説明

口唇用油性組成物

【課題】持続性のある口臭防止効果を有する安定な口臭防止剤及びそれを用いて口臭を防止する方法を提供すること。
【解決手段】油を用いて緑茶から抽出した緑茶油抽出物を液状油分とともに配合した口唇用油性組成物であり、この口唇用油性組成物は安定性に優れており、唇に塗布することにより優れた口臭防止効果が得られ、その効果は長く持続する。口唇用油性組成物には、さらに、固形油分、半固形油分、油ゲル化剤及び微粒子シリカから選ばれた化合物の1種又は2種以上を配合することができ、これらを配合することにより、口唇用油性組成物の経時保存安定性を向上させることができる。この向上効果は、特に硬度の低い口唇用油性組成物において有効である。また、口唇用油性組成物の形態や使用性に広がりを持たせることができ、例えば、スティック状の口唇用油性組成物を調製することができる。また、重い感触が得られる等、使用感を変化させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口唇用油性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、殺菌剤を添加した口臭を防止する口腔用組成物がある(特許文献1参照。)。また、茶、特に緑茶に含まれているカテキン等のポリフェノールには口臭防止効果があることが知られており、最近では、茶ポリフェノールを含有した口臭防止のための口中スプレー用組成物(口腔用組成物)が開発されている(特許文献2参照。)。
【0003】
しかしながら、前記口腔用組成物は、適用後に水によって洗い流されたり、唾液によって希釈されたりし、口臭防止効果の持続性が充分でないという欠点があった。
【0004】
本発明は、このような状況下でなされたものであるが、本発明に関連する茶エキスを配合した口唇用油性組成物の公知技術として、ウーロン茶の葉から、水、低級アルコール(エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)で抽出したウーロン茶エキスを配合した油系のリップクリーム及びリップグロス等の口唇用油性組成物の技術開示がある(特許文献3参照。)が、唇の荒れを改善することを目的としたものであり、さらに、前記口唇用油性組成物における安定性は悪く、商品価値は全くない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−212220号公報
【特許文献2】特開2000−178157号公報
【特許文献3】特開2004−59441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、持続性のある口臭防止効果を有する安定な口臭防止剤及びそれを用いて口臭を防止する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、油を用いて緑茶から抽出した緑茶油抽出物を配合した口唇用油性組成物が安定性に優れ、これを唇に塗布すると優れた口臭防止効果が得られ、その効果が長く持続し、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、第一発明は、緑茶油抽出物及び液状油分を含有する口唇用油性組成物である。
【0009】
また、第二発明は、さらに、固形油分、半固形油分、油ゲル化剤及び微粒子シリカから選ばれた化合物の1種又は2種以上を含有する第一発明に記載の口唇用油性組成物である。
【0010】
また、第三発明は、口臭防止剤である第一発明又は第二発明に記載の口唇用油性組成物である。
【0011】
また、第四発明は、前記第一発明乃至第三発明のいずれか一項に記載の口唇用油性組成物を唇に塗布して口臭を防止する方法である。
【0012】
本発明において、口臭防止とは口臭を除去、低減、予防、防止又は抑制すること等を含めた用語である。また、液状、半固形、固形等の用語は常温での状態を示す。なお、液状油分、半固形油分、固形油分等はいずれも当業者の間で認識されているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緑茶油抽出物を液状油とともに口唇用油性組成物に配合したので、安定な口唇用油性組成物が得られ、該組成物を唇に塗布することにより、持続性のある口臭防止効果を発揮し、口臭防止剤として機能する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
【0015】
本発明における口唇用油性組成物は、緑茶油抽出物及び液状油分を含有する。
【0016】
本発明において用いられる緑茶油抽出物は、緑茶から油により抽出される。抽出に用いる油は、化粧料用原料として一般的である液状油分を用いることが好ましい。前記液状油分としては、特に限定されることはないが、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ゴマ油、ホホバ油、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジオクタン酸ペンタエリトリット、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油が好ましく用いられる。なかでも、グリセライドが好ましい。抽出方法としては、特に限定されることなく、一般的な抽出方法が用いられる。緑茶の抽出部位としては葉が好ましく用いられる。
【0017】
油による緑茶の抽出方法については、特許第3704609号公報で公開されているので、この技術を用いることができる。具体的には、例えば、緑茶から以下のようにして得ることができる。すなわち、水分含量5%以下にまで乾操させた緑茶6.0kgを、摩擦粉砕機で平均粒径約15ミクロンまで粉末化させる。これにヤシ油15kg(16.7リットル)を加え、さらに湿式超微粒摩砕機(例えば、増幸産業株式会社製、製品名スーパーマスコロイダーMKZA8−10、グラインダー直径150mmを使用)で約11分間かけて細粉化し、粒径が4〜10ミクロンの茶葉微粉末とヤシ油との混合物を得る。細粉化操作終了後、混合物を連続式遠心分離機(例えば、巴工業株式会社製、製品名TOMO−EDECANTER PTM006、6000rpm、3200Gを使用し、処理温度80℃、供給液量50リットル/時間で運転)にかけ、清澄液を固形分から分離する。これにより、わずかに緑色を呈した緑茶油抽出溶液が得られる。
【0018】
緑茶油抽出物を本発明において用いる場合、抽出溶媒の油を除去することなく油抽出溶液そのまま、あるいは抽出後さらに他の油と置換または混合した油抽出溶液の形態で用いることができ、これらの形態で用いることが効率的であり、好ましい。
【0019】
本発明における緑茶油抽出物は、市販品をそのまま、あるいは加工して用いることができる。市販品としては、例えば、ココグリーンGRSC(緑茶葉のトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル抽出物、固形分2質量%)(ピュア・グリーン社製)等が挙げられる。
【0020】
緑茶油抽出物の含有量は、固形分として口唇用油性組成物全量中0.0001〜10質量%が好ましい。さらに好ましくは、0.001〜1質量%である。なお、含有量の上限については、油抽出溶液の形態で用いる場合、緑茶油抽出物の濃度との関係で0.2質量%が現実的な量であり、効果の点からも充分である。したがって、この場合の好ましい含有量は、固形分として口唇用油性組成物全量中0.0001〜0.2質量%であり、さらに好ましくは、0.001〜0.1質量%である。
【0021】
本発明における他の必須成分である液状油分は、特に限定されないが、例えば、化粧品原料として用いられている一般的なものを用いることができる。具体的には、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、綿実油、大豆油、コメヌカ油、ホホバ油、液状ラノリン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリイソブテン、重質流動イソパラフィン(水添ポリブテン)、水添ポリイソブテン、揮発性炭化水素、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジオクタン酸ペンタエリトリット、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸、オクチルドデカノール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、パーフロロポリエーテル等が挙げられる。液状油分は1種又は2種以上が任意に選択されて配合される。
【0022】
液状油分の含有量は、口唇用油性組成物全量中60〜97質量%が好ましい。さらに好ましくは70〜95質量%である。
【0023】
本発明においては、任意配合成分として、さらに、固形油分、半固形油分、油ゲル化剤及び微粒子シリカから選ばれる化合物の1種又は2種以上を配合することができる。これらを配合することにより、口唇用油性組成物の経時保存安定性を向上させることができる。この向上効果は、特に硬度の低い口唇用油性組成物において有効である。また、口唇用油性組成物の形態や使用性に広がりを持たせることができ、例えば、スティック状の口唇用油性組成物を調製することができる。また、重い感触が得られる等、使用感を変化させることもできる。
【0024】
固形油分及び半固形油分の例としては、硬化油、モクロウ、カカオ脂、硬化ヒマシ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ワセリン、ミツロウ、ラノリン、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ホホバロウ、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベへン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリル等が挙げられる。固形油分及び半固形油分は1種又は2種以上が任意に選択されて配合される。
【0025】
固形油分の配合は、特に、スティック状の口唇用油性組成物を調製することができる効果を発揮する。
【0026】
固形油分及び半固形油分を配合する場合の配合量は、それぞれ口唇用油性組成物全量中1〜20質量%が好ましい。
【0027】
油ゲル化剤の例としては、12−ヒドロキシステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、金属石鹸、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。油ゲル化剤は一種又は二種以上を用いることができる。前記デキストリン脂肪酸エステルとしてはデキストリンと炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが好ましく、具体的にはラウリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン等が挙げられ、市販品としてレオパールKE、レオパールKL、レオパールTT(いずれも千葉製粉社製)等があるので、それを用いることができる。
【0028】
油ゲル化剤の配合は、前記の効果以外に、つやを向上させる効果も発揮する。
【0029】
油ゲル化剤を配合する場合の配合量は、口唇用油性組成物全量中0.1〜15.0質量%が好ましい。
【0030】
微粒子シリカは、微粒子の無水ケイ酸であり、例えば、四塩化ケイ素の酸水素焔中での高温加水分解により得られるものであり、煙霧状無水ケイ酸等が含まれる。
【0031】
微粒子の粒子径としては平均粒子径が1〜100nmであることが好ましい。さらに好ましくは2〜50nmであり、特に3〜20nmが好ましい。また、微粒子シリカの比表面積(BET法による比表面積)が50〜500m/gのものが好ましい。さらに、好ましくは200〜400m/gである。
【0032】
前記微粒子シリカは、疎水化処理した疎水性微粒子シリカでも構わない。疎水化処理の方法としては、ジメチルジクロルシランによるジメチルシリル化処理、トリメチルクロルシランやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシリル化処理、オクチルトリクロルシランによるオクチルシリル化処理、ジメチルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサンによるシリコーン処理、金属セッケン化合物による処理等が挙げられる。
【0033】
微粒子シリカは市販されているので、それらを用いることができる。市販品としては、微粒子シリカである、アエロジル(AEROSIL)130(比表面積130m/g、平均粒子径16nm)、アエロジル(AEROSIL)200(比表面積200m/g、平均粒子径12nm)、アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m/g、平均粒子径7nm)、アエロジル(AEROSIL)380(比表面積380m/g、平均粒子径7nm)(以上、日本アエロジル株式会社製)、疎水性微粒子シリカである、アエロジル(AEROSIL)RY200(比表面積100mm/g、平均粒子径12nm)、アエロジル(AEROSIL)R972(比表面積110m/g、平均粒子径16nm)、アエロジル(AEROSIL)R974(比表面積170m/g、平均粒子径12nm)、アエロジル(AEROSIL)R812(比表面積260m/g、平均粒子径7nm)(以上、日本アエロジル株式会社製)等が挙げられる。微粒子シリカは必要に応じ、一種又は二種以上を用いることができる。
【0034】
微粒子シリカの配合は、特に、重い感触の使用感を得る効果を発揮する。
【0035】
微粒子シリカを配合する場合の配合量は、口唇用油性組成物全量中0.1〜10質量%が好ましい。
【0036】
本発明における口唇用油性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で前記成分以外の他の成分を適宜配合することができる。前記他の成分としては、例えば、粉体、着色剤、界面活性剤、保湿剤、多価アルコール、皮膜形成剤、高分子(合成樹脂)、低級アルコール、紫外線吸収剤、アミノ酸類、ビタミン類、血行促進剤,抗炎症剤(消炎剤)等の薬剤、植物抽出物、有機酸、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、清涼剤、甘味料、香料(フレーバー)等を挙げることができる。
【0037】
本発明の口唇用油性組成物は前記成分を配合して常法にしたがって調製することができる。
【0038】
本発明の口唇用油性組成物は、唇に塗布して用いる油性の口臭防止剤として有用であり、該組成物の形態として、液状、ペースト状、固形、スティック状等をとり得る。特に、スティック状とすれば、使用性に優れたものとなる。また、医薬部外品を含む化粧料として用いることもでき、化粧機能に加えて、口臭防止効果も有するものとなる。該化粧料としては、例えば、リップスティック、リップクリーム、リップグロス等が挙げられる。
【0039】
本発明の口唇用油性組成物は、唇に塗布すると唇をなめる行為等により、口腔内に入って、口臭防止効果を発揮する。したがって、本発明は、本発明に係る口唇用油性組成物を唇に塗布して口臭を防止する方法を提供する。本発明の口唇用油性組成物は、いつでも唇に塗布でき、その効果は、唇に口唇用油性組成物が存在する限り持続する。一度つけた口唇用油性組成物が消失した場合は、さらに新しく塗布すれば口臭防止効果は継続する。その行為は化粧直しを兼ねて自然に行うことができる。また、例えば、食事後に唇に塗布すれば食事による口臭が抑えられ、食事後に口臭防止用口腔剤で洗口したり歯磨きで歯を磨いた後、本発明の口唇用油性組成物を唇に塗布すればさらに効果的である。
【実施例】
【0040】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0041】
[使用テスト]
普段口臭が気になると自己申告した女性の口臭をテスト場において判定し、下記の評価点基準の1点以下の女性20名をパネルとして選び使用テストを行い、口臭防止効果、口臭防止効果の持続性について評価した。すなわち、テスト場において口臭を判定した(塗布前判定という。)後、口唇用油性組成物を唇に塗布した。その後、水以外の飲食を禁止した以外は特に制限を与えずに、散歩、談話等を行って各々自由に3時間過ごした。その間、口唇用油性組成物の追加塗布は行わなかった。その間で、塗布30分後、1時間後及び2時間後に、口臭の有無を判定し、さらに3時間後の判定を行った。塗布30分後の判定を30分後判定、塗布1時間後の判定を1時間後判定、塗布2時間後の判定を2時間後判定、塗布3時間後の判定を3時間後判定という。判定は下記の評価点基準に基づいて評価点で評価し、次いで、20名の評価点の平均点を計算し、下記評価基準に基づいて評価した。なお、口臭の判定は全て専門判定者によって官能評価で判定した。
【0042】
(評価点基準)
4点:口臭がしない。
3点:口臭がほとんどしない。
2点:どちらともいえない。
1点:口臭がややする。
0点:口臭がする。
【0043】
(評価基準)
◎:平均点が3点を超える。
○:平均点が2点超3点以下である。
△:平均点が1点以上2点以下である。
×:平均点が1点未満である。
【0044】
[安定性]
製造直後の口唇用油性組成物を観察し、組成物の均一性を下記の基準したがって評価した(製造直後安定性)。次いで、この評価で均一であった組成物を試験試料とし、試験試料を、40℃(湿度85%)に保持された恒温槽(40℃恒温槽)、50℃に保持された恒温槽(50℃恒温槽)、−5℃で8時間保持した後に、20℃(湿度85%)で4時間保持し、次いで40℃(湿度85%)で8時間保持し、さらに20℃(湿度85%)で4時間保持するというサイクルで内部の雰囲気が変化する恒温槽(サイクル恒温槽)の3つの恒温槽それぞれに2ヶ月保存した。保存された試験試料につき、緑茶油抽出物の状態の変化(緑茶油抽出物の沈降、凝集等)の有無及び口唇用油性組成物の状態の変化(剤形の分離、凝集等)の有無を、それぞれ下記の基準に従って評価した(経時保存安定性)。
【0045】
(評価基準)
(製造直後安定性)
○:組成物が均一で安定である。
×:組成物の分離,凝集、緑茶油抽出物の沈降,凝集等何らかが見られ不均一で不安定である。
【0046】
(経時保存安定性)
◎:試験試料に全く変化がみられなかった。
○:試験試料に若干の変化がみられたが、許容(合格)範囲である。
△:試験試料にやや変化が見られ、許容範囲を超える(不合格)。
×:試験試料に明らかに変化が見られた。
【0047】
[実施例1〜4、比較例1]
表1に示した成分、配合量の処方(配合量合計100質量%)のリップグロスタイプの口唇用油性組成物(以下、単にリップグロスという。)を以下の方法で調製した。
【0048】
水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワランの液状成分(液状油)にマイクロクリスタリンワックス、パルミチン酸デキストリン及び微粒子シリカのいずれかを混合した後加熱(なお、比較例1はなにも混合しないで加熱)し、ロールミルにて処理した。次いで、他の成分を配合した後、脱泡して調製した。
【0049】
【表1】

【0050】
[実施例5、6、比較例2]
表2に示した成分、配合量の処方(配合量合計100質量%)のリップスティックタイプの口唇用油性組成物(以下、単にリップスティックという。)を以下の方法で調製した。
【0051】
パール剤以外の成分を混合した後、加熱し、ロールミルにて処理した。次いで、パール剤を配合した後、脱泡してリップスティックバルクを得た。次いで、該リップスティックバルクを85℃で溶解し、金型に流し込み、冷却し、金型からリップスティックを取り出し、容器に装着してリップスティックを得た。
【0052】
【表2】

【0053】
表1、2中、
(注1)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注2)アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m/g、平均粒子径7nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注3)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0054】
上記実施例1〜4、比較例1のリップグロス、実施例5〜6、比較例2のリップスティックにつき効果試験を行い、その評価結果を前記表1及び2にそれぞれ示した。
【0055】
表1及び2から分かるように、緑茶油抽出物及び液状油分を配合したリップグロス及びリップスティックはいずれも製造直後安定性、経時保存安定性に優れ、口臭防止効果及びその持続性に優れたものであった。また、さらに固形油分、油ゲル化剤又は微粒子シリカを配合して製造した実施例2〜4のリップグロスは口臭防止効果及びその持続性に優れたものであるとともに、経時保存安定性が向上した。
【0056】
これに対して、緑茶油抽出物の配合されていない比較例1のリップグロス及び比較例2のリップスティックは、いずれも口臭防止効果及びその持続性が得られず、本発明の効果を発揮し得ないものであった。
【0057】
[実施例7〜11]
表3に示した成分、配合量の処方(配合量合計100質量%)の口唇用油性組成物を実施例1〜6の方法に準じて調製した。
【0058】
【表3】

【0059】
表3中、
(G)リップグロス
(C)リップクリームタイプの口唇用油性組成物(以下、単にリップクリームという。)
(S)リップスティック
(注1)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注2)アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m/g、平均粒子径7nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注3)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0060】
上記実施例7〜11の口唇用油性組成物につき効果試験を行い、その評価結果を前記表3に示した。
【0061】
実施例7〜11のいずれの口唇用油性組成物も製造直後安定性、経時保存安定性に優れ、口臭防止効果及びその持続性に優れたものであることが分かる。
【0062】
以下、さらに本発明口唇用油性組成物の実施例を示す。なお、製造は実施例1〜6の方法に準じて行った。また、前記効果試験をこれらにおいて行ったところ、いずれも本発明に係る優れた効果が得られた。
【0063】
〔実施例12〕リップグロス
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 50.0
ミネラルオイル 残余
パルミチン酸デキストリン(注1) 10.0
緑茶油抽出物(注2) 0.8
赤色202号 0.2
酸化チタン 0.3
黄色4号 0.8
パール剤 4.0
合計100.0
【0064】
(注1)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注2)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0065】
〔実施例13〕リップグロス
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 60.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
ポリエチレンワックス 2.0
緑茶油抽出物(注1) 0.01
赤色202号 0.2
酸化チタン 0.3
黄色4号 0.8
パール剤 4.0
合計100.0
【0066】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0067】
〔実施例14〕リップグロス
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 40.0
ミネラルオイル 残余
パルミチン酸デキストリン(注1) 7.0
緑茶油抽出物(注2) 0.8
赤色202号 0.2
酸化チタン 0.3
黄色4号 0.8
パール剤 4.0
合計100.0
【0068】
(注1)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注2)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0069】
〔実施例15〕リップクリーム
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
パラフィンワックス 10.0
緑茶油抽出物(注1) 0.1
合計100.0
【0070】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0071】
〔実施例16〕リップクリーム
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
パラフィンワックス 10.0
微粒子シリカ(注1) 5.0
緑茶油抽出物(注2) 0.8
合計100.0
【0072】
(注1)アエロジル(AEROSIL)R972(比表面積110m/g、平均粒子径16nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注2)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0073】
〔実施例17〕リップクリーム
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
ポリエチレンワックス 7.0
キャンデリラロウ 1.0
緑茶油抽出物(注1) 10.0
合計100.0
【0074】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0075】
〔実施例18〕リップクリーム
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
ポリエチレンワックス 3.0
キャンデリラロウ 1.0
セレシン 10.0
緑茶油抽出物(注1) 0.8
合計100.0
【0076】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0077】
〔実施例19〕リップスティック
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
パラフィンワックス 10.0
緑茶油抽出物(注1) 1.0
赤色202号 0.5
酸化チタン 2.3
黄色4号 1.0
パール剤 5.0
合計100.0
【0078】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0079】
〔実施例20〕リップスティック
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
パラフィンワックス 10.0
微粒子シリカ(注1) 1.0
緑茶油抽出物(注2) 4.0
赤色202号 0.5
酸化チタン 2.3
黄色4号 1.0
パール剤 5.0
合計100.0
【0080】
(注1)アエロジル(AEROSIL)200(比表面積200m/g、平均粒子径12nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注2)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0081】
〔実施例21〕リップスティック
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 5.0
ポリエチレンワックス 7.0
キャンデリラロウ 1.0
緑茶油抽出物(注1) 1.0
赤色202号 0.6
酸化チタン 2.3
黄色4号 1.0
パール剤 5.0
合計100.0
【0082】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0083】
〔実施例22〕リップスティック
成分 配合量(質量%)
ポリブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
マイクロクリスタリンワックス 3.0
ポリエチレンワックス 2.0
セレシン 12.0
緑茶油抽出物(注1) 1.0
赤色202号 0.6
酸化チタン 2.3
黄色4号 1.0
パール剤 5.0
合計100.0
【0084】
(注1)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0085】
〔実施例23〕リップグロス
成分 配合量(質量%)
水添ポリイソブテン 60.0
ミネラルオイル 残余
スクワラン 10.0
微粒子シリカ(注1) 4.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
パルミチン酸デキストリン(注2) 10.0
緑茶油抽出物(注3) 0.5
赤色202号 0.3
酸化チタン 0.6
黄色4号 0.1
パール剤 4.0
合計100.0
【0086】
(注1)アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m/g、平均粒子径7nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注2)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注3)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0087】
〔実施例24〕リップクリーム
成分 配合量(質量%)
水添ポリイソブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
スクワラン 20.0
微粒子シリカ(注1) 5.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
セレシン 3.0
パルミチン酸デキストリン(注2) 0.1
緑茶油抽出物(注3) 1.0
赤色202号 0.01
黄色4号 0.01
合計100.0
【0088】
(注1)アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m/g、平均粒子径7nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注2)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注3)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。
【0089】
〔実施例25〕リップスティック
成分 配合量(質量%)
水添ポリイソブテン 10.0
ミネラルオイル 残余
スクワラン 10.0
微粒子シリカ(注1) 1.0
マイクロクリスタリンワックス 5.0
セレシン 10.0
パルミチン酸デキストリン(注2) 0.1
緑茶油抽出物(注3) 0.3
青色1号 0.2
赤色202号 1.2
酸化チタン 3.0
黄色4号 2.0
パール剤 2.0
合計100.0
【0090】
(注1)アエロジル(AEROSIL)300(比表面積300m/g、平均粒子径7nm)(日本アエロジル株式会社製)
(注2)レオパールKL(千葉製粉株式会社製)
(注3)ココグリーンGRSC(緑茶葉油抽出物)(ピュア・グリーン株式会社製)、配合量はココグリーンGRSC(固形分2質量%)としての配合量である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶油抽出物及び液状油分を含有する口唇用油性組成物。
【請求項2】
さらに、固形油分、半固形油分、油ゲル化剤及び微粒子シリカから選ばれた化合物の1種又は2種以上を含有する請求項1記載の口唇用油性組成物。
【請求項3】
口臭防止剤である請求項1又は2記載の口唇用油性組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の口唇用油性組成物を唇に塗布して口臭を防止する方法。

【公開番号】特開2008−169120(P2008−169120A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−781(P2007−781)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(390041036)株式会社日本色材工業研究所 (37)
【Fターム(参考)】