説明

口内状態を改善するための経口投与用組成物

口内洗浄効果を与える固体の経口用組成物であって、非吸湿性基剤、カルバミドペルオキシド、及び細菌運動抑制剤を含む当該固体の経口用組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、’05年3月14日出願の米国暫定特許出願60/661411(参考として、本明細書中に援用する)に基く優先権を主張するものである。
【0002】
歯のホワイトニング用組成物が、製造されてきた。かかる組成物の例は、米国特許第6,149,211号(出願番号09/028330、2000年11月21日発行、特許権者 Losee等)(参考として本明細書中に援用する)に開示されている。
【0003】
発明の概要
本発明は、固体の経口投与される配合物のための組成物及び製造方法を包含する。この配合物は、水を含まず、その成分は、カルバミドペルオキシド、細菌運動抑制剤、及び非吸湿性甘味料の基剤(マンニトール又はイソマルツロースの水素化生成物(例えば、二糖類、イソマルト(商標))又はこれらの混合物であってよい)である。この配合物は、安定であり、数週間の棚もちを有する。
【0004】
この発明の組成物は、口内環境を、他のものの内から、pHを上げて細菌増殖を減じること(これは、虫歯の空洞形成及び歯肉炎を減じて、傷の治癒を改善する)により改善する効果を有する。本発明の組成物は、口臭、プラーク及び関連する歯肉の病気の防止及び軽減に有用であり、殺菌、及び/又は細菌の代謝の改変に有効であり、及び/又は局所的に治療可能な感染及び口腔の疾病(例えば、プラーク、歯肉炎、歯周病、及び悪臭呼気)を引き起こす微生物の増殖を抑制する期間にわたって有効である。
【0005】
本発明は、液体口内洗浄剤と同じ効果を、錠剤などの形態で経口摂取される固体組成物によって与える。
【0006】
如何なる理論にも拘束されないが、非吸湿性甘味料、カルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤の組合せは、増進された効力を与え、一緒に作用して、相乗的に口内環境を改善する。
【0007】
非吸湿性甘味料基剤とカルバミドペルオキシドの組成物(米国特許第6,149,211号に開示)は、口内環境に幾らかの改善を与えるということが見出されているが、これらの成分は、適当な細菌運動抑制剤と組み合わせれば、予想外の改善を与えると考えられる。
【0008】
この発明の組成物は、劣化せず、長い貯蔵寿命を有する。しかし、この製品は、経口投与されて、噛まれ又は口内に保持されることにより唾液により溶解される際に、唾液と反応して、不快な味を生じることなく、口内環境を改善する効果を生じる。口内での溶解の過程において形成される如何なる尿素も、この製品に悪い味を与えるのに十分ではないということが見出されている。
【0009】
図面の簡単な説明
図1は、この発明の方法のフローシートである。
図2は、この発明の方法のフローシートである。
【0010】
この発明の組成物は、成分の尿素カルバミド、細菌運動抑制剤及び非吸湿性基剤(即ち、甘味料組成物)を含む。
【0011】
非吸湿性甘味料基剤
この開示の目的に関して、基剤組成物は、カルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤以外のこの発明の組成物の部分である。この基剤組成物の主要部分(>50重量%)は、非吸湿性甘味料基剤を、唯一の又は主たる甘味料として含む。これは、マンニトール、イソマルツロースの水素化生成物の一つ又は混合物であってよい。この基剤は又、適当なペースト、ガム、錠剤又はキャンディーを形成するために慣用される他の材料も含む。この基剤は、本質的に水を含まず且つ非吸湿性である。「水を含まない」とは、カルバミドペルオキシドと反応することのできる水が無視できるほどであることを意味する。この組成物の成分は、水和の水を含むことができるが、それらは、無視できる反応性の水を与えるだけ十分に、基剤組成物に結合されているか又は少量で存在しなければならない。
【0012】
「非吸湿性」とは、吸湿性即ち水を(通常、周囲の湿気から)吸うことにより水和する物質の傾向を欠く組成物を意味する。この基剤物質は、操作中及び貯蔵中に通常遭遇する周囲温度及び湿度で、非吸湿性であるべきである。この発明の組成物は、吸湿性である物質を含むことができるが、それらは、全基剤組成物の本質的に非吸湿性の性質が保持されるだけ十分に少量でなければならない。
【0013】
この基剤組成物の甘味料に適した組成物は、マンニトール、イソマルツロース(6−0−.アルファ.−D−グルコピラノシル−D−フルクトース)の触媒により水素化された生成物、又はこれらの混合物である。
【0014】
イソマルツロース(シュークロースの誘導体)の触媒による水素化は、2つの立体異性体 6−0−.アルファ.−D−グルコピラノシル−D−ソルビトール(1,6−GPS)及び1−0−.アルファ.−D−グルコピラノシル−D−マンニトール(1,1−GPM)を生成する。(これらは、それぞれ、「−D−グルコピラノシル−1,6−D−ソルビトール」及び「−D−グルコピラノシル−1,1−D−マンニトール」としても知られる) この水素化反応は、2つの二糖類異性体ポリオール、1,6−GPSと1,1−GPMの等モル混合物である。イソマルトは、商標Palatinit.TM.で、Palatinit Sussungsmittel GmbH (Mannheim, ドイツ国)により販売されている。イソマルトは、非吸湿性であり、特に、周囲温度及び湿度で非吸湿性である。摂氏25度で、イソマルトは、殆ど水を吸わない。摂氏60及び80度ほどの高温において、相対湿度は、有意の吸水のためには、それぞれ、75%及び65%でなければならない。イソマルト、その製造及び様々な特性の詳細な検討は、Isomalt (Peter Strater 及び William E. Irwin (Alternative Sweeteners, Lyn O'Brien Nabors及びRobert C. Gellardi編、Marcel Dekker, Inc., 1992, 及び ISOMALT, 第5版(1996年、Platinit Sussungsmittel GmbH, Gottlieb-Daimler-Stra.beta.e, D-68165, Mannheim, ドイツ国より刊行)中))中に開示されている。このイソマルツロースの水素化反応は、Schiweck等の米国特許第4,117,173号に開示されている。
【0015】
この基剤組成物は、キャンディー及び錠剤で用いられる他の適当な成分、例えば他の非吸湿性甘味料、香味料、甘味料、抗酸化剤、安定剤、着色料などを含むことができる。
【0016】
カルバミドペルオキシド
本発明における活性成分は、カルバミドペルオキシド、CON24・H22である。それは、過酸化水素と尿素の付加化合物であり、尿素ペルオキシド、又は尿素過酸化水素としても知られる。
【0017】
この発明の組成物は、カルバミドペルオキシドを有効な量で、即ち、口内環境を改善するのに効能のある量で、細菌運動抑制剤と共に含む(組成物を経口摂取して口内で溶解させる場合又は噛んで溶解させてカルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤を溶解させる場合)。効能のある量は、約3重量パーセント未満のカルバミドペルオキシドの量を包含し、カルバミドペルオキシドが歯の漂白効果を与える場合よりも少ない量を包含する。この発明の一つの面は、カルバミドペルオキシド及び非吸湿性基剤を含む組成物であって、カルバミドペルオキシドが、効果的な又は満足な歯の漂白効果を与えるには不十分な量であるが、細菌運動抑制のためには効能のある量である当該組成物を包含する。
【0018】
細菌運動抑制剤
本発明は、細菌運動抑制剤を包含する。「細菌運動抑制」とは、細菌の増殖の防止、抑制又は阻止を意味する。従って、この細菌運動抑制剤には、殺細菌剤及び静菌剤組成物又はこれらの混合物が適している。これらは、しばしば経口組成物において普通に用いられる抗細菌剤を包含し、それらは、該組成物の非吸湿性環境において他の成分と適合性であって、口内環境において活性化される。特定の例は、二酸化塩素、及びビグアニド例えばクロルヘキシジンジグルコネートを含むが、これらに限れられない。例は又、四級アンモニウム抗細菌性化合物及びある種の金属イオン例えば亜鉛、銅、銀及び錫の水溶性の起源(例えば、塩化亜鉛、塩化銅及び塩化錫、及び硝酸銀)を包含しうるであろう。
【0019】
製造方法
この発明の組成物は、カルバミドペルオキシドが固体基剤物質に組み込まれて、そのカルバミドペルオキシドが大気中の湿気から防護され又は遮蔽され、水又は水を吸う吸湿性物質(該物質は、水が、処理又は貯蔵中に、この組成物に、数日又は数週間にわたって、味覚により検出可能な量の尿素を生じる量で導入される結果を生じるであろう)が導入されないような任意の適当な方法によって作成される。
【0020】
カルバミドペルオキシドは、水と反応すると、分解して尿素を生じる。本発明の組成物において、カルバミドペルオキシドは、製品において、それが水と反応できないように、水から分離されている。これは、この組成物の製造中、如何なる水も添加しないこと及び実際上水を含まない物質を用いることにより達成される。加えて、この組成物の成分は、好ましくは、非吸湿性であり、大気中から水を誘引しない。加えて、この組成物は、カルバミドペルオキシドを空気中の湿気から防護する物理的及び化学的性質を有しなければならない。ある種の非吸湿性甘味料を含む幾つかの経口組成物は、不満足なものであり、味が悪いということが見出されている。完全には理解されていないが、これらのある種の生成物の不満足な味は、甘味料自体の不満足な味のためであり及び/又は基剤物質がカルバミドペルオキシドを大気中の水分から十分に分離しないために生成した尿素によるものと考えられている。従って、この甘味料−基剤の非吸湿性は、最も重要であるが、唯一の因子ではない。しかしながら、イソマルツロースの水素化生成物及び/又はマンニトールが甘味料基剤として用いられ、尿素カルバミドは安定化され且つ防護されて、貯蔵の数週間にわたって分解しないということが見出されている。
【0021】
ある従来技術のガム、錠剤及びキャンディーは、水を含み、又はしばしば、空気中の湿気から水を誘引する物質を含んでいる。通常のガム、錠剤及びキャンディー組成物において、この水は、問題ではない。しかし、もしカルバミドペルオキシドが存在したならば、この水は、カルバミドペルオキシドと反応してそれを尿素(非常に低濃度でも味が悪くなる)にするのに利用可能である。
【0022】
本発明の方法においては、本質的に水を含まない材料を用い、又は水は、組成物から排出される。この発明の組成物の基剤の本来的特性の故に、空気中の湿気からの水の再吸着又は誘引はない。従って、カルバミドペルオキシドは、水から防護され又は遮蔽されており、分解反応は、不快な味を生じるのに十分には起きない。従って、本発明の組成物は、数週間にわたって検出可能な味の悪化を伴わず且つ活性成分の有意の損失なしで貯蔵することができるということが見出されている。
【0023】
この発明の組成物を口内に置いて溶解させ又は噛んだ場合に、この組成物は、口内でゆっくりと溶解して、有効量のカルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤を与えて口の状態を改善する。好ましくは、この発明のガム、キャンディー又は錠剤は、カルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤が約20分間にわたってゆっくりと溶解するように形成される。この発明の錠剤の一貫した日々の使用は、その後、消費者に有用な効果を獲得する。
【0024】
この発明の組成物を製造する一つの方法は、最初に基剤物質を、十分な温度に加熱して、組成物中の任意の水を追い出すことを含む。イソマルトについては、これは、摂氏約150度以上の温度である。この基剤物質を、次いで、カルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤が基剤に組み込まれて混合される温度まで冷却する。温度が摂氏120度付近に達するにつれて、カルバミドペルオキシドは、解離する。従って、好適な混合温度は、摂氏118度以下である。イソマルトが摂氏110度付近まで冷却されると、カルバミドペルオキシドをイソマルト基剤中に混合することが困難となる。従って、イソマルトにおける混合に好適な温度は、摂氏114度以上である。要約すると、イソマルト中でカルバミドペルオキシドを混合するためには、その混合温度は、好ましくは、摂氏114〜118度であり、一層好ましくは、摂氏約116度である。
【0025】
カルバミドペルオキシド及び細菌運動抑制剤を組み込んだ後に、その物質を固化させる。その固体基剤を、任意の適当な方法により、硬いキャンディー形状に成形することができ、又は粉砕して粉末とし、次いで、錠剤に圧縮するか、或は慣用の方法により処理して、経口投与しうる固体形状とすることができる。基本的に、水を追い出すための加熱及びカルバミドペルオキシドの混合温度を与える如何なる方法も、本発明に適している。この組成物の他の成分、即ち甘味料、安定剤、香料などは、それらの特性により指示される任意の適当な時点で加えられる。
【0026】
或は、この発明の組成物は、粉末基剤物質(上記)、細菌運動抑制剤、及び粉末カルバミドペルオキシドを錠剤に圧縮することにより製造される。
【0027】
図1(この発明の組成物の製造方法のフローシート)を参照して、非吸湿性基剤(本明細書で定義)を用意して、摂氏150度まで加熱して基剤中の水を追い出す。この基剤を、摂氏116度まで冷却して、カルバミドペルオキシドを加えて混合する。その物質を、その後、冷却して、固体物質を形成する。
【0028】
図2は、この発明の組成物の別の製造方法のフローシートである。非吸湿性基剤を、適宜、水分を追い出すために摂氏150度まで加熱して用意する。この基剤を、次いで、すりつぶして、粉末カルバミドペルオキシドと混合し、その混合物を、慣用技術によって錠剤に圧縮する。
【0029】
この発明を、ある特定の具体例及び実施例について説明してきたが、当業者は、この発明の範囲及び精神から離れることなく、多くの変形物が可能であるということ、及び請求の範囲に記載されたこの発明は、この発明の範囲及び精神から離れることのないこの発明のすべての変更及び改変物をカバーするものであることを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の方法のフローシートである。
【図2】この発明の方法のフローシートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
組成物が口内で溶解した際に溶解して口内環境における効力のある改善を生じるのに有効な量のカルバミドペルオキシド;
細菌運動抑制剤;
固体の、水を含まない、非吸湿性の基剤;
を含む非吸湿性固体経口組成物であって、該組成物中の水は、カルバミドペルオキシドと水との反応からの尿素の検出可能な味を回避するだけ十分に少量であり且つ該組成物は、該検出可能な味を回避するだけ十分に非吸湿性である、当該非吸湿性固体経口組成物。
【請求項2】
細菌運動抑制剤が、二酸化塩素、又はクロルヘキシジンジグルコネートの一つ又は混合物である、請求項1に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項3】
非吸湿性基剤が、イソマルツロースの水素化生成物を含む、請求項1に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項4】
非吸湿性基剤が、マンニトールを含む、請求項1に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項5】
錠剤の形態である、請求項1に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項6】
キャンディーの形態である、請求項1に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項7】
ガムの形態である、請求項1に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項8】
下記:
組成物が口内で溶解した際に溶解して口内環境における効力のある改善を生じるのに有効な量であって歯の漂白効果を与えるには不十分な量のカルバミドペルオキシド;
固体の、水を含まない、非吸湿性の基剤;
を含む非吸湿性固体経口組成物であって、該組成物中の水は、カルバミドペルオキシドと水との反応からの尿素の検出可能な味を回避するだけ十分に少量であり且つ該組成物は、該検出可能な味を回避するだけ十分に非吸湿性である、当該非吸湿性固体経口組成物。
【請求項9】
カルバミドペルオキシドと共に、口内環境における有効な改善を与える細菌運動抑制剤を更に含む、請求項8に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項10】
細菌運動抑制剤が、二酸化塩素又はクロルヘキシジンジグルコネートの一つ又は混合物である、請求項9に記載の非吸湿性固体経口組成物。
【請求項11】
固体経口組成物を製造する方法であって、一混合物中に、効能のある量のカルバミドペルオキシド、細菌運動抑制剤、及び非吸湿性基剤を水のない環境で混合すること、
その混合物を固体形状に成形することを含む当該方法。
【請求項12】
固体経口組成物を製造する方法であって、該方法は、下記:
本質的に水を含まない非吸湿性基剤、細菌運動抑制剤、及びカルバミドペルオキシドを混合すること、
該基剤とカルバミドペルオキシドを固体形状に成形することを含み、
該水を含まない非吸湿性基剤が、マンニトール、及びイソマルツロースの水素化生成物の一つ又は混合物を含み、
該組成物中の水がカルバミドペルオキシドと水との反応からの尿素の検出可能な味を回避するだけ十分に少量であり且つ該組成物は、該検出可能な味を回避するだけ十分に非吸湿性である当該方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−518457(P2009−518457A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551238(P2008−551238)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/009552
【国際公開番号】WO2008/079101
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(507310215)カスタム ケア プロダクツ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】