説明

収納式男女兼用便器

【課題】男性用便器と洋式便器とが一体化されて、男性が立った姿勢で小用するときは、男性用便器として機能され、女性及び男性が座った姿勢で使用するときは、洋式便器へと変化する収納式男女兼用便器を提供する。
【解決手段】男性用便器1と洋式便器2を一体化し、男性用便器1を覆うカバー28と一体化された可動レール6と弧状からなり下部は内側に湾曲された収納レール4双方が立体交差する位置に収納プレート24が可動自在に設けられ、収納レール4と同様の軌道を通り、収納プレート24と一体化された便座3も同様の軌道を通るため、カバー28を上下に開閉することにより、便座3が収納され立った姿勢での使用が可能となったり、せりだして座った姿勢での使用が可能となったりする。すなわち、男性用便器1と洋式便器2の両方に変化する収納式男女兼用便器によって解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は男性用便器と洋式便器とが一体化されて、男性が立った姿勢で小用するときは、男性用便器として機能され、女性及び男性が座った姿勢で使用するときは、洋式便器へと変化する収納式男女兼用便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来単体での男性用便器は存在するが、男性用便器と洋式便器とが別々に設けられており、公共施設等のスペースに余裕のあるに場所に設置するしかなかった。スペースの限られている施設及び一般家庭等では、男性用便器は設置されず、洋式便器だけが設置されていた。便座の下方に便器を有する洋式便器を、座った姿勢で使用するときは、女性と同様に便座の上に臀部を乗せて使用できるので問題はないが、男性が立った姿勢で使用するときは、兼用の便器として使用するため、便座を上方へ跳ね上げたのち、洋式便器へ向かって放尿せざるをえない。立った姿勢で低い位置にある洋式便器へ向かって放尿されているため、便座と便器の上縁及び便器周辺に小便がかかり不衛生となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのために、次のような問題点があった。
(イ)従来は男性用便器と洋式便器とが別々に設置されていたため、広いスペースが必要であった。
(ロ)男性が立った姿勢で洋式便器を使用した後に、小便が飛び跳ね汚れた便座と便器の上縁及び便器周辺を常に掃除しなければならなかった。
(ハ)男性が立った姿勢で洋式便器を使用するときに、少しでも便座と便器の上縁及び便器周辺を汚さないように、足の膝を曲げた窮屈な姿勢で神経を使って放尿するが、それでも小便が跳ね便座と便器の上縁及び便器周辺が汚れていた。
(ニ)便座と便器の上縁及び便器周辺を汚さない方法としては、男性であるにもかかわらず、小便をするときも、女性と同様に座った姿勢で使用せざるを得ず、不自由な姿勢を強いられていた。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものである。
【問題を解決するための手段】
【0004】
洋式便器の背面に男性用便器を一体に形成し、前記男性用便器の両側に正面と裏側にカバーレールを有する枠体を縦長方向に直立させて設ける。前記カバーレールを可動自在に移動できるカバーの一部である橋架体の背面の外側寄りに突出された可動レールは、対向して設けられる。男性用便器の両側に設けられた対向して一対からなる収納レールは、上方に突出された弧状からなり下部は内側に湾曲されている。対向して一対からなる収納プレートは前記可動レールと前記収納レール双方が立体交差する位置に可動自在に設けられ、前記収納レールと同様の軌道を通り、前記収納プレートと一体化された便座も同様の軌道を通る。前記カバーを上下に開閉することにより、前記便座が前記男性便器の両側に収納され立った姿勢での使用が可能な状態になったり、せりだして座った姿勢での使用が可能な状態になったりする。また自動で前記カバーを引き上げる動力源として、移動滑車の真下に吊り下げられた錘の重力による位置エネルギーを動力源として利用する。開閉装置に連動する前記橋架体に設けられた開閉ボタンを押しロックを解除することにより、前記カバーが可動状態となり、錘が真上に接続されている移動滑車を引き下げ、移動滑車に連動したワイヤーが移動滑車の上方に平行に設けられた2基の滑車の内側のそれぞれの一端を引き下げ、前記2基の滑車の外側のそれぞれのワイヤーに接続されたカバーと便座一式は引き上げられる。すなわち開閉ボタンを押すだけで、自動的にカバーと便座が同時に収納される。
以上を特徴とする収納式男女兼用便器である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は次のような効果がある。
(イ)従来は、男性用便器と洋式便器とが別々に設置されていたため、広いスペースが必要であったが、本発明では、男性用便器と洋式便器とが一体化されて形成されているため、スペースの限られている施設及び一般家庭への設置が可能である。
(ロ)本発明は男性が立った姿勢で使用するときには、男性用便器部へ向けて放尿するので、従来の洋式便器に比べ便器との位置が近づくことにより、従来の洋式便器のように便座と 便器の上縁及び便器周辺を小便で汚さないですむため、掃除の頻度が軽減される。
(ハ)本発明は男性が立った姿勢で使用するときには、男性用便器として機能するので、足の膝を伸ばしリラックスした状態で放尿できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)図2に示すように洋式便器(2)の背面に縦長の長方形からなる男性用便器(1)を一体に形成する。
(ロ)図3に示すように男性用便器(1)の両側に四角形状の枠体(25)を縦長方向に直立させて設ける。
枠体(25)の底面を除く全周の正面と裏側にカバーレール(5)を形成する。
(ハ)図4に示すように横長の帯板状からなる橋架体(7)の両端に支持板(10)を設け、支持板(10)の上部奥寄りにと突出されたワイヤー接続片(17)を設ける。支持板(10)の外側四隅にV溝(33)を中央に有する小輪(21)を設ける。図5に示すように開閉ピン(29)は連結軸(39)を介して橋架体(7)の前面中央に設けられたばね(40)が内蔵された開閉ボタン(31)に連動するよう設けられ、両側の支持板(10)のほぼ中央に設けられたピンホール(32)を突出自在に設けられる。
橋架体(7)の背面の外側寄りに突出させ、貫通溝(34)を中央に有し橋架体(7)の背面寄りの部分を内側に湾曲させた横長の帯板状からなる可動レール(6)を対向して設け、図6に示すように前記対向した小輪(21)で枠体(25)の正面と裏面のカバーレール(5)を挟む。
(二)図7に示すように横断面がT字状からなる収納レール(4)は、一対からなり対向しT字の表面中央にワイヤーの通り溝(37)が形成され、男性用便器(1)とカバーレール(5)の間に設けられる。前記収納レール(4)の形状は上方に突出された弧状からなり、下部は内側に湾曲される。前記収納レール(4)の下部の外側に支軸(20)が設けられる。
(ホ)図7に示すように二本の収納レール(4)に組み込むための方形状からなる収納プレート(24)は一対からなり対向して収納レール(4)に可動自在に設けられ、図8に示すように収納プレート(24)の上部中央より突出された引上ワイヤー接続片(15)が設けられ、内側中央より移動軸(23)が横方向に突出され、外側中央に下向きのL字状の便座アーム(12)が横方向に突出され、その先端に便座装着片(13)が設けられる。前記収納プレート(24)の表面四隅にV溝(34)を中央に有する小輪(22)が設けられ、前記小輪(22)で収納レール(4)を挟み、収納レール(4)に沿って可動自在に設けられる。
(ヘ)図9に示すように収納プレート(24)から突出された移動軸(23)は可動レール(6)の貫通溝(38)の外側から内側へ貫通され、前記可動レール(6)の貫通溝(38)に沿って可動自在に設けられる。
(ト)図10に示すように便座の外側中央部が垂直に切断され一対の対向した形態を形成し、更に、便座奥部の外側と内側とのほぼ中央部から便座先端部内側に向かって切断された外側部が便座(3)、内側部が便座駆動体(14)として設けられる。
前記便座駆動体(14)は前記便座(3)の収納時に枢支ピン(18)を軸に回転収納される便座駆動体(14)で、便座(3)の内側の奥部方向へ突出された支持片(19)が枢支ピン(18)により枢支されている。
(チ)図11に示すように便座(3)の奥側中央部が前記便座装着片(13)に装着され、便座(3)と前記収納プレート(24)とが一体化される。
(リ)図12に示すように収納レール(4)の上方のほぼ延長上に滑車(9a)が設けられ、滑車(9a)と平行に滑車(9b)が設けられる。
(ヌ)図12に示すようにワイヤー(16)の一端は収納プレート(24)の上部中央より突出された引上ワイヤー接続片(15)に接続され、ワイヤー(16)の他端は収納レール(4)の通り溝(28)を経由し、滑車(9a)、滑車(9b)の順で上方を通過し、支持板(10)の上部奥寄りに突出されたワイヤー接続片(17)に接続され、滑車(9a)と滑車(9b)の間のワイヤー(16)部に移動滑車(11)が吊下げられ、前記移動滑車(11)の真下に錘(8)が吊り下げられる。
(ル)図13に示すように横長の帯板状からなる橋架板(26a)・・・(26j)は垂直方向にシャッター状に繋げられ、それぞれの橋架板(26a)・・・(26j)の両端中央に横長楕円状の支持板(27a)・・・(27j)が設けられ、支持板の外側両端寄りにV溝(36a)を中央に有する小輪(35a)・・・(35j)が対向して設けられ、枠体(25)の正面と裏面のカバーレール(5)が前記対向した小輪(35a)・・・(35j)で挟持され、可動自在に設けられる。
シャッター状に形成された前記橋架板(26a)・・・(26j)の最も下に位置する橋架板(26a)の下部と前記橋架体(7)の上部とが繋げられ一体化された形状になりカバー(28)として機能する。
本発明は以上のような構成で、これを男性が立った状態で使用するときは、
指先で開閉ボタン(31)が押されることにより、前記橋架体(7)の両側の支持板(10)の外側中央に設けられた突出された状態の開閉ピン(29)が支持板(10)に収納され、前記カバー(28)がカバーレール(5)の軌道を可動自在になることにより、高い位置に位置していた錘(8)が可動自在となり、重力による位置エネルギーで前記錘(8)が真下方向へ引き下げられるため、錘(8)の真上に接続された移動滑車(11)も真下に引き下げられ、移動滑車(11)に装着されているワイヤー(16)部の一端は、滑車(9b)を経由し、前記橋架体(7)の両側の支持板(10)の上部奥寄りに突出されたワイヤー接続片(17)を真上に引き上げ、前記ワイヤー接続片(17)と一体化された橋架体(7)を含むシャッター形状のカバー(28)がカバーレール(5)の軌道を通って引き上げられ、前記カバー(28)が完全に収納された状態となり、図14に示すように男性用便器が完全に露呈された状態となる。
同時に、前記移動滑車(11)に装着されているワイヤー(16)部の他端は、滑車(9a)を経由し、収納レール(4)の表面の通り溝(37)を経由し、収納プレート(24)の上部中央より突出された引上ワイヤー接続片(15)を真上方向へ引き上げようとするが、引上ワイヤー接続片(15)と一体化された収納プレート(24)を含む便座(3)一式は収納レール(4)の軌道を通るため、はじめ底部では内側から外側へ移動しながら垂直方向へ弧を描き、以降は垂直方向へ弧を描き上方へと移動され、男性用便器(1)の両側に収納される。したがって図14に示されるように、開閉ボタン(31)を押すだけで、自動的にカバー(28)と便座(3)一式が同時に収納され、男性が立った状態での使用が可能となる。
本発明を男性が座った状態及び女性が使用するときは、
カバー(28)が手動で真下方向へ降ろされると、シャッター状に形成されたカバー(28)の両側の支持板(10)・(27a)・・・(27j)の外側に設けられたV溝を中央に有する小輪(21)・(35a)・・・(35j)でカバーレール(5)が挟持されているため、カバー(28)がカバーレール(5)の軌道を真下方向へ移動し、一体化されたカバー(28)の一部で前面の最も下に位置する橋架体(7)の両側の支持板(10)の外側中央より突出可動な開閉ピン(29)が枠体(25)の内側下部に設けられたストッパーピン受け(30)の位置で突出され、下方への移動が不能にロックされた状態となり、完全に男性用便器(1)がカバー(28)に覆われた状態となる。
また、一方では、カバー(28)と一体化された前面下部に位置する橋架体(7)が下方へ移動することにより、前記橋架体(7)の背面の外側寄りに突出された状態で一体化されている可動レール(6)が下方へ移動し、可動レール(6)に連動している収納プレート(24)の外側中央の横方向に突出された移動軸(23)を真下方向へ引き下げようとするが、前記移動軸(23)は収納プレート(24)に設けられた小輪(22)を介して収納レール(4)の軌道を通過するため、収納レール(4)の軌道である垂直方向へ弧を描きながら下方へ移動し、底部付近では外側から内側への軌道が加算された軌道を通過する。尚、便座(3)は便座装着片(13)、便座アーム(12)を介して収納プレート(24)と一体化して装着されているため、収納プレート(24)と同様の軌道を通り、洋式便器の上に載置され、便座(3)が座れる状態となり、使用可能となる。
収納プレート(24)の上部中央より突出された引上ワイヤー接続片(15)が収納レール(4)の軌道に沿って下方へ移動することにより、前記引上ワイヤー接続片(15)に接続されたワイヤー(16)の一端が、収納レール(4)の通り溝(37)の軌道を下方へと引っ張られ、滑車(9a)を介して滑車(9a)と移動滑車(11)との間のワイヤー(16)部が滑車(9a)側へ引っ張られる。
一方、ワイヤー(16)を接続している他端でも、橋架体(7)の両側の支持板(10)の上部奥寄りにと突出されたワイヤー接続片(17)が真下に引き下げられ、前記ワイヤー接続片(17)に接続されたワイヤー(16)も真下に引っ張られ、滑車(9b)を介して、滑車(9b)と移動滑車(11)との間のワイヤー(16)部が滑車(9b)側へ引っ張られる。すなわち、移動滑車(11)に装着されたワイヤー(16)の両端である滑車(9a)側と滑車(9b)側のワイヤー(16)部が同時に引っ張られるため、移動滑車(11)と錘(8)が真上へと移動する。錘(8)が真上へと移動することにより、男性が立った状態で使用するときに、自動でカバー(28)と便器(3)一式が同時に収納されるための位置エネルギーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明の洋式便器と男性用便器とが一体化された斜視図
【図3】本発明要部を示す斜視図
【図4】本発明の橋架体及び可動レールに関する斜視図
【図5】本発明の開閉ボタンに関する斜視図
【図6】本発明要部を示す斜視図
【図7】本発明の収納レールと収納プレートに関する斜視図
【図8】本発明の収納プレートに関する斜視図
【図9】本発明要部を示す斜視図
【図10】本発明の便座に関する斜視図
【図11】本発明要部を示す斜視図
【図12】本発明のワイヤーが経由する滑車等に関する斜視図
【図13】本発明のカバーに関する斜視図
【図14】本発明の男性が立った姿勢で使用する状態の斜視図
【符号の説明】
【0008】
1 男性用便器
2 洋式便器
3 便座
4 収納レール
5 カバーレール
6 可動レール
7 橋架体
8 錘
9a、9b 滑車
10 支持板
11 移動滑車
12 便座アーム
13 便座装着片
14 便座枢動体
15 引上ワイヤー接続片
16 ワイヤー
17 ワイヤー接続片
18 枢支ピン
19 枢持片
20 支軸
21 小輪
22 小輪
23 移動軸
24 収納プレート
25 枠体
26a・・・26j 橋架板
27a・・・27j 支持板
28 カバー
29 開閉ピン
30 ストッパーピン受け
31 開閉ボタン
32 ピンホール
33 V溝
34 V溝
35a・・・35j 小輪
36a・・・36j V溝
37 通り溝
38 貫通溝
39 連結軸
40 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器の背面に男性用便器を一体に形成し、前記男性用便器の両側に正面と裏側にカバーレールを有する枠体を縦長方向に直立させて設け、前記カバーレールを可動自在に移動できるカバーの一部である橋架体の背面の外側寄りに突出された可動レールは、対向して設けられ、男性用便器の両側に設けられた対向して一対からなる収納レールは、上方に突出された弧状からなり下部は内側に湾曲され、対向して一対からなる収納プレートは前記可動レールと前記収納レール双方が立体交差する位置に可動自在に設けられ、前記収納レールと同様の軌道を通り、前記収納プレートと一体化された便座も同様の軌道を通るため、前記カバーを上下に開閉することにより、前記便座が前記男性便器の両側に収納され立った姿勢での使用が可能な状態になったり、せりだして座った姿勢での使用が可能な状態になったりし、すなわち、前記カバーを作動させることにより、前記カバーと前記便座が連動して動き、男性が立った姿勢で使用するときは、前記便座が収納され同時に前記カバーが収納されることにより前記男性用便器が露呈し男性用便器として機能され、男性及び女性が座った姿勢で使用するときは、前記男性用便器の前面が前記カバーで覆われ、同時に便器の上に前記便座が載置された洋式便器へと変化する収納式男女兼用便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−190302(P2008−190302A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52029(P2007−52029)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(507067456)
【Fターム(参考)】