる状況について示す側面視概略図。
【図6】(a)は、実施例4の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について示す側面視概略図。(b)は、実施例4の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について扉が開かれる際の状況について示す側面視概略図。(c)は、実施例4の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫において抗菌成分が放出される状況について示す側面視概略図。(d)は、実施例4の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫において開閉蓋が閉じられる状況について示す側面視概略図。
【図7】(a)は、実施例5の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について示す正面視概略図。(b)は、実施例5の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成において引戸が開かれる際の状況ついて示す平面視概略図。(c)は、実施例5の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について示す平面視概略図。(d)は、実施例5の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫において抗菌成分が放出される状況について示す平面視概略図。
【図8】(a)は、実施例6の第二の抗菌装置の構成を採用する収納庫の構成について示す側面視概略図。(b)は、実施例6においてランドリー用収納庫として利用する形態について示す側面視概略図。(c)は、実施例6においてゴミ収納庫として利用する形態について示す側面視概略図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、キッチンシンクを備えるキッチン設備などのキッチン収納庫、着用済の衣類を一時的に収納するランドリー用収納庫、生ゴミや紙おむつなどのゴミを一時的に収納するゴミ収納庫など、各種の収納庫について適用され得るものである。なお、これらの例示からも判るように、適用されることが想定される収納庫は、「内部空間の臭いが外部に漏れないことが好ましいもの」である。
【0042】
図1は、実施形態の一つであって、キッチン設備1のキッチンシンク2の下側に形成される空間を収納空間3として利用する収納庫4について示すものである。この収納庫4は、スライド移動するキャビネット5を備えており、キャビネット5が閉じられた際には、キャビネット5の前面板5aによって収納空間3が閉じられた空間となり、収納庫4内の臭いが庫外(収納空間3の外)に漏れないように構成されている。
【0043】
また、図1に示すごとく、収納庫4内において、抗菌装置10による抗菌成分Kの放出を行うことで、収納空間3内のカビの発生防止がなされる。図1の形態では、キャビネット5側に抗菌装置10が設けられ、この抗菌装置10は、図3(a)に示すごとく、抗菌成分Kを含む抗菌剤Zを収納するカートリッジ式容器11と、このカートリッジ式容器11が交換可能にセットされるホルダー12を有する構成としている。
【0044】
また、図3に示すごとく、カートリッジ式容器11に収納される抗菌剤Zは、有効成分として抗菌成分Kを含むものであり、この抗菌成分Kをイソチオシアン酸エステルとするものである。イソチオシアン酸エステルは、例えば、AIT(アリルイソチオシアネート)として市販されるものが選択され得る。このAITは、カビ(青カビ、ススカビなど)の発生を防ぐ抗菌作用を発揮するものとして広く知られ、古くから食されているワサビやカラシなどに含まれる成分であって、食器類や鍋などの収納が予想される収納庫4についても、特段の問題が生じるものではない。
【0045】
また、カートリッジ式容器11の素材は、抗菌成分Kであるイソチオシアン酸エステルを透過させて放出するために、ポリエチレンやポリプロピレンなどにて構成することが考えられる。
【0046】
以上の構成により、本発明を実施することが可能となる。
即ち、図1に示すごとく、
閉じられた収納空間3に抗菌成分Kを放出する抗菌装置10を備える収納庫4であって、
前記抗菌成分Kは、イソチオシアン酸エステルである、
こととするものである。
【0047】
以上の構成により、閉じられた空間となる収納空間3について、イソチオシアン酸エステルを抗菌成分Kとして放出することで、収納庫4内のカビ防止対策を実施することが可能となる。
以下では、実施例を用いて具体的な構成例について説明する。
【実施例1】
【0048】
図1に示すごとく、収納庫4には、上段のキャビネット5と下段のキャビネット6をスライド可能に設けられており、本実施例では、図2に示すごとく、上段のキャビネット5の奥側に配置される後面板5bに、抗菌装置10と、抗菌装置20(以下、「第二の抗菌装置20」とする)の二つの抗菌装置が設けられる構成としている。
【0049】
図1に示されるキッチンシンク2の下方の収納空間3は、キャビネット5・6が開かれない限りは、閉じられた空間となるため、湿気がこもり易く、この湿気によるカビの発生を抗菌装置10、第二の抗菌装置20により防止することとしている。
【0050】
また、図2に示すごとく、抗菌装置10は、キャビネット5の開閉状況に関わらず常時低濃度の抗菌成分Kを放出するものである。これに対し、第二の抗菌装置20は、キャビネット5の開閉状況に応じて高濃度の抗菌成分Kを放出するものである。なお、ここでいう「低濃度」「高濃度」とは、抗菌装置10から放出される抗菌成分Kの濃度と、第二の抗菌装置20から放出される抗菌成分Kの濃度を比較する上での表現である。また、抗菌装置10が「低濃度抗菌成分放出手段」、第二の抗菌装置20が「高濃度抗菌成分放出手段」として機能し得るものである。
【0051】
図3(a)に示すごとく、抗菌装置10は、抗菌成分Kを含む抗菌剤Zを収納するカートリッジ式容器11と、このカートリッジ式容器11が交換可能にセットされるホルダー12を有する構成としている。カートリッジ式容器11は、蓋のない密閉状容器の形態や、蓋を設けて抗菌剤Zの補充を可能とする容器などが考えられる。なお、カートリッジ式容器11の素材は、抗菌成分Kであるイソチオシアン酸エステルを透過させて放出するために、ポリエチレンやポリプロピレンなどにて構成することが考えられる。
【0052】
また、図3(a)に示すごとく、ホルダー12は、カートリッジ式容器11を収納する収納空間12aを形成する箱状容器にて構成され、その背面側にホルダー12をキャビネットの後面板5b(図2)に引っ掛けるためのフック12cが設けられる。また、例えば、ホルダー12の側部に図示せぬ開閉蓋を設けることで、この開閉蓋の開閉によって、カートリッジ式容器11の取り出し、挿入を可能とする構成を採用できる。この構成によって、抗菌成分Kが減少した場合には、カートリッジ式容器11を交換することで、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0053】
また、図3(a)に示すごとく、ホルダー12において、前面壁12gには、放出側開口部12hが設けられ、この放出側開口部12hから抗菌成分Kが放出されるようになっている。放出側開口部12hは常時開かれているため、略一定の量の抗菌成分Kが放出され得るようになっている。
【0054】
一方、図2に示す第二の抗菌装置20は、図3(b)(c)に示すごとく、ホルダー22は、カートリッジ式容器21を収納する蓄積用空間22aを形成する箱状容器にて構成され、その背面側にはホルダー22をキャビネットの後面板5b(図2)に引っ掛けるためのフック22cが設けられる。また、例えば、ホルダー22の側部に図示せぬ開閉蓋を設けることで、この開閉蓋の開閉によって、カートリッジ式容器21の取り出し、挿入を可能とする構成を採用できる。
【0055】
また、図3(b)(c)に示すごとく、ホルダー22において、背面壁22dの上部には、導入側開口部22eと、この導入側開口部22eを開閉するための開閉蓋22fが設けられている。この開閉蓋22fは、その自重によって上下方向に垂れた状態で回動可能に設けられるとともに、キャビネット5が閉じられる際に、矢印Fの方向の空気抵抗を受けることによって、跳ね上るように回動するように構成されている。また、開閉蓋22fの下端は、背面壁22dの内面に当接するように構成されており、キャビネットが静止している状態、及び、キャビネットが開き側にスライド移動する場合には、導入側開口部22eが塞がれるようになっている。
【0056】
また、図3(b)(c)に示すごとく、ホルダー22において、前面壁22gの下部には、放出側開口部22hと、この放出側開口部22hを開閉するための開閉蓋22jが設けられている。この開閉蓋22jは、その自重によって上下方向に垂れた状態で回動可能に設けられるとともに、キャビネット5が閉じ側にスライド移動する際に、導入側開口部22eから蓄積用空間22a内に空気が流入することによって高まった蓄積用空間22a内の気圧を受けることによって、跳ね上るように回動するように構成されている。また、開閉蓋22jの下端は、前面壁22gの外面に当接するように構成されており、キャビネットが静止している状態、及び、キャビネットが開き側にスライド移動する場合には、放出側開口部22hが塞がれるようになっている。
【0057】
以上の構成により、図3(b)(c)に示すごとく、第二の抗菌装置20については、キャビネット5が閉じられる際には、開閉蓋22f・22jが開かれて、蓄積用空間22aに溜め込まれていた高濃度の抗菌成分Kが放出される。
【0058】
一方で、図1に示すごとく、キャビネット5が静止している状態やキャビネット5が開き側にスライド移動する場合には、図3(b)の状態となって、蓄積用空間22a内の抗菌成分Kは庫外に放出されず、蓄積用空間22aの抗菌成分Kの濃度を高めることが可能となる。これにより、キャビネット5が閉じられる際において、第二の抗菌装置20からは、高濃度の抗菌成分Kを放出することが可能となる。
【0059】
また、図1に示すごとく、キャビネット5が開かれて停止した状態では、収納空間3が庫外に開放されて、収納空間3内の抗菌成分Kが庫外に漏れ続けてしまうことになるが、このような状況であっても、第二の抗菌装置20からの抗菌成分Kの放出はなされないことから、第二の抗菌装置20内の抗菌成分Kを無駄に放出することがなくなり、カートリッジ式容器21の交換の長期化を図ることが可能となる。
【0060】
なお、図3(d)に示すごとく、第二の抗菌装置20Aのように、放出側開口部22hと開閉蓋22jに加え、放出側開口部22kと開閉蓋22mを設け、二箇所の放出側開口部22h・22kから抗菌成分Kが放出される構成としてもよい。
【0061】
以上のように、本実施例では、図1及び図2に示すごとく、キャビネット5が閉じられる際には、第二の抗菌装置20のから高濃度の抗菌成分Kが放出されるため、キャビネット5が開かれることによって低下した収納空間3の庫内濃度を高く設定することが可能となる。また、キャビネット5が閉じられた後には、抗菌装置10からの抗菌成分Kの放出が継続的に行われることになるが、第二の抗菌装置20からの高濃度の抗菌成分Kの放出によって庫内濃度は高く設定されているため、早期にキャビネット5が開かれる前の抗菌成分Kの庫内濃度に戻すことが可能となる。このようにして、キャビネット5が閉じられた後において、十分な抗菌効果を得られる庫内濃度に戻るまでの時間を短縮することが可能となり、カビの発生をより確実に防止することが可能となる。また、キャビネット5が閉じられてスライド移動が停止した後において、開閉蓋22jが所定時間開かれた状態となる構成としてもよい。例えば、開閉蓋22jの回動軸に開閉蓋22jを開き側に付勢する別のバネ機構を設けるなどにより、開閉蓋22jが閉じるまでの時間を遅らせる形態などが考えられる。
【0062】
以上が実施例1の構成であり、特徴的な構成として、図1乃至図3に示すごとく、
抗菌装置10には、抗菌成分Kを含む抗菌剤Zを収納するカートリッジ式容器11を交換可能に設けられる、こととするものである。
【0063】
この構成により、抗菌成分Kが減少した場合には、カートリッジ式容器11を交換することで、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0064】
また、収納庫4は、
抗菌成分Kを含む抗菌剤Zを収納するカートリッジ式容器21を収納し、抗菌成分Kを溜め込むための蓄積用空間22aを有する第二の抗菌装置20を、さらに有し、
第二の抗菌装置20は、収納庫4の扉(キャビネット5)が閉じられる過程、及び/又は、閉じられた後の所定時間において、溜め込まれた抗菌成分Kを放出し得る構成とするものである。
【0065】
この構成により、扉(キャビネット5)が閉じられた後において、十分な抗菌効果を得られる庫内濃度に戻るまでの時間を短縮することが可能となり、カビの発生をより確実に防止することが可能となる。また、扉(キャビネット5)が開かれる際、もしくは、開いて静止している際には、抗菌成分Kの無駄な放出がなされないことから、カートリッジ式容器21の交換回数も少なくなり、エコロジーな実施形態が可能となる。
【0066】
また、第二の抗菌装置20は、収納庫4の扉(キャビネット5)が閉じられる際において発生する空気抵抗を受けて開かれる開閉蓋22fを有し、
開閉蓋22fが開かれた際に、蓄積用空間22aに溜め込まれていた高濃度の抗菌成分Kが放出され得る構成とするものである。
【0067】
この構成によれば、開閉蓋を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となって、エコロジーな実施形態が可能となる。
【実施例2】
【0068】
本実施例2では、図4(a)(b)に示すごとく、抗菌装置30の他の形態に関するものであり、実施例1で説明した図2に示す抗菌装置10と第二の抗菌装置20の二つの機能を兼ね備えるものである。つまり、抗菌装置10の「低濃度抗菌成分放出手段」としての機能、第二の抗菌装置20の「高濃度抗菌成分放出手段」としての機能、の二つの機能を兼ね備えるものである。
【0069】
より具体的には、図4(a)(b)に示すごとく、抗菌装置30は、抗菌成分Kを含む抗菌剤Zを収納するカートリッジ式容器31と、このカートリッジ式容器31が交換可能にセットされるホルダー32を有する構成としている。ホルダー32は、上下二室に区画される箱状容器にて構成され、その背面側にはホルダー32をキャビネットの後面板5b(図2)に引っ掛けるためのフック32bが設けられる。
【0070】
また、図4(a)(b)に示すごとく、ホルダー32の上側の空間は、カートリッジ式容器31を収納するための収納空間32cとして構成されている。また、例えば、収納空間32cの側部に図示せぬ開閉蓋が設けることで、この開閉蓋の開閉によって、カートリッジ式容器31の取り出し、挿入を可能とする構成を採用できる。また、ホルダー32の収納空間32cにおいて、前面や背面などには、放出用孔32d・32dが設けられており、この放出用孔32d・32dを介して収納空間32c内の抗菌成分Kが常時庫内へと放出されるようになっている。
【0071】
また、図4(a)(b)に示すごとく、ホルダー32の収納空間32cの下方には、通気孔32eを有する横板32fを介して蓄積用空間32gが形成されており、この蓄積用空間32g内に通気孔32eを介して抗菌成分Kが流入することで、蓄積用空間32g内に抗菌成分Kが蓄積し、蓄積用空間32g内の抗菌成分Kの濃度が高められ得るようになっている。なお、蓄積用空間32gへの抗菌成分Kの流入は、抗菌成分Kの比重の大きさによって自動的に行われ得るようになっている。
【0072】
また、図4(a)(b)に示すごとく、ホルダー32において、蓄積用空間32gを形成する背面壁32hには、導入側開口部32jと、この導入側開口部32jを開閉するための開閉蓋32kが設けられている。この開閉蓋32kは、その自重によって上下方向に垂れた状態で回動可能に設けられるとともに、キャビネットが閉じられる際に、矢印Fの方向の空気抵抗を受けることによって、跳ね上るように回動するように構成されている。また、開閉蓋32kの下端は、背面壁32hの内面に当接するように構成されており、キャビネットが静止している状態、及び、キャビネットが開き側にスライド移動する場合には、導入側開口部32jが塞がれるようになっている。
【0073】
また、図4(a)(b)に示すごとく、ホルダー32において、蓄積用空間32gを形成する前面壁32mには、放出側開口部32nと、この放出側開口部32nを開閉するための開閉蓋32pが設けられている。この開閉蓋32pは、その自重によって上下方向に垂れた状態で回動可能に設けられるとともに、キャビネットが閉じ側にスライド移動する際に、導入側開口部32jから蓄積用空間32g内に空気が流入することによって高まった蓄積用空間32g内の気圧を受けることによって、跳ね上るように回動するように構成されている。また、開閉蓋32pの下端は、前面壁32mの外面に当接するように構成されており、キャビネットが静止している状態、及び、キャビネットが開き側にスライド移動する場合には、放出側開口部32nが塞がれるようになっている。
【0074】
以上のようにして、図4(a)(b)に示す構成によって、一つの抗菌装置30によって、図2に示す実施例1の抗菌装置10の「低濃度抗菌成分放出手段」としての機能、第二の抗菌装置20の「高濃度抗菌成分放出手段」としての機能、の二つの機能を兼ね備えることが可能となる。
【実施例3】
【0075】
本実施例3では、図5(a)〜(d)に示すごとく、実施例1で例示した「高濃度抗菌成分放出手段」としての機能を果たすための、第二の抗菌装置40をキャビネット5Aの下面5cに設置する構成とするものである。この第二の抗菌装置40は、カートリッジ式容器41を収納するホルダー42を有し、このホルダー42がキャビネット5Aの下面5cに設置され、キャビネット5Aが閉じられる際に、ホルダー42に付設される開閉蓋43が開かれて、抗菌成分Kを放出する構成とするものである。
【0076】
図5(a)(b)に示すごとく、開閉蓋43はホルダー42に対して回動可能に設けられ、図示せぬバネ機構などにより常時閉じる方向に付勢されている。また、開閉蓋43には、略垂直に垂れ下げられた状態から一側方向(図5(b)において時計回り方向R)にのみ回動を可能とする回動片44が回動可能に垂設されている。この回動片44は、キャビネット5Aがスライド移動する際に、収納庫4A側に固定された接触部45に接触し得るようになっている。
【0077】
そして、図5(b)に示すごとく、キャビネット5Aが開かれる方向にスライド移動する際には、回動片44は接触部45に接触し、開閉蓋43との間で形成する角度が狭くなるように跳ね上げられる。この際、開閉蓋43は閉じられたままとなり、抗菌成分の無駄な放出が抑えられる。一方、図5(c)に示すごとく、キャビネット5Aが閉じられる方向にスライド移動する際には、回動片44が接触部45に接触することで、回動片44が跳ね上げられると、これに伴って開閉蓋43が一体となって回動し、開閉蓋43が開かれた状態となって、ホルダー42内に充満していた高濃度の抗菌成分Kの放出が行われる。
【0078】
また、図5(d)に示すごとく、回動片44が接触部45に接触した後において、開閉蓋43が所定時間開かれた状態となる構成としてもよい。例えば、開閉蓋43の回動軸に開閉蓋43を開き側に付勢する別のバネ機構を設けるなどにより、開閉蓋43が閉じるまでの時間を遅らせる形態などが考えられる。
【0079】
以上のように、図5(a)〜(d)に示すごとく、本実施例3では、第二の抗菌装置40は、扉(キャビネット5A)に設けられ、扉(キャビネット5A)が閉じられる際に、収納空間3A内に設けられる接触部45に接触して開かれる開閉蓋43を有し、開閉蓋43が開くことによって、溜め込まれた抗菌成分Kを放出し得る構成とするものである。
【0080】
この構成によれば、開閉蓋43を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となる。なお、図5(b)に示されるように、回動片44を一側方向に回動させる構成とする代わりに、接触部45を一側方向に回動させることで、キャビネットが閉じられる場合にのみ開閉蓋43が開かれる構成としてもよい。
【0081】
また、本実施例3では、図5(a)に示すごとく、収納空間3A側に、実施例1で例示した「低濃度抗菌成分放出手段」としての機能を果たすための抗菌装置46が設けられる構成としており、以上の構成によって、実施例1と同様の効果を発揮することが可能となる。
【実施例4】
【0082】
本実施例4では、図6(a)〜(d)に示すごとく、実施例1で例示した「高濃度抗菌成分放出手段」としての機能を果たすための、第二の抗菌装置50を収納庫4B側に設置する構成とするものである。この第二の抗菌装置50は、カートリッジ式容器51を収納するホルダー52を有し、このホルダー52が収納空間3B内におけるキャビネット5Bの下方に設置され、キャビネット5Bが閉じられる際に、ホルダー52に付設される開閉蓋53が開かれて、抗菌成分Kを放出する構成とするものである。
【0083】
図6(a)に示すごとく、開閉蓋53はホルダー52に対して回動可能に設けられ、図示せぬバネ機構などにより常時閉じる方向に付勢されている。また、開閉蓋53には、接触部54が上方に向けて突設されている。この接触部54は、キャビネット5Bがスライド移動する際に、キャビネット5B側に固定された回動片55に接触し得るようになっている。この回動片55は、略垂直に垂れ下げられた状態から一側方向(図において時計回り方向R)にのみ回動が可能となるように、キャビネット5Bに垂設されている。
【0084】
そして、図6(b)に示すごとく、キャビネット5Bが開かれる方向にスライド移動する際には、回動片55は接触部54に接触し跳ね上げられる。この際、開閉蓋53は閉じられたままとなり、抗菌成分Kの無駄な放出が抑えられる。一方、図6(c)に示すごとく、キャビネット5Bが閉じられる方向にスライド移動する際には、回動片55が接触部54に接触することで、接触部54が押し倒されると、これに伴って開閉蓋53が一体となって回動し、開閉蓋53が開かれた状態となって、高濃度の抗菌成分Kの放出が行われる。
【0085】
また、図6(d)に示すごとく、回動片55が接触部54に接触した後において、開閉蓋53が所定時間開かれた状態となる構成としてもよい。例えば、開閉蓋53の回動軸に開閉蓋53を開き側に付勢する別のバネ機構を設けるなどにより、開閉蓋53が閉じるまでの時間を遅らせる形態などが考えられる。
【0086】
以上のように、図6(a)〜(d)に示すごとく、本実施例4では、第二の抗菌装置50は、収納空間3B内に設けられ、扉(キャビネット5B)が閉じられる際に、扉(キャビネット5B)に設けられる回動片55に接触して開かれる開閉蓋53を有し、開閉蓋53が開くことによって、溜め込まれた抗菌成分Kを放出し得る構成とするものである。
【0087】
この構成によれば、開閉蓋53を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となる。なお、図6(b)に示されるように、回動片55を一側方向に回動させる構成とする代わりに、接触部54を一側方向に回動させることで、キャビネットが閉じられる場合にのみ開閉蓋53が開かれる構成としてもよい。
【0088】
また、本実施例4では、図6(a)に示すごとく、収納空間3B側に、実施例1で例示した「低濃度抗菌成分放出手段」としての機能を果たすための抗菌装置56が設けられる構成としており、以上の構成によって、実施例1と同様の効果を発揮することが可能となる。
【実施例5】
【0089】
本実施例5では、図7(a)〜(d)に示すごとく、収納庫4Cの扉が引戸5Cを有する構成とするものについて、実施例1で例示した「高濃度抗菌成分放出手段」としての機能を果たすための、第二の抗菌装置60を収納庫4Cの収納空間3C内に設置する構成とするものである。
【0090】
図7(a)〜(d)に示すごとく、第二の抗菌装置60は、カートリッジ式容器61を収納するホルダー62を有し、このホルダー62が、収納空間3C内における引戸5Cの裏側の位置に設置され、引戸5Cが閉じられる際に、ホルダー62に付設される開閉蓋63が開かれて、抗菌成分を放出する構成とするものである。
【0091】
図7(b)に示すごとく、開閉蓋63はホルダー62に対して回動可能に設けられ、図示せぬバネ機構などにより常時閉じる方向に付勢されている。また、開閉蓋63には、接触片64が前方に向けて突設されている。この接触片64は、引戸5Cがスライド移動する際に、引戸5C側に固定された回動片65に接触し得るようになっている。この回動片65は、一側方向(図7(b)において反時計回り方向L)にのみ回動が可能となるように、引戸5Cから収納空間3Cの中に向けて突設されている。
【0092】
そして、図7(b)に示すごとく、引戸5Cが開かれる方向にスライド移動する際には、回動片65は接触片64に接触し手前側に押し倒される。この際、開閉蓋63は閉じられたままとなり、抗菌成分Kの無駄な放出が抑えられる。一方、図7(c)に示すごとく、引戸5Cが閉じられる方向にスライド移動する際には、回動片65が接触片64に接触することで、接触片64が押し倒されると、これに伴って開閉蓋63が一体となって回動し、開閉蓋63が開かれた状態となって、高濃度の抗菌成分Kの放出が行われる。
【0093】
また、図7(d)に示すごとく、回動片65が接触片64に接触した後において、開閉蓋63が所定時間開かれた状態となる構成としてもよい。例えば、開閉蓋63の回動軸に開閉蓋63を開き側に付勢する別のバネ機構を設けるなどにより、開閉蓋63が閉じるまでの時間を遅らせる形態などが考えられる。
【0094】
また、本実施例5では、図7(a)〜(d)に示すごとく、収納空間3C側に、実施例1で例示した「低濃度抗菌成分放出手段」としての機能を果たすための抗菌装置66が設けられる構成としており、以上の構成によって、実施例1と同様の効果を発揮することが可能となる。
【0095】
以上のように、引戸を扉として備える収納庫についても、本発明は適用することが可能である。また、以上の構成によれば、開閉蓋63を開閉するための電気的な仕組みが不要であり、簡易な装置構成を実現することが可能となる。なお、図7(b)に示されるように、回動片65を一側方向に回動させる構成とする代わりに、接触部64を一側方向に回動させることで、キャビネットが閉じられる場合にのみ開閉蓋63が開かれる構成としてもよい。
【実施例6】
【0096】
本実施例6は、図8(a)に示す形態とするものであり、収納庫4Dについて、引き出し可能なバスケット付扉71が設けられ、このバスケット付扉71に実施例1における第二の抗菌装置20を設置することで、バスケット付扉71が収納庫4Dの収納空間3D内に戻される際に、高濃度の抗菌成分Kが放出されることとするものである。また、収納庫4Dの収納空間3Dには、抗菌装置72が設けられ、この抗菌装置72によって、常時低濃度の抗菌成分Kの放出がなされる構成とするものである。
【0097】
また、図8(a)に示す例は、ランドリー用収納庫として使用される形態であり、着用済の衣類Mがバスケット付扉71内へと溜め込まれた場合において、抗菌装置72と第二の抗菌装置20によって、収納空間3Dにおけるカビ防止対策を図ることが可能となる。また、抗菌成分Kとして採用されるイソチオシアン酸エステルは、防臭効果も発揮することから、衣類から発生する不快な臭いの防臭対策も同時に図ることが可能となる。
【0098】
また、同様に、図8(b)(c)に示す例は、ゴミ収納庫として使用される形態であり、バスケット付扉71Aについて、収納物の重量に応じて抗菌成分Kを放出するための第三の抗菌装置80を備える構成としている。より具体的には、バスケット付扉71Aの上側開口を閉じる上蓋74を設けるとともに、この上蓋74によって閉じられる内部空間75内に、内側容器73Aをさらに設けることとする。この内側容器73Aは、その下側がスプリング76・76にて支えられ、収納されるゴミなどの重量に応じて上下動し得るように構成されている。また、バスケット付扉71Aの床面71aには、第三の抗菌装置80が設けられており、内側容器73Aの底面に設けた係合片73aが接触した際に、第三の抗菌装置80から抗菌成分Kが放出され得るようになっている。また、内側容器73Aの壁面には、通気孔が開口されることで、第三の抗菌装置80から放出された抗菌成分Kが、内側容器73A内へと流入し得るようになっている。
【0099】
以上の構成により、図8(c)において、収納されるゴミなどの量が多くなり、重量が増した際には、内側容器73Aが下方に沈み込むことで、第三の抗菌装置80から抗菌成分Kが放出され、内部空間75、及び、内側容器73A内に抗菌成分Kを充満させることが可能となって、抗菌成分Kの濃度を高めることが可能となる。
【0100】
一方で、収納されるゴミなどの量が少ない場合には、内側容器73Aはスプリング76・76によって上方に移動され、係合片73aと第三の抗菌装置80の接触がなされずに、第三の抗菌装置80からの抗菌成分Kの放出は行われないものとなる。
【0101】
なお、家庭用ゴミ袋として広く使用されるものは、ポリエチレン素材とするものであり、イソチオシアン酸エステルはポリエチレンを透過することから、ゴミ袋81内のゴミなどに対して、直接的に抗菌成分Kを到達させることが可能となって、抗菌成分Kの抗菌作用を効果的に利用することが可能となる。
【0102】
以上のように、図8(b)(c)の構成では、
収納庫4Dの扉(バスケット付扉71A)は、収納物を収納する内側容器73Aと、
内側容器73Aに収納される収納物の重量に応じて抗菌成分Kを放出する第三の抗菌装置80と、
をさらに備える構成とするものである。
【0103】
この構成によれば、衣類やゴミなどの量が多くなって、より強力な防臭対策が必要とされる場合にのみ、第三の抗菌装置80を機能させることが可能となり、防臭対策の必要性に応じて、第三の抗菌装置80による効果的な防臭対策を実施することが可能となる。また、衣類やゴミなどの量が多い場合には、湿気も多くなるため、カビ防止対策としても、効果的に実施することが可能となる。
【0104】
なお、図8(a)〜(c)においては、収納庫4Dの収納空間3Dの壁面に調湿材77・77が張設されることとしている。また、図8(c)の形態において、第三の抗菌装置80の設置箇所や、内側容器73Aを上下移動させる形態については、特に限定されるものではなく、例えば、第三の抗菌装置80を内側容器73A側に設け、係合片73aをバスケット付扉71A側に設置することや、内側容器73Aを上側から吊るして設ける構成なども考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の抗菌装置は、キッチン収納庫、ランドリー用収納庫、ゴミ収納庫などの各種収納庫の内部のカビ防止対策や防臭対策として適用可能である。また、実施例で説明した適用箇所以外においても、扉によって閉じられる収納設備について幅広く適用可能であり、例えば、衣類用のクローゼット、書棚、押入れ、物置など、様々な収納設備についても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 キッチン設備
2 キッチンシンク
3 収納空間
4 収納庫
5 キャビネット
10 抗菌装置
11 カートリッジ式容器
12 ホルダー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じられた収納空間に抗菌成分を放出する抗菌装置を備える収納庫であって、
前記抗菌成分は、イソチオシアン酸エステルである、収納庫。
【請求項2】
前記抗菌装置には、前記抗菌成分を含む抗菌剤を収納するカートリッジ式容器を交換可能に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
【請求項3】
前記収納庫は、
前記抗菌成分を含む抗菌剤を収納するカートリッジ式容器を収納し、前記抗菌成分を溜め込むための蓄積用空間を有する第二の抗菌装置を、さらに有し、
前記第二の抗菌装置は、前記収納庫の扉が閉じられる過程、及び/又は、閉じられた後の所定時間において、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とする、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納庫。
【請求項4】
前記第二の抗菌装置は、前記収納庫の前記扉が閉じられる際において発生する空気抵抗を受けて開かれる開閉蓋を有し、
前記開閉蓋が開かれた際に、前記蓄積用空間に溜め込まれていた高濃度の抗菌成分が放出され得る構成とする、
ことを特徴とする請求項3に記載の収納庫。
【請求項5】
前記第二の抗菌装置は、扉、又は、収納空間内に設けられ、
前記第二の抗菌装置は、前記扉が閉じられる際に、前記収納空間内、又は、前記扉に設けられる接触部に接触して開かれる開閉蓋を有し、前記開閉蓋が開くことによって、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とする、
ことを特徴とする請求項3に記載の収納庫。
【請求項6】
前記収納庫の扉は、収納物を収納する内側容器と、
前記内側容器に収納される収納物の重量に応じて前記抗菌成分を放出する第三の抗菌装置と、
をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の収納庫。
【請求項7】
収納庫の閉じられた収納空間に抗菌成分を放出する抗菌装置であって、
前記抗菌成分は、イソチオシアン酸エステルである、抗菌装置。
【請求項8】
前記抗菌装置には、前記抗菌成分を含む抗菌剤を収納するカートリッジ式容器を交換可能に設けられる、
ことを特徴とする請求項7に記載の抗菌装置。
【請求項9】
前記抗菌装置は、前記抗菌成分を溜め込むための蓄積用空間を有し、
前記収納庫の扉が閉じられる過程、及び/又は、閉じられた後の所定時間において、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とする、
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の抗菌装置。
【請求項10】
前記抗菌装置は、前記収納庫の前記扉が閉じられる際において発生する空気抵抗を受けて開かれる開閉蓋を有し、
前記開閉蓋が開かれた際に、前記蓄積用空間に溜め込まれていた高濃度の抗菌成分が放出され得る構成とする、
ことを特徴とする請求項9に記載の抗菌装置。
【請求項11】
前記抗菌装置は、前記収納庫の扉、又は、収納空間内に設けられ、
前記抗菌装置は、前記扉が閉じられる際に、前記収納空間内、又は、前記扉に設けられる接触部に接触して開かれる開閉蓋を有し、
前記開閉蓋が開くことによって、溜め込まれた前記抗菌成分を放出し得る構成とする、
ことを特徴とする請求項9に記載の抗菌装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−10855(P2012−10855A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148981(P2010−148981)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【出願人】(593204214)三菱化学フーズ株式会社 (45)
【Fターム(参考)】