説明

取り出し口付きカートン

【課題】板ガム、シート状食品等の板状物品を指一本でスライドさせるだけで、確実に一枚ずつ取り出しが可能な取り出し口付きカートンを提供すること。
【解決手段】左右の側面板(10、30)の上部端縁に連設された舌片(11、31)を山折りし、背面板(40)に連設された天蓋(41)を山折りし、傾斜片(42)を山折りし、接着片(43)を谷折りして天蓋(41)を背面板(40)に対して90°になるように接着片(43)を背面板(40)に貼着したカートンであって、収納される板状物品(2)の一枚の厚さをh、左側面板(10)と右側面版(30)の高さをA1 、天蓋(41)の高さをA2 とした時、天蓋(41)の長さはA2 、傾斜片(42)の長さはA2 +√2であり、A1 =h+A2 である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚重ねて収納されたシート状食品、板ガム等の板状物品を一枚ずつ取り出すことができる取り出し口付きカートンに関するものであり、特には片手でワンタッチで確実に取り出せるようにした取り出し口付きカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状食品、板ガム、救急絆創膏等の板状物品が複数枚重ねて収納された収納箱から一枚ずつ取り出す方法には、収納箱の蓋を開けて一枚ずつ取り出したり、収納箱の蓋を開けずに、底から板状物品を持ち上げながら上側を指等でスライドさせて取り出す方法があった。
【0003】
しかし、これらの方法は、いずれも少なくとも指を二本使用する必要があり、慣れが必要であったり煩雑であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シート状食品、板ガム、救急絆創膏等の板状物品を複数枚重ねて収納した包装箱に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、指一本で板状物品をスライドするだけで確実に一枚ずつの取り出しが可能な取り出し口付きカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の発明は、左側面板、正面板、右側面板、背面板、糊代片が折り曲げ線を介して順次連設され、前記糊代片が左側面板に貼着され、下部が底板により閉鎖されたカートンであって、正面板には窓孔が設けられ、前記カートンの上部は、左側面板と右側面板の上部端縁には折り曲げ線を介してそれぞれ舌片が左右側面板の正面板との境界から収納される板状物品の一枚の厚さ分の距離を隔てて連設され、背面板の上部端縁にはそれぞれ折り曲げ線を介して天蓋、傾斜片、接着片が順次連設され、た構成からなり、左右の側面板の上端縁に連設された舌片を折り曲げ線に沿って山折りし、背面板に連設されている天蓋を山折りし、傾斜片を山折りし、接着片を谷折りして天蓋を背面板に対して90°の角度になるように接着片を背面板に貼着したカートンであって、収納される板状物品の一枚の厚さをh、左側面板と右側面板の高さをA1 、天蓋の高さをA2 とした時、天蓋の長さはA2 、傾斜片の長さはA2 ×√2であり、A1 = h + A2 であることを特徴とする、取り出し口付きカートンである。
【0006】
このように請求項1記載の発明によれば、左右の側面板の上端縁に連設された舌片を折り曲げ線に沿って山折りし、背面板に連設されている天蓋を山折りし、傾斜片を山折りし、接着片を谷折りして天蓋を背面板に対して90°の角度になるように接着片を背面板に貼着したカートンであって、収納される板状物品の一枚の厚さをh、左側面板と右側面板の高さをA1 、天蓋の高さをA2 とした時、天蓋の長さはA2 、傾斜片の長さはA2 ×√2であり、A1 = h + A2 であるので、カートンの上部端縁には板状物品の厚さhを持った取り出し口が形成され、窓孔から取り出し口方向に板状物品を押し出すように滑らせることにより、収納物である板状物品は取り出し口から取り出すことができる。板状物品が少なくなっても、上から押しつけながら滑らせると、傾斜片の傾斜に沿って多少変形しながら容易に指一本で取り出すことができる。取り出し口の厚さは、板状物品一枚分の厚さしかないので(すなわち、取り出し口の断面積と板状物品の断面積が略同じ)、二枚一緒に出ることはない。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記天蓋の先端縁には、中央部分が傾斜片側に突出した切断線により突起が形成されているとを特徴とする、取り出し口付きカートンである。
【0008】
このように請求項2記載の発明によれば、天蓋の先端縁には、中央部分が傾斜片側に突出した切断線により突起が形成されているので、板状物品を不用意に二枚以上一緒に飛び出すことがない。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記正面板に設けられる窓孔は、正面板から右側面板にまで連続して形成されていることを特徴とする、取り出し口付きカートンである。
【0010】
このように請求項3記載の発明によれば、正面板に設けられる窓孔は、正面板から右側面板にまで連続して形成されているので、収納されている板状物品が少なくなっても無理なく一本の指で板状物品をスライドさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明の取り出し口付きカートンは、スライド式の取り出し口を設けることにより、スライドさせるだけで容易に板ガム等の板状物品を取り出すことができる。板ガム等の弾力を利用して変形させながら取り出す。また、取り出し口をほぼ板状物品の断面に等しい断面積にして、不用意な飛び出し防止を図っている。さらに取り出し口に突起を設けることによりさらに確実に飛び出しが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の取り出し口付きカートン(1)は、例えば、図1、図2、図3に示すように、左側面板(10)、正面板(20)、右側面板(30)、背面板(40)、糊代片(50)が折り曲げ線を介して順次連設されている。、糊代片(50)が左側面板(10)に貼着され、下部が底板(12、22、32、44)により閉鎖されたカートンである。
【0013】
正面板(20)には指を入れるための窓孔(21)が設けられている。
カートンの上部は、左側面板(10)と右側面板(20)の上部端縁には折り曲げ線を介してそれぞれ舌片(11、31)が左右側面板(10、20)の正面板(20)との境界から収納される板状物品(2)の一枚の厚さ(h)の距離を隔てて連設されている。背面板(40)の上部端縁にはそれぞれ折り曲げ線を介して天蓋(41)、傾斜片(42)、接着片(43)が順次連設された構成からなっている。
【0014】
カートン上部の組み立ては、例えば、つぎのように行う。すなわち、左右の側面板(10、20)の上端縁に連設された舌片(11、31)を折り曲げ線に沿って山折りし、背面板(40)に連設されている天蓋(41)を山折りし、傾斜片(42)を山折りし、接着片(43)を谷折りして天蓋(41)を背面板(40)に対して90°の角度になるように接着片(43)の裏面を背面板(40)の裏面に貼着してカートンの組み立てが終了する。
【0015】
ここで、収納される板状物品(2)の一枚の厚さをh、左側面板と右側面板の高さをA1 、天蓋の高さをA2 とした時、天蓋の長さはA2 、傾斜片の長さはA2 ×√2であり、A1 = h + A2 となるように各長さ、高さを設定することが本発明の重要点である。
【0016】
このようにすることにより、カートンの上部端縁には板状物品(2)の厚さhを持った断面積の取り出し口(5)が形成され、窓孔(21)から取り出し口方向に板状物品(2)を押し出すように滑らせることにより、収納物である板状物品(2)は取り出し口(5)から取り出すことができる。
板状物品(2)が少なくなっても、上から押しつけながら滑らせると、傾斜片(42)の傾斜に沿って多少変形しながら容易に指一本で取り出すことができる。取り出し口の厚さは、板状物品一枚分の厚さ(h)しかないので、二枚一緒に出ることはない。
【0017】
また、図4、図5に示すように、天蓋(41)の先端縁に、中央部分が傾斜片(42)側に突出した切断線(a)により突起(45)を形成させることにより、板状物品(2)が不用意に二枚以上一緒に飛び出したりすることがなくなる。
【0018】
さらに、図2、図5に示すように、窓孔(21)を正面板(20)から右側面板(30)にまで連続して形成させることにより、収納されている板状物品(2)が少なくなっても無理なく一本の指で取り出し口方向に押し出すことができる。
【0019】
なお、取り出し口付きカートンに用いる素材としては、マニラボール、コートボール、ノーコートボール等の一般的に使用されている板紙のほかに、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリプロピレン等のプラスチックシートなどを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の取り出し口付きカートンとそれに収納される板状物品の一実施例を示す、斜視説明図である。
【図2】図1の取り出し口付きカートンを展開した平面説明図である。
【図3】図1の取り出し口付きカートンに板状物品を収納した状態を示す、説明図である。
【図4】本発明の取り出し口付きカートンの別の実施例を示す、斜視説明図である。
【図5】図4の取り出し口付きカートンを展開した平面説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1‥‥取り出し口付きカートン
2‥‥板状物品
5‥‥取り出し口
10‥‥左側面板
11‥‥舌片
12‥‥底板
20‥‥正面板
21‥‥窓孔
22‥‥底板
30‥‥右側面板
31‥‥舌片
32‥‥底板
40‥‥背面板
41‥‥天蓋
42‥‥傾斜片
43‥‥接着片
44‥‥底板
45‥‥突起
50‥‥糊代片
a‥‥切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左側面板、正面板、右側面板、背面板、糊代片が折り曲げ線を介して順次連設され、前記糊代片が左側面板に貼着され、下部が底板により閉鎖されたカートンであって、
正面板には窓孔が設けられ、前記カートンの上部は、左側面板と右側面板の上部端縁には折り曲げ線を介してそれぞれ舌片が左右側面板の正面板との境界から収納される板状物品の一枚の厚さ分の距離を隔てて連設され、背面板の上部端縁にはそれぞれ折り曲げ線を介して天蓋、傾斜片、接着片が順次連設され、た構成からなり、
左右の側面板の上部端縁に連設された舌片を山折りし、背面板に連設されている天蓋を山折りし、傾斜片を山折りし、接着片を谷折りして天蓋を背面板に対して90°の角度になるように接着片を背面板に貼着したカートンであって、
収納される板状物品の一枚の厚さをh、左側面板と右側面板の高さをA1 、天蓋の高さをA2 とした時、
天蓋の長さはA2 、傾斜片の長さはA2 ×√2であり、
1 = h + A2
であることを特徴とする、取り出し口付きカートン。
【請求項2】
前記天蓋の先端縁は、中央部分が傾斜片側に突出した切断線により突起が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の取り出し口付きカートン。
【請求項3】
前記正面板に設けられる窓孔は、正面板から右側面板にまで連続して形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の取り出し口付きカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−327668(P2006−327668A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156863(P2005−156863)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】