説明

受信装置、受信方法、プログラム、および受信システム

【課題】コストを低減させることができるようにする。
【解決手段】受信装置1は、高周波信号の受信周波数Frfに応じて共振周波数が可変な同調回路12と、同調回路12に、受信周波数Frfと同一周波数Floの電流信号を供給する高周波電流源20と、同調回路12に電流信号を供給したときの同調回路12の出力信号と、周波数Floの信号とを混合する直交ミキサ回路16と、同調回路12の共振特性を変化させ、変化前後の直交ミキサ回路16の出力信号である直流電圧信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、同調回路12の共振周波数を制御する制御回路22とを備える。本発明は、例えば、高周波信号を受信する受信装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信方法、プログラム、および受信システムに関し、特に、コストを低減させることができるようにする受信装置、受信方法、プログラム、および受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号を受信し、放送局等に対応する所望の周波数(受信周波数)の信号のみを取り出すチューナにおいては、高周波信号をフィルタリングする同調回路の中心周波数と受信周波数が一致している必要がある(例えば、特許文献1参照)。そのため、テレビジョン受像機等のチューナにおいては、同調回路の中心周波数と受信周波数を一致させる、同調回路の調整作業が行われている。
【0003】
例えば、同調回路としての共振回路のキャパシタの容量値を工場出荷前に調整し、その調整値を不揮発性メモリ(NVM:Non Volatile Memory)に記憶させておく方法がある。この方法では、調整用の信号源発生器によりチューナが受信すべき受信周波数と同一の信号を生成させ、調整対象のチューナに入力させる。そして、ミキサ回路出力後のIF信号のレベル(振幅)が最大となるようなキャパシタの容量値が検出され、調整値として不揮発性メモリに記憶される。放送信号の受信時には、不揮発性メモリに記憶されている、受信周波数に対応する調整値が読み出され、キャパシタの容量値が制御される。
【0004】
また、調整用の信号源発生器をチューナに内蔵し、上述した工場出荷前に行うような調整を、実際の放送信号受信時に初期動作として行うものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−259269号公報(図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、工場出荷前に調整し不揮発性メモリに記憶させる方法では、不揮発性メモリを備える必要があることから、チューナIC(Integrated Circuit)として構成した場合、半導体プロセスが必要となり、コストが高くなるという問題がある。また、工場出荷前の調整工程も必須である。
【0007】
また、内蔵する調整用の信号源発生器を用いて、工場出荷前に行うような調整を実際の放送信号受信時に初期動作として行う方法では、調整用の信号源発生器を内蔵する必要があるので、この場合も製造コストが高くなる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、コストを低減させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面の受信装置は、受信信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える。
【0010】
本発明の第1の側面の受信方法は、受信した信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に電気信号を供給する電源供給手段と、2つの信号を混合する混合手段と、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える受信装置の、前記電源供給手段が、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給し、前記混合手段が、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合し、前記制御手段が、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御するステップを含む。
【0011】
本発明の第1の側面のプログラムは、受信した信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段とを備える受信装置のコンピュータに、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する処理を実行させるためのものである。
【0012】
本発明の第1の側面においては、共振手段の共振特性が変化され、変化前後の混合手段の出力信号の位相が測定され、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、共振手段の共振周波数が制御される。
【0013】
本発明の第2の側面の受信システムは、受信信号が入力される受信手段と、前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段とを備え、前記受信手段は、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える。
【0014】
本発明の第2の側面においては、受信信号が入力され、受信された信号に対して伝送路復号処理が行われる。受信手段において受信信号が入力された場合、所望の受信周波数の電気信号が共振手段に供給され、共振手段の共振特性が変化され、変化前後の混合手段の出力信号の位相が測定され、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、共振手段の共振周波数が制御される。
【0015】
本発明の第3の側面の受信システムは、受信信号が入力される受信手段と、前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と、前記伝送路復号処理手段による伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理を行う情報源復号処理手段とを備え、前記受信手段は、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える。
【0016】
本発明の第3の側面においては、受信信号が入力され、受信された信号に対して伝送路復号処理が行われ、伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理が行われる。受信手段において受信信号が入力された場合、所望の受信周波数の電気信号が共振手段に供給され、共振手段の共振特性が変化され、変化前後の混合手段の出力信号の位相が測定され、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、共振手段の共振周波数が制御される。
【0017】
本発明の第4の側面の受信システムは、受信信号が入力される受信手段と、前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と、前記伝送路復号処理手段による伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理を行う情報源復号処理手段と、前記情報源復号処理手段による情報源復号処理後の信号に基づいて画像または音声を出力する出力手段とを備え、前記受信手段は、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える。
【0018】
本発明の第4の側面においては、受信信号が入力され、受信された信号に対して伝送路復号処理が行われ、伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理が行われ、情報源復号処理後の信号に基づいて画像または音声が出力される。受信手段において受信信号が入力された場合、所望の受信周波数の電気信号が共振手段に供給され、共振手段の共振特性が変化され、変化前後の混合手段の出力信号の位相が測定され、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、共振手段の共振周波数が制御される。
【0019】
本発明の第5の側面の受信システムは、受信信号が入力される受信手段と、前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と、前記伝送路復号処理手段による伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理を行う情報源復号処理手段と、前記情報源復号処理手段による情報源復号処理後の信号の記録を制御する記録制御手段とを備え、前記受信手段は、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える。
【0020】
本発明の第5の側面においては、受信信号が入力され、受信された信号に対して伝送路復号処理が行われ、伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理が行われ、情報源復号処理後の信号の記録が制御される。受信手段において受信信号が入力された場合、所望の受信周波数の電気信号が共振手段に供給され、共振手段の共振特性が変化され、変化前後の混合手段の出力信号の位相が測定され、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、共振手段の共振周波数が制御される。
【0021】
本発明の第6の側面の受信装置は、受信信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号に応じて、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える。
【0022】
本発明の第6の側面においては、受信信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段に、所望の受信周波数の電気信号が供給され、共振手段の共振特性が変化され、変化前後の混合手段の出力信号に応じて、共振手段の共振周波数が制御される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1乃至第6の側面によれば、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用した受信装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】同調特性調整処理の原理を説明する図である。
【図3】同調特性調整処理の原理を説明する図である。
【図4】Qダンプ前後の直流電圧ベクトルを示す図である。
【図5】Qダンプ前後の直流電圧ベクトルを示す図である。
【図6】図1の受信装置による同調特性調整処理を説明するフローチャートである。
【図7】図1の受信装置を適用可能な受信システムの第1の構成例を示すブロック図である。
【図8】図1の受信装置を適用可能な受信システムの第2の構成例を示すブロック図である。
【図9】図1の受信装置を適用可能な受信システムの第3の構成例を示すブロック図である。
【図10】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。
【0026】
[受信装置の構成例]
図1は、本発明を適用した受信装置の一実施の形態の構成例を示している。
【0027】
図1の受信装置1は、ダイレクトコンバージョン方式のチューナであり、例えば、地上デジタル放送の放送信号としての、所定の放送局等に対応する所望の周波数(受信周波数Frf)の高周波信号(RF信号)を受信し、IF信号(IF:中間周波数)を取り出して、後段に出力する。受信装置1は、1つのICチップ(チューナIC)として構成することができる。
【0028】
図示せぬアンテナから供給される高周波信号は、LNA(Low Noise Amp)11に供給される。LNA11は、入力される高周波信号を増幅し、同調回路12に出力する。同調回路12は、複数のキャパシタ(容量)からなる容量群31とインダクタ32の共振回路により構成され、受信周波数に応じて同調中心周波数(共振周波数)が可変できるフィルタとして機能する。同調回路12は、制御回路22から供給される容量制御ビットに応じて容量群31の総容量(容量値)を可変し、同調中心周波数を受信周波数Frfと一致させる。なお、同調回路12は、受信周波数Frfに追従するという意味からトラッキングフィルタとも呼ばれる。
【0029】
抵抗群13は、複数の抵抗で構成され、同調回路12に対して並列に接続されている。抵抗群13は、制御回路22から供給される抵抗制御ビットに応じて抵抗群13の抵抗値を可変させることができる。抵抗群13は、その抵抗値を可変することで、同調回路12の共振特性Qをダンピング(変化)させることができる。
【0030】
局部発振回路14は、制御回路22の制御に従い、周波数FVCOの局部発振信号を生成し、スイッチング信号生成回路15および19に出力する。周波数FVCOは受信周波数Frfに対応して決定され、周波数FVCOを特定する情報が、周波数制御ビットとして、制御回路22から局部発振回路14に供給される。
【0031】
スイッチング信号生成回路15は、例えば、カウンタにより構成され、局部発振回路14から供給される局部発振信号を分周することにより、矩形波で、90度の位相差を有する周波数Floの2つのスイッチング信号を生成し、直交ミキサ回路16に出力する。
【0032】
同調回路12により受信周波数Frfのみにフィルタリングされた信号は、直交ミキサ回路16に入力される。直交ミキサ回路16は直交I側のミキサ16aと直交Q側のミキサ16bにより構成される。
【0033】
ミキサ16aには、90度位相差のある(直交する)2つのスイッチング信号の一方が、ミキサ16bには、スイッチング信号の他方が、それぞれ、スイッチング信号生成回路15から供給される。ミキサ16aおよび16bは、受信周波数Frfの信号をダウンコンバートしたIF信号を生成する。即ち、ミキサ16aおよび16bは、同調回路12からの受信周波数Frfの信号とスイッチング信号生成回路15からのスイッチング信号をミキシング(混合)し、周波数FifのIF信号を生成する。
【0034】
ミキサ16aで生成されたIF信号は、LPF(ローパスフィルタ)17aによりフィルタリングされ、IFアンプ18aで増幅された後、後段に出力される。ミキサ16bで生成されたIF信号も同様に、LPF17bによりフィルタリングされ、IFアンプ18bで増幅された後、後段に出力される。後段は、例えば、復調回路である。なお、LPF17aおよび17bを特に区別する必要がない場合、単に、LPF17と称する。
【0035】
スイッチング信号生成回路19は、スイッチング信号生成回路15と同様、カウンタにより構成され、周波数FVCOの局部発振信号を分周して、周波数Floのスイッチング信号を生成し、高周波電流源20に出力する。高周波電流源20は、スイッチング信号生成回路19から供給される周波数Floのスイッチング信号に基づいて、周波数Floの電流(電流信号)を同調回路12に供給する。なお、スイッチング信号生成回路19を省略し、スイッチング信号生成回路15の出力である2つのスイッチング信号の一方を、高周波電流源20に供給するようにしてもよい。
【0036】
ADC(ADコンバータ)21は、ミキサ16aおよび16bが出力するアナログの直流電圧信号を検出し、所定のビット数のデジタル値に変換し、電圧値ビットとして、制御回路22に出力する。詳細については後述するが、周波数Floの電流信号が高周波電流源20から同調回路12に供給されると、同調回路12のインピーダンスと掛け合わされ、高周波電圧信号となって、ミキサ16aおよび16bに入力される。そして、高周波電圧信号はミキサ16aおよび16bでスイッチング信号とミキシングされることにより直流電圧信号となるが、ADC21は、この直流電圧信号を検出し、AD変換して出力する。本実施の形態においては、ADC21は、8ビットのデジタル値に変換して出力するものとするが、ビット数は任意に設定可能である。
【0037】
制御回路22は、受信周波数Frfと同調回路12の中心周波数を一致させるため、所望の受信周波数Frfに応じた容量制御ビットを同調回路12に供給する。即ち、同調回路12の容量群31の総容量(容量値)が、制御回路22によって制御される。
【0038】
また、制御回路22は、受信周波数Frfに応じた容量制御ビットを決定するための処理(後述する同調特性調整処理)において、ADC21から供給される電圧値ビットを取得し、直流電圧信号の位相を測定する。また、制御回路22は、抵抗群13の抵抗制御ビットを制御し、抵抗群13の抵抗値を変化させ、同調回路12の共振特性Qを変化させる。
【0039】
同調回路12の機能についてさらに説明する。
【0040】
周波数Frfの高周波信号は、直交ミキサ回路16において周波数Floのスイッチング信号によりスイッチングされ、周波数FifのIF信号に変換される。ここで、周波数Fif=|Frf−Flo|である(|x|はxの絶対値を表す)。
【0041】
LPF17aおよび17bそれぞれは、急峻な特性をもつフィルタであり、中間周波数に隣接する周波数の妨害信号を除去する役割を果たす。従って、LPF17aおよび17bを備えることで妨害信号を完全に除去することが可能とも考えられる。
【0042】
しかしながら、スイッチング信号生成回路15が生成するスイッチング信号は矩形波であり、その信号には、奇数次の高調波が含まれている。そのため、直交ミキサ回路16のミキシングにより、高調波信号の3倍(3×Frf)、5倍(5×Frf)、・・・の妨害信号も同一の周波数Fifの信号となってしまうが、この高調波信号の3倍、5倍、・・・の妨害信号についてはLPF17では除去することができない。
【0043】
例えば、周波数Fifを4MHzとし、受信周波数が100MHzであるとする。この場合、周波数Frfが100MHzであり、同調回路12の共振回路の共振周波数が100MHzとなるように、容量制御ビットにより、容量群31の容量値が設定される。そして、スイッチング信号の周波数Floが、例えば、104MHzとされることにより、周波数Fif=|Frf−Flo|=|100−104|=4MHzとなるので、4MHzのIF信号が得られる。
【0044】
しかしながら、上述したように、スイッチング信号には、312(=3×104)MHz,520(=5×104)MHz,・・・の信号も含まれているため、同調回路12がない場合には、例えば、316MHz、524MHzの高調波信号も4MHzのIF信号にダウンコンバートされてしまう。316MHz、524MHzの高調波信号がダウンコンバートされた信号の周波数も4MHzであるので、316MHz、524MHzの高調波信号を、LPF17では除去することができない。従って、受信希望の104MHzと中心周波数が一致している同調回路12を設け、316MHz、524MHz、・・・の高調波信号を除去する必要がある。
【0045】
テレビジョン放送の放送信号を受信するチューナのような、50MHzないし1GHzという広い周波数帯の信号を受信しなければならない受信装置では、受信周波数の3倍(3×Frf)、5倍(5×Frf)、・・・の周波数にも受信すべき信号が存在する。そのため、SAW(表面弾性波)フィルタのような周波数応答特性固定のフィルタを用いてフィルタリングすることはできない。従って、受信周波数Frfに応じて中心周波数を可変できる同調型のフィルタが必須となる。以上の理由により、同調回路12が採用されている。
【0046】
ところで、容量群31を構成するキャパシタは半導体プロセスにより製造されるため、受信装置1の容量群31の容量値は、個体ごとに異なる。同様に、インダクタ32のインピーダンスもばらつく。従って、受信装置1の個体ごとに同調特性を測定し、所定の受信周波数Frfに対応する容量群31の最適な容量値を検出する必要がある。受信装置1の個体ごとに同調特性を測定し、容量群31の最適な容量値となる容量制御ビットを検出する処理を、以下では、同調特性調整処理という。
【0047】
従来の受信装置では、[背景技術]の欄で説明したように、例えば、工場出荷前に調整用の信号源発生器から高調波信号を入力させ、容量群31の最適な容量制御ビットを検出し、不揮発性メモリに記憶させておく方法があった。
【0048】
図1の受信装置1では、同調特性調整処理を、より簡単に、自動で(作業員等による調整作業の手間なしに)行うことができる。
【0049】
[受信装置1による同調特性調整処理の原理]
そこで、同調回路12の同調中心周波数が1GHzである場合を例に、受信装置1が行う同調特性調整処理の原理について説明する。
【0050】
同調特性調整処理では、高周波電流源20が、周波数Floの電流信号を同調回路12に供給する。周波数Floの電流信号が同調回路12に供給されると、同調回路12のインピーダンスと掛け合わされ、高周波電圧信号となる。
【0051】
同調特性調整処理では、同調回路12に抵抗群13を接続しない場合と、同調回路12に抵抗群13を並列に接続し、共振特性Qをダンピング(Qダンプ)させたときの、Qダンプ前後の高周波電圧信号が取得される。
【0052】
図2は、同調中心周波数が1GHzであるときのQダンプ前後の高周波電圧信号の振幅および位相を示している。
【0053】
図2Aは、Qダンプ前後の高周波電圧信号の振幅を示し、図2Bは、Qダンプ前後の高周波電圧信号の位相を示している。また、図2において、実線がQダンプ前、破線がQダンプ後を示し、横軸は、同調回路12に供給される電流信号の周波数Floを表す。
【0054】
高周波電圧信号の振幅についてQダンプ前後を比較すると、図2Aに示されるように、同調回路12に供給される電流信号の周波数Floが1GHzの同調中心周波数と同じ場合に、Qダンプ前後の振幅の差が最も大きい。換言すれば、電流信号の周波数Floが1GHzの同調中心周波数と同じ場合に、Qダンプ前の振幅の値が最も大きく、Qダンプ前後の振幅の差も最大である。そして、電流信号の周波数Floが1GHzから離れるほど、Qダンプ前後の振幅の差が小さくなる。
【0055】
次に、高周波電圧信号の位相についてQダンプ前後を比較すると、図2Bに示されるように、同調回路12に供給される電流信号の周波数Floが1GHzの同調中心周波数と同じ場合、Qダンプ前後で位相差はない(位相は変化しない)。
【0056】
しかし、電流信号の周波数Floが1GHzより低い場合、Qダンプ後はQダンプ前より位相が減少する。一方、電流信号の周波数Floが1GHzより高い場合、Qダンプ後はQダンプ前より位相が増加する。
【0057】
従って、Qダンプ前後の位相の増減を読み取ることで、電流信号の周波数Floが同調中心周波数より高いか、または、低いかを判別することができる。
【0058】
同調特性調整処理は、同調回路12の現時点での同調中心周波数が未知で、所望の周波数で同調するような容量群31の容量値、即ち、容量制御ビットを探索する処理である。
【0059】
そこで、同調回路12に周波数Flo=1GHzの電流信号を供給し、同調中心周波数が900MHzである場合、即ち、同調回路12が900MHzで共振している場合について説明する。
【0060】
図3は、図2と同様の形式で、同調中心周波数が900MHzのときのQダンプ前後の高周波電圧信号の振幅および位相を示している。
【0061】
同調中心周波数が900MHzである場合には、図3に示されるような、周波数Flo=900MHzで、Qダンプ前後の振幅の差が最も大きく、位相差が変化しない状態となる。
【0062】
より詳しくQダンプ前後の位相の変化について見てみると、図3Bに示されるように、Qダンプ前の位相は約−170度であり、Qダンプ後の位相は約−100度である。従って、同調回路12に周波数Flo=1GHzの電流信号を供給した場合には、Qダンプ後は、Qダンプ前と比較して、位相が増加している。このように、同調回路12に周波数Flo=1GHzの電流信号を供給し、Qダンプ前後で位相が増加する方向に変化したときには、同調中心周波数が電流信号の周波数Flo=1GHzよりも低いことが判別できる。
【0063】
そこで、受信装置1では、Qダンプ前後で位相が増加する方向に変化したときには、制御回路22が、容量群31の容量値を減じる方向に、容量制御ビットを制御する。反対に、Qダンプ前後で位相が減少する方向に変化したときには、制御回路22が、容量群31の容量値を増やす方向に、容量制御ビットを制御する。そして、Qダンプ前後で、位相が変化しなくなる、または、所定の閾値以内の変化となるまで、Qダンプ前後の位相の増減に応じて容量制御ビットが制御される。
【0064】
このように、同調回路12に最適な容量制御ビットを求める同調中心周波数と同一の周波数Floの電流信号を供給し、Qダンプ前後の位相の増減を検出することで、所望の周波数で同調するような容量群31の容量値(の容量制御ビット)を検出することができる。
【0065】
なお、最適な容量制御ビットを決定する1つの同調中心周波数に対しては、同調回路12に抵抗群13を接続しない場合と接続する場合の2状態で判別するので、抵抗群13には1種類の抵抗値の抵抗があればよい。しかしながら、受信装置1では、最適な容量制御ビットを決定する同調中心周波数が複数あるので、複数の同調中心周波数それぞれの最適容量制御ビットを決定する場合に対応して、抵抗群13は複数の抵抗値を可変できる必要がある。即ち、制御回路22は、複数の受信周波数(同調中心周波数)に応じて、抵抗群13の複数の抵抗値を制御する。ただし、必ずしも調整対象の同調中心周波数の数と同数の抵抗を備える必要はなく、複数の抵抗を組み合わせて利用することにより、調整対象の同調中心周波数の数より少ない抵抗の数とすることができる。
【0066】
[受信装置1における位相の測定方法]
次に、受信装置1における位相の測定方法について説明する。
【0067】
ダイレクトコンバージョン方式の受信装置1では、スイッチング信号の周波数Floは、受信周波数Frfと同一である。受信周波数Frfと同一の周波数Floのスイッチング信号を直交ミキサ回路16に入力すると、直交ミキサ回路16の出力として、直流電圧信号の振幅成分と位相成分が得られる。
【0068】
図4は、直交ミキサ回路16のミキサ16aが出力する直交I側の直流電圧信号をIout_DC、ミキサ16bが出力する直交Q側の直流電圧信号をQout_DCとしたときの、Qダンプ前後の直流電圧信号ベクトルを示している。
【0069】
Qダンプ前後それぞれの直流電圧信号ベクトルにおいて、そのベクトルの大きさ(長さ)が振幅成分を表し、所定軸を基準とするベクトルの角度が位相成分を表す。そして、Qダンプ前後の直流電圧信号ベクトルの角度差が位相差に相当する。制御回路22は、ミキサ16aが出力する直流電圧信号Iout_DCとミキサ16bが出力する直流電圧信号Qout_DCをADC21を介して取得する。そして、取得した直流電圧信号Iout_DCの電圧値ビットと、直流電圧信号Qout_DCの電圧値ビットを用いて演算することで、直流電圧信号の位相を測定し、Qダンプ前後の位相の増減を測定することができる。
【0070】
なお、Qダンプ前後の位相を高精度に測定するためには、ADC21のビット数が多い方が望ましい。しかしながら、ビット数が多くなるほどADコンバータは高価となり、受信装置1全体としてのコストも増大する。
【0071】
そこで、受信装置1の制御回路22は、Qダンプ後の位相を検出するとき、高周波電流源20の出力レベルを増加させる。より詳しくは、Qダンプ前の振幅の値と同レベルとなる程度に、高周波電流源20の出力レベルを増加させる。高周波電流源20の出力レベルを増加させると、図5に示すように、受信周波数Frfの位相成分は一定に保持され(なお、図5は、出力レベル増加前後の比較を容易にするため、僅かにずらして示している。)、振幅成分のみが増大する。
【0072】
これにより、直流電圧の測定範囲を所定の電圧値内に狭めることができ、高周波電流源20の出力レベルを増加させない場合と比較して、同じビット数であっても測定精度を向上させることができる。即ち、より少ないビット数で、高精度に位相の値を測定することができる。
【0073】
[同調特性調整処理のフローチャート]
次に、図6のフローチャートを参照して、受信装置1による同調特性調整処理について説明する。
【0074】
初めに、ステップS1において、制御回路22は、最適な容量制御ビットを探索する同調中心周波数に対応する周波数FVCOを指示する周波数制御ビットを局部発振回路14に供給する。ここで、周波数FVCOは、同調中心周波数と同一の周波数Floのスイッチング信号をスイッチング信号生成回路15および19が分周により生成可能な値である。
【0075】
ステップS2において、局部発振回路14は、周波数FVCOの局部発振信号を生成し、スイッチング信号生成回路15および19に供給する。
【0076】
ステップS3において、スイッチング信号生成回路19は、局部発振信号を分周して、周波数Floのスイッチング信号を生成し、高周波電流源20に出力する。そして、高周波電流源20は、周波数Floのスイッチング信号に基づいて、周波数Floの電流信号を同調回路12に供給する。
【0077】
ステップS4において、同調回路12には、周波数Frfの高周波信号と周波数Floの電流信号とが入力され、同調回路12は、周波数Frfの高周波電圧信号をミキサ16aおよび16bに出力する。
【0078】
ステップS5において、ミキサ16aおよび16bのそれぞれは、周波数Frfの高周波電圧信号と周波数Floのスイッチング信号とをミキシングし、直流電圧信号を出力する。ここで、ミキサ16aが出力する直流電圧信号がIout_DCで、ミキサ16bが出力する直流電圧信号がQout_DCとなる。
【0079】
ステップS6において、ADC21は、ミキサ16aおよび16bが出力するアナログの直流電圧信号Iout_DCおよびQout_DCをそれぞれAD変換し、その結果得られる電圧値ビットを制御回路22に出力する。
【0080】
ステップS7において、制御回路22は、ADC21から供給される直流電圧信号Iout_DCおよびQout_DCの電圧値ビット(AD変換値)を取得し、取得された電圧値ビットに基づいて直流電圧信号の位相を測定し、測定結果を内部メモリに記憶する。ステップS7で測定された位相が、Qダンプ前の直流電圧信号の位相となる。
【0081】
ステップS8において、制御回路22は、同調回路12をQダンプする。即ち、制御回路22は、抵抗制御ビットを所定のビット数に設定して抵抗群13に供給し、同調回路12に抵抗群13を並列に接続させる。
【0082】
ステップS9において、制御回路22は、高周波電流源20の出力レベルを増加させる。
【0083】
ステップS10において、制御回路22は、Qダンプ後の直流電圧信号の位相を測定する。即ち、制御回路22は、ミキサ16aおよび16bが出力するQダンプ後の直流電圧信号がADC21でAD変換された、直流電圧信号Iout_DCおよびQout_DCの電圧値ビットを取得する。そして、制御回路22は、取得された電圧値ビットに基づいて直流電圧信号の位相を測定する。
【0084】
ステップS11において、制御回路22は、測定により得られたQダンプ前後の直流電圧信号の位相から、Qダンプ前後の位相の変化量が所定の閾値以内であるかを判定する。
【0085】
ステップS11で、Qダンプ前後の位相の変化量が所定の閾値以内ではないと判定された場合、処理はステップS12に進み、制御回路22は、Qダンプ前後の位相の増減およびその変化量に応じて、同調回路12の容量群31の容量値を変更する。即ち、制御回路22は、位相が増加する方向に変化したときには容量群31の容量値を減じる方向に、位相が減少する方向に変化したときには容量群31の容量値を増やす方向に、容量制御ビットを変更し、容量群31に供給する。
【0086】
そして、ステップS12の処理後、処理はステップS4に戻る。これにより、ステップS4乃至S11の処理が繰り返され、Qダンプ前後の直流電圧信号の位相が再度測定される。
【0087】
ステップS11で、Qダンプ前後の位相の変化量が所定の閾値以内であると判定されるまで、ステップS4乃至S11の処理が繰り返され、ステップS11でQダンプ前後の位相の変化量が所定の閾値以内であると判定された場合、処理は終了する。
【0088】
上述した同調特性調整処理は、例えば、受信装置1がテレビジョン受像機に搭載されている場合、テレビジョン受像機全体を制御する制御部から、受信装置1の制御回路22が、所定の放送局の受信周波数Frfに設定する指示を受けたとき、実行することができる。この場合、工場出荷前の調整工程が不要となり、受信周波数ごとの容量制御ビットを記憶する不揮発性メモリも不要となる。また、調整用の信号源発生器を内蔵する必要もない。従って、調整工程の削減および部品点数(不揮発性メモリ)の削減に寄与し、コストを低減させることができる。
【0089】
また、受信装置1に不揮発性メモリを備え、工場出荷前に、上述した同調特性調整処理を実行し、所望の受信周波数Frfに対応する容量制御ビットを決定し、不揮発性メモリに記憶させるようにすることもできる。この場合、調整用の信号源発生器を内蔵する必要がなく、工場出荷前の調整工程が簡単になるので、コストを低減させることができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、同調回路12と並列に接続される抵抗(抵抗群13)を設け、抵抗の接続のオンオフ(有無)により共振特性Qをダンピングさせた。しかしながら、共振特性Qをダンピングさせるための手段は、抵抗に限られない。例えば、同調回路12を構成する複数の素子(キャパシタとインダクタ)や、抵抗以外の素子をオンオフさせることで、共振特性Qをダンピングさせるようにしてもよい。
【0091】
[受信システムの構成]
図7は、上述した受信装置1を適用可能な受信システムの第1の構成例を示すブロック図である。
【0092】
図7において、受信システムは、取得部51、伝送路復号処理部52、および、情報源復号処理部53から構成される。
【0093】
取得部51は、地上デジタル放送、衛星デジタル放送、CATV(Cable Television)網等の、図示せぬ伝送路を介して放送(送信)されてくる、所定の受信周波数Frfの信号を取得し、伝送路復号処理部52に供給する。受信周波数Frfの信号は、例えば、番組の画像データや音声データ等を含む信号である。この取得部51として、上述した受信装置1の構成を採用することができる。
【0094】
即ち、取得部51としての受信装置1は、受信信号が入力され、共振周波数が可変な同調回路12(共振手段)と、同調回路12に、所望の受信周波数Frf(と同一周波数Flo)の電流信号(電気信号)を供給する高周波電流源20(電源供給手段)と、同調回路12に電流信号を供給したときの同調回路12の出力信号と、所望の受信周波数Frf(と同一周波数Flo)の信号とを混合する直交ミキサ回路16(混合手段)と、同調回路12の共振特性Qを変化させ、変化前後の同調回路12の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、同調回路12の共振周波数を制御する制御回路22(制御手段)とを備える。
【0095】
伝送路復号処理部52は、取得部51が伝送路を介して取得した信号に対して、伝送路で生じる誤りを訂正する処理を含む伝送路復号処理を施し、その結果得られる信号を、情報源復号処理部53に供給する。
【0096】
即ち、取得部51が伝送路を介して取得した信号は、伝送路で生じる誤りを訂正するための誤り訂正符号化を行うことで得られた信号である。そこで、伝送路復号処理部52は、そのような信号に対して、例えば、誤り訂正処理等の伝送路復号処理を施す。誤り訂正符号化としては、例えば、LDPC符号化や、リードソロモン符号化等がある。また、伝送路復号処理には、変調信号の復調等が含まれることがある。
【0097】
情報源復号処理部53は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理を少なくとも含む情報源復号処理を施す。
【0098】
即ち、取得部51が伝送路を介して取得した信号には、情報としての画像や音声等のデータ量を少なくするために、情報を圧縮する圧縮符号化が施されている場合がある。このような場合、情報源復号処理部53は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理(伸張処理)等の情報源復号処理を施す。
【0099】
なお、取得部51が伝送路を介して取得した信号に、圧縮符号化が施されていない場合には、情報源復号処理部53では、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理は行われない。
【0100】
ここで、伸張処理としては、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group phase)デコード等がある。また、情報源復号処理には、伸張処理の他、デスクランブル等が含まれることがある。
【0101】
以上のように構成される受信システムでは、取得部51において、例えば、画像や音声等のデータに対して、MPEG符号化等の圧縮符号化が施され、さらに、LDPC符号化等の誤り訂正符号化が施された信号が、伝送路を介して取得され、伝送路復号処理部52に供給される。
【0102】
伝送路復号処理部52では、例えば、取得部51からの信号のLDPC符号に対して、LDPC符号化が伝送路復号処理として施される。伝送路復号処理の結果得られる信号は、情報源復号処理部53に供給される。
【0103】
情報源復号処理部53では、伝送路復号処理部52からの信号に対して、MPEGデコード等の情報源復号処理が施され、その結果得られる画像、又は音声が出力される。
【0104】
以上のような図7の受信システムは、例えば、デジタル放送としてのテレビジョン放送を受信するテレビチューナ等に適用することができる。
【0105】
なお、取得部51、伝送路復号処理部52、及び、情報源復号処理部53は、それぞれ、1つの独立した装置(ハードウエア(IC(Integrated Circuit)等))、又はソフトウエアモジュール)として構成することが可能である。
【0106】
また、取得部51、伝送路復号処理部52、及び、情報源復号処理部53のうち2以上からなるセットを、1つの独立した装置として構成することが可能である。このようなセットとしては、例えば、取得部51と伝送路復号処理部52とのセットが存在する。また例えば、伝送路復号処理部52と情報源復号処理部53とのセットが存在する。また例えば、取得部51、伝送路復号処理部52、及び、情報源復号処理部53のセットが存在する。
【0107】
図8は、上述した受信装置1を適用可能な受信システムの第2の構成例を示すブロック図である。
【0108】
なお、図中、図7の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0109】
図8の受信システムは、取得部51、伝送路復号処理部52、及び、情報源復号処理部53を有する点で、図7の場合と共通し、出力部54が新たに設けられている点で、図7の場合と相違する。
【0110】
出力部54は、例えば、画像を表示する表示装置や、音声を出力するスピーカであり、情報源復号処理部53から出力される信号としての画像や音声等を出力する。即ち、出力部54は、画像を表示し、あるいは、音声を出力する。
【0111】
以上のような図8の受信システムは、例えば、デジタル放送としてのテレビジョン放送を受信するテレビジョン受像機や、ラジオ放送を受信するラジオ受信機等に適用することができる。
【0112】
なお、取得部51において取得された信号に、圧縮符号化が施されていない場合には、伝送路復号処理部52が出力する信号が、出力部54に供給される。
【0113】
図9は、上述した受信装置1を適用可能な受信システムの第3の構成例を示すブロック図である。
【0114】
なお、図中、図7の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0115】
図9の受信システムは、取得部51、及び、伝送路復号処理部52を有する点で、図8の場合と共通する。
【0116】
ただし、図9の受信システムは、情報源復号処理部53が設けられておらず、記録制御部55および記録媒体56が新たに設けられている点で、図8の場合と相違する。
【0117】
記録制御部55は、伝送路復号処理部202が出力する信号(例えば、MPEGのTS(Transport Stream)のTSパケット)の、光ディスクや、ハードディスク(磁気ディスク)、フラッシュメモリ等の記録媒体56への記録を制御する。
【0118】
以上のような図9の受信システムは、テレビジョン放送を録画するレコーダ等に適用することができる。
【0119】
なお、図9において、受信システムは、情報源復号処理部53を設けて構成し、情報源復号処理部53で、情報源復号処理が施された後の信号、すなわち、デコードによって得られる画像や音声を、記録制御部55により記録媒体56に記録することができる。
【0120】
[本発明のプログラムへの適用]
ところで、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることができる。
【0121】
この場合、上述した受信装置1を含む受信システムの少なくとも一部として、例えば、図10に示すコンピュータを採用することができる。
【0122】
図10において、CPU(Central Processing Unit)101は、ROM(Read Only Memory)102に記録されているプログラムに従って各種の処理を実行する。または記憶部108からRAM(Random Access Memory)103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0123】
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インタフェース105も接続されている。
【0124】
入出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどよりなる入力部106、ディスプレイなどよりなる出力部107が接続されている。また、ハードディスクなどより構成される記憶部108、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部109が接続されている。通信部109は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0125】
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア111が適宜装着される。そして、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
【0126】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0127】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
【0128】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 受信装置, 12 同調回路, 13 抵抗群, 14 局部発振回路, 15 スイッチング信号生成回路, 16 直交ミキサ回路, 16a,16b ミキサ, 19 スイッチング信号生成回路, 20 高周波電流源, 21 ADC, 22 制御回路, 31 容量群, 32 インダクタ, 51 取得部, 52 伝送路復号処理部, 53 情報源復号処理部, 54 出力部, 55 記録制御部, 56 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、
前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、
前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記共振手段は、複数のキャパシタからなる容量群とインダクタとから構成され、
前記制御手段は、前記キャパシタの容量値を変化させることで、前記共振周波数を変化させる
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、変化前後で前記出力信号の位相が増加する方向に変化したときには、前記容量群の容量値を減じる方向に、変化前後で前記出力信号の位相が減少する方向に変化したときには、前記容量群の容量値を増やす方向に、前記キャパシタの容量値を変化させる
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
キャパシタとインダクタとから構成される前記共振手段に並列に接続される抵抗を有し、
前記制御手段は、前記抵抗の接続のオンオフを制御し、前記共振手段の共振特性を変化させる
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記抵抗は、抵抗値が可変であり、
前記制御手段は、前記受信周波数に応じて、前記抵抗の抵抗値を制御する
請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記混合手段の出力信号をAD変換するAD変換手段をさらに備え、
前記AD変換手段は、前記出力信号のレベルをデジタル値として検出し、
前記制御手段は、前記混合手段が出力する直交I側の前記出力信号のレベルと、直交Q側の前記出力信号のレベルから、前記出力信号の位相を測定する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
前記電源供給手段は、前記共振手段の共振特性を変化させた後の前記出力信号の位相を測定するとき、前記電気信号の出力レベルを増加させて、前記共振手段に供給する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項8】
前記受信周波数の信号を生成する信号生成手段をさらに備え、
前記電源供給手段は、前記信号生成手段が生成する信号に基づいて、前記受信周波数の電気信号を生成し、前記共振手段に供給する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項9】
前記混合手段は、さらに、前記共振周波数が前記受信周波数に設定された前記共振手段から出力される信号と、局部発振回路から生成される前記受信周波数の信号とを混合して出力する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項10】
受信した信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に電気信号を供給する電源供給手段と、2つの信号を混合する混合手段と、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段とを備える受信装置の、
前記電源供給手段が、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給し、
前記混合手段が、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合し、
前記制御手段が、前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する
ステップを含む受信方法。
【請求項11】
受信した信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段とを備える受信装置のコンピュータに、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する
処理を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
受信信号が入力される受信手段と、
前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と
を備え、
前記受信手段は、
共振周波数が可変な共振手段と、
前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、
前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段と
を備える
受信システム。
【請求項13】
受信信号が入力される受信手段と、
前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と、
前記伝送路復号処理手段による伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理を行う情報源復号処理手段と
を備え、
前記受信手段は、
共振周波数が可変な共振手段と、
前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、
前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段と
を備える
受信システム。
【請求項14】
受信信号が入力される受信手段と、
前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と、
前記伝送路復号処理手段による伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理を行う情報源復号処理手段と、
前記情報源復号処理手段による情報源復号処理後の信号に基づいて画像または音声を出力する出力手段と
を備え、
前記受信手段は、
共振周波数が可変な共振手段と、
前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、
前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段と
を備える
受信システム。
【請求項15】
受信信号が入力される受信手段と、
前記受信手段により受信された信号に対して伝送路復号処理を行う伝送路復号処理手段と、
前記伝送路復号処理手段による伝送路復号処理後の信号に対して情報源復号処理を行う情報源復号処理手段と、
前記情報源復号処理手段による情報源復号処理後の信号の記録を制御する記録制御手段と
を備え、
前記受信手段は、
共振周波数が可変な共振手段と、
前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、
前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段と
を備える
受信システム。
【請求項16】
受信信号が入力され、共振周波数が可変な共振手段と、
前記共振手段に、所望の受信周波数の電気信号を供給する電源供給手段と、
前記共振手段に前記電気信号を供給したときの前記共振手段の出力信号と、前記所望の受信周波数の信号とを混合する混合手段と、
前記共振手段の共振特性を変化させ、変化前後の前記混合手段の出力信号に応じて、前記共振手段の共振周波数を制御する制御手段と
を備える受信装置。
【請求項17】
前記制御手段は、変化前後の前記出力信号の位相を測定し、変化前後で位相のずれを小さくする方向に、前記共振手段の共振周波数を制御する
請求項16に記載の受信装置。
【請求項18】
前記共振手段に並列に接続される抵抗をさらに備え、
前記制御手段は、前記抵抗の接続のオンオフを制御し、前記共振手段の共振特性を変化させる
請求項16に記載の受信装置。
【請求項19】
前記混合手段の出力信号をAD変換するAD変換手段をさらに備え、
前記AD変換手段は、前記出力信号のレベルをデジタル値として検出し、
前記制御手段は、前記混合手段が出力する直交I側の前記出力信号のレベルと、直交Q側の前記出力信号のレベルから、前記出力信号の位相を測定する
請求項16に記載の受信装置。
【請求項20】
局部発振回路が生成する局部発振信号に基づいて、前記所望の受信周波数の信号を生成する信号生成手段をさらに備え、
前記電源供給手段は、前記信号生成手段が生成する信号に基づいて、前記所望の受信周波数の電気信号を生成し、前記共振手段に供給する
請求項16に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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