取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置
【課題】 振動を長期に亘って軽減させることができる取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置を提供する。
【解決手段】 取付器具1aは、第1取付面S4a及び第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3とを備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させ、緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【解決手段】 取付器具1aは、第1取付面S4a及び第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3とを備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させ、緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転陽極型X線管装置は例えば医療用および工業用に利用されているX線装置のX線発生源として使用されている。この回転陽極型X線管装置について説明すると、回転陽極型X線管装置は、真空外囲器内に、陰極と略傘状の陽極ターゲットが対向設置されている。陰極は中心軸から偏心した位置に設置されている。陽極ターゲットは、中心軸上に設置され、且つ陽極ターゲットに固定された回転体の軸受けにより支持されて回転できるようになっている。真空外囲器の外には、回転体に対応してステータコイルが配設され、回転体を駆動している。
真空外囲器は、取付器具を介してハウジングに固定されている。
【0003】
陰極から放出された熱電子が陽極ターゲットの焦点範囲に衝突し、該焦点からX線が発生する。回転陽極型X線管装置の放射窓より取り出されたX線は、さらにスリットによって、用途に適した形状に整形される。
【0004】
次に、X線装置の代表例としてX線CTスキャナについて説明する。X線CTスキャナは、被検体に照射され透過したX線を検出して、被検体の断層画像を再構築する装置で、医療用診断装置として広く使用されている。
【0005】
ここで、X線CTスキャナについて説明すると、X線CTスキャナは、固定架台上に回転架台が回転可能に支持されている。回転架台の中心部分に、被検体及び被検体を載せる寝台が配置されている。回転架台上に、X線を放射する回転陽極型X線管装置と、X線の強度分布を制限するスリットと、被検体を通過したX線を検出し、検出したX線を電気信号に変換する検出器列と、検出器列から出力する電気信号を増幅し、かつAD変換するデータ収集装置と、が搭載されている。検出器列は、例えば円弧状に配列された複数のX線検出素子から構成されている。
【0006】
上記のX線CTスキャナは、動作状態に入ると回転架台が所定の回転軸を中心に回転する。このとき、回転陽極型X線管装置、スリット、検出器列及びデータ収集装置は、被検体の周囲を一体になって回転する。これと同時に、回転陽極型X線管装置からX線が放射される。X線は被検体を透過し、検出器列に入射し、検出器列においてX線の強度が検出される。
【0007】
検出器列で検出された検出信号はデータ収集装置に供給される。検出信号はデータ収集装置で増幅され、かつA/D変換によってディジタル検出信号に変換され、コンピュータに供給される。コンピュータは、ディジタル検出信号をもとに、被検体のX線吸収率を演算し、その演算結果から被検体の断層画像を生成するための画像データを構築する。画像データは、表示装置などに送られ、画面上に断層画像として表示される。
【0008】
上記したように、X線CTスキャナは、回転陽極型X線管装置及び検出器列が被検体を挟んで回転し、被検体の検査断面内のあらゆる点を透過したX線の強弱いわゆる投影データを、いろいろな角度、例えば360°の範囲から獲得する。そして、この投影データをもとに、予めプログラムされたデータ再構成プログラムにより断層画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,379,040号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
X線を曝射する際は、陽極ターゲットをステータコイル4により回転させるが、その駆動周波数は一般的に約3,000RPMから約10,000RPMである。このとき、回転する陽極回転体から発生する振動エネルギが管容器を伝わってX線装置に伝達して振動および騒音が発生する。振動はX線装置の検出器に伝わってその解像特性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、騒音はX線技師や医師等による検査の妨げとなったり、被検体(患者)への不安感を与える恐れがある。
【0011】
特許文献1には、ゴム部品を挟んでX線管装置をX線装置の可動架台に取り付ける構造が開示されている。しかしながら、上記の場合、ゴム部品にX線管装置の全荷重が加わるため、ゴム部品の変形が大きく、長期に使用した場合に疲労して短寿命となる恐れがある。また、可動架台の動作に応じてX線管装置の姿勢が変化した場合にゴム部品の変形量が変化することに伴って、X線焦点位置も変化してしまう。このため、異なる架台位置で撮影した画像間の比較を行う場合などで、解像特性が低下してしまう恐れが高い。
【0012】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、振動を長期に亘って軽減させることができる取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態に係る取付器具は、
第1取付面及び前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、
前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備え、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる外力を支持し、前記緩衝部材に加わる外力を軽減させ、
前記緩衝部材は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴としている。
【0014】
また、一実施形態に係る回転陽極型X線管装置は、
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、
前記X線管が直接又は間接的に取り付けられ、前記X線管を収納するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間に配置された緩衝部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記X線管から加わる前記X線管の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記X線管から加わる振動を減衰又は吸収し、前記X線管から前記ハウジングに伝わる振動を軽減させることを特徴としている。
【0015】
また、一実施形態に係るX線装置は、
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、前記X線管を収納するハウジングと、を備えた回転陽極型X線管装置と、
前記回転陽極型X線管装置に直接若しくは間接的に取り付けられた第1取付面並びに前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備えた取付器具と、を具備し、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる前記回転陽極型X線管装置の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記回転陽極型X線管装置から加わる振動を減衰又は吸収し、前記回転陽極型X線管装置から前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るX線装置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、上記X線装置の回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
【図3】図3は、図2の線III−IIIに沿った上記回転陽極型X線管装置及び取付器具を示す断面図である。
【図4】図4は、図3に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管の取付部がハウジングに取り付けられている状態を示す図である。
【図5】図5は、図4の線V−Vに沿った上記取付部及びハウジングを示す断面図であり、取付部がハウジングに取り付けられている状態を示す図である。
【図6】図6は、図3に示した上記取付器具を示す他の断面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るX線装置の回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
【図8】図8は、図7に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管の取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図9】図9は、図8の線IX−IXに沿った上記取付部、取付器具及びハウジングを示す断面図であり、取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図10】図10は、図7乃至図9に示した上記取付器具を示す他の断面図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るX線装置の取付器具を示す断面図である。
【図12】図12は、第4の実施形態に係るX線装置の取付器具を示す断面図である。
【図13】図13は、図12に示した取付器具を示す斜視図である。
【図14】図14は、第5の実施形態に係るX線装置の回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
【図15】図15は、図14に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管の取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図16】図16は、図15の線XVII−XVIIに沿った上記取付部、取付器具及びハウジングを示す断面図であり、取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図17】図17は、図16に示した取付部、ハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図18】図18は、第6の実施形態に係るX線装置の回転陽極型X線管装置及び取付器具を示す断面図である。
【図19】図19は、図18に示したX線装置の一部を拡大して示す断面図であり、ハウジング及び取付器具を示す図である。
【図20】図20は、図19に示したハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図21】図21は、第7の実施形態に係るX線装置の一部を拡大して示す断面図であり、ハウジング及び取付器具を示す図である。
【図22】図22は、図21に示したハウジング及び取付器具を示す斜視図である。
【図23】図23は、図21に示したハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図24】図24は、第8の実施形態に係るX線装置の一部を拡大して示す断面図であり、ハウジング及び取付器具を示す図である。
【図25】図25は、図24に示したハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図26】図26は、第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す概略構成図である。
【図27】図27は、図26に示したX線管を示す斜視図である。
【図28】図28は、上記第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線管の取付部、ハウジング及び緩衝部材を示す図である。
【図29】図29は、図28に示した取付部、ハウジング及び緩衝部材を示す分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、X線装置はX線CTスキャナである。
【0018】
図1は、第1の実施形態に係るX線装置を示す概略断面図である。
図1に示すように、X線装置90は、固定架台91と、可動架台としての回転架台92と、被検体93と、寝台94と、回転陽極型X線管装置95と、スリット96と、冷却器97と、検出器列98と、データ収集装置99と、取付器具1aと、取付器具1bと、を備えている。
【0019】
回転架台92は、固定架台91上に回転可能に支持されている。被検体93及び被検体93を載せる寝台94は、回転架台92の中心部分に配置されている。回転架台92上には、X線を放射する回転陽極型X線管装置95と、X線の強度分布を制限するスリット96と、冷却器97と、被検体93を通過したX線を検出し、検出したX線を電気信号に変換する検出器列98と、検出器列98から出力する電気信号を増幅し、かつAD変換するデータ収集装置99と、が搭載されている。
【0020】
回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介してハウジングに固定されている。冷却器97は、取付器具1bを介してハウジングに固定されている。回転陽極型X線管装置95及び冷却器97は、ホースで連結されている。検出器列98は、例えば円弧状に配列された複数のX線検出素子から構成されている。
【0021】
X線装置90は、動作状態に入ると回転架台92が所定の回転軸を中心に回転する。このとき、回転陽極型X線管装置95、スリット96、検出器列98及びデータ収集装置99は、被検体93の周囲を一体になって回転する。これと同時に、回転陽極型X線管装置95からX線が放射される。
【0022】
X線は、被検体93を透過し、検出器列98に入射し、検出器列98においてX線の強度が検出される。検出器列98で検出された検出信号は、データ収集装置99に供給される。検出信号はデータ収集装置99で増幅され、かつA/D変換によってディジタル検出信号に変換され、コンピュータ(図示せず)に供給される。
【0023】
コンピュータは、ディジタル検出信号をもとに、被検体93の関心領域におけるX線吸収率を演算し、その演算結果から被検体93の断層画像を生成するための画像データを構築する。画像データは、表示装置(図示せず)などに送られ、画面上に断層画像として表示される。
【0024】
上記のように、X線装置90は、回転陽極型X線管装置95及び検出器列98が被検体93を挟んで回転し、被検体93の検査断面内のあらゆる点を透過したX線の強弱いわゆる投影データを、いろいろな角度、例えば360°の範囲から獲得する。そして、この投影データをもとに、予めプログラムされたデータ再構成プログラムにより断層画像を生成する。
【0025】
図2は、回転陽極型X線管装置95を示す断面図である。図3は、回転陽極型X線管装置95及び取付器具1aを示す断面図である。
図2及び図3に示すように、回転陽極型X線管装置95は、筒状のハウジング70と、ハウジング70内に収納されたX線管80と、ハウジング70の内部に充填され、X線管80及びハウジング70間を満たす冷却液77と、回転駆動装置としてのステータコイル910とを備えている。
【0026】
ハウジング70には、ゴムベローズ72が設けられ、冷却液77の圧力調整が行われている。ハウジング70は、X線をハウジング70外部に放射する放射窓74を有している。回転陽極型X線管装置95は、取付部71を有している。取付部71は、ハウジング70の外面から突出して形成されている。取付部71は取付面S71を有している。この実施形態において、取付面S71は平坦である。
【0027】
X線管80は、真空外囲器81を備えている。真空外囲器81は、金属で形成された金属容器82と、絶縁部材60と、絶縁部材50とを備えている。絶縁部材60には陽極85が間接的に取り付けられ、絶縁部材50には陰極86が間接的に取り付けられている。陰極86は、陽極85に照射する電子を放出するものである。陽極85及び陰極86は、真空外囲器81に収納されている。
【0028】
陽極85は、陽極ターゲット85aと、支持体85cとを有している。陽極ターゲット85aは、円盤状に形成されている。陽極ターゲット85aは、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット層85bを有している。ターゲット層85bは、陰極86から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する。支持体85cは、陽極ターゲット85aを支持するものである。支持体85cは、陽極ターゲット85aと一体に形成されている。陽極85は、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極85は、陽極85の中心軸である回転軸aを中心に回転可能である。陽極85には相対的に正の電圧が印加される。
【0029】
陰極86には電圧供給端子54が接続されている。電圧供給端子54は、陰極86に相対的に負の電圧を印加するともに陰極86のフィラメント(図示せず)に電流を供給するものである。
【0030】
X線管80は、ロータ920、軸受け930、固定体78及び回転体79を備えている。固定体78は円柱状に形成され、絶縁部材60に固定されている。固定体78は回転体79を回転可能に支持する。回転体79は筒状に形成され、固定体78と同軸的に設けられている。回転体79の外面にロータ920が取り付けられている。回転体79に支持体85cが固定されている。回転体79は、陽極85とともに回転可能に設けられている。
【0031】
絶縁部材60は、真空外囲器81の一部を形成している。絶縁部材60は、筒部66と、筒部66の一端側を閉塞した底部67とで形成されている。絶縁部材60は、ハウジング70の外部に露出した外部端面61と、冷却液77に接した冷却面63と、真空外囲器81の内部に位置し陽極85が間接的に取り付けられる取り付け面62と、を有している。この実施形態において、外部端面61は平面である。
【0032】
絶縁部材60の内部には、陽極85に接続され、外部端面61側へ導出する電圧供給端子64が設けられている。電圧供給端子64は、外部端面61を貫通して設けられ、絶縁部材60に取り付けられた陽極85に電圧を供給するものである。この実施形態において、絶縁部材60は高電圧絶縁部材であり、電圧供給端子64は高電圧供給端子であり陽極85に高電圧を供給する。
【0033】
支持部材75は、円環状に形成されている。絶縁部材60は支持部材75に取付けられている。支持部材75は、ハウジング70の開口部に対向している。支持部材75は、上記開口部と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材75及び開口部間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材75及び開口部間の隙間から外部への冷却液77の漏れを防止する機能を有している。
【0034】
絶縁部材50は、真空外囲器81の一部を形成している。絶縁部材50は、筒部56と、筒部56の一端側を閉塞した底部57とで形成されている。絶縁部材50は、ハウジング70の外部に露出した外部端面51と、冷却液77に接した冷却面53と、真空外囲器81の内部に位置し陰極86が間接的に取り付けられる取り付け面52と、を有している。この実施形態において、外部端面51は平面である。
【0035】
絶縁部材50の内部には、陰極86に接続され、外部端面51側へ導出する電圧供給端子54が設けられている。電圧供給端子54は、外部端面51を貫通して設けられ、絶縁部材50に取り付けられた陰極86に電圧を供給するものである。この実施形態において、絶縁部材50は高電圧絶縁部材であり、電圧供給端子54は高電圧供給端子であり陰極86に高電圧を供給する。電圧供給端子54は低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。KOV部材55及び陰極86間、並びにKOV部材55及び絶縁部材50間は、ろう付けされている。
【0036】
支持部材76は、円環状に形成されている。絶縁部材50は支持部材76に取付けられている。支持部材76は、ハウジング70の他の開口部に対向している。支持部材76は、上記開口部と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材76及び開口部間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材76及び開口部間の隙間から外部への冷却液77の漏れを防止する機能を有している。
【0037】
高電圧コネクタ100は、有底筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入されたケーブル102と、ハウジング101内に充填され、ケーブル102の端子102aをハウジング101の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部103と、この固定部103と底部67の外部端面61との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート104とを備えている。この実施形態において、ケーブル102は、高電圧ケーブルである。固定部103は、電気絶縁材である。
【0038】
この実施の形態において、高電圧コネクタ100の電気絶縁材としての固定部103は、底部67の外部端面61に間接的に密着されている。なお、固定部103は、外部端面61に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ100は、電圧供給端子64に高電圧を与えるものである。
【0039】
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ100をハウジング70に取り付ける際に、シリコーンプレート104が、それぞれ固定部103と、絶縁部材60の外部端面61とに密着するように押圧する。
【0040】
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入されたケーブル202と、ハウジング201内に充填され、ケーブル202の端子202aをハウジング201の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部203と、この固定部203と絶縁部材50の外部端面51との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。この実施形態において、ケーブル202は高電圧ケーブルである。固定部203は、電気絶縁材である。
【0041】
この実施の形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材としての固定部203は、絶縁部材50の外部端面51に間接的に密着されている。なお、固定部203は、外部端面51に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ200は、電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
【0042】
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ200をハウジング70に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ固定部203と、絶縁部材50の外部端面51とに密着するように押圧する。
【0043】
冷却液77は、ハウジング70内に充填され、X線管80及びハウジング70間を満たしている。冷却液77としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施形態において、冷却液77として水系冷却液を用いている。
【0044】
図1に示すように、ハウジング70に、冷却器97が接続されている。図示しないが、冷却器97は、循環ポンプ及び熱交換器を有している。このため、冷却液77は熱交換器により冷却される。循環ポンプは、冷却液77を循環させ、冷却液77の流れを作り出すものである。これにより、回転陽極型X線管装置95において発生する熱が、冷却液77を媒介として、ハウジング70の外部へ放出される。
【0045】
このように構成された回転陽極型X線管装置95では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット85a(陽極85)が回転する。次に、高電圧コネクタ100、200に所定の電圧を印加する。
【0046】
高電圧コネクタ100に印加された電圧は、電圧供給端子64、固定体78、軸受け930及び回転体79を介して陽極85の陽極ターゲット85aに供給される。高電圧コネクタ200に印加された電圧は、電圧供給端子54を介して陰極86に供給される。
【0047】
これにより、陰極86から陽極ターゲット85aのターゲット層85bに電子が入射され、陽極ターゲット85aからX線が放射され、X線は、金属容器82の一部に形成されたX線透過窓83及び放射窓74を透過して外部へ放射される。
【0048】
図3は、X線管80の取付部87がハウジング70に取り付けられている状態を示す図である。図4及び図5は、図3に示した回転陽極型X線管装置95の一部を示す拡大断面図である。
【0049】
図3乃至図5に示すように、X線管80は、ハウジング70に直接又は間接的に取り付けられている。この実施形態において、X線管80は、ハウジング70に直接取り付けられている。詳述すると、X線管80は、真空外囲器81の外側に位置した取付部87を有している。取付部87は、金属容器82の外面から突出して平板状に形成されている。取付部87がハウジング70と対向した方向において、取付部87の両面は電気絶縁体87aで覆われている。電気絶縁体87aは、例えば硬質樹脂で形成されている。
【0050】
この実施形態において、電気絶縁体87aは硬質樹脂を取付部87にコーティングすることにより形成されている。コーティングする際、取付部87に貫通孔が形成されている状態で行われるため、取付部87の貫通孔も硬質樹脂でコーティングされる。
【0051】
締め具としてのネジ88は、取付部87及び電気絶縁体87aに形成された貫通孔を通ってハウジング70のネジ孔に締め付けられている。これにより、X線管80はハウジング70に固定される。ハウジング70は、X線管80から加わるX線管80の荷重を支持している。また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、取付部87(真空外囲器81)及びハウジング70間に挟持され、真空外囲器81及びハウジング70間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。なお、X線管80が、複数個所でハウジング70に取り付けられていることは言うまでもない。
【0052】
図6は、取付器具1aを示す断面図である。
図3及び図6に示すように、取付器具1aは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0053】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。第1取付面S4aは、回転陽極型X線管装置95に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第1取付面S4aは、回転陽極型X線管装置95に直接取り付けられ、取付部71の取付面S71(図2参照)に接触している。
【0054】
支持部材2は、剛性を示すものである。支持部材2は、剛性を示す材料として、例えば金属やFRP(fiberglass-reinforced plastic)で形成されている。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。
【0055】
支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4及び第2構造体5は、対向する一対の側縁部にて連結されている。
【0056】
第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ回転軸aに沿って延出して板状に形成されている。
【0057】
ここで、第1方向d1は、回転軸aに垂直であり、第1取付面S4a及び第2取付面S5aに沿った平面から傾斜し、上記平面に垂直な方向から傾斜している。第2方向d2は、回転軸aに垂直であり、第1取付面S4a及び第2取付面S5aに沿った平面から傾斜し、上記平面に垂直な方向から傾斜し、第1方向d1に交差している。
【0058】
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4aに平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5aに平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。
【0059】
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
第1構造体4及び第2構造体5は、例えば締め具を用いて連結されている。図示しないが、締め具としてのネジは、第1構造体4に形成された貫通孔を通って第2構造体5のネジ孔に締め付けられている。上記ネジの頭部は第1構造体4に形成された溝部に収容可能であるため、ネジは第1構造体4の外面から突出していない。
【0060】
第1構造体4には、貫通孔と、上記貫通孔に繋がった溝部4aとが形成されている。第2構造体5には、溝部4aに対向した貫通孔5aと、ネジ孔5bとが形成されている。締め具としてのネジ8は、貫通孔5aを通って第1構造体4の貫通孔に挿入され、取付部71のネジ孔に締め付けられている。ネジ8の頭部は溝部4aに収容可能であるため、ネジ8は第1隙間形成面S4bから突出していない。
【0061】
図1、図3及び図6に示すように、回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介して回転架台92に間接的に取り付けられている。第2取付面S5aは、回転架台92に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S5aは、回転架台92に直接取り付けられている。
【0062】
図示しないが、締め具としてのネジは、回転架台92に形成された貫通孔を通って支持部材2のネジ孔5bに締め付けられている。回転架台92は、回転陽極型X線管装置95を固定している。取付器具1aが回転陽極型X線管装置95及び回転架台92間に介在されていることは言うまでもない。
【0063】
図3及び図6に示すように、緩衝部材3は支持部材2より剛性が低いものである。緩衝部材3は、振動減衰材料として、例えば、ゴム、樹脂、発泡体で形成されている。この実施形態において、緩衝部材3はゴムを主成分とする材料で形成されている。
【0064】
緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0065】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
【0066】
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0067】
この実施形態において、一方の緩衝部材3aは、第1方向d1及び回転軸aに沿った方向に延在し、第1方向d1にせん断変形することができ、他方の緩衝部材3bは、第2方向d2及び回転軸aに沿った方向に延在し、第2方向d2にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、回転軸aに垂直な全ての方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0068】
上記のように構成された第1の実施形態に係る取付器具1a、並びに取付器具1a及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1aは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0069】
取付器具1aは、回転陽極型X線管装置95及び回転架台92間に介在されている。取付器具1aと言う単一機能部品のみにより、回転陽極型X線管装置95から回転架台92への振動の伝達を長期に亘って抑制することができる。
【0070】
陽極85等の回転動作に伴ってX線管80が振動エネルギを発生すると、振動エネルギは、X線管80の取付部87及びハウジング70を介して取付器具1aに伝達される。上記のように緩衝部材3a、3bは振動に伴う微細なせん断変形を生じることで上記振動を減衰又は吸収可能であるため、取付器具1aは、回転架台92への振動エネルギの伝達を低減することができる。
【0071】
このため、回転架台92への振動エネルギの伝達による騒音の発生を抑制することができる。このため、X線技師や医師等による検査の妨げになったり、被検体93(患者)に不安感を与えたりする問題を排除することができる。
また、回転架台92から検出器列98への振動エネルギの伝達も低減されるため、解像特性への悪影響を排除することができる。
【0072】
さらに、緩衝部材3a、3bは、回転陽極型X線管装置95の荷重を直接負担することがないため、過大な荷重による、使用中の焦点位置の移動や、疲労破壊の発生を防止することができる。
【0073】
なお、緩衝部材3a、3bに回転陽極型X線管装置95の全荷重が加わると仮定すると、緩衝部材3a、3bの変形が大きく、長期に使用した場合に疲労して短寿命となる恐れがある。また、回転架台92の動作に応じて回転陽極型X線管装置95の姿勢が変化した場合に緩衝部材3a、3bの変形量が変化することに伴って、X線焦点位置も変化してしまうため、異なる架台位置で撮影した画像間の比較を行う場合などで、解像特性が低下してしまう恐れが高くなってしまう。
【0074】
上記したことから、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0075】
次に、第2の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
この実施形態において、X線装置90は、取付器具1aの替わりに取付器具1cを備えている。このため、回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介すること無しに回転架台92に直接取り付けられている。X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。
【0077】
図7は、回転陽極型X線管装置95を示す断面図である。図8及び図9は、図7に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管80の取付部87がハウジング70に取付器具1cを介して取り付けられている状態を示す図である。図10は、取付器具1cを示す断面図である。
【0078】
図7乃至図10に示すように、取付器具1cは、第1の実施形態の取付器具1aと概ね同様に形成され、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0079】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。第1取付面S4aは、取付部87(X線管80)に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第1取付面S4aは、X線管80に直接取り付けられ、電気絶縁体87aに接触している。支持部材2は、剛性を示すものである。
【0080】
支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ第1取付面S4a及び第2取付面S5aに平行であり、回転軸aに直交した方向に沿って延出して板状に形成されている。
【0081】
ここで、第3方向d3は、回転軸aから傾斜している。第4方向d4は、回転軸aから傾斜し、第3方向d3に交差している。
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4aに平行な面と、第3方向d3に平行な面と、第4方向d4に平行な面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5aに平行な面と、第3方向d3に平行な面と、第4方向d4に平行な面とを有している。
【0082】
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
締め具としてのネジ88は、取付部87及び電気絶縁体87aに形成された貫通孔を通って第1構造体4のネジ孔に締め付けられている。また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、取付部87(真空外囲器81)及び第1構造体4間に挟持され、真空外囲器81及び第1構造体4(ハウジング70)間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。
【0083】
X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。第2取付面S5aは、ハウジング70に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S5aは、ハウジング70に直接取り付けられている。
【0084】
締め具としてのネジ9は、第2構造体5に形成された貫通孔を通ってハウジング70のネジ孔に締め付けられている。ハウジング70は、X線管80を固定している。取付器具1cがX線管80及びハウジング70間に介在されていることは言うまでもない。
【0085】
図9及び図10に示すように、緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0086】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、X線管80の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、X線管80から加わる振動を減衰又は吸収し、X線管80から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0087】
この実施形態において、一方の緩衝部材3aは、第3方向d3並びに第3方向d3及び回転軸aに直交した方向に延在し、第3方向d3にせん断変形することができ、他方の緩衝部材3bは、第4方向d4並びに第4方向d4及び回転軸aに直交した方向に延在し、第4方向d4にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、第3方向d3及び第4方向d4を含む面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0088】
上記のように構成された第2の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1cは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0089】
取付器具1cは、X線管80及びハウジング70間に介在されている。取付器具1cと言う単一機能部品のみにより、X線管80からハウジング70への振動の伝達を長期に亘って抑制することができる。
【0090】
X線管80が発生する振動エネルギは、X線管80の取付部87を介して取付器具1cに伝達される。上記のように緩衝部材3a、3bは振動に伴う微細なせん断変形を生じることで上記振動減衰又は吸収が可能であるため、取付器具1cは、ハウジング70、ひいては回転架台92への振動エネルギの伝達を低減することができる。
【0091】
このため、回転架台92への振動エネルギの伝達による騒音の発生を抑制することができる。このため、X線技師や医師等による検査の妨げになったり、被検体93(患者)に不安感を与えたりする問題を排除することができる。
また、回転架台92から検出器列98への振動エネルギの伝達も低減されるため、解像特性への悪影響を排除することができる。さらに、緩衝部材3a、3bは、X線管80の荷重を直接負担することがないため、過大な荷重による、使用中の焦点位置の移動や、疲労破壊の発生を防止することができる。
【0092】
上記したことから、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1c、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0093】
次に、第3の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a以外、上記第1の実施形態と同様に形成されている。
【0094】
図11は取付器具1aを示す断面図である。
図11に示すように、取付器具1aは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0095】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。支持部材2は、剛性を示すものである。支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4及び第2構造体5は、対向する一対の側縁部にて連結されている。
【0096】
第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ回転軸aに沿って延出して板状に形成されている。
【0097】
ここで、第5方向d5は、回転軸aに垂直であり、第1取付面S4a及び第2取付面S5aに平行である。第6方向d6は、回転軸aに垂直であり、第5方向d5に直交している。
【0098】
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4a(第5方向d5)に平行な面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5a(第5方向d5)に平行な面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
【0099】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、振動減衰材料で形成されている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0100】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
【0101】
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0102】
この実施形態において、緩衝部材3は、第5方向d5及び回転軸aに沿った方向に延在し、第5方向d5および回転軸aに平行となる方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、第5方向d5および回転軸aに平行となる方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0103】
上記のように構成された第3の実施形態に係る取付器具1a、並びに取付器具1a及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1aは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0104】
上記したことから、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0105】
次に、第4の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a以外、上記第1の実施形態と同様に形成されている。
図12は取付器具1aを示す断面図であり、図13は取付器具1aを示す斜視図である。
図12及び図13に示すように、取付器具1aは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0106】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。支持部材2は、剛性を示すものである。支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4及び第2構造体5は、対向する一対の側縁部にて連結されている。
【0107】
第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ回転軸aに沿って延出して板状に形成されている。
【0108】
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4a(第5方向d5)に平行な3つの面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5a(第5方向d5)に平行な3つの面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
【0109】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、振動減衰材料で形成されている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0110】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
【0111】
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0112】
この実施形態において、緩衝部材3a、3bは、それぞれ第6方向d6及び回転軸aに沿った方向に延在し、第6方向d6及び回転軸aに平行な方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、第6方向d6及び回転軸aに平行な方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0113】
上記のように構成された第4の実施形態に係る取付器具1a、並びに取付器具1a及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1aは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0114】
上記したことから、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
ここで、上述した第2の実施形態に係る取付器具1cを、第3乃至第4の実施形態に係る取付器具1aの何れかと同様に構成してもよい。
【0115】
次に、第5の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0116】
この実施形態において、X線装置90は、取付器具1aの替わりに取付器具1cを備えている。このため、回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介すること無しに回転架台92に直接取り付けられている。X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。
【0117】
図14は、回転陽極型X線管装置95を示す断面図である。図15及び図16は、図14に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管80の取付部87がハウジング70に取付器具1cを介して取り付けられている状態を示す図である。図17は、図16に示した取付部87、ハウジング70及び取付器具1cを示す分解断面図である。
【0118】
図14乃至図17に示すように、取付部87は、平坦な取付面S87aを有している。この実施形態において、取付部87は電気絶縁体87aで覆われているため、取付面S87aは電気絶縁体87aの外面で形成されている。なお、電気絶縁体87aは、緩衝部材3に対向した領域には形成されていない。
【0119】
ここで、第7方向d7は、取付面S87aに平行であり、回転軸aに直交している。
ハウジング70は、取付部71を有している。取付部71は、取付部87に間隔を置いて対向し、ハウジング70の外面から取付部87側に突出して形成されている。この実施形態において、互いに対向した取付部71及び取付部87の表面は、回転軸a及び第7方向d7に沿った平坦な面である。
【0120】
取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。支持部材2は、取付部87の取付面S87aに垂直な方向に延在して形成され、取付部87の取付面S87aに取り付けられた第1取付面S6a及びハウジング70に取り付けられた第2取付面S6bを有している。支持部材2は、剛性を示すものである。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。
【0121】
この実施形態において、支持部材2は、継手部としての複数の柱状部6を有している。柱状部6は、取付部87の取付面S87aに垂直な方向に延在して形成され、第1取付面S6a及び第2取付面S6bを有している。
【0122】
柱状部6は、取付部71及び取付部87間の隙間を保持しているため、支持部材2は、バネ性を有する形状である。
第2取付面S6bは、ハウジング70に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S6bは、ハウジング70に直接取り付けられている。柱状部6は、ネジ孔6h及びネジ部6sを有している。なお、柱状部6をネジと捉えると、ネジ部6sをネジの軸部と言い替えることができる。ネジ部6sは、ハウジング70に形成されたネジ孔70aに締め付けられている。
【0123】
締め具としてのネジ88は、取付部87及び電気絶縁体87aに形成された貫通孔を通って柱状部6のネジ孔6hに締め付けられている。また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、取付部87(真空外囲器81)及び柱状部6(支持部材2)間に挟持され、真空外囲器81及び柱状部6(ハウジング70)間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。
【0124】
X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。ハウジング70は、X線管80を固定している。取付器具1cがX線管80及びハウジング70間に介在されていることは言うまでもない。
【0125】
図16及び図17に示すように、緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、取付部71(ハウジング70)及び取付部87に接し、取付部71及び取付部87間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、取付部71及び取付部87の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は取付部71及び取付部87に接着されている。
【0126】
支持部材2は、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に加わる外力を支持し、すなわち、X線管80の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、X線管80から加わる振動を減衰又は吸収し、X線管80から第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動を軽減させる。
【0127】
この実施形態において、緩衝部材3は、回転軸a及び第7方向d7を含む面方向に延在し、回転軸a及び第7方向d7を含む面方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、回転軸a及び第7方向d7を含む面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0128】
上記のように構成された第5の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、取付部87の取付面S87aに垂直な方向に延在して形成され、取付部87の取付面S87aに取り付けられた第1取付面S6a及びハウジング70に取り付けられた第2取付面S6bを有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、取付部87及びハウジング70に接し、取付部87及びハウジング70間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0129】
支持部材2は、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動を軽減可能である。このため、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0130】
また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、真空外囲器81及び柱状部6(ハウジング70)間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。このため、真空外囲器81及びハウジング70間を良好に絶縁することができる。
【0131】
上記したことから、振動(第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0132】
次に、第6の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a、ハウジング70以外、上記第1の実施形態と同様に形成されている。
【0133】
図18は、回転陽極型X線管装置95及び取付器具1aを示す断面図である。図19は、図18に示したハウジング70及び取付器具1aを示す断面図である。図20は、図19に示したハウジング70及び取付器具1aを示す分解断面図である。
【0134】
図18乃至図20に示すように、回転陽極型X線管装置95は、ハウジング70の外側に位置した平坦な取付面S70と、取付面S70から外れてハウジング70の外側に位置した突出部73と、を有している。この実施形態において、取付面S70は、ハウジング70の外面の一部で形成されている。突出部73は、ハウジング70の外面から突出して形成されている。突出部73の外面は、取付面S70に平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。
【0135】
取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。支持部材2は、剛性を示すものである。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。支持部材2は、構造体11と、継手部としての複数の柱状部12とを有している。
【0136】
柱状部12は、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して柱状に形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んでいる。構造体11は、板状に形成され、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んでいる。構造体11は、ハウジング70に隙間を置いて対向している。突出部73と対向した側の構造体11の表面は、取付面S70に平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。
【0137】
柱状部12は、ネジ孔12h及びネジ部12sを有している。なお、柱状部12をネジと捉えると、ネジ部12sをネジの軸部と言い替えることができる。ネジ部12sは、ハウジング70に形成されたネジ孔70bに締め付けられている。
【0138】
構造体11には、貫通孔11cと、貫通孔11cに繋がった溝部11bと、ネジ孔11aとが形成されている。締め具としてのネジ10は、貫通孔11cを通って、柱状部12のネジ孔12hに締め付けられている。ネジ10の頭部は溝部11bに収容可能であるため、ネジ10は第2取付面S11aから突出していない。
柱状部12は、構造体11及びハウジング70間の隙間を保持しているため、支持部材2は、バネ性を有する形状である。
なお、柱状部12及び構造体11は、一体成形されていてもよい。この場合、別途ネジ等を用いて支持部材2をハウジング70に取り付ければよい。
【0139】
第2取付面S11aは、回転架台92に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S11aは、回転架台92に直接取り付けられている。図示しないが、締め具としてのネジは、回転架台92に形成された貫通孔を通って構造体11のネジ孔11aに締め付けられている。回転架台92は、回転陽極型X線管装置95を固定している。取付器具1aが回転陽極型X線管装置95及び回転架台92間に介在されていることは言うまでもない。
【0140】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。この実施形態において、緩衝部材3はゴムを主成分とする材料で形成されている。緩衝部材3は、突出部73(ハウジング70)及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、突出部73及び構造体11の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は突出部73及び構造体11に接着されている。
【0141】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。
【0142】
この実施形態において、一方の緩衝部材3aは、第1方向d1及び回転軸aに沿った方向に延在し、第1方向d1にせん断変形することができ、他方の緩衝部材3bは、第2方向d2及び回転軸aに沿った方向に延在し、第2方向d2にせん断変形することができる。しかし、柱状部12は、その軸方向(d6方向)に沿った力に対しては剛性が高いため、突出部73に対してd6方向に作用する振動を緩衝部材3a、3bによって減衰又は吸収することは困難である。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、回転軸aに平行な方向およびそれに垂直な方向d5に作用する振動のみ減衰又は吸収することができる。
【0143】
上記のように構成された第6の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んだ柱状部12と、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んだ構造体11と、を有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、突出部73及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0144】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0145】
上記したことから、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0146】
次に、第7の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第6の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a、ハウジング70以外、上記第6の実施形態と同様に形成されている。
【0147】
図21は、ハウジング70及び取付器具1aを示す断面図である。図22は、ハウジング70及び取付器具1aを示す斜視図である。図23は、図21に示したハウジング70及び取付器具1aを示す分解断面図である。
図21乃至図23に示すように、突出部73の外面は、取付面S70及び第5方向d5に平行な面を有している。
【0148】
取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。支持部材2は、剛性を示すものである。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。支持部材2は、構造体11と、継手部としての複数の柱状部12とを有している。
【0149】
柱状部12は、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して柱状に形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んでいる。構造体11は、板状に形成され、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んでいる。構造体11は、ハウジング70に隙間を置いて対向している。突出部73と対向した側の構造体11の表面は、取付面S70及び第5方向d5に平行な面を有している。
柱状部12は、構造体11及びハウジング70間の隙間を保持しているため、支持部材2は、バネ性を有する形状である。
【0150】
緩衝部材3は支持部材2より剛性が低いものである。この実施形態において、緩衝部材3はゴムを主成分とする材料で形成されている。緩衝部材3は、突出部73(ハウジング70)及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、突出部73及び構造体11の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は突出部73及び構造体11に接着されている。
【0151】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。
【0152】
この実施形態において、緩衝部材3は、回転軸a及び第5方向d5を含む面方向に延在し、回転軸a及び第5方向d5を含む面方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、回転軸a及び第5方向d5を含む面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0153】
上記のように構成された第7の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んだ柱状部12と、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んだ構造体11と、を有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、突出部73及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0154】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0155】
上記したことから、上述した第6の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0156】
次に、第8の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第7の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a以外、上記第7の実施形態と同様に形成されている。
【0157】
図24は、ハウジング70及び取付器具1aを示す断面図である。図25は、図24に示したハウジング70及び取付器具1aを示す分解断面図である。
図24及び図25に示すように、突出部73の外面は、第5方向d5に平行な面及び第6方向d6に平行な面を有している。取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。突出部73と対向した側の構造体11の表面は、第5方向d5に平行な面及び第6方向d6に平行な面を有している。
【0158】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、突出部73(ハウジング70)及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、突出部73及び構造体11の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は突出部73及び構造体11に接着されている。
【0159】
この実施形態において、緩衝部材3a、3bは、それぞれ第6方向d6及び回転軸aに沿った方向に延在し、回転軸aに平行な方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、回転軸aに平行な方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0160】
上記のように構成された第8の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んだ柱状部12と、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んだ構造体11と、を有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、突出部73及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0161】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0162】
上記したことから、上述した第8の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0163】
次に、第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置について詳細に説明する。
図26は、回転陽極型X線管装置20を示す概略構成図である。図27は、回転陽極型X線管装置20のX線管21を示す斜視図である。
【0164】
図26及び図27に示すように、回転陽極型X線管装置20は、回転陽極型のX線管21と、回転駆動機構として磁界を発生させるステータコイル(電磁コイル)24と、X線管21及びステータコイル24を収容したハウジング(X線管収納容器)22と、ハウジング22内に充填された冷却液としての絶縁油23とを備えている。
【0165】
全てを図示しないが、X線管21は、電子を放出する陰極、陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器25を有している。陽極ターゲットは、回転動作の中心軸となる回転軸aを中心に回転可能である。
【0166】
真空外囲器25は、円筒状に形成されている。真空外囲器25は金属容器及びガラス容器で形成されている。真空外囲器25は、金属容器の一部に形成され、X線を外部に透過させるX線透過窓21aを有している。真空外囲器25の内部は真空状態に維持されている。
【0167】
ステータコイル24は、真空外囲器25の外側を囲むように設けられている。ステータコイル24に所定の電流が供給されることで、陽極等が所定の速度で回転される。
ハウジング22は、X線を外部に放射させるX線放射窓27を有している。ハウジング22の内部には、X線管21及びステータコイル24が収容されている他、絶縁油23が充填されている。
【0168】
図28は、回転陽極型X線管装置20の一部を拡大して示す断面図であり、X線管21の取付部26、ハウジング22及び緩衝部材3を示す図である。図29は、取付部26、ハウジング22及び緩衝部材3を示す分解断面図である。
【0169】
図27乃至図29に示すように、X線管21は、ハウジング22に直接又は間接的に取り付けられている。この実施形態において、X線管21は、ハウジング22に直接取り付けられている。
【0170】
詳述すると、X線管21は、真空外囲器25の外側に位置した取付部26を有している。取付部26は、真空外囲器25の金属容器の外面から突出して平板状に形成されている。取付部26がハウジング22と対向した方向において、取付部26の両面は電気絶縁体26aで覆われている。電気絶縁体26aは、例えばエポキシ樹脂で形成されている。
【0171】
この実施形態において、電気絶縁体26aはエポキシ樹脂を取付部26にコーティングすることにより形成されている。コーティングする際、取付部26に貫通孔が形成されている状態で行われるため、取付部26の貫通孔もエポキシ樹脂でコーティングされる。
【0172】
取付部26は、取付面としての平坦な取付面S26aを有している。この実施形態において、取付部26は電気絶縁体26aで覆われているため、取付面S26aは電気絶縁体26aの外面で形成されている。また、取付部26には、貫通孔26bが形成されている。
【0173】
この実施形態において、ハウジング22は、ネジ孔22a及び凹部22bを有している。ネジ孔22aは貫通孔26bに対向している。凹部22bは取付面S26aに対向している。ハウジング22は、取付部26の取付面S26aに接する取付面S22aと、取付部26の取付面S26aに間隔を置いて対向した隙間形成面S22bと、を有している。この実施形態において、隙間形成面S22bは凹部22bの底面である。
【0174】
締め具としてのネジ(ボルト)29は、取付部26に形成された貫通孔26bを通ってハウジング22のネジ孔22aに締め付けられている。これにより、取付面S26a及び取付面S22aが接し、X線管21はハウジング22に固定される。ハウジング22は、X線管21から加わるX線管21の荷重を支持している。また、電気絶縁体26aは、電気絶縁性を示し、取付部26(真空外囲器25)及びハウジング22間に挟持され、真空外囲器25及びハウジング22間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。
【0175】
なお、X線管21が、複数個所でハウジング22に取り付けられていることは言うまでもない。ネジ29は、貫通孔26bとの間に隙間を形成することになるため、バネ性を有するものである。
【0176】
緩衝部材3は剛性が低いものである。緩衝部材3は、例えば、ゴム、樹脂、発泡体で形成されている。この実施形態において、緩衝部材3はゴムで形成されている。緩衝部材3は、振動を減衰又は吸収することから、振動減衰部材(又は振動吸収部材)と言うことができる。
【0177】
緩衝部材3は、取付部26の取付面S26a及びハウジング22の隙間形成面S22bに接し、取付面S26a及び隙間形成面S22b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、取付面S26a及び隙間形成面S22bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は取付面S26a及び隙間形成面S22bに接着されている。緩衝部材3は、取付面S26a及び隙間形成面S22b間に挟持され、わずかに圧縮された状態で凹部22bに収容されている。
【0178】
ハウジング22は、取付面S26a及び取付面S22a間に加わる外力を支持し、すなわち、X線管21の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、取付面S26a及び取付面S22a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、X線管21からハウジング22に加わる振動を減衰又は吸収し、X線管21から取付面S26a及び取付面S22a間に伝わる振動を軽減させる。
【0179】
この実施形態において、緩衝部材3は、回転軸a及び第5方向d5に沿った面方向に延在し、回転軸a及び第5方向d5に沿った面方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、回転軸a及び第5方向d5に沿った面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0180】
上記のように構成された第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置20によれば、回転陽極型X線管装置20は、X線管21と、X線管21が直接又は間接的に取り付けられ、X線管21を収納するハウジング22と、緩衝部材3とを備えている。X線管21は、真空外囲器25の外側に位置し、取付面S26aを具備した取付部26を有し、ハウジング22に直接取り付けられている。ハウジング22は、取付面S22aと、隙間形成面S22bとを有している。緩衝部材3は、取付面S26a及び隙間形成面S22bに接し、取付面S26a及び隙間形成面S22b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0181】
ハウジング22は、X線管21から加わるX線管21の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる上記荷重を軽減させることができる。緩衝部材3は、X線管21から加わる振動を減衰又は吸収し、X線管21からハウジング22に伝わる振動を軽減させることができる。
【0182】
X線管21が振動エネルギを発生すると、振動エネルギは、X線管21の取付部26にも伝達される。上記のように緩衝部材3は振動に伴う微細なせん断変形を生じることで上記振動を軽減可能であるため、ハウジング22やネジ29への振動エネルギの伝達を低減することができる。ネジ29の緩みを抑制することができ、すなわち、ネジ29が緩まない構造を得ることができる。
【0183】
また、緩衝部材3が熱的な影響を受けることにより多少劣化してもハウジング22によるX線管21の固定は維持されるため、X線管21のがたつきを抑制することができる。
上記したことから、振動(取付面S26a及び取付面S22a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる回転陽極型X線管装置20を得ることができる。
【0184】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0185】
(1)ゴム板を使った場合等、緩衝部材3がゴムで形成されている場合、緩衝部材3の上面と下面で面に平行な方向に相対変位した場合に働くせん断応力に基づくエネルギ吸収能を利用している。緩衝部材3は、厚み方向に対しては高い剛性を示す。また、無荷重状態でゴムには引張力は働いていない。緩衝部材3は、比較的低い圧縮力または無圧力となるように金属製(アルミニウム合金、ステンレス鋼など)の部材間の隙間に配置されている。ゴム面と金属面とは接着剤で接着させることが望ましいが、圧縮力をかけて組み込んだ場合には摩擦力が生じているため、必ずしも面同士を接着させなくてもよい。
【0186】
X線装置がX線CTスキャナの場合、回転陽極型X線管装置95(冷却器97を除く)の重量は標準的に40kgf乃至80kgfであり、回転架台92が回転することによる遠心力の加速度は20G乃至30Gにも達する。このため回転架台92が回転している場合に回転陽極型X線管装置95の取付板にかかる荷重は0.8t乃至2.4tとなる。このような大きな荷重を特許文献1に開示されるようなゴム支承で受けるとゴム部品の変形が大きく、長期に使用した場合に疲労して短寿命となる恐れが非常に高い。
【0187】
上記実施形態では、回転陽極型X線管装置95が取り付けられる部分などを適度なバネ性(バネ剛性)を持つように設計することにより、その部分とより剛性が高い部分との隙間に、隙間をつなぐように緩衝部材3(ゴム板等)を配置することにより、振動を減衰又は吸収することを可能としている。1.2t乃至3.0tもの高荷重は金属性の支持部材2で支承されるため、緩衝部材3にかかる荷重はごくわずかである。
【0188】
(2)回転陽極型X線管装置95の振動の主な原因は、使用中に陽極ターゲット85aにアンバランスが発生することであり、その振動方向は陽極ターゲット85aの回転軸aに垂直となり易い。このため、回転軸aに垂直となる方向に作用する振動を減衰又は吸収できるよう、緩衝部材3や取付器具1を設けることが好ましい。
【0189】
(3)緩衝部材3の位置や個数は、特に限定されるものではなく、種々変形可能である。また、緩衝部材3は、ゴム板と鋼板とを交互に複数層重ねて接着させて形成されていてもよい。この場合には上述した実施形態の緩衝部材3よりも圧縮剛性と水平剛性の比をより高めることができる。
【0190】
(4)緩衝部材3で振動を吸収する際、第6の実施形態のように、緩衝部材3の圧縮方向の変位がせん断方向の変位と同時に生じるようにしても良い。このようにすることにより、緩衝部材3のバネ定数を調整することが可能となる。
【0191】
(5)緩衝部材3を形成する際は、ゴムを未硬化の液状ゴムとして隙間の一部に充填し、充填後に硬化させてもよい。この際、一般に知られている充填方法や硬化方法を利用することができる。
【0192】
(6)冷却器97の重量は30kgf乃至40kgfもあるため、取付器具1bを上述した取付器具1aや取付器具1cと同様に形成してもよく、この場合、高い振動低減効果を得ることができる。
【0193】
(7)X線装置としては、X線CTスキャナに限らず、例えば循環器検査用のCアーム装置に適用することができる。X線CTスキャナほど架台の移動スピードは速くはないが、X線管装置の重量は50kgf程度あり、本発明を適用することで振動低減効果を得ることができる。
【0194】
(8)第10の実施形態において、ハウジング22に凹部が形成されているが、これにかぎらず、取付部26が十分な厚みを有している場合は取付部26に凹部を形成してもよい。
【0195】
この発明は、上記取付器具1、回転陽極型X線管装置20、95及びX線装置90に限らず、各種の取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0196】
1,1a,1b,1c…取付器具、2…支持部材、3,3a,3b,3c…緩衝部材、4…第1構造体、5…第2構造体、6,12…柱状部、11…構造体、20…回転陽極型X線管装置、21,80…X線管、22,70…ハウジング、22b…凹部、25,81…真空外囲器、26,71,87…取付部、26a…電気絶縁体、73…突出部、77…冷却液、82…金属容器、85…陽極、86…陰極、87a…電気絶縁体、90…X線装置、92…回転架台、95…回転陽極型X線管装置、97…冷却器、S4a,S6a,S12a…第1取付面、S5a,S6b,S11a…第2取付面、S22a,S26a,S70,S71,S87a…取付面、S4b…第1隙間形成面、S5b…第2隙間形成面、S22b…隙間形成面、a…回転軸。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転陽極型X線管装置は例えば医療用および工業用に利用されているX線装置のX線発生源として使用されている。この回転陽極型X線管装置について説明すると、回転陽極型X線管装置は、真空外囲器内に、陰極と略傘状の陽極ターゲットが対向設置されている。陰極は中心軸から偏心した位置に設置されている。陽極ターゲットは、中心軸上に設置され、且つ陽極ターゲットに固定された回転体の軸受けにより支持されて回転できるようになっている。真空外囲器の外には、回転体に対応してステータコイルが配設され、回転体を駆動している。
真空外囲器は、取付器具を介してハウジングに固定されている。
【0003】
陰極から放出された熱電子が陽極ターゲットの焦点範囲に衝突し、該焦点からX線が発生する。回転陽極型X線管装置の放射窓より取り出されたX線は、さらにスリットによって、用途に適した形状に整形される。
【0004】
次に、X線装置の代表例としてX線CTスキャナについて説明する。X線CTスキャナは、被検体に照射され透過したX線を検出して、被検体の断層画像を再構築する装置で、医療用診断装置として広く使用されている。
【0005】
ここで、X線CTスキャナについて説明すると、X線CTスキャナは、固定架台上に回転架台が回転可能に支持されている。回転架台の中心部分に、被検体及び被検体を載せる寝台が配置されている。回転架台上に、X線を放射する回転陽極型X線管装置と、X線の強度分布を制限するスリットと、被検体を通過したX線を検出し、検出したX線を電気信号に変換する検出器列と、検出器列から出力する電気信号を増幅し、かつAD変換するデータ収集装置と、が搭載されている。検出器列は、例えば円弧状に配列された複数のX線検出素子から構成されている。
【0006】
上記のX線CTスキャナは、動作状態に入ると回転架台が所定の回転軸を中心に回転する。このとき、回転陽極型X線管装置、スリット、検出器列及びデータ収集装置は、被検体の周囲を一体になって回転する。これと同時に、回転陽極型X線管装置からX線が放射される。X線は被検体を透過し、検出器列に入射し、検出器列においてX線の強度が検出される。
【0007】
検出器列で検出された検出信号はデータ収集装置に供給される。検出信号はデータ収集装置で増幅され、かつA/D変換によってディジタル検出信号に変換され、コンピュータに供給される。コンピュータは、ディジタル検出信号をもとに、被検体のX線吸収率を演算し、その演算結果から被検体の断層画像を生成するための画像データを構築する。画像データは、表示装置などに送られ、画面上に断層画像として表示される。
【0008】
上記したように、X線CTスキャナは、回転陽極型X線管装置及び検出器列が被検体を挟んで回転し、被検体の検査断面内のあらゆる点を透過したX線の強弱いわゆる投影データを、いろいろな角度、例えば360°の範囲から獲得する。そして、この投影データをもとに、予めプログラムされたデータ再構成プログラムにより断層画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,379,040号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
X線を曝射する際は、陽極ターゲットをステータコイル4により回転させるが、その駆動周波数は一般的に約3,000RPMから約10,000RPMである。このとき、回転する陽極回転体から発生する振動エネルギが管容器を伝わってX線装置に伝達して振動および騒音が発生する。振動はX線装置の検出器に伝わってその解像特性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、騒音はX線技師や医師等による検査の妨げとなったり、被検体(患者)への不安感を与える恐れがある。
【0011】
特許文献1には、ゴム部品を挟んでX線管装置をX線装置の可動架台に取り付ける構造が開示されている。しかしながら、上記の場合、ゴム部品にX線管装置の全荷重が加わるため、ゴム部品の変形が大きく、長期に使用した場合に疲労して短寿命となる恐れがある。また、可動架台の動作に応じてX線管装置の姿勢が変化した場合にゴム部品の変形量が変化することに伴って、X線焦点位置も変化してしまう。このため、異なる架台位置で撮影した画像間の比較を行う場合などで、解像特性が低下してしまう恐れが高い。
【0012】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、振動を長期に亘って軽減させることができる取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態に係る取付器具は、
第1取付面及び前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、
前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備え、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる外力を支持し、前記緩衝部材に加わる外力を軽減させ、
前記緩衝部材は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴としている。
【0014】
また、一実施形態に係る回転陽極型X線管装置は、
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、
前記X線管が直接又は間接的に取り付けられ、前記X線管を収納するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間に配置された緩衝部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記X線管から加わる前記X線管の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記X線管から加わる振動を減衰又は吸収し、前記X線管から前記ハウジングに伝わる振動を軽減させることを特徴としている。
【0015】
また、一実施形態に係るX線装置は、
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、前記X線管を収納するハウジングと、を備えた回転陽極型X線管装置と、
前記回転陽極型X線管装置に直接若しくは間接的に取り付けられた第1取付面並びに前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備えた取付器具と、を具備し、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる前記回転陽極型X線管装置の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記回転陽極型X線管装置から加わる振動を減衰又は吸収し、前記回転陽極型X線管装置から前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るX線装置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、上記X線装置の回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
【図3】図3は、図2の線III−IIIに沿った上記回転陽極型X線管装置及び取付器具を示す断面図である。
【図4】図4は、図3に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管の取付部がハウジングに取り付けられている状態を示す図である。
【図5】図5は、図4の線V−Vに沿った上記取付部及びハウジングを示す断面図であり、取付部がハウジングに取り付けられている状態を示す図である。
【図6】図6は、図3に示した上記取付器具を示す他の断面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るX線装置の回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
【図8】図8は、図7に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管の取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図9】図9は、図8の線IX−IXに沿った上記取付部、取付器具及びハウジングを示す断面図であり、取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図10】図10は、図7乃至図9に示した上記取付器具を示す他の断面図である。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るX線装置の取付器具を示す断面図である。
【図12】図12は、第4の実施形態に係るX線装置の取付器具を示す断面図である。
【図13】図13は、図12に示した取付器具を示す斜視図である。
【図14】図14は、第5の実施形態に係るX線装置の回転陽極型X線管装置を示す断面図である。
【図15】図15は、図14に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管の取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図16】図16は、図15の線XVII−XVIIに沿った上記取付部、取付器具及びハウジングを示す断面図であり、取付部がハウジングに取付器具を介して取り付けられている状態を示す図である。
【図17】図17は、図16に示した取付部、ハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図18】図18は、第6の実施形態に係るX線装置の回転陽極型X線管装置及び取付器具を示す断面図である。
【図19】図19は、図18に示したX線装置の一部を拡大して示す断面図であり、ハウジング及び取付器具を示す図である。
【図20】図20は、図19に示したハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図21】図21は、第7の実施形態に係るX線装置の一部を拡大して示す断面図であり、ハウジング及び取付器具を示す図である。
【図22】図22は、図21に示したハウジング及び取付器具を示す斜視図である。
【図23】図23は、図21に示したハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図24】図24は、第8の実施形態に係るX線装置の一部を拡大して示す断面図であり、ハウジング及び取付器具を示す図である。
【図25】図25は、図24に示したハウジング及び取付器具を示す分解断面図である。
【図26】図26は、第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置を示す概略構成図である。
【図27】図27は、図26に示したX線管を示す斜視図である。
【図28】図28は、上記第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置の一部を拡大して示す断面図であり、X線管の取付部、ハウジング及び緩衝部材を示す図である。
【図29】図29は、図28に示した取付部、ハウジング及び緩衝部材を示す分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、X線装置はX線CTスキャナである。
【0018】
図1は、第1の実施形態に係るX線装置を示す概略断面図である。
図1に示すように、X線装置90は、固定架台91と、可動架台としての回転架台92と、被検体93と、寝台94と、回転陽極型X線管装置95と、スリット96と、冷却器97と、検出器列98と、データ収集装置99と、取付器具1aと、取付器具1bと、を備えている。
【0019】
回転架台92は、固定架台91上に回転可能に支持されている。被検体93及び被検体93を載せる寝台94は、回転架台92の中心部分に配置されている。回転架台92上には、X線を放射する回転陽極型X線管装置95と、X線の強度分布を制限するスリット96と、冷却器97と、被検体93を通過したX線を検出し、検出したX線を電気信号に変換する検出器列98と、検出器列98から出力する電気信号を増幅し、かつAD変換するデータ収集装置99と、が搭載されている。
【0020】
回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介してハウジングに固定されている。冷却器97は、取付器具1bを介してハウジングに固定されている。回転陽極型X線管装置95及び冷却器97は、ホースで連結されている。検出器列98は、例えば円弧状に配列された複数のX線検出素子から構成されている。
【0021】
X線装置90は、動作状態に入ると回転架台92が所定の回転軸を中心に回転する。このとき、回転陽極型X線管装置95、スリット96、検出器列98及びデータ収集装置99は、被検体93の周囲を一体になって回転する。これと同時に、回転陽極型X線管装置95からX線が放射される。
【0022】
X線は、被検体93を透過し、検出器列98に入射し、検出器列98においてX線の強度が検出される。検出器列98で検出された検出信号は、データ収集装置99に供給される。検出信号はデータ収集装置99で増幅され、かつA/D変換によってディジタル検出信号に変換され、コンピュータ(図示せず)に供給される。
【0023】
コンピュータは、ディジタル検出信号をもとに、被検体93の関心領域におけるX線吸収率を演算し、その演算結果から被検体93の断層画像を生成するための画像データを構築する。画像データは、表示装置(図示せず)などに送られ、画面上に断層画像として表示される。
【0024】
上記のように、X線装置90は、回転陽極型X線管装置95及び検出器列98が被検体93を挟んで回転し、被検体93の検査断面内のあらゆる点を透過したX線の強弱いわゆる投影データを、いろいろな角度、例えば360°の範囲から獲得する。そして、この投影データをもとに、予めプログラムされたデータ再構成プログラムにより断層画像を生成する。
【0025】
図2は、回転陽極型X線管装置95を示す断面図である。図3は、回転陽極型X線管装置95及び取付器具1aを示す断面図である。
図2及び図3に示すように、回転陽極型X線管装置95は、筒状のハウジング70と、ハウジング70内に収納されたX線管80と、ハウジング70の内部に充填され、X線管80及びハウジング70間を満たす冷却液77と、回転駆動装置としてのステータコイル910とを備えている。
【0026】
ハウジング70には、ゴムベローズ72が設けられ、冷却液77の圧力調整が行われている。ハウジング70は、X線をハウジング70外部に放射する放射窓74を有している。回転陽極型X線管装置95は、取付部71を有している。取付部71は、ハウジング70の外面から突出して形成されている。取付部71は取付面S71を有している。この実施形態において、取付面S71は平坦である。
【0027】
X線管80は、真空外囲器81を備えている。真空外囲器81は、金属で形成された金属容器82と、絶縁部材60と、絶縁部材50とを備えている。絶縁部材60には陽極85が間接的に取り付けられ、絶縁部材50には陰極86が間接的に取り付けられている。陰極86は、陽極85に照射する電子を放出するものである。陽極85及び陰極86は、真空外囲器81に収納されている。
【0028】
陽極85は、陽極ターゲット85aと、支持体85cとを有している。陽極ターゲット85aは、円盤状に形成されている。陽極ターゲット85aは、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられたターゲット層85bを有している。ターゲット層85bは、陰極86から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する。支持体85cは、陽極ターゲット85aを支持するものである。支持体85cは、陽極ターゲット85aと一体に形成されている。陽極85は、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極85は、陽極85の中心軸である回転軸aを中心に回転可能である。陽極85には相対的に正の電圧が印加される。
【0029】
陰極86には電圧供給端子54が接続されている。電圧供給端子54は、陰極86に相対的に負の電圧を印加するともに陰極86のフィラメント(図示せず)に電流を供給するものである。
【0030】
X線管80は、ロータ920、軸受け930、固定体78及び回転体79を備えている。固定体78は円柱状に形成され、絶縁部材60に固定されている。固定体78は回転体79を回転可能に支持する。回転体79は筒状に形成され、固定体78と同軸的に設けられている。回転体79の外面にロータ920が取り付けられている。回転体79に支持体85cが固定されている。回転体79は、陽極85とともに回転可能に設けられている。
【0031】
絶縁部材60は、真空外囲器81の一部を形成している。絶縁部材60は、筒部66と、筒部66の一端側を閉塞した底部67とで形成されている。絶縁部材60は、ハウジング70の外部に露出した外部端面61と、冷却液77に接した冷却面63と、真空外囲器81の内部に位置し陽極85が間接的に取り付けられる取り付け面62と、を有している。この実施形態において、外部端面61は平面である。
【0032】
絶縁部材60の内部には、陽極85に接続され、外部端面61側へ導出する電圧供給端子64が設けられている。電圧供給端子64は、外部端面61を貫通して設けられ、絶縁部材60に取り付けられた陽極85に電圧を供給するものである。この実施形態において、絶縁部材60は高電圧絶縁部材であり、電圧供給端子64は高電圧供給端子であり陽極85に高電圧を供給する。
【0033】
支持部材75は、円環状に形成されている。絶縁部材60は支持部材75に取付けられている。支持部材75は、ハウジング70の開口部に対向している。支持部材75は、上記開口部と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材75及び開口部間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材75及び開口部間の隙間から外部への冷却液77の漏れを防止する機能を有している。
【0034】
絶縁部材50は、真空外囲器81の一部を形成している。絶縁部材50は、筒部56と、筒部56の一端側を閉塞した底部57とで形成されている。絶縁部材50は、ハウジング70の外部に露出した外部端面51と、冷却液77に接した冷却面53と、真空外囲器81の内部に位置し陰極86が間接的に取り付けられる取り付け面52と、を有している。この実施形態において、外部端面51は平面である。
【0035】
絶縁部材50の内部には、陰極86に接続され、外部端面51側へ導出する電圧供給端子54が設けられている。電圧供給端子54は、外部端面51を貫通して設けられ、絶縁部材50に取り付けられた陰極86に電圧を供給するものである。この実施形態において、絶縁部材50は高電圧絶縁部材であり、電圧供給端子54は高電圧供給端子であり陰極86に高電圧を供給する。電圧供給端子54は低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。KOV部材55及び陰極86間、並びにKOV部材55及び絶縁部材50間は、ろう付けされている。
【0036】
支持部材76は、円環状に形成されている。絶縁部材50は支持部材76に取付けられている。支持部材76は、ハウジング70の他の開口部に対向している。支持部材76は、上記開口部と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材76及び開口部間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材76及び開口部間の隙間から外部への冷却液77の漏れを防止する機能を有している。
【0037】
高電圧コネクタ100は、有底筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入されたケーブル102と、ハウジング101内に充填され、ケーブル102の端子102aをハウジング101の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部103と、この固定部103と底部67の外部端面61との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート104とを備えている。この実施形態において、ケーブル102は、高電圧ケーブルである。固定部103は、電気絶縁材である。
【0038】
この実施の形態において、高電圧コネクタ100の電気絶縁材としての固定部103は、底部67の外部端面61に間接的に密着されている。なお、固定部103は、外部端面61に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ100は、電圧供給端子64に高電圧を与えるものである。
【0039】
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ100をハウジング70に取り付ける際に、シリコーンプレート104が、それぞれ固定部103と、絶縁部材60の外部端面61とに密着するように押圧する。
【0040】
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入されたケーブル202と、ハウジング201内に充填され、ケーブル202の端子202aをハウジング201の開口部側に向けて固定するエポキシ樹脂材製の固定部203と、この固定部203と絶縁部材50の外部端面51との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。この実施形態において、ケーブル202は高電圧ケーブルである。固定部203は、電気絶縁材である。
【0041】
この実施の形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材としての固定部203は、絶縁部材50の外部端面51に間接的に密着されている。なお、固定部203は、外部端面51に直接密着されていても良い。高電圧コネクタ200は、電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
【0042】
このように構成されたX線管装置では、次のように用いられる。高電圧コネクタ200をハウジング70に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ固定部203と、絶縁部材50の外部端面51とに密着するように押圧する。
【0043】
冷却液77は、ハウジング70内に充填され、X線管80及びハウジング70間を満たしている。冷却液77としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施形態において、冷却液77として水系冷却液を用いている。
【0044】
図1に示すように、ハウジング70に、冷却器97が接続されている。図示しないが、冷却器97は、循環ポンプ及び熱交換器を有している。このため、冷却液77は熱交換器により冷却される。循環ポンプは、冷却液77を循環させ、冷却液77の流れを作り出すものである。これにより、回転陽極型X線管装置95において発生する熱が、冷却液77を媒介として、ハウジング70の外部へ放出される。
【0045】
このように構成された回転陽極型X線管装置95では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット85a(陽極85)が回転する。次に、高電圧コネクタ100、200に所定の電圧を印加する。
【0046】
高電圧コネクタ100に印加された電圧は、電圧供給端子64、固定体78、軸受け930及び回転体79を介して陽極85の陽極ターゲット85aに供給される。高電圧コネクタ200に印加された電圧は、電圧供給端子54を介して陰極86に供給される。
【0047】
これにより、陰極86から陽極ターゲット85aのターゲット層85bに電子が入射され、陽極ターゲット85aからX線が放射され、X線は、金属容器82の一部に形成されたX線透過窓83及び放射窓74を透過して外部へ放射される。
【0048】
図3は、X線管80の取付部87がハウジング70に取り付けられている状態を示す図である。図4及び図5は、図3に示した回転陽極型X線管装置95の一部を示す拡大断面図である。
【0049】
図3乃至図5に示すように、X線管80は、ハウジング70に直接又は間接的に取り付けられている。この実施形態において、X線管80は、ハウジング70に直接取り付けられている。詳述すると、X線管80は、真空外囲器81の外側に位置した取付部87を有している。取付部87は、金属容器82の外面から突出して平板状に形成されている。取付部87がハウジング70と対向した方向において、取付部87の両面は電気絶縁体87aで覆われている。電気絶縁体87aは、例えば硬質樹脂で形成されている。
【0050】
この実施形態において、電気絶縁体87aは硬質樹脂を取付部87にコーティングすることにより形成されている。コーティングする際、取付部87に貫通孔が形成されている状態で行われるため、取付部87の貫通孔も硬質樹脂でコーティングされる。
【0051】
締め具としてのネジ88は、取付部87及び電気絶縁体87aに形成された貫通孔を通ってハウジング70のネジ孔に締め付けられている。これにより、X線管80はハウジング70に固定される。ハウジング70は、X線管80から加わるX線管80の荷重を支持している。また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、取付部87(真空外囲器81)及びハウジング70間に挟持され、真空外囲器81及びハウジング70間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。なお、X線管80が、複数個所でハウジング70に取り付けられていることは言うまでもない。
【0052】
図6は、取付器具1aを示す断面図である。
図3及び図6に示すように、取付器具1aは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0053】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。第1取付面S4aは、回転陽極型X線管装置95に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第1取付面S4aは、回転陽極型X線管装置95に直接取り付けられ、取付部71の取付面S71(図2参照)に接触している。
【0054】
支持部材2は、剛性を示すものである。支持部材2は、剛性を示す材料として、例えば金属やFRP(fiberglass-reinforced plastic)で形成されている。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。
【0055】
支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4及び第2構造体5は、対向する一対の側縁部にて連結されている。
【0056】
第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ回転軸aに沿って延出して板状に形成されている。
【0057】
ここで、第1方向d1は、回転軸aに垂直であり、第1取付面S4a及び第2取付面S5aに沿った平面から傾斜し、上記平面に垂直な方向から傾斜している。第2方向d2は、回転軸aに垂直であり、第1取付面S4a及び第2取付面S5aに沿った平面から傾斜し、上記平面に垂直な方向から傾斜し、第1方向d1に交差している。
【0058】
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4aに平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5aに平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。
【0059】
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
第1構造体4及び第2構造体5は、例えば締め具を用いて連結されている。図示しないが、締め具としてのネジは、第1構造体4に形成された貫通孔を通って第2構造体5のネジ孔に締め付けられている。上記ネジの頭部は第1構造体4に形成された溝部に収容可能であるため、ネジは第1構造体4の外面から突出していない。
【0060】
第1構造体4には、貫通孔と、上記貫通孔に繋がった溝部4aとが形成されている。第2構造体5には、溝部4aに対向した貫通孔5aと、ネジ孔5bとが形成されている。締め具としてのネジ8は、貫通孔5aを通って第1構造体4の貫通孔に挿入され、取付部71のネジ孔に締め付けられている。ネジ8の頭部は溝部4aに収容可能であるため、ネジ8は第1隙間形成面S4bから突出していない。
【0061】
図1、図3及び図6に示すように、回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介して回転架台92に間接的に取り付けられている。第2取付面S5aは、回転架台92に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S5aは、回転架台92に直接取り付けられている。
【0062】
図示しないが、締め具としてのネジは、回転架台92に形成された貫通孔を通って支持部材2のネジ孔5bに締め付けられている。回転架台92は、回転陽極型X線管装置95を固定している。取付器具1aが回転陽極型X線管装置95及び回転架台92間に介在されていることは言うまでもない。
【0063】
図3及び図6に示すように、緩衝部材3は支持部材2より剛性が低いものである。緩衝部材3は、振動減衰材料として、例えば、ゴム、樹脂、発泡体で形成されている。この実施形態において、緩衝部材3はゴムを主成分とする材料で形成されている。
【0064】
緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0065】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
【0066】
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0067】
この実施形態において、一方の緩衝部材3aは、第1方向d1及び回転軸aに沿った方向に延在し、第1方向d1にせん断変形することができ、他方の緩衝部材3bは、第2方向d2及び回転軸aに沿った方向に延在し、第2方向d2にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、回転軸aに垂直な全ての方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0068】
上記のように構成された第1の実施形態に係る取付器具1a、並びに取付器具1a及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1aは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0069】
取付器具1aは、回転陽極型X線管装置95及び回転架台92間に介在されている。取付器具1aと言う単一機能部品のみにより、回転陽極型X線管装置95から回転架台92への振動の伝達を長期に亘って抑制することができる。
【0070】
陽極85等の回転動作に伴ってX線管80が振動エネルギを発生すると、振動エネルギは、X線管80の取付部87及びハウジング70を介して取付器具1aに伝達される。上記のように緩衝部材3a、3bは振動に伴う微細なせん断変形を生じることで上記振動を減衰又は吸収可能であるため、取付器具1aは、回転架台92への振動エネルギの伝達を低減することができる。
【0071】
このため、回転架台92への振動エネルギの伝達による騒音の発生を抑制することができる。このため、X線技師や医師等による検査の妨げになったり、被検体93(患者)に不安感を与えたりする問題を排除することができる。
また、回転架台92から検出器列98への振動エネルギの伝達も低減されるため、解像特性への悪影響を排除することができる。
【0072】
さらに、緩衝部材3a、3bは、回転陽極型X線管装置95の荷重を直接負担することがないため、過大な荷重による、使用中の焦点位置の移動や、疲労破壊の発生を防止することができる。
【0073】
なお、緩衝部材3a、3bに回転陽極型X線管装置95の全荷重が加わると仮定すると、緩衝部材3a、3bの変形が大きく、長期に使用した場合に疲労して短寿命となる恐れがある。また、回転架台92の動作に応じて回転陽極型X線管装置95の姿勢が変化した場合に緩衝部材3a、3bの変形量が変化することに伴って、X線焦点位置も変化してしまうため、異なる架台位置で撮影した画像間の比較を行う場合などで、解像特性が低下してしまう恐れが高くなってしまう。
【0074】
上記したことから、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0075】
次に、第2の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
この実施形態において、X線装置90は、取付器具1aの替わりに取付器具1cを備えている。このため、回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介すること無しに回転架台92に直接取り付けられている。X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。
【0077】
図7は、回転陽極型X線管装置95を示す断面図である。図8及び図9は、図7に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管80の取付部87がハウジング70に取付器具1cを介して取り付けられている状態を示す図である。図10は、取付器具1cを示す断面図である。
【0078】
図7乃至図10に示すように、取付器具1cは、第1の実施形態の取付器具1aと概ね同様に形成され、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0079】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。第1取付面S4aは、取付部87(X線管80)に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第1取付面S4aは、X線管80に直接取り付けられ、電気絶縁体87aに接触している。支持部材2は、剛性を示すものである。
【0080】
支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ第1取付面S4a及び第2取付面S5aに平行であり、回転軸aに直交した方向に沿って延出して板状に形成されている。
【0081】
ここで、第3方向d3は、回転軸aから傾斜している。第4方向d4は、回転軸aから傾斜し、第3方向d3に交差している。
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4aに平行な面と、第3方向d3に平行な面と、第4方向d4に平行な面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5aに平行な面と、第3方向d3に平行な面と、第4方向d4に平行な面とを有している。
【0082】
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
締め具としてのネジ88は、取付部87及び電気絶縁体87aに形成された貫通孔を通って第1構造体4のネジ孔に締め付けられている。また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、取付部87(真空外囲器81)及び第1構造体4間に挟持され、真空外囲器81及び第1構造体4(ハウジング70)間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。
【0083】
X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。第2取付面S5aは、ハウジング70に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S5aは、ハウジング70に直接取り付けられている。
【0084】
締め具としてのネジ9は、第2構造体5に形成された貫通孔を通ってハウジング70のネジ孔に締め付けられている。ハウジング70は、X線管80を固定している。取付器具1cがX線管80及びハウジング70間に介在されていることは言うまでもない。
【0085】
図9及び図10に示すように、緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0086】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、X線管80の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、X線管80から加わる振動を減衰又は吸収し、X線管80から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0087】
この実施形態において、一方の緩衝部材3aは、第3方向d3並びに第3方向d3及び回転軸aに直交した方向に延在し、第3方向d3にせん断変形することができ、他方の緩衝部材3bは、第4方向d4並びに第4方向d4及び回転軸aに直交した方向に延在し、第4方向d4にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、第3方向d3及び第4方向d4を含む面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0088】
上記のように構成された第2の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1cは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0089】
取付器具1cは、X線管80及びハウジング70間に介在されている。取付器具1cと言う単一機能部品のみにより、X線管80からハウジング70への振動の伝達を長期に亘って抑制することができる。
【0090】
X線管80が発生する振動エネルギは、X線管80の取付部87を介して取付器具1cに伝達される。上記のように緩衝部材3a、3bは振動に伴う微細なせん断変形を生じることで上記振動減衰又は吸収が可能であるため、取付器具1cは、ハウジング70、ひいては回転架台92への振動エネルギの伝達を低減することができる。
【0091】
このため、回転架台92への振動エネルギの伝達による騒音の発生を抑制することができる。このため、X線技師や医師等による検査の妨げになったり、被検体93(患者)に不安感を与えたりする問題を排除することができる。
また、回転架台92から検出器列98への振動エネルギの伝達も低減されるため、解像特性への悪影響を排除することができる。さらに、緩衝部材3a、3bは、X線管80の荷重を直接負担することがないため、過大な荷重による、使用中の焦点位置の移動や、疲労破壊の発生を防止することができる。
【0092】
上記したことから、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1c、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0093】
次に、第3の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a以外、上記第1の実施形態と同様に形成されている。
【0094】
図11は取付器具1aを示す断面図である。
図11に示すように、取付器具1aは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0095】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。支持部材2は、剛性を示すものである。支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4及び第2構造体5は、対向する一対の側縁部にて連結されている。
【0096】
第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ回転軸aに沿って延出して板状に形成されている。
【0097】
ここで、第5方向d5は、回転軸aに垂直であり、第1取付面S4a及び第2取付面S5aに平行である。第6方向d6は、回転軸aに垂直であり、第5方向d5に直交している。
【0098】
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4a(第5方向d5)に平行な面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5a(第5方向d5)に平行な面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
【0099】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、振動減衰材料で形成されている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0100】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
【0101】
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0102】
この実施形態において、緩衝部材3は、第5方向d5及び回転軸aに沿った方向に延在し、第5方向d5および回転軸aに平行となる方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、第5方向d5および回転軸aに平行となる方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0103】
上記のように構成された第3の実施形態に係る取付器具1a、並びに取付器具1a及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1aは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0104】
上記したことから、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0105】
次に、第4の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a以外、上記第1の実施形態と同様に形成されている。
図12は取付器具1aを示す断面図であり、図13は取付器具1aを示す斜視図である。
図12及び図13に示すように、取付器具1aは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。
【0106】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有している。支持部材2は、剛性を示すものである。支持部材2は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bをさらに有している。支持部材2は、第1構造体4と、第1構造体4に連結された第2構造体5と、をさらに有している。第1構造体4及び第2構造体5は、対向する一対の側縁部にて連結されている。
【0107】
第1構造体4は、第1取付面S4a及び第1隙間形成面S4bを含んでいる。第2構造体5は、第2取付面S5a及び第2隙間形成面S5bを含んでいる。第1構造体4及び第2構造体5は、それぞれ回転軸aに沿って延出して板状に形成されている。
【0108】
第1隙間形成面S4bは、第1取付面S4a(第5方向d5)に平行な3つの面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。第2隙間形成面S5bは、第2取付面S5a(第5方向d5)に平行な3つの面と、第6方向d6に平行な2つの面とを有している。
支持部材2は、内部に隙間が形成されている(空間を有している)ため、バネ性を有する形状である。
【0109】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、振動減衰材料で形成されている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接し、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は第1隙間形成面S4b及び第2隙間形成面S5bに接着されている。
【0110】
支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
【0111】
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減させる。
【0112】
この実施形態において、緩衝部材3a、3bは、それぞれ第6方向d6及び回転軸aに沿った方向に延在し、第6方向d6及び回転軸aに平行な方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、第6方向d6及び回転軸aに平行な方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0113】
上記のように構成された第4の実施形態に係る取付器具1a、並びに取付器具1a及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、取付器具1aは、第1取付面S4a及び第1取付面S4aに対向した第2取付面S5aを有し、剛性を示す支持部材2と、支持部材2より剛性の低い緩衝部材3a、3bと、を備えている。支持部材2は、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3a、3bに加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3a、3bは、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0114】
上記したことから、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S4a及び第2取付面S5a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
ここで、上述した第2の実施形態に係る取付器具1cを、第3乃至第4の実施形態に係る取付器具1aの何れかと同様に構成してもよい。
【0115】
次に、第5の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0116】
この実施形態において、X線装置90は、取付器具1aの替わりに取付器具1cを備えている。このため、回転陽極型X線管装置95は、取付器具1aを介すること無しに回転架台92に直接取り付けられている。X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。
【0117】
図14は、回転陽極型X線管装置95を示す断面図である。図15及び図16は、図14に示した回転陽極型X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、X線管80の取付部87がハウジング70に取付器具1cを介して取り付けられている状態を示す図である。図17は、図16に示した取付部87、ハウジング70及び取付器具1cを示す分解断面図である。
【0118】
図14乃至図17に示すように、取付部87は、平坦な取付面S87aを有している。この実施形態において、取付部87は電気絶縁体87aで覆われているため、取付面S87aは電気絶縁体87aの外面で形成されている。なお、電気絶縁体87aは、緩衝部材3に対向した領域には形成されていない。
【0119】
ここで、第7方向d7は、取付面S87aに平行であり、回転軸aに直交している。
ハウジング70は、取付部71を有している。取付部71は、取付部87に間隔を置いて対向し、ハウジング70の外面から取付部87側に突出して形成されている。この実施形態において、互いに対向した取付部71及び取付部87の表面は、回転軸a及び第7方向d7に沿った平坦な面である。
【0120】
取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。支持部材2は、取付部87の取付面S87aに垂直な方向に延在して形成され、取付部87の取付面S87aに取り付けられた第1取付面S6a及びハウジング70に取り付けられた第2取付面S6bを有している。支持部材2は、剛性を示すものである。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。
【0121】
この実施形態において、支持部材2は、継手部としての複数の柱状部6を有している。柱状部6は、取付部87の取付面S87aに垂直な方向に延在して形成され、第1取付面S6a及び第2取付面S6bを有している。
【0122】
柱状部6は、取付部71及び取付部87間の隙間を保持しているため、支持部材2は、バネ性を有する形状である。
第2取付面S6bは、ハウジング70に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S6bは、ハウジング70に直接取り付けられている。柱状部6は、ネジ孔6h及びネジ部6sを有している。なお、柱状部6をネジと捉えると、ネジ部6sをネジの軸部と言い替えることができる。ネジ部6sは、ハウジング70に形成されたネジ孔70aに締め付けられている。
【0123】
締め具としてのネジ88は、取付部87及び電気絶縁体87aに形成された貫通孔を通って柱状部6のネジ孔6hに締め付けられている。また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、取付部87(真空外囲器81)及び柱状部6(支持部材2)間に挟持され、真空外囲器81及び柱状部6(ハウジング70)間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。
【0124】
X線管80は、取付器具1cを介してハウジング70に間接的に取り付けられている。ハウジング70は、X線管80を固定している。取付器具1cがX線管80及びハウジング70間に介在されていることは言うまでもない。
【0125】
図16及び図17に示すように、緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、取付部71(ハウジング70)及び取付部87に接し、取付部71及び取付部87間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、取付部71及び取付部87の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は取付部71及び取付部87に接着されている。
【0126】
支持部材2は、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に加わる外力を支持し、すなわち、X線管80の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、X線管80から加わる振動を減衰又は吸収し、X線管80から第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動を軽減させる。
【0127】
この実施形態において、緩衝部材3は、回転軸a及び第7方向d7を含む面方向に延在し、回転軸a及び第7方向d7を含む面方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、回転軸a及び第7方向d7を含む面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0128】
上記のように構成された第5の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、取付部87の取付面S87aに垂直な方向に延在して形成され、取付部87の取付面S87aに取り付けられた第1取付面S6a及びハウジング70に取り付けられた第2取付面S6bを有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、取付部87及びハウジング70に接し、取付部87及びハウジング70間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0129】
支持部材2は、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動を軽減可能である。このため、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0130】
また、電気絶縁体87aは、電気絶縁性を示し、真空外囲器81及び柱状部6(ハウジング70)間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。このため、真空外囲器81及びハウジング70間を良好に絶縁することができる。
【0131】
上記したことから、振動(第1取付面S6a及び第2取付面S6b間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0132】
次に、第6の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a、ハウジング70以外、上記第1の実施形態と同様に形成されている。
【0133】
図18は、回転陽極型X線管装置95及び取付器具1aを示す断面図である。図19は、図18に示したハウジング70及び取付器具1aを示す断面図である。図20は、図19に示したハウジング70及び取付器具1aを示す分解断面図である。
【0134】
図18乃至図20に示すように、回転陽極型X線管装置95は、ハウジング70の外側に位置した平坦な取付面S70と、取付面S70から外れてハウジング70の外側に位置した突出部73と、を有している。この実施形態において、取付面S70は、ハウジング70の外面の一部で形成されている。突出部73は、ハウジング70の外面から突出して形成されている。突出部73の外面は、取付面S70に平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。
【0135】
取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。支持部材2は、剛性を示すものである。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。支持部材2は、構造体11と、継手部としての複数の柱状部12とを有している。
【0136】
柱状部12は、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して柱状に形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んでいる。構造体11は、板状に形成され、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んでいる。構造体11は、ハウジング70に隙間を置いて対向している。突出部73と対向した側の構造体11の表面は、取付面S70に平行な面と、第1方向d1に平行な面と、第2方向d2に平行な面とを有している。
【0137】
柱状部12は、ネジ孔12h及びネジ部12sを有している。なお、柱状部12をネジと捉えると、ネジ部12sをネジの軸部と言い替えることができる。ネジ部12sは、ハウジング70に形成されたネジ孔70bに締め付けられている。
【0138】
構造体11には、貫通孔11cと、貫通孔11cに繋がった溝部11bと、ネジ孔11aとが形成されている。締め具としてのネジ10は、貫通孔11cを通って、柱状部12のネジ孔12hに締め付けられている。ネジ10の頭部は溝部11bに収容可能であるため、ネジ10は第2取付面S11aから突出していない。
柱状部12は、構造体11及びハウジング70間の隙間を保持しているため、支持部材2は、バネ性を有する形状である。
なお、柱状部12及び構造体11は、一体成形されていてもよい。この場合、別途ネジ等を用いて支持部材2をハウジング70に取り付ければよい。
【0139】
第2取付面S11aは、回転架台92に直接若しくは間接的に取り付けられている。この実施形態において、第2取付面S11aは、回転架台92に直接取り付けられている。図示しないが、締め具としてのネジは、回転架台92に形成された貫通孔を通って構造体11のネジ孔11aに締め付けられている。回転架台92は、回転陽極型X線管装置95を固定している。取付器具1aが回転陽極型X線管装置95及び回転架台92間に介在されていることは言うまでもない。
【0140】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。この実施形態において、緩衝部材3はゴムを主成分とする材料で形成されている。緩衝部材3は、突出部73(ハウジング70)及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、突出部73及び構造体11の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は突出部73及び構造体11に接着されている。
【0141】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。
【0142】
この実施形態において、一方の緩衝部材3aは、第1方向d1及び回転軸aに沿った方向に延在し、第1方向d1にせん断変形することができ、他方の緩衝部材3bは、第2方向d2及び回転軸aに沿った方向に延在し、第2方向d2にせん断変形することができる。しかし、柱状部12は、その軸方向(d6方向)に沿った力に対しては剛性が高いため、突出部73に対してd6方向に作用する振動を緩衝部材3a、3bによって減衰又は吸収することは困難である。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、回転軸aに平行な方向およびそれに垂直な方向d5に作用する振動のみ減衰又は吸収することができる。
【0143】
上記のように構成された第6の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んだ柱状部12と、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んだ構造体11と、を有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、突出部73及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0144】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0145】
上記したことから、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0146】
次に、第7の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第6の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a、ハウジング70以外、上記第6の実施形態と同様に形成されている。
【0147】
図21は、ハウジング70及び取付器具1aを示す断面図である。図22は、ハウジング70及び取付器具1aを示す斜視図である。図23は、図21に示したハウジング70及び取付器具1aを示す分解断面図である。
図21乃至図23に示すように、突出部73の外面は、取付面S70及び第5方向d5に平行な面を有している。
【0148】
取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。支持部材2は、剛性を示すものである。この実施形態において、支持部材2は、金属を主成分とする材料で形成されている。支持部材2は、構造体11と、継手部としての複数の柱状部12とを有している。
【0149】
柱状部12は、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して柱状に形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んでいる。構造体11は、板状に形成され、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んでいる。構造体11は、ハウジング70に隙間を置いて対向している。突出部73と対向した側の構造体11の表面は、取付面S70及び第5方向d5に平行な面を有している。
柱状部12は、構造体11及びハウジング70間の隙間を保持しているため、支持部材2は、バネ性を有する形状である。
【0150】
緩衝部材3は支持部材2より剛性が低いものである。この実施形態において、緩衝部材3はゴムを主成分とする材料で形成されている。緩衝部材3は、突出部73(ハウジング70)及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、突出部73及び構造体11の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は突出部73及び構造体11に接着されている。
【0151】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、すなわち、回転陽極型X線管装置95の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、回転陽極型X線管装置95から加わる振動を減衰又は吸収し、回転陽極型X線管装置95から第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減させる。
【0152】
この実施形態において、緩衝部材3は、回転軸a及び第5方向d5を含む面方向に延在し、回転軸a及び第5方向d5を含む面方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、回転軸a及び第5方向d5を含む面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0153】
上記のように構成された第7の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んだ柱状部12と、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んだ構造体11と、を有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、突出部73及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0154】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0155】
上記したことから、上述した第6の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0156】
次に、第8の実施形態に係る取付器具、並びに取付器具及び回転陽極型X線管装置を備えたX線装置について詳細に説明する。この実施形態において、上記第7の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施形態において、取付器具1a以外、上記第7の実施形態と同様に形成されている。
【0157】
図24は、ハウジング70及び取付器具1aを示す断面図である。図25は、図24に示したハウジング70及び取付器具1aを示す分解断面図である。
図24及び図25に示すように、突出部73の外面は、第5方向d5に平行な面及び第6方向d6に平行な面を有している。取付器具1cは、支持部材2と、緩衝部材3と、を備えている。突出部73と対向した側の構造体11の表面は、第5方向d5に平行な面及び第6方向d6に平行な面を有している。
【0158】
緩衝部材3は支持部材2より剛性の低いものである。緩衝部材3は、突出部73(ハウジング70)及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、突出部73及び構造体11の少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は突出部73及び構造体11に接着されている。
【0159】
この実施形態において、緩衝部材3a、3bは、それぞれ第6方向d6及び回転軸aに沿った方向に延在し、回転軸aに平行な方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3a、3bを用いることにより、回転軸aに平行な方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0160】
上記のように構成された第8の実施形態に係る取付器具1c、並びに取付器具1c及び回転陽極型X線管装置95を備えたX線装置90によれば、支持部材2は、剛性を示し、ハウジング70の取付面S70に垂直な方向に延在して形成され、ハウジング70の取付面S70に取り付けられた第1取付面S12aを含んだ柱状部12と、柱状部12に結合され、第2取付面S11aを含んだ構造体11と、を有している。緩衝部材3は、支持部材2より剛性が低く、突出部73及び構造体11に接し、突出部73及び構造体11間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0161】
支持部材2は、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に加わる外力を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減可能である。緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動を軽減可能である。
【0162】
上記したことから、上述した第8の実施形態と同様の効果を得ることができ、振動(第1取付面S12a及び第2取付面S11a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる取付器具1a、回転陽極型X線管装置95及びX線装置90を得ることができる。
【0163】
次に、第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置について詳細に説明する。
図26は、回転陽極型X線管装置20を示す概略構成図である。図27は、回転陽極型X線管装置20のX線管21を示す斜視図である。
【0164】
図26及び図27に示すように、回転陽極型X線管装置20は、回転陽極型のX線管21と、回転駆動機構として磁界を発生させるステータコイル(電磁コイル)24と、X線管21及びステータコイル24を収容したハウジング(X線管収納容器)22と、ハウジング22内に充填された冷却液としての絶縁油23とを備えている。
【0165】
全てを図示しないが、X線管21は、電子を放出する陰極、陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器25を有している。陽極ターゲットは、回転動作の中心軸となる回転軸aを中心に回転可能である。
【0166】
真空外囲器25は、円筒状に形成されている。真空外囲器25は金属容器及びガラス容器で形成されている。真空外囲器25は、金属容器の一部に形成され、X線を外部に透過させるX線透過窓21aを有している。真空外囲器25の内部は真空状態に維持されている。
【0167】
ステータコイル24は、真空外囲器25の外側を囲むように設けられている。ステータコイル24に所定の電流が供給されることで、陽極等が所定の速度で回転される。
ハウジング22は、X線を外部に放射させるX線放射窓27を有している。ハウジング22の内部には、X線管21及びステータコイル24が収容されている他、絶縁油23が充填されている。
【0168】
図28は、回転陽極型X線管装置20の一部を拡大して示す断面図であり、X線管21の取付部26、ハウジング22及び緩衝部材3を示す図である。図29は、取付部26、ハウジング22及び緩衝部材3を示す分解断面図である。
【0169】
図27乃至図29に示すように、X線管21は、ハウジング22に直接又は間接的に取り付けられている。この実施形態において、X線管21は、ハウジング22に直接取り付けられている。
【0170】
詳述すると、X線管21は、真空外囲器25の外側に位置した取付部26を有している。取付部26は、真空外囲器25の金属容器の外面から突出して平板状に形成されている。取付部26がハウジング22と対向した方向において、取付部26の両面は電気絶縁体26aで覆われている。電気絶縁体26aは、例えばエポキシ樹脂で形成されている。
【0171】
この実施形態において、電気絶縁体26aはエポキシ樹脂を取付部26にコーティングすることにより形成されている。コーティングする際、取付部26に貫通孔が形成されている状態で行われるため、取付部26の貫通孔もエポキシ樹脂でコーティングされる。
【0172】
取付部26は、取付面としての平坦な取付面S26aを有している。この実施形態において、取付部26は電気絶縁体26aで覆われているため、取付面S26aは電気絶縁体26aの外面で形成されている。また、取付部26には、貫通孔26bが形成されている。
【0173】
この実施形態において、ハウジング22は、ネジ孔22a及び凹部22bを有している。ネジ孔22aは貫通孔26bに対向している。凹部22bは取付面S26aに対向している。ハウジング22は、取付部26の取付面S26aに接する取付面S22aと、取付部26の取付面S26aに間隔を置いて対向した隙間形成面S22bと、を有している。この実施形態において、隙間形成面S22bは凹部22bの底面である。
【0174】
締め具としてのネジ(ボルト)29は、取付部26に形成された貫通孔26bを通ってハウジング22のネジ孔22aに締め付けられている。これにより、取付面S26a及び取付面S22aが接し、X線管21はハウジング22に固定される。ハウジング22は、X線管21から加わるX線管21の荷重を支持している。また、電気絶縁体26aは、電気絶縁性を示し、取付部26(真空外囲器25)及びハウジング22間に挟持され、真空外囲器25及びハウジング22間を電気的に絶縁するスペーサとして機能している。
【0175】
なお、X線管21が、複数個所でハウジング22に取り付けられていることは言うまでもない。ネジ29は、貫通孔26bとの間に隙間を形成することになるため、バネ性を有するものである。
【0176】
緩衝部材3は剛性が低いものである。緩衝部材3は、例えば、ゴム、樹脂、発泡体で形成されている。この実施形態において、緩衝部材3はゴムで形成されている。緩衝部材3は、振動を減衰又は吸収することから、振動減衰部材(又は振動吸収部材)と言うことができる。
【0177】
緩衝部材3は、取付部26の取付面S26a及びハウジング22の隙間形成面S22bに接し、取付面S26a及び隙間形成面S22b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。緩衝部材3は、取付面S26a及び隙間形成面S22bの少なくとも一方に接着されている。この実施形態において、緩衝部材3は取付面S26a及び隙間形成面S22bに接着されている。緩衝部材3は、取付面S26a及び隙間形成面S22b間に挟持され、わずかに圧縮された状態で凹部22bに収容されている。
【0178】
ハウジング22は、取付面S26a及び取付面S22a間に加わる外力を支持し、すなわち、X線管21の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる外力を軽減させる。
緩衝部材3は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、取付面S26a及び取付面S22a間に伝わる振動を軽減させる。すなわち、緩衝部材3は、X線管21からハウジング22に加わる振動を減衰又は吸収し、X線管21から取付面S26a及び取付面S22a間に伝わる振動を軽減させる。
【0179】
この実施形態において、緩衝部材3は、回転軸a及び第5方向d5に沿った面方向に延在し、回転軸a及び第5方向d5に沿った面方向にせん断変形することができる。このため、緩衝部材3を用いることにより、回転軸a及び第5方向d5に沿った面方向に作用する振動を減衰又は吸収することができる。
【0180】
上記のように構成された第9の実施形態に係る回転陽極型X線管装置20によれば、回転陽極型X線管装置20は、X線管21と、X線管21が直接又は間接的に取り付けられ、X線管21を収納するハウジング22と、緩衝部材3とを備えている。X線管21は、真空外囲器25の外側に位置し、取付面S26aを具備した取付部26を有し、ハウジング22に直接取り付けられている。ハウジング22は、取付面S22aと、隙間形成面S22bとを有している。緩衝部材3は、取付面S26a及び隙間形成面S22bに接し、取付面S26a及び隙間形成面S22b間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めている。
【0181】
ハウジング22は、X線管21から加わるX線管21の荷重を支持し、緩衝部材3に加わる上記荷重を軽減させることができる。緩衝部材3は、X線管21から加わる振動を減衰又は吸収し、X線管21からハウジング22に伝わる振動を軽減させることができる。
【0182】
X線管21が振動エネルギを発生すると、振動エネルギは、X線管21の取付部26にも伝達される。上記のように緩衝部材3は振動に伴う微細なせん断変形を生じることで上記振動を軽減可能であるため、ハウジング22やネジ29への振動エネルギの伝達を低減することができる。ネジ29の緩みを抑制することができ、すなわち、ネジ29が緩まない構造を得ることができる。
【0183】
また、緩衝部材3が熱的な影響を受けることにより多少劣化してもハウジング22によるX線管21の固定は維持されるため、X線管21のがたつきを抑制することができる。
上記したことから、振動(取付面S26a及び取付面S22a間に伝わる振動)を長期に亘って軽減させることができる回転陽極型X線管装置20を得ることができる。
【0184】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0185】
(1)ゴム板を使った場合等、緩衝部材3がゴムで形成されている場合、緩衝部材3の上面と下面で面に平行な方向に相対変位した場合に働くせん断応力に基づくエネルギ吸収能を利用している。緩衝部材3は、厚み方向に対しては高い剛性を示す。また、無荷重状態でゴムには引張力は働いていない。緩衝部材3は、比較的低い圧縮力または無圧力となるように金属製(アルミニウム合金、ステンレス鋼など)の部材間の隙間に配置されている。ゴム面と金属面とは接着剤で接着させることが望ましいが、圧縮力をかけて組み込んだ場合には摩擦力が生じているため、必ずしも面同士を接着させなくてもよい。
【0186】
X線装置がX線CTスキャナの場合、回転陽極型X線管装置95(冷却器97を除く)の重量は標準的に40kgf乃至80kgfであり、回転架台92が回転することによる遠心力の加速度は20G乃至30Gにも達する。このため回転架台92が回転している場合に回転陽極型X線管装置95の取付板にかかる荷重は0.8t乃至2.4tとなる。このような大きな荷重を特許文献1に開示されるようなゴム支承で受けるとゴム部品の変形が大きく、長期に使用した場合に疲労して短寿命となる恐れが非常に高い。
【0187】
上記実施形態では、回転陽極型X線管装置95が取り付けられる部分などを適度なバネ性(バネ剛性)を持つように設計することにより、その部分とより剛性が高い部分との隙間に、隙間をつなぐように緩衝部材3(ゴム板等)を配置することにより、振動を減衰又は吸収することを可能としている。1.2t乃至3.0tもの高荷重は金属性の支持部材2で支承されるため、緩衝部材3にかかる荷重はごくわずかである。
【0188】
(2)回転陽極型X線管装置95の振動の主な原因は、使用中に陽極ターゲット85aにアンバランスが発生することであり、その振動方向は陽極ターゲット85aの回転軸aに垂直となり易い。このため、回転軸aに垂直となる方向に作用する振動を減衰又は吸収できるよう、緩衝部材3や取付器具1を設けることが好ましい。
【0189】
(3)緩衝部材3の位置や個数は、特に限定されるものではなく、種々変形可能である。また、緩衝部材3は、ゴム板と鋼板とを交互に複数層重ねて接着させて形成されていてもよい。この場合には上述した実施形態の緩衝部材3よりも圧縮剛性と水平剛性の比をより高めることができる。
【0190】
(4)緩衝部材3で振動を吸収する際、第6の実施形態のように、緩衝部材3の圧縮方向の変位がせん断方向の変位と同時に生じるようにしても良い。このようにすることにより、緩衝部材3のバネ定数を調整することが可能となる。
【0191】
(5)緩衝部材3を形成する際は、ゴムを未硬化の液状ゴムとして隙間の一部に充填し、充填後に硬化させてもよい。この際、一般に知られている充填方法や硬化方法を利用することができる。
【0192】
(6)冷却器97の重量は30kgf乃至40kgfもあるため、取付器具1bを上述した取付器具1aや取付器具1cと同様に形成してもよく、この場合、高い振動低減効果を得ることができる。
【0193】
(7)X線装置としては、X線CTスキャナに限らず、例えば循環器検査用のCアーム装置に適用することができる。X線CTスキャナほど架台の移動スピードは速くはないが、X線管装置の重量は50kgf程度あり、本発明を適用することで振動低減効果を得ることができる。
【0194】
(8)第10の実施形態において、ハウジング22に凹部が形成されているが、これにかぎらず、取付部26が十分な厚みを有している場合は取付部26に凹部を形成してもよい。
【0195】
この発明は、上記取付器具1、回転陽極型X線管装置20、95及びX線装置90に限らず、各種の取付器具、回転陽極型X線管装置及びX線装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0196】
1,1a,1b,1c…取付器具、2…支持部材、3,3a,3b,3c…緩衝部材、4…第1構造体、5…第2構造体、6,12…柱状部、11…構造体、20…回転陽極型X線管装置、21,80…X線管、22,70…ハウジング、22b…凹部、25,81…真空外囲器、26,71,87…取付部、26a…電気絶縁体、73…突出部、77…冷却液、82…金属容器、85…陽極、86…陰極、87a…電気絶縁体、90…X線装置、92…回転架台、95…回転陽極型X線管装置、97…冷却器、S4a,S6a,S12a…第1取付面、S5a,S6b,S11a…第2取付面、S22a,S26a,S70,S71,S87a…取付面、S4b…第1隙間形成面、S5b…第2隙間形成面、S22b…隙間形成面、a…回転軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1取付面及び前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、
前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備え、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる外力を支持し、前記緩衝部材に加わる外力を軽減させ、
前記緩衝部材は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴とする取付器具。
【請求項2】
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、
前記X線管が直接又は間接的に取り付けられ、前記X線管を収納するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間に配置された緩衝部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記X線管から加わる前記X線管の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記X線管から加わる振動を減衰又は吸収し、前記X線管から前記ハウジングに伝わる振動を軽減させることを特徴とする回転陽極型X線管装置。
【請求項3】
前記X線管に直接若しくは間接的に取り付けられた第1取付面並びに前記第1取付面に対向し前記ハウジングに直接若しくは間接的に取り付けられた第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、前記支持部材より剛性の低い前記緩衝部材と、を備え、前記X線管及びハウジング間に介在された取付器具と、をさらに備え、
前記X線管は、前記取付器具を介して前記ハウジングに間接的に取り付けられ、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる前記X線管の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記X線管から加わる振動を減衰又は吸収し、前記X線管から前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴とする請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項4】
前記支持部材は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面及び第2隙間形成面をさらに有し、
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面に接し、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項3に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記第1取付面及び第1隙間形成面を含んだ第1構造体と、前記第2取付面及び第2隙間形成面を含み、前記第1構造体に連結された第2構造体と、をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面の少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項4に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項7】
前記X線管は、前記真空外囲器の外側に位置し、平坦な取付面を具備した取付部をさらに有し、
前記支持部材は、前記取付部の取付面に垂直な方向に延在して形成され、前記取付部の取付面に取り付けられた前記第1取付面及び前記ハウジングに取り付けられた前記第2取付面を有し、
前記緩衝部材は、前記取付部及び前記ハウジングに接し、前記取付部及び前記ハウジング間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項3に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項8】
前記緩衝部材は、前記取付部及び前記ハウジングの少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項7に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項9】
電気絶縁性を示し、前記取付部及び支持部材間に挟持され、前記取付部及び支持部材間を電気的に絶縁するスペーサをさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項10】
前記X線管は、前記真空外囲器の外側に位置し、取付面を具備した取付部をさらに有し、前記ハウジングに直接取り付けられ、
前記ハウジングは、前記取付部の取付面に接する取付面と、前記取付部の取付面に間隔を置いて対向した隙間形成面と、を有し、
前記緩衝部材は、前記取付部の取付面及び前記ハウジングの隙間形成面に接し、前記取付面及び隙間形成面間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項11】
前記緩衝部材は、ゴムを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項2、3又は10の何れか1項に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項12】
前記支持部材は、金属を主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項13】
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、前記X線管を収納するハウジングと、を備えた回転陽極型X線管装置と、
前記回転陽極型X線管装置に直接若しくは間接的に取り付けられた第1取付面並びに前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備えた取付器具と、を具備し、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる前記回転陽極型X線管装置の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記回転陽極型X線管装置から加わる振動を減衰又は吸収し、前記回転陽極型X線管装置から前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴とするX線装置。
【請求項14】
前記回転陽極型X線管装置が前記取付器具を介して間接的に取り付けられ、前記回転陽極型X線管装置を固定する可動架台をさらに備え、
前記取付器具は、前記回転陽極型X線管装置及び可動架台間に介在され、
前記第2取付面は、前記可動架台に直接若しくは間接的に取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載のX線装置。
【請求項15】
前記支持部材は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面及び第2隙間形成面をさらに有し、
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面に接し、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項14に記載のX線装置。
【請求項16】
前記支持部材は、前記第1取付面及び第1隙間形成面を含んだ第1構造体と、前記第2取付面及び第2隙間形成面を含み、前記第1構造体に連結された第2構造体と、をさらに有していることを特徴とする請求項15に記載のX線装置。
【請求項17】
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面の少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項15に記載のX線装置。
【請求項18】
前記回転陽極型X線管装置は、前記ハウジングの外側に位置した平坦な取付面と、前記取付面から外れて前記ハウジングの外側に位置した突出部と、をさらに有し、
前記支持部材は、前記ハウジングの取付面に垂直な方向に延在して形成され、前記ハウジングの取付面に取り付けられた前記第1取付面を含んだ継手部と、前記継手部に結合され、前記第2取付面を含んだ構造体と、をさらに有し、
前記緩衝部材は、前記突出部及び前記構造体に接し、前記突出部及び前記構造体間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項19】
前記取付器具の支持部材は、一体成形されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項20】
前記緩衝部材は、前記突出部及び前記構造体の少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項21】
前記緩衝部材は、ゴムを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項13又は14の何れか1項に記載のX線装置。
【請求項22】
前記支持部材は、金属を主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項1】
第1取付面及び前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、
前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備え、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる外力を支持し、前記緩衝部材に加わる外力を軽減させ、
前記緩衝部材は、外部から加わる振動を減衰又は吸収し、前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴とする取付器具。
【請求項2】
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、
前記X線管が直接又は間接的に取り付けられ、前記X線管を収納するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間に配置された緩衝部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記X線管から加わる前記X線管の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記X線管から加わる振動を減衰又は吸収し、前記X線管から前記ハウジングに伝わる振動を軽減させることを特徴とする回転陽極型X線管装置。
【請求項3】
前記X線管に直接若しくは間接的に取り付けられた第1取付面並びに前記第1取付面に対向し前記ハウジングに直接若しくは間接的に取り付けられた第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、前記支持部材より剛性の低い前記緩衝部材と、を備え、前記X線管及びハウジング間に介在された取付器具と、をさらに備え、
前記X線管は、前記取付器具を介して前記ハウジングに間接的に取り付けられ、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる前記X線管の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記X線管から加わる振動を減衰又は吸収し、前記X線管から前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴とする請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項4】
前記支持部材は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面及び第2隙間形成面をさらに有し、
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面に接し、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項3に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記第1取付面及び第1隙間形成面を含んだ第1構造体と、前記第2取付面及び第2隙間形成面を含み、前記第1構造体に連結された第2構造体と、をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面の少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項4に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項7】
前記X線管は、前記真空外囲器の外側に位置し、平坦な取付面を具備した取付部をさらに有し、
前記支持部材は、前記取付部の取付面に垂直な方向に延在して形成され、前記取付部の取付面に取り付けられた前記第1取付面及び前記ハウジングに取り付けられた前記第2取付面を有し、
前記緩衝部材は、前記取付部及び前記ハウジングに接し、前記取付部及び前記ハウジング間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項3に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項8】
前記緩衝部材は、前記取付部及び前記ハウジングの少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項7に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項9】
電気絶縁性を示し、前記取付部及び支持部材間に挟持され、前記取付部及び支持部材間を電気的に絶縁するスペーサをさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項10】
前記X線管は、前記真空外囲器の外側に位置し、取付面を具備した取付部をさらに有し、前記ハウジングに直接取り付けられ、
前記ハウジングは、前記取付部の取付面に接する取付面と、前記取付部の取付面に間隔を置いて対向した隙間形成面と、を有し、
前記緩衝部材は、前記取付部の取付面及び前記ハウジングの隙間形成面に接し、前記取付面及び隙間形成面間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項2に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項11】
前記緩衝部材は、ゴムを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項2、3又は10の何れか1項に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項12】
前記支持部材は、金属を主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転陽極型X線管装置。
【請求項13】
電子を放出する陰極、前記陰極から放出される電子が衝突されることによりX線を放出する回転可能な陽極ターゲット並びに前記陰極及び陽極ターゲットを収容した真空外囲器を有したX線管と、前記X線管を収納するハウジングと、を備えた回転陽極型X線管装置と、
前記回転陽極型X線管装置に直接若しくは間接的に取り付けられた第1取付面並びに前記第1取付面に対向した第2取付面を有し、剛性を示す支持部材と、前記支持部材より剛性の低い緩衝部材と、を備えた取付器具と、を具備し、
前記支持部材は、前記第1取付面及び第2取付面間に加わる前記回転陽極型X線管装置の荷重を支持し、前記緩衝部材に加わる前記荷重を軽減させ、
前記緩衝部材は、前記回転陽極型X線管装置から加わる振動を減衰又は吸収し、前記回転陽極型X線管装置から前記第1取付面及び第2取付面間に伝わる振動を軽減させることを特徴とするX線装置。
【請求項14】
前記回転陽極型X線管装置が前記取付器具を介して間接的に取り付けられ、前記回転陽極型X線管装置を固定する可動架台をさらに備え、
前記取付器具は、前記回転陽極型X線管装置及び可動架台間に介在され、
前記第2取付面は、前記可動架台に直接若しくは間接的に取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載のX線装置。
【請求項15】
前記支持部材は、互いに間隔を置いて対向した第1隙間形成面及び第2隙間形成面をさらに有し、
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面に接し、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項14に記載のX線装置。
【請求項16】
前記支持部材は、前記第1取付面及び第1隙間形成面を含んだ第1構造体と、前記第2取付面及び第2隙間形成面を含み、前記第1構造体に連結された第2構造体と、をさらに有していることを特徴とする請求項15に記載のX線装置。
【請求項17】
前記緩衝部材は、前記第1隙間形成面及び第2隙間形成面の少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項15に記載のX線装置。
【請求項18】
前記回転陽極型X線管装置は、前記ハウジングの外側に位置した平坦な取付面と、前記取付面から外れて前記ハウジングの外側に位置した突出部と、をさらに有し、
前記支持部材は、前記ハウジングの取付面に垂直な方向に延在して形成され、前記ハウジングの取付面に取り付けられた前記第1取付面を含んだ継手部と、前記継手部に結合され、前記第2取付面を含んだ構造体と、をさらに有し、
前記緩衝部材は、前記突出部及び前記構造体に接し、前記突出部及び前記構造体間に形成された隙間の少なくとも一部を埋めていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項19】
前記取付器具の支持部材は、一体成形されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項20】
前記緩衝部材は、前記突出部及び前記構造体の少なくとも一方に接着されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【請求項21】
前記緩衝部材は、ゴムを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項13又は14の何れか1項に記載のX線装置。
【請求項22】
前記支持部材は、金属を主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のX線装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図6】
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【図13】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−123931(P2012−123931A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271443(P2010−271443)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】
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