受信機、チューナー、およびテレビ信号の処理方法
【課題】1つの回路デバイスに一体化することのできるテレビの受信機またはチューナー、また、高調波リジェクションミキサーを用いるRF信号の処理方法を提供する。
【解決手段】RF信号を、複数の各中間信号にそれぞれ変換して復調するための各ミキサーデバイス111、220をそれぞれ備え、上記各ミキサーデバイス111、220のうち少なくともいずれか1つは、高調波リジェクションミキサーを含む。
【解決手段】RF信号を、複数の各中間信号にそれぞれ変換して復調するための各ミキサーデバイス111、220をそれぞれ備え、上記各ミキサーデバイス111、220のうち少なくともいずれか1つは、高調波リジェクションミキサーを含む。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔本発明の分野〕
本発明は、受信機およびチューナーに関し、特に、1つの回路デバイス内に一体化することのできるテレビ受信機またはチューナーに関する。本発明はさらに、例えばテレビ信号などのRF信号の処理方法に関する。
【0002】
〔背景〕
家庭用電化製品においては、RF(無線通信用周波数)信号の受信機能の重要性が増してきている。RF信号は、テレビ信号、無線信号、データ通信信号(例えば、ブルートゥース、WLAN信号、あるいは遠距離通信信号)を含んでいる。
【0003】
テレビ信号は、例えば、多くのデバイスによって受信することができる。例えば、今日においてもほとんどの家庭においてスタンドアロン型のテレビが用いられているが、最近では、パーソナルコンピュータシステムと、テレビ機能拡張カード、つまり、より一般的には、テレビ機能とを共存化したデバイスが増加している。さらに、遠距離通信機能とテレビおよびインターネット機能とを1つの製品内に統合したものに対する、消費者による要求が増加している。
【0004】
大部分のテレビアプリケーションに用いられている素子は、テレビチューナーである。テレビチューナーはテレビ信号を受信し、受信した信号を、さらなる処理のために第2の周波数へ変換する機能を有している。テレビチューナーは、2つの基本的な各部品を備えている。第1の部品は、受信したテレビ信号を中間周波数信号へ変換する。周波数変換された信号は、第2の部品へ供給され、当該第2の部品は、上記中間信号を第2の中間信号へ変換するための、さらなる周波数変換を行う。スタンドアロン型のテレビでは、チューナーは、例えばインダクタ、キャパシタ、および/またはトランジスタなど、いくつかの個別の各素子を備えている場合がある。
【0005】
しかし、マルチメディア家庭用電化製品に対する要望を満たすためには、個別の各外部素子を用いずに集積回路による共有を増加させる必要がある。したがって、テレビチューナーの寸法および素子数を減らして、好ましくは多目的集積回路内にテレビチューナーを一体化することが望まれている。
【0006】
〔概要〕
一実施形態では、受信機は、RF信号源に結合されるように構成された受信入力部を含んでいる。当該受信入力部には、第1のミキサーデバイスが結合されている。当該第1のミキサーデバイスは、RF信号を、第1の動作中間周波数にある第1の信号へ変換するように構成されている。当該第1のミキサーデバイスには、第2のミキサーデバイスが結合されている。当該第2のミキサーデバイスは、上記第1の信号を、第2の動作中間周波数にある第2の信号へ変換するように構成されている。上記第1のミキサーデバイスまたは上記第2のミキサーデバイスは、高調波リジェクションミキサーを含んでいてよい。
【0007】
一実施形態では、高調波リジェクションミキサーは、高調波信号部分から第1の中間周波数の第1の信号または第2の中間周波数の第2の信号への好ましくない周波数変換を低減することができる。高調波リジェクションミキサーは、また、高調波周波数にある局部発振器信号によって変換された入力信号部分を含んだ信号部分が、第1の中間周波数の第1の信号内または第2の中間周波数の第2の信号内において生成されるのを低減することができる。
【0008】
上記低減によって、受信後において、受信した周波数範囲内に多数の不要な信号が含まれているためのさらなる処理のために変換された受信信号からの信号の品質が向上する。さらに、高調波リジェクションミキサーは、第1のミキサーと第2のミキサーとの間に配置されたフィルタに関する要件を緩和することができる。
【0009】
〔図面の簡単な説明〕
本発明、および本発明の様々な実施形態の形態および利点に関する理解をより完全なものとするために、添付図面と共に以下の説明を参照されたい。図面は下記の通りである。
【0010】
図1は、チューナーの第1の実施形態を示すブロック図である。図2は、チューナーの第2の実施形態を示すブロック図である。図3Aは、図2の実施形態に係るアップダウンチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。図3Bは、図1の実施形態に係るチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。
【0011】
図4は、高調波リジェクションミキサーの第1の実施形態を示すブロック図である。図5は、高調波リジェクションミキサーの第2の実施形態を示す回路ブロック図である。図6は、テレビチューナー内の低ノイズアンプの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0012】
図7は、高調波リジェクションミキサーのための局部発振器信号を供給する周波数分割器の一実施形態を示すブロック図である。図8は、イメージリジェクションミキサーの一実施形態を示す回路ブロック図である。図9は、従来のテレビチューナーの一実施形態を示すブロック図である。
【0013】
図10は、1つ以上の実施形態に係るテレビチューナー内に形成可能なLCフィルタの周波数応答を示すグラフである。図11は、本発明に係る方法の一実施形態を示す回路ブロック図である。図12は、テレビチューナー内に実装可能なSAW(弾性表面波素子)フィルタの周波数応答を示すグラフである。図13は、本方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0014】
〔詳細な説明〕
以下の説明では、本発明の形態および各実施形態が開示されており、また各添付図面が参照される。これらの各添付図面は、本明細書の一部を形成しており、本発明を実施することのできる実施例を示している。各図面に示されている各実施形態は、本発明の1つ以上の形態をよりよく理解するための説明を示している。開示内容は、本発明の特徴および主要部を、特定の実施形態に限定するものではない。当業者であれば、様々な実施形態において開示されている様々な素子、形態、および特徴を様々に組み合わせて、本発明の1つ以上の利点を得ることができる。また、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることができ、また構造的または論理的変化を加えることができることについて理解されたい。
【0015】
これら図面中の各素子は、必ずしも互いに相対的な縮尺とはなっていない。一部の周波数範囲および中間周波数は、例証する目的のために具体値が示されている。これらの範囲および一部の個々の値は、本明細書に開示されている実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、他の周波数範囲、データ伝送規格、または、個別の周波数を用いて、本発明の別の形態を実施することができる。また、同一の各部材番号は、それらに対応する同一の各部分を示している。
【0016】
図9は、チューナー910の一実施形態を示している。チューナー910は、端子900におけるRF信号を、さらなる処理のために、端子911において中間信号またはIF信号へ変換する。非限定的な本実施形態では、チューナー910は、テレビ信号を受信および処理するように構成されている。しかし、上記のようなチューナーを用いて、他のアプリケーション用および/または他の規格用の信号を受信することができることについて理解されたい。
【0017】
チューナー910は、アップダウン変換器(アップダウンコンバータ)とも称される。これは、チューナー910が、受信したRF信号を、第1の工程においてより高い周波数範囲へと変換し、その後の変換処理において、受信した当該RF信号よりも低い範囲の第2の周波数に変換する機能を有しているからである。チューナー910は、入力端子900を有しており、入力端子900には、テレビ周波数範囲内のRF信号を印加することができる。一実施形態では、上記端子は、アンテナまたはネットワークケーブルに接続することができる。上記チューナーは、上記アンテナまたはケーブルを介して、地上または衛星テレビ信号を受信することができる。本実施形態では、テレビ周波数範囲は、約40MHzから最大で約1GHzである。
【0018】
入力端子900は、RFエンジンデバイス901に接続されている。RFエンジンデバイス901は、可変利得を有する低ノイズアンプ903と、低ノイズアンプ903に接続された第1のミキサー904とを含んでいる。第1のミキサー904のLO(局部発振信号)入力端子は、第1のRF合成部902に接続されており、第1の局部発振器信号を受信する。一実施形態では、第1のRF合成部902は、フィードバック経路内において、可変周波数分割器を備えた位相同期ループ(図面の関係上、ここには示さず)を含んでいる。
【0019】
RF合成部902は、可変周波数分割器を用いて、様々な周波数の局部発振器信号を供給することができる。したがって、第1のミキサー904は、様々な局部発振器信号を用いて、その入力端子において、RF信号を、固定中心周波数を有する第1の中間信号に変換する。本実施形態では、RF合成部902によって供給される局部発振器信号は、上記第1のミキサーの入力端子におけるRF信号が、中心周波数が例えば1220MHzである第1の中間信号に変換されるように選択される。
【0020】
第1のミキサー904の出力部は、通過帯域の中心周波数が例えば1220MHzである、SAWフィルタ905に接続されている。SAWフィルタ905は、一実施形態では、チューナーの製造後にフィルタパラメータを調整する必要があるため、個別の外部デバイスとして配置されている。SAWフィルタ905は、通過帯域領域外において、非常に急峻な減衰率を有するものであり、また、高いフィルタ抑制を有している。通過帯域自体は、第1の中間信号の帯域幅に応じて数MHzであってよい。
【0021】
SAWフィルタの出力部は、テレビチューナーの第2のミキサー907に接続されている。第2のミキサー907の局部発振器入力部は、IF合成部906に結合されている。当該IF合成部は、中心周波数が例えば1180MHzである信号を供給することができ、これによって、上記第2のミキサー907の入力部における第1の中間信号を、第2の周波数(本実施例では40MHz)を有する第2の中間信号に変換する。IF合成部によって供給される、中心周波数が第1の中間信号の中心周波数と同様である信号を用いて、第1の中間信号をゼロ周波数(ベースバンドと称される場合もある)に変換することができることについて留意されたい。
【0022】
第2のミキサー907の出力部は、第1の増幅器908および第2のIFフィルタ909に接続されている。本実施形態では、第2のフィルタ909は、外部に配置されたSAWフィルタを含んでいる。SAWフィルタ909の出力部は、テレビチューナー910の可変利得アンプ912に結合されている。増幅された上記中間信号は、最後に、出力端子911に供給される。
【0023】
図9の非限定的な実施形態に示されているように、2つのフィルタ素子905および909は外部に配置されており、SAWフィルタを用いて形成されている。SAWフィルタは、通常は、所望の帯域幅(例えば約20MHz)に応じた帯域幅を有している。上記の各SAWフィルタは、通過帯域外における減衰が急峻であるため、必要なキャリアの各側部において、フィルタをさらなる減衰せず通過する不要なチャネルは約1つのみである。一方、上記の各SAWフィルタは、第2のチャネル、つまり、さらに隣り合うチャネルにおいて不要な信号を抑制することができる。
【0024】
図12は、通過帯域中心が約1220MHzであるSAWフィルタの減衰量−周波数特性を示すグラフである。図示されている減衰状態を示す減衰率は非常に急峻であるため、例えば、2GHzにおけるあらゆる不要な信号を約50dB抑制する。一実施形態では、通過帯域自体は非常に狭く、約20MHzの範囲内である。このような、通過帯域外における急峻な減衰率および高い抑制が望ましい。
【0025】
これは、受信するテレビRF信号の不要な信号部分が、所望のチャネル内の各信号よりも電力が強い場合があるからである。このような不要な信号部分は、上記第1のミキサー内における周波数変換処理によって、相互変調成分を生成する可能性がある。さらに、RF合成部902およびRF合成部906の出力信号は、局部発振器周波数の高調波周波数において、さらなる信号部分を含んでいる場合がある。このような高調波信号部分をミキサーに印加することによって、受信信号が、好ましくない周波数範囲に変換される結果を生じる。
【0026】
図1は、不要な信号部分の周波数変換を抑制する、改良されたチューナー1を示している。チューナー1を用いて、テレビ信号を含むあらゆる種類の信号を受信することができる。このため、当該構造は、特定のアプリケーションに対して限定的なものではない。
【0027】
一実施形態では、チューナー1は、必要とするチップ面積が小さく、個別の素子を含んでいない、半導体チップ内の集積回路として形成されている。チューナー1は、RF入力端子10に接続されたRFエンジン110を含んでいる。入力端子10に印加されたRF信号は、低ノイズアンプ100によって増幅された後、RFエンジン110の一部である第1のミキサー111に供給される。本実施形態では、第1のミキサー111は高調波リジェクションミキサーとして形成されており、変換中に局部発振器信号の高調波部分を抑制するように構成されている。
【0028】
第1のミキサー111は、RF合成部12に接続された、局部発振器入力部を含んでいる。局部発振器出力部は、第1のIF帯域通過フィルタ120に接続されている。第1のIF帯域通過フィルタ120の通過帯域の中心周波数は、一実施形態では1220MHzである。上記高調波リジェクションミキサーが配置されていることによって、フィルタ要件が緩和され、また、チューナー1内において少なくとも部分的には非SAWフィルタ型を用いて実施することができる。
【0029】
フィルタ120は、一実施形態では、一次、二次、またはより高次の受動フィルタを含んでいてよい。フィルタ120は、1つ以上のキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗を含んでいてよい。フィルタ120は、また、トランジスタあるいはその他の能動素子を有する能動フィルタを含んでいてよい。フィルタ120は、受動素子と能動素子との組み合わせを含んでいてもよい。
【0030】
フィルタ120の出力端子は、IFにて動作する第2のミキサー220に接続されている。第2のミキサー220は、信号入力部、局部発振器入力部、および信号出力部を有している。第2のミキサー220への局部発振器信号は、IF合成部130によって供給される。第2のミキサー220の出力端子は、増幅器230に接続されている。増幅器230の出力は、第2のフィルタ240に結合されている。フィルタ240の出力部は、チューナー1の内部に配置された可変利得の増幅器250に接続されている。本実施形態では、第2のフィルタ240は外部に配置されているが、第2のフィルタ240を、チューナー1内において、少なくとも部分的にはその集積サブ回路として形成されていてもよい。
【0031】
第2のミキサー220は、通常のミキサー、イメージリジェクションミキサー、高調波リジェクションミキサー、あるいはこれらの組み合わせを含んでいてよい。第2のミキサー220としては、例えば、高調波を抑圧するイメージリジェクションミキサーを用いることができる。第1のミキサー111および/または第2のミキサー220が高調波を抑圧するため、第1の帯域通過フィルタ120に関する要件が緩和される。第2のミキサー220を、例えば、変換中に生成されるあらゆる不要なイメージを抑制するイメージリジェクションミキサーとして形成することによって、出力端子260における信号品質をさらに向上させることができる。
【0032】
第2のミキサー220を高調波リジェクションミキサーとして形成することによって、IF合成部130によって供給される第2の局部発振器信号の不要な高調波部分が抑制される。したがって、第1のミキサー111または第2のミキサー220として高調波リジェクションミキサーを用いることによって、第1のフィルタ120の要件が緩和されるため、第1の帯域通過フィルタ120をチューナー1内に形成することが可能となる。さらに、増幅器230の線形性に関する要件が緩和される。これによって、全体的に省スペース化することができ、また、外部に配置されたフィルタを手動で整合または較正する必要がなくなる。
【0033】
図3Bは、図1の実施形態に係るアップ/ダウン信号の信号変換の複雑性を示す周波数スペクトル図を複数示している。図1に示されているポイントAに対応する図3AのAに示されているように、端子10におけるRF入力信号の周波数は、約40MHz〜1000MHzの範囲である。例えば、周波数がLO1=1260MHzである局部発振器信号が入力されている第1のミキサー111内において、受信されたRF信号が変換されると、入力RF信号が、通過帯域の両端周波数F1、F2によって示されているように、1220MHzから260MHzまでに変換される。このとき、上記変換された信号のイメージ(写像)が、1300MHzから2260MHzにおいて生成される。このような、第1の中間信号を用いた周波数fIFにおける変換は、以下の式によって表すことができる。
fIF=fLO±fRF
局部発振器信号の高調波部分によって、第3の高調波部分3*f1stLO=3780MHz、および第5の高調波部分5*f1stLO=6300MHzを用いて、さらなる周波数変換が行われる。
【0034】
図3AのBは、望ましい変換処理、および図1のポイントBに対応する位置での高調波部分を用いた変換結果を示している。第3および第5の各高調波部分によって変換された信号の振幅は、第1のミキサー内における高調波抑圧能によって、大幅に抑制される。さらなるフィルタリングによって、より高い周波数においてさらに抑制を行うことができる。図示されているように、より高い周波数におけるイメージ部分は、より低い周波数における各部分に比べて振幅が小さい。この抑圧能は、集積回路内において第1のミキサーと一体化することのできる、図10に示されているLCフィルタのフィルタ能に類似している。
【0035】
図1のポイントCに対応する図3AのCは、1184MHzであるIF合成部からの信号をLO信号として用いた、36MHzまでの周波数変換を示す図である。第2のミキサーに供給される第2の局部発振器信号が、Cに示されているように第3および第5の高調波を含んでいる場合、それ以前にアップ変換された信号部分もまた変換され、これによって不要な成分が生成される。これは、図示されているように、イメージ部分においても同様である。
【0036】
しかし、既に高調波抑圧を行うことによって、第3および第5の高調波によって生じるあらゆる信号のダウン変換は、高調波部分自体を抑制することによって大幅に抑制される。このため、図3AのBに示されている約2800MHzから6600MHzまでの変換帯域は既に、所望の信号よりも大幅に低い。さらなるフィルタリングを行うことによって、不要な信号部分がさらに抑制される。この結果、不要な生成成分内のわずかな量のエネルギーのみが、第2の中間周波数を有する第2の中間信号まで変換される。さらに、高調波リジェクションミキサーおよび/またはイメージリジェクションミキサーを用いて第2の変換処理を行うことができる。
【0037】
図2は、改良されたテレビチューナーの別の実施形態を示している。半導体チップ内において集積回路として形成されたチューナー1は、RF合成部12およびIF合成部13を含んでいる。
【0038】
RF合成部12は、可変周波数を有する第1の局部発振器信号を生成し、第2のIF合成部13は、実質的に一定の周波数を有する2つの各信号を、互いの間にて90°の位相シフトを有して生成する。生成されるこれら2つの各信号の周波数は、一実施形態では、第1のミキサー111によって供給される第1の中間信号の中心周波数と等しくなるように選択することができる。
【0039】
一実施形態における周波数変換処理では、上記2つの各信号を局部発振器信号として用いて、第1の中間信号がゼロ周波数に変換される。これら2つの信号は、IQ復調器を形成する2つの別々の各ミキサー200、210に供給される。各ミキサー200、210は、単側波帯ミキサーとして形成することができ、あるいは高調波リジェクションミキサーとして形成することもできる。
【0040】
各ミキサー200、210の各信号入力部は、RFエンジン110の出力端子に接続されている。RFエンジン110は、低ノイズアンプ100と、第1のミキサー101と、通過帯域の中心周波数が1220MHzの範囲である帯域通過フィルタ120とを含んでいる。RFエンジン11の第1のミキサー101は、RF合成部12に接続された局部発振器入力部を含んでいる。一実施形態では、第1のミキサー101は、任意の高調波部分、特にRF合成部12の第3および第5の高調波を抑制する、高調波リジェクションミキサーとして形成されている。
【0041】
別の実施形態では、第1のミキサー101は、通常のミキサーまたはイメージリジェクションミキサーとして形成することができ、I−ミキサー200およびQ−ミキサー210は、高調波リジェクションミキサーとして形成される。さらに別の実施形態では、第1のミキサー101は、さらにイメージ抑圧能を有する高調波リジェクションミキサーとして形成することができる。高調波抑圧を行う単側波帯ミキサーを用いてもよい。いずれの場合においても、局部発振器信号の高調波部分を用いたスプリアス信号の周波数変換が抑制され、これによって信号品質が向上する。
【0042】
Iミキサー200およびQミキサー210の出力部は、それぞれ、フィルタ251および可変利得の増幅器252に結合されている。フィルタ251および増幅器252は、ローパスフィルタまたは帯域通過フィルタを含んでいる。当該ローパスフィルタまたは帯域通過フィルタは、変換されたI信号およびQ信号のスプリアス信号部分、および高調波または準高調波信号部分を抑制するように構成されている。フィルタ251および増幅器252は、周波数変換された対応するI信号およびQ信号の振幅を調整する可変利得アンプをさらに含んでいてもよい。I信号およびQ信号は、テレビチューナーの出力端子261および262に供給される。
【0043】
図3Bは、図2の実施形態に係るアップ/ダウン信号の変換を示す周波数図をいくつか示している。端子10におけるRF入力信号の周波数は、図2のA’に対応する図3BのA’に示されているように、約40MHz〜1000MHzである。本実施形態においてもまた、第1の変換後にさらなるフィルタリングが行われる。このフィルタリングを行うにあたっては、一実施形態では、通常のLCフィルタを用いることができる。このようなフィルタの周波数応答は、図10に示されている。
【0044】
当該フィルタは、通過帯域の中心周波数から数100MHzの距離において、約30dB〜40dBの抑制を行う。周波数応答の勾配は、図3BのB’に示されている不要な部分の勾配と同様である。第1のミキサーおよび/または第2のミキサーとして高調波リジェクションミキサーを用いれば、LCフィルタの抑制は十分なものとなる。周波数が1220MHzである第2の局部発振器信号を用いた、ベースバンド信号への第2の変換処理が行われた後、変換された不要な信号のエネルギー部分が非常に小さいため、変換された信号が歪むことは回避され、信号品質の大幅な劣化は防止される。
【0045】
図11は、チューナー1のさらに別の実施形態を示している。当該チューナーは、半導体基板内において、集積回路の一部として形成されている。半導体材料は、例えば、シリコンまたはガリウムヒ素を含んでいてよい。当該チューナーは、半導体基板の表面上においてRF入力端子10に結合された高調波リジェクションミキサー101を含んでいる。
【0046】
半導体基板の表面上にはまた、IおよびQの各ベースバンド信号のための各出力端子261、262が配置されている。これらのIおよびQの各信号は、アナログ信号であってもよく、あるいはデジタル信号であってもよい。例えば、チューナー1内の各素子250、252は、前記の各実施形態と同様に、フィルタおよびアナログ/デジタル変換器をさらに含んでいてもよい。
【0047】
本実施形態では、第1の高調波リジェクションミキサー101と各ミキサー200、210との間に、帯域通過LCフィルタ120aが配置されている。第1の高調波リジェクションミキサー101とミキサー200は、高調波リジェクションミキサーとして形成されている。LCフィルタ120aは、2つの各インダクタLと、2つの各インダクタLに対して並列接続された2つの各可変キャパシタCとからなる回路を含んでいる。2つのインダクタL間のノードが、供給端子VCCに接続されている。
【0048】
一実施形態では、LCフィルタ120aは、半導体基板内に部分的にのみ形成されている。具体的には、一実施形態では、これらの各インダクタLは基板外に形成されている。このような各インダクタは、例えば、半導体基板内の両方の各可変キャパシタと外部端子VCCとを結合するボンドワイヤまたは同様の手段を用いて形成することができる。
【0049】
一般的には、一体型チューナーは、入力端子に印加される受信信号を増幅する低ノイズアンプと、当該低ノイズアンプに接続されており、上記受信信号を中間信号へ変換するアップダウン周波数変換器とを含んでいてよい。当該アップダウン周波数変換器は、受信信号をアップコンバートする第1のミキサー段と、アップコンバートされた信号をダウンコンバートする第2のミキサー段とを含んでいる。第1のミキサー段および第2のミキサー段のうち少なくともいずれか1つは、受信した局部発振器信号内の高調波部分を抑制するように構成された、高調波リジェクションミキサーを含んでいる。
【0050】
別の実施形態では、第1のミキサーデバイスは、高調波リジェクションミキサーを含んでいてよく、第2のミキサーデバイスは、イメージリジェクションミキサーを含んでいてよい。第1のミキサーデバイス内において高調波抑圧を行うことによって、第1の中間信号内のエネルギー総量が減少するため、第2のミキサーデバイスの線形性要件が緩和される。別の実施形態では、第2のミキサーデバイスは、高調波抑圧能を有するイメージリジェクションミキサーである。
【0051】
上記受信機は、可変周波数を有する第1の局部発振器信号を供給する第1の信号源と、第1のミキサーデバイスに結合された第1の信号源とをさらに含んでいてよい。可変周波数を有する信号を供給する信号源によって、RF信号を、第1の中間信号から、固定された第1の動作周波数へと周波数変換することができる。
【0052】
したがって、特定範囲内のRF周波数を有するテレビ信号を、第1のミキサー源を備えた第1のミキサーによって、一定または可変の中間周波数を有する第1の中間信号へ変換することができる。このような混合は、減算的に行うことができ、あるいは加算的に行うこともできる。第1のミキサー内における高調波抑圧を備えた混合によって、第1の信号源の第1の局部発振器信号内における任意の高調波スプリアス信号部分を低減することができる。
【0053】
上記テレビの受信機は、第1の動作周波数を有する第2の局部発振器信号を供給する第2の信号源を含んでいてよい。当該第2の信号源を第2のミキサーデバイスに結合することによって、ベースバンドにて、第1の中間信号を第2の中間信号に周波数変換できる。上記第2のミキサーは、第2の局部発振器信号の高調波信号部分を備えた、第1の中間信号の変換を防止するための高調波リジェクションミキサーを含んでいてよい。
【0054】
第2の局部発振器信号の周波数が第1の動作周波数と同等または同様である場合、ゼロ周波数変換を行うことができる。これは、RF信号を、第1の動作周波数を有する第1の中間信号に変換して、第1の動作周波数がRF信号よりも高くなるようにし、これによってアップコンバートを行うのに有用である。これによって、受信されたRF信号内のスプリアス信号部分を減少させることができる。
【0055】
第2のミキサーデバイスは、さらに、ベースバンドにおいて第1の中間信号をI−信号成分およびQ−信号成分に変換するIQ復調器のデバイスをさらに含んでいてよい。上記IQ復調器は、通常のミキサーまたは高調波リジェクションミキサーを2つ含んでいてよい。
【0056】
図4には、高調波リジェクションミキサーの一実施形態が示されている。高調波リジェクションミキサー50は、入力信号のための入力端子59と、周波数変換された信号のための出力端子58とを含んでいる。本実施形態では、素子である、3つの異なる各増幅器51、52、53に対して、入力信号がそれぞれ供給される。これら各増幅器のうちのいずれか2つの各増幅器は、入力信号を同じ係数X*1で増幅し、第3の増幅器は、入力信号を係数X*1.41で増幅する。
【0057】
具体的には、各増幅器51、53は、同一の利得係数で信号を増幅し、増幅器52は、端子59に供給される入力信号を、上記同一の利得係数に対して利得係数1.41を付加した利得係数にて増幅する。第1の増幅器51および第2の増幅器53の各出力端子は、それぞれ、各ミキサー54、56に接続されている。第3の増幅器52の出力端子は、第3のミキサー55に結合されている。
【0058】
各ミキサー54〜56は、局部発振器信号を供給する局部発振器入力端子を含んでいる。第1のミキサー54の局部発振器信号は、第3のミキサー55における局部発振器信号に対して、+45°の位相シフトを有している。それゆえ、第2のミキサー56のための端子590における局部発振器信号は、端子592における局部発振器信号に対して、約−45°の位相シフトを有している。各ミキサーの各出力(第1変換信号、第2変換信号、第3変換信号)のそれぞれは、素子57において互いに加算されて、出力端子58に供給される。
【0059】
高調波リジェクションミキサーの一形態は、例えば振幅量子化された正弦波信号fLO(t)によって変換される信号を増幅することである。信号fLO(t)は、下記の式によって表される。
【0060】
【数1】
上記において、f2(t)の大きさは、量子化された正弦波信号をより正確に表すために、21/2の係数でスケールされる。第1および第5の高調波の抑圧をよりよく理解するためには、フーリエ級数を用いて3つの各方形波を拡張するとよい。3つの各方形波は、5次成分まで、下記の式によって表される:
【0061】
【数2】
【0062】
【数3】
【0063】
【数4】
式(1)によって表されている3つの理想的な方形波を総計することによって、第3および第5の高調波の抑圧の和が求められる。しかし、以下の式に見られるように、
【0064】
【数5】
【0065】
【数6】
上記抑制は、単側波帯混合と同様に、利得不一致(Δ)および位相不整合(θ)に強く依存している。
【0066】
図5は、端子59における入力信号のための高調波リジェクションミキサー、および互いに異なる各局部発振器信号f1(t)〜f3(t)を有する3つのミキサーの態様を示している。
【0067】
図5の実施形態に係る高調波リジェクションミキサーは、ミキサーとして3つの各ギルバートセル54〜56を含んだ平衡型のミキサーである。各セル54〜56は、一対の各電界効果トランジスタを含んでいる。これら各電界効果トランジスタのゲート端子は、対応する局部発振器信号のために、各入力端子に結合されている。各トランジスタ対のうちいずれか1つのドレイン端子は、他方のトランジスタの他方のドレイン端子に接続されているため、交差結合されている。各対の各ソース端子は、各増幅器51〜53に接続されている。
【0068】
各増幅器51〜53は、一対の電界効果トランジスタをそれぞれ含んでいる。これら各電界効果トランジスタのゲート端子は、平衡入力信号のために、各入力端子59に結合されている。各増幅器51〜53内のこれらトランジスタは、ゲート長Lおよびゲート幅Wを有している。W/L比率は、図4に示されている利得係数に対応している。この結果、増幅器52内のトランジスタのW/L比率は、第1の増幅器51および第2の増幅器53の対応するW/Lの比率よりも約1.41倍高い。したがって、増幅器52に求められる利得係数は、前述の説明の通りに高い。
【0069】
さらに、各増幅器51、52、53内の各トランジスタのソース端子は、各電流源511、521、531に接続されている。各電流源511、531は、電流Iを供給する。第3の増幅器52のための電流源521は、他の2つの各電流源の電流Iよりも1.41倍大きい電流を供給する。
【0070】
最後に、各ギルバートセルの出力部は、各信号を加算して総計するために互いに接続されており、これらの各信号を、対応する出力部58'および58”に供給する。
【0071】
各局部発振器信号間における位相不整合は、高調波抑制に重要であるため、各局部発振器信号f1(t)〜f3(t)は、1つのクロック信号から調製されることが望ましい。
【0072】
図7は、互いの間にて必要とされる位相シフトを有する3つの各信号を供給する周波数分割器回路の一実施形態を示している。本実施形態では、端子593における、好ましいデューティサイクルを有するクロック信号の周波数が係数4で分割されて、周波数分割された3つの各信号が生成され、各出力端子590〜592に供給される。これらの各信号はまた、上記周波数分割によって、図7に示されているように、互いに位相シフトを含んでいる。位相シフトが0°である信号に対する315°の位相シフトは、約−45°の位相シフトと等価であることに留意されたい。
【0073】
上記周波数分割器内では、入力端子593は、各Dフリップフロップ510、520のそれぞれの各クロック端子に結合されている。具体的には、端子593は、Dフリップフロップ510のクロック端子に直接接続されており、また、Dフリップフロップ520のクロック端子にインバータ570を介して結合されている。第1のDフリップフロップ510のデータ出力部Qは、Dフリップフロップ520のデータ入力部Dに接続されている。Dフリップフロップ520のデータ出力部Qは、第2のインバータ580を介して、第1のDフリップフロップ510のデータ入力部Dに結合されている。2つの各Dフリップフロップ510、520は、分割係数が2である第1の周波数分割器を示している。両方の各Dフリップフロップのデータ出力部Qにおける各出力信号間の位相シフトは、互いに90°である。
【0074】
典型的な本実施形態では、電気回路である各Dフリップフロップ510、520は、反転出力信号のための追加的なデータ出力部Q'は有していない。しかし、別の一実施形態では、Dフリップフロップ520の追加的な反転データ出力部Q'を、第1のDフリップフロップ510のデータ入力部に結合することができる。
【0075】
2つの追加的な各Dフリップフロップ530、540の対および各Dフリップフロップ550、560の対は、第1の対のデータ出力部Qに結合されている。具体的には、Dフリップフロップ520のデータ出力部Qは、Dフリップフロップ550のクロック入力部に結合されており、また、第2のインバータ580を介して、Dフリップフロップ560のクロック入力端子に結合されている。
【0076】
第1のDフリップフロップ510のデータ出力部Qは、Dフリップフロップの第2の対のDフリップフロップ540のクロック端子に直接接続されており、また、インバータを介して、Dフリップフロップ530のクロック端子に接続されている。第2の対の第2のDフリップフロップ540のデータ出力部Qは、出力端子592と、第2の追加的なフリップフロップ対のDフリップフロップ530のデータ入力部Dとに接続されている。
【0077】
Dフリップフロップ530の反転データ出力部Qバーは、Dフリップフロップ540のデータ入力部Dに接続されている。第3の対の各Dフリップフロップ550、560の電気回路では、第2の対と同様に互いに接続されている。具体的には、Dフリップフロップ550のデータ入力部Dは、出力端子590と、反転出力信号を受信するためにDフリップフロップ560の反転データ出力部Qバーとに接続されている。Dフリップフロップ550のデータ出力部Qは、出力端子591のための信号を供給し、また、Dフリップフロップ560のデータ入力部Dに接続されている。
【0078】
図7に示されているように、Dフリップフロップ540は、端子592に周波数分割された信号を供給する。当該信号は、各出力端子590、591における各信号に対して、ゼロの位相シフトを有している。Dフリップフロップ550は、端子592における出力信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを有して、周波数分割された信号を生成し、Dフリップフロップ560は、位相シフトが315°である信号を供給する。上記315°の位相シフトは、端子592における信号に対して実質的に−45°の位相シフトに対応している。したがって、各出力端子590、591との間の位相シフトは、90°である。
【0079】
平衡化された各出力信号を供給する各出力端子590〜592は、図5に係る高調波リジェクションミキサーの対応する各端子に対してそれぞれ接続されている。各出力端子間の位相シフトが一出力信号に対して約+45°および約−45°である限りは、各Dフリップフロップ530、540、550、560の他のデータ出力部を用いることもできることについて留意されたい。
【0080】
受信するRF信号を、上記RF信号と周波数において隣り合うスプリアス信号よりも遥かに小さくすることができる。例えば、隣り合うチャネル内の不要な信号を、所望のテレビ信号よりも最大で約60dBまでの強度に大きくすることができる。上記の受信するRF信号が、それと隣り合うスプリアス信号よりも遥かに小さい状態を改善するために、アンテナと第1の増幅器との間か、あるいはチューナーの入力端子とチューナー内の増幅器との間に、帯域通過フィルタを配置することができる。
【0081】
しかし、受信するRF信号は、低い雑音形態のみが加えられるように、低ノイズアンプによって増幅される必要がある。図6は、完全な差動増幅器として形成された低ノイズアンプの一実施形態を示している。当該増幅器は、図1および図2に示されている実施形態内の増幅器100として形成することができる。
【0082】
上記低ノイズアンプは、2つの各段を含んでいる。第1の段は、コモン−ソース/コモン−ゲート構造に基づいている。そのコモンモード出力は、フィードバックループによる各利得が良好な線形性を有するように調整される。上記低ノイズアンプの第2の段は、インピーダンス整合を行うソースフォロワである。図6に示されている実施形態では、受信されるRF入力信号の低ノイズでの増幅において、受信されるRF入力信号の約1GHzまでの入力帯域をカバーすることができる。
【0083】
低ノイズアンプ100は、バイパスモードへのスイッチを有する電流源1010を含んでいる。入力端子In+および入力端子In−は、ノイズ消去のために、対応する各トランジスタ1021、1022のゲートに接続された各キャパシタと、キャパシタ1040とに接続されている。さらに、入力端子In−は、トランジスタ1022のソースに結合されており、入力端子In+は、トランジスタ1021のソースに結合されている。各キャパシタ1040の第2の各端子は、インピーダンス整合用の各トランジスタ1060の対応するゲート端子にそれぞれ接続されている。
【0084】
トランジスタ1021のゲート端子は、第2のキャパシタを介して、出力端子OUT−にさらに接続されている。したがって、トランジスタ1022のゲートは、第2のキャパシタおよび出力端子OUT+に接続されている。追加的なコモンモードのトランジスタ1070のドレイン端子は、各出力端子OUT−、OUT+、およびコモンソースVDDに接続されている。
【0085】
トランジスタ1070のゲートは、バイアス電圧BIAS1に接続されており、また、利得制御のために、キャパシタを介してスイッチングネットワークに接続されている。制御回路1050は、供給電圧端子VDDと各トランジスタ1021、1022のドレイン端子との間の1つ以上の抵抗を切り替えることによって、利得調整のために、対応する制御信号を供給する。低利得モードでは、第1の段の利得のための各トランジスタ1021、1022を、抵抗を介して各ゲート端子へバイパス電圧を供給する素子1030によってバイパス、つまり回避することができる。
【0086】
図8は、図1または図2の本発明の一実施形態に示されているテレビチューナーのいずれかにおいて第1のミキサーまたは第2のミキサーとして用いることのできる、イメージリジェクションミキサーを示している。
【0087】
上記イメージリジェクションミキサーは、完全な差動イメージリジェクションミキサーとして形成されており、2つの各ギルバートセル1000、2000を含んでいる。各ギルバートセル1000、2000は、各電流位相器6000、7000にそれぞれ結合されている。各電流位相器6000、7000の前段は、2つの各出力回路1100、1200を有する加算器8000に接続されている。
【0088】
本実施形態では、ギルバートセル、位相器、および各回路1100、1200は、バイポーラトランジスタを用いて形成されている。当然ながら、電界効果トランジスタを用いることもできる。各ギルバートセルは、それぞれ、2つの各バイポーラトランジスタBPを含んでいる。これら各バイポーラトランジスタBPは、それらの各エミッタが共通電流源に結合されており、それらの各コネクタ端子は、各混合段MSにそれぞれ結合されている。
【0089】
各ペアの各バイポーラトランジスタBPの各ベースは、各入力端子RF、RFXにそれぞれ結合されている。4つの各混合段MSは、4つの各バイポーラトランジスタを含んでおり、それらの2つのベースは、局部位相器4000の回路に接続されている。局部位相器4000の回路は、互いの間の位相シフトが90°である各信号をそれぞれ供給する。例えば、上記位相器によって供給される信号は、入力端子LOにおける信号に対して、実質的に+45°または実質的に−45°の位相シフトを有していてもよい。
【0090】
周波数変換された信号のイメージ抑圧のために、各ギルバートセル1000、2000の各出力端子は、各電流位相器6000、7000に結合されている。各電流位相器6000、7000は、各信号経路内に一対の各抵抗R1、R2を含んでいる。さらに、各信号経路内の2つの各インダクタL1、L2は、一方の抵抗端子を、当該経路内の第2の抵抗の他方の端子を接続し、ラティス(格子)回路を構成している。各位相器6000、7000は、インダクタLおよび抵抗Rを有するラティス回路を用いて、周波数変換された電流信号の位相を「α」度シフトする。
【0091】
各加算器回路1100、1200は、各位相器6000、7000の後段にそれぞれ接続されている。これらの各加算器回路内では、各位相器の各出力信号は、加算器8000内のカスコード接続された各トランジスタによって加算される。これによって、両ギルバートセルの周波数変換された信号のイメージ部分が互いに減算される。各端子OUTおよびOUTxには、平衡出力信号として、周波数変換され、加算された出力信号が供給される。電流利得型の各位相器6000、7000の出力インピーダンス、あるいは上記加算回路8000の入力インピーダンスを0と等しくすることによって、電流利得を最大限にし、α度の位相シフトを与えることができる。これは、各位相器6000、7000のLRラティス回路のインダクタLおよび抵抗Rの値を、インダクタLおよび抵抗Rが以下の方程式を満たすように決定することによって行うことができる。
L1/R1=(1− cos α)/(2π f sin α)
L2/R2=(1− sin α)/(2π f cos α)
上記において、fは、周波数変換された信号の中心周波数である。
【0092】
図13は、テレビ信号の変換方法の一実施形態を示している。以下では、典型的な方法について一連の動作および事象として説明するが、本発明は、このような動作または事象を説明されている順序で行うことに限定されるものではないことについて理解されたい。例えば、本発明では、一部の動作は、本明細書において図示および/または説明されている順序とは異なる順序で行うことができ、および/または、他の動作または事象と同時に行うことができる。さらに、本発明に係る方法を実施するに当たり、図示されている全ての工程が必要ではない場合もある。
【0093】
第1の工程S1では、テレビ信号が受信され、また、可変周波数を有する第1の局部発振器信号(LO)が供給される。工程S2では、受信された上記信号が、第1の中間周波数にある第1の中間信号に変換される。
【0094】
S2における変換処理中に、局部発振器の信号および受信信号内の高調波部分が抑制される。これは、上記可変周波数を有する第1の信号と、上記可変周波数を有しており、かつ、上記第1の信号に対して実質的に−45°の位相シフトを有している第2の信号と、上記可変周波数を有しており、かつ、上記第1の信号に対して実質的に+45°の位相シフトを有している第3の信号とを供給することによって行うことができる。例えば、発振器信号を供給する上記工程は、これら3つ工程を含んでいてよい。さらに、上記受信信号は、約1.41の係数で増幅され、そして、上記第1の信号を用いて変換される。上記受信信号はさらに、上記第2の信号および上記第3の信号を用いて変換される。最後に、変換された全ての上記各信号が互いに加算される。
【0095】
次に、工程S3において、変換された上記信号がフィルタリングされて、隣接するチャネル内の不要な信号が抑制される。フィルタされた上記信号は、工程S4において、上記第1の中間周波数にある局部発振器信号を用いて、第2の周波数にある第2の中間信号に再び変換される。必要に応じて、工程S5に示されているように、ダウンコンバートされた信号を、さらなる処理の前に、再び増幅およびフィルタリングすることができる。本実施形態では、高調波抑制は、第1の変換中に行われるが、第2の変換処理中に行ってもよい。
【0096】
テレビチューナー内のアップ/ダウン変換器と高調波リジェクションミキサーとを組み合わせることによって、追加の帯域通過フィルタリング、および他の各ミキサーに対する必要要件が緩和される。アップ/ダウン変換器は、追加的なイメージ抑圧および/または第2の高調波リジェクションミキサーと共に用いることによって、信号品質を効果的に向上させ、また、集積回路内におけるテレビの受信機の実装を可能にする。
【0097】
具体的な実施形態について図示および説明したが、本分野において通常の能力を有する者であれば、同一の目的を達成するためであると考えられるあらゆる構成は、図示されている具体的な実施形態と置き換え可能であることについて理解するであろう。また、本発明に関する上記説明は例証であって、限定的ではないことについて理解されたい。上記アプリケーションは、本発明のあらゆる変形例を網羅するものである。本発明の範囲は、上記構造および方法を用いることのできる他のあらゆる実施形態およびアプリケーションを包含している。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲、および特許請求の範囲と同等の範囲に照らして決定されるべきである。
【0098】
要約書は、読み手が、技術的開示内容の性質および要旨を迅速に確認できるように記載することを求めた37 CFR1.72(b)に準拠して記載されていることを強調しておく。また、要約書は、特許請求の範囲の意義の範囲を解釈または限定するために用いられることはないであろうという理解の下に提出されている。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明のチューナーに係る第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のチューナーに係る第2の実施形態を示すブロック図である。
【図3A】図2の上記実施形態に係るアップダウンチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。
【図3B】図1の上記実施形態に係るチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。
【図4】本発明に係る高調波リジェクションミキサーの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る高調波リジェクションミキサーの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るテレビチューナー内の低ノイズアンプの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図7】本発明に係る高調波リジェクションミキサーのための局部発振器信号を供給する周波数分割器の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係るイメージリジェクションミキサーの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図9】従来のテレビチューナーの一実施形態を示すブロック図である。
【図10】1つ以上の実施形態に係るテレビチューナー内に形成可能なLCフィルタの周波数応答を示すグラフである。
【図11】本発明に係る方法の一実施形態を示すブロック図である。
【図12】テレビチューナー内に実装可能なSAWフィルタの周波数応答を示すグラフである。
【図13】上記方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔本発明の分野〕
本発明は、受信機およびチューナーに関し、特に、1つの回路デバイス内に一体化することのできるテレビ受信機またはチューナーに関する。本発明はさらに、例えばテレビ信号などのRF信号の処理方法に関する。
【0002】
〔背景〕
家庭用電化製品においては、RF(無線通信用周波数)信号の受信機能の重要性が増してきている。RF信号は、テレビ信号、無線信号、データ通信信号(例えば、ブルートゥース、WLAN信号、あるいは遠距離通信信号)を含んでいる。
【0003】
テレビ信号は、例えば、多くのデバイスによって受信することができる。例えば、今日においてもほとんどの家庭においてスタンドアロン型のテレビが用いられているが、最近では、パーソナルコンピュータシステムと、テレビ機能拡張カード、つまり、より一般的には、テレビ機能とを共存化したデバイスが増加している。さらに、遠距離通信機能とテレビおよびインターネット機能とを1つの製品内に統合したものに対する、消費者による要求が増加している。
【0004】
大部分のテレビアプリケーションに用いられている素子は、テレビチューナーである。テレビチューナーはテレビ信号を受信し、受信した信号を、さらなる処理のために第2の周波数へ変換する機能を有している。テレビチューナーは、2つの基本的な各部品を備えている。第1の部品は、受信したテレビ信号を中間周波数信号へ変換する。周波数変換された信号は、第2の部品へ供給され、当該第2の部品は、上記中間信号を第2の中間信号へ変換するための、さらなる周波数変換を行う。スタンドアロン型のテレビでは、チューナーは、例えばインダクタ、キャパシタ、および/またはトランジスタなど、いくつかの個別の各素子を備えている場合がある。
【0005】
しかし、マルチメディア家庭用電化製品に対する要望を満たすためには、個別の各外部素子を用いずに集積回路による共有を増加させる必要がある。したがって、テレビチューナーの寸法および素子数を減らして、好ましくは多目的集積回路内にテレビチューナーを一体化することが望まれている。
【0006】
〔概要〕
一実施形態では、受信機は、RF信号源に結合されるように構成された受信入力部を含んでいる。当該受信入力部には、第1のミキサーデバイスが結合されている。当該第1のミキサーデバイスは、RF信号を、第1の動作中間周波数にある第1の信号へ変換するように構成されている。当該第1のミキサーデバイスには、第2のミキサーデバイスが結合されている。当該第2のミキサーデバイスは、上記第1の信号を、第2の動作中間周波数にある第2の信号へ変換するように構成されている。上記第1のミキサーデバイスまたは上記第2のミキサーデバイスは、高調波リジェクションミキサーを含んでいてよい。
【0007】
一実施形態では、高調波リジェクションミキサーは、高調波信号部分から第1の中間周波数の第1の信号または第2の中間周波数の第2の信号への好ましくない周波数変換を低減することができる。高調波リジェクションミキサーは、また、高調波周波数にある局部発振器信号によって変換された入力信号部分を含んだ信号部分が、第1の中間周波数の第1の信号内または第2の中間周波数の第2の信号内において生成されるのを低減することができる。
【0008】
上記低減によって、受信後において、受信した周波数範囲内に多数の不要な信号が含まれているためのさらなる処理のために変換された受信信号からの信号の品質が向上する。さらに、高調波リジェクションミキサーは、第1のミキサーと第2のミキサーとの間に配置されたフィルタに関する要件を緩和することができる。
【0009】
〔図面の簡単な説明〕
本発明、および本発明の様々な実施形態の形態および利点に関する理解をより完全なものとするために、添付図面と共に以下の説明を参照されたい。図面は下記の通りである。
【0010】
図1は、チューナーの第1の実施形態を示すブロック図である。図2は、チューナーの第2の実施形態を示すブロック図である。図3Aは、図2の実施形態に係るアップダウンチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。図3Bは、図1の実施形態に係るチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。
【0011】
図4は、高調波リジェクションミキサーの第1の実施形態を示すブロック図である。図5は、高調波リジェクションミキサーの第2の実施形態を示す回路ブロック図である。図6は、テレビチューナー内の低ノイズアンプの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0012】
図7は、高調波リジェクションミキサーのための局部発振器信号を供給する周波数分割器の一実施形態を示すブロック図である。図8は、イメージリジェクションミキサーの一実施形態を示す回路ブロック図である。図9は、従来のテレビチューナーの一実施形態を示すブロック図である。
【0013】
図10は、1つ以上の実施形態に係るテレビチューナー内に形成可能なLCフィルタの周波数応答を示すグラフである。図11は、本発明に係る方法の一実施形態を示す回路ブロック図である。図12は、テレビチューナー内に実装可能なSAW(弾性表面波素子)フィルタの周波数応答を示すグラフである。図13は、本方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0014】
〔詳細な説明〕
以下の説明では、本発明の形態および各実施形態が開示されており、また各添付図面が参照される。これらの各添付図面は、本明細書の一部を形成しており、本発明を実施することのできる実施例を示している。各図面に示されている各実施形態は、本発明の1つ以上の形態をよりよく理解するための説明を示している。開示内容は、本発明の特徴および主要部を、特定の実施形態に限定するものではない。当業者であれば、様々な実施形態において開示されている様々な素子、形態、および特徴を様々に組み合わせて、本発明の1つ以上の利点を得ることができる。また、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることができ、また構造的または論理的変化を加えることができることについて理解されたい。
【0015】
これら図面中の各素子は、必ずしも互いに相対的な縮尺とはなっていない。一部の周波数範囲および中間周波数は、例証する目的のために具体値が示されている。これらの範囲および一部の個々の値は、本明細書に開示されている実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、他の周波数範囲、データ伝送規格、または、個別の周波数を用いて、本発明の別の形態を実施することができる。また、同一の各部材番号は、それらに対応する同一の各部分を示している。
【0016】
図9は、チューナー910の一実施形態を示している。チューナー910は、端子900におけるRF信号を、さらなる処理のために、端子911において中間信号またはIF信号へ変換する。非限定的な本実施形態では、チューナー910は、テレビ信号を受信および処理するように構成されている。しかし、上記のようなチューナーを用いて、他のアプリケーション用および/または他の規格用の信号を受信することができることについて理解されたい。
【0017】
チューナー910は、アップダウン変換器(アップダウンコンバータ)とも称される。これは、チューナー910が、受信したRF信号を、第1の工程においてより高い周波数範囲へと変換し、その後の変換処理において、受信した当該RF信号よりも低い範囲の第2の周波数に変換する機能を有しているからである。チューナー910は、入力端子900を有しており、入力端子900には、テレビ周波数範囲内のRF信号を印加することができる。一実施形態では、上記端子は、アンテナまたはネットワークケーブルに接続することができる。上記チューナーは、上記アンテナまたはケーブルを介して、地上または衛星テレビ信号を受信することができる。本実施形態では、テレビ周波数範囲は、約40MHzから最大で約1GHzである。
【0018】
入力端子900は、RFエンジンデバイス901に接続されている。RFエンジンデバイス901は、可変利得を有する低ノイズアンプ903と、低ノイズアンプ903に接続された第1のミキサー904とを含んでいる。第1のミキサー904のLO(局部発振信号)入力端子は、第1のRF合成部902に接続されており、第1の局部発振器信号を受信する。一実施形態では、第1のRF合成部902は、フィードバック経路内において、可変周波数分割器を備えた位相同期ループ(図面の関係上、ここには示さず)を含んでいる。
【0019】
RF合成部902は、可変周波数分割器を用いて、様々な周波数の局部発振器信号を供給することができる。したがって、第1のミキサー904は、様々な局部発振器信号を用いて、その入力端子において、RF信号を、固定中心周波数を有する第1の中間信号に変換する。本実施形態では、RF合成部902によって供給される局部発振器信号は、上記第1のミキサーの入力端子におけるRF信号が、中心周波数が例えば1220MHzである第1の中間信号に変換されるように選択される。
【0020】
第1のミキサー904の出力部は、通過帯域の中心周波数が例えば1220MHzである、SAWフィルタ905に接続されている。SAWフィルタ905は、一実施形態では、チューナーの製造後にフィルタパラメータを調整する必要があるため、個別の外部デバイスとして配置されている。SAWフィルタ905は、通過帯域領域外において、非常に急峻な減衰率を有するものであり、また、高いフィルタ抑制を有している。通過帯域自体は、第1の中間信号の帯域幅に応じて数MHzであってよい。
【0021】
SAWフィルタの出力部は、テレビチューナーの第2のミキサー907に接続されている。第2のミキサー907の局部発振器入力部は、IF合成部906に結合されている。当該IF合成部は、中心周波数が例えば1180MHzである信号を供給することができ、これによって、上記第2のミキサー907の入力部における第1の中間信号を、第2の周波数(本実施例では40MHz)を有する第2の中間信号に変換する。IF合成部によって供給される、中心周波数が第1の中間信号の中心周波数と同様である信号を用いて、第1の中間信号をゼロ周波数(ベースバンドと称される場合もある)に変換することができることについて留意されたい。
【0022】
第2のミキサー907の出力部は、第1の増幅器908および第2のIFフィルタ909に接続されている。本実施形態では、第2のフィルタ909は、外部に配置されたSAWフィルタを含んでいる。SAWフィルタ909の出力部は、テレビチューナー910の可変利得アンプ912に結合されている。増幅された上記中間信号は、最後に、出力端子911に供給される。
【0023】
図9の非限定的な実施形態に示されているように、2つのフィルタ素子905および909は外部に配置されており、SAWフィルタを用いて形成されている。SAWフィルタは、通常は、所望の帯域幅(例えば約20MHz)に応じた帯域幅を有している。上記の各SAWフィルタは、通過帯域外における減衰が急峻であるため、必要なキャリアの各側部において、フィルタをさらなる減衰せず通過する不要なチャネルは約1つのみである。一方、上記の各SAWフィルタは、第2のチャネル、つまり、さらに隣り合うチャネルにおいて不要な信号を抑制することができる。
【0024】
図12は、通過帯域中心が約1220MHzであるSAWフィルタの減衰量−周波数特性を示すグラフである。図示されている減衰状態を示す減衰率は非常に急峻であるため、例えば、2GHzにおけるあらゆる不要な信号を約50dB抑制する。一実施形態では、通過帯域自体は非常に狭く、約20MHzの範囲内である。このような、通過帯域外における急峻な減衰率および高い抑制が望ましい。
【0025】
これは、受信するテレビRF信号の不要な信号部分が、所望のチャネル内の各信号よりも電力が強い場合があるからである。このような不要な信号部分は、上記第1のミキサー内における周波数変換処理によって、相互変調成分を生成する可能性がある。さらに、RF合成部902およびRF合成部906の出力信号は、局部発振器周波数の高調波周波数において、さらなる信号部分を含んでいる場合がある。このような高調波信号部分をミキサーに印加することによって、受信信号が、好ましくない周波数範囲に変換される結果を生じる。
【0026】
図1は、不要な信号部分の周波数変換を抑制する、改良されたチューナー1を示している。チューナー1を用いて、テレビ信号を含むあらゆる種類の信号を受信することができる。このため、当該構造は、特定のアプリケーションに対して限定的なものではない。
【0027】
一実施形態では、チューナー1は、必要とするチップ面積が小さく、個別の素子を含んでいない、半導体チップ内の集積回路として形成されている。チューナー1は、RF入力端子10に接続されたRFエンジン110を含んでいる。入力端子10に印加されたRF信号は、低ノイズアンプ100によって増幅された後、RFエンジン110の一部である第1のミキサー111に供給される。本実施形態では、第1のミキサー111は高調波リジェクションミキサーとして形成されており、変換中に局部発振器信号の高調波部分を抑制するように構成されている。
【0028】
第1のミキサー111は、RF合成部12に接続された、局部発振器入力部を含んでいる。局部発振器出力部は、第1のIF帯域通過フィルタ120に接続されている。第1のIF帯域通過フィルタ120の通過帯域の中心周波数は、一実施形態では1220MHzである。上記高調波リジェクションミキサーが配置されていることによって、フィルタ要件が緩和され、また、チューナー1内において少なくとも部分的には非SAWフィルタ型を用いて実施することができる。
【0029】
フィルタ120は、一実施形態では、一次、二次、またはより高次の受動フィルタを含んでいてよい。フィルタ120は、1つ以上のキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗を含んでいてよい。フィルタ120は、また、トランジスタあるいはその他の能動素子を有する能動フィルタを含んでいてよい。フィルタ120は、受動素子と能動素子との組み合わせを含んでいてもよい。
【0030】
フィルタ120の出力端子は、IFにて動作する第2のミキサー220に接続されている。第2のミキサー220は、信号入力部、局部発振器入力部、および信号出力部を有している。第2のミキサー220への局部発振器信号は、IF合成部130によって供給される。第2のミキサー220の出力端子は、増幅器230に接続されている。増幅器230の出力は、第2のフィルタ240に結合されている。フィルタ240の出力部は、チューナー1の内部に配置された可変利得の増幅器250に接続されている。本実施形態では、第2のフィルタ240は外部に配置されているが、第2のフィルタ240を、チューナー1内において、少なくとも部分的にはその集積サブ回路として形成されていてもよい。
【0031】
第2のミキサー220は、通常のミキサー、イメージリジェクションミキサー、高調波リジェクションミキサー、あるいはこれらの組み合わせを含んでいてよい。第2のミキサー220としては、例えば、高調波を抑圧するイメージリジェクションミキサーを用いることができる。第1のミキサー111および/または第2のミキサー220が高調波を抑圧するため、第1の帯域通過フィルタ120に関する要件が緩和される。第2のミキサー220を、例えば、変換中に生成されるあらゆる不要なイメージを抑制するイメージリジェクションミキサーとして形成することによって、出力端子260における信号品質をさらに向上させることができる。
【0032】
第2のミキサー220を高調波リジェクションミキサーとして形成することによって、IF合成部130によって供給される第2の局部発振器信号の不要な高調波部分が抑制される。したがって、第1のミキサー111または第2のミキサー220として高調波リジェクションミキサーを用いることによって、第1のフィルタ120の要件が緩和されるため、第1の帯域通過フィルタ120をチューナー1内に形成することが可能となる。さらに、増幅器230の線形性に関する要件が緩和される。これによって、全体的に省スペース化することができ、また、外部に配置されたフィルタを手動で整合または較正する必要がなくなる。
【0033】
図3Bは、図1の実施形態に係るアップ/ダウン信号の信号変換の複雑性を示す周波数スペクトル図を複数示している。図1に示されているポイントAに対応する図3AのAに示されているように、端子10におけるRF入力信号の周波数は、約40MHz〜1000MHzの範囲である。例えば、周波数がLO1=1260MHzである局部発振器信号が入力されている第1のミキサー111内において、受信されたRF信号が変換されると、入力RF信号が、通過帯域の両端周波数F1、F2によって示されているように、1220MHzから260MHzまでに変換される。このとき、上記変換された信号のイメージ(写像)が、1300MHzから2260MHzにおいて生成される。このような、第1の中間信号を用いた周波数fIFにおける変換は、以下の式によって表すことができる。
fIF=fLO±fRF
局部発振器信号の高調波部分によって、第3の高調波部分3*f1stLO=3780MHz、および第5の高調波部分5*f1stLO=6300MHzを用いて、さらなる周波数変換が行われる。
【0034】
図3AのBは、望ましい変換処理、および図1のポイントBに対応する位置での高調波部分を用いた変換結果を示している。第3および第5の各高調波部分によって変換された信号の振幅は、第1のミキサー内における高調波抑圧能によって、大幅に抑制される。さらなるフィルタリングによって、より高い周波数においてさらに抑制を行うことができる。図示されているように、より高い周波数におけるイメージ部分は、より低い周波数における各部分に比べて振幅が小さい。この抑圧能は、集積回路内において第1のミキサーと一体化することのできる、図10に示されているLCフィルタのフィルタ能に類似している。
【0035】
図1のポイントCに対応する図3AのCは、1184MHzであるIF合成部からの信号をLO信号として用いた、36MHzまでの周波数変換を示す図である。第2のミキサーに供給される第2の局部発振器信号が、Cに示されているように第3および第5の高調波を含んでいる場合、それ以前にアップ変換された信号部分もまた変換され、これによって不要な成分が生成される。これは、図示されているように、イメージ部分においても同様である。
【0036】
しかし、既に高調波抑圧を行うことによって、第3および第5の高調波によって生じるあらゆる信号のダウン変換は、高調波部分自体を抑制することによって大幅に抑制される。このため、図3AのBに示されている約2800MHzから6600MHzまでの変換帯域は既に、所望の信号よりも大幅に低い。さらなるフィルタリングを行うことによって、不要な信号部分がさらに抑制される。この結果、不要な生成成分内のわずかな量のエネルギーのみが、第2の中間周波数を有する第2の中間信号まで変換される。さらに、高調波リジェクションミキサーおよび/またはイメージリジェクションミキサーを用いて第2の変換処理を行うことができる。
【0037】
図2は、改良されたテレビチューナーの別の実施形態を示している。半導体チップ内において集積回路として形成されたチューナー1は、RF合成部12およびIF合成部13を含んでいる。
【0038】
RF合成部12は、可変周波数を有する第1の局部発振器信号を生成し、第2のIF合成部13は、実質的に一定の周波数を有する2つの各信号を、互いの間にて90°の位相シフトを有して生成する。生成されるこれら2つの各信号の周波数は、一実施形態では、第1のミキサー111によって供給される第1の中間信号の中心周波数と等しくなるように選択することができる。
【0039】
一実施形態における周波数変換処理では、上記2つの各信号を局部発振器信号として用いて、第1の中間信号がゼロ周波数に変換される。これら2つの信号は、IQ復調器を形成する2つの別々の各ミキサー200、210に供給される。各ミキサー200、210は、単側波帯ミキサーとして形成することができ、あるいは高調波リジェクションミキサーとして形成することもできる。
【0040】
各ミキサー200、210の各信号入力部は、RFエンジン110の出力端子に接続されている。RFエンジン110は、低ノイズアンプ100と、第1のミキサー101と、通過帯域の中心周波数が1220MHzの範囲である帯域通過フィルタ120とを含んでいる。RFエンジン11の第1のミキサー101は、RF合成部12に接続された局部発振器入力部を含んでいる。一実施形態では、第1のミキサー101は、任意の高調波部分、特にRF合成部12の第3および第5の高調波を抑制する、高調波リジェクションミキサーとして形成されている。
【0041】
別の実施形態では、第1のミキサー101は、通常のミキサーまたはイメージリジェクションミキサーとして形成することができ、I−ミキサー200およびQ−ミキサー210は、高調波リジェクションミキサーとして形成される。さらに別の実施形態では、第1のミキサー101は、さらにイメージ抑圧能を有する高調波リジェクションミキサーとして形成することができる。高調波抑圧を行う単側波帯ミキサーを用いてもよい。いずれの場合においても、局部発振器信号の高調波部分を用いたスプリアス信号の周波数変換が抑制され、これによって信号品質が向上する。
【0042】
Iミキサー200およびQミキサー210の出力部は、それぞれ、フィルタ251および可変利得の増幅器252に結合されている。フィルタ251および増幅器252は、ローパスフィルタまたは帯域通過フィルタを含んでいる。当該ローパスフィルタまたは帯域通過フィルタは、変換されたI信号およびQ信号のスプリアス信号部分、および高調波または準高調波信号部分を抑制するように構成されている。フィルタ251および増幅器252は、周波数変換された対応するI信号およびQ信号の振幅を調整する可変利得アンプをさらに含んでいてもよい。I信号およびQ信号は、テレビチューナーの出力端子261および262に供給される。
【0043】
図3Bは、図2の実施形態に係るアップ/ダウン信号の変換を示す周波数図をいくつか示している。端子10におけるRF入力信号の周波数は、図2のA’に対応する図3BのA’に示されているように、約40MHz〜1000MHzである。本実施形態においてもまた、第1の変換後にさらなるフィルタリングが行われる。このフィルタリングを行うにあたっては、一実施形態では、通常のLCフィルタを用いることができる。このようなフィルタの周波数応答は、図10に示されている。
【0044】
当該フィルタは、通過帯域の中心周波数から数100MHzの距離において、約30dB〜40dBの抑制を行う。周波数応答の勾配は、図3BのB’に示されている不要な部分の勾配と同様である。第1のミキサーおよび/または第2のミキサーとして高調波リジェクションミキサーを用いれば、LCフィルタの抑制は十分なものとなる。周波数が1220MHzである第2の局部発振器信号を用いた、ベースバンド信号への第2の変換処理が行われた後、変換された不要な信号のエネルギー部分が非常に小さいため、変換された信号が歪むことは回避され、信号品質の大幅な劣化は防止される。
【0045】
図11は、チューナー1のさらに別の実施形態を示している。当該チューナーは、半導体基板内において、集積回路の一部として形成されている。半導体材料は、例えば、シリコンまたはガリウムヒ素を含んでいてよい。当該チューナーは、半導体基板の表面上においてRF入力端子10に結合された高調波リジェクションミキサー101を含んでいる。
【0046】
半導体基板の表面上にはまた、IおよびQの各ベースバンド信号のための各出力端子261、262が配置されている。これらのIおよびQの各信号は、アナログ信号であってもよく、あるいはデジタル信号であってもよい。例えば、チューナー1内の各素子250、252は、前記の各実施形態と同様に、フィルタおよびアナログ/デジタル変換器をさらに含んでいてもよい。
【0047】
本実施形態では、第1の高調波リジェクションミキサー101と各ミキサー200、210との間に、帯域通過LCフィルタ120aが配置されている。第1の高調波リジェクションミキサー101とミキサー200は、高調波リジェクションミキサーとして形成されている。LCフィルタ120aは、2つの各インダクタLと、2つの各インダクタLに対して並列接続された2つの各可変キャパシタCとからなる回路を含んでいる。2つのインダクタL間のノードが、供給端子VCCに接続されている。
【0048】
一実施形態では、LCフィルタ120aは、半導体基板内に部分的にのみ形成されている。具体的には、一実施形態では、これらの各インダクタLは基板外に形成されている。このような各インダクタは、例えば、半導体基板内の両方の各可変キャパシタと外部端子VCCとを結合するボンドワイヤまたは同様の手段を用いて形成することができる。
【0049】
一般的には、一体型チューナーは、入力端子に印加される受信信号を増幅する低ノイズアンプと、当該低ノイズアンプに接続されており、上記受信信号を中間信号へ変換するアップダウン周波数変換器とを含んでいてよい。当該アップダウン周波数変換器は、受信信号をアップコンバートする第1のミキサー段と、アップコンバートされた信号をダウンコンバートする第2のミキサー段とを含んでいる。第1のミキサー段および第2のミキサー段のうち少なくともいずれか1つは、受信した局部発振器信号内の高調波部分を抑制するように構成された、高調波リジェクションミキサーを含んでいる。
【0050】
別の実施形態では、第1のミキサーデバイスは、高調波リジェクションミキサーを含んでいてよく、第2のミキサーデバイスは、イメージリジェクションミキサーを含んでいてよい。第1のミキサーデバイス内において高調波抑圧を行うことによって、第1の中間信号内のエネルギー総量が減少するため、第2のミキサーデバイスの線形性要件が緩和される。別の実施形態では、第2のミキサーデバイスは、高調波抑圧能を有するイメージリジェクションミキサーである。
【0051】
上記受信機は、可変周波数を有する第1の局部発振器信号を供給する第1の信号源と、第1のミキサーデバイスに結合された第1の信号源とをさらに含んでいてよい。可変周波数を有する信号を供給する信号源によって、RF信号を、第1の中間信号から、固定された第1の動作周波数へと周波数変換することができる。
【0052】
したがって、特定範囲内のRF周波数を有するテレビ信号を、第1のミキサー源を備えた第1のミキサーによって、一定または可変の中間周波数を有する第1の中間信号へ変換することができる。このような混合は、減算的に行うことができ、あるいは加算的に行うこともできる。第1のミキサー内における高調波抑圧を備えた混合によって、第1の信号源の第1の局部発振器信号内における任意の高調波スプリアス信号部分を低減することができる。
【0053】
上記テレビの受信機は、第1の動作周波数を有する第2の局部発振器信号を供給する第2の信号源を含んでいてよい。当該第2の信号源を第2のミキサーデバイスに結合することによって、ベースバンドにて、第1の中間信号を第2の中間信号に周波数変換できる。上記第2のミキサーは、第2の局部発振器信号の高調波信号部分を備えた、第1の中間信号の変換を防止するための高調波リジェクションミキサーを含んでいてよい。
【0054】
第2の局部発振器信号の周波数が第1の動作周波数と同等または同様である場合、ゼロ周波数変換を行うことができる。これは、RF信号を、第1の動作周波数を有する第1の中間信号に変換して、第1の動作周波数がRF信号よりも高くなるようにし、これによってアップコンバートを行うのに有用である。これによって、受信されたRF信号内のスプリアス信号部分を減少させることができる。
【0055】
第2のミキサーデバイスは、さらに、ベースバンドにおいて第1の中間信号をI−信号成分およびQ−信号成分に変換するIQ復調器のデバイスをさらに含んでいてよい。上記IQ復調器は、通常のミキサーまたは高調波リジェクションミキサーを2つ含んでいてよい。
【0056】
図4には、高調波リジェクションミキサーの一実施形態が示されている。高調波リジェクションミキサー50は、入力信号のための入力端子59と、周波数変換された信号のための出力端子58とを含んでいる。本実施形態では、素子である、3つの異なる各増幅器51、52、53に対して、入力信号がそれぞれ供給される。これら各増幅器のうちのいずれか2つの各増幅器は、入力信号を同じ係数X*1で増幅し、第3の増幅器は、入力信号を係数X*1.41で増幅する。
【0057】
具体的には、各増幅器51、53は、同一の利得係数で信号を増幅し、増幅器52は、端子59に供給される入力信号を、上記同一の利得係数に対して利得係数1.41を付加した利得係数にて増幅する。第1の増幅器51および第2の増幅器53の各出力端子は、それぞれ、各ミキサー54、56に接続されている。第3の増幅器52の出力端子は、第3のミキサー55に結合されている。
【0058】
各ミキサー54〜56は、局部発振器信号を供給する局部発振器入力端子を含んでいる。第1のミキサー54の局部発振器信号は、第3のミキサー55における局部発振器信号に対して、+45°の位相シフトを有している。それゆえ、第2のミキサー56のための端子590における局部発振器信号は、端子592における局部発振器信号に対して、約−45°の位相シフトを有している。各ミキサーの各出力(第1変換信号、第2変換信号、第3変換信号)のそれぞれは、素子57において互いに加算されて、出力端子58に供給される。
【0059】
高調波リジェクションミキサーの一形態は、例えば振幅量子化された正弦波信号fLO(t)によって変換される信号を増幅することである。信号fLO(t)は、下記の式によって表される。
【0060】
【数1】
上記において、f2(t)の大きさは、量子化された正弦波信号をより正確に表すために、21/2の係数でスケールされる。第1および第5の高調波の抑圧をよりよく理解するためには、フーリエ級数を用いて3つの各方形波を拡張するとよい。3つの各方形波は、5次成分まで、下記の式によって表される:
【0061】
【数2】
【0062】
【数3】
【0063】
【数4】
式(1)によって表されている3つの理想的な方形波を総計することによって、第3および第5の高調波の抑圧の和が求められる。しかし、以下の式に見られるように、
【0064】
【数5】
【0065】
【数6】
上記抑制は、単側波帯混合と同様に、利得不一致(Δ)および位相不整合(θ)に強く依存している。
【0066】
図5は、端子59における入力信号のための高調波リジェクションミキサー、および互いに異なる各局部発振器信号f1(t)〜f3(t)を有する3つのミキサーの態様を示している。
【0067】
図5の実施形態に係る高調波リジェクションミキサーは、ミキサーとして3つの各ギルバートセル54〜56を含んだ平衡型のミキサーである。各セル54〜56は、一対の各電界効果トランジスタを含んでいる。これら各電界効果トランジスタのゲート端子は、対応する局部発振器信号のために、各入力端子に結合されている。各トランジスタ対のうちいずれか1つのドレイン端子は、他方のトランジスタの他方のドレイン端子に接続されているため、交差結合されている。各対の各ソース端子は、各増幅器51〜53に接続されている。
【0068】
各増幅器51〜53は、一対の電界効果トランジスタをそれぞれ含んでいる。これら各電界効果トランジスタのゲート端子は、平衡入力信号のために、各入力端子59に結合されている。各増幅器51〜53内のこれらトランジスタは、ゲート長Lおよびゲート幅Wを有している。W/L比率は、図4に示されている利得係数に対応している。この結果、増幅器52内のトランジスタのW/L比率は、第1の増幅器51および第2の増幅器53の対応するW/Lの比率よりも約1.41倍高い。したがって、増幅器52に求められる利得係数は、前述の説明の通りに高い。
【0069】
さらに、各増幅器51、52、53内の各トランジスタのソース端子は、各電流源511、521、531に接続されている。各電流源511、531は、電流Iを供給する。第3の増幅器52のための電流源521は、他の2つの各電流源の電流Iよりも1.41倍大きい電流を供給する。
【0070】
最後に、各ギルバートセルの出力部は、各信号を加算して総計するために互いに接続されており、これらの各信号を、対応する出力部58'および58”に供給する。
【0071】
各局部発振器信号間における位相不整合は、高調波抑制に重要であるため、各局部発振器信号f1(t)〜f3(t)は、1つのクロック信号から調製されることが望ましい。
【0072】
図7は、互いの間にて必要とされる位相シフトを有する3つの各信号を供給する周波数分割器回路の一実施形態を示している。本実施形態では、端子593における、好ましいデューティサイクルを有するクロック信号の周波数が係数4で分割されて、周波数分割された3つの各信号が生成され、各出力端子590〜592に供給される。これらの各信号はまた、上記周波数分割によって、図7に示されているように、互いに位相シフトを含んでいる。位相シフトが0°である信号に対する315°の位相シフトは、約−45°の位相シフトと等価であることに留意されたい。
【0073】
上記周波数分割器内では、入力端子593は、各Dフリップフロップ510、520のそれぞれの各クロック端子に結合されている。具体的には、端子593は、Dフリップフロップ510のクロック端子に直接接続されており、また、Dフリップフロップ520のクロック端子にインバータ570を介して結合されている。第1のDフリップフロップ510のデータ出力部Qは、Dフリップフロップ520のデータ入力部Dに接続されている。Dフリップフロップ520のデータ出力部Qは、第2のインバータ580を介して、第1のDフリップフロップ510のデータ入力部Dに結合されている。2つの各Dフリップフロップ510、520は、分割係数が2である第1の周波数分割器を示している。両方の各Dフリップフロップのデータ出力部Qにおける各出力信号間の位相シフトは、互いに90°である。
【0074】
典型的な本実施形態では、電気回路である各Dフリップフロップ510、520は、反転出力信号のための追加的なデータ出力部Q'は有していない。しかし、別の一実施形態では、Dフリップフロップ520の追加的な反転データ出力部Q'を、第1のDフリップフロップ510のデータ入力部に結合することができる。
【0075】
2つの追加的な各Dフリップフロップ530、540の対および各Dフリップフロップ550、560の対は、第1の対のデータ出力部Qに結合されている。具体的には、Dフリップフロップ520のデータ出力部Qは、Dフリップフロップ550のクロック入力部に結合されており、また、第2のインバータ580を介して、Dフリップフロップ560のクロック入力端子に結合されている。
【0076】
第1のDフリップフロップ510のデータ出力部Qは、Dフリップフロップの第2の対のDフリップフロップ540のクロック端子に直接接続されており、また、インバータを介して、Dフリップフロップ530のクロック端子に接続されている。第2の対の第2のDフリップフロップ540のデータ出力部Qは、出力端子592と、第2の追加的なフリップフロップ対のDフリップフロップ530のデータ入力部Dとに接続されている。
【0077】
Dフリップフロップ530の反転データ出力部Qバーは、Dフリップフロップ540のデータ入力部Dに接続されている。第3の対の各Dフリップフロップ550、560の電気回路では、第2の対と同様に互いに接続されている。具体的には、Dフリップフロップ550のデータ入力部Dは、出力端子590と、反転出力信号を受信するためにDフリップフロップ560の反転データ出力部Qバーとに接続されている。Dフリップフロップ550のデータ出力部Qは、出力端子591のための信号を供給し、また、Dフリップフロップ560のデータ入力部Dに接続されている。
【0078】
図7に示されているように、Dフリップフロップ540は、端子592に周波数分割された信号を供給する。当該信号は、各出力端子590、591における各信号に対して、ゼロの位相シフトを有している。Dフリップフロップ550は、端子592における出力信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを有して、周波数分割された信号を生成し、Dフリップフロップ560は、位相シフトが315°である信号を供給する。上記315°の位相シフトは、端子592における信号に対して実質的に−45°の位相シフトに対応している。したがって、各出力端子590、591との間の位相シフトは、90°である。
【0079】
平衡化された各出力信号を供給する各出力端子590〜592は、図5に係る高調波リジェクションミキサーの対応する各端子に対してそれぞれ接続されている。各出力端子間の位相シフトが一出力信号に対して約+45°および約−45°である限りは、各Dフリップフロップ530、540、550、560の他のデータ出力部を用いることもできることについて留意されたい。
【0080】
受信するRF信号を、上記RF信号と周波数において隣り合うスプリアス信号よりも遥かに小さくすることができる。例えば、隣り合うチャネル内の不要な信号を、所望のテレビ信号よりも最大で約60dBまでの強度に大きくすることができる。上記の受信するRF信号が、それと隣り合うスプリアス信号よりも遥かに小さい状態を改善するために、アンテナと第1の増幅器との間か、あるいはチューナーの入力端子とチューナー内の増幅器との間に、帯域通過フィルタを配置することができる。
【0081】
しかし、受信するRF信号は、低い雑音形態のみが加えられるように、低ノイズアンプによって増幅される必要がある。図6は、完全な差動増幅器として形成された低ノイズアンプの一実施形態を示している。当該増幅器は、図1および図2に示されている実施形態内の増幅器100として形成することができる。
【0082】
上記低ノイズアンプは、2つの各段を含んでいる。第1の段は、コモン−ソース/コモン−ゲート構造に基づいている。そのコモンモード出力は、フィードバックループによる各利得が良好な線形性を有するように調整される。上記低ノイズアンプの第2の段は、インピーダンス整合を行うソースフォロワである。図6に示されている実施形態では、受信されるRF入力信号の低ノイズでの増幅において、受信されるRF入力信号の約1GHzまでの入力帯域をカバーすることができる。
【0083】
低ノイズアンプ100は、バイパスモードへのスイッチを有する電流源1010を含んでいる。入力端子In+および入力端子In−は、ノイズ消去のために、対応する各トランジスタ1021、1022のゲートに接続された各キャパシタと、キャパシタ1040とに接続されている。さらに、入力端子In−は、トランジスタ1022のソースに結合されており、入力端子In+は、トランジスタ1021のソースに結合されている。各キャパシタ1040の第2の各端子は、インピーダンス整合用の各トランジスタ1060の対応するゲート端子にそれぞれ接続されている。
【0084】
トランジスタ1021のゲート端子は、第2のキャパシタを介して、出力端子OUT−にさらに接続されている。したがって、トランジスタ1022のゲートは、第2のキャパシタおよび出力端子OUT+に接続されている。追加的なコモンモードのトランジスタ1070のドレイン端子は、各出力端子OUT−、OUT+、およびコモンソースVDDに接続されている。
【0085】
トランジスタ1070のゲートは、バイアス電圧BIAS1に接続されており、また、利得制御のために、キャパシタを介してスイッチングネットワークに接続されている。制御回路1050は、供給電圧端子VDDと各トランジスタ1021、1022のドレイン端子との間の1つ以上の抵抗を切り替えることによって、利得調整のために、対応する制御信号を供給する。低利得モードでは、第1の段の利得のための各トランジスタ1021、1022を、抵抗を介して各ゲート端子へバイパス電圧を供給する素子1030によってバイパス、つまり回避することができる。
【0086】
図8は、図1または図2の本発明の一実施形態に示されているテレビチューナーのいずれかにおいて第1のミキサーまたは第2のミキサーとして用いることのできる、イメージリジェクションミキサーを示している。
【0087】
上記イメージリジェクションミキサーは、完全な差動イメージリジェクションミキサーとして形成されており、2つの各ギルバートセル1000、2000を含んでいる。各ギルバートセル1000、2000は、各電流位相器6000、7000にそれぞれ結合されている。各電流位相器6000、7000の前段は、2つの各出力回路1100、1200を有する加算器8000に接続されている。
【0088】
本実施形態では、ギルバートセル、位相器、および各回路1100、1200は、バイポーラトランジスタを用いて形成されている。当然ながら、電界効果トランジスタを用いることもできる。各ギルバートセルは、それぞれ、2つの各バイポーラトランジスタBPを含んでいる。これら各バイポーラトランジスタBPは、それらの各エミッタが共通電流源に結合されており、それらの各コネクタ端子は、各混合段MSにそれぞれ結合されている。
【0089】
各ペアの各バイポーラトランジスタBPの各ベースは、各入力端子RF、RFXにそれぞれ結合されている。4つの各混合段MSは、4つの各バイポーラトランジスタを含んでおり、それらの2つのベースは、局部位相器4000の回路に接続されている。局部位相器4000の回路は、互いの間の位相シフトが90°である各信号をそれぞれ供給する。例えば、上記位相器によって供給される信号は、入力端子LOにおける信号に対して、実質的に+45°または実質的に−45°の位相シフトを有していてもよい。
【0090】
周波数変換された信号のイメージ抑圧のために、各ギルバートセル1000、2000の各出力端子は、各電流位相器6000、7000に結合されている。各電流位相器6000、7000は、各信号経路内に一対の各抵抗R1、R2を含んでいる。さらに、各信号経路内の2つの各インダクタL1、L2は、一方の抵抗端子を、当該経路内の第2の抵抗の他方の端子を接続し、ラティス(格子)回路を構成している。各位相器6000、7000は、インダクタLおよび抵抗Rを有するラティス回路を用いて、周波数変換された電流信号の位相を「α」度シフトする。
【0091】
各加算器回路1100、1200は、各位相器6000、7000の後段にそれぞれ接続されている。これらの各加算器回路内では、各位相器の各出力信号は、加算器8000内のカスコード接続された各トランジスタによって加算される。これによって、両ギルバートセルの周波数変換された信号のイメージ部分が互いに減算される。各端子OUTおよびOUTxには、平衡出力信号として、周波数変換され、加算された出力信号が供給される。電流利得型の各位相器6000、7000の出力インピーダンス、あるいは上記加算回路8000の入力インピーダンスを0と等しくすることによって、電流利得を最大限にし、α度の位相シフトを与えることができる。これは、各位相器6000、7000のLRラティス回路のインダクタLおよび抵抗Rの値を、インダクタLおよび抵抗Rが以下の方程式を満たすように決定することによって行うことができる。
L1/R1=(1− cos α)/(2π f sin α)
L2/R2=(1− sin α)/(2π f cos α)
上記において、fは、周波数変換された信号の中心周波数である。
【0092】
図13は、テレビ信号の変換方法の一実施形態を示している。以下では、典型的な方法について一連の動作および事象として説明するが、本発明は、このような動作または事象を説明されている順序で行うことに限定されるものではないことについて理解されたい。例えば、本発明では、一部の動作は、本明細書において図示および/または説明されている順序とは異なる順序で行うことができ、および/または、他の動作または事象と同時に行うことができる。さらに、本発明に係る方法を実施するに当たり、図示されている全ての工程が必要ではない場合もある。
【0093】
第1の工程S1では、テレビ信号が受信され、また、可変周波数を有する第1の局部発振器信号(LO)が供給される。工程S2では、受信された上記信号が、第1の中間周波数にある第1の中間信号に変換される。
【0094】
S2における変換処理中に、局部発振器の信号および受信信号内の高調波部分が抑制される。これは、上記可変周波数を有する第1の信号と、上記可変周波数を有しており、かつ、上記第1の信号に対して実質的に−45°の位相シフトを有している第2の信号と、上記可変周波数を有しており、かつ、上記第1の信号に対して実質的に+45°の位相シフトを有している第3の信号とを供給することによって行うことができる。例えば、発振器信号を供給する上記工程は、これら3つ工程を含んでいてよい。さらに、上記受信信号は、約1.41の係数で増幅され、そして、上記第1の信号を用いて変換される。上記受信信号はさらに、上記第2の信号および上記第3の信号を用いて変換される。最後に、変換された全ての上記各信号が互いに加算される。
【0095】
次に、工程S3において、変換された上記信号がフィルタリングされて、隣接するチャネル内の不要な信号が抑制される。フィルタされた上記信号は、工程S4において、上記第1の中間周波数にある局部発振器信号を用いて、第2の周波数にある第2の中間信号に再び変換される。必要に応じて、工程S5に示されているように、ダウンコンバートされた信号を、さらなる処理の前に、再び増幅およびフィルタリングすることができる。本実施形態では、高調波抑制は、第1の変換中に行われるが、第2の変換処理中に行ってもよい。
【0096】
テレビチューナー内のアップ/ダウン変換器と高調波リジェクションミキサーとを組み合わせることによって、追加の帯域通過フィルタリング、および他の各ミキサーに対する必要要件が緩和される。アップ/ダウン変換器は、追加的なイメージ抑圧および/または第2の高調波リジェクションミキサーと共に用いることによって、信号品質を効果的に向上させ、また、集積回路内におけるテレビの受信機の実装を可能にする。
【0097】
具体的な実施形態について図示および説明したが、本分野において通常の能力を有する者であれば、同一の目的を達成するためであると考えられるあらゆる構成は、図示されている具体的な実施形態と置き換え可能であることについて理解するであろう。また、本発明に関する上記説明は例証であって、限定的ではないことについて理解されたい。上記アプリケーションは、本発明のあらゆる変形例を網羅するものである。本発明の範囲は、上記構造および方法を用いることのできる他のあらゆる実施形態およびアプリケーションを包含している。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲、および特許請求の範囲と同等の範囲に照らして決定されるべきである。
【0098】
要約書は、読み手が、技術的開示内容の性質および要旨を迅速に確認できるように記載することを求めた37 CFR1.72(b)に準拠して記載されていることを強調しておく。また、要約書は、特許請求の範囲の意義の範囲を解釈または限定するために用いられることはないであろうという理解の下に提出されている。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明のチューナーに係る第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のチューナーに係る第2の実施形態を示すブロック図である。
【図3A】図2の上記実施形態に係るアップダウンチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。
【図3B】図1の上記実施形態に係るチューナーにおける周波数変換処理を示す周波数スペクトル図である。
【図4】本発明に係る高調波リジェクションミキサーの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る高調波リジェクションミキサーの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るテレビチューナー内の低ノイズアンプの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図7】本発明に係る高調波リジェクションミキサーのための局部発振器信号を供給する周波数分割器の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係るイメージリジェクションミキサーの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図9】従来のテレビチューナーの一実施形態を示すブロック図である。
【図10】1つ以上の実施形態に係るテレビチューナー内に形成可能なLCフィルタの周波数応答を示すグラフである。
【図11】本発明に係る方法の一実施形態を示すブロック図である。
【図12】テレビチューナー内に実装可能なSAWフィルタの周波数応答を示すグラフである。
【図13】上記方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF信号を受信するように構成された受信入力部と、
上記受信入力部に結合されており、かつ、上記RF信号を、第1の動作周波数の第1の中間信号に変換するように構成されている、第1のミキサーデバイスと、
上記第1のミキサーデバイスに結合されており、かつ、上記第1の中間信号を、第2の動作周波数の第2の中間信号に変換するように構成されている、第2のミキサーデバイスとを含んでおり、
上記第1のミキサーデバイスおよび上記第2のミキサーデバイスの少なくとも一方は、高調波リジェクションミキサーを含んでいる、受信機。
【請求項2】
フィルタデバイスをさらに含んでおり、
上記フィルタデバイスは、通過帯域の中心周波数が上記第1の動作周波数にあり、
上記フィルタデバイスの入力部が上記第1のミキサーデバイスに結合されており、
上記フィルタデバイスの出力部が上記第2のミキサーデバイスに結合されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
上記第1のミキサーデバイスは、高調波リジェクションミキサーを含んでおり、
上記第2のミキサーデバイスは、イメージリジェクションミキサーを含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項4】
上記第2のミキサーデバイスは、高調波リジェクションを備えたイメージリジェクションミキサーを含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項5】
可変周波数の第1の局部発振器信号を供給するように構成された、第1の信号源をさらに含んでおり、
上記第1の信号源は、上記第1のミキサーデバイスに結合されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項6】
上記第1の信号源は、3つの各局部発振器信号を供給するように構成されており、
上記3つの各局部発振器信号の第2の信号は、上記3つの各局部発振器信号の第1の信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、
上記3つの局部発振器信号の第3の信号は、上記第1の信号に対して、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項5に記載の受信機。
【請求項7】
上記第1のミキサーデバイスは、上記第1の動作周波数での上記第1の中間信号を生成するために、上記RF信号を、上記可変周波数の上記第1の局部発振器信号と減算的に混合するように構成されている、請求項5に記載の受信機。
【請求項8】
上記第2のミキサーデバイスに結合された第2の信号源をさらに含んでおり、
上記第2の信号源は、上記第1の動作周波数の第2の局部発振器信号を供給するように構成されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項9】
上記第2の信号源は、3つの各局部発振器信号を供給するように構成されており、
上記3つの各局部発振器信号の第1の信号は、上記3つの各局部発振器信号の第2の信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、
上記3つの各局部発振器信号の第3の信号は、上記第2の信号に対して、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項8に記載の受信機。
【請求項10】
上記第2の動作周波数は、ゼロ周波数である、請求項1に記載の受信機。
【請求項11】
上記第2のミキサーデバイスは、IQ復調器を含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項12】
上記高調波リジェクションミキサーは、3つの各ミキサー段を含んでおり、
上記3つの各ミキサー段は、上記高調波リジェクションミキサーの入力部にそれぞれ結合されており、かつ、互いに個別の局部発振器信号をそれぞれ受信するように構成されており、
第3の局部発振器信号に対して、第1の局部発振器信号は、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、第2の局部発振器信号は、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項13】
入力端子に印加された受信信号を増幅するように構成された、低ノイズアンプと、
上記低ノイズアンプに接続されて、増幅された上記受信信号をベースバンド信号に変換するように構成されたアップダウン周波数変換器とを含んだテレビチューナーであって、
上記アップダウン周波数変換器は、
増幅された上記受信信号をアップコンバートして、アップコンバートされた信号を出力するように構成された第1のミキサー段と、上記アップコンバートされた信号をダウンコンバートする第2のミキサー段とを含んでおり、
当該第1のミキサー段および第2のミキサー段の少なくとも一方は、当該第1のミキサー段および第2のミキサー段の少なくとも一方に印加された局部発振器信号内の高調波部分を抑制するように構成された高調波リジェクションミキサーを含んでいる、テレビチューナー。
【請求項14】
上記アップダウン周波数変換器の上記第1のミキサー段および第2のミキサー段の少なくとも一方は、イメージリジェクションミキサーを含んでいる、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項15】
上記アップダウン周波数変換器は、上記第1のミキサー段と上記第2のミキサー段との間に配置された帯域通過フィルタをさらに含んでおり、
上記帯域通過フィルタは、上記アップコンバートされた信号の周波数範囲内の通過帯域を有する、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項16】
さらに、可変周波数の第1の局部発振器信号を上記第1のミキサー段に供給するように構成された、第1の信号源と、
第2の局部発振器信号を上記第2のミキサー段に供給するように構成された、第2の信号源とを含んでいる、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項17】
上記高調波リジェクションミキサーを有する上記ミキサー段に結合された、信号源をさらに含んでおり、
上記信号源は、上記高調波リジェクションミキサーに3つの各局部発振器信号を供給するように構成されており、
当該3つの各局部発振器信号の第1の信号は、当該3つの各局部発振器信号の第2の信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、当該3つの各局部発振器信号の第3の信号は、上記第2の信号に対して、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項18】
上記第1のミキサー段は、高調波リジェクションミキサーを含んでおり、
上記第2のミキサー段は、IQ復調器を含んでおり、
上記IQ復調器は、第1のミキサーおよび第2のミキサーを有しており、
上記第1のミキサーおよび第2のミキサーは、それぞれ、高調波抑圧能を有している、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項19】
上記第2のミキサー段の後段に接続された帯域通過フィルタをさらに含んでおり、
上記帯域通過フィルタの通過帯域中心周波数は、上記第2のミキサー段によって供給される上記信号の範囲内である、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項20】
RF信号を受信するように構成された一体型チューナーであって、
RF信号を受信および増幅するように構成された入力デバイスと、
上記入力デバイスに結合されており、かつ、増幅された上記RF信号を、第1の中間周波数の中間信号に変換するように構成された、第1の周波数変換手段と、
上記中間信号を、第2の中間周波数のベースバンド信号に変換するように構成された、第2の周波数変換手段とを含んでおり、
上記第1の周波数変換手および上記第2の周波数変換手段の少なくとも一方の周波数変換手段は、上記第1の周波数変換手および上記第2の周波数変換手段の少なくとも一方に印加された信号の基本周波数に対する高調波部分を抑制するように構成されている、一体型チューナー。
【請求項21】
上記第1の周波数変換手段と上記第2の周波数変換手段との間に配置された、フィルタ手段をさらに含んでおり、
上記フィルタ手段の通過帯域の中心周波数は、上記第1の中間周波数にある、請求項20に記載の一体型チューナー。
【請求項22】
テレビ信号を受信する工程と、
可変周波数の第1の局部発振器信号を供給する工程と、
受信した上記テレビ信号を、第1の中間周波数にある第1の中間信号にアップコンバートする工程と、
上記第1の中間信号をフィルタリングして、アップコンバート中に生成された不要な信号部分を抑制する工程と、
上記第1の中間信号を、第2の中間周波数にある第2の中間信号へダウンコンバートする工程と、
上記第1の中間信号および第2の中間信号の少なくとも一方の信号への変換中に、高調波信号部分を抑制する工程とを含む、テレビ信号の処理方法。
【請求項23】
上記第1の中間信号にアップコンバートする上記工程は、上記第1の中間周波数を有する第2の局部発振器信号を供給する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記第1の局部発振器信号を供給する工程は、
上記可変周波数の第1の信号を供給する工程と、
上記可変周波数であり、かつ、上記第1の信号に対して実質的に−45°の位相シフトを有している、第2の信号を供給する工程と、
上記可変周波数であり、かつ、上記第1の信号に対して実質的に+45°の位相シフトを有している、第3の信号を供給する工程とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記高調波信号部分を抑制する工程は、
入力信号を、係数約1.41で増幅して増幅入力信号を出力する工程と、
上記増幅入力信号を、上記第1の信号を用いて変換して第1変換信号を出力する工程と、
上記入力信号を、上記第2の信号を用いて変換して第2変換信号を出力する工程と、
上記入力信号を、上記第3の信号を用いて変換して第3変換信号を出力する工程と、
上記第1変換信号、上記第2変換信号および上記第3変換信号の全てを互いに加算して、上記少なくとも一方の信号を出力する工程とを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項1】
RF信号を受信するように構成された受信入力部と、
上記受信入力部に結合されており、かつ、上記RF信号を、第1の動作周波数の第1の中間信号に変換するように構成されている、第1のミキサーデバイスと、
上記第1のミキサーデバイスに結合されており、かつ、上記第1の中間信号を、第2の動作周波数の第2の中間信号に変換するように構成されている、第2のミキサーデバイスとを含んでおり、
上記第1のミキサーデバイスおよび上記第2のミキサーデバイスの少なくとも一方は、高調波リジェクションミキサーを含んでいる、受信機。
【請求項2】
フィルタデバイスをさらに含んでおり、
上記フィルタデバイスは、通過帯域の中心周波数が上記第1の動作周波数にあり、
上記フィルタデバイスの入力部が上記第1のミキサーデバイスに結合されており、
上記フィルタデバイスの出力部が上記第2のミキサーデバイスに結合されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
上記第1のミキサーデバイスは、高調波リジェクションミキサーを含んでおり、
上記第2のミキサーデバイスは、イメージリジェクションミキサーを含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項4】
上記第2のミキサーデバイスは、高調波リジェクションを備えたイメージリジェクションミキサーを含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項5】
可変周波数の第1の局部発振器信号を供給するように構成された、第1の信号源をさらに含んでおり、
上記第1の信号源は、上記第1のミキサーデバイスに結合されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項6】
上記第1の信号源は、3つの各局部発振器信号を供給するように構成されており、
上記3つの各局部発振器信号の第2の信号は、上記3つの各局部発振器信号の第1の信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、
上記3つの局部発振器信号の第3の信号は、上記第1の信号に対して、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項5に記載の受信機。
【請求項7】
上記第1のミキサーデバイスは、上記第1の動作周波数での上記第1の中間信号を生成するために、上記RF信号を、上記可変周波数の上記第1の局部発振器信号と減算的に混合するように構成されている、請求項5に記載の受信機。
【請求項8】
上記第2のミキサーデバイスに結合された第2の信号源をさらに含んでおり、
上記第2の信号源は、上記第1の動作周波数の第2の局部発振器信号を供給するように構成されている、請求項1に記載の受信機。
【請求項9】
上記第2の信号源は、3つの各局部発振器信号を供給するように構成されており、
上記3つの各局部発振器信号の第1の信号は、上記3つの各局部発振器信号の第2の信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、
上記3つの各局部発振器信号の第3の信号は、上記第2の信号に対して、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項8に記載の受信機。
【請求項10】
上記第2の動作周波数は、ゼロ周波数である、請求項1に記載の受信機。
【請求項11】
上記第2のミキサーデバイスは、IQ復調器を含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項12】
上記高調波リジェクションミキサーは、3つの各ミキサー段を含んでおり、
上記3つの各ミキサー段は、上記高調波リジェクションミキサーの入力部にそれぞれ結合されており、かつ、互いに個別の局部発振器信号をそれぞれ受信するように構成されており、
第3の局部発振器信号に対して、第1の局部発振器信号は、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、第2の局部発振器信号は、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項1に記載の受信機。
【請求項13】
入力端子に印加された受信信号を増幅するように構成された、低ノイズアンプと、
上記低ノイズアンプに接続されて、増幅された上記受信信号をベースバンド信号に変換するように構成されたアップダウン周波数変換器とを含んだテレビチューナーであって、
上記アップダウン周波数変換器は、
増幅された上記受信信号をアップコンバートして、アップコンバートされた信号を出力するように構成された第1のミキサー段と、上記アップコンバートされた信号をダウンコンバートする第2のミキサー段とを含んでおり、
当該第1のミキサー段および第2のミキサー段の少なくとも一方は、当該第1のミキサー段および第2のミキサー段の少なくとも一方に印加された局部発振器信号内の高調波部分を抑制するように構成された高調波リジェクションミキサーを含んでいる、テレビチューナー。
【請求項14】
上記アップダウン周波数変換器の上記第1のミキサー段および第2のミキサー段の少なくとも一方は、イメージリジェクションミキサーを含んでいる、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項15】
上記アップダウン周波数変換器は、上記第1のミキサー段と上記第2のミキサー段との間に配置された帯域通過フィルタをさらに含んでおり、
上記帯域通過フィルタは、上記アップコンバートされた信号の周波数範囲内の通過帯域を有する、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項16】
さらに、可変周波数の第1の局部発振器信号を上記第1のミキサー段に供給するように構成された、第1の信号源と、
第2の局部発振器信号を上記第2のミキサー段に供給するように構成された、第2の信号源とを含んでいる、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項17】
上記高調波リジェクションミキサーを有する上記ミキサー段に結合された、信号源をさらに含んでおり、
上記信号源は、上記高調波リジェクションミキサーに3つの各局部発振器信号を供給するように構成されており、
当該3つの各局部発振器信号の第1の信号は、当該3つの各局部発振器信号の第2の信号に対して、実質的に+45°の位相シフトを含んでおり、当該3つの各局部発振器信号の第3の信号は、上記第2の信号に対して、実質的に−45°の位相シフトを含んでいる、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項18】
上記第1のミキサー段は、高調波リジェクションミキサーを含んでおり、
上記第2のミキサー段は、IQ復調器を含んでおり、
上記IQ復調器は、第1のミキサーおよび第2のミキサーを有しており、
上記第1のミキサーおよび第2のミキサーは、それぞれ、高調波抑圧能を有している、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項19】
上記第2のミキサー段の後段に接続された帯域通過フィルタをさらに含んでおり、
上記帯域通過フィルタの通過帯域中心周波数は、上記第2のミキサー段によって供給される上記信号の範囲内である、請求項13に記載のテレビチューナー。
【請求項20】
RF信号を受信するように構成された一体型チューナーであって、
RF信号を受信および増幅するように構成された入力デバイスと、
上記入力デバイスに結合されており、かつ、増幅された上記RF信号を、第1の中間周波数の中間信号に変換するように構成された、第1の周波数変換手段と、
上記中間信号を、第2の中間周波数のベースバンド信号に変換するように構成された、第2の周波数変換手段とを含んでおり、
上記第1の周波数変換手および上記第2の周波数変換手段の少なくとも一方の周波数変換手段は、上記第1の周波数変換手および上記第2の周波数変換手段の少なくとも一方に印加された信号の基本周波数に対する高調波部分を抑制するように構成されている、一体型チューナー。
【請求項21】
上記第1の周波数変換手段と上記第2の周波数変換手段との間に配置された、フィルタ手段をさらに含んでおり、
上記フィルタ手段の通過帯域の中心周波数は、上記第1の中間周波数にある、請求項20に記載の一体型チューナー。
【請求項22】
テレビ信号を受信する工程と、
可変周波数の第1の局部発振器信号を供給する工程と、
受信した上記テレビ信号を、第1の中間周波数にある第1の中間信号にアップコンバートする工程と、
上記第1の中間信号をフィルタリングして、アップコンバート中に生成された不要な信号部分を抑制する工程と、
上記第1の中間信号を、第2の中間周波数にある第2の中間信号へダウンコンバートする工程と、
上記第1の中間信号および第2の中間信号の少なくとも一方の信号への変換中に、高調波信号部分を抑制する工程とを含む、テレビ信号の処理方法。
【請求項23】
上記第1の中間信号にアップコンバートする上記工程は、上記第1の中間周波数を有する第2の局部発振器信号を供給する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記第1の局部発振器信号を供給する工程は、
上記可変周波数の第1の信号を供給する工程と、
上記可変周波数であり、かつ、上記第1の信号に対して実質的に−45°の位相シフトを有している、第2の信号を供給する工程と、
上記可変周波数であり、かつ、上記第1の信号に対して実質的に+45°の位相シフトを有している、第3の信号を供給する工程とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記高調波信号部分を抑制する工程は、
入力信号を、係数約1.41で増幅して増幅入力信号を出力する工程と、
上記増幅入力信号を、上記第1の信号を用いて変換して第1変換信号を出力する工程と、
上記入力信号を、上記第2の信号を用いて変換して第2変換信号を出力する工程と、
上記入力信号を、上記第3の信号を用いて変換して第3変換信号を出力する工程と、
上記第1変換信号、上記第2変換信号および上記第3変換信号の全てを互いに加算して、上記少なくとも一方の信号を出力する工程とを含む、請求項24に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−147943(P2009−147943A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318737(P2008−318737)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]