説明

取水槽

【課題】空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができ、かつ製造コストを抑えることができる取水槽を提供する。
【解決手段】取水槽1は、後部壁112から突出するとともに上下方向に延びる後部梁32と、一対の側壁113A,113Bとポンプ21とのそれぞれの間に設けられ、水の流れを制限する一対の制限手段とを備え、制限手段は、側壁113A,113Bからポンプ21方向へ突出するとともに上下方向に延びる側壁梁33A,33Bを有し、制限手段の少なくとも一方の側壁梁33Aは、上下方向において、水の後部壁112側への流れを制限する制限領域を異ならせていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラント、上下水道においては、河川等から水を取り入れて貯留するために水路に連通して取水槽が設けられ、この取水槽からポンプにより揚水し、揚水した水をそれぞれの使用対象に供給するようにしている。
ここで、ポンプによる揚水は、通常ベルマウス構造の吸い込み管から揚水を行っている。
【0003】
このような取水装置のうち、特に各種プラントに用いるものにおいては、例えば特許文献1に記載された装置のように、揚水した水を各種の装置に供給した後、これを回収して再び水路に戻し、取水槽に貯留する循環構造のものが多用されている。
【0004】
ところで、このような取水装置においては、下記特許文献1に記載の通り、循環する水の流速が速くなると、吸い込み管の周辺の空気が水と混合されて空気を含んだ空気吸い込み渦が発生する。また、水が取水装置の側面や底面、対向壁近くを通過してベルマウスに吸い込まれるときには、各壁を起点として水中渦も発生する。
【0005】
空気吸い込み渦が発生するとポンプの揚水性能が低下し、水中渦が発生すると振動が生じ、ポンプ内のインペラが損傷を受ける場合がある。
そこで、これら渦の発生を抑制するために、吸込管の上流側に対向する側壁に横梁を架設し(下記特許文献2参照)、吸込管の側方及び下流側の取水装置の壁から内方に向かって突出する梁を設ける構成が採用されている。
そして、横梁により、横梁の上流側から下流側に向かう水の流れを抑制することができるため、空気吸い込み渦の発生を防止することができる。また、水中渦が発生した場合でも、該渦が吸込管の側方及び下流側に設けられた梁と干渉することにより消勢された後、消失する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−213396号公報
【特許文献2】実公平3―11439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の特許文献2に記載の取水槽に設けられた横梁は、一般にコンクリート製で重量が大であることからして、側壁間に強固に横梁を設置することが困難であるという問題点があった。また、このような横梁を設置するにはコストが嵩むという問題点もあった。
そこで、横梁をなくす方法も考えられるが、この場合には、別途空気吸い込み渦の発生を抑制する方策を考えなければならなかった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができ、かつ製造コストを抑えることができる取水槽を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る取水槽は、内部に挿入されたポンプに対して取水側と反対側に位置する後部壁と、該後部壁から前記ポンプを挟んで設けられ取水側へと延びる一対の側壁とを有し、ポンプから揚水するための取水槽であって、前記後部壁から突出するとともに上下方向に延びる後部梁と、前記一対の側壁と前記ポンプとのそれぞれの間に設けられ、水の流れを制限する一対の制限手段とを備え、該制限手段は、前記側壁から前記ポンプ方向へ突出するとともに上下方向に延びる側壁梁を有し、前記制限手段の少なくとも一方の側壁梁は、上下方向において、前記水の後部壁側への流れを制限する制限領域を異ならせていることを特徴とする。
【0010】
このような取水槽では、取水槽のポンプと該ポンプの外周に設けられた側壁との間の水の流れは、該側壁に設けられた側壁梁により制限される。また、後部壁への流れを制限する制限領域が上下方向で異なる。これにより、ポンプの外周の上方と下方では、後部壁への水の流れの型が異なるため、上方から下方に同一の水の流れが形成されることにより生じる空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができる。
また、後部梁及び側壁梁は、それぞれ後部壁、側壁から内方に突出する構成であり、製造が容易であるため製造コストを抑えることができる。
【0011】
また、本発明に係る取水槽は、前記少なくとも一方の側壁梁は、上部と下部とにおいて、前記側壁からの突出長さを異ならせていることを特徴とする。
【0012】
これによって、水の流れに影響を及ぼすポンプから側壁梁までの距離が上部と下部において異なるため、上部と下部において後部壁への水の流れの型が異なる。よって、上方から下方に同一の水の流れが形成されることにより生じる空気吸い込み渦及び水中渦の発生を確実に抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係る取水槽は、前記少なくとも一方の側壁梁は、前記側壁から一定寸法t1突出した下部梁と、該下部梁の上側に設けられ、前記側壁から一定寸法t2突出した上部梁(t1>t2)とを有することを特徴とする。
【0014】
これによって、下部梁側の方が上部梁側よりも、水の後部壁側への流れを大きく制限する。よって、上方から下方に同一の水の流れが形成されることはなく、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を確実に抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る取水槽は、前記制限手段の一対の側壁梁は、互いにその長さを異ならせていることを特徴とする。
【0016】
これによって、長さの短い方の側壁梁側においては、ポンプから側壁梁までの距離が上部と下部において異なるため、上部と下部において後部壁への水の流れの型が異なる。よって、上方から下方に同一の水の流れが形成されることはなく、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を確実に抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る取水槽は、前記ポンプから前記取水側には、前記一対の側壁とに跨って配される梁部材がないことを特徴とする。
【0018】
これによって、一対の側壁に両端を固定される梁部材の製造コストが不要となり、製造コストを確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る取水槽によれば、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができ、かつ製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係る取水槽の平面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る取水槽の図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る取水槽の図1のB−B断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る取水槽の図2のC−C部分における水の流れを示した模式図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る取水槽の図2のD−D部分における水の流れを示した模式図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る取水槽の側壁梁部分の断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る取水槽の側壁梁部分の断面図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る取水槽を高さh3部分における水の流れを示した図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る取水槽を高さh4部分における水の流れを示した図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る取水槽の側壁梁部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第一実施形態)
前述のように、循環する水の流速が速くなると、吸い込み管の周辺の空気が水と混合されて空気を含んだ空気吸い込み渦が発生する。また、水が取水装置の側面や底面、対向壁近くを通過してベルマウスに吸い込まれるときには、各壁を起点として水中渦も発生する。そこで、本発明は取水槽の上部と下部とで水の流れを異ならせることにより、上記渦の発生を抑制するものである。
以下、図面を参照し、本発明の第一実施形態に係る取水槽について説明する。
図1及び図2に示すように、水路Wに連通するように設けられた取水槽1は、水を貯留する槽本体11と、槽本体11の内部に配設され水を揚水するポンプ21と、槽本体11から内方に向かって突出する梁部31とを備える。ここで、図1に示す取水側となる右方を前方、左方を後方と称する。
【0022】
槽本体11は、床面を形成する床部111と、該床部111から立設し、ポンプ21の後方に配された後部壁112と、該後部壁112からポンプ21を挟んで設けられ前方へと延びる一対の側壁113A,113Bとを備える。
【0023】
ポンプ21は、槽本体11内の水を揚水し、その下端には揚水口としてベルマウス121が装着されている。
【0024】
梁部31は、後部壁112から突出するとともに上下方向に延びる後部梁32と、一対の側壁113A,113Bから内方へ突出するとともに上下方向に延びる一対の側壁梁33A,33Bとを備える。
【0025】
図2に示すように、後部梁32は、後部壁112から前方に突出する後部突出部131と、該後部突出部131の下部から前方に延在する後部延在部132とを備える。
後部突出部131は、床部111からポンプ21の途中部分までの高さh1で形成され、該ポンプ21との間に間隙を設けるようにして前方に突出している。
後部延在部132は、後部突出部131の下部から前方に向かって延在し、その高さは床部111からベルマウス121との間に間隙を設ける程度である。また、後部延在部132の前部は、前方に向かうにしたがって、下方に向かうように傾斜して形成されている。
【0026】
図3に示すように、側壁梁33Aは、床部111からポンプ21の途中部分までの高さh1で形成され、該ポンプ21との間に間隙を設けるようにして内方に突出している。一方、側壁梁33Bは、床部111からポンプ21の途中部分までの高さh2で形成され、該ポンプ21との間に間隙を設けるようにして内方に突出している。また、側壁梁33Aと側壁梁33Bとでは、上下方向における床部111から上端までの長さを互いに異ならせている。本実施形態では、側壁梁33Bの方が側壁梁33Aよりも高い。
また、側壁梁33Aと側壁梁33Bとは、互いに連結部136で連結されている。連結部136は、床部111の上面に設けられ、側壁梁33Aの下部と側壁梁33Bの下部とを連結している。また、連結部136の上部とベルマウス121との間に間隙が形成されている。
ここで、側壁梁33A,33Bは前方から後方へ向かう水の流れに対して、該流れを干渉する方向に設けられることにより該流れを制限する制限手段として構成されている。また、側壁梁33A,33Bは、側壁113A,113Bからの突出する面積分が前方から後方への水の流れを制限する。一方、側壁梁33Aの上方では、前方から後方への水の流れを制限する梁等が設けられていない。このように、床部111から高さh1までの部分と、高さh1以上の部分とで、下部に側壁梁33Aを設け、上部に梁を設けないことにより、水の流れと干渉する方向の制限領域を異ならせている。
なお、ポンプ21の前方には、側壁113Aと側壁113Bとに跨って配される梁部材(横梁など)は設けられていない。
【0027】
また、側壁梁33Aの高さh1の最小寸法は、床部111からベルマウス121までの高さh5以上とする。また、高さh1の最大寸法は、側壁梁33Bの高さh2からベルマウス121の高さh5を差し引いた長さh6とすると、(h2−h6/3)以下とする。
【0028】
次に、上記のように構成された取水槽1での水の流れについて説明する。
ここで、図4は取水槽1の上部である図2のC−C断面(高さh3)部分の水の流れを表した図であり、図5は取水槽1の下部である図2のD−D断面(高さh4)部分の水の流れを表した図である。
【0029】
水の流れの概略は、図4に示すように、水路W側から水が供給され、取水槽1で貯留された後、ポンプ21から揚水される。
以下、詳細に説明する。
水路W側から供給された水は、取水槽1の上部では、前方から後方に向かい、ポンプ21の外周で側壁113A側に向かう水流S1と、側壁113B側に向かう水流S2とに分岐する。ここで、側壁113B側の水流S2は側壁梁33Bにより、その流れが堰き止められることにより、制限される。一方、側壁113A側の水流S1は、図3に示すように高さh3部分には側壁梁33Aが存在しないため、その流れが制限されることがない。そして、水流S1は、ポンプ21の外周を図4に示す反時計回りに流れ、後部壁112の前方においては、高さh3部分に後部梁32が存在しないため、その流れが制限されることはない。このようにして、水流S1は水流S2よりも速く流れる構成である。
【0030】
図5に示すように、取水槽1の下部では、水は前方から後方に向かい、ポンプ21の外周で側壁113A側に向かう水流S3と、側壁113B側に向かう水流S4とに分岐する。ここで、側壁113A側の水流S3、側壁113B側の水流S4は、それぞれ側壁梁33A,33Bにより、その流れを制限される。よって、水流S3,S4は、その流れを略同一の速さでポンプ21の後部梁32に向かう構成である。
【0031】
このように構成された取水槽1では、例えば高さh3部分の上部の水流S1,S2と、高さh4部分の下部の水流S3,S4とでは、水の流れパターンが異なる。すなわち、高さh3部分では、水流S1の方が水流S2よりも大きく流れるのに対して、高さh4部分では、水流S3と水流S4とは略同一の速さである。よって、空気吸い込み渦及び水中渦は、上部と下部とで同一パターンの水の流れが形成されて、その流れが上下方向で連続することにより生じるのに対して、上部と下部とで水の流れパターンが異なるため、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができる。
また、上記により空気吸い込み渦を抑制できるため、一般に空気吸い込み渦の発生を抑制するための部材であって、ポンプ21の前方に、側壁113Aと側壁113Bとに跨って配される梁部材を設ける必要がない。よって、床部111に固定される後部梁32及び側壁梁33A,33Bのみの施工でよいため、側壁113Aと側壁113Bとに跨って配される梁部材を設ける場合と比較して、製造コストを確実に抑えることができる。
【0032】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る取水槽1Xついて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
図6に示すように、本実施形態では、側壁梁34Aとして、側壁113Aから突出した下部梁201と、該下部梁201の上側に設けられ、側壁113Aから突出した上部梁202とを備える。
下部梁201は、側壁113Aから寸法t1突出するとともに、床部からの高さh1として形成されている。
上部梁202は、下部梁201の上側に設けられ、側壁113Aから寸法t2突出するようにして形成されている。また、床部111から上部梁202の上端までの高さはh2である。ここで、下部梁201の突出長さt1は、上部梁202の突出長さt2より長い。なお、本実施形態では、下部梁201の突出長さt1は、側壁梁33Bの側壁113Bからの突出長さt3と略同一であるが、これに限定されず、互いに異なっていてもよい。また、本実施形態では、側壁梁33Bと側壁梁34Aは、上下方向における床部111から上端までの長さが互いに同じ高さh2であるが、これに限定されず、互いに異なっていてもよい。
また、連結部203は、下部梁201の下部と、側壁梁33Bの下部とを連結するとともに、ポンプ21の下方に設けられている。また、連結部203の上部とベルマウス121との間に間隙が形成されている。
【0034】
次に、上記のように構成された取水槽1Xでの水の流れについて説明する。
本実施形態では、例えば高さh3部分の上部の水流と、高さh4部分の下部の水流とでは、水の流れパターンが異なり、第一実施形態と同様となる。すなわち、高さh3部分では、側壁113Aに向かう水流の方が側壁113Bに向かう水流よりも速く流れるのに対して、高さh4部分では、側壁113Aに向かう水流と側壁113Bに向かう水流とは略同一の速さである。よって、上部と下部とで水の流れパターンが異なるため、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができる。
【0035】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態に係る取水槽1Yついて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
図7に示すように、本実施形態では、一対の側壁梁211A,211Bは、側壁113A,113Bからそれぞれ突出するとともに、下方に向かうにしたがってその突出長さを長くするようにして形成されている。
また、連結部212は、側壁梁211Aの下部と側壁梁211Bの下部とを連結するとともに、ポンプ21の下方に設けられている。また、連結部212の上部とベルマウス121との間に間隙が形成されている。
【0037】
次に、上記のように構成された取水槽1Yでの水の流れについて説明する。
ここで、図8は取水槽の上部である高さh3(図7参照)部分の水の流れを表した図であり、図9は取水槽の下部である高さh4(図7参照)部分の水の流れを表した図である。
【0038】
図8に示すように、取水槽1Yの上部では、水は前方から後方に向かい、ポンプ21の外周で側壁113A側に向かう水流S9と、側壁113B側に向かう水流S10とに分岐する。そして、水流S9,S10は、それぞれ側壁梁211A,211Bによりその流れを制限されて、後部壁112に向かって流れる構成である。
【0039】
一方、取水槽1Yの下部では、図9に示すように、水は前方から後方に向かい、ポンプ21の外周で側壁113A側に向かう水流S11と、側壁113B側に向かう水流S12とに分岐する。そして、水流S11,S12は、それぞれ側壁梁211A,211Bによりその流れを制限されて、後部壁112に向かって流れる構成である。
【0040】
ここで、図7に示すように、高さh3における側壁梁221A,221Bの突出長さt3の方が、高さh4における側壁梁221A,221Bの突出長さt4よりも短い。よって、水流S9と水流S11とを比較すると、水流S9の方が水流S11よりもその流れを制限されにくいため、水流S9の方が水流S11よりも流速が速くなる。水流S10と水流S12とを比較しても、同様の理由により水流S10の方が水流S12よりも流速が速くなる。
【0041】
このように構成された取水槽1Yでは、高さh3部分の水流S9,S10の方が、高さh4部分の水流S11,S12よりも速くなり、上部と下部とで水の流れパターンが異なるため、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができる。
【0042】
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態に係る取水槽1Zついて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
図10に示すように、本実施形態では、一対の側壁梁221A,221Bは、側壁113A,113Bから突出するとともに階段状に形成されて、下方に向かうにしたがってその突出長さを長くするようにして形成されている。
また、連結部222は、側壁梁221Aの下部と側壁梁221Bの下部とを連結するとともに、ポンプ21の下方に設けられている。また、連結部222の上部とベルマウス121との間に間隙が形成されている。
【0044】
次に、上記のように構成された取水槽1Zでの水の流れについて説明する。
本実施形態では、第三実施形態と同様に、高さh3における側壁梁221A,221Bの突出長さt5の方が、高さh4における側壁梁221A,221Bの突出長さt6よりも短いため、上部側の水流の方が下部側の水流よりも流速が速くなる。
【0045】
このように構成された取水槽1Zでは、上部と下部と水の流れパターンが異なるため、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができる。
【0046】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0047】
例えば、第二実施形態に係る取水槽1Xにおいて、下部梁201と上部梁202との突出長さt1、t2において、t2の方がt1よりも長くしてもよい(不図示)。この場合も、上部と下部で水の流れのパターンがことなるため、空気吸い込み渦及び水中渦の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1X,1Y,1Z…取水槽
21…ポンプ
32…後部梁
33A,33B,34A,211A,211B,221A,221B…側壁梁
112…後部壁
113A,113B…側壁
201…下部梁
202…上部梁
S1,S2,S3,S4,S9,S10,S11,S12…水流(水の流れ)
t1,t2…寸法(一定寸法)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に挿入されたポンプに対して取水側と反対側に位置する後部壁と、該後部壁から前記ポンプを挟んで設けられ取水側へと延びる一対の側壁とを有し、前記ポンプから揚水するための取水槽であって、
前記後部壁から突出するとともに上下方向に延びる後部梁と、
前記一対の側壁と前記ポンプとのそれぞれの間に設けられ、水の流れを制限する一対の制限手段とを備え、
該制限手段は、前記側壁から前記ポンプ方向へ突出するとともに上下方向に延びる側壁梁を有し、
前記制限手段の少なくとも一方の側壁梁は、上下方向において、前記水の後部壁側への流れを制限する制限領域を異ならせていることを特徴とする取水槽。
【請求項2】
請求項1に記載の取水槽において、
前記少なくとも一方の側壁梁は、上部と下部とにおいて、前記側壁からの突出長さを異ならせていることを特徴とする取水槽。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の取水槽において、
前記少なくとも一方の側壁梁は、前記側壁から一定寸法t1突出した下部梁と、該下部梁の上側に設けられ、前記側壁から一定寸法t2突出した上部梁(t1>t2)とを有することを特徴とする取水槽。
【請求項4】
請求項1又は請求項3のいずれか一項に記載の取水槽において、
前記制限手段の一対の側壁梁は、互いにその高さを異ならせていることを特徴とする取水槽。
【請求項5】
請求項1又は請求項4のいずれか一項に記載の取水槽において、
前記ポンプから前記取水側には、前記一対の側壁とに跨って配される梁部材がないことを特徴とする取水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68172(P2013−68172A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207737(P2011−207737)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】