受光装置
【課題】安定な高周波特性を有する受光装置を提供すること。
【解決手段】一端に電源電圧が供給される受光素子50と、前記受光素子を搭載する誘電体からなるキャリア30と、前記キャリアを搭載する導電体からなるベース20と、前記受光素子の他端から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤを介し入力するトランスインピーダンスアンプ40と、前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記一端が接続され、前記トランスインピーダンスアンプのグランドが第2ボンディングワイヤを介し接続され、前記ベースとの間に第1キャパシタを形成する第1金属膜34と、前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第2キャパシタを形成する第2金属膜36と、前記第1金属膜と第2金属膜との間に接続された第1抵抗72と、を具備する受光装置。
【解決手段】一端に電源電圧が供給される受光素子50と、前記受光素子を搭載する誘電体からなるキャリア30と、前記キャリアを搭載する導電体からなるベース20と、前記受光素子の他端から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤを介し入力するトランスインピーダンスアンプ40と、前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記一端が接続され、前記トランスインピーダンスアンプのグランドが第2ボンディングワイヤを介し接続され、前記ベースとの間に第1キャパシタを形成する第1金属膜34と、前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第2キャパシタを形成する第2金属膜36と、前記第1金属膜と第2金属膜との間に接続された第1抵抗72と、を具備する受光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置に関し、受光素子が誘電体からなるキャリアに搭載された受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受光装置は、例えばFTTH(Fiber to the home)等の光ファイバを用いた光通信に用いられる。特許文献1には、光信号を受信し電気信号に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードの出力電流信号を電圧信号に変換し増幅するTIA(トランスインピーダンスアンプ)と、を備える受光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−274032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光装置には、高周波特性が求められている。しかしながら、安定な高周波特性が得られないことがある。本発明は、安定な高周波特性を有する受光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一端に電源電圧が供給される受光素子と、前記受光素子を搭載する誘電体からなるキャリアと、前記キャリアを搭載する導電体からなるベースと、前記受光素子の他端から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤを介し入力するトランスインピーダンスアンプと、前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記一端が接続され、前記トランスインピーダンスアンプのグランドが第2ボンディングワイヤを介し接続され、前記ベースとの間に第1キャパシタを形成する第1金属膜と、前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第2キャパシタを形成する第2金属膜と、前記第1金属膜と第2金属膜との間に接続された第1抵抗と、を具備することを特徴とする受光装置である。本発明によれば、周波数が高い領域における共振を抑制することにより、安定な高周波特性を有する受光装置を提供することができる。
【0006】
上記構成において、前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記他端が接続される第3金属膜を具備し、前記第1金属膜は少なくとも前記第3金属膜の両側を挟んで設けられている構成とすることができる。この構成によれば、周波数の低い領域における共振を抑制することができる。
【0007】
上記構成において、前記第1ボンディングワイヤは、前記第3金属膜と前記トランスインピーダンスアンプの入力とを接続しており、前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤの両側に、前記第3金属膜を挟んで設けられた前記第1金属膜にそれぞれ接続するように複数設けられる構成とすることができる。この構成によれば、周波数の低い領域における共振をより抑制することができる。
【0008】
上記構成において、前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第3キャパシタを形成する第4金属膜と、前記第1金属膜と第4金属膜との間に接続された第2抵抗と、を具備する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第2キャパシタまたは前記第3キャパシタの容量値は前記第1キャパシタの容量値より大きい構成とすることができる。この構成によれば、周波数の高い領域における共振をより抑制することができる。
【0010】
上記構成において、一端が前記第1金属膜に接続され他端が第2ボンディングワイヤに接続された第3キャパシタを具備する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、一端が前記第1金属膜に接続された第3抵抗と、一端が前記第3抵抗の他端および前記電源電圧を供給する電源に接続され他端が前記ベースに接続された第5キャパシタと、を具備する構成とすることができる。この構成によれば、共振をさらに抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記第1抵抗または第2抵抗は、前記キャリアの表面に形成された抵抗膜である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定な高周波特性を有する受光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、比較例1に係る受光装置の回路図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は、TIAのZ21およびS22を示す図である。
【図3】図3(a)から図3(c)は、比較例2に係る受光装置を示す図である。
【図4】図4は、比較例2に係る受光装置の回路図である。
【図5】図5(a)および図5(b)は、それぞれ比較例2におけるTIAのZ21およびS22を示す図である。
【図6】図6は、比較例3に係る受光装置の正面図である。
【図7】図7は、比較例3に係る受光装置の回路図である。
【図8】図8は、比較例3に係る受光装置のZ21を示す図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、それぞれ比較例3および実施例1に係る受光装置の回路図である。
【図10】図10(a)および図10(b)は、それぞれ比較例3および実施例1のインピーダンスの周波数特性を示す図である。
【図11】図11(a)から図11(c)は、実施例2に係る受光装置を示す図である。
【図12】図12は、実施例2に係る受光装置の回路図である。
【図13】図13(a)および図13(b)は、実施例2に係る受光装置のTIAのZ21およびS22を示す図である。
【図14】図14は、実施例2の変形例1のキャリアの正面図である。
【図15】図15は、実施例2の変形例1に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図16】図16は、実施例2の変形例2のキャリアの正面図である。
【図17】図17は、実施例2の変形例2に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図18】図18は、実施例2の変形例3のキャリアの正面図である。
【図19】図19は、実施例2の変形例3に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図20】図20は、実施例2の変形例4に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図21】図21は、実施例2の変形例5のキャリアの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、受光装置について比較例1を用い説明する。比較例1は、理想的な受光装置の例である。図1は、比較例1に係る受光装置の回路図である。図1のように、受光装置は、フォトダイオード10およびTIA14を備えている。フォトダイオード10は光信号を電流信号に変換する受光素子である。フォトダイオード10のカソードに電源Vpdが接続される。フォトダイオード10のアノードはTIA14に接続される。TIA14はアンプ12とアンプ12に並列に接続された抵抗R1とを有する。TIA14は、フォトダイオード10が出力した電流信号を電圧信号に変換する。TIA14の後段にアンプ等が設けられている場合もあるが説明を省略する。
【0016】
InP系HBT(Hetero Bipolar Transistor)のTIA14におけるZ21およびS22の一例を説明する。図2(a)および図2(b)は、TIAのZ21およびS22を示す図である。図2(a)は、TIA14のトランスインイーダンスZ21の周波数特性の一例を示す図である。実線は差動信号の出力信号を示している。Z21は、30GHz近くまで平坦であり、30GHz以上においても大きい値を示している。このように、良好なZ21特性を示している。図2(b)は、TIA14のS22の周波数特性の一例を示している。S22は、概ね−10dB以下であり、良好な特性を示している。以上のように、TIA14は良好な特性を有している。
【0017】
比較例2は、フォトダーオード10とTIA14をベースに実装した例である。図3(a)から図3(c)は、比較例2に係る受光装置を示す図である。図3(a)は比較例2の上面図、図3(b)はA−A断面図、図3(c)は正面図である。図3(a)から図3(c)のように、導電性からなるベース20に誘電体からなるキャリア30が搭載されている。ベース20はFeとNiとの合金、キャリア30は酸化アルミニウムからなる。ベース20とキャリア30との間にはキャパシタ60が設けられている。ベース20上にTIAチップ40が設けられている。TIAチップ40上には、TIA14が形成されており、表面には配線44が設けられている。配線44は、入力パッドIn、出力パッドOut、グランド配線Gndを含む。TIAチップ40のグランド配線Gndは、TIAチップ40を貫通するビア42内に形成された金属層によりベースと電気的に接続される。なお、ビア42上には配線44が形成されているが、図3(a)においては、配線44を透視してビア42を図示している。
【0018】
キャリア30の表面には、金属膜32、33が形成されている。金属膜32はボンディングワイヤ62によりTIAチップ40の入力パッドInに接続される。金属膜33はキャパシタ60の上面の電極に接続される。キャパシタ60の上面の電極には、不図示のボンディングワイヤ等を介し電源Vpdが接続される。キャリア30はフォトダイオード10を搭載する。キャリア30の正面にはファトダイオードチップ(PDチップ)50がフリップチップ実装されている。図3(c)においては、PDチップ50は破線で図示している。PDチップ50のカソードが金属膜32に電気的に接続され、アノードが金属膜33に電気的に接続されている。金属膜32および34は、金が用いられる。
【0019】
図4は、比較例2に係る受光装置の回路図である。図4のように、フォトダイオード10のアノードとTIA14との間にインダクタL1が接続されている。インダクタL1は図3(a)から図3(c)のボンディングワイヤ62のインダクタンスに対応する。フォトダイオード10のカソードとグランドとの間にキャパシタC1が接続されている。キャパシタC1は、図3(a)から図3(c)のキャパシタ60に対応する。その他の構成は、図1と同じであり、説明を省略する。
【0020】
図5(a)および図5(b)は、それぞれ比較例2におけるTIAのZ21およびS22を示す図である。図5(a)および図5(b)においては、TIA14が図2(a)および図2(b)の特性を有するとしてZ21およびS22の周波数特性をシミュレーションしている。シミュレーションにおいては、ボンディングワイヤ等を流れる電流により形成される磁束、キャリア30上に形成された金属膜により形成されるキャパシタンス等も計算した。実線は差動信号の出力信号を示している。以下の比較例および実施例におけるシミュレーションも同様である。図5(a)および図5(b)のように、8GHz以上において共振現象が生じている。共振現象の原因は、TIA14の出力電流が作り出す磁束がキャリア30に作用しているためである。例えば、図3(a)におけるTIAチップ40の出力パッドOutから後段のアンプ(図示せず)に接続するボンディングワイヤを流れる電流が、リターン電流としてグランド配線Gndを介し戻ってくるため、キャリア30の金属膜32等に影響しているものと考えられる。
【0021】
共振現象を抑制する一例として、比較例3について説明する。図6は、比較例3に係る受光装置の正面図である。フォトダイオード10のカソードは、金属膜34に接続されている。金属膜34は、U字状に金属膜32を囲っている。金属膜34の両端は、それぞれボンディングワイヤ63より、TIAチップ40のグランド配線Gndに接続されている。
【0022】
図7は、比較例3に係る受光装置の回路図である。インダクタL2がフォトダイオード10のカソードとTIA14のグランドとの間に接続されている。インダクタL2は、図6のボンディングワイヤ63のインダクタンスに対応する。図8は、比較例3に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。図8においては、TIA14が図2(a)および図2(b)の特性を有するとしてZ21の周波数特性をシミュレーションしている。図8のように、比較例3によれば、30GHz付近より小さい周波数領域での共振現象が抑制されている。これは、図6の金属膜34とボンディングワイヤ63とTIAチップ40のグランド配線がループを形成し、TIA14の出力電流が作り出す磁束がキャリア30に作用することを抑制しているためである。しかしながら、30GHz以上において共振現象が生じている。
【0023】
以上のように、比較例3においては、例えば30GHz以下の低周波領域において共振現象を抑制できる。しかしながら、例えば30GHz以上の高周波領域において共振現象が生じてしまう。以下、30GHz以上の高周波領域における共振現象を抑制する実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
図9(a)は、比較例3に係る受光装置の回路図である。図7に示した回路図と比較すると、キャパシタC2がフォトダイオード10のカソードとグランドとの間に接続されている。キャパシタC2は、図6における金属膜34とベース20との間の容量に対応する。このように、比較例3においては、キャリア30の表面に形成した金属膜34とベース20との間にキャパシタC2の容量が形成されてしまう。このことから30GHz以上の高周波領域において共振現象が生じてしまうと考えられる。
【0025】
図9(b)は、実施例1に係る受光装置の回路図である。図9(b)のように、実施例1においては、抵抗R3とキャパシタC3とがフォトダイオード10のカソードとグランドとの間に直列に接続されている。
【0026】
図10(a)および図10(b)は、それぞれ比較例3および実施例1のインピーダンスの周波数特性を示す図である。インピーダンスは、TIA14のグランドからみたインピーダンスであり、キャパシタC1の容量値が100pF、インダクタL2のインダクタンスが0.2nFとして計算した。図10(a)のように、比較例3においては35GHzにおいて共振が生じている。図10(b)の実施例1においては、抵抗R3を50Ωとして、キャパシタC3の容量値を0fFから1pFまで変化させインピーダンスを計算した。なお、容量値が0fFの線は、抵抗R3およびキャパシタC3が接続されていない比較例3に対応する。図9(b)のように、抵抗R3とキャパシタC3とを接続することにより、35GHz付近の共振をなまらせることができる。例えば、キャパシタC3の容量値をキャパシタC2より大きくすることにより、35GHz付近の共振をよりなまらせることができる。
【実施例2】
【0027】
図11(a)から図11(c)は、実施例2に係る受光装置を示す図である。図11(a)は実施例2の上面図、図11(b)はA−A断面図、図11(c)は正面図である。なお、図11(c)において、PDチップ50は破線にて図示している。図11(a)から図11(c)のように、キャリア30の表面に金属膜32、34、36、38および39が設けられている。金属膜32は、キャリア30の上面から正面に渡り形成されている。キャリア30の正面の金属膜32にはフォトダイオードのアノードが接続されている。例えば正面の金属膜32の先端の円形領域にPDチップ50のアノード電極がバンプを介し電気的に接続されている。キャリア30の上面の金属膜32は、ボンディングワイヤ62を介しTIAチップ40の入力パッドInに電気的に接続されている。金属膜34は、キャリア30の上面から正面に渡り形成されている。キャリア30の正面の金属膜34にはフォトダイオードのカソードが電気的に接続されている。例えば正面の金属膜34にPDチップ50のカソード電極がバンプを介し電気的に接続されている。
【0028】
キャリア30の正面の金属膜34は、金属膜32を囲むようにU字状に形成されている。キャリア30の上面の金属膜34は、金属膜32の両側に設けられている。キャリア30の上面の金属膜34には、それぞれチップコンデンサ64が設けられている。チップコンデンサ64は、はんだを用い金属膜34上に実装されている。チップコンデンサ64の一端は金属膜34に電気的に接続され、他端は、TIAチップ40のグランド配線Gndにボンディングワイヤ63を介し電気的に接続されている。
【0029】
金属膜36は、キャリア30の正面に形成されている。金属膜36は、抵抗膜72を介し金属膜34と電気的に接続され、抵抗膜72以外では金属膜34とは電気的に接続されていない。金属膜39は、キャリア30の正面に形成されている。金属膜39は、ベース20と電気的に接続されている。これにより、金属膜39は、グランド電位となっている。金属膜39は、金属膜36とは分離している。金属膜38は、キャリア30の上面に形成されている。金属膜38は、金属膜34の外側にそれぞれ設けられている。金属膜38は、抵抗膜75を介し金属膜34と電気的に接続され、抵抗膜75以外では金属膜34とは電気的に接続されていない。
【0030】
キャリア30の両側にはサブベース22が設けられている。サブベース22は、ベース20と電気的に接続されている。サブベース22は、ベース20と一体に形成されていてもよい。また、サブベース22は、ベース20にロウ材または溶接により固定されていてもよい。サブベース22の上面にはチップコンデンサ66が設けられている。チップコンデンサ66は、はんだを用いサブベース22上に実装されている。チップコンデンサ66はサブベース22に電気的に接続され、チップコンデンサ66の一端は、ボンディングワイヤ71を介し電源Vpdに接続され、さらに、金属膜38にボンディングワイヤ69を介し接続されている。
【0031】
ベース20およびサブベース22は、FeとNiとの合金により形成される。ベース20およびサブベース22は、他の導電体(例えば金属)から形成されてもよい。ベース20およびサブベース22は、同じ導電体材料から形成されてもよい。キャリア30は、酸化アルミニウムにより形成される。キャリア30は、他の誘電体から形成されてもよい。金属膜32、34、36、38および39は、金より形成される。金属膜32、34、36、38および39は、他の金属でもよい。抵抗膜72および75は、窒化タンタルにより形成されている。抵抗膜72および75は、他の薄膜抵抗でもよい。その他の構成は、図3(a)から図3(c)と同じであり説明を省略する。
【0032】
図12は、実施例2に係る受光装置の回路図である。図12を参照し、フォトダイオード10のカソードが、抵抗R4、インダクタL4およびインダクタL5を直列に介し電源Vpdに接続されている。キャパシタC4は、一端がインダクタL4とインダクタL5との間のノードに接続され、他端が接地されている。インダクタL2とキャパシタC2が接続されるノードとの間にキャパシタC5が接続される。その他の構成は図9(b)と同じである。
【0033】
図12のキャパシタC2は、キャリア30上に形成された金属膜34とキャリア30の下面のベース20との間の誘電体材料を介した結合により形成されるキャパシタンスに対応する。抵抗R3は、抵抗膜72により形成される抵抗値に対応する。キャパシタC3は、金属膜36とキャリア30の下面のベース20との間の誘電体材料を介した結合により形成されるキャパシタンスに対応する。抵抗R4は、抵抗膜75により形成される抵抗値に対応する。インダクタL4はボンディングワイヤ69により形成されるインダクタンスに対応する。キャパシタC4はチップコンデンサ66に対応する。キャパシタC5はチップコンデンサ64に対応する。インダクタL5は、ボンディングワイヤ71により形成されるインダクタンスに対応する。なお、図11(b)において、キャリア30の背面とベース20の正面とが近接している場合、キャパシタC2には、金属膜34とベース20の正面との間の誘電体材料と空気とを介した結合により形成されたキャパシタンスも含まれる。同様に、キャパシタC3には、金属膜36とベース20の正面との間の誘電体材料と空気とを介した結合により形成されたキャパシタンスも含まれる。
【0034】
キャパシタC5は、グランドと電源Vpdとの間の直流カットキャパシタである。さらに、キャパシタC5の容量値を調整することで、受光装置の特性を向上させることもできる。なお、図示していないが、キャパシタC5と類似の直流カットキャパシタは、図7、図9(a)および、図9(b)においても直流経路のいずれかに設けられている。抵抗R4、インダクタL4およびキャパシタC4は、実施例1の抵抗R2およびキャパシタC4と同様に、共振特性をなまらせ、共振を抑制する機能を有する。
【0035】
実施例2に係る受光装置のZ21およびS22をシミュレーションした。図11(c)におけるキャリア30の高さ、幅は、それぞれ1.0および1.5mm、図11(b)におけるキャリア30の幅は0.4mmである。キャパシタC2、C3、C4およびC5のキャパシタンスは、それぞれ30fF、53.3fF、100pFおよび10pFである。抵抗R3およびR4の抵抗値はそれぞれ50Ω、50Ωである。インダクタL1、L2およびL4のインダクタンスはボンディングワイヤのインダクタンスとして全て0.2nHとした。
【0036】
図13(a)および図13(b)は、実施例2に係る受光装置のTIAのZ21およびS22のシミュレーション結果を示す図である。図13(a)および図13(b)のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0037】
図14は、実施例2の変形例1のキャリアの正面図である。図11(c)と比較し、金属膜39が形成されておらず、金属膜36がキャリア30の下まで形成されている。ただし、金属膜36は、ベース20とは電気的に接触していない。変形例1では、キャパシタC3のキャパシタンスは80fFである。その他は、実施例2と同じである。
【0038】
図15は、実施例2の変形例1に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。図15のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0039】
図16は、実施例2の変形例2のキャリアの正面図である。図11(c)と比較し、金属膜36が2つに分離しており、分離した金属膜36−1および36−2のそれぞれが抵抗膜72−1および抵抗膜72−2を介し金属膜34に接続されている。金属膜36−1および金属膜36−2とキャリア30の下面のベース20との間の誘電体材料を介した結合により形成されるキャパシタンスにより、それぞれキャパシタC3−1とキャパシタC3−2とが形成される。図16の例では、キャパシタC3−1とキャパシタC3−2とのそれぞれのキャパシタンスは、それぞれ49.4fFである。抵抗膜72−1および72−2のそれぞれの抵抗値は100Ωである。その他は、実施例2と同じである。また、キャパシタC3−1の容量値またはキャパシタC3−2の容量値をキャパシタC2の容量値より大きくすることにより、35GHz付近の共振をよりなまらせることができる。さらに、キャパシタC3−1の容量値およびキャパシタC3−2の容量値をキャパシタC2の容量値より大きくしてもよい。
【0040】
図17は、実施例2の変形例2に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。図17のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0041】
図18は、実施例2の変形例3のキャリアの正面図である。変形例2の図16と比較し、金属膜39が形成されておらず、金属膜36が正面の下において接続している。ただし、金属膜36は、ベース20とは電気的に接触していない。図18の例では、キャパシタC3のキャパシタンスは80fFである。その他は、実施例2の変形例2と同じである。
【0042】
図19は、実施例2の変形例3に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。図19のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0043】
図20は、実施例2の変形例4に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。変形例4においては、変形例2および3の金属膜36の代わりに、抵抗膜72にそれぞれ容量値が500fFのキャパシタを接続し、シミュレーションしている。図20のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0044】
図21は、実施例2の変形例5のキャリア30の上面(金属膜およびボンディングワイヤを図示)である。図21のように、金属膜34とボンディングワイヤ69との間に抵抗が設けられていなくともよい。なお、金属膜34のチップコンデンサ64が実装される領域とボンディングワイヤ69が接続される領域との間の金属膜34が一部除去されているのは、チップコンデンサ64を金属膜34上にはんだを用い実装する際にはんだがボンディングワイヤ69が接続する領域に流入することを抑制するためである。
【0045】
実施例1および2によれば、図9(b)および図12のように、フォトダイオード10等の受光素子の一端(例えばカソード)に電源電圧が供給される。図9(b)、図11(a)から図11(c)および図12のように、TIA14には、受光素子の他端(例えばアノード)から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤ62を介し入力する。第1金属膜34は、キャリア30の表面に形成され、受光素子の一端が接続され、TIA14のグランドが第2ボンディングワイヤ63を介し接続され、ベース20との間に第1キャパシタC2を形成する。第2金属膜36は、キャリア30の表面に形成され、ベース20との間に第2キャパシタC3を形成する。第1抵抗R3が第1金属膜34と第2金属膜36との間に接続されている。
【0046】
以上により、図10(a)および図10(b)を用い説明したように、周波数が高い領域における共振を抑制することができる。第1金属膜34および第2金属膜36がキャリア30の表面に形成されていることにより、付加されるインダクタンスを低減できる。例えば、キャパシタをキャリア30に外付けすると、ボンディングワイヤ等のインダクタンスが付加される。実施例1および2においては、付加されるインダクタンスが小さいため、図10(b)のように、理想的に共振を抑制することができる。
【0047】
また、実施例1および2によれば、図11(c)、図14、図16および図18のように、第3金属膜32がキャリア30の表面に形成され、第3金属膜32には受光素子の他端(例えばアノード)が接続される。第1金属膜34は第3金属膜32を囲むように設けられている。例えば、第1金属膜34は少なくとも第3金属膜32の両側を挟んで設けられている。これにより、第1金属膜34が第3金属膜32を囲みTIA14の出力電流が形成する磁束がキャリアに作用することを抑制できる。よって、周波数の低い領域における共振を抑制することができる。
【0048】
さらに、第1金属膜34、第2ボンディングワイヤ63およびTIAのグランド配線Gndが、第3金属膜32および第1ボンディングワイヤ62を囲むように形成されている。例えば、第1ボンディングワイヤは62、第3金属膜32とTIA14の入力(入力パッドIn)とを接続している。第2ボンディングワイヤ63は、第1ボンディングワイヤ62の両側に、第3金属膜32を挟んで設けられた第1金属膜34にそれぞれ接続するように複数設けられる。これにより、第1金属膜34、第2ボンディングワイヤ63およびTIAのグランド配線Gndが、第3金属膜32を囲みTIA14の出力電流が形成する磁束がキャリアに作用することを抑制できる。周波数の低い領域における共振を抑制することができる。
【0049】
図16のように、第1金属膜32と第2金属膜36−1との間に第1抵抗(金属膜72−1)が接続されている。さらに、第1金属膜32と、キャリア30の表面に形成されベース20との間にキャパシタC3−1(第3キャパシタ)を形成する第4金属膜36−1と、の間に第2抵抗(金属膜72−2)が接続されていてもよい。
【0050】
さらに、図10(b)のように、第2キャパシタC3の容量値をキャ第1キャパシタC2より大きくすることにより、共振をより抑制することができる。キャリア30の表面に形成された金属膜34および36により形成されるキャパシタC2およびC3の容量値は、それぞれ金属膜34および36の面積に依存する。よって、第2金属膜36の面積は第1金属膜34の面積より大きいことが好ましい。
【0051】
図16においては、第2キャパシタC3−1および第3キャパシタC3−2のそれぞれの容量値は第1キャパシタC1の容量値より大きいことが好ましい。これにより、共振をより抑制することができる。
【0052】
さらに、実施例2によれば、図11(a)から図11(c)、図14、図16および図18のように、第4キャパシタC4の一端が第1金属膜34に接続され他端が第2ボンディングワイヤ63に接続されている。これにより、グランドと電源Vpdとの間に直流電流が流れることを抑制できる。
【0053】
さらに、実施例2によれば、図11(a)から図11(c)、図14、図16および図18のように、第3抵抗R4の一端が第1金属膜34に接続されている。第5キャパシタC4の一端が第3抵抗R4の他端および電源電圧Vpdを供給する電源に接続され他端がベース20に接続されている。これにより、共振をさらに抑制することができる。
【0054】
第1抵抗R3は、チップ抵抗等を用いてもよい。ボンディングワイヤ等のインダククタンスを小さくし、より理想的な特性に近づけるため、第1抵抗R3は、キャリア30の表面に形成された抵抗膜であることが好ましい。
【0055】
また、図16の第1抵抗(抵抗膜72−1)および第2抵抗(抵抗膜72−2)は、チップ抵抗等を用いてもよい。ボンディングワイヤ等のインダククタンスを小さくし、より理想的な特性に近づけるため、第1抵抗(抵抗膜72−1)および第2抵抗(抵抗膜72−2)の少なくとも一方は、キャリア30の表面に形成された抵抗膜であることが好ましい。第1抵抗および第2抵抗の両方がキャリア30の表面に形成された抵抗膜であることがより好ましい。
【0056】
同様に、第3抵抗R4は、チップ抵抗等を用いてもよい。ボンディングワイヤ等のインダククタンスを小さくし、より理想的な特性に近づけるため、第3抵抗R4は、キャリア30の表面に形成された抵抗膜であることが好ましい。
【0057】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 フォトダイオード
14 TIA
20 ベース
22 サブベース
30 キャリア
32、34、36、36−1、36−2 金属膜
40 TIAチップ
50 PDチップ
62、63、69 ボンディングワイヤ
64、66 チップコンデンサ
72、75、72−1、72−2 抵抗膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置に関し、受光素子が誘電体からなるキャリアに搭載された受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受光装置は、例えばFTTH(Fiber to the home)等の光ファイバを用いた光通信に用いられる。特許文献1には、光信号を受信し電気信号に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードの出力電流信号を電圧信号に変換し増幅するTIA(トランスインピーダンスアンプ)と、を備える受光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−274032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光装置には、高周波特性が求められている。しかしながら、安定な高周波特性が得られないことがある。本発明は、安定な高周波特性を有する受光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一端に電源電圧が供給される受光素子と、前記受光素子を搭載する誘電体からなるキャリアと、前記キャリアを搭載する導電体からなるベースと、前記受光素子の他端から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤを介し入力するトランスインピーダンスアンプと、前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記一端が接続され、前記トランスインピーダンスアンプのグランドが第2ボンディングワイヤを介し接続され、前記ベースとの間に第1キャパシタを形成する第1金属膜と、前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第2キャパシタを形成する第2金属膜と、前記第1金属膜と第2金属膜との間に接続された第1抵抗と、を具備することを特徴とする受光装置である。本発明によれば、周波数が高い領域における共振を抑制することにより、安定な高周波特性を有する受光装置を提供することができる。
【0006】
上記構成において、前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記他端が接続される第3金属膜を具備し、前記第1金属膜は少なくとも前記第3金属膜の両側を挟んで設けられている構成とすることができる。この構成によれば、周波数の低い領域における共振を抑制することができる。
【0007】
上記構成において、前記第1ボンディングワイヤは、前記第3金属膜と前記トランスインピーダンスアンプの入力とを接続しており、前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤの両側に、前記第3金属膜を挟んで設けられた前記第1金属膜にそれぞれ接続するように複数設けられる構成とすることができる。この構成によれば、周波数の低い領域における共振をより抑制することができる。
【0008】
上記構成において、前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第3キャパシタを形成する第4金属膜と、前記第1金属膜と第4金属膜との間に接続された第2抵抗と、を具備する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第2キャパシタまたは前記第3キャパシタの容量値は前記第1キャパシタの容量値より大きい構成とすることができる。この構成によれば、周波数の高い領域における共振をより抑制することができる。
【0010】
上記構成において、一端が前記第1金属膜に接続され他端が第2ボンディングワイヤに接続された第3キャパシタを具備する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、一端が前記第1金属膜に接続された第3抵抗と、一端が前記第3抵抗の他端および前記電源電圧を供給する電源に接続され他端が前記ベースに接続された第5キャパシタと、を具備する構成とすることができる。この構成によれば、共振をさらに抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記第1抵抗または第2抵抗は、前記キャリアの表面に形成された抵抗膜である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定な高周波特性を有する受光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、比較例1に係る受光装置の回路図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は、TIAのZ21およびS22を示す図である。
【図3】図3(a)から図3(c)は、比較例2に係る受光装置を示す図である。
【図4】図4は、比較例2に係る受光装置の回路図である。
【図5】図5(a)および図5(b)は、それぞれ比較例2におけるTIAのZ21およびS22を示す図である。
【図6】図6は、比較例3に係る受光装置の正面図である。
【図7】図7は、比較例3に係る受光装置の回路図である。
【図8】図8は、比較例3に係る受光装置のZ21を示す図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、それぞれ比較例3および実施例1に係る受光装置の回路図である。
【図10】図10(a)および図10(b)は、それぞれ比較例3および実施例1のインピーダンスの周波数特性を示す図である。
【図11】図11(a)から図11(c)は、実施例2に係る受光装置を示す図である。
【図12】図12は、実施例2に係る受光装置の回路図である。
【図13】図13(a)および図13(b)は、実施例2に係る受光装置のTIAのZ21およびS22を示す図である。
【図14】図14は、実施例2の変形例1のキャリアの正面図である。
【図15】図15は、実施例2の変形例1に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図16】図16は、実施例2の変形例2のキャリアの正面図である。
【図17】図17は、実施例2の変形例2に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図18】図18は、実施例2の変形例3のキャリアの正面図である。
【図19】図19は、実施例2の変形例3に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図20】図20は、実施例2の変形例4に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。
【図21】図21は、実施例2の変形例5のキャリアの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、受光装置について比較例1を用い説明する。比較例1は、理想的な受光装置の例である。図1は、比較例1に係る受光装置の回路図である。図1のように、受光装置は、フォトダイオード10およびTIA14を備えている。フォトダイオード10は光信号を電流信号に変換する受光素子である。フォトダイオード10のカソードに電源Vpdが接続される。フォトダイオード10のアノードはTIA14に接続される。TIA14はアンプ12とアンプ12に並列に接続された抵抗R1とを有する。TIA14は、フォトダイオード10が出力した電流信号を電圧信号に変換する。TIA14の後段にアンプ等が設けられている場合もあるが説明を省略する。
【0016】
InP系HBT(Hetero Bipolar Transistor)のTIA14におけるZ21およびS22の一例を説明する。図2(a)および図2(b)は、TIAのZ21およびS22を示す図である。図2(a)は、TIA14のトランスインイーダンスZ21の周波数特性の一例を示す図である。実線は差動信号の出力信号を示している。Z21は、30GHz近くまで平坦であり、30GHz以上においても大きい値を示している。このように、良好なZ21特性を示している。図2(b)は、TIA14のS22の周波数特性の一例を示している。S22は、概ね−10dB以下であり、良好な特性を示している。以上のように、TIA14は良好な特性を有している。
【0017】
比較例2は、フォトダーオード10とTIA14をベースに実装した例である。図3(a)から図3(c)は、比較例2に係る受光装置を示す図である。図3(a)は比較例2の上面図、図3(b)はA−A断面図、図3(c)は正面図である。図3(a)から図3(c)のように、導電性からなるベース20に誘電体からなるキャリア30が搭載されている。ベース20はFeとNiとの合金、キャリア30は酸化アルミニウムからなる。ベース20とキャリア30との間にはキャパシタ60が設けられている。ベース20上にTIAチップ40が設けられている。TIAチップ40上には、TIA14が形成されており、表面には配線44が設けられている。配線44は、入力パッドIn、出力パッドOut、グランド配線Gndを含む。TIAチップ40のグランド配線Gndは、TIAチップ40を貫通するビア42内に形成された金属層によりベースと電気的に接続される。なお、ビア42上には配線44が形成されているが、図3(a)においては、配線44を透視してビア42を図示している。
【0018】
キャリア30の表面には、金属膜32、33が形成されている。金属膜32はボンディングワイヤ62によりTIAチップ40の入力パッドInに接続される。金属膜33はキャパシタ60の上面の電極に接続される。キャパシタ60の上面の電極には、不図示のボンディングワイヤ等を介し電源Vpdが接続される。キャリア30はフォトダイオード10を搭載する。キャリア30の正面にはファトダイオードチップ(PDチップ)50がフリップチップ実装されている。図3(c)においては、PDチップ50は破線で図示している。PDチップ50のカソードが金属膜32に電気的に接続され、アノードが金属膜33に電気的に接続されている。金属膜32および34は、金が用いられる。
【0019】
図4は、比較例2に係る受光装置の回路図である。図4のように、フォトダイオード10のアノードとTIA14との間にインダクタL1が接続されている。インダクタL1は図3(a)から図3(c)のボンディングワイヤ62のインダクタンスに対応する。フォトダイオード10のカソードとグランドとの間にキャパシタC1が接続されている。キャパシタC1は、図3(a)から図3(c)のキャパシタ60に対応する。その他の構成は、図1と同じであり、説明を省略する。
【0020】
図5(a)および図5(b)は、それぞれ比較例2におけるTIAのZ21およびS22を示す図である。図5(a)および図5(b)においては、TIA14が図2(a)および図2(b)の特性を有するとしてZ21およびS22の周波数特性をシミュレーションしている。シミュレーションにおいては、ボンディングワイヤ等を流れる電流により形成される磁束、キャリア30上に形成された金属膜により形成されるキャパシタンス等も計算した。実線は差動信号の出力信号を示している。以下の比較例および実施例におけるシミュレーションも同様である。図5(a)および図5(b)のように、8GHz以上において共振現象が生じている。共振現象の原因は、TIA14の出力電流が作り出す磁束がキャリア30に作用しているためである。例えば、図3(a)におけるTIAチップ40の出力パッドOutから後段のアンプ(図示せず)に接続するボンディングワイヤを流れる電流が、リターン電流としてグランド配線Gndを介し戻ってくるため、キャリア30の金属膜32等に影響しているものと考えられる。
【0021】
共振現象を抑制する一例として、比較例3について説明する。図6は、比較例3に係る受光装置の正面図である。フォトダイオード10のカソードは、金属膜34に接続されている。金属膜34は、U字状に金属膜32を囲っている。金属膜34の両端は、それぞれボンディングワイヤ63より、TIAチップ40のグランド配線Gndに接続されている。
【0022】
図7は、比較例3に係る受光装置の回路図である。インダクタL2がフォトダイオード10のカソードとTIA14のグランドとの間に接続されている。インダクタL2は、図6のボンディングワイヤ63のインダクタンスに対応する。図8は、比較例3に係る受光装置のTIAのZ21を示す図である。図8においては、TIA14が図2(a)および図2(b)の特性を有するとしてZ21の周波数特性をシミュレーションしている。図8のように、比較例3によれば、30GHz付近より小さい周波数領域での共振現象が抑制されている。これは、図6の金属膜34とボンディングワイヤ63とTIAチップ40のグランド配線がループを形成し、TIA14の出力電流が作り出す磁束がキャリア30に作用することを抑制しているためである。しかしながら、30GHz以上において共振現象が生じている。
【0023】
以上のように、比較例3においては、例えば30GHz以下の低周波領域において共振現象を抑制できる。しかしながら、例えば30GHz以上の高周波領域において共振現象が生じてしまう。以下、30GHz以上の高周波領域における共振現象を抑制する実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
図9(a)は、比較例3に係る受光装置の回路図である。図7に示した回路図と比較すると、キャパシタC2がフォトダイオード10のカソードとグランドとの間に接続されている。キャパシタC2は、図6における金属膜34とベース20との間の容量に対応する。このように、比較例3においては、キャリア30の表面に形成した金属膜34とベース20との間にキャパシタC2の容量が形成されてしまう。このことから30GHz以上の高周波領域において共振現象が生じてしまうと考えられる。
【0025】
図9(b)は、実施例1に係る受光装置の回路図である。図9(b)のように、実施例1においては、抵抗R3とキャパシタC3とがフォトダイオード10のカソードとグランドとの間に直列に接続されている。
【0026】
図10(a)および図10(b)は、それぞれ比較例3および実施例1のインピーダンスの周波数特性を示す図である。インピーダンスは、TIA14のグランドからみたインピーダンスであり、キャパシタC1の容量値が100pF、インダクタL2のインダクタンスが0.2nFとして計算した。図10(a)のように、比較例3においては35GHzにおいて共振が生じている。図10(b)の実施例1においては、抵抗R3を50Ωとして、キャパシタC3の容量値を0fFから1pFまで変化させインピーダンスを計算した。なお、容量値が0fFの線は、抵抗R3およびキャパシタC3が接続されていない比較例3に対応する。図9(b)のように、抵抗R3とキャパシタC3とを接続することにより、35GHz付近の共振をなまらせることができる。例えば、キャパシタC3の容量値をキャパシタC2より大きくすることにより、35GHz付近の共振をよりなまらせることができる。
【実施例2】
【0027】
図11(a)から図11(c)は、実施例2に係る受光装置を示す図である。図11(a)は実施例2の上面図、図11(b)はA−A断面図、図11(c)は正面図である。なお、図11(c)において、PDチップ50は破線にて図示している。図11(a)から図11(c)のように、キャリア30の表面に金属膜32、34、36、38および39が設けられている。金属膜32は、キャリア30の上面から正面に渡り形成されている。キャリア30の正面の金属膜32にはフォトダイオードのアノードが接続されている。例えば正面の金属膜32の先端の円形領域にPDチップ50のアノード電極がバンプを介し電気的に接続されている。キャリア30の上面の金属膜32は、ボンディングワイヤ62を介しTIAチップ40の入力パッドInに電気的に接続されている。金属膜34は、キャリア30の上面から正面に渡り形成されている。キャリア30の正面の金属膜34にはフォトダイオードのカソードが電気的に接続されている。例えば正面の金属膜34にPDチップ50のカソード電極がバンプを介し電気的に接続されている。
【0028】
キャリア30の正面の金属膜34は、金属膜32を囲むようにU字状に形成されている。キャリア30の上面の金属膜34は、金属膜32の両側に設けられている。キャリア30の上面の金属膜34には、それぞれチップコンデンサ64が設けられている。チップコンデンサ64は、はんだを用い金属膜34上に実装されている。チップコンデンサ64の一端は金属膜34に電気的に接続され、他端は、TIAチップ40のグランド配線Gndにボンディングワイヤ63を介し電気的に接続されている。
【0029】
金属膜36は、キャリア30の正面に形成されている。金属膜36は、抵抗膜72を介し金属膜34と電気的に接続され、抵抗膜72以外では金属膜34とは電気的に接続されていない。金属膜39は、キャリア30の正面に形成されている。金属膜39は、ベース20と電気的に接続されている。これにより、金属膜39は、グランド電位となっている。金属膜39は、金属膜36とは分離している。金属膜38は、キャリア30の上面に形成されている。金属膜38は、金属膜34の外側にそれぞれ設けられている。金属膜38は、抵抗膜75を介し金属膜34と電気的に接続され、抵抗膜75以外では金属膜34とは電気的に接続されていない。
【0030】
キャリア30の両側にはサブベース22が設けられている。サブベース22は、ベース20と電気的に接続されている。サブベース22は、ベース20と一体に形成されていてもよい。また、サブベース22は、ベース20にロウ材または溶接により固定されていてもよい。サブベース22の上面にはチップコンデンサ66が設けられている。チップコンデンサ66は、はんだを用いサブベース22上に実装されている。チップコンデンサ66はサブベース22に電気的に接続され、チップコンデンサ66の一端は、ボンディングワイヤ71を介し電源Vpdに接続され、さらに、金属膜38にボンディングワイヤ69を介し接続されている。
【0031】
ベース20およびサブベース22は、FeとNiとの合金により形成される。ベース20およびサブベース22は、他の導電体(例えば金属)から形成されてもよい。ベース20およびサブベース22は、同じ導電体材料から形成されてもよい。キャリア30は、酸化アルミニウムにより形成される。キャリア30は、他の誘電体から形成されてもよい。金属膜32、34、36、38および39は、金より形成される。金属膜32、34、36、38および39は、他の金属でもよい。抵抗膜72および75は、窒化タンタルにより形成されている。抵抗膜72および75は、他の薄膜抵抗でもよい。その他の構成は、図3(a)から図3(c)と同じであり説明を省略する。
【0032】
図12は、実施例2に係る受光装置の回路図である。図12を参照し、フォトダイオード10のカソードが、抵抗R4、インダクタL4およびインダクタL5を直列に介し電源Vpdに接続されている。キャパシタC4は、一端がインダクタL4とインダクタL5との間のノードに接続され、他端が接地されている。インダクタL2とキャパシタC2が接続されるノードとの間にキャパシタC5が接続される。その他の構成は図9(b)と同じである。
【0033】
図12のキャパシタC2は、キャリア30上に形成された金属膜34とキャリア30の下面のベース20との間の誘電体材料を介した結合により形成されるキャパシタンスに対応する。抵抗R3は、抵抗膜72により形成される抵抗値に対応する。キャパシタC3は、金属膜36とキャリア30の下面のベース20との間の誘電体材料を介した結合により形成されるキャパシタンスに対応する。抵抗R4は、抵抗膜75により形成される抵抗値に対応する。インダクタL4はボンディングワイヤ69により形成されるインダクタンスに対応する。キャパシタC4はチップコンデンサ66に対応する。キャパシタC5はチップコンデンサ64に対応する。インダクタL5は、ボンディングワイヤ71により形成されるインダクタンスに対応する。なお、図11(b)において、キャリア30の背面とベース20の正面とが近接している場合、キャパシタC2には、金属膜34とベース20の正面との間の誘電体材料と空気とを介した結合により形成されたキャパシタンスも含まれる。同様に、キャパシタC3には、金属膜36とベース20の正面との間の誘電体材料と空気とを介した結合により形成されたキャパシタンスも含まれる。
【0034】
キャパシタC5は、グランドと電源Vpdとの間の直流カットキャパシタである。さらに、キャパシタC5の容量値を調整することで、受光装置の特性を向上させることもできる。なお、図示していないが、キャパシタC5と類似の直流カットキャパシタは、図7、図9(a)および、図9(b)においても直流経路のいずれかに設けられている。抵抗R4、インダクタL4およびキャパシタC4は、実施例1の抵抗R2およびキャパシタC4と同様に、共振特性をなまらせ、共振を抑制する機能を有する。
【0035】
実施例2に係る受光装置のZ21およびS22をシミュレーションした。図11(c)におけるキャリア30の高さ、幅は、それぞれ1.0および1.5mm、図11(b)におけるキャリア30の幅は0.4mmである。キャパシタC2、C3、C4およびC5のキャパシタンスは、それぞれ30fF、53.3fF、100pFおよび10pFである。抵抗R3およびR4の抵抗値はそれぞれ50Ω、50Ωである。インダクタL1、L2およびL4のインダクタンスはボンディングワイヤのインダクタンスとして全て0.2nHとした。
【0036】
図13(a)および図13(b)は、実施例2に係る受光装置のTIAのZ21およびS22のシミュレーション結果を示す図である。図13(a)および図13(b)のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0037】
図14は、実施例2の変形例1のキャリアの正面図である。図11(c)と比較し、金属膜39が形成されておらず、金属膜36がキャリア30の下まで形成されている。ただし、金属膜36は、ベース20とは電気的に接触していない。変形例1では、キャパシタC3のキャパシタンスは80fFである。その他は、実施例2と同じである。
【0038】
図15は、実施例2の変形例1に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。図15のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0039】
図16は、実施例2の変形例2のキャリアの正面図である。図11(c)と比較し、金属膜36が2つに分離しており、分離した金属膜36−1および36−2のそれぞれが抵抗膜72−1および抵抗膜72−2を介し金属膜34に接続されている。金属膜36−1および金属膜36−2とキャリア30の下面のベース20との間の誘電体材料を介した結合により形成されるキャパシタンスにより、それぞれキャパシタC3−1とキャパシタC3−2とが形成される。図16の例では、キャパシタC3−1とキャパシタC3−2とのそれぞれのキャパシタンスは、それぞれ49.4fFである。抵抗膜72−1および72−2のそれぞれの抵抗値は100Ωである。その他は、実施例2と同じである。また、キャパシタC3−1の容量値またはキャパシタC3−2の容量値をキャパシタC2の容量値より大きくすることにより、35GHz付近の共振をよりなまらせることができる。さらに、キャパシタC3−1の容量値およびキャパシタC3−2の容量値をキャパシタC2の容量値より大きくしてもよい。
【0040】
図17は、実施例2の変形例2に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。図17のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0041】
図18は、実施例2の変形例3のキャリアの正面図である。変形例2の図16と比較し、金属膜39が形成されておらず、金属膜36が正面の下において接続している。ただし、金属膜36は、ベース20とは電気的に接触していない。図18の例では、キャパシタC3のキャパシタンスは80fFである。その他は、実施例2の変形例2と同じである。
【0042】
図19は、実施例2の変形例3に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。図19のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0043】
図20は、実施例2の変形例4に係る受光装置のTIAのZ21のシミュレーション結果を示す図である。変形例4においては、変形例2および3の金属膜36の代わりに、抵抗膜72にそれぞれ容量値が500fFのキャパシタを接続し、シミュレーションしている。図20のように、0GHzから50GHzの間において、共振はほとんど発生していない。
【0044】
図21は、実施例2の変形例5のキャリア30の上面(金属膜およびボンディングワイヤを図示)である。図21のように、金属膜34とボンディングワイヤ69との間に抵抗が設けられていなくともよい。なお、金属膜34のチップコンデンサ64が実装される領域とボンディングワイヤ69が接続される領域との間の金属膜34が一部除去されているのは、チップコンデンサ64を金属膜34上にはんだを用い実装する際にはんだがボンディングワイヤ69が接続する領域に流入することを抑制するためである。
【0045】
実施例1および2によれば、図9(b)および図12のように、フォトダイオード10等の受光素子の一端(例えばカソード)に電源電圧が供給される。図9(b)、図11(a)から図11(c)および図12のように、TIA14には、受光素子の他端(例えばアノード)から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤ62を介し入力する。第1金属膜34は、キャリア30の表面に形成され、受光素子の一端が接続され、TIA14のグランドが第2ボンディングワイヤ63を介し接続され、ベース20との間に第1キャパシタC2を形成する。第2金属膜36は、キャリア30の表面に形成され、ベース20との間に第2キャパシタC3を形成する。第1抵抗R3が第1金属膜34と第2金属膜36との間に接続されている。
【0046】
以上により、図10(a)および図10(b)を用い説明したように、周波数が高い領域における共振を抑制することができる。第1金属膜34および第2金属膜36がキャリア30の表面に形成されていることにより、付加されるインダクタンスを低減できる。例えば、キャパシタをキャリア30に外付けすると、ボンディングワイヤ等のインダクタンスが付加される。実施例1および2においては、付加されるインダクタンスが小さいため、図10(b)のように、理想的に共振を抑制することができる。
【0047】
また、実施例1および2によれば、図11(c)、図14、図16および図18のように、第3金属膜32がキャリア30の表面に形成され、第3金属膜32には受光素子の他端(例えばアノード)が接続される。第1金属膜34は第3金属膜32を囲むように設けられている。例えば、第1金属膜34は少なくとも第3金属膜32の両側を挟んで設けられている。これにより、第1金属膜34が第3金属膜32を囲みTIA14の出力電流が形成する磁束がキャリアに作用することを抑制できる。よって、周波数の低い領域における共振を抑制することができる。
【0048】
さらに、第1金属膜34、第2ボンディングワイヤ63およびTIAのグランド配線Gndが、第3金属膜32および第1ボンディングワイヤ62を囲むように形成されている。例えば、第1ボンディングワイヤは62、第3金属膜32とTIA14の入力(入力パッドIn)とを接続している。第2ボンディングワイヤ63は、第1ボンディングワイヤ62の両側に、第3金属膜32を挟んで設けられた第1金属膜34にそれぞれ接続するように複数設けられる。これにより、第1金属膜34、第2ボンディングワイヤ63およびTIAのグランド配線Gndが、第3金属膜32を囲みTIA14の出力電流が形成する磁束がキャリアに作用することを抑制できる。周波数の低い領域における共振を抑制することができる。
【0049】
図16のように、第1金属膜32と第2金属膜36−1との間に第1抵抗(金属膜72−1)が接続されている。さらに、第1金属膜32と、キャリア30の表面に形成されベース20との間にキャパシタC3−1(第3キャパシタ)を形成する第4金属膜36−1と、の間に第2抵抗(金属膜72−2)が接続されていてもよい。
【0050】
さらに、図10(b)のように、第2キャパシタC3の容量値をキャ第1キャパシタC2より大きくすることにより、共振をより抑制することができる。キャリア30の表面に形成された金属膜34および36により形成されるキャパシタC2およびC3の容量値は、それぞれ金属膜34および36の面積に依存する。よって、第2金属膜36の面積は第1金属膜34の面積より大きいことが好ましい。
【0051】
図16においては、第2キャパシタC3−1および第3キャパシタC3−2のそれぞれの容量値は第1キャパシタC1の容量値より大きいことが好ましい。これにより、共振をより抑制することができる。
【0052】
さらに、実施例2によれば、図11(a)から図11(c)、図14、図16および図18のように、第4キャパシタC4の一端が第1金属膜34に接続され他端が第2ボンディングワイヤ63に接続されている。これにより、グランドと電源Vpdとの間に直流電流が流れることを抑制できる。
【0053】
さらに、実施例2によれば、図11(a)から図11(c)、図14、図16および図18のように、第3抵抗R4の一端が第1金属膜34に接続されている。第5キャパシタC4の一端が第3抵抗R4の他端および電源電圧Vpdを供給する電源に接続され他端がベース20に接続されている。これにより、共振をさらに抑制することができる。
【0054】
第1抵抗R3は、チップ抵抗等を用いてもよい。ボンディングワイヤ等のインダククタンスを小さくし、より理想的な特性に近づけるため、第1抵抗R3は、キャリア30の表面に形成された抵抗膜であることが好ましい。
【0055】
また、図16の第1抵抗(抵抗膜72−1)および第2抵抗(抵抗膜72−2)は、チップ抵抗等を用いてもよい。ボンディングワイヤ等のインダククタンスを小さくし、より理想的な特性に近づけるため、第1抵抗(抵抗膜72−1)および第2抵抗(抵抗膜72−2)の少なくとも一方は、キャリア30の表面に形成された抵抗膜であることが好ましい。第1抵抗および第2抵抗の両方がキャリア30の表面に形成された抵抗膜であることがより好ましい。
【0056】
同様に、第3抵抗R4は、チップ抵抗等を用いてもよい。ボンディングワイヤ等のインダククタンスを小さくし、より理想的な特性に近づけるため、第3抵抗R4は、キャリア30の表面に形成された抵抗膜であることが好ましい。
【0057】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 フォトダイオード
14 TIA
20 ベース
22 サブベース
30 キャリア
32、34、36、36−1、36−2 金属膜
40 TIAチップ
50 PDチップ
62、63、69 ボンディングワイヤ
64、66 チップコンデンサ
72、75、72−1、72−2 抵抗膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に電源電圧が供給される受光素子と、
前記受光素子を搭載する誘電体からなるキャリアと、
前記キャリアを搭載する導電体からなるベースと、
前記受光素子の他端から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤを介し入力するトランスインピーダンスアンプと、
前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記一端が接続され、前記トランスインピーダンスアンプのグランドが第2ボンディングワイヤを介し接続され、前記ベースとの間に第1キャパシタを形成する第1金属膜と、
前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第2キャパシタを形成する第2金属膜と、
前記第1金属膜と第2金属膜との間に接続された第1抵抗と、
を具備することを特徴とする受光装置。
【請求項2】
前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記他端が接続される第3金属膜を具備し、
前記第1金属膜は少なくとも前記第3金属膜の両側を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項3】
前記第1ボンディングワイヤは、前記第3金属膜と前記トランスインピーダンスアンプの入力とを接続しており、
前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤの両側に、前記第3金属膜を挟んで設けられた前記第1金属膜にそれぞれ接続するように複数設けられることを特徴とする請求項2項記載の受光装置。
【請求項4】
前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第3キャパシタを形成する第4金属膜と、
前記第1金属膜と第4金属膜との間に接続された第2抵抗と、
を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項5】
前記第2キャパシタまたは前記第3キャパシタの容量値は前記第1キャパシタの容量値より大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項6】
一端が前記第1金属膜に接続され他端が前記第2ボンディングワイヤに接続された第4キャパシタを具備することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項7】
一端が前記第1金属膜に接続された第3抵抗と、
一端が前記第3抵抗の他端および前記電源電圧を供給する電源に接続され、他端が前記ベースに接続された第5キャパシタと、
を具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項8】
前記第1抵抗または前記第2抵抗は、前記キャリアの表面に形成された抵抗膜であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項1】
一端に電源電圧が供給される受光素子と、
前記受光素子を搭載する誘電体からなるキャリアと、
前記キャリアを搭載する導電体からなるベースと、
前記受光素子の他端から出力される出力信号が第1ボンディングワイヤを介し入力するトランスインピーダンスアンプと、
前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記一端が接続され、前記トランスインピーダンスアンプのグランドが第2ボンディングワイヤを介し接続され、前記ベースとの間に第1キャパシタを形成する第1金属膜と、
前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第2キャパシタを形成する第2金属膜と、
前記第1金属膜と第2金属膜との間に接続された第1抵抗と、
を具備することを特徴とする受光装置。
【請求項2】
前記キャリアの表面に形成され、前記受光素子の前記他端が接続される第3金属膜を具備し、
前記第1金属膜は少なくとも前記第3金属膜の両側を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1記載の受光装置。
【請求項3】
前記第1ボンディングワイヤは、前記第3金属膜と前記トランスインピーダンスアンプの入力とを接続しており、
前記第2ボンディングワイヤは、前記第1ボンディングワイヤの両側に、前記第3金属膜を挟んで設けられた前記第1金属膜にそれぞれ接続するように複数設けられることを特徴とする請求項2項記載の受光装置。
【請求項4】
前記キャリアの表面に形成され、前記ベースとの間に第3キャパシタを形成する第4金属膜と、
前記第1金属膜と第4金属膜との間に接続された第2抵抗と、
を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項5】
前記第2キャパシタまたは前記第3キャパシタの容量値は前記第1キャパシタの容量値より大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項6】
一端が前記第1金属膜に接続され他端が前記第2ボンディングワイヤに接続された第4キャパシタを具備することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項7】
一端が前記第1金属膜に接続された第3抵抗と、
一端が前記第3抵抗の他端および前記電源電圧を供給する電源に接続され、他端が前記ベースに接続された第5キャパシタと、
を具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の受光装置。
【請求項8】
前記第1抵抗または前記第2抵抗は、前記キャリアの表面に形成された抵抗膜であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の受光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−69681(P2012−69681A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212483(P2010−212483)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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