説明

収納棚

【課題】地震などによって振動すると、収納物を載置する棚板の収納物載置面の奥側を手前側よりも低くし、大きな地震が起きても収納物の落下を防止し、倒壊も防止することができる収納棚を得る。
【解決手段】収納棚の骨格をなす垂直部材13と、収納物の出し入れ口からみて奥行き方向前後に配置されている垂直部材13間に係止されている支持部材12と、収納物が載置される載置面111を備えていて支持部材12に支持されている棚板11を有する。支持部材12は、振動によって垂直部材13に対し前後方向に移動可能であり、垂直部材13による支持部材12の係止部131,132は、支持部材12が前後方向に移動したとき棚板11の奥側が棚板11の手前側よりも低くなるように段134付きになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生時に収納物載置面の奥側を手前側よりも低くすることで収納物の落下を防止する載置面傾斜構造を備えた収納棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収納棚は、金属や木材を素材とする部品からなる。収納棚に収納物を載置する載置面を有する棚板の前面は、収納物の出し入れを可能にするために開放されている。通常、収納物は棚板の載置面に固定されることなく単に載置されるのみであるから、地震などによって収納棚が震動すると、その震動によって付勢された収納物は、棚板の収納物載置面から飛び出して落下する。また、落下しない場合でも、震動によって付勢された収納物が載置面上を震動の周期に応じて前後左右に滑動し、これによって収納棚の重心が移動し、収納棚自体が倒壊することがある。
【0003】
収納棚には、オープンラックと称して、棚板を持たず、左右の支柱などで支持された左右一対の荷受けなどの支持部材で直接収納物を支持する形式の収納棚がある。このオープンラックにおいても、地震などによって収納棚が震動すると、その震動によって付勢された収納物が、支持部材から飛び出して落下する。
【0004】
これら収納物の落下防止と、収納棚の倒壊を防止するために、種々の対策が提案されている。例えば、収納棚に加わる震動を小さくするために、棚本体もしくは土台に免震構造を用いる方法がある。免震構造は、本体とは別に免震装置が必要となるためコスト高になる。また、免震構造の取付け工事が必要になり、免震性能を維持するための制約も多く不便である。
【0005】
また、例えば、収納棚に震動エネルギーが加わっても収納棚が振動しないように、収納棚を耐震構造にすることも考えられる。しかし、耐震構造は、収納棚自体を堅牢な構造にすることが必要となり、コストが高くなりやすい。また、収納棚の自重が重くなるので、転倒したときの損壊が大きくなり、さらに、収納物の落下防止効果は期待できない。
そこで、振動による収納物の落下や収納棚の倒壊を防止するために、いくつかの発明が提案されている(例えば、特許文献1乃至6を参照)。
【0006】
特許文献1及び特許文献2には、振動を検知すると、棒状部材が下側から棚間口の前面に沿って跳ね上がり、上記棒部材が棚間口を塞ぐことで収納物の落下を防止する機構及び装置が記載されている。振動を受けて収納物が棚板の載置面から飛び出そうとする動きを棒状部材によって制止するものである。
【0007】
特許文献3に記載されている書棚は、棚板の収納物載置面を、収納物の出し入れ口からみて手前側を高く奥側を低くして、載置面を奥行方向に向けて下方に傾斜させることにより、振動によって棚板の載置面から飛び出そうとする収納物の勢いを減らし、収納物が載置面にとどまるようにするものである。
【0008】
特許文献4及び5に記載されている台座は、棚板もしくは収納棚の設置面を、収納物出し入れ口からみて手前側が高く奥側が低くなるようにして、この台座の上に設置される収納棚の棚板が奥行方向に向けて下方に傾斜するようにし、この傾斜によって、振動による棚板の載置面から収納物が飛び出そうとする勢いを減らし、収納物が載置面にとどまるようにするものである。
【0009】
特許文献6には、棚板の奥の方を回転ボスで支え、この回転ボスは、強震が発生したとき棚板およびその上の物品の重力と前方に突き出される力により回転し、棚板の奥側が低くなるように傾斜することにより、物品の飛び出しを防止するようにした物品収納用家具が記載されている。上記回転ボスは、四角形状の一隅部にある軸を中心に回転する一種のカムを構成していて、通常は回転ボスの平坦面で棚板を受けることにより回転することがなく、強震で棚板が前方に移動しつつ浮き上がることによって回転し、棚板を奥下がりの姿勢にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2826811号公報
【特許文献2】特開2002−112845号公報
【特許文献3】特開2008−119175号公報
【特許文献4】特開2006−289015号公報
【特許文献5】特開2006−289016号公報
【特許文献6】特開平08−242957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1、2に記載されているものは、棒状部材が跳ね上がるようにばね力を用いて付勢し、通常は上記棒状部材をばね力に抗し押し下げた状態で係止して間口が開放された状態に保持しておき、地震などによって振動すると、振動によって揺動する振り子が上記係止を外し、棒状部材を付勢力によって跳ね上げるものである。しかしながら、振り子が揺動する条件は、振動方向、周期、振幅などによって変わるので、発生した地震の特性や振り子の取り付け位置によって、動作にばらつきが生じやすく、想定した以上の震度の地震が発生しないと、落下防止機構が動作しないということが起こる。また、振動によって付勢された収納物が棒状部材に衝突すると、棚の重心位置が移動して、収納棚の倒壊を誘引することにもなる。
【0012】
特許文献3乃至5に記載されているものは、収納物の出し入れ口からみて棚板の載置面を奥行方向に向けて下方に傾斜させておくことで、振動によって棚板の載置面から収納物が飛び出そうとする勢いを抑制するものである。棚板の傾斜角度を大きくすれば、収納物の落下防止効果は大きくなるが、収納物を出し入れしにくくなり、不便である。よって、落下防止効果と使い勝手の兼ね合いから、比較的小さな角度で予め傾斜をつけておくことになり、あまり大きな傾斜角度に設定することはできないから、大きな地震に対しては、十分な収納物落下防止効果および転倒防止効果を期待することはできない。
【0013】
特許文献6記載の発明は、地震などによって振動が加わったとき棚板を傾斜させるために棚受け用回転ボスを回転させる必要があり、そのためには、棚板が一旦持ち上がる必要がある。したがって、よほど大きな震度の地震か、または、地震時の振動で都合よく共振しなければ動作しないという難点がある。また、特許文献1,2および6記載の発明は、互いに連携する可動機構を有しているため、構成が複雑でコスト高になり、動作も安定しない。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、地震などによって振動すると、収納物を支持する部材の奥側を手前側よりも低くし、もって、大きな地震が起きても収納物の落下を防止し、さらに、収納棚の倒壊も防止することができる収納棚を、低コストで提供することを目的とする。
【0015】
本発明はまた、上記の目的に加えて、地震により奥側が手前側より低くなった支持部材の現状復帰を容易にした収納棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、収納棚の骨格をなす垂直部材と、上記垂直部材に係止されている支持部材と、を有し、収納物の出し入れ口から見て左右の垂直部材に係止されている一対の支持部材を介して収納物が支持される収納棚であって、上記支持部材は、振動によって上記垂直部材に対し収納物の出し入れ口から見て前後方向に移動可能であり、上記垂直部材による上記支持部材の係止部は、上記支持部材が前後方向に移動したとき奥側が手前側よりも低くなるように段付きになっていることを最も主要な特徴とする。
【0017】
本発明の別の形態は、左右の垂直部材に係止されている一対の支持部材によって棚板が支持され、この棚板が収納物を載置する載置面を有していることを特徴としている。
本発明のさらに別の形態は、棚板が、支持部材とともに一体的に前後方向に移動可能に構成されていることを特徴とする。
本発明のさらに別の形態は、上記垂直部材が、前後及び左右にそれぞれ複数本立てられた支柱であることを特徴とする。
本発明のさらに別の形態は、奥行き方向前後に配置されている支柱間に支持部材が係止されていることを特徴とする。
【0018】
本発明のさらに別の形態は、垂直部材による支持部材の係止部が、垂直部材に形成されている袖孔からなり、この袖孔は上記支持部材の前後方向への移動を許容する前後方向の幅を持っていることを特徴とする。
本発明のさらに別の形態は、支持部材を係止する前後の支柱のうち後ろ側の支柱の袖孔が段付きになっていて、この袖孔の上段で支持部材の係止片を係止するようになっていることを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに別の形態は、支持部材を係止する前後の袖孔のうち後ろ側の袖孔が段付きになっていて、この袖孔の上段で支持部材の係止片を係止するように構成されていることを特徴とする。
本発明のさらに別の形態は、上記段付きの袖孔が上段と下段が傾斜面でつながれていて、支持部材の係止片が上記袖孔の下段にあるとき支持部材を前後方向に移動させることにより上記係止片が上記傾斜面に摺動しながら上記袖孔の上段に至るように構成されていることを特徴とする。
本発明のその他の特徴は、各実施例を参照することによって明らかになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の最も主要な特徴とする構成を備えた収納棚によれば、地震などによって振動すると、垂直部材の係止部に係止されている支持部材が前後方向に移動し、段付きの上記係止部の上段から上記支持部材が落下し、支持部材の奥側が手前側よりも低くなるため、振動によって収納物が棚板から落下することを防止することができるとともに、収納棚本体の倒壊を防止することができる。通常は支持部材の載置面が水平面をなし、あるいは予め傾斜しているとしても僅かな傾斜にとどまっており、日常的な物品の出し入れ作業に支障をきたすことはない。垂直部材と支持部材の係止部を段付きにするだけで良いから、構造も簡単である。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、垂直部材の係止部としての袖孔が段付きになっていて上段と下段が傾斜面でつながれ、支持部材の係止片が袖孔の下段にあるとき支持部材を前後方向に移動させることにより上記係止片が上記傾斜面に摺動しながら袖孔の上段に至るように構成されているため、地震などによって収納物の落下防止および収納棚本体の倒壊防止が図られた後、支持部材を原位置に復帰させるためには、支持部材を前後方向に移動させるだけでよく、復帰作業がきわめて簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る収納棚の一実施例の要部を示す一部断面側面図である。
【図2】上記実施例中の係止部の例を示すもので、(a)は前側の支柱の係止部を、(b)は後ろ側の支柱の係止部を示す側面図である。
【図3】上記実施例の動作途中を示す一部断面側面図である。
【図4】上記実施例の動作後の態様を示す一部断面側面図である。
【図5】上記実施例中の後ろ側の支柱の係止部と支持部材の関係を示すもので、(a)は動作前の様子を図1中のB−B線に沿って示す正面断面図、(b)は振動による動作後の態様を示す拡大正面断面図である。
【図6】上記実施例中の前側の支柱の係止部と支持部材の関係を示すもので、(a)は動作前の様子を図1中のA−A線に沿って示す正面断面図、(b)は振動による動作後の態様を示す拡大正面断面図である。
【図7】本発明に係る収納棚の別の実施例の要部を示す一部断面側面図である。
【図8】上記実施例中の後ろ側の支柱の係止部を示す側面図である。
【図9】上記実施例の動作途中を示す一部断面側面図である。
【図10】上記実施例の動作後の態様を示す一部断面側面図である。
【図11】本発明に係る収納棚のさらに別の実施例の要部を示す一部断面側面図である。
【図12】上記実施例中の後ろ側の支柱の係止部と支持部材の関係を示す拡大側面図である。
【図13】上記実施例の動作途中を示す一部断面側面図である。
【図14】上記実施例の動作後の態様を示す一部断面側面図である。
【図15】本発明を適用した収納棚の例を示す正面図である。
【図16】上記収納棚の側面図である。
【図17】本発明に係る収納棚のさらに別の実施例を示す正面図である。
【図18】本発明に係る収納棚のさらに別の実施例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図19】上記実施例の要部を模式的に示すもので、(a)は平常時の状態を、(b)は地震発生によって作動した状態を示す拡大側面図である。
【図20】上記実施例の変形例の要部を模式的に示すもので、(a)は平常時の状態を、(b)は地震発生によって作動した状態を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る収納棚の実施例を、図面を参照しながら説明する。本発明に係る収納棚は、棚板を支持する支持部材が振動によって前後方向に移動し、棚板の奥側が棚板の手前側よりも低くなるように動作するものである。ここで、「振動によって」とは、例えば、地震が発生したとき、あるいは、その収納棚に人や物が衝突したときに、その収納棚に生じる振動をきっかけとして発生する運動エネルギーを活用して、の意味である。
【0024】
本発明に係る収納棚は、地震や衝突で発生する振動をきっかけとして支持部材が前後に移動し、棚板の奥側が手前側よりも低くなり、あるいは、この棚板の前後の高低差を大きくするように動作するものである。従って、本発明の説明において、「振動」と表記する語は、地震や、人・物の衝突などによって生じる運動ないしは作用を意味し、その種類を問わない。
【0025】
本発明に係る収納棚において、収納物の載置面を有する棚板あるいは収納空間に対して収納物を出し入れする側を間口側とする。本発明に係る収納棚において、収納棚、棚板または支持部材の「手前側」とは、収納棚の収納物出し入れ口側すなわち間口面側をいい、「後ろ側」とは、上記「手前側」に対して反対側すなわち奥側をいう。本発明に係る収納棚において「前後」とは、手前側すなわち間口面側を「前」とし、奥側を「後」としたときの表記であって、前後方向とは、手前側と奥側を互いに結ぶ方向をいう。
【0026】
まず、本発明の技術思想を適用可能な収納棚の概略について説明する。図15、図16において、収納棚10は収納物が載置される載置面を備える棚板11と、この棚板11の支持部材である棚受け12と、棚受け12を所定の高さ位置で係止する垂直部材である支柱13とを有してなる。垂直部材である支柱13は収納棚10の骨格をなす部材の主たるもので、収納棚10の前後及び左右にそれぞれ複数本配置されている。棚受け12は、前後の支柱間において適宜の高さ方向の領域を占める側板を有しており、この側板が棚板11の左右両端面に接することによって、棚板11に載置された収納物が収納棚10の側面から落下することを防止している。
【0027】
なお、図16に示す収納棚10の例は、図16における左右両面から収納物を出し入れすることができるようになっていて、奥行き方向すなわち前後方向に3本の支柱13が立てられ、前後方向中央の支柱13を共通の支柱として、この中央支柱13と図16における左側の支柱13との間に、また、上記中央支柱13と図16における右側の支柱13との間に棚受け12が係止されている。図16における左側の間口面にせよ、右側の間口面にせよ、「手前側」、「奥側」とは、以下、間口面に正対した状態での手前側と奥側をいうものとする。
【実施例1】
【0028】
図1乃至図6は第1の実施例を示す。図1において左側の支柱13が手前側の支柱、右側の支柱13が奥側の支柱を示している。図1乃至図6において、前後の支柱13の側面には、上下方向に一定間隔で棚受け12の係止部である袖孔が形成されている。手前側の袖孔を符号131で、奥側の袖孔を符号132で表している。手前側の支柱13に形成されている袖孔131のうち上下二つの袖孔131に、棚受け12の前縁部に折り曲げて形成された上下二つの係止片123がそれぞれ係止されている。同様に、奥側の支柱13に形成されている袖孔132のうち上下二つの袖孔132に、棚受け12の後縁部に折り曲げて形成された上下二つの係止片124がそれぞれ係止されている。
【0029】
上記係止片123は図6に、係止片124は図5に示されている。図5、図6に示すように、係止片124,123は下向きの鉤形に形成されていて、それぞれ袖孔132,131に挿入され、係止片124は袖孔132の段部134に、係止片123は袖孔131を画する下側の縁部に係止されている。棚受け12の板厚、したがって上記係止片124,123の板厚に対して、袖孔132,131の前後方向の幅は数倍になっていて、この袖孔132,131の前後方向の幅の範囲内において、係止片124,123が、したがって棚受け12が前後に移動することができるようになっている。図2(a)にも示すように、前側の支柱13の袖孔131は単純な四角形の孔である。これに対し、奥側の支柱13の袖孔132は、図2(b)にも示すように、上側の約半分が上記のように係止片124が前後に移動できるだけの幅、下側の約半分が上記上側の幅の約半分の幅になっていて、袖孔132の奥側に上記上側と下側の幅の差分の段部134が水平方向に形成されている。後で説明するように、奥側の袖孔132は、棚受け12の係止片124を段部134で係止する態様と下端縁135で係止する態様がある。段付きの袖孔132における上記段部134を「上段」、下端縁135を「下段」という場合がある。
【0030】
平常時は、前側の上下二つの袖孔131の下縁部133と奥側の上下二つの袖孔132の段部134にそれぞれ棚受け12の係止片124,123が係止され、棚受け12は傾きのない姿勢で前後の支柱13に支持されている。したがって、支柱13の袖孔131,132は、棚受け12の係止部となっている。収納棚の間口方向から見て左右に隣接する支柱13の対向面の同じ高さ位置に棚受け12が支持されていて、左右で対向している棚受け12によって棚板11の左右方向両端部が支持されている。棚板11の左右方向両端部は、棚受け12に適宜の連結構造によって連結され、棚受け12の移動に伴って棚板11も一体的に移動するように構成されている。
【0031】
棚板11は金属板を折り曲げ成形加工することによって作られていて、前後の縁部及び左右方向の両縁部が折り曲げ加工されている。図1などに示すように、棚板11の前後縁部は下方に直角に折り曲げられ、さらに内方に直角に、さらに上方に直角に折り曲げられて、前後に框115,116が形成されている。棚板11の左右方向両端部もほぼ同様にして框が形成されている。前後の框115,116と左右方向両端部の框の下面は同一面になっていて、これらの框の下面が棚受け12の棚板支持部122に載せられている。棚板支持部122は棚受け12の下縁部が直角に折り曲げられることによって形成された水平面をなす部分で、この棚板支持部122に棚板11の左右両端部が連結されている。棚板11の上面は収納物品の載置面111となっている。
【0032】
図1は平常時の態様を示しており、上記のように棚受け12は傾きのない姿勢で前後の支柱13に支持され、棚板11もその載置面111が傾きのない水平面をなしている。なお、平常時の態様において、棚板11の載置面111の手前側と奥側の高さに予め差をつけておき、手前側の高さよりも奥側の高さが僅かに低くなるようにしておいてもよい。
【0033】
図1に示す平常時の態様において地震が発生すると、収納棚10が振動し、支柱13、棚受け12及び棚板11がそれぞれの振動条件に応じて振動する。棚受け12は、その係止片123,124が支柱13の袖孔131と132の下端縁133と段部134で前後方向に移動可能に係止されているので、振動によって前後に移動し、前方に所定量移動したとき、係止片124が袖孔132の段部134から脱落する。図3は、係止片124が袖孔132の段部134から脱落する途中の様子を示す。段部134から脱落した係止片124は袖孔132の下段すなわち下端縁135で係止される。袖孔132の下端縁135は前側の袖孔123の下端縁133よりも低い位置にあるため、棚受け12及びこの棚受けと実質一体の棚板11の載置面111が前上がり(奥下がり)に傾斜する。図4はこのようにして棚板11の載置面111が傾斜した様子を示す。
【0034】
上記のようにして棚板11の載置面111が傾斜すると、載置面111に載置されている収納物が収納物出し入れ面(間口面)側から飛び出して落下することを防止することができる。また、図16に示す例のように、収納棚10の奥行き方向両側に棚板11があるものにおいては、地震などによる振動を受けて両側の棚板11が奥下がりに傾斜して収納物が収納棚10の奥行き方向中央に向かって移動するため、収納棚10が倒壊しにくくなる利点もある。
【0035】
なお、予め棚板11の手前側を奥側よりも僅かに高くしておき、振動によって、手前側と奥側の高低差をさらに大きくするようにしてもよい。このようにすることにより、地震などの振動で収納棚が揺れて支柱13とともに棚受け12および棚板11が後方に移動しようとするとき、奥側が低くなっている棚板11上の収納物が、棚板11の後方への移動に対してより大きな抵抗力となり、支柱13に対して棚板11および棚受け12が相対移動しやすくなり、係止片124を袖孔132の上段すなわち段部134から容易に脱落させることができ、より確実な収納物の落下防止効果を得ることができる。
【0036】
図示の第1の実施例では、奥側の支柱13に形成した袖孔132の奥側に段部134が形成され、棚受け12が前方に移動したとき係止片124が段部134から脱落するようになっているが、棚受け12が後方に移動したとき係止片124が段部134から脱落するように、袖孔132の前側に段部134を形成してもよい。
【実施例2】
【0037】
次に、図7乃至図10に示す本発明に係る収納棚の第2の実施例について説明する。地震によって棚受け12の係止片124が袖孔132の下端縁135まで一旦落ち込むと、棚板11および棚受け12を原位置に復帰させるには大変な労力を要する。すなわち、棚板11の奥側を下面から押し上げ、棚受け12の係止片124の高さを袖孔132の段部134よりも高くしながら棚板11及び棚受け12を奥の方にずらし、上記棚受け12の係止片124を上記段部134に載せる必要があるからである。棚板11の上には書籍その他の物品が載置されているため、棚板11を押し上げる作業は容易ではない。いちいち収納物品を除去して棚板11を復帰させることも面倒である。そこで、第2の実施例では棚板11の復帰作業を簡単に行うことができるように、棚板復帰構造を設けている。
【0038】
第2の実施例は大半が前記第1の実施例と同じであるから、同じ構成には同じ符号を付し、第1の実施例と異なる構成を重点的に説明する。図7乃至図10において、棚受け12、棚板11、前側の支柱13に形成されている袖孔131の形状ないしは構造は前記第1の実施例のものと同じであり、奥側の支柱13の袖孔の形状が工夫されている。ただし、棚受け12の奥側の上下に形成されている二つの係止片124が係止される上下の袖孔のうち一方の袖孔(図示の例では上側の袖孔)132は前記実施例における袖孔132と同じであり、他方の(図示の例では下側の)袖孔136が異なっている。すなわち、図8に示すように、袖孔136は、段付きの袖孔ではあるが、上段と下段すなわち段部137と下端縁部139が傾斜面138でつながれている。より正確には、袖孔136の前側の下端縁部139から後方の段部137に向かって上る傾斜面138が形成されている。
【0039】
図7は平常時の態様を示しており、棚受け12の奥側の上下の係止片124がともに袖孔132,136の段部134,137(上段)に係止されて棚受け12および棚板11は略水平方向の姿勢を保っている。この場合も、平常時の態様において、棚板11の載置面111の手前側の高さよりも奥側の高さが僅かに低くなるように、予め僅かな傾斜を付けておいてもよい。
【0040】
図7に示す平常時の態様において地震が発生すると、前記第1の実施例と同様に、棚受け12が前後に移動し、前方に所定量移動したとき、奥側の二つの係止片124が袖孔132,136の段部134,137から脱落する。図9は、係止片124が袖孔132,136の段部134,137から脱落する途中の様子を示す。下側の係止片124は袖孔136の傾斜面138を滑り落ち、上側の係止片124は袖孔132の下端縁部135に向かって直接落下し、上記二つの係止片124は袖孔132,136の下端縁135,139(下段)で係止される。袖孔132,136の下端縁135,139は前側の袖孔123の下端縁133よりも低い位置にあるため、棚受け12及びこの棚受け12と実質一体の棚板11の載置面111が奥下がり(前上がり)に傾斜する。図10はこのようにして棚板11の載置面111が傾斜した様子を示す。
このようにして棚板11の載置面111が傾斜することによる効果は、第1の実施例による効果と同じである。
【0041】
この第2の実施例によれば、上記のように地震などの振動によって棚板11の載置面111が傾斜した場合、以下に述べるように、元の姿勢に戻すことが容易な構造になっている。上記のように棚板11の載置面111が傾斜した態様では、棚受け12とともに棚板11が手前側に移動している。そこで、棚板11を奥の方に向かって押す。棚板11と一緒に棚受け12が後方に移動し、棚受け12の奥側の二つの係止片124のうち下側の係止片124が袖孔136の傾斜面138に摺接しながら傾斜面138にガイドされて係止片124の高さ位置が高くなる。そして、上記下側の係止片124が袖孔136の段部137の位置に至ると、この段部137に載って段部137で係止される。上側の係止片124も上側の袖孔132の段部134の高さ位置にまで至っているため、上側の係止片124も上側の袖孔132の段部134に係止される。このようにして、棚受け12は図7に示す元の位置に復帰し、棚板11はその載置面111がほぼ水平面になる。
【0042】
このように、第2の実施例によれば、地震などの震動によって傾斜した棚板11を、奥に向かって押し込むだけで元の水平な姿勢に戻すことができるため、棚板の復帰作業が簡単になる。
【0043】
なお、図7乃至図10に示す実施例では、棚受け12の奥側の二つの係止片124のうち一方の係止片124を係止する袖孔136にのみ上段と下段をつなぐ傾斜面138が形成されているが、もう一方の袖孔132にも傾斜面138を形成してもよい。すなわち、奥側の支柱13に形成される袖孔のすべてに上段と下段をつなぐ傾斜面を形成してもよい。こうすることによって、地震などの震動によって傾斜した棚板11の原位置への復帰操作を確実に行うことができる利点がある。
【0044】
また、地震などの震動によって傾斜した棚板11の原位置への復帰操作を容易にするために袖孔に形成する傾斜面は、図7乃至図10に示す実施例における傾斜面138とは逆向きにしてもよい。すなわち、奥側の支柱に形成される袖孔の前側に棚受け12の係止片を係止する段部を設け、この段部から奥側に向かって下がる傾斜面を設けてもよい。この構成によれば、棚受け12が支柱13に対して後方(奥方)に相対移動したとき上記係止片が上記段部から脱落して棚板11が傾斜する。傾斜した棚板11を原状に復帰させるには、棚板11を手前に引っ張ることになる。
【実施例3】
【0045】
図11乃至図14は第3の実施例を示す。前記第2の実施例は袖孔の傾斜面を棚受けの係止片が摺接しながら移動することによって棚板を容易に原状復帰させることができるように構成されていたが、この第3の実施例は、棚受けの係止片に傾斜を付けることによって地震などによって傾斜した棚板を容易に原状復帰させることができるようにしたものである。
【0046】
図11乃至図14において、前側の支柱13に形成されている袖孔131および奥側の支柱13に形成されている袖孔132は、前記第1の実施例における袖孔131,132と同様に形成されている。すなわち、前側の袖孔131は縦長の長方形状の孔であり、奥側の袖孔132は段部134を有する孔である。棚受け12の奥側の縁部の上下に折り曲げによって形成されている二つの係止片124,126がそれぞれ上下の袖孔132の段部134に係止され、棚受け12と実質一体の棚板11は、その載置面111がほぼ水平になるように支持されている。上記二つの係止片124,126のうち上側の係止片124は垂直方向の面をなすように折り曲げられているのに対し、下側の係止片126は前から奥に向かって高くなる向きの傾斜面になるように形成されている。
【0047】
図11、図12は上記のように二つの係止片124,126がそれぞれ上下の袖孔132の段部134に係止されて、棚板11の載置面111がほぼ水平になっている。この状態で地震などによって収納棚が振動すると、前述の実施例と同様に上記二つの係止片124,126が袖孔132の段部134(上段)から脱落し、袖孔132の下端縁部135(下段)によって係止される。図13は係止片124,126が袖孔132の段部134から脱落する途中の状態を、図14は袖孔132の下端縁部135によって係止されている状態を示す。係止片124,126が袖孔132の段部134から脱落した棚受け12および棚板11は奥側が手前側より低くなり、棚板11の載置面111は奥下がりに傾斜する。これにより、前記実施例と同様の収納物の落下防止効果および収納棚の転倒防止効果を得ることができる。
【0048】
傾斜した棚板11を原状の水平面をなす姿勢に復帰させるには、棚板11を奥の方に向かって押し込む。棚板11とともに棚受け12も奥の方に向かって押され、傾斜して形成されている係止片126が袖孔132の段部134とこの段部134の前端から下方に向かう垂直縁部とで形成される角に当接する。上記係止片126の奥方に向かう押圧力が上記当接点に加わることにより、係止片126を押し上げる分力が生じ、この分力で棚受け12の奥側が押し上げられる。係止片126が上記段部134に係止される高さ位置まで押し上げられると、上下の係止片124,126がともに段部134に係止され、棚板11が水平方向の姿勢をとる原位置に復帰する。
【0049】
奥側の支柱13の袖孔の段部は、上記実施例の前後方向反対側すなわち袖孔の前側に形成し、この段部の角に、上記実施例とは反対向きに傾斜して形成された棚受けの係止片が当接するようにしてもよい。この場合、棚板11とともに棚受け12を手前側に引くことにより上記角と係止片との当接点に上向きの分力を生じさせ、棚板11を押し上げる力にすることができる。
また、図11乃至図14に示す実施例では、棚受け12の奥側の係止片124,126のうち片方の係止片126のみが傾斜しているが、係止片124,126の両方を同じ向きに傾斜させてもよい。
【0050】
以上説明した第3の実施例においても、支持部材である棚受け12を係止する前後の支柱13のうち後ろ側の支柱13の袖孔132が段付きになっていて、この袖孔132の上段すなわち段部134で棚受け12の係止片124,126を係止するように構成されている。そして、段付きになっている後ろ側の支柱13の袖孔で係止される棚受け12の係止片126は前後方向に傾斜していて、上記係止片126が上記袖孔の下段すなわち下端縁部135にあるとき、上記棚受け12を前後方向に移動させることにより、上記係止片126が上記袖孔の段部134の角に摺動しながら上記袖孔の上段すなわち段部134に至るように構成されている。この実施例においても、地震などの震動によって傾斜した棚板11を、奥に向かって押し込みあるいは手前に引っ張るだけで元のほぼ水平の姿勢に戻すことができるため、棚板の復帰作業が簡単になる。
【実施例4】
【0051】
これまで説明してきた各実施例は、収納物を載せる棚板を左右の支持部材としての棚受けで支持する形式の収納棚であったが、本発明に係る技術思想は、オープンラックと称して、棚板を持たず、左右の支柱などで支持された左右一対の荷受けなどの支持部材で直接収納物を支持する形式の収納棚にも適用することができる。図17に示す実施例がそれである。図17において、収納棚の骨格をなす垂直部材としての支柱13、支持部材12の構成、および前後の支柱13による支持部材12の係止部の構成は、前記各実施例の構成のいずれかを選択して採用することができる。前述の各実施例と異なる点は、棚板がなく、左右一対の支持部材12の下部が水平方向に折り曲げられて形成された各支持部122によって、収納物20の左右の端部が直接支持されている点である。
【0052】
図17に示す実施例においても、地震によって収納棚が揺れると、支持部材12が支柱13に対して前後に移動し、段付きになっている支持部材12の奥側の係止部によって支持部材12は奥側が手前側よりも低くなる。一対の支持部材12が同期して奥側が低くなるように図示しない部材で一対の支持部材を繋いでもよいし、一体に成形してもよい。
【実施例5】
【0053】
収納棚の骨格をなす垂直部材は、これまで説明してきた実施例で用いられている支柱に限らず、例えば側板であってもよく、その素材は金属であってもよいし木材であってもよく、任意の素材を選択してよい。図18乃至図20に示す実施例は、木製の収納棚にも本発明の技術思想を適用可能な実施例である。図18に示すように、収納棚は左右両側に収納棚の骨格をなす側板23を有し、左右の側板23によって棚板21の左右両端が支持されている。左右の側板23の下端は底板と、上端は天板と連結されている。側板23による棚板21の支持構造の一例を図19に、別の例を図20に示す。
【0054】
図19に示す例と図20に示す例はいずれも、棚板21の左右の両端面に前後二つのピン211が設けられていて、これらのピン211が側板23に設けられたスリット状の孔に嵌っている。図19に示す例では、前側の孔231は水平方向に延びており、奥側の孔232は水平方向に延びるとともに前端が下方に向かって直角に折れ曲がった切れ込み233になっている。図19(a)は平常時の状態を示しており、前後の上記ピン211は孔231,232の後端部に位置し、棚板21はほぼ水平方向の姿勢を保って上記ピン211、孔231,232からなる係止部で係止されている。地震によって収納棚が振動すると、側板23に対して棚板21が前後に相対移動し、図19(b)に示すように奥側のピン211が孔233に続く切れ込み233に落ち込み、棚板21は奥側が手前側よりも低くなる。こうして、前述の実施例と同様に、棚板21上に載置されている収納物が間口面から落下することを防止することができる。
【0055】
図20に示す例は、図19に示す例において、奥側のピン211が嵌る孔の形状を以下のように変えたものである。図20において、奥側の孔234は、水平方向に延びた部分とその前端前端が下方に向かって直角に折れ曲がった切れ込み235を有するとともに、この切れ込み235の底(下段)から上記水平方向に延びた部分(上段)の長さ方向中央部に至る傾斜面136を有している。
【0056】
図20(a)は平常時の状態を示しており、前後の上記ピン211は孔231,234の後端部に位置し、棚板21はほぼ水平方向の姿勢を保って上記ピン211、孔231,234からなる係止部で係止されている。地震によって収納棚が振動すると、側板23に対して棚板21が前後に相対移動し、図20(b)に示すように奥側のピン211が孔234の傾斜面236を経て切れ込み235に落ち込み、棚板21は奥側が手前側よりも低くなる。こうして、前述の実施例と同様に、棚板21上に載置されている収納物が間口面から落下することを防止することができる。そして、傾斜した棚板21を原状の水平の姿勢に戻すには、棚板21を奥の方に向かって押し込む。すると、前後のピン211が孔231,234の後端に向かって移動し、奥側のピン211が孔234の傾斜面236に沿って孔234の下段から上段に至り、この孔の上段で係止される。このように、図20に示す例によれば、傾斜した棚板21を原状に復帰させることが容易である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、比較的簡単な構成でありながら、地震時の収納物品の落下や収納棚の転倒あるいは倒壊を防止することができるため、地震時に安全を確保することができる収納棚として需要が期待される。
また、載置面傾斜構造が機能した後の棚板の復帰を容易にした構造を備えたものは、例えば、図書館のような大量の収容物を所有する施設において、地震時の安全確保とともに、地震後の復帰が容易であるため、地震後の迅速な復帰が要求される施設や事業所などにおいて需要が期待される。
【符号の説明】
【0058】
10 収納棚
11 棚板
12 支持部材(棚受け)
13 支柱
111 載置面
123 係止片
124 係止片
131 袖孔
132 袖孔
134 段部
133 袖孔の下端縁部
135 袖孔の下端縁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納棚の骨格をなす垂直部材と、
上記垂直部材に係止されている支持部材と、を有し、
収納物の出し入れ口から見て左右の垂直部材に係止されている一対の支持部材を介して収納物が支持される収納棚であって、
上記支持部材は、振動によって上記垂直部材に対し収納物の出し入れ口から見て前後方向に移動可能であり、
上記垂直部材による上記支持部材の係止部は、上記支持部材が前後方向に移動したとき奥側が手前側よりも低くなるように段付きになっている収納棚。
【請求項2】
左右の垂直部材に係止されている一対の支持部材によって棚板が支持され、この棚板が収納物を載置する載置面を有している請求項1記載の収納棚。
【請求項3】
棚板は、支持部材とともに一体的に前後方向に移動可能に設けられている請求項2記載の収納棚。
【請求項4】
垂直部材は、前後及び左右にそれぞれ複数本立てられた支柱である請求項1、2または3記載の収納棚。
【請求項5】
奥行き方向前後に配置されている支柱間に支持部材が係止されている請求項4記載の収納棚。
【請求項6】
垂直部材による支持部材の係止部は、垂直部材に形成されている袖孔からなり、この袖孔は上記支持部材の前後方向への移動を許容する前後方向の幅を持っている請求項1乃至5のいずれかに記載の収納棚。
【請求項7】
支持部材を係止する前後の袖孔のうち後ろ側の袖孔が段付きになっていて、この袖孔の上段で支持部材の係止片を係止する請求項6記載の収納棚。
【請求項8】
段付きの袖孔は上段と下段が傾斜面でつながれていて、支持部材の係止片が上記袖孔の下段にあるとき支持部材を前後方向に移動させることにより上記係止片が上記傾斜面に摺動しながら上記袖孔の上段に至るように構成されている請求項7記載の収納棚。
【請求項9】
支持部材の係止片が袖孔の下段にあるとき支持部材を前後方向に移動させることにより、上記係止片が上記傾斜面に摺動しながら上記袖孔の上段に至るように構成されている請求項8記載の収納棚。
【請求項10】
一つの支持部材は前後にそれぞれ二つの係止片を上下に有し、後ろ側の上記二つの係止片を係止する少なくとも一つの袖孔が上段と下段をつなぐ傾斜面を有している請求項8または9記載の収納棚。
【請求項11】
段付きになっている後ろ側の袖孔で係止される支持部材の係止片は傾斜していて、上記係止片が上記袖孔の下段にあるとき上記支持部材を前後に移動させることにより上記係止片が上記袖孔の段部に摺動しながら上記袖孔の上段に至るように構成されている請求項7記載の収納棚。
【請求項12】
一つの支持部材は前後にそれぞれ二つの係止片を上下に有し、後ろ側の上記二つの係止片の少なくとも一つが傾斜している請求項11記載の収納棚。
【請求項13】
収納棚の骨格をなす垂直部材と、
収納物の出し入れ口から見て左右の垂直部材に係止されている棚板と、を有する収納棚であって、
上記棚板は、振動によって上記垂直部材に対し収納物の出し入れ口から見て前後方向に移動可能であり、
上記垂直部材による上記棚板の係止部は、上記棚板が前後方向に移動したとき奥側が手前側よりも低くなるように段付きになっている収納棚。
【請求項14】
上記垂直部材による上記棚板の係止部は、上記棚板の側端面の前後に設けられたピンと、これらの各ピンが嵌る上記垂直部材側に設けられた孔からなり、これらの孔は前後のスリット状の孔からなるとともに、奥側の上記孔の一端は下方に切れ込んでいて、この切れ込みに奥側の上記ピンが落ち込むことができるように段付きになっている請求項13記載の収納棚。
【請求項15】
奥側の孔は、スリット状の孔の長さ方向の途中から切れ込みの底につながる傾斜面になっていて、奥側のピンが上記切れ込みに落ち込んでいるとき棚板を前後に移動させることにより上記ピンが上記傾斜面に摺動しながら上記孔の上段に至るように構成されている請求項14記載の収納棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−245136(P2011−245136A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123281(P2010−123281)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000163833)金剛株式会社 (31)
【Fターム(参考)】