説明

口唇荒れの評価方法

【課題】本発明は、口唇の状態を、簡便に、客観的に判断でき、これに基づいた口唇荒れの評価方法を開発すること。
【解決手段】本発明は、250〜330nmの紫外線照射により310〜400nmに自家蛍光を発する物質を指標とし測定することにより、また、口唇から剥離、採取した角層細胞試料に250〜330nmの紫外線を照射した際に発する該角層細胞試料中の自家蛍光を指標とし、測定することにより、唇表面の肉眼では見えない微細な荒れを判断し、評価する口唇荒れの評価方法を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口唇荒れの評価方法に関し、更に詳細には、250〜330nmの紫外線照射により発せられる自家蛍光を指標とし、測定することにより、口唇表面の肉眼では見えない微細な荒れを細胞の自家蛍光で判断し、評価する口唇荒れの評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料を開発するにあたり、適用部位である皮膚の状態を知るために、目視や触診の他、客観的に評価する方法が検討されてきた。例えば、水分含有量や、水分蒸散量を測定する方法、角質細胞を採取してその形状や厚さを測定する方法や角質細胞中の特定成分を蛍光標識して特定成分量の大小により評価する方法等がある。
角質細胞に関する研究では、角層細胞に紫外線を照射し、その蛍光強度を指標とすることにより角質細胞や肌を鑑別する方法が報告されている。(例えば、特許文献1、2参照)
【0003】
一方、口唇に関しては、湿度の高い夏期にも唇の荒れ症状を呈し、口唇保護など多様な用途でリップクリームを口紅下地として通年使用する女性が増加している。口唇保護を求める背景には、口唇荒れの状況が口紅を塗布した際の仕上がり効果に大きく影響を与えるためだと考えられる。
口唇は角層が非常に薄く、皮脂腺や汗腺が無いなど、通常の皮膚とは構造が大きく異なり、口唇のターンオーバーは一般に3〜4日で、荒れの進行状況が肌より早いことが知られている。さらに、口唇は粘膜の性質も有し、肌で観察される荒れとは状況が異なるため、口唇を評価する場合は、口唇固有の生理機能特性を把握した上で、評価する必要がある。また、口唇荒れの評価方法は専門調査員による肉眼観察が主で、荒れ始めの状況や荒れ状態の把握は実質上無理であった。そこで、特定波長の光を照射し、口唇上の明度を観察することで口唇荒れを評価する方法が検討された。(例えば、特許文献3参照)
【0004】
しかしながら、角層細胞中のケラチンの構造変化により自家蛍光の強度が変化していることは解明できているが、口唇荒れとの関連性については何ら開示されていなかった。また、直接口唇に特定波長を照射することにより、口唇荒れを早期に、視覚的に発見できることを見出してきたが、口唇に紫外線を照射した際に、口唇の明度が高くなる現象には不明な点が多く、その要因に関しても解明されていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−348991号公報
【特許文献2】特開2006−017688号公報
【特許文献3】特開2005−230310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、口唇の状態を、簡便に、客観的に判断でき、これに基づいた口唇荒れの評価方法の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、生体組織の紫外線照射による自家蛍光現象に着目し、口唇角層細胞の自家蛍光現象を解析し、ケラチンを構成するタンパク質の構造の変化と、タンパク質を構成する芳香族アミノ酸の存在位置と、自家蛍光現象との間に関連性があることを見出し、口唇荒れの評価に適する蛍光波長を特定することにより、口唇の状態を簡便な方法で視覚化し、口唇表面の肉眼では見えない微細な荒れを細胞の自家蛍光で判断し、評価することができる口唇荒れの評価方法が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、250〜330nmの紫外線照射により310〜400nmに自家蛍光を発する物質を指標とすることを特徴とする口唇荒れの評価方法を提供するものである。
また、本発明は自家蛍光として、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質がトリプトファンであることを特徴とする口唇荒れの評価方法を提供するものである。
【0009】
更に、口唇から剥離、採取した角層細胞試料に250〜330nmの紫外線を照射し、該角層細胞試料中で自家蛍光を指標とすることを特徴とする口唇荒れの評価方法を提供するものである。
また、前記自家蛍光の蛍光スペクトルの極大値が310〜400nmにあることを特徴とする口唇荒れの評価方法を提供するものである。
そして、前記自家蛍光の蛍光スペクトルの極大値が340nmからどれだけシフトしているかを指標とすることを特徴とする口唇荒れの評価方法を提供するものである。
前記自家蛍光の蛍光強度を指標とすることを特徴とする口唇荒れの評価方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、口唇角層細胞中の自家蛍光として、特定の極大蛍光波長を持つ物質を指標とすることで、口唇の状態を簡便な方法で視覚化することが可能となる。また、イン・ビトロ(in vitro)で、口唇表面の肉眼では見えない微細な荒れを細胞の自家蛍光で判断し、評価することができ、さらには、荒れを早期に発見することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、250〜330nmの紫外線照射により310〜400nmに自家蛍光を発する物質を指標とすることにより実施される。
また、本発明は、被験者の口唇から剥離、採取した角層細胞試料に紫外線を照射し、該角層細胞試料中で自家蛍光を指標として、蛍光強度を測定することにより実施される。
本発明方法において、紫外線を照射するが、250nm〜330nmの波長の光を主に含む光とは、波長が250nm〜330nmの範囲にある光の強度が、照射する全波長の光の強度に対して、70%以上である光を言う。更に、上記波長範囲にある光の強度は、好ましくは、80%以上であり、特に好ましくは95%以上である。
【0012】
上記250nm〜330nmの波長の光を主に含む光の光源は特に限定はなく、少なくとも250nm〜330nmの波長の光を含む光の光源に、必要であれば、250nm〜330nm以外の波長の光をカットするフィルターを組み合わせて使用することもできるし、あるいは、250nm〜330nmの波長範囲の光を主に発する光源を使用することもできる。
【0013】
上記の光源として具体的には、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ウッドランプ、蛍光検査灯等が挙げられ、必要に応じてフィルターを組み合わせて使用できる。好ましくは、ウッドランプ又は蛍光検査灯である。更に蛍光検査灯としては、L型蛍光検査灯が特に好ましい。
【0014】
本発明の方法のうち、250〜330nmの紫外線照射により310〜400nmに自家蛍光を発する物質を指標とする口唇荒れの評価方法は、例えば次のようにして実施することができる。
評価の対象となる被験者の口唇に直接あるいは、角層細胞を採取し、それに250〜330nmの紫外線を照射して、310〜400nmに自家蛍光を発する物質を指標として、蛍光強度を測定することにより、口唇荒れを評価することができる。
また、自家蛍光として、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質をトリプトファンと限定することにより、蛍光強度や蛍光スペクトルの変化から口唇荒れを評価することができる。
【0015】
本発明の方法のうち、口唇から剥離、採取した角層細胞試料に250〜330nmの紫外線を照射した際に発する該角層細胞試料中の自家蛍光を指標とする口唇荒れの評価方法は、例えば次のようにして実施することができる。
まず、口唇より角層細胞を剥離、採取し、角層細胞試料とすることが必要である。例えば、転写板を、口唇に一定圧で接着させた後、該転写板を口唇から剥がすことにより、角層細胞をサンプリングすることができる。尚、サンプリングの前に、消毒用アルコールを含ませた塗布体をサンプリングする部位に軽く押し当て、蛍光を発するような不純物を除去すると、より正確な評価ができるため好ましい。尚、転写板は、必ずしも板である必要はなく、角層細胞をサンプリングできるものであれば限定されず、スライドガラス、石英版、粘着テープ等を用いることができ、これらを組み合わせて用いても良い。
【0016】
このサンプリングにおいては、1回の操作で剥離される角層細胞は、1層(重層している場合は複数層)となるので、その回数により剥離、取得できる角層細胞の深さが決まる。すなわち、この操作を複数繰り返すことにより、角層を上層から内部(深さ)方向にかけて段階的に角質細胞をサンプリングすることができる。
また、サンプリングの部位により、口唇荒れの位置を評価することができる。
【0017】
そして、転写板に写し採った角層細胞試料を、蛍光顕微鏡にて観察することにより、角層細胞の形状と同時に存在位置を自家蛍光により視覚化し、検出することができる。尚、得られた顕微鏡画像を画像処理し、角層細胞の蛍光分布や蛍光強度を数値化して評価することも可能である。
蛍光顕微鏡観察において、口唇の角層細胞中の自家蛍光は、様々な励起波長において観察することができるが、紫外部の波長が最も口唇の荒れを評価するのに適していた。また、この紫外線により励起され、蛍光物質が放出する波長は、310nm〜400nmに極大値を有するものが口唇荒れを評価するのに適していた。
蛍光顕微鏡観察においては、口唇荒れが進むほど、角層細胞中の自家蛍光が強く現れるため、その形状がはっきりわかるものとなる。一方健常な口唇では、角層細胞中に自家蛍光を生じさせる物質が存在するものの、その蛍光強度があまり強くないため、角層細胞の形状はあいまいに見える。そこで、細胞の単位面積当りの蛍光強度を求めることにより口唇荒れの評価の指標とすることができる。
【0018】
また、転写板に写し採った角層細胞試料を、蛍光分光測定装置にて蛍光強度を測定し、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質を指標として、角層細胞試料の極大値を比較することにより、口唇の状態を評価することができる。
蛍光分光測定において、紫外線を照射して、310nm〜400nmに自家蛍光の極大蛍光波長を持つ指標となる物質をトリプトファンとすることにより、角層細胞の蛍光スペクトルと類似するスペクトルが得られ評価に適したものであった。
蛍光分光測定においては、口唇荒れが進むほど、L−トリプトファンの極大蛍光波長の極大値が長波長側にシフトすることがわかったため、口唇の荒れを正確に評価することができる。そこで、L−トリプトファン試薬の自家蛍光の極大値が340nm付近にあるため、この点を指標とすることにより、極大値の移動方向と位置を測定することにより、健常な口唇であるか、荒れているのか、荒れの程度はどれくらいであるのかの口唇荒れ評価をすることが可能である。
【0019】
前記蛍光顕微鏡観察や蛍光分光測定の結果は、目視や画像撮影による口唇の状態や、特開2005−230310号公報に記載の特定波長の光を用いて口唇を観察した結果とあわせて比較することにより、口唇の状態を視覚的に評価することができる。
【0020】
口唇より採取した角層細胞試料に対し、一定期間紫外線を照射することにより、擬似的に荒れの状態を作り出し、これらの蛍光顕微鏡観察や蛍光分光測定を行うことにより、実際の口唇に負担をかけずに、荒れている角層細胞の状態を研究することができる。
【0021】
さらに、本発明の方法のうち、口唇から剥離、採取した角層細胞試料に紫外線を照射し、該角層細胞試料中で自家蛍光として、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質を指標として、口唇化粧料の塗布前と塗布後の口唇角層細胞を採取し、口唇用化粧料による口唇荒れの改善効果を評価する口唇化粧料の評価方法は、次のようにして実施することができる。
例えば、目視にて、口唇荒れがわかる被験者より、前記サンプリングの方法により、角層細胞試料を作成する。そして、前記蛍光顕微鏡により得られた画像や蛍光分光測定装置にて得られた蛍光スペクトルの結果と、評価したい口唇化粧料を一定期間使用した後に採取した角層細胞試料から得られた結果とを比較することにより、化粧料に効果があったかどうか評価することができる。例えば、蛍光顕微鏡の画像より得られる、細胞の単位面積当りの蛍光強度が低下したかどうか、あるいは、形状のバラツキがなくなったかどうかで評価することができる。
【0022】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
(実施例1〜3)
被験者20名に対し、それぞれ実施例1及び2に記載の方法で、試料作成と観察、測定を行った。尚、この中で健常な口唇の試料を健常Aとし、口唇が荒れている試料で、その程度により口唇荒れA、口唇荒れBとした。口唇荒れBの方が口唇荒れAより荒れが進んでいるものを選び、実施例1、2の結果として図に示した。
【0024】
実施例1:口唇角層細胞の蛍光顕微鏡観察
(試料調製)
透明両面テープ(ニチバン社製)を1.0cm×1.0cmの大きさに切り、これを蛍光顕微鏡用スライドガラス(松浪硝子社製)に貼り付ける。そして、このスライドガラスの粘着面を口唇下部中央に一定圧で押し当て、口唇から剥がして蛍光顕微鏡観察用口唇角層細胞試料を調製した。
(観察)
前記蛍光顕微鏡観察用口唇角層細胞試料をオリンパス社製の倒立型蛍光顕微鏡を用いて、400倍で観察した。この観察写真を図1〜3に示した。
【0025】
(結果)
実施例1の結果より、健常Aの蛍光顕微鏡写真から、口唇角層細胞の一つ、一つの明度が低く、細胞形状も不明瞭である。口唇荒れAの蛍光顕微鏡写真は健常Aの蛍光顕微鏡写真より、口唇角層細胞の一つ、一つの明度が高く、細胞形状も部分的にはっきりしたものが見られる。口唇荒れBの蛍光顕微鏡写真は口唇荒れAの蛍光顕微鏡写真より、口唇角層細胞の一つ、一つの明度がさらに高く、細胞形状もはっきりしたものが多く見受けられる。
このように、口唇角層細胞を採取し、紫外線を照射した時、該角層細胞中で自家蛍光として、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質を指標とすることにより、客観的に口唇荒れを評価することができる。
【0026】
実施例2:口唇角層細胞の蛍光分光測定
(試料調製)
標準物質:L−トリプトファン
石英板(45mm×11mm、信越石英社製)上にL−トリプトファン試薬10mgを乗せ、標準物質試料を調製した。
蛍光分光測定用口唇角層細胞試料
被験者の口唇下部中央に消毒用アルコールを含ませたコットンを軽く押し当て不純物を除去する。石英板(45mm×11mm、信越石英社製)を口唇下部中央に一定圧で押し当て、口唇から剥がして蛍光分光測定用口唇角層細胞試料を調製した。
(測定)
前記蛍光分光測定用口唇角層細胞試料を堀場製作所社製のモジュール型蛍光分光測定装置にて蛍光分光測定を行った。この測定結果の蛍光スペクトルを図4〜6に示した。
【0027】
(結果)
実施例2の結果より、健常Aの蛍光スペクトルでは、標準物質であるL−トリプトファンの極大蛍光波長より短波長側に極大値が観察された。口唇荒れAの蛍光スペクトルでは、健常Aの蛍光スペクトルの極大値より、長波長側に観察された。この結果は、口唇荒れを起こすことにより、角層細胞中のケラチンに構造変化が起こり、角層細胞中のL−トリプトファンの環境変化に伴い、ピークシフトしたものと考えられる。口唇荒れBの蛍光スペクトルでは、口唇荒れAの蛍光スペクトルの極大値より、さらに長波長側に観察された。この結果は、口唇荒れの状態により、角層細胞中のL−トリプトファンの環境がさらに変化したため、ピークシフトしたものと考えることができる。
このように、口唇角層細胞を採取し、紫外線を照射した時、該角層細胞中で自家蛍光として、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質を指標とすることにより、客観的に口唇荒れを評価することができる。
【0028】
(蛍光スペクトルの比較)
実施例2で得られたL−トリプトファン、健常A、口唇荒れA、口唇荒れBの蛍光スペクトルを同じグラフに示したものを図7に示した。
この結果からも分かるように、L−トリプトファンの極大値が、口唇状態により多様に変化しているため、L−トリプトファンの極大値を指標とすることにより、客観的に口唇荒れを評価することができることがわかった。
【0029】
実施例3:角層細胞蛍光顕微鏡写真
口唇の状態が健常な人(健常B)と、荒れている人(口唇荒れC)の被験者より得た実施例1の結果(図10、図13)と白色光下での写真、ウッドランプ照射下での写真を撮り、比較した。
【0030】
参考例1:口唇白色光下観察
角層細胞採取前の口唇に白色光をあて、写真撮影を行い、口唇全体の荒れの状況観察を行った。この観察写真を図8、図11に示した。
【0031】
参考例2:口唇ウッドランプ照射下観察
角層細胞採取前の口唇をウッドランプカメラ(タカラベルモント社製)で写真撮影を行い、口唇全体の荒れの状況観察を行った。この観察写真を図9、12に示した。
【0032】
(結果)
参考例1で示した図8、11において、口唇が荒れているかどうかは専門評価員でなければ判断はできない。しかし、ウッドランプカメラで撮影した図9、12では専門評価員でなくても、両者にあきらかな違いを見出せ、口唇荒れの判断ができる。さらに、実施例3の図10、図13と参考例2の図9、12を比較しても、角層細胞中の明度差に非常に相関があり、実施例3の写真で十分、口唇荒れを判断できることがわかった。
【0033】
実施例4:口唇化粧料の評価方法
目視にて、口唇荒れがわかる被験者に、下記試験用リップクリームを1日3回の食後と就寝前の計4回塗布してもらい、塗布前と、1週間連用後の口唇角層細胞を採取し、実施例1及び2の方法で得られた結果を比較したところ、口唇角層細胞の蛍光顕微鏡観察及び蛍光分光測定の両者の結果から試験用リップクリームを使用することにより口唇荒れの改善がみられたことがわかった。
【0034】
試験用リップクリーム
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 7
2.セレシンワックス 8
3.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
4.リンゴ酸ジイソステアリル 10
5.2−エチルヘキサン酸セチル 20
6.N−アシルグルタミン酸エステル *1 5
7.酢酸液状ラノリン 20
8.ワセリン 25
9.無水ケイ酸 0.5
10.α−トコフェロ−ル 0.1
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
*1:エルデュウ(登録商標)PS−304(味の素ヘルシーサプライ社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を110℃で溶解混合する。
B:Aに成分(5)〜(9)を加え、均一に混合し、その後成分(10)〜(12)を添加し均一に混合する。
C:Bを容器に充填して、試験用リップクリーム(スティック状)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の口唇から剥離、採取した角層細胞試料に紫外線を照射した時、該角層細胞試料中で自家蛍光として、310nm〜400nmに極大蛍光波長を持つ物質を指標とする口唇荒れの評価方法は、医薬品、化粧料の開発に用いられるばかりでなく、顧客の口唇の状態を客観的に示すものであるため、顧客に適する化粧料の選択する指標にも用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】健常Aの蛍光顕微鏡写真
【図2】口唇荒れAの蛍光顕微鏡写真
【図3】口唇荒れBの蛍光顕微鏡写真
【図4】健常Aの蛍光スペクトル
【図5】口唇荒れAの蛍光スペクトル
【図6】口唇荒れBの蛍光スペクトル
【図7】L−トリプトファン及び口唇角層細胞の蛍光スペクトル
【図8】口唇健常Bの白色光下写真
【図9】口唇健常Bのウッドランプ照射下写真
【図10】口唇健常Bの角層細胞蛍光顕微鏡写真
【図11】口唇荒れCの白色光下写真真
【図12】口唇荒れCのウッドランプ照射下写真
【図13】口唇荒れCの角層細胞蛍光顕微鏡写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
250〜330nmの紫外線照射により310〜400nmに自家蛍光を発する物質を指標とすることを特徴とする口唇荒れの評価方法。
【請求項2】
前記物質がトリプトファンであることを特徴とする請求項1記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項3】
前記トリプトファンがケラチン蛋白由来のトリプトファンであることを特徴とする請求項2記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項4】
口唇から剥離、採取した角層細胞試料に250〜330nmの紫外線照射した際に発する自家蛍光を指標とすることを特徴とする口唇荒れの評価方法。
【請求項5】
前記自家蛍光の蛍光スペクトルの極大値が310〜400nmにあることを特徴とする請求項4記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項6】
前記自家蛍光の蛍光スペクトルの極大値が340nmからどれだけシフトしているかを指標とすることを特徴とする請求項4又は5記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項7】
前記自家蛍光の蛍光スペクトルの極大値が340nmからどれだけ長波長側にシフトしているかを指標とすることを特徴とする請求項4又は5記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項8】
前記自家蛍光の蛍光スペクトルの極大値が340nmからどれだけシフトしているかの指標と口唇角層細胞中のケラチン蛋白の高次構造とを関連付けることを特徴とする請求項6又は7記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項9】
前記自家蛍光の蛍光強度を指標とすることを特徴とする請求項4又は5記載の口唇荒れの評価方法。
【請求項10】
予め低級アルコールで口唇の不純物を除去した口唇から剥離、採取した角層細胞試料を用いることを特徴とする請求項4〜9の何れかの項記載の口唇荒れの評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−281496(P2008−281496A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127446(P2007−127446)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】