説明

受信装置

【課題】所望する周波数を簡単な操作で設定することが可能な受信装置を提供する。
【解決手段】選択された入力ソースの周波数帯域全体を、棒状のスケール37として表示し、更に、このスケール37にて針35がドラッグ操作され、所望の周波数が選択されると、この選択された周波数の近傍の帯域の周波数が9KHzのステップでアイコン33に表示される。そして、アイコン33に表示された各周波数のうち、所望の周波数のアイコンを押すことにより、所望の周波数を設定することができる。従って、簡単な操作で所望する周波数を設定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ、テレビ等の電波を受信する受信装置に係り、特に、所望する放送局の周波数を簡単な操作で設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されるオーディオ機器では、ラジオ、テレビ等の各放送局の周波数を受信する受信装置が搭載されている。このような受信装置は、操作者が車両の運転時に操作することが多いので、操作性、視認性が容易であることが望まれる。このような受信機の従来例として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1では、プリセット値と周波数を同時に表示することにより、どの周波数付近をプリセット(登録)したかを簡単に認識できるようにする技術が開示されている。即ち、プリセットモードが選択された場合には、プリセット周波数が表示されるので、現在プリセットされている周波数を容易に認識することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−332631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例では、プリセット周波数を表示することにより、現在プリセットされている周波数を容易に認識することができるものの、所望する周波数を設定するために、1ステップ(周波数の最小の切り替え間隔)毎に周波数を変化させるので、大きな周波数を移動する場合には操作が面倒であり、且つ、細かい周波数調整に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、所望する周波数を簡単な操作で設定することが可能な受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明は、複数の放送局のうち、所望する放送局の周波数を選択して受信する受信装置において、表示手段と、複数の周波数帯域の電波を受信する受信手段と、前記表示手段の画面上での入力操作を検出するタッチパネルセンサと、前記複数の周波数帯域のうち、任意の周波数帯域全体を棒状のスケールとして表示し、前記棒状のスケールにて、前記タッチパネルセンサで選択された周波数の近傍となる所定範囲の周波数帯域を、予め設定した周波数ステップとなる複数段階のアイコンとして表示する表示制御手段と、前記表示手段に表示された各アイコンのうち、前記タッチパネルセンサにて選択されたアイコンの周波数を、受信周波数として設定する受信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る受信装置では、周波数帯域全体を棒状のスケールとして表示し、このスケールを用いることにより、ユーザが大まかな周波数選択操作を行うと、選択された周波数近傍の周波数帯域が、複数段階のアイコンとして表示される。そして、ユーザは、このアイコンを操作することにより、所望の周波数を設定することができるので、所望周波数を設定するまでの操作性を著しく向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る受信装置の、表示装置に表示される受信周波数表示画面の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る受信装置の、表示装置に表示される周波数設定画面を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る受信装置の、表示装置に表示される受信周波数表示画面の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この受信装置は、各放送局より送信される複数の周波数帯域の電波を受信するアンテナ14及び受信部11と、各種のデータを画面表示する表示部13と、この表示部13の画面上にてユーザによる入力操作を検出するタッチパネルセンサ15と、制御部12と、を備えている。
【0011】
制御部12は、表示部13に周波数設定画面(後述する図3参照)を表示すると共に、該周波数設定画面上で任意の周波数が選択された場合に、受信部11で受信される広い周波数帯域の受信信号から、選択された周波数の受信信号をフィルタ処理により取り出す。そして、フィルタ処理後の受信信号を復調して映像信号、或いは音声信号を取り出し、これらの信号を外部に出力する。例えば、音声信号はスピーカ(図示省略)に出力されて音声として出力されることとなる。
【0012】
また、制御部12は、周波数設定画面の表示を変更する処理、及び現在選択されている周波数、放送局、各種の操作用スイッチを表示部13に表示する処理を行う。更に、表示部13の表示画面上で任意の周波数がプリセット操作された場合(後述する図2に示すスイッチ25が押された場合)には、この周波数をプリセット値として記憶保存する制御を行う。
【0013】
次に、本実施形態に係る受信装置の動作について説明する。タッチパネルセンサ15にて任意の周波数帯域が設定され、且つこの周波数帯域中の任意の周波数が選択されている場合には、この周波数、及びこの周波数に対応する放送局が表示部13に表示される。例えば、図2に示すように、表示部13の画面上に、「TV」「AM」「FM」「USB」「AUX」等の各種の入力ソース21が表示される。図2に示す例では、「AM」が反転表示されており、現在AMラジオが受信されていることを示している。
【0014】
また、画面中央部には、現在受信している放送局の周波数が表示される。この例では、符号23に示すように、「652KHz」の周波数の電波が受信されている。また、この周波数に対応する放送局が、画面中央部の符号22に示す領域に表示される。具体的には、現在受信されている放送局は、チャンネル1の「ABCD(名称)」であることが表示される。
【0015】
更に、表示部13の画面下部には、1〜6までのプリセット用スイッチ25が表示される。6個のプリセット用スイッチ25のうち所望のスイッチがユーザにより押されると、予めプリセットされている周波数が選択され、受信される。従って、プリセットされている周波数に対応する放送局より送信される音声データが出力されることになる。
【0016】
また、各プリセット用スイッチ25に周波数をプリセットする場合には、所望する周波数(例えば、652KHz)を選択した状態で、プリセット番号「1」のプリセット用スイッチ25を例えば長押し操作する。この操作により、「1」のプリセット用スイッチ25には、652KHzの周波数がプリセット値として登録されることとなり、次回以降は「1」を押すことにより、652KHzの周波数をワンタッチで選択することができるようになる。このプリセット用スイッチ25は、全部で6個設けられているので、本実施形態ではユーザの好みにより6個の放送局の周波数をプリセットすることができる。
【0017】
また、画面中央部右側には、周波数切替スイッチ24が表示され、ユーザによりこの周波数切替スイッチ24が選択されると、図3に示す如くの周波数設定画面が表示される。
【0018】
図3に示すように、周波数設定画面は「AM」「FM」を切り替える選択スイッチ31と、選択されている入力ソース(「AM」「FM」のいずれか)の周波数帯域全体を表示する棒状のスケール37と、全体の周波数帯域のうち針35を操作することにより選択される周波数、即ち、針35が指し示す周波数の近傍となる周波数帯域を、予め設定したステップ毎に表示する周波数設定用のアイコン33と、が表示されている。更に、アイコン33に表示する周波数のステップを設定するステップ設定スイッチ32と、周波数設定画面を終了するための終了スイッチ36が表示されている。
【0019】
スケール37は、入力ソース(周波数帯域)として「AM」が選択されている場合には、該スケール37の左端から右端までが、「AM」の周波数帯域である530KHz〜1600KHzとなるように表示する。また、針35は、ユーザが指で操作してドラッグ操作(引きずる操作)することにより左右に移動させることができるので、ユーザは針35をドラッグ操作することにより、所望する周波数を大まかに選択することができる。例えば、周波数を962KHzに設定したい場合には、針35を1000KHz付近にドラッグすれば、大まかな設定が可能となる。
【0020】
この際、周波数選択用の複数のアイコン33には、針35で指示された周波数近傍が予め設定されたステップ(例えば、9KHz)で変化するように表示される。例えば、針35で指示された周波数が980KHzである場合には、中央を示す針34のアイコンに「980KHz」と表示され、その左側に「971KHz」「962KHz」と表示され、右側に「989KHz」「998KHz」と表示される。更に、「962KHz」の左側には、左向きの矢印33aが表示され、「998KHz」の右側には、右向きの矢印33bが表示される。
【0021】
そして、ユーザはアイコン33に表示される周波数表示を視認して、所望する周波数に対応するアイコン33を押すことにより、この周波数の放送局を選択することができる。例えば、周波数を962KHzに設定したい場合には、このアイコンを押せば良い。また、5個のアイコン33内に選択対象となる周波数が存在しない場合には、左向きの矢印33aを押すことにより、アイコン33の周波数表示を左側にスライドさせることができ、より高い周波数のアイコンを表示させることができる。反対に、右向きの矢印33bを押すことにより、アイコン33の周波数表示を右側にスライドさせることができ、より低い周波数のアイコンを表示させることができる。
【0022】
このようにして、本実施形態の受信装置では、図2に示す受信周波数表示画面の状態から、周波数切替スイッチ24を押すことにより、図3に示す周波数設定画面を表示させることができ、更に、この周波数設定画面上で、針35をドラッグ操作することにより、大まかな周波数を設定し、更に、アイコン33を操作することにより、所望する周波数を選択することができる。従って、従来の受信装置と比較して操作性を著しく向上させることができる。
【0023】
また、図2に示したように、プリセット用スイッチ25を操作することにより、現在受信されている周波数をプリセットすることができるので、所望する周波数を簡単な操作で選択し、更に、この周波数とプリセット値として登録することが可能となる。従って、従来の受信装置と比較して、極めて簡単な操作で所望する周波数をプリセットすることができるようになる。
【0024】
更に、本実施形態の受信装置では、図3に示すステップ設定スイッチ32を押すことにより、アイコン33に表示される周波数のステップを適宜変更することができる。例えば、上述した例ではステップを9KHzとしたが、12.5KHz等の他の数値とすることも可能である。即ち、制御部12は、任意の周波数帯域(AMの周波数帯域、或いはFMの周波数帯域)で、アイコン表示する周波数のステップを変更することが可能である。
【0025】
また、入力ソースとして「FM」が選択された場合には、周波数のステップをMHz(メガヘルツ)の単位とすることも可能である。即ち、制御部12は、各周波数帯域毎に、アイコンを表示する周波数のステップを変更することが可能である。
【0026】
以上、本発明の受信装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、受信周波数表示画面として図2に示す例を挙げたが、図4に示すように、周波数切替スイッチ24の表示を割愛することも可能である。この場合は、ユーザが符号23に示す周波数表示枠を押すことにより、周波数設定画面を表示するように制御する。そして、このような構成によれば、表示部13の表示画面を簡素化することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、簡単な操作で所望する周波数を選択することに利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
11 受信部
12 制御部(表示制御手段、受信制御手段)
13 表示部
14 アンテナ
15 タッチパネルセンサ
21 入力ソース
24 周波数切替スイッチ
25 プリセット用スイッチ
31 選択スイッチ
32 ステップ設定スイッチ
33 アイコン
34 針
35 針
36 終了スイッチ
37 スケール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送局のうち、所望する放送局の周波数を選択して受信する受信装置において、
表示手段と、
複数の周波数帯域の電波を受信する受信手段と、
前記表示手段の画面上での入力操作を検出するタッチパネルセンサと、
前記複数の周波数帯域のうち、任意の周波数帯域全体を棒状のスケールとして表示し、前記棒状のスケールにて、前記タッチパネルセンサで選択された周波数の近傍となる所定範囲の周波数帯域を、予め設定した周波数ステップとなる複数段階のアイコンとして表示する表示制御手段と、
前記表示手段に表示された各アイコンのうち、前記タッチパネルセンサにて選択されたアイコンの周波数を、受信周波数として設定する受信制御手段と、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記各周波数帯域毎に、前記アイコン表示する周波数のステップを変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、任意の周波数帯域にて、前記アイコン表示する周波数のステップを変更可能であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の受信装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示手段にプリセット番号を示すスイッチを表示し、
前記受信制御手段は、ある周波数の電波が受信されているときに、前記プリセット番号を示すスイッチが操作された場合に、この周波数を前記プリセット番号のプリセット値として設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−244391(P2012−244391A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112286(P2011−112286)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】