説明

受動光ネットワーク通信方法及び受動光ネットワーク通信システム

【課題】現状のPONを介しての1対n通信において、局側終端装置と加入者側終端装置との距離が20 km以上となっても、低コストで1対n通信が実現可能である。
【解決手段】局側終端装置70から加入者側終端装置100に向けた下り通信はTDM方式で行われ、加入者側終端装置から局側終端装置に向けた上り通信はCDM方式で実行される。局側終端装置が具える送信部72は変調部82、時分割信号多重部84及び高出力半導体レーザである第1発光素子86を具えている。また、受信部74は、光符号分割多重信号119を受光して、受信時分割多重信号89に変換して出力する第1受光素子88、分配部90及び復号化部92を具えている。加入者側終端装置が具える送信部102は、符号化部108及び第2発光素子110を具えている。また、受信部104は、第2受光素子112、クロック信号抽出部114、分離部116及び復調部118を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受動光ネットワーク(PON: Passive Optical Network)において、事業者と加入者とが、時分割多重(TDM: Time Division Multiplexing)及び符号分割多重(CDM: Code Division Multiplexing)方式を利用して通信するための受動光ネットワーク通信方法及び受動光ネットワーク通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者と複数の加入者を、PONを介して接続して構成される光ネットワーク通信システムが注目されている。以後の説明において、便宜上、事業者数を1とし、加入者数をn(nは2以上の整数)として説明する。以後、この事業者と加入者間の通信を1対n通信ということもある。この1対n通信を、受動光ネットワーク通信ということもある。また、事業者側の装置を局側終端装置OLT(Optical Line Terminal)といい、加入者側の装置を加入者側終端装置ONU(Optical Network Unit)ということもある。
【0003】
PONとは、光ファイバ伝送路の途中に受動素子である光合分岐器を接続して一本の光ファイバ伝送路を複数の光ファイバ伝送路に分岐し、この光合分岐器を中心にしてスター型に複数のONUを接続するネットワークである(例えば、非特許文献1参照)。以後、光ファイバ伝送路を単に光伝送路といい、光合分岐器によって分岐された複数の光ファイバ伝送路を分岐光伝送路ということもある。
【0004】
事業者と加入者間を結ぶネットワークにPONを採用することによって、事業者と光合分岐器間の光伝送路を複数の加入者で共有することができ、設備コストを抑制することが可能である。
【0005】
PONを利用した従来の光ネットワーク通信システムでは、TDM方式を採用し、TDM信号の時間スロットを制御することによって、それぞれのチャンネルに割り当てられる加入者を識別している(例えば、非特許文献2参照)。ここで、加入者から事業者に向けての通信(以後、「上り通信」ということもある。)、及び事業者から加入者に向けての通信(以後、「下り通信」ということもある。)においては、互いに異なる波長の光信号が使われている。これは、上り通信に使われる上り信号と下り通信に使われる下り信号とが一本の光ファイバ伝送路を共有するため、上り信号と下り信号とを波長の相違に基づいて識別するためである。上り信号と下り信号とは、光バンドパスフィルタの機能を具えるファイバ型光カプラ(例えば、非特許文献4参照)等を利用することによって分離及び合成され、各加入者と事業者間の信号は光合分岐器によって合波及び分波が行われる。
【0006】
一方、PONを利用した光アクセスネットワークシステムにおいて、上り信号を波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)方式によって伝送する方法も検討されている(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、加入者数、従って多重するチャンネル数を増やすためには、利用できる波長帯域が有限幅であるから、隣接するチャンネルに割り当てる波長間隔を狭くする必要がある。このように波長間隔を狭くするためには、光源の波長安定性が必要であり、この安定性を確保するために多くの設備コストが必要となる。
【0007】
また、多重するチャンネルの数を増やし、かつ伝送容量を実質的に増大させる方法の一つとして、事業者と加入者との送受信をCDM方式によって行う方法が検討されている(例えば、特許文献1及び2参照)。CDM方式をPONに採用することによって、利用する波長の数を増やさずとも、多重するチャンネルの数(加入者数に対応する。)を増大させることが可能となる。
【非特許文献1】田中貴之、井上美奈子、「GE-PON OLT/OUN 一芯光トランシーバの開発」沖テクニカルレビュー、第197号、Vol. 71、No. 1、2004年1月
【非特許文献2】Ian M. McGregor, et al. "Implementation of a TDM Passive Optical Network for Subscriber Loop Application", J. Lightwave Technology, Vol. 7, No. 11、November 1989
【非特許文献3】K. W. Lim, et al. "Fault Localization in WDM Passive Optical Network by Reusing Downstream Light Sources", IEEE Photonics Technology Letters Vol. 17, No. 12, December 2005
【非特許文献4】岩淵昌広、岩崎とも子、今村哲夫、「ファイバ型WDM光カプラ」沖テクニカルレビュー、第190号、Vol. 69、No. 2、2002年4月
【特許文献1】特表2001-512919号公報
【特許文献2】特開2004-282742号公報
【特許文献3】特開平8-237239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、現状のPONを介しての1対n通信をTDM方式で実現する場合、OLTとONU間の距離が長くなると、その距離に応じて光送信信号を生成するためには、大出力の発光素子をOLT及びONUに用いなければならない。これは次の理由による。この理由をONUからOLTに信号が送られる上り通信を例に説明する。
【0009】
OLTは、ONUからOLTに向けて光パルス信号の形態で送信されてくる信号を、OLTが具える受光素子によって受光する。OLTは、受光した信号が伝送されてきた送信信号であるとして、正しく認識しなければならない。そのためには、OLTが具える受光素子に送信信号が到達した時点で、光パルス信号は、OLTにおける信号処理が正しく行われるために必要とされる最小限度の信号強度、すなわち最小受光強度を有していなければならない。従って、ここでいう最小受光強度とは、OLTにおける信号処理が正しく行われるために必要とされる光パルスの最小強度を意味する。
【0010】
以上、上り通信を例にして説明したが、下り通信の場合も同様である。すなわち上り信号におけるONU及びOLTとあるところを、下り通信の場合には、OLT及びONUとそれぞれ読み替えればよい。
【0011】
光パルスの強度は、OLTとONU間の距離が長くなるほど減衰してその強度が弱まるので、OLT及びONUに具える送信信号を生成するための発光素子の発光強度を強くしなければならない。すなわち、発光素子てとして利用される半導体レーザ(LD: Semiconductor Laser Diode)は、その定格出力の大きなものを採用しなければならなくなる。具体的には、OLTとONU間の距離が20 km以上離れると、非常に高価格な高出力LDを利用することが必要となるのが現状である。
【0012】
LDは、その定格出力値が高くなるほど、急激に高額となる。従って、n台のONUのそれぞれに、定格出力値が大きい高額なLDを設置することは、コスト負担が大きく、PONを介しての1対n通信の普及の妨げとなる。
【0013】
一方、現状のPONを介しての1対n通信をCDM方式で実現する場合、OLTからそれぞれのONUまでの距離の相違に基づく遅延時間に対応して、送信信号を符号化して送信するタイミングを調整する、いわゆるレンジングと呼ばれる操作が必要である。このレンジングの操作には、符号化されて送信されてきた符号化送信信号から抽出されるクロック信号が必要となる。
【0014】
しかしながら、符号化送信信号は、強度の異なる複数種類の光パルスが時間軸上で並ぶ、いわゆる多値信号である。このため、既製のクロック信号抽出(CDR: Clock data recovery)器では、この信号から安定してクロック信号を抽出することができない。そのため、符号化送信信号から、安定したクロック信号を抽出するためには、多値信号からでもクロック信号を抽出できる特殊なCDR装置が必要とされている(例えば、特許文献3参照)。多値信号からでもクロック信号を抽出できる特殊なCDR装置は、その価格が非常に高いため、この特殊なCDR装置のためのコスト負担が大きく、PONを介しての1対n通信の普及の妨げとなる。
【0015】
そこで、この発明の目的は、現状のPONを介しての1対n通信において、OLTとONUとの間の距離が20 km以上となっても、低コストで1対n通信が実現可能である受動光ネットワーク通信方法及び受動光ネットワーク通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明の第1の受動光ネットワーク通信方法は、光伝送路、光合分岐器、及びn本の分岐光伝送路を具える受動光ネットワークを介して、OLTを、光伝送路の他端に接続し、n台のONUを、光合分岐器によってn分岐されて形成されるn本の分岐光伝送路のそれぞれに1台ずつ接続することによって、OLTと、n台のONUとを結合して実現される通信システムを利用する通信方法である。すなわち、PONを介して接続して構成される受動光ネットワーク通信システムを利用する通信方法である。
【0017】
上記目的を達成するため、この発明の第1の受動光ネットワーク通信方法は、OLTからONUに向けた下り通信ステップ中に、時分割多重信号生成ステップが含まれている。時分割多重信号生成ステップとは、OLTにおいて実行される、n台のONUのそれぞれに対して時間軸上に割り当てて送信するフレームを時分割多重することによって送信時分割多重信号を生成して出力するステップである。また、ONUからOLTに向けた上り通信ステップ中に、ONUにおいて実行される、送信符号化信号を生成して出力する符号化ステップが含まれている。
【0018】
この発明の第1の受動光ネットワーク通信方法を実施するには、上述のPONを介して接続して構成されるこの発明の第1の受動光ネットワーク通信システムが利用される。そして、この発明の第1の受動光ネットワーク通信システムを構成するOLTが、時分割多重信号生成ステップを実行する時分割多重信号生成部を具ており、n台のONUのそれぞれが、符号化ステップを実行する符号化部を具えている。
【0019】
この発明の第2の受動光ネットワーク通信方法は、次のように構成することが可能である。すなわち、下り通信ステップ中及び上り通信ステップ中のそれぞれに、以下の各ステップが含まれている。
【0020】
下り通信ステップ中には、OLTにおいて実行される、時分割多重信号生成ステップと、送信時分割多重信号変換ステップとを含んでおり、及びONUにおいて実行される、光時分割多重信号変換ステップと、クロック信号抽出ステップと、受信信号分離ステップとを含んでいる。
【0021】
時分割多重信号生成ステップは、n台のONUのそれぞれに対して時間軸上に割り当てて送信するフレームを時分割多重することによって送信時分割多重信号を生成して出力するステップである。送信時分割多重信号変換ステップは、送信時分割多重信号を光時分割多重信号に変換して出力するステップである。
【0022】
光時分割多重信号変換ステップは、光時分割多重信号を受信時分割多重信号に変換して出力するステップである。クロック信号抽出ステップは、受信時分割多重信号からクロック信号を抽出して出力するステップである。受信信号分離ステップは、クロック信号と同期させて受信時分割多重信号から当該ONUに割り当てられたフレームを受信信号として分離して出力するステップである。
【0023】
上り通信ステップ中には、ONUにおいて実行される、符号化ステップと、送信符号化信号変換ステップとを含んでおり、及びOLTにおいて実行される、光符号化信号変換ステップと、復号化ステップとを含んでいる。
【0024】
符号化ステップは、受信時分割多重信号から抽出されたクロック信号に同期させて、送信符号化信号を生成して出力するステップである。送信符号化信号変換ステップは、送信符号化信号を光符号化信号に変換して出力するステップである。光符号化信号変換ステップは、光符号化信号を受信符号化信号に変換して出力するステップである。復号化ステップは、受信符号化信号から受信信号を分離して出力するステップである。
【0025】
この発明の第2の受動光ネットワーク通信方法を実施するには、この発明の第2の受動光ネットワーク通信システムが利用される。
【0026】
この発明の第2の受動光ネットワーク通信システムは、OLTとONUとを具えて構成される。そして、OLTは、上述の時分割多重信号生成ステップを実行する時分割多重信号生成部と、上述の送信時分割多重信号変換ステップを実行する第1発光素子と、上述の光符号化信号変換ステップを実行する第1受光素子と、上述の復号化ステップを実行する復号化部とを具えている。
【0027】
また、ONUは、上述の光時分割多重信号変換ステップを実行する第2受光素子と、上述のクロック信号抽出ステップを実行するクロック信号抽出部と、上述の受信信号分離ステップを実行する時分割多重信号分離部と、上述の符号化ステップを実行する符号化部と、上述の送信符号化信号変換ステップを実行する第2発光素子とを具えている。
【発明の効果】
【0028】
この発明の第1の受動光ネットワーク通信方法によれば、下り通信及び上り通信のそれぞれが次のように実行される。
【0029】
下り通信において、まず、OLTからn台のONUのそれぞれに向けて送信する送信信号であるn通りのフレームが、OLTにおいて、時分割多重信号生成ステップによって、時間軸上に順次割り当てて時分割多重されて送信時分割多重信号が生成される。そして、OLTからn台のONUのそれぞれに向けて送信時分割多重信号が送信され、TDM方式の通信が行なわれる。
【0030】
これに対して、上り通信においては、まず、ONUからOLTに向けて送信する送信信号であるフレームが、ONUにおいて、符号化ステップによって、符号化されて送信符号化信号として生成される。そして、ONUからOLTに向けて送信符号化信号が送信され、CDM方式の通信が行われる。
【0031】
このように、この発明の第1の受動光ネットワーク通信方法は、下り通信ではTDM方式の通信が行なわれ、上り通信ではCDM方式の通信が行われる。
【0032】
CDM方式の通信においては、後述するように、OLTにおいて受信される信号強度が、時分割多重信号を受信する場合と比べて、小さくとも十分受信可能である。ONUからOLTに向けて送られる送信符号化信号は、光パルス信号の形態で送られる。OLTにおいて受信される信号強度が、時分割多重信号を受信する場合と比べて、小さくとも十分受信可能であるという具体的な意味は、次のとおりである。
【0033】
光パルス信号の形態で送られてくる時分割多重信号を受光する場合と、同じく光パルス信号の形態で送られてくる符号化信号(送信符号化信号)を受光する場合とで比較すると、送信符号化信号に対する最小受光強度を、送信時分割多重信号の最小受光強度よりも小さくできる。
【0034】
このため、n台のONUのそれぞれに具えられる送信符号化信号を生成するための発光素子であるLDの出力は、時分割多重通信を実行する時分割多重信号を生成するために必要とされる程の高出力を要求されない。すなわち、現状のPONを介しての1対n通信において、OLTとONU間距離が20 km以上となっても、n台のONUのそれぞれに具えるLDは、高価な高出力タイプを利用する必要がない。これによって、LDに係るコストを低く抑えることが可能となるので、この発明の第1の受動光ネットワーク通信方法によれば、低コストで1対n通信が実現できる。
【0035】
この発明の第2の受動光ネットワーク通信方法は、この発明の第2の受動光ネットワーク通信システムによって実施できる。すなわち、この発明の第2の受動光ネットワーク通信方法において必要とされる符号化ステップは、n台のONUのそれぞれが具えている符号化部において実行される。
【0036】
この発明の第2の受動光ネットワーク通信システムによれば、下り通信及び上り通信のそれぞれが次のように実行される。
【0037】
まず、下り通信は次のように実行される。OLTからn台のOUNのそれぞれに向けての送信信号であるn通りのフレームが、OLTにおいて、時分割多重信号生成ステップによって、時間軸上に割り当てられて時分割多重されることによって送信時分割多重信号が生成される。この送信時分割多重信号は、送信時分割多重信号変換ステップによって、光時分割多重信号に変換されて、PONを介してn台のONUのそれぞれに向けて送信される。
【0038】
n台のONUのそれぞれにおいて、この光時分割多重信号が、光時分割多重信号変換ステップによって、光時分割多重信号を受信時分割多重信号に変換される。この受信時分割多重信号からは、クロック抽出ステップによってクロック信号が抽出される。そして、このクロック信号は、受信信号分離ステップにおいて利用される。すなわち、受信信号分離ステップにおいて、このクロック信号に同期させて、受信時分割多重信号から当該ONUに割り当てられたフレームが受信信号として分離される。この分離された受信信号が、当該ONUに向けてOLTから送信されたデータ信号である。
【0039】
このように、OLTからn台のONUのそれぞれに向けての下り通信がTDM方式によって実現され、しかも、n台のONUのそれぞれにおいて、PONを介してn台のONUのそれぞれに向けて送信された光時分割多重信号を受信して、受信した光時分割多重信号を変換して得られる受信時分割多重信号からクロック信号が抽出される。
【0040】
これに対して、上り通信は次のように実行される。ONUからOLTに向けての送信信号であるフレームが、ONUにおいて、符号化ステップによって、上述のクロック抽出ステップにおいて抽出されたクロック信号に同期させて、送信符号化信号が生成される。この送信符号化信号は、送信符号化信号変換ステップによって、光符号化信号に変換される。そして、光符号化信号は、ONUからOLTに向けて送信される。
【0041】
このONUから送信される光符号化信号は、OLTにおいて受信されて、光符号化信号変換ステップによって、受信符号化信号に変換に変換される。そしてこの受信符号化信号は、復号化ステップによってONUごとに識別されて復号化されることにより、受信信号として分離される。
【0042】
このように、ONUからOLTに向けての上り通信がCDM方式によって実現され、しかも、ONUにおいて、下り信号である受信時分割多重信号から抽出されたクロック信号に同期させて、送信符号化信号が生成されてONUからOLTに向けて送信される。従って、CDM方式による伝送において行われる、レンジングと呼ばれる操作に必要なクロック信号が、ONUにおいて下り信号である受信時分割多重信号から抽出可能である。従って、符号化されて送信された符号化送信信号からクロック信号を抽出する場合のように、CDR装置の前段で、波形整形や多値信号に対応させた特殊なCDR装置を必要としない。このため、波形整形や多値信号に対応させた特殊なCDR装置のためのコスト負担が不必要となり、この発明の受動光ネットワーク通信システムを用いる受動光ネットワーク通信方法によれば、低コストで1対n通信が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を示し、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。また、以下に示す概略的ブロック構成図においては、光ファイバ等の光信号の経路を太線で示し、電気信号の経路を細線で示してある。
【0044】
<PONによる光ネットワーク通信システム>
この発明の受動光ネットワーク通信システムと、従来の受動光ネットワーク通信システムとの相違点を明確にするため、まず、図1を参照して、受動光ネットワーク通信システム(以後、PONによる光ネットワーク通信システムと言うこともある。)の概略的構成及びその動作について説明する。図1は、PONによる従来の光ネットワーク通信システムの概略的ブロック構成図である。
【0045】
PONによる光ネットワーク通信システムは、光伝送路60、光合分岐器20、及びn本の分岐光伝送路(62-1、62-2、62-3等)を具える受動光ネットワークを介して、局側終端装置(以後、OLT 10と記載することもある。)と、n台の加入者側終端装置(以後、ONUと記載することもある。)で構成される局側終端装置群(以後、ONU群ということもある。)40との間で通信が行われる。OLT 10を、光伝送路の他端に接続又は結合させて設け、ONU-1〜ONU-Nの合計n台(図1では、ONU-1のみを示している。)を、光合分岐器20によってn分岐されて形成されるn本の分岐光伝送路62-1〜62-n(図1では、分岐光伝送路62-1、62-2及び62-3のみを示している。)のそれぞれに1台ずつ接続又は結合するさせて設けることによって、OLTと、n台のONUとを結合している。
【0046】
以後の説明において、特に説明が必要な場合を除き、n本の分岐光伝送路を代表して1つの分岐光伝送路62-1につき説明する。また、ONU-1〜ONU-nのn台は、その構造は全て同一であるので、特に説明が必要な場合を除き、ONU群40を代表して、ONU-1を取り上げて説明する。また、ONU-1〜ONU-nのn台を総称する場合は、ONU群40と表記し、ONU-1〜ONU-nのうち特定のONUを意味する場合は、ONU-1等と表記する。
【0047】
OLT 10は、送信部12を具えている。送信部12は、変調部22、多重部24及び発光素子26を具えている。変調部22は、OLT 10からONU群40に向けて送る下り信号のフレームを生成する。下り信号のフレームは、送信信号(送信すべき情報)の本体であるデータ信号(ペイロードと呼ばれることもある。)に、制御情報等が格納されたヘッダーが組み合わされたパケットである。
【0048】
ここで、OLT 10からONU-1に向けてTDM方式で下り信号が送信される場合を例にとり、下り通信について説明する。なお、OLT 10からONU-2、ONU-3、・・・、ONU-nの何れに向けた下り通信の場合であっても同様である。
【0049】
下り通信がTDM方式で実行される場合、変調部22で、送信信号に組み合わせるべきヘッダーが生成されて、このヘッダーに送信信号の本体(データ信号)であるペイロードが付加され、フレーム23が生成されて出力される。このヘッダーには、送信すべき相手先、すなわちONU-1〜ONU-nのうち、どのONUに当てて送信されたフレーム23であるかを示すための情報等が含まれる。
【0050】
図1では、OLT 10が具える変調部22が一つだけ示されているが、実際のPONによる光ネットワーク通信システムでは、ONU群40を構成するONUの数に等しいn台分が並列に具えられる。そして、n台の変調部22のそれぞれが、ONU-1〜ONU-nと一対一に対応して設定され、OLT 10からONU群40に向けて送信される下り信号となるフレーム23を、生成し出力する。すなわち、n台の変調部22は、ONU-1〜ONU-n宛に送信されるフレーム23をそれぞれ分担して生成して出力する。
【0051】
多重部24は、n台の変調部22のそれぞれから生成される、ONU-1〜ONU-nに向けて送信すべきn通りのフレーム23を時間軸上で割り当てて多重して、時分割多重することによって送信時分割多重信号25を生成して出力する。多重部24は、ここでは、下り通信がTDM方式で実行されるものとして、送信時分割多重信号25を生成して出力する機能を有する構成要素である旨説明する。もちろん、下り通信が、WDM方式あるいはCDM方式で実行される場合には、多重部24として示す構成要素は、それぞれ、送信波長分割多重信号あるいは送信符号分割多重信号を生成して出力する機能を有する構成要素となる。
【0052】
発光素子26は、送信時分割多重信号25を光信号である光時分割多重信号27に変換して出力する。PONによる光ネットワーク通信システムにおいては、上り信号と下り信号とでは波長が異なる光が割り当てられる。例えば、上り信号には波長が1.30μmの光を、下り信号には波長が1.48μmの光が割り当てられる。従って、一般に発光素子26は、発振波長が1.48μmであるLDが使われる。以後の説明において、原則として、上り信号には波長が1.30μmの光が、下り信号には波長が1.48μmの光が割り当てられているものとして説明する。
【0053】
光時分割多重信号27はWDMカプラ18を介して光伝送路60に送り込まれる。WDMカプラ18は、光バンドパスフィルタの機能、すなわちWDMフィルタの機能を具える光カプラである。WDMカプラ18の入力ポート18aから入力される波長1.48μmの光時分割多重信号27は、入出力ポート18bから出力されて、光伝送路60に送り込まれる。
【0054】
光伝送路60を伝播して光時分割多重信号27は光合分岐器20に入力される。光合分岐器20では、光時分割多重信号27がn等分に強度分割されて、それぞれ光強度が1/nである光時分割多重信号が、ONU-1〜ONU-nに入力される。
【0055】
ONU群40を構成するONU-1〜ONU-nのそれぞれは、同一の構成であるから、ここでは、ONU-1を代表してその構成及び動作を説明する。ONU-1には、n等分された一つの光時分割多重信号が分岐光導波路62-1を伝播して波長1.48μmの光時分割多重信号27-1が入力される。
【0056】
光時分割多重信号27-1は、ONU-1が具えるWDMカプラ46に入力される。WDMカプラ46は、WDMフィルタ機能を具える光カプラである。WDMカプラ46の入出力ポート46bから入力される波長1.48μmの光時分割多重信号27-1は、出力ポート46cから出力されて、受信部44に入力される。
【0057】
ONU-1は、受信部44を具えている。受信部44は、受光素子52、分離部54及び復調部56を具えて構成されている。受光素子52は、光時分割多重信号27-1を電気信号である受信時分割多重信号53に変換して出力する。一般に受光素子52は、受光感度が波長1.48μmで最大となるフォトダイオード(PD: Photodoide)が使われる。分離部54は、受信時分割多重信号53に対して、OLT 10からONU-1宛に送られてくるフレームを分離して、分離信号55として取り出して出力する処理を行う。復調部56は、分離信号55からフレームを解除して、OLT 10から送られてきた信号を受信信号として出力する。ここで、フレームを解除するとは、ヘッダーとペイロードが組み合わされて構成されているフレームからヘッダーを取り除き、ペイロード、すなわ受信信号本体を分離して取り出すことである。
【0058】
以上で、OLT 10からONU-1に向けた下り通信が終了する。
【0059】
次に、ONU-1からOLT 10に向けてTDM方式で上り信号が送信される場合を例にとり、上り通信について説明する。ONU-2、ONU-3、・・・、ONU-nの何れからOLT 10に向けた上り通信の場合であっても同様である。
【0060】
ONU-1は、送信部42を具えている。そして、送信部42は、変調部48と発光素子50を具えて構成されている。
【0061】
上り通信がTDM方式で実行される場合、変調部48で、送信信号に組み合わせるべきヘッダーが生成されて、このヘッダーに送信信号の本体(データ信号)であるペイロードが付加され、フレーム49が生成されて出力される。このヘッダーには、送信元であるONU-1のフレームであることをを示すための情報等が含まれる。
【0062】
発光素子50は、フレーム49を光信号である光時分割信号51に変換して出力する。発光素子50は、発振波長が1.30μmであるLDが使われる。
【0063】
光時分割信号51は、WDMカプラ46の入力ポート46aに入力される。WDMカプラ46の入力ポート46aから入力される波長1.30μmの光時分割信号51は、入出力ポート46bから出力されて、分岐光導波路62-1に入力される。分岐光導波路62-1に入力された光時分割信号51は、光合分岐器20を介して光伝送路60を伝播してOLT 10に入力される。
【0064】
このとき、光時分割信号51は、光合分岐器20に入力される他のONUからの光時分割信号と多重されて、光時分割多重信号57となって、光伝送路60を介してOLT 10に伝送される。ONU-1〜ONU-nのそれぞれから送信される光時分割信号を、光合分岐器20で、時間軸上で重複することなく、時間軸上のそれぞれの位置に割り当てて多重して時分割多重するために、各ONUが具えるWDMカプラの入出力ポートから光合分岐器20までの距離の相違に基づく遅延時間に対応して、上り信号の送信タイミングが調整される。
【0065】
光時分割多重信号57は、OLT 10が具えているWDMカプラ18の入出力ポート18bから入力されて、WDMカプラ18が有しているWDMフィルタ機能によって、出力ポート18cに出力される。
【0066】
出力ポート18cから出力された光時分割多重信号57は、受光素子28に入力されて、電気信号である受信時分割多重信号29に変換されて出力される。受光素子28は、光時分割多重信号57を電気信号である受信時分割多重信号29に変換して出力する。一般に受光素子28は、受光感度が波長1.30μmで最大となるPDが使われる。
【0067】
受信時分割多重信号29は、分離部30に入力される。分離部30は、受信時分割多重信号29を構成するONU-1〜ONU-nから送られてくるフレームを、フレームに含まれるヘッダーによって、ONUごとに識別されて分離されて、分離信号31としてONUごとに取り出して出力する。
【0068】
図1では、OLT 10が具える復調部32が一つだけ示されているが、実際のPONによる光ネットワーク通信システムでは、ONU群40を構成するONUの数に等しいn台分が並列に具えられる。図1では、n台分の復調部32の内の一つだけを代表して示してあり、その他を省略してある。分離信号31は、ONU-1〜ONU-nと一対一に対応して設定されている復調部32のそれぞれに入力されて、分離信号31からフレームを解除して、ONU-1〜ONU-nから送られてきたそれぞれの信号を受信信号として出力する。
【0069】
以上で、ONU-1からOLTに向けた上り通信が終了する。
【0070】
<実施の形態>
図2を参照して、この発明の第1及び第2の受動光ネットワーク通信システム及びその動作について説明する。図2は、この発明の受動光ネットワーク通信システムの概略的ブロック構成図である。以後、この発明の第1及び第2の受動光ネットワークシステムを共に指す場合は、単にこの発明の受動光ネットワーク通信システムということもある。上述したように、この発明の第1の受動光ネットワーク通信システムの特徴は、下り通信をTDM方式で行い、上り通信をCDM方式で行えるように構成されている点にある。また、この発明の第2の受動光ネットワーク通信システムの特徴は、第1の受動光ネットワーク通信システムの特徴に加え、更にONU群において、下り信号からクロック信号を抽出し、そのクロック信号を利用して、上り通信に使われるCDM方式の信号が生成される構成とされている点にある。
【0071】
図2に示す受動光ネットワーク通信システムでは、OLT 70からPONを介してONU群100に向けた下り通信はTDM方式で行われ、ONU群100からPONを介してOLT 70に向けた上り通信はCDM方式で実行される。PONは、図1に示したPONと同様に構成されていて、光伝送路120、光合分岐器80、及びn本の分岐光伝送路(122-1、122-2等)を具えている。
【0072】
すなわち、この発明の受動光ネットワーク通信方法は、OLT 70からONU群100を構成しているONU-1〜ONU-nに向けた下り通信ステップ中に、OLT 70において実行される、時分割多重信号生成ステップが含まれている。この時分割多重信号生成ステップは、n台のONU-1〜ONU-nのそれぞれに対して、時間軸上で時間スロットを割り当てて、送信するフレームを時分割多重することによって生成された送信時分割多重信号を出力する。また、ONU群100からOLT 70に向けた上り通信ステップ中に、ONU群100において実行される符号化ステップが含まれている。この符号化ステップは、n台のONU-1〜ONU-nのそれぞれにおいて生成された、送信符号化信号をそれぞれ出力する。
【0073】
ここで、OLT 70からONU-1に向けてTDM方式で実行される下り通信について説明する。OLT 70から、ONU群100を構成しているONU-2、ONU-3、・・・、ONU-nの何れに向けた下り通信の場合であっても同様である。
【0074】
OLT 70は、TDM方式の送信信号である下り信号を生成して出力する送信部72と、CDM方式の信号である上り信号を受信する受信部74を具えている。送信部72は、変調部82およびTDM多重部84からなる時分割多重信号生成部76と第1発光素子86である発振波長が1.48μmの高出力LDを具えている。上述した、この発明の第1の受動光ネットワーク通信システムの、図1を参照して説明した従来の受動光ネットワーク通信システムとの相違点が、第1発光素子86としてこの高出力LDを具えている点にある。このことによって、伝送距離(OLT 70からONU群100までの距離)が20 kmを超えても、ONU群100を構成するONUそれぞれにおいて、OLT 70から送られる下り信号が受信可能となる。ここで、高出力LDとは、従来の伝送距離が20 kmに達しないことを前提に設計された従来の受動光ネットワーク通信システムに利用されるLDよりも高出力動作が保証されれいるLDを意味する。
【0075】
下り通信がTDM方式で実行されるから、変調部82で、送信信号に組み合わせるべきヘッダーが生成されて、このヘッダーに送信信号の本体(データ信号)であるペイロードが付加され、フレーム83が生成されて出力される。このヘッダーには、送信すべき相手先、すなわちONU-1〜ONU-nのうち、どのONUに当てて送信されたフレーム83であるかを示すための情報等が含まれる。
【0076】
図2では、図1同様に、OLT 70が具える変調部82が一つだけ示されているが、この発明の受動光ネットワーク通信システムでは、ONU群100を構成するONUの数に等しいn台分が並列に具えられる。そして、n台の変調部82のそれぞれが、ONU-1〜ONU-nと一対一に対応して設定され、OLT 70からPONを介してONU群100に向けて送信される下り信号となるフレーム83を、生成し出力する。すなわち、n台の変調部82は、ONU-1〜ONU-n宛に送信されるフレーム83をそれぞれ分担して生成して出力する。
【0077】
TDM多重部84は、n台の変調部82のそれぞれから生成される、ONU-1〜ONU-nに向けて送信すべきn通りのフレーム83を時間軸上で、時間スロットをそれぞれに割り当て多重して、すなわち時分割多重することによってこの送信時分割多重信号85を生成する。このステップが時分割多重信号生成ステップである。すなわち、変調部82、TDM多重部84からなる時分割多重信号生成部76では、時分割多重信号生成ステップが実行される。
【0078】
第1発光素子86である高出力LDは、送信時分割多重信号85を光信号である光時分割多重信号87に変換して出力する。この発明の受動光ネットワーク通信システムにおいては、上り信号と下り信号とでは波長が異なる光を割り当てる。すなわち、上り信号には波長が1.30μmの光を、下り信号には波長が1.48μmの光を割り当てる。従って、第1発光素子86は、発振波長が1.48μmである高出力LDが使われる。
【0079】
光時分割多重信号87はWDMカプラ78を介して光伝送路120に送り込まれる。WDMカプラ78は、WDMフィルタ機能を具える光カプラである。WDMカプラ78の入力ポート78aから入力される波長1.48μmの光時分割多重信号87は、入出力ポート78bから出力されて、光伝送路120に送り込まれる。
【0080】
光伝送路120を伝播して光時分割多重信号87は光合分岐器80に入力される。光合分岐器80では、光時分割多重信号87がn等分に強度分割されて、それぞれ光強度が1/nである光時分割多重信号が、ONU-1〜ONU-nに入力される。
【0081】
ONU群100を構成するONU-1〜ONU-nのそれぞれは、同一の構成であるから、ここでは、ONU-1を代表してその構成及び動作を説明する。ONU-1には、n等分された一つの波長1.48μm光時分割多重信号87-1が分岐光導波路122-1を伝播して入力される。
【0082】
光時分割多重信号87-1は、ONU-1が具えるWDMカプラ106に入力される。WDMカプラ106は、WDMフィルタ機能を具える光カプラである。WDMカプラ106の入出力ポート106bから入力される波長1.48μmの光時分割多重信号87-1は、出力ポート106cから出力されて、受信部104に入力される。
【0083】
ONU-1は、受信部104を具えている。受信部104は、第2受光素子112、クロック信号抽出部114、分離部116及び復調部118からなる時分割多重信号分離部130を具えて構成されている。第2受光素子112は、光時分割多重信号87-1を電気信号である受信時分割多重信号113に変換して出力する。第2受光素子112は、受光感度が波長1.48μmで最大となるPDが使われる。クロック信号抽出部114は、受信時分割多重信号113からクロック信号114cを抽出して出力し、後述する送信部102が具える符号化部108、及び分離部116に供給する。また、クロック信号抽出部114は、受信時分割多重信号113を受信して、受信時分割多重信号113の時間波形に変化を与えずに、受信時分割多重信号115として出力する。クロック信号抽出部114には、市販のクロック信号抽出装置を適宜利用することが可能である。
【0084】
この発明の発明の第2の受動光ネットワーク通信システムの特徴は、クロック信号抽出部114を具えており、このクロック信号抽出部114によって、受信時分割多重信号113からクロック信号114cが抽出されて出力され、後述する送信部102が具える符号化部108、及び分離部116に供給される構成とされている点である。
【0085】
分離部116は、受信時分割多重信号115に対して、OLT 70からONU-1宛に送られてくるフレームを分離して、分離信号117として取り出して出力する処理を行う。復調部118は、分離信号117からフレームを解除して、OLT 70から送られてきた信号を受信信号として出力する。
【0086】
以上で、OLT 70からONU-1に向けた下り通信が終了する。
【0087】
次に、ONU-1からOLT 70に向けてCDM方式で上り信号が送信される場合を例にとり、上り通信について説明する。ONU-2、ONU-3、・・・、ONU-nの何れからOLT 70に向けた上り通信の場合であっても同様である。
【0088】
ONU-1は、送信部102を具えている。そして、送信部102は符号化部108と第2発光素子110を具えて構成されている。
【0089】
上り通信がCDM方式で実行される場合、符号化部108で、送信信号に組み合わせるべきヘッダーが生成されて、このヘッダーに送信信号の本体(データ信号)であるペイロードが付加されてフレームが生成されて、かつ符号化されて送信符号化信号109として生成されて出力される。CDM方式による通信においてもレンジングと呼ばれる操作が必要である。このヘッダーには、フレームの先頭位置を検出するための情報、及びレンジングのための情報が含まれている。すなわち、符号化部108によって、送信符号化信号109が生成されて出力される符号化ステップが実行される。
【0090】
符号化部108で実行されるレンジング操作には、クロック信号抽出部114で抽出されたクロック信号114cが利用され、周知のレンジング方法によって行われる。
【0091】
第2発光素子110は、送信符号化信号109を光信号である光符号化信号111に変換して出力する。第2発光素子110は、発振波長が1.30μmであるLDが使われる。このLDには、後述するように高出力タイプの高価なLDを使う必要がない。
【0092】
光符号化信号111は、WDMカプラ106の入力ポート106aに入力される。WDMカプラ106の入力ポート106aから入力される波長1.30μmの光符号化信号111は、入出力ポート106bから出力されて、分岐光伝送路122-1に入力される。分岐光伝送路122-1に入力された光符号化信号111は、光合分岐器80を介して光伝送路120を伝播してOLT 70に入力される。
【0093】
このとき、光符号化信号111は、光合分岐器80に入力される他のONUからの光符号化信号と多重されて、光符号多重信号(光符号化信号)119となって、光伝送路120を伝播してOLT 70に伝送される。ONU-1〜ONU-nのそれぞれから送信される光符号化信号が、光合分岐器80で多重するためには、各ONUが具えるWDMカプラの入出力ポートから光合分岐器80までの距離の相違に基づく遅延時間に対応して、上り信号の送信タイミングを調整する、周知のレンジング操作が必要である。
【0094】
光符号多重信号119は、OLT 70が具えているWDMカプラ78の入出力ポート78bから入力されて、WDMカプラ78が有しているWDMフィルタ機能によって、出力ポート78cに出力される。
【0095】
出力ポート78cから出力された光符号多重信号119は、第1受光素子88に入力されて、電気信号である受信符号多重信号(受信符号化信号)89に変換されて出力される。第1受光素子88は、光符号多重信号119を電気信号である受信符号多重信号89に変換して出力する。第1受光素子88は、受光感度が波長1.30μmで最大となるPDが使われる。
【0096】
受信符号多重信号89は、分配部90に入力される。分配部90は、受信符号多重信号89をフレームに付加されたヘッダーの情報に従って処理して、ONU-1〜ONU-nから送られてくるフレームを選別して、選別受信信号91としてONUごとに取り出して出力する。
【0097】
図2では、OLT 70が具える復号化部92が一つだけ示されているが、実際のこの発明の受動光ネットワーク通信システムでは、ONU群100が具えるONUの数に等しいn台分が並列に具えられる。そして、n台の復号化部92のそれぞれが、ONU-1〜ONU-nと一対一に対応して設定され、ONU群100からOLT 70に向けて送信される上り信号から選別された選別受信信号91からフレームを解除して、ONU-1〜ONU-nから送られてきたそれぞれの信号を受信信号として出力する。
【0098】
以上で、ONU-1からOLTに向けた上り通信が終了する。
【0099】
<CDM方式>
図3(A)及び(B)を参照して、CDM方式について説明する。図3(A)は、比較のためのTDM方式による多重化の説明に供する図である。図3(B)は、CDM方式による多重化の説明に供する図である。両図とも横軸は時間軸であり、任意スケールで目盛って示してある。また、両図とも、図2を参照して説明した、n台のONU-1〜ONU-nを具える受動光ネットワーク通信を想定して、nチャンネル分の送信及び受信信号のTDM方式及びCDM方式による多重化の様子を示している。ここでは、受動光ネットワークが具えるn台のONUのそれぞれに、一対一に対応させて1〜nの各チャンネルが割り当てられているものとして説明する。
【0100】
図3(A)に示すように、TDM方式の送信及び受信フレームの時間軸上での配列は、時間軸上で0からt1の範囲の時間スロットには第1チャンネルのフレームが、t1〜t2の範囲の時間スロットには第2チャンネルのフレームが、・・・、tn-1〜tnの範囲の時間スロットには第nチャンネルのフレームが配置される。
【0101】
一方、図3(B)に示すように、CDM方式の送信及び受信フレームの時間軸上での配列は、第1〜第nチャンネルのフレームがそれぞれ符号化されて、時間軸上に同一の範囲で重なって配置される。
【0102】
図4(A)、(B)及び(C)を参照して、CDM方式の送信及び受信のフレームの構成の一部をなす送信信号(送信すべき情報)の本体であるデータ信号の部分の符号化及び復号化について説明する。
【0103】
図4(A)は、データ信号の時間波形を示す図である。図2に示した受動光ネットワーク通信システムにおいては、OUN-1が具える符号化部108に入力される送信信号に対応する。ここでは、データ信号として、「0」及び「1」の2値からなる2値デジタル信号列であって、(1,1,0)で表される場合を例にとって示してある。この例に限定されることなく、何れの2値デジタル信号列に対しても、以下の説明は成り立つ。以後、図2に示した受動光ネットワーク通信システムを、単に、図2のシステムと言うこともある。
【0104】
図4(B)は、図4(A)に示すデータ信号を符号化して得られる符号化信号の時間波形を示す図である。ここで、符号化のために利用された符号は、「-1」及び「+1」の2値で構成される符号列である。この符号列として、(-1,-1,+1,+1,+1,-1,-1,+1)を取り上げて示してある。このような符号化は、例えば、排他的論理和演算EXOR(エクスクルシーブ・オア)ゲートの出力にインバータを接続したゲート回路であるEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)回路を用いて、周知の方法で実施可能である。
【0105】
図4(C)は、図4(B)に示す符号化信号を復号化して得られる復号化信号の時間波形である。図2のシステムにおいては、符号化信号は、OLT 70が具える分配部90から出力される選別受信信号91に対応する。また、復号化信号は、復号部92から出力される受信信号、すなわち、データ信号に相当する。データ信号(1,1,0)が復号化信号(+a,+a,-a)として再生されている。ここで、aは任意の大きさの実数である。すなわち、振幅の大きさがaであるデジタルパルス信号列として、データ信号が再生されたことになる。このような復号化は、符号化した際に利用した符号列(-1,-1,+1,+1,+1,-1,-1,+1)と同一の符号列が組み込まれたマッチドフィルタ回路を用いて、周知の方法で実施可能である。
【0106】
図5(A)及び(B)を参照して、以後の説明において必要となる、符号利得及び符号長について説明する。図5(A)は、データ信号を構成するパルスの一つが、符号(+1,-1,+1,+1,・・・,-1,+1)によって符号化される様子を示す図である。ここで、符号を規定する「-1」及び「+1」からなる数列の項数を符号長ということもある。図4(B)に示した例では、符号を規定する数列が(-1,-1,+1,+1,+1,-1,-1,+1)であり、この数列の項数が8であるから符号長は8であることになる。また、符号を与える数列を符号列といい、符号列の各項「-1」及び「+1」をチップということもある。そして、-1及び+1そのものを符号値ということもある。
【0107】
データ信号の1ビットに割り当てられる時間幅は、データ信号の伝送速度であるビットレートの逆数である。一方、符号列を構成する1チップに割り当てられる時間幅の逆数をチップレートということもある。ここで、データ信号は、図2のシステムにおいては、ONU-1が具えている符号化部108に入力される送信信号に対応する。
【0108】
図5(A)に示すように、データ信号を構成するパルスの一つが、符号長がNである符号によって符号化されることによって、N個のチップに分割されて時間軸上にチップ列として配列される。すなわち、データ信号を構成するパルスの一つは、符号長がNである符号によって符号化されることによって、そのエネルギーが1/Nのチップパルスから成る符号化信号に時間軸上に平均化されて配列される。これによって、符号化信号のチップレートは、データ信号のビットレートのN倍となる。ここで、符号化信号は、図2のシステムにおいては、符号化部108から出力される送信符号化信号109に相当する。以後の説明において、光パルスの形態のチップパルスを光チップパルスということもある。
【0109】
PONを伝播する光時分割多重信号あるいは光符号多重信号等の伝送信号は、いずれにしても、時間軸上で光パルスが不等間隔で並ぶ光パルス信号である。PONに対して、ONUあるいはOLTが、送信すべき信号を光パルスの形態で送り込んだ段階で、全ての光パルスは、情報の1ビット分の情報である「0」あるいは「1」を示す均等な意義を有する。すなわち、光時分割多重信号を構成する光パルスと、光符号多重信号を構成する光パルスとでは区別がなされない。すなわち、PONを介して光符号化信号を送信する場合、光伝送路120を伝播する、光時分割多重信号を構成する1ビット分の情報を担う光パルスと、光符号多重信号を構成する光チップパルスとは、互いにその強度は等しい大きさにされる。ここで、図2のシステムにおいては、光時分割多重信号を構成する光パルス及び光符号多重信号を構成する光チップパルスとは、それぞれ光時分割多重信号87を構成する光パルス及び光符号多重信号119を構成する光チップパルスに相当する。
【0110】
データ信号の1ビット分を構成するパルス一つが符号化されることなく送信された場合、単に1パルスが送信されるに過ぎないが、符号長Nの符号で符号化されて送信される場合には、この1ビット分がN個のパルスとして送信されることとなる。すなわち、PONを介して光時分割多重信号あるいは波長分割多重信号のように符号化することなく送信される信号の1ビットに相当する光パルスは、光符号多重信号においては、N個分の光パルスとして送信されることとなる。
【0111】
このことは、符号化することなく送受信される信号の1ビットに相当する情報を一つの光パルスが担っているのに対して、符号長Nの符号で符号化されて送信される場合には、送受信される信号の1ビットに相当する情報をN個の光パルスが担うこととなる。そのため、送信に必要とされるエネルギーの観点から見ると、同じ1ビットに相当する情報を送信するためには、符号化することなく送信する場合と比較して、符号化して送信する場合は、N倍のエネルギーが使われることを意味する。ただし、このN倍のエネルギーは、時間軸上にN個分のパルスとして分散されている。
【0112】
図5(B)は、図5(A)に示す符号(+1,-1,+1,+1,・・・,-1,+1)によって符号化されて生成された符号化信号(図2のシステムでは送信符号化信号109に対応する)が、送信側で光符号化信号(図2のシステムでは光符号多重信号119に対応する)に変換されて送信され、PONを伝播して、受信側で受信されて復号化される様子を示す図である。受信される光符号化信号(図2のシステムでは光符号多重信号119に対応する)を構成する光パルスの一つ一つは、光時分割多重信号を構成する光パルスの一つ一つとその強度は等しいので、図5(B)の左側に示すように、受信される光符号化信号を構成する光パルスの一つ一つの強度を1として示してある。
【0113】
図5(B)の左側に示す光符号化信号は、図5(B)の右側に示すように、復号化されて、送信されたデータ信号(図2のシステムでは復号部92から出力される受信信号に相当する)を構成する1つ分のパルスとして再生される。この再生されたパルスは、N個分のチップパルスの総和であるから、チップパルス1つ分の強度のN倍の強度となる。すなわち、時間軸上にN個に分散されていたチップパルスが、1個のパルスとして時間軸上に集積されることによって再生されるため、この集積によって、再生されたパルスは、チップパルス1つ分の強度のN倍となる。
【0114】
このように、送信時点における送信データ信号を構成するパルスの強度が、受信側において復号化されることによって、受信データ信号を構成するパルス強度がN倍となることから実質的増幅効果が得られることになる。すなわち、送信時点における送信データ信号を構成するパルスの強度が、受信側において復号化されることによって、N倍の大きさとして受信されるので、この実質的な増幅を符号利得と呼ぶ。
【0115】
以上説明した様に、CDM方式の通信においては、OLTにおいて受信される信号強度が、時分割多重信号を受信する場合と比べて、小さくとも十分受信可能であることが分かる。光パルス信号の形態で送られてくる時分割多重信号(送信時分割多重信号)を構成する光パルスの強度を1とすれば、符号長がNである符号で符号化されて、光パルス信号の形態で送られてくる符号化信号(送信符号化信号)を構成する光パルスの強度はN、すなわちN倍となる。従って、送信時分割多重信号を受光する場合と、送信符号化信号を受光する場合とで比較すると、送信符号化信号に対する最小受光強度を、送信時分割多重信号の最小受光強度よりも小さくできる。少なくとも、符号長がNである符号で符号化された送信符号化信号を受光する場合の最小受光強度は、送信時分割多重信号を受光する場合の最小受光強度の1/Nでよいことが分かる。
【0116】
このことを、送信側において送信信号を生成して出力するLDの出力の観点から見ると、この発明の受動光ネットワーク通信システムの、各ONUに具えるLD(発光素子110)は、その定格出力が、OLTに具えるLD(発光素子86)の定格出力より低くても良いと言える。OLTに具えるLDが光時分割多重信号を生成して出力するのに対して、各ONUに具えるLDは、光符号化信号を生成して出力する。各ONUに具えるLDから出力される光符号化信号は、OLTにおいて、受信される際に、上述した符号利得が得られるからである。
【0117】
<上り及び下り信号の減衰>
図6を参照して、16台のONUを具えるこの発明の光ネットワーク通信システムにおいて、伝送距離が20 kmである場合のTDM方式による上り信号の減衰の様子を説明する。図6は、伝送距離が20 kmである場合のTDM方式による上り信号のレベルダイアグラムを示す図であり、上り信号の減衰の元になる構成要素を、図面の上部に示してある。図6の上部の左側から順に、LD、WDMカプラと並べて示してある部分が、図1に示したONU-1の構成要素である。16分岐カプラと示してある部分が、光合分岐器20に対応する。伝送距離20 kmと示してある部分が、光伝送路60に対応する。図6の上部の右側に、WDMカプラ、PDと並べて示してある部分が図1に示したOLTの構成要素である。PON伝送路は、分岐光伝送路62-1、光合分岐器20及び光伝送路60で構成される。伝送距離とは光伝送路60の長さをいう。
【0118】
発光素子50から出力される光時分割信号51が、WDMカプラ46を経由してPON伝送路に入力される。光時分割信号51は、平均出力が-1〜+4dBm程度の、定格出力の小さい安価なLDから出力されるものとしてある。ここでは、このLD出力を+4dBm(約2.51 mW)であるとしてある。このLDの発振波長は1.30μmである。
【0119】
光時分割信号51は、WDMカプラ46によって、レベルダイアグラムに示すように、−1dBの減衰を受けるので、その強度は+3dBmとなって、WDMカプラ46の入出力ポート46bから出力される。WDMカプラ46の入出力ポート46bから出力される光時分割信号51は、分岐光伝送路62-1に入力され、光合分岐器20に入力される。
【0120】
図6では、この光合分岐器20に相当する素子として16分岐カプラが使われている。この16分岐カプラで光時分割信号51は12dBの損失を受けて、その強度が-9dBmとなって光時分割多重信号57として出力され、伝送距離が20 kmの光伝送路60に入力される。光時分割多重信号57は、その波長が1.30μmであるから、光伝送路60では、0.5dB/kmの割合でその強度が減衰する。従って、光時分割多重信号57は、光伝送路60で10dBの減衰を受けて、その強度が-19dBmとなって、OLTのWDMカプラ18の入出力ポート18bに入力される。ここで、光時分割多重信号57は、1dBの減衰を受けて、その強度が-20dBmとなって受光素子28であるPDで受光される。
【0121】
ここで、仮に光伝送路60の伝送距離が50 kmであれば、この光伝送路60で光時分割多重信号57は、25dBの減衰を受ける。従って、光時分割多重信号57は、上述したように、光伝送路60に入力されるときは、その強度が-9dBmであるから、OLTのWDMカプラ18の入出力ポート18bに入力されるときは、その光強度は、-34dBmとなる。そして、OLTのWDMカプラ18で更に1dBmの減衰を受けるので、光時分割多重信号57は、その強度が-35dBmとなって、受光素子28であるPDで受光される。
【0122】
PONによる光ネットワーク通信システムにおける受信部は、その最小受光強度が-29dBm程度であるので、伝送距離が20 km程度であれば、十分に受信可能であるが、伝送距離が50 km程度では、受信ができなくなることを意味している。
【0123】
図7を参照して、16台のONUを具えるこの発明の光ネットワーク通信システムにおいて、伝送距離が50 kmである場合のTDM方式による下り信号の減衰の様子を説明する。図7は、伝送距離が50 kmである場合のTDM方式による下り信号のレベルダイアグラムを示す図であり、下り信号の減衰の元になる構成要素を、図面の上部に示してある。図7の上部の左側から順に、高出力LD、WDMカプラと並べて示してある部分が、図2に示したOLT 70の構成要素である。伝送距離50 kmと示してある部分が光伝送路120に対応する。図7の上部の右側に、16分岐カプラと示してある部分が、光合分岐器80に対応する。WDMカプラ、PDと並べて示してある部分が図2に示したONU-1の構成要素である。PON伝送路は、分岐光伝送路87-1、光合分岐器80及び光伝送路120で構成される。伝送距離とは光伝送路120の長さをいう。
【0124】
第1発光素子86から出力される光時分割多重信号87が、WDMカプラ78を経由してPON伝送路に入力される。光時分割多重信号87は、平均出力が+6dBm(3.98 mW)である定格出力の大きい高価な高出力LDから出力されるものとしてある。すなわち、ここでは、第1発光素子86である高出力LD出力を+6dBmであるとしてある。この高出力LDの発振波長は1.48μmである。
【0125】
光時分割多重信号87は、WDMカプラ78によって、レベルダイアグラムに示すように、1dBの減衰を受けるので、その強度は+5dBmとなって、WDMカプラ78の入出力ポート78bから出力される。WDMカプラ78の入出力ポート78bから出力される光時分割多重信号87は、光伝送路120に入力される。光時分割多重信号87は、その波長が1.48μmであるから、光伝送路120では、0.4dB/kmの割合でその強度が減衰する。従って、光時分割多重信号87は、光伝送路120で20dBの減衰を受けて、その強度が-15dBmとなって光合分岐器80に入力される。図7では、この光合分岐器80に相当する素子として16分岐カプラが使われている。この16分岐カプラで光時分割多重信号87は12dBの損失を受けて、その強度が-27dBmとなって、光時分割多重信号87-1としてONU-1のWDMカプラ106の入出力ポート106bに入力される。光時分割多重信号87-1は、WDMカプラ106で1dBの減衰を受けて、その強度が-28dBmとなって、第2受光素子112であるPDで受光される。
【0126】
この発明の受動光ネットワーク通信システムにおける受信部104は、その最小受光強度が-29dBm程度であるので、OLTからの送信信号である光時分割多重信号87を、平均出力が+6dBmである高出力LDによって生成すれば、伝送距離が50 km程度であれば、受信可能であることを意味している。
【0127】
従って、OLTからの送信信号を平均出力が+6dBmである高出力LDによって生成することを特徴とするこの発明の受動光ネットワーク通信システムによれば、TDM方式の信号によって下り通信を実現することが十分可能であることが分かる。高価格である高出力LDは、このシステムでは、OLTに1台だけ設置すればよいので、システム全体としては、その製造コストをほとんど高くすることはない。
【0128】
図8を参照して、16台のONUを具えるこの発明の受動光ネットワーク通信システムにおいて、伝送距離が50 kmである場合のCDM方式による上り信号の減衰の様子を説明する。図8は、伝送距離が50 kmである場合のCDM方式による上り信号のレベルダイアグラムを示す図であり、上り信号の減衰の元になる構成要素を、図面の上部に示してある。
【0129】
図8の上部の左側から順に、LD、WDMカプラと並べて示してある部分が、図2に示したONU-1の構成要素である。16分岐カプラと示してある部分が、光合分岐器80に対応する。伝送距離50 kmと示してある部分が、光伝送路120に対応する。図8の上部の右側に、WDMカプラ、PD、復号化と並べて示してある部分が図2に示したOLTの構成要素である。PON伝送路は、分岐光伝送路122-1、光合分岐器80及び光伝送路120で構成される。伝送距離とは光伝送路120の長さをいう。
【0130】
第2発光素子110から出力される光符号化信号111が、WDMカプラ106を経由してPON伝送路に入力される。光符号化信号111は、平均出力が-1〜+4dBm程度の、定格出力の小さい安価なLDから出力されるものとしてある。ここでは、このLD出力を0dBmであるとしてある。このLDの発振波長は1.30μmである。
【0131】
図6を参照して説明した、従来の光ネットワーク通信システムが、ONU-1からOLTに向けて送信する送信信号を生成して出力するLDとして、その出力を+4dBmと想定したが、ここでは、更に低出力である定格出力が0dBm(1 mW)であるLDを採用する。これでも十分に上り簿通信が可能であることを以下に説明する。
【0132】
光符号化信号111は、WDMカプラ106によって、レベルダイアグラムに示すように、1dBの減衰を受けるので、その強度は-1dBmとなって、WDMカプラ106の入出力ポート106bから出力される。WDMカプラ106の入出力ポート106bから出力される光符号化信号111は、分岐光伝送路122-1に入力され、光合分岐器80に入力される。
【0133】
図8では、この光合分岐器80に相当する素子として16分岐カプラが使われている。この16分岐カプラで光符号化信号111は12dBの損失を受けて、その強度が-13dBmとなって、光符号多重信号119として出力され伝送距離が50 kmの光伝送路120に入力される。光符号多重信号119は、その波長が1.30μmであるから、光伝送路120では、0.5dB/kmの割合でその強度が減衰する。従って、光符号化信号117は、光伝送路120で25dBの減衰を受けて、その強度が-38dBmとなって、OLTのWDMカプラ78の入出力ポート78bに入力される。ここで、光符号多重信号119は、1dBの減衰を受けて、その強度が-39dBmとなって第1受光素子88であるPDで受光される。
【0134】
光符号多重信号119は、復号化処理されることによって、上述のように符号利得が得られる。ここで、符号長が16であるCDM通信が行われたとすると、符号利得によって、復号化されて得られる光パルスの強度は、16倍、すなわち12dBの利得が得られるので、光符号分割多重信号119は、その強度が-39dBmから12dB増大して、-27dBmとなる。符号長を長くすれば、得られる符号利得も大きくなる。
【0135】
この発明の受動光ネットワーク通信システムにおける受信部74は、その最小受光強度が-29dBm程度であるので、上り信号をCDM方式とすることで、伝送距離が50 km程度であっても、OLTにおいて十分に受信可能であることを意味している。
【0136】
従って、上り通信をCDM方式で実現することを特徴とするこの発明の受動光ネットワーク通信システムによれば、ONUに具える、上り信号を生成するLDを、その出力が0dBm程度の定格出力の小さい安価なものを採用しても、上り通信を実現することが十分可能であることが分かる。上り信号を生成するLDは、全てのONUに設置しなければならないので、その数は多い。すなわち、この多数必要となるLDに安価な低出力LDを採用できることによって、受動光ネットワーク通信システムの製造コストを低減することが可能となる。
【0137】
<局側終端装置>
図9を参照して、この発明の受動光ネットワーク通信システムのOLTの構成とその動作について説明する。図9は、この発明の受動光ネットワーク通信システムを構成するOLTの概略的ブロック構成図である。図9に示すOLTは、図2に示すこの発明の受動光ネットワーク通信システムの概略的ブロック構成図中で、OLT70に対応する。
【0138】
図9に示すこの発明の受動光ネットワーク通信システムのOLTは、WDMカプラ236、送信部200、及び受信部220を具えている。まず送信部200についてその構成及び動作について説明する。
【0139】
送信部200は、変調部として第1チャンネルの変調部204-1、第2チャンネルの変調部204-2等、加入者側に設置されるONUの台数に等しい数(ここでは、n台とする。)だけ、ONUにそれぞれのチャンネルを対応させて個別に変調部を具えている。すなわち、第1チャンネルの変調部204-1、第2チャンネルの変調部204-2、・・・、第nチャンネルの変調部204-nを具えている。以後、第1チャンネルの変調部204-1、第2チャンネルの変調部204-2、・・・、第nチャンネルの変調部204-nを総称して、変調部204-1〜204-nと記載することもある。図2においては、これら変調部204-1〜204-nの個別の変調部を総合して変調部82と示してある。
【0140】
第1チャンネルの変調部204-1は、TDMフレーム生成部206及び多重化タイミング調整部208を具えている。TDMフレーム生成部206は、第1チャンネルの送信信号本体にヘッダーを付与して、時分割多重信号に生成可能な状態としたTDMフレーム207を生成して出力する。多重化タイミング調整部208は、TDMフレーム207を入力して時分割多重信号を生成するために必要とされるチャンネルごとに固有の時間遅延量を調整して、TDMフレーム209を出力する。第2チャンネルの変調部204-2もその構成は同様である。
【0141】
上述のTDMフレーム生成部206におけるTDMフレームの生成、及び多重化タイミング調整部206における多重化のタイミング調整の動作のためには、各チャンネルの変調部(変調部204-1〜204-n)において共通するクロック信号が使われる。このクロック信号は、クロック信号発生器216から供給される。ちなみに、後述するように、クロック信号発生器216からは、受信部220にもクロック信号が供給される。
【0142】
変調部204-1〜204-nから出力される、n台のONUのそれぞれに対して送信されるTDMフレームは、TDM多重部210に入力されて、時間軸上に割り当てて送信するフレームを時分割多重されて、送信時分割多重信号211として生成されて出力される。この動作が時分割多重信号生成ステップである。すなわち、変調部204-1〜204-nとTDM多重部210とからなる時分割多重信号生成部202で時分割多重信号生成ステップが実行される。
【0143】
送信時分割多重信号211は、第1発光素子212である高出力LDを駆動する。そして、この高出力LDから、光時分割多重信号213が出力される。すなわち、この高出力LDは、送信時分割多重信号211を光時分割多重信号213に変換して出力する、送信時分割多重信号変換ステップを実行する。
【0144】
光時分割多重信号213は、WDMカプラ236を介してPONに入力されて、下り信号として、ONU-1〜ONU-nに向けて送信される。
【0145】
次に受信部220についてその構成及び動作について説明する。受信部220は、第1受光素子226、分配部228、及び復号化部として第1チャンネルの復号化部222-1、第2チャンネルの復号化部222-2等、加入者側に設置されるONUの台数に等しい数だけ、ONUにそれぞれのチャンネルを対応させて個別に復号化部を具えている。すなわち、第1チャンネルの復号化部222-1、第2チャンネルの復号化部222-2、・・・、第nチャンネルの復号化部222-nを具えている。以後、第1チャンネルの復号化部222-1、第2チャンネルの復号化部222-2、・・・、第nチャンネルの復号化部222-nを総称して、復号化部222-1〜222-nと記載することもある。図2においては、これら復号化部222-1〜222-nの個別の復号化部を総合して復号化部92と示してある。
【0146】
ONU-1〜ONU-nそれぞれからの上り信号である光符号化信号が多重されて、光符号多重信号225として受信部220に入力され、WDMカプラ236を介して第1受光素子226であるPDに入力される。
【0147】
第1受光素子226であるPDに入力された光符号多重信号225は、電気信号である受信符号多重信号227に変換されて出力される、光符号化信号変換ステップが実行される。
【0148】
受信符号多重信号227は、分配部228に入力されてn分割されて、選別受信信号(受信符号化信号)229となって、それぞれ復号化部222-1〜222-nに入力される。以下、第1チャンネルの復号化部222-1を取り上げて説明するが、第2から第nチャンネルの復号化部についても同様である。
【0149】
第1チャンネルの復号化部222-1は、復号器230とCDMフレーム解除部232を具えている。選別受信信号(受信符号化信号)229は、まず、復号器230に入力されて復号化され、ONU-1から送信された当時の第1チャンネル宛のフレーム231として再生される。この動作は、上述のクロック信号発生器216から供給されるクロック信号を基準として実行される。すなわち、復号器を構成するマッチドフィルタを動作させる基準のクロック信号として利用される。
【0150】
フレーム231はCDMフレーム解除部232に入力されて、ヘッダーとペイロードが組み合わされて構成されているフレーム231からヘッダーを取り除き、ペイロード、すなわ受信信号本体が分離されて取り出される。このフレームの解除動作においても、上述のクロック信号発生器216から供給されるクロック信号が利用される。
【0151】
以上説明した様に、復号化部222-1〜222-nにおいて、受信符号化信号から、受信信号が分離されて出力される復号化ステップが実行される。
【0152】
<加入者側終端装置>
図10を参照して、この発明の受動光ネットワーク通信システムのONUの構成とその動作について説明する。ここでは、ONU-1を代表して取り上げるが、これ以外のONUについても同様である。
【0153】
図10は、この発明の受動光ネットワーク通信システムを構成するONU-1の概略的ブロック構成図である。これは、図2に示すこの発明の受動光ネットワーク通信システムの概略的ブロック構成図中で、ONU-1に対応する。
【0154】
図10に示すこの発明の受動光ネットワーク通信システムのONU-1は、WDMカプラ238、送信部240、及び受信部224を具えている。まず受信部224についてその構成及び動作について説明する。受信部224は、第2受光素子254と時分割多重信号分離部252とを具えている。時分割多重信号分離部252は、クロック信号抽出部256、TDM分離部258、及びTDMフレーム解除部260を具えている。
【0155】
OLTから送信された光時分割多重信号253は、WDMカプラ238を介して第2受光素子254であるPDに入力される。第2受光素子254であるPDによって、光時分割多重信号253を受信時分割多重信号255に変換して出力する光時分割多重信号生成ステップが実行される。
【0156】
受信時分割多重信号255は、クロック信号抽出部256に入力される。クロック信号抽出部256では、クロック信号抽出ステップが実行され、受信時分割多重信号255からクロック信号256cが抽出さる。図10に示すように、このクロック信号256cは、後述するTDM分離部258及び符号化部242が具える符号器246に供給される。
【0157】
一方、受信時分割多重信号255は、クロック信号抽出部256を通過して、受信時分割多重信号257としてTDM分離部258に入力される。TDM分離部258は、受信時分割多重信号257から、上述のクロック信号256cに同期させて、ONU-1に送られた第1チャンネルの送信信号を含むフレーム259を分離して出力する。フレーム259は、TDMフレーム解除部260に入力されてヘッダーとペイロードが組み合わされて構成されているフレーム259から、ヘッダーを取り除き、ペイロード、すなわち第1チャンネルの受信信号本体を分離して取り出す。
【0158】
すなわち、クロック信号抽出部256、TDM分離部258、TDMフレーム解除部260からなる時分割多重信号分離部252によって、クロック信号256cと同期させて受信時分割多重信号257からONU-1に割り当てられたフレーム259を受信信号として分離して出力する受信信号分離ステップが実行される。
【0159】
次に送信部240について、その構成及び動作について説明する。送信部240は、符号化部242、及び第2発光素子250を具えている。符号化部242は、CDMフレーム生成部244、符号器246、及び送信タイミング調整部248を具えている。
【0160】
CDMフレーム生成部244は、ONU-1から送信される第1チャンネルの送信信号本体にヘッダーを付与して、符号分割多重信号に生成可能な状態としたCDMフレーム245を生成して出力する。符号器246は、CDMフレーム245からクロック信号に同期させて、送信符号化信号247を生成して出力する符号化ステップを実行する。送信符号化信号247は、送信タイミング調整部248に入力され、送信するタイミングを調整する、いわゆるレンジングが行われて、送信符号化信号249として第2発光素子250であるLDに供給される。
【0161】
送信符号化信号249は、第2発光素子250であるLDを駆動する。そして、このLDから、光符号化信号251が出力される。すなわち、第2発光素子250であるLDは、送信符号化信号249を光符号化信号251に変換して出力する、送信符号化信号変換ステップを実行する。
【0162】
光符号化信号251は、WDMカプラ238を介してPONに入力されて、上り信号として、OLTに向けて送信される。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】PONによる従来の光ネットワーク通信システムの概略的ブロック構成図である。
【図2】この発明の受動光ネットワーク通信システムの概略的ブロック構成図である。
【図3】(A)は、比較のためのTDM方式による多重化の説明に供する図であり、(B)は、CDM方式による多重化の説明に供する図である。
【図4】符号化及び復号化の説明に供する図であって、(A)はデータ信号の時間波形を示す図であり、(B)はデータ信号を符号化して得られる符号化信号の時間波形を示す図であり、(C)は、符号化信号を復号化して得られる復号化信号の時間波形である。
【図5】符号利得及び符号長の説明に供する図であって、(A)は、データ信号を構成するパルスの一つが、符号(+1,-1,+1,+1,・・・,-1,+1)によって符号化される様子を示す図であり、(B)は、(A)に示す符号によって符号化されて生成された符号化信号が、復号化される様子を示す図である。
【図6】伝送距離が20 kmである場合のTDM方式による上り信号のレベルダイアグラムを示す図である。
【図7】伝送距離が50 kmである場合のTDM方式による下り信号のレベルダイアグラムを示す図である。
【図8】伝送距離が50 kmである場合のCDM方式による上り信号のレベルダイアグラムを示す図である。
【図9】この発明の受動光ネットワーク通信システムを構成するOLTの概略的ブロック構成図である。
【図10】この発明の受動光ネットワーク通信システムを構成するONUの概略的ブロック構成図である。
【符号の説明】
【0164】
10、70:局側終端装置(OLT)
12、42、72、102、200、240:送信部
14、44、74、104、220、224:受信部
18、46、78、106、236、238:WDMカプラ
20、80:光合分岐器
22、48、82:変調部
24:多重部
26、50:発光素子
28、52:受光素子
30、54、116:分離部
32、56、118:復調部
40、100:加入者側終端装置(ONU)群
60、120:光伝送路
62-1、62-2、62-3、122-1、122-2、122-3:分岐光伝送路
76、202:時分割多重信号生成部
84、210:TDM多重部
86、212:第1発光素子
88、226:第1受光素子
90、228:分配部
92:復号化部
108、242:符号化部
110、250:第2発光素子
112、254:第2受光素子
114、256:クロック信号抽出部
130、252:時分割多重信号分離部
204-1:第1チャンネルの変調部
204-2:第2チャンネルの変調部
206:TDMフレーム生成部
208:多重化タイミング調整部
216:クロック信号発生器
222-1:第1チャンネルの復号化部
222-2:第2チャンネルの復号化部
230:復号器
232:CDMフレーム解除部
244:CDMフレーム生成部
246:符号器
248:送信タイミング調整部
258:TDM分離部
260:TDMフレーム解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路、該光伝送路の一端に結合された光合分岐器、及び該光合分岐器によってn分岐(nは2以上の整数)されて形成されたn本の分岐光伝送路を具える受動光ネットワークと、
前記光伝送路の他端に設けられた局側終端装置と、
n本の前記分岐光伝送路のそれぞれに1台ずつ設けられた、n台の加入者側終端装置と
を具える受動光ネットワーク通信システムで通信を行うに当たり、
前記局側終端装置から前記加入者側終端装置に向けた下り通信ステップが、前記局側終端装置において実行される、n台の前記加入者側終端装置のそれぞれに対して送信するフレームを時分割多重することによって送信時分割多重信号を生成して出力する時分割多重信号生成ステップを含み、
前記加入者側終端装置から前記局側終端装置に向けた上り通信ステップが、前記加入者側終端装置において実行される、送信符号化信号を生成して出力する符号化ステップを含む
ことを特徴とする受動光ネットワーク通信方法。
【請求項2】
請求項1に記載の受動光ネットワーク通信方法を実施する通信システムであって、
前記局側終端装置は、前記時分割多重信号生成ステップを実行する時分割多重信号生成部を具え、
n台の前記加入者側終端装置のそれぞれは、前記符号化ステップを実行する符号化部を具える
ことを特徴とする受動光ネットワーク通信システム。
【請求項3】
光伝送路、該光伝送路の一端に結合された光合分岐器、及び該光合分岐器によってn分岐(nは2以上の整数)されて形成されたn本の分岐光伝送路を具える受動光ネットワークと、
前記光伝送路の他端に設けられた局側終端装置と、
n本の前記分岐光伝送路のそれぞれに1台ずつ設けられた、n台の加入者側終端装置と
を具える受動光ネットワーク通信システムで通信を行うに当たり、
下り通信ステップが、
前記局側終端装置において実行される、
n台の前記加入者側終端装置のそれぞれに対して時間軸上に割り当てて送信するフレームを時分割多重することによって送信時分割多重信号を生成して出力する時分割多重信号生成ステップと、
該送信時分割多重信号を光時分割多重信号に変換して出力する送信時分割多重信号変換ステップと、
前記加入者側終端装置において実行される、
前記光時分割多重信号を受信時分割多重信号に変換して出力する光時分割多重信号変換ステップと、
該受信時分割多重信号からクロック信号を抽出して出力するクロック信号抽出ステップと、
該クロック信号と同期させて前記受信時分割多重信号から当該加入者側終端装置に割り当てられた前記フレームを受信信号として分離して出力する受信信号分離ステップと
を含み、
上り通信ステップが、
前記加入者側終端装置において実行される、
前記受信時分割多重信号から抽出されたクロック信号に同期させて、送信符号化信号を生成して出力する符号化ステップと、
該送信符号化信号を光符号化信号に変換して出力する送信符号化信号変換ステップと、
前記局側終端装置において実行される、
前記光符号化信号を受信符号化信号に変換して出力する光符号化信号変換ステップと、
該受信符号化信号から受信信号を分離して出力する復号化ステップと、
を含む
ことを特徴とする受動光ネットワーク通信方法。
【請求項4】
請求項3に記載の受動光ネットワーク通信方法を実施する通信システムであって、
前記局側終端装置は、
前記時分割多重信号生成ステップを実行する時分割多重信号生成部と、
前記送信時分割多重信号変換ステップを実行する第1発光素子と、
前記光符号化信号変換ステップを実行する第1受光素子と、
前記復号化ステップを実行する復号化部と
を具え、
前記加入者側終端装置は、
前記光時分割多重信号変換ステップを実行する第2受光素子と、
前記クロック信号抽出ステップを実行するクロック信号抽出部と、
前記受信信号分離ステップを実行する時分割多重信号分離部と、
前記符号化ステップを実行する符号化部と、
前記送信符号化信号変換ステップを実行する第2発光素子と、
を具える
ことを特徴とする受動光ネットワーク通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−301153(P2008−301153A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144421(P2007−144421)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】