収納装置及び画像形成装置
【課題】装置本体に対するカセットの出し入れの操作性を向上させる。
【解決手段】装置本体側に、挿入カム面と引き出しカム面とが並列して形成されたカム部材31を設ける。また、カセット12a側に挿入カム面又は引き出しカム面と係合し、コイルスプリング34によりカム面に向けて付勢されたキャスタ35を設ける。また、キャスタ35の係合位置を、ボタンの操作により挿入カム面から引き出しカム面に切り替える切替手段32を設ける。カセット12aの挿入時には、キャスタ35と挿入カム面との係合に基づきカセット12aが自動的に引き込まれる。カセット12aの引き出し時には、ボタン操作によりキャスタ35の係合位置を切り替えることにより、キャスタ35を引き出しカム面に移動させ、キャスタ35と引き出しカム面との係合に基づきカセット12aが自動的に引き出される。
【解決手段】装置本体側に、挿入カム面と引き出しカム面とが並列して形成されたカム部材31を設ける。また、カセット12a側に挿入カム面又は引き出しカム面と係合し、コイルスプリング34によりカム面に向けて付勢されたキャスタ35を設ける。また、キャスタ35の係合位置を、ボタンの操作により挿入カム面から引き出しカム面に切り替える切替手段32を設ける。カセット12aの挿入時には、キャスタ35と挿入カム面との係合に基づきカセット12aが自動的に引き込まれる。カセット12aの引き出し時には、ボタン操作によりキャスタ35の係合位置を切り替えることにより、キャスタ35を引き出しカム面に移動させ、キャスタ35と引き出しカム面との係合に基づきカセット12aが自動的に引き出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に収納部を出し入れする収納装置、及び、このような収納装置を備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、収納部であるカセットに収納(積載)されたシートを順次画像形成部へ供給し、画像形成部においてシートへの画像形成を行っている。このようなカセットは、シートを充填する或はシートサイズを変更するために、ユーザの手作業により装置本体に出し入れされる。このとき、カセットが装置本体に対して所定の位置まで挿入されないと、搬送不良などが生じる可能性がある。このため、カセットを出し入れするためのシート給送装置として、カセットを装置本体に挿入する際に自動で所定の位置まで引き込む機能を備えたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された構造では、カセットにカムを設け、装置本体にコロを備えたアームと弾性部材とを設けている。そして、カセットを装置本体に挿入する際に、カセットの挿入方向上流に存在するカムの片面と当接したコロを、弾性部材でアームを介して付勢することにより、カセットを自動で引き込むようにしている。一方、カセットを引き出す際には、カセットの引き出し方向上流に存在するカムの他面と当接したコロを、弾性部材でアームを介して付勢することにより、カセットを自動で引き出すようにしている。
【0004】
また、所定の位置に挿入されたカセットをロックし、ボタン操作をすることによりこのロックを解除する構造も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−327823号公報
【特許文献2】特開2001−130758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された発明の場合、コロがカムの他面に当接するまでカセットを引き出さなくてはならず、操作性としては十分ではない。また、特許文献2に記載された構造の場合、ボタン操作をすることによりカセットが若干引き出されるが、カセットを自動で画像形成装置本体に引き込む構造は有していない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、装置本体に対するカセットなどの収納部の出し入れの操作性を向上させるべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装置本体に出し入れ自在に配置された収納部と、前記装置本体と前記収納部とのうちの一方に設けられ、前記収納部の出し入れ方向に沿って並列して形成された挿入カム面及び引き出しカム面と、前記装置本体と前記収納部とのうちの他方に、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に対し遠近動する方向に移動自在に設けられ、これらカム面と係合しつつ、これらカム面に対して前記出し入れ方向に移動可能な係合部材と、前記係合部材を、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に向けて付勢する付勢手段と、前記係合部材の係合位置を前記挿入カム面から前記引き出しカム面に切り替える切替手段と、前記切替手段を切り替えるための操作を行う操作部と、を備え、前記挿入カム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体に引き込むように傾斜した挿入傾斜面を有し、前記引き出しカム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体から押し出すように傾斜した引き出し傾斜面を有する、ことを特徴とする収納装置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収納部の出し入れの操作性を向上させられる。即ち、付勢手段により挿入カム面に向けて付勢された係合部材と挿入傾斜面との係合により、収納部が自動で引き込まれる。一方、収納部の引き出し時には、操作部を操作するだけで、係合部材の係合位置が切り替わり、付勢手段により引き出しカム面に向けて付勢された係合部材と引き出し傾斜面との係合により、収納部が自動で引き出される。このため、収納部の出し入れの操作性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を表した正面概略断面図。
【図2】本実施形態に係るシート給送装置の(A)は平面図、(B)は(A)の下方から見た図。
【図3】シート給送装置の一部を拡大して示す(A)は側面図、(B)は平面図、(C)は断面図。
【図4】カム部材のみを取り出して示す(A)は側面図、(B)は(A)の右方から見た図。
【図5】(A)はカム部材の斜視図、(B)は(A)の一部を拡大して示す図。
【図6】(A)はカム部材を図5と別方向から見た斜視図、(B)は(A)の一部を拡大して示す図。
【図7】(A)はカム部材を図5及び図6と別方向から見た斜視図、(B)は(A)の一部を拡大して示す図。
【図8】(A)はカム部材の側面図、(B)は(A)のイ−イ断面図。
【図9】カセットの挿入状態を示す斜視図。
【図10】(A)はカセットの挿入状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図11】カセットが挿入された状態を示す斜視図。
【図12】(A)はカセットが挿入された状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図13】ボタンを押した状態を示す斜視図。
【図14】(A)はボタンを押した状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図15】ボタンを押して係合部材の係合位置が切り替わった状態を示す斜視図。
【図16】カセットの引き出し状態を示す斜視図。
【図17】(A)はカセットの引き出し状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図18】カセットが引き出された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図1ないし図18を用いて説明する。まず、図1を用いて本実施形態の画像形成装置について説明する。
【0012】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、例えばパーソナルコンピュータなどの外部端末から送られてくる画像情報や原稿読み取りユニット24で取り込んだ画像情報に基づいて、画像形成部2で画像を形成する。画像形成部2は、像担持体である感光ドラム18、露光手段であるレーザ発光書込ユニット11、現像装置16などを備える。まず、画像情報が画像処理手段によって受信されると、その受信された画像情報は、レーザ発光書込ユニット11により光変調情報に変換され射出される。レーザ発光書込ユニット11から射出された光変調情報は、主走査方向(図1の表裏方向)に走査されながら、所定の電位に帯電された感光ドラム18上にスポット状に結像される。照射された光スポットは、主走査方向に往復走査されつつ、感光ドラム18が回転することによって、感光ドラム18上を副走査方向に移動する。これによって、感光ドラム18上に、画像情報に対応した静電潜像が形成される。そして、その感光ドラム18上の静電潜像を現像装置16でトナーにより現像する。これにより、感光ドラム18上にトナー像が形成される。現像装置16には、トナーボトルユニット16aから現像剤(トナー)が供給される。
【0013】
一方、画像形成装置1の装置本体10の下部側には、規定のサイズに裁断された記録紙等のシートを給送するシート給送装置(収納装置)12が配置されている。シート給送装置12は、箱状の収納部であるカセット12aを備える。カセット12aは、装置本体10に出し入れ自在に配置されている。図示の例では、図1の表裏方向に対して着脱自在となるように装置本体10に装着されている。このようなカセット12aには、図示を省略した適宜のサイズのシートを収納(積載)する。また、カセット12aの底部には支持板12bを設け、シートの積載方向(図1の上下方向)における最下面が、支持板12bにより支持されるようになっている。また、支持板12bは、給紙加圧バネ12cにより図1の上方に向かって付勢されている。これにより、シートが図1の上方に持ち上げられた状態に保持されるようになっている。
【0014】
また、カセット12aのシートが搬送される出口には、給紙ローラ12eが設けられている。そして、シートをカセット12aから給紙する場合には、給紙ローラ12eを回転させることにより、シートが1枚ずつ給紙通路14側に送り出される。給紙通路14には、一対のレジストローラ15a、15bが設けられており、搬送されたシートがレジストローラ15a、15bのニップ部に突き当たる。この状態で、適宜のタイミングをとってレジストローラ15a、15bを回転させ、シートを感光ドラム18と対面する転写領域に送り込み、感光ドラム18上に形成されたトナー像をシートに転写する。
【0015】
即ち、感光ドラム18の転写領域には、感光ドラム18の表面に接触するようにして接触転写体としての転写ローラ17が配置されている。この転写ローラ17には転写バイアスが印加され、その転写バイアスによって、感光ドラム18上に形成されたトナー像がシートに静電的に転写されるようになっている。
【0016】
トナー像が転写されたシートは、感光ドラム18の上方に配置された定着装置19に向かって搬送される。定着装置19には、加熱手段としての定着フィルム19aが環状をなすように配置されていると共に、その定着フィルム19aに対面する対向手段として加圧ローラ19bが配置されている。そして、定着フィルム19aと加圧ローラ19bとのニップ部における加圧・加熱作用に基づく定着作用によって、シート上のトナーが融解され、シート上にトナー像が固定され定着される。
【0017】
トナー像を固定されたシートは、定着装置19の出口部から装置上方側に配置された排紙部22に設けられた排紙通路20内に送り出される。そして、排紙通路20に設けられた排紙ローラ21の排出搬送作用によって、装置本体10の上方位置に設けられた排紙トレイ23上に排出される。
【0018】
[シート給送装置]
次に、シート給送装置12の構成について図2ないし図8を用いて説明する。シート給送装置12は、カセット12a、カム部材31、係合部材であるキャスタ35、付勢手段であるコイルスプリング34、切替手段32、操作部であるボタン36を備える。このうちのカセット12aは、装置本体10に出し入れ自在で、画像形成装置1の操作側である前面には外観面となる前カバー30が取り付けられている。この前カバー30には、カセット12aの引き出し動作を行う為のボタン36がスライド動作可能な状態で配置される。ボタン36の押圧面と反対側の面とカセット12aの枠体12fとの間には、ボタン36が非動作時には待機位置に付勢されるよう、ボタンバネ37が配置される。ボタン36は、後述するように、カセット12aの挿入方向(図2の上方向)に向けて押す方向に操作することにより、切替手段32を切り替える。また、ボタン36は前カバー30に対して脱落しないように支持されている。
【0019】
カム部材31は、装置本体10のカセット12aに隣接する位置に設けられ、カセット12aと対向する面には、図4ないし図8に示すように、カセット12aの出し入れ方向に沿って並列して挿入カム面50及び引き出しカム面60を形成している。これら挿入カム面50と引き出しカム面60とは、装置本体10の設置状態で、挿入カム面50が下側に、引き出しカム面60が上側になるように、互いに隣接して配置されている。また、挿入カム面50の挿入方向{図4(A)の左方向}下流端と引き出しカム面60のカセット12aの引き出し方向{図2の下方向、図4(A)の右方向}上流端との間に、切替カム面70を形成している。
【0020】
また、挿入カム面50の挿入方向上流端部にキャスタ35が通過可能な開口50aが形成されている。一方、引き出しカム面60の引き出し方向に沿って延長した下流端部には、挿入カム面50の挿入方向上流端部に形成した開口50aのような開口が形成されていない。このために、引き出しカム面60の引き出し方向下流端部は、挿入カム面50の第1の傾斜面51に合流部80で合流するようにしている。
【0021】
また、カム部材31の挿入カム面50と引き出しカム面60との間には、切替カム面70が形成される部分、及び、合流部80を除いて仕切り壁81を形成している。そして、キャスタ35が挿入カム面50と引き出しカム面60との一方を移動中に他方にずれないようにしている。また、カム部材31は、各カム面50、60、70の周囲に外壁82を有し、キャスタ35が外壁82と仕切り壁81との間を移動するようにしている。
【0022】
キャスタ35は、図3に示すように、カセット12aとカム部材31との間に配置され、挿入カム面50又は引き出しカム面60に対し遠近動する方向{図2の左右方向、図3(B)(C)の上下方向}に移動自在に設けられている。このようなキャスタ35は、カセット12a側の挿入方向下流端に設けられ、図3に示すように、杆状部35aの先端に回転部材であるボール35bを回転自在に支持したものである。杆状部35aは、先端部に保持部35cを、基端部に鍔部35dを設けている。保持部35cは、内部にボール35bの直径よりも僅かに大きな球形の一部を切断した形状の凹入部を有し、凹入部の開口部をボール35bの直径よりも小さくしている。そして、保持部35c内にボール35bを保持すると共に、ボール35bの一部を保持部35cの開口部から突出させている。これにより、ボール35bを360°自由回転が可能に支持すると共に、ボール35bが抜け落ちるのを防止している。
【0023】
また、切替手段32は、上述の切替カム面70と、ボタン36の操作によりキャスタ35を切替カム面70に沿って移動させる移動手段32aと、を有する。移動手段32aは、キャスタ35を支持する支持部材33と、ボタン36と支持部材33との間に配置されるスライド部材33aと、を有する。スライド部材33aは、カセット12aに対し挿入方向に沿って移動自在に設けられ、一端部(挿入方向上流端部、図2(A)の下端部)を直角に折り曲げた板状の部材により構成している。そして、この折り曲げ部33bの片面をボタン36に連結(当接)させると共に、他面をボタンバネ37に当接させて、ボタンバネ37の付勢力によりボタン36と共にスライド部材33aが移動するようにしている。なお、スライド部材33aの移動は、挿入方向に関してはボタンバネ37と枠体12fにより、引き出し方向に関してはボタン36の移動が前カバー30に阻止されることにより、それぞれ規制され、規制された状態でカセット12aと共に移動する。
【0024】
また、スライド部材33aの他端部(挿入方向下流端部、図2(A)の上端部)には、支持部材33の基端部を揺動軸33eを中心として揺動自在に支持している。支持部材33は、スライド部材33aよりも短い板状に形成され、先端部にキャスタ35をカセット12aの引き出し方向に直交する方向に移動自在に支持している。このために支持部材33の先端部に段付きの貫通孔33cを形成し、この貫通孔33cにキャスタ35の杆状部35aを挿通し、鍔部35dが段差面33dに当接して、カム面50、60、70に向かう方向のキャスタ35の移動を規制している。
【0025】
また、キャスタ35の杆状部35aの周囲には、コイルスプリング34が配置されている。このようなコイルスプリング34は、杆状部35aの先端寄り部分に固設された円板部35eと支持部材33との間に配置され、キャスタ35をカム面50、60、70に向けて付勢している。このようにコイルスプリング34により付勢されるキャスタ35は、カム面50、60、70の何れかのカム面に係合する。そして、キャスタ35は、挿入カム面50又は引き出しカム面60と係合しつつ、カセット12aと共にカセット12aの出し入れ方向に移動する。本実施形態の場合、ボール35bがカム面上を回転することにより、キャスタ35がカム面と係合しつつ移動する。
【0026】
次に、このようなカム面の具体的な形状について説明する。まず、挿入カム面50は、カセット12aの挿入方向上流から順に、第1の傾斜面51、平坦面52、挿入傾斜面である第2の傾斜面53を有する。このうちの第1の傾斜面51は、挿入方向上流から下流(図4の右から左)に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向(図2の右方向)と反対方向に傾斜している。言い換えれば、挿入方向上流から下流に向かう程、カセット12aとの間隔が狭くなるように形成されている。また、第2の傾斜面53は、コイルスプリング34により付勢されたキャスタ35との係合に基づき、カセット12aを装置本体10に引き込むように傾斜している。具体的には、第2の傾斜面53は、第1の傾斜面51よりも挿入方向下流に位置し、挿入方向下流に向かう程、付勢方向に傾斜している。言い換えれば、挿入方向下流に向かう程、カセット12aとの間隔が広くなるように形成されている。
【0027】
また、第1の傾斜面51と第2の傾斜面53との間には、カセット12aの引き出し方向と平行で、これら両傾斜面51、53を連続させる平坦面52が形成されている。このような平坦面52を設けることにより、後述するように、キャスタ35が挿入カム面50と係合しつつ移動する場合に、第1の傾斜面51から第2の傾斜面53に滑らかに移動させられる。また、第2の傾斜面53の挿入方向下流側には、カセット12aの出し入れ方向と平行な平坦面54が形成されている。この平坦面54は、カセット12aが装置本体10に装着された状態でキャスタ35が位置する部分である。
【0028】
また、引き出しカム面60は、引き出し傾斜面である第3の傾斜面62を有する。第3の傾斜面62は、コイルスプリング34により付勢されたキャスタ35との係合に基づき、カセット12aを装置本体10から押し出すように傾斜している。具体的には、第3の傾斜面62は、引き出し方向上流から下流(図4の左から右)に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向に傾斜している。言い換えれば、引き出し方向上流から下流に向かう程、カセット12aとの間隔が広くなるように形成されている。
【0029】
また、第3の傾斜面62の引き出し方向上流には、平坦面61がカセット12aの出し入れ方向と平行に、第3の傾斜面62と連続するように形成されている。また、第3の傾斜面62の引き出し方向下流に延長した部分には案内面63を立設している。この案内面63は、引き出し方向下流に向かう程、第1の傾斜面51側に向かう方向に傾斜している。第3の傾斜面62に沿って移動したキャスタ35は、案内面63により合流部80に案内され、第1の傾斜面51に到達する。
【0030】
また、切替カム面70は、ボタン36の操作によりキャスタ35が移動する方向に関し、上流から順に第4の傾斜面71、第5の傾斜面72を有する。このうちの第4の傾斜面71は、キャスタ35が移動する方向に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向と反対方向に傾斜している。このような第4の傾斜面71は、図4及び図5に示すように、カセット12aの引き出し方向に対しても傾斜するように形成されている。挿入カム面50の挿入方向下流には、外壁82の一部でこの挿入方向に対して傾斜した傾斜壁82aが形成されている。この傾斜壁82aは、仮にキャスタ35が傾斜壁82aと当接するまで移動した場合に、この傾斜壁82aに沿ってキャスタ35が切替カム面70を移動するように案内する。第4の傾斜面71は、この傾斜壁82aの内側面に沿って形成されている。
【0031】
また、第5の傾斜面72は、図4及び図6に示すように、第4の傾斜面71のキャスタ35の移動方向下流に、引き出しカム面60に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向に傾斜している。キャスタ35は、ボタン36の操作によりスライド部材33aが挿入方向に移動することにより、第4の傾斜面71に沿って移動する。そして、第4の傾斜面71を超えて第5の傾斜面72に到達すると、コイルスプリング34に付勢されたキャスタ35が第5の傾斜面72の傾斜方向に沿って移動しようとする。この際、キャスタ35を支持する支持部材33がスライド部材33aに対して揺動することにより、キャスタ35が第5の傾斜面72に沿って移動することを許容する。言い換えれば、ボタン36の操作によりスライド部材33aを介してキャスタ35を第5の傾斜面72に達するまで移動させれば、キャスタ35が第5の傾斜面72に沿って移動することになる。キャスタ35は、第5の傾斜面72を超えると引き出しカム面60の引き出し方向上流の平坦面61に到達する。
【0032】
また、本実施形態の場合、挿入カム面50と切替カム面70との間に、第1の段差90を形成している。第1の段差90は、図7に示すように、切替カム面側がコイルスプリング34の付勢方向に存在するように形成されている。図示の例では、挿入カム面50の第2の傾斜面53と平坦面54との間に第1の段差90が形成されている。このように第1の段差90を設けることにより、挿入カム面50を移動して平坦面54に到達したキャスタ35が挿入カム面50側に移動しにくくして、カセット12aの装着状態の位置決めを図っている。
【0033】
また、切替カム面70と引き出しカム面60とに間に、第2の段差91を形成している。第2の段差91は、図6に示すように、引き出しカム面側がコイルスプリング34の付勢方向に存在するように形成されている。図示の例では、切替カム面70の第5の傾斜面72と平坦面61との間に第2の段差91が形成されている。このように第2の段差91を設けることにより、切替カム面70を移動して平坦面61に到達したキャスタ35が切替カム面70側に移動しにくくしている。
【0034】
また、引き出しカム面60が挿入カム面50の第1の傾斜面51に合流する合流部80に、第3の段差92を形成している。第3の段差92は、図5に示すように、挿入カム面50側がコイルスプリング34の付勢方向に存在するように形成されている。このように第3の段差92を設けることにより、引き出しカム面60を移動して第1の傾斜面51に到達したキャスタ35が引き出しカム面60側に移動しにくくしている。なお、切替カム面70から、引き出しカム面60、合流部80及び第1の傾斜面51を通じて開口50aに到達するまでの各部の位置関係は、図8に示すように構成される。
【0035】
本実施形態では、このように、カム部材31にキャスタ35の進行方向に対し、上り或は下りの傾斜面、段差、平坦面を設け、これらキャスタ35が係合しつつ移動するように構成している。カセット12aを挿入して装置本体10に装着し、更に、カセット12aを装置本体10から引き出す場合、キャスタ35は、次のように移動する。まず、挿入する場合には、第1の傾斜面51(上り斜面)→平坦面52→第2の傾斜面53(下り斜面)→第1の段差90(下り段差)→平坦面54となる。次に、引き出す場合には、平坦面54→第4の傾斜面71(上り斜面)→第5の傾斜面72(下り斜面)→第2の段差91(下り段差)→平坦面61→第3の傾斜面62(下り斜面)→第3の段差92(下り段差)→第1の傾斜面51(下り斜面)の中間位置となる。なお、上記動作説明における上とは、図4(A)における紙面表裏方向表側に向かう方向を言い、下とは、同じく裏側に向かう方向を言う。
【0036】
更に、引き出し時に、第1の傾斜面51に移動したキャスタ35が、第1の傾斜面51に沿って移動し、開口50aを通過することにより、カセット12aを装置本体10から取り外すことができる。
【0037】
[動作説明]
次に、上述ようなカセット12aの挿入、引き出し動作について、図9ないし図18を用いて説明する。まず、カセット12aを装置本体10に挿入する際には、開口50aを通じてキャスタ35を挿入カム面50内に配置する。なお、開口50aの装置本体10の設置状態で上側には、キャスタ35を開口50aに案内するための傾斜面である案内面50bを形成している。この状態で、図9及び図10に示すように、キャスタ35が第1の傾斜面51を超えるまでカセット12aを挿入する。すると、キャスタ35と第2の傾斜面53との係合に基づき、カセット12aが装置本体10内に自動的に引き込まれ、図11及び図12に示すように、キャスタ35が平坦面54に位置する。この状態で、カセット12aの装置本体10への装着が完了する。
【0038】
次に、カセット12aを装置本体10から引き出す場合には、ボタン36を押してキャスタ35を平坦面54から切替カム面70に移動させる。この際、図13及び図14に示すように、キャスタ35が第4の傾斜面71に沿って移動し、第5の傾斜面との係合に基づき、図14に矢印で示すように回動する。そして、図15に示すように、キャスタ35が平坦面61に移動する。その後、ボタン36の押し込みを解除すると、図16及び図17に示すように、ボタンバネ37の付勢力に基づき、スライド部材33aを介してキャスタ35が引き出しカム面60に移動する。そして、キャスタ35と第3の傾斜面62との係合に基づき、カセット12aが装置本体10から自動的に引き出される。キャスタ35が合流部80まで移動すると、図18に示すように、キャスタ35が引き出しカム面60から挿入カム面50の第1の傾斜面51の中間位置に到達し、カセット12aを装置本体10から取り外し可能となる。
【0039】
本実施形態によれば、装置本体10に対するカセット12aの出し入れの操作性を向上させることができる。即ち、カセット12aの挿入時には、キャスタ35が挿入カム面50の第2の傾斜面(挿入傾斜面)53に到達するまでカセット12aを押し込む。すると、コイルスプリング34により挿入カム面50に向けて付勢されたキャスタ35と第2の傾斜面53との係合により、カセット12aが自動で引き込まれる。一方、カセット12aの引き出し時には、ボタン36を操作するだけで、カセット12aの係合位置が平坦面54から引き出しカム面60に切り替わる。すると、コイルスプリング34により引き出しカム面60に向けて付勢されたキャスタ35と第3の傾斜面62との係合により、カセット12aが自動で引き出される。このため、カセット12aの出し入れの操作性が良好である。
【0040】
また、本実施形態の場合、カセット12aを引き出す際には、ボタン36を押し込む動作を行う。これに対して、カセットを引き出す際に引っ張り動作を行う場合、引っ張るための手掛かりが必要になる。このように操作のための手掛かりが必要であると、例えば障害者にとって扱いにくくなる可能性がある。一方、押す動作の場合、手掛かりを掴んで引っ張る動作よりも単純で、例えば障害者でも操作し易い。本実施形態の場合、ボタン36を押し込むことにより、上述したようにカセット12aが引き出されるため、障害者であっても操作がし易い。
【0041】
また、本実施形態の場合、カム部材31にキャスタ35を挿入可能な開口50aが挿入カム面50側に設けられており、引き出しカム面60に直接挿入可能な開口を設けていない。このため、カセット12aを装置本体10に挿入する際に、キャスタ35が誤って引き出しカム面60側に挿入されることを防止でき、より操作性を良好にできる。
【0042】
[別の実施形態]
上述の実施形態では、カセット12a側にキャスタ35を、装置本体10側に挿入カム面50及び引き出しカム面60を設けた構造について説明した。但し、カセット12a側に挿入カム面及び引き出しカム面を、装置本体10側にキャスタ35を設けることもできる。この構造の場合、挿入カム面の第1の傾斜面及び第2の傾斜面を次のように構成する。即ち、第1の傾斜面は、カセット12aの挿入方向下流から上流に向かう程、コイルスプリングなどの付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜させる。また、挿入傾斜面となる第2の傾斜面は、第1の傾斜面よりも挿入方向上流に位置させ、カセット12aの挿入方向上流に向かう程、付勢手段による付勢方向に傾斜させる。また、引き出しカム面は、引き出し傾斜面となる第3の傾斜面を、カセット12aの引き出し方向下流から上流に向かう程、付勢手段による付勢方向に傾斜させる。
【0043】
また、キャスタ35は、装置本体10側のカセット12aの挿入方向上流端に設けることが好ましい。この場合、切替カム面は、挿入カム面の挿入方向上流端と引き出しカム面の引き出し方向下流端との間に形成される。また、引き出しカム面の引き出し方向上流端が、挿入カム面の第1の傾斜面に合流させるようにすれば、カセット12a側にキャスタ35を挿入するための開口を挿入カム面側にのみ形成できる。その他の構造及び作用は、上述の実施形態と同様である。
【0044】
なお、挿入カム面及び引き出しカム面は、装置本体10のカセット12aの側面と対向する面、或は、カセット12aの側面以外とすることもできる。例えば、カセット12aの引き出し入れ方向に平行にある面であれば、カセットの底面や、上面、或は、これに対向する装置本体10側の面とすることもできる。また、キャスタを設けた部分とカム面との位置関係は、互いに対向する以外の構成とすることもできる。例えば、カセット12aの側面から突出した支持部材の下方或は上方に移動可能にキャスタを支持し、この方向にキャスタを付勢する。この場合、カム面は、カセット12aの側面と交差する面となる。
【0045】
また、付勢手段は、上述のコイルスプリング以外に、例えば、板バネなどの弾性部材や、モータなどの動力を用いた構造でも良い。また、係合部材は、上述のようなボールを用いたキャスタ以外に、摺動性の良い材料で形成され回転しないものであっても良いし、その他、カム面と係合しつつ移動可能な構造であれば適用可能である。また、切替手段を切り替える操作部は、上述のようなボタン36以外に、例えば、レバーなど回転する部材とすることもできる。また、切替手段として、操作部の操作に連動して係合部材の位置を切り替えられれば、その他の機構を適用できる。例えば、レバーなどの回転部材の回転により揺動する揺動部材や、更には、ボタンや回転部材の操作に連動して動くリンク機構なども適用可能である。更に、本発明の収納装置は、上述のシート給送装置以外に、収納部を引き出し入れする機構が存在するものであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・画像形成装置、10・・・装置本体、12・・・シート給送装置(収納装置)、12a・・・カセット(収納部)、32・・・切替手段、32a・・・移動手段、34・・・コイルスプリング(付勢手段)、35・・・キャスタ(係合部材)、36・・・ボタン(操作部)、50・・・挿入カム面、51・・・第1の傾斜面、53・・・第2の傾斜面(挿入傾斜面)、60・・・引き出しカム面、62・・・第3の傾斜面(引き出し傾斜面)、70・・・切替カム面、71・・・第4の傾斜面、80・・・合流部、90・・・第1の段差、91・・・第2の段差
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に収納部を出し入れする収納装置、及び、このような収納装置を備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、収納部であるカセットに収納(積載)されたシートを順次画像形成部へ供給し、画像形成部においてシートへの画像形成を行っている。このようなカセットは、シートを充填する或はシートサイズを変更するために、ユーザの手作業により装置本体に出し入れされる。このとき、カセットが装置本体に対して所定の位置まで挿入されないと、搬送不良などが生じる可能性がある。このため、カセットを出し入れするためのシート給送装置として、カセットを装置本体に挿入する際に自動で所定の位置まで引き込む機能を備えたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された構造では、カセットにカムを設け、装置本体にコロを備えたアームと弾性部材とを設けている。そして、カセットを装置本体に挿入する際に、カセットの挿入方向上流に存在するカムの片面と当接したコロを、弾性部材でアームを介して付勢することにより、カセットを自動で引き込むようにしている。一方、カセットを引き出す際には、カセットの引き出し方向上流に存在するカムの他面と当接したコロを、弾性部材でアームを介して付勢することにより、カセットを自動で引き出すようにしている。
【0004】
また、所定の位置に挿入されたカセットをロックし、ボタン操作をすることによりこのロックを解除する構造も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−327823号公報
【特許文献2】特開2001−130758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された発明の場合、コロがカムの他面に当接するまでカセットを引き出さなくてはならず、操作性としては十分ではない。また、特許文献2に記載された構造の場合、ボタン操作をすることによりカセットが若干引き出されるが、カセットを自動で画像形成装置本体に引き込む構造は有していない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、装置本体に対するカセットなどの収納部の出し入れの操作性を向上させるべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装置本体に出し入れ自在に配置された収納部と、前記装置本体と前記収納部とのうちの一方に設けられ、前記収納部の出し入れ方向に沿って並列して形成された挿入カム面及び引き出しカム面と、前記装置本体と前記収納部とのうちの他方に、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に対し遠近動する方向に移動自在に設けられ、これらカム面と係合しつつ、これらカム面に対して前記出し入れ方向に移動可能な係合部材と、前記係合部材を、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に向けて付勢する付勢手段と、前記係合部材の係合位置を前記挿入カム面から前記引き出しカム面に切り替える切替手段と、前記切替手段を切り替えるための操作を行う操作部と、を備え、前記挿入カム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体に引き込むように傾斜した挿入傾斜面を有し、前記引き出しカム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体から押し出すように傾斜した引き出し傾斜面を有する、ことを特徴とする収納装置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収納部の出し入れの操作性を向上させられる。即ち、付勢手段により挿入カム面に向けて付勢された係合部材と挿入傾斜面との係合により、収納部が自動で引き込まれる。一方、収納部の引き出し時には、操作部を操作するだけで、係合部材の係合位置が切り替わり、付勢手段により引き出しカム面に向けて付勢された係合部材と引き出し傾斜面との係合により、収納部が自動で引き出される。このため、収納部の出し入れの操作性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を表した正面概略断面図。
【図2】本実施形態に係るシート給送装置の(A)は平面図、(B)は(A)の下方から見た図。
【図3】シート給送装置の一部を拡大して示す(A)は側面図、(B)は平面図、(C)は断面図。
【図4】カム部材のみを取り出して示す(A)は側面図、(B)は(A)の右方から見た図。
【図5】(A)はカム部材の斜視図、(B)は(A)の一部を拡大して示す図。
【図6】(A)はカム部材を図5と別方向から見た斜視図、(B)は(A)の一部を拡大して示す図。
【図7】(A)はカム部材を図5及び図6と別方向から見た斜視図、(B)は(A)の一部を拡大して示す図。
【図8】(A)はカム部材の側面図、(B)は(A)のイ−イ断面図。
【図9】カセットの挿入状態を示す斜視図。
【図10】(A)はカセットの挿入状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図11】カセットが挿入された状態を示す斜視図。
【図12】(A)はカセットが挿入された状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図13】ボタンを押した状態を示す斜視図。
【図14】(A)はボタンを押した状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図15】ボタンを押して係合部材の係合位置が切り替わった状態を示す斜視図。
【図16】カセットの引き出し状態を示す斜視図。
【図17】(A)はカセットの引き出し状態の一部切断平面図、(B)はカセットを省略して一部を(A)の下方から見た図。
【図18】カセットが引き出された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図1ないし図18を用いて説明する。まず、図1を用いて本実施形態の画像形成装置について説明する。
【0012】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、例えばパーソナルコンピュータなどの外部端末から送られてくる画像情報や原稿読み取りユニット24で取り込んだ画像情報に基づいて、画像形成部2で画像を形成する。画像形成部2は、像担持体である感光ドラム18、露光手段であるレーザ発光書込ユニット11、現像装置16などを備える。まず、画像情報が画像処理手段によって受信されると、その受信された画像情報は、レーザ発光書込ユニット11により光変調情報に変換され射出される。レーザ発光書込ユニット11から射出された光変調情報は、主走査方向(図1の表裏方向)に走査されながら、所定の電位に帯電された感光ドラム18上にスポット状に結像される。照射された光スポットは、主走査方向に往復走査されつつ、感光ドラム18が回転することによって、感光ドラム18上を副走査方向に移動する。これによって、感光ドラム18上に、画像情報に対応した静電潜像が形成される。そして、その感光ドラム18上の静電潜像を現像装置16でトナーにより現像する。これにより、感光ドラム18上にトナー像が形成される。現像装置16には、トナーボトルユニット16aから現像剤(トナー)が供給される。
【0013】
一方、画像形成装置1の装置本体10の下部側には、規定のサイズに裁断された記録紙等のシートを給送するシート給送装置(収納装置)12が配置されている。シート給送装置12は、箱状の収納部であるカセット12aを備える。カセット12aは、装置本体10に出し入れ自在に配置されている。図示の例では、図1の表裏方向に対して着脱自在となるように装置本体10に装着されている。このようなカセット12aには、図示を省略した適宜のサイズのシートを収納(積載)する。また、カセット12aの底部には支持板12bを設け、シートの積載方向(図1の上下方向)における最下面が、支持板12bにより支持されるようになっている。また、支持板12bは、給紙加圧バネ12cにより図1の上方に向かって付勢されている。これにより、シートが図1の上方に持ち上げられた状態に保持されるようになっている。
【0014】
また、カセット12aのシートが搬送される出口には、給紙ローラ12eが設けられている。そして、シートをカセット12aから給紙する場合には、給紙ローラ12eを回転させることにより、シートが1枚ずつ給紙通路14側に送り出される。給紙通路14には、一対のレジストローラ15a、15bが設けられており、搬送されたシートがレジストローラ15a、15bのニップ部に突き当たる。この状態で、適宜のタイミングをとってレジストローラ15a、15bを回転させ、シートを感光ドラム18と対面する転写領域に送り込み、感光ドラム18上に形成されたトナー像をシートに転写する。
【0015】
即ち、感光ドラム18の転写領域には、感光ドラム18の表面に接触するようにして接触転写体としての転写ローラ17が配置されている。この転写ローラ17には転写バイアスが印加され、その転写バイアスによって、感光ドラム18上に形成されたトナー像がシートに静電的に転写されるようになっている。
【0016】
トナー像が転写されたシートは、感光ドラム18の上方に配置された定着装置19に向かって搬送される。定着装置19には、加熱手段としての定着フィルム19aが環状をなすように配置されていると共に、その定着フィルム19aに対面する対向手段として加圧ローラ19bが配置されている。そして、定着フィルム19aと加圧ローラ19bとのニップ部における加圧・加熱作用に基づく定着作用によって、シート上のトナーが融解され、シート上にトナー像が固定され定着される。
【0017】
トナー像を固定されたシートは、定着装置19の出口部から装置上方側に配置された排紙部22に設けられた排紙通路20内に送り出される。そして、排紙通路20に設けられた排紙ローラ21の排出搬送作用によって、装置本体10の上方位置に設けられた排紙トレイ23上に排出される。
【0018】
[シート給送装置]
次に、シート給送装置12の構成について図2ないし図8を用いて説明する。シート給送装置12は、カセット12a、カム部材31、係合部材であるキャスタ35、付勢手段であるコイルスプリング34、切替手段32、操作部であるボタン36を備える。このうちのカセット12aは、装置本体10に出し入れ自在で、画像形成装置1の操作側である前面には外観面となる前カバー30が取り付けられている。この前カバー30には、カセット12aの引き出し動作を行う為のボタン36がスライド動作可能な状態で配置される。ボタン36の押圧面と反対側の面とカセット12aの枠体12fとの間には、ボタン36が非動作時には待機位置に付勢されるよう、ボタンバネ37が配置される。ボタン36は、後述するように、カセット12aの挿入方向(図2の上方向)に向けて押す方向に操作することにより、切替手段32を切り替える。また、ボタン36は前カバー30に対して脱落しないように支持されている。
【0019】
カム部材31は、装置本体10のカセット12aに隣接する位置に設けられ、カセット12aと対向する面には、図4ないし図8に示すように、カセット12aの出し入れ方向に沿って並列して挿入カム面50及び引き出しカム面60を形成している。これら挿入カム面50と引き出しカム面60とは、装置本体10の設置状態で、挿入カム面50が下側に、引き出しカム面60が上側になるように、互いに隣接して配置されている。また、挿入カム面50の挿入方向{図4(A)の左方向}下流端と引き出しカム面60のカセット12aの引き出し方向{図2の下方向、図4(A)の右方向}上流端との間に、切替カム面70を形成している。
【0020】
また、挿入カム面50の挿入方向上流端部にキャスタ35が通過可能な開口50aが形成されている。一方、引き出しカム面60の引き出し方向に沿って延長した下流端部には、挿入カム面50の挿入方向上流端部に形成した開口50aのような開口が形成されていない。このために、引き出しカム面60の引き出し方向下流端部は、挿入カム面50の第1の傾斜面51に合流部80で合流するようにしている。
【0021】
また、カム部材31の挿入カム面50と引き出しカム面60との間には、切替カム面70が形成される部分、及び、合流部80を除いて仕切り壁81を形成している。そして、キャスタ35が挿入カム面50と引き出しカム面60との一方を移動中に他方にずれないようにしている。また、カム部材31は、各カム面50、60、70の周囲に外壁82を有し、キャスタ35が外壁82と仕切り壁81との間を移動するようにしている。
【0022】
キャスタ35は、図3に示すように、カセット12aとカム部材31との間に配置され、挿入カム面50又は引き出しカム面60に対し遠近動する方向{図2の左右方向、図3(B)(C)の上下方向}に移動自在に設けられている。このようなキャスタ35は、カセット12a側の挿入方向下流端に設けられ、図3に示すように、杆状部35aの先端に回転部材であるボール35bを回転自在に支持したものである。杆状部35aは、先端部に保持部35cを、基端部に鍔部35dを設けている。保持部35cは、内部にボール35bの直径よりも僅かに大きな球形の一部を切断した形状の凹入部を有し、凹入部の開口部をボール35bの直径よりも小さくしている。そして、保持部35c内にボール35bを保持すると共に、ボール35bの一部を保持部35cの開口部から突出させている。これにより、ボール35bを360°自由回転が可能に支持すると共に、ボール35bが抜け落ちるのを防止している。
【0023】
また、切替手段32は、上述の切替カム面70と、ボタン36の操作によりキャスタ35を切替カム面70に沿って移動させる移動手段32aと、を有する。移動手段32aは、キャスタ35を支持する支持部材33と、ボタン36と支持部材33との間に配置されるスライド部材33aと、を有する。スライド部材33aは、カセット12aに対し挿入方向に沿って移動自在に設けられ、一端部(挿入方向上流端部、図2(A)の下端部)を直角に折り曲げた板状の部材により構成している。そして、この折り曲げ部33bの片面をボタン36に連結(当接)させると共に、他面をボタンバネ37に当接させて、ボタンバネ37の付勢力によりボタン36と共にスライド部材33aが移動するようにしている。なお、スライド部材33aの移動は、挿入方向に関してはボタンバネ37と枠体12fにより、引き出し方向に関してはボタン36の移動が前カバー30に阻止されることにより、それぞれ規制され、規制された状態でカセット12aと共に移動する。
【0024】
また、スライド部材33aの他端部(挿入方向下流端部、図2(A)の上端部)には、支持部材33の基端部を揺動軸33eを中心として揺動自在に支持している。支持部材33は、スライド部材33aよりも短い板状に形成され、先端部にキャスタ35をカセット12aの引き出し方向に直交する方向に移動自在に支持している。このために支持部材33の先端部に段付きの貫通孔33cを形成し、この貫通孔33cにキャスタ35の杆状部35aを挿通し、鍔部35dが段差面33dに当接して、カム面50、60、70に向かう方向のキャスタ35の移動を規制している。
【0025】
また、キャスタ35の杆状部35aの周囲には、コイルスプリング34が配置されている。このようなコイルスプリング34は、杆状部35aの先端寄り部分に固設された円板部35eと支持部材33との間に配置され、キャスタ35をカム面50、60、70に向けて付勢している。このようにコイルスプリング34により付勢されるキャスタ35は、カム面50、60、70の何れかのカム面に係合する。そして、キャスタ35は、挿入カム面50又は引き出しカム面60と係合しつつ、カセット12aと共にカセット12aの出し入れ方向に移動する。本実施形態の場合、ボール35bがカム面上を回転することにより、キャスタ35がカム面と係合しつつ移動する。
【0026】
次に、このようなカム面の具体的な形状について説明する。まず、挿入カム面50は、カセット12aの挿入方向上流から順に、第1の傾斜面51、平坦面52、挿入傾斜面である第2の傾斜面53を有する。このうちの第1の傾斜面51は、挿入方向上流から下流(図4の右から左)に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向(図2の右方向)と反対方向に傾斜している。言い換えれば、挿入方向上流から下流に向かう程、カセット12aとの間隔が狭くなるように形成されている。また、第2の傾斜面53は、コイルスプリング34により付勢されたキャスタ35との係合に基づき、カセット12aを装置本体10に引き込むように傾斜している。具体的には、第2の傾斜面53は、第1の傾斜面51よりも挿入方向下流に位置し、挿入方向下流に向かう程、付勢方向に傾斜している。言い換えれば、挿入方向下流に向かう程、カセット12aとの間隔が広くなるように形成されている。
【0027】
また、第1の傾斜面51と第2の傾斜面53との間には、カセット12aの引き出し方向と平行で、これら両傾斜面51、53を連続させる平坦面52が形成されている。このような平坦面52を設けることにより、後述するように、キャスタ35が挿入カム面50と係合しつつ移動する場合に、第1の傾斜面51から第2の傾斜面53に滑らかに移動させられる。また、第2の傾斜面53の挿入方向下流側には、カセット12aの出し入れ方向と平行な平坦面54が形成されている。この平坦面54は、カセット12aが装置本体10に装着された状態でキャスタ35が位置する部分である。
【0028】
また、引き出しカム面60は、引き出し傾斜面である第3の傾斜面62を有する。第3の傾斜面62は、コイルスプリング34により付勢されたキャスタ35との係合に基づき、カセット12aを装置本体10から押し出すように傾斜している。具体的には、第3の傾斜面62は、引き出し方向上流から下流(図4の左から右)に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向に傾斜している。言い換えれば、引き出し方向上流から下流に向かう程、カセット12aとの間隔が広くなるように形成されている。
【0029】
また、第3の傾斜面62の引き出し方向上流には、平坦面61がカセット12aの出し入れ方向と平行に、第3の傾斜面62と連続するように形成されている。また、第3の傾斜面62の引き出し方向下流に延長した部分には案内面63を立設している。この案内面63は、引き出し方向下流に向かう程、第1の傾斜面51側に向かう方向に傾斜している。第3の傾斜面62に沿って移動したキャスタ35は、案内面63により合流部80に案内され、第1の傾斜面51に到達する。
【0030】
また、切替カム面70は、ボタン36の操作によりキャスタ35が移動する方向に関し、上流から順に第4の傾斜面71、第5の傾斜面72を有する。このうちの第4の傾斜面71は、キャスタ35が移動する方向に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向と反対方向に傾斜している。このような第4の傾斜面71は、図4及び図5に示すように、カセット12aの引き出し方向に対しても傾斜するように形成されている。挿入カム面50の挿入方向下流には、外壁82の一部でこの挿入方向に対して傾斜した傾斜壁82aが形成されている。この傾斜壁82aは、仮にキャスタ35が傾斜壁82aと当接するまで移動した場合に、この傾斜壁82aに沿ってキャスタ35が切替カム面70を移動するように案内する。第4の傾斜面71は、この傾斜壁82aの内側面に沿って形成されている。
【0031】
また、第5の傾斜面72は、図4及び図6に示すように、第4の傾斜面71のキャスタ35の移動方向下流に、引き出しカム面60に向かう程、コイルスプリング34による付勢方向に傾斜している。キャスタ35は、ボタン36の操作によりスライド部材33aが挿入方向に移動することにより、第4の傾斜面71に沿って移動する。そして、第4の傾斜面71を超えて第5の傾斜面72に到達すると、コイルスプリング34に付勢されたキャスタ35が第5の傾斜面72の傾斜方向に沿って移動しようとする。この際、キャスタ35を支持する支持部材33がスライド部材33aに対して揺動することにより、キャスタ35が第5の傾斜面72に沿って移動することを許容する。言い換えれば、ボタン36の操作によりスライド部材33aを介してキャスタ35を第5の傾斜面72に達するまで移動させれば、キャスタ35が第5の傾斜面72に沿って移動することになる。キャスタ35は、第5の傾斜面72を超えると引き出しカム面60の引き出し方向上流の平坦面61に到達する。
【0032】
また、本実施形態の場合、挿入カム面50と切替カム面70との間に、第1の段差90を形成している。第1の段差90は、図7に示すように、切替カム面側がコイルスプリング34の付勢方向に存在するように形成されている。図示の例では、挿入カム面50の第2の傾斜面53と平坦面54との間に第1の段差90が形成されている。このように第1の段差90を設けることにより、挿入カム面50を移動して平坦面54に到達したキャスタ35が挿入カム面50側に移動しにくくして、カセット12aの装着状態の位置決めを図っている。
【0033】
また、切替カム面70と引き出しカム面60とに間に、第2の段差91を形成している。第2の段差91は、図6に示すように、引き出しカム面側がコイルスプリング34の付勢方向に存在するように形成されている。図示の例では、切替カム面70の第5の傾斜面72と平坦面61との間に第2の段差91が形成されている。このように第2の段差91を設けることにより、切替カム面70を移動して平坦面61に到達したキャスタ35が切替カム面70側に移動しにくくしている。
【0034】
また、引き出しカム面60が挿入カム面50の第1の傾斜面51に合流する合流部80に、第3の段差92を形成している。第3の段差92は、図5に示すように、挿入カム面50側がコイルスプリング34の付勢方向に存在するように形成されている。このように第3の段差92を設けることにより、引き出しカム面60を移動して第1の傾斜面51に到達したキャスタ35が引き出しカム面60側に移動しにくくしている。なお、切替カム面70から、引き出しカム面60、合流部80及び第1の傾斜面51を通じて開口50aに到達するまでの各部の位置関係は、図8に示すように構成される。
【0035】
本実施形態では、このように、カム部材31にキャスタ35の進行方向に対し、上り或は下りの傾斜面、段差、平坦面を設け、これらキャスタ35が係合しつつ移動するように構成している。カセット12aを挿入して装置本体10に装着し、更に、カセット12aを装置本体10から引き出す場合、キャスタ35は、次のように移動する。まず、挿入する場合には、第1の傾斜面51(上り斜面)→平坦面52→第2の傾斜面53(下り斜面)→第1の段差90(下り段差)→平坦面54となる。次に、引き出す場合には、平坦面54→第4の傾斜面71(上り斜面)→第5の傾斜面72(下り斜面)→第2の段差91(下り段差)→平坦面61→第3の傾斜面62(下り斜面)→第3の段差92(下り段差)→第1の傾斜面51(下り斜面)の中間位置となる。なお、上記動作説明における上とは、図4(A)における紙面表裏方向表側に向かう方向を言い、下とは、同じく裏側に向かう方向を言う。
【0036】
更に、引き出し時に、第1の傾斜面51に移動したキャスタ35が、第1の傾斜面51に沿って移動し、開口50aを通過することにより、カセット12aを装置本体10から取り外すことができる。
【0037】
[動作説明]
次に、上述ようなカセット12aの挿入、引き出し動作について、図9ないし図18を用いて説明する。まず、カセット12aを装置本体10に挿入する際には、開口50aを通じてキャスタ35を挿入カム面50内に配置する。なお、開口50aの装置本体10の設置状態で上側には、キャスタ35を開口50aに案内するための傾斜面である案内面50bを形成している。この状態で、図9及び図10に示すように、キャスタ35が第1の傾斜面51を超えるまでカセット12aを挿入する。すると、キャスタ35と第2の傾斜面53との係合に基づき、カセット12aが装置本体10内に自動的に引き込まれ、図11及び図12に示すように、キャスタ35が平坦面54に位置する。この状態で、カセット12aの装置本体10への装着が完了する。
【0038】
次に、カセット12aを装置本体10から引き出す場合には、ボタン36を押してキャスタ35を平坦面54から切替カム面70に移動させる。この際、図13及び図14に示すように、キャスタ35が第4の傾斜面71に沿って移動し、第5の傾斜面との係合に基づき、図14に矢印で示すように回動する。そして、図15に示すように、キャスタ35が平坦面61に移動する。その後、ボタン36の押し込みを解除すると、図16及び図17に示すように、ボタンバネ37の付勢力に基づき、スライド部材33aを介してキャスタ35が引き出しカム面60に移動する。そして、キャスタ35と第3の傾斜面62との係合に基づき、カセット12aが装置本体10から自動的に引き出される。キャスタ35が合流部80まで移動すると、図18に示すように、キャスタ35が引き出しカム面60から挿入カム面50の第1の傾斜面51の中間位置に到達し、カセット12aを装置本体10から取り外し可能となる。
【0039】
本実施形態によれば、装置本体10に対するカセット12aの出し入れの操作性を向上させることができる。即ち、カセット12aの挿入時には、キャスタ35が挿入カム面50の第2の傾斜面(挿入傾斜面)53に到達するまでカセット12aを押し込む。すると、コイルスプリング34により挿入カム面50に向けて付勢されたキャスタ35と第2の傾斜面53との係合により、カセット12aが自動で引き込まれる。一方、カセット12aの引き出し時には、ボタン36を操作するだけで、カセット12aの係合位置が平坦面54から引き出しカム面60に切り替わる。すると、コイルスプリング34により引き出しカム面60に向けて付勢されたキャスタ35と第3の傾斜面62との係合により、カセット12aが自動で引き出される。このため、カセット12aの出し入れの操作性が良好である。
【0040】
また、本実施形態の場合、カセット12aを引き出す際には、ボタン36を押し込む動作を行う。これに対して、カセットを引き出す際に引っ張り動作を行う場合、引っ張るための手掛かりが必要になる。このように操作のための手掛かりが必要であると、例えば障害者にとって扱いにくくなる可能性がある。一方、押す動作の場合、手掛かりを掴んで引っ張る動作よりも単純で、例えば障害者でも操作し易い。本実施形態の場合、ボタン36を押し込むことにより、上述したようにカセット12aが引き出されるため、障害者であっても操作がし易い。
【0041】
また、本実施形態の場合、カム部材31にキャスタ35を挿入可能な開口50aが挿入カム面50側に設けられており、引き出しカム面60に直接挿入可能な開口を設けていない。このため、カセット12aを装置本体10に挿入する際に、キャスタ35が誤って引き出しカム面60側に挿入されることを防止でき、より操作性を良好にできる。
【0042】
[別の実施形態]
上述の実施形態では、カセット12a側にキャスタ35を、装置本体10側に挿入カム面50及び引き出しカム面60を設けた構造について説明した。但し、カセット12a側に挿入カム面及び引き出しカム面を、装置本体10側にキャスタ35を設けることもできる。この構造の場合、挿入カム面の第1の傾斜面及び第2の傾斜面を次のように構成する。即ち、第1の傾斜面は、カセット12aの挿入方向下流から上流に向かう程、コイルスプリングなどの付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜させる。また、挿入傾斜面となる第2の傾斜面は、第1の傾斜面よりも挿入方向上流に位置させ、カセット12aの挿入方向上流に向かう程、付勢手段による付勢方向に傾斜させる。また、引き出しカム面は、引き出し傾斜面となる第3の傾斜面を、カセット12aの引き出し方向下流から上流に向かう程、付勢手段による付勢方向に傾斜させる。
【0043】
また、キャスタ35は、装置本体10側のカセット12aの挿入方向上流端に設けることが好ましい。この場合、切替カム面は、挿入カム面の挿入方向上流端と引き出しカム面の引き出し方向下流端との間に形成される。また、引き出しカム面の引き出し方向上流端が、挿入カム面の第1の傾斜面に合流させるようにすれば、カセット12a側にキャスタ35を挿入するための開口を挿入カム面側にのみ形成できる。その他の構造及び作用は、上述の実施形態と同様である。
【0044】
なお、挿入カム面及び引き出しカム面は、装置本体10のカセット12aの側面と対向する面、或は、カセット12aの側面以外とすることもできる。例えば、カセット12aの引き出し入れ方向に平行にある面であれば、カセットの底面や、上面、或は、これに対向する装置本体10側の面とすることもできる。また、キャスタを設けた部分とカム面との位置関係は、互いに対向する以外の構成とすることもできる。例えば、カセット12aの側面から突出した支持部材の下方或は上方に移動可能にキャスタを支持し、この方向にキャスタを付勢する。この場合、カム面は、カセット12aの側面と交差する面となる。
【0045】
また、付勢手段は、上述のコイルスプリング以外に、例えば、板バネなどの弾性部材や、モータなどの動力を用いた構造でも良い。また、係合部材は、上述のようなボールを用いたキャスタ以外に、摺動性の良い材料で形成され回転しないものであっても良いし、その他、カム面と係合しつつ移動可能な構造であれば適用可能である。また、切替手段を切り替える操作部は、上述のようなボタン36以外に、例えば、レバーなど回転する部材とすることもできる。また、切替手段として、操作部の操作に連動して係合部材の位置を切り替えられれば、その他の機構を適用できる。例えば、レバーなどの回転部材の回転により揺動する揺動部材や、更には、ボタンや回転部材の操作に連動して動くリンク機構なども適用可能である。更に、本発明の収納装置は、上述のシート給送装置以外に、収納部を引き出し入れする機構が存在するものであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・画像形成装置、10・・・装置本体、12・・・シート給送装置(収納装置)、12a・・・カセット(収納部)、32・・・切替手段、32a・・・移動手段、34・・・コイルスプリング(付勢手段)、35・・・キャスタ(係合部材)、36・・・ボタン(操作部)、50・・・挿入カム面、51・・・第1の傾斜面、53・・・第2の傾斜面(挿入傾斜面)、60・・・引き出しカム面、62・・・第3の傾斜面(引き出し傾斜面)、70・・・切替カム面、71・・・第4の傾斜面、80・・・合流部、90・・・第1の段差、91・・・第2の段差
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に出し入れ自在に配置された収納部と、
前記装置本体と前記収納部とのうちの一方に設けられ、前記収納部の出し入れ方向に沿って並列して形成された挿入カム面及び引き出しカム面と、
前記装置本体と前記収納部とのうちの他方に、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に対し遠近動する方向に移動自在に設けられ、これらカム面と係合しつつ、これらカム面に対して前記出し入れ方向に移動可能な係合部材と、
前記係合部材を、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に向けて付勢する付勢手段と、
前記係合部材の係合位置を前記挿入カム面から前記引き出しカム面に切り替える切替手段と、
前記切替手段を切り替えるための操作を行う操作部と、を備え、
前記挿入カム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体に引き込むように傾斜した挿入傾斜面を有し、
前記引き出しカム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体から押し出すように傾斜した引き出し傾斜面を有する、
ことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記挿入カム面および引き出しカム面が前記装置本体に、前記係合部材が前記収納部に、それぞれ設けられ、
前記挿入カム面は、前記収納部の挿入方向上流から下流に向かう程、前記付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記挿入方向下流に位置し、前記挿入方向下流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第2の傾斜面とを有し、
前記引き出しカム面は、前記収納部の引き出し方向上流から下流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第3の傾斜面を有し、
前記挿入傾斜面が前記第2の傾斜面で、前記引き出し傾斜面が前記第3の傾斜面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記挿入カム面および引き出しカム面が前記収納部に、前記係合部材が前記装置本体に、それぞれ設けられ、
前記挿入カム面は、前記収納部の挿入方向下流から上流に向かう程、前記付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記挿入方向上流に位置し、前記挿入方向上流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第2の傾斜面とを有し、
前記引き出しカム面は、前記収納部の引き出し方向下流から上流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第3の傾斜面を有し、
前記挿入傾斜面が前記第2の傾斜面で、前記引き出し傾斜面が前記第3の傾斜面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記挿入方向に向けて押す方向に操作することにより、前記切替手段を切り替える、
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記挿入カム面と前記引き出しカム面との間に形成され、前記係合部材が係合しつつ移動可能な切替カム面と、前記操作部の操作により、前記係合部材を前記切替カム面に沿って移動させる移動手段と、を有し、
前記切替カム面は、前記操作部の操作により前記係合部材が移動する方向に向かう程、前記付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜した第4の傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の収納装置。
【請求項6】
前記挿入カム面と前記切替カム面との間に前記切替カム面側が前記付勢方向に存在するように第1の段差が、前記切替カム面と前記引き出しカム面との間に前記引き出しカム面側が前記付勢方向に存在するように第2の段差が、それぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の収納装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部を有する装置本体と、シートを収納する収納部を前記装置本体に出し入れ自在としたシート給送装置と、を備えた画像形成装置において、
前記シート給送装置が、請求項1ないし6のうちの何れか1項に記載の収納装置である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
装置本体に出し入れ自在に配置された収納部と、
前記装置本体と前記収納部とのうちの一方に設けられ、前記収納部の出し入れ方向に沿って並列して形成された挿入カム面及び引き出しカム面と、
前記装置本体と前記収納部とのうちの他方に、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に対し遠近動する方向に移動自在に設けられ、これらカム面と係合しつつ、これらカム面に対して前記出し入れ方向に移動可能な係合部材と、
前記係合部材を、前記挿入カム面又は前記引き出しカム面に向けて付勢する付勢手段と、
前記係合部材の係合位置を前記挿入カム面から前記引き出しカム面に切り替える切替手段と、
前記切替手段を切り替えるための操作を行う操作部と、を備え、
前記挿入カム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体に引き込むように傾斜した挿入傾斜面を有し、
前記引き出しカム面は、前記付勢手段により付勢された前記係合部材との係合に基づき、前記収納部を前記装置本体から押し出すように傾斜した引き出し傾斜面を有する、
ことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記挿入カム面および引き出しカム面が前記装置本体に、前記係合部材が前記収納部に、それぞれ設けられ、
前記挿入カム面は、前記収納部の挿入方向上流から下流に向かう程、前記付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記挿入方向下流に位置し、前記挿入方向下流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第2の傾斜面とを有し、
前記引き出しカム面は、前記収納部の引き出し方向上流から下流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第3の傾斜面を有し、
前記挿入傾斜面が前記第2の傾斜面で、前記引き出し傾斜面が前記第3の傾斜面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記挿入カム面および引き出しカム面が前記収納部に、前記係合部材が前記装置本体に、それぞれ設けられ、
前記挿入カム面は、前記収納部の挿入方向下流から上流に向かう程、前記付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜した第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記挿入方向上流に位置し、前記挿入方向上流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第2の傾斜面とを有し、
前記引き出しカム面は、前記収納部の引き出し方向下流から上流に向かう程、前記付勢方向に傾斜した第3の傾斜面を有し、
前記挿入傾斜面が前記第2の傾斜面で、前記引き出し傾斜面が前記第3の傾斜面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記挿入方向に向けて押す方向に操作することにより、前記切替手段を切り替える、
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記挿入カム面と前記引き出しカム面との間に形成され、前記係合部材が係合しつつ移動可能な切替カム面と、前記操作部の操作により、前記係合部材を前記切替カム面に沿って移動させる移動手段と、を有し、
前記切替カム面は、前記操作部の操作により前記係合部材が移動する方向に向かう程、前記付勢手段による付勢方向と反対方向に傾斜した第4の傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の収納装置。
【請求項6】
前記挿入カム面と前記切替カム面との間に前記切替カム面側が前記付勢方向に存在するように第1の段差が、前記切替カム面と前記引き出しカム面との間に前記引き出しカム面側が前記付勢方向に存在するように第2の段差が、それぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の収納装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部を有する装置本体と、シートを収納する収納部を前記装置本体に出し入れ自在としたシート給送装置と、を備えた画像形成装置において、
前記シート給送装置が、請求項1ないし6のうちの何れか1項に記載の収納装置である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−1326(P2012−1326A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138486(P2010−138486)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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