説明

口腔内カメラ

【課題】本発明は、口腔内カメラに関するもので、撮像窓部分の温度上昇を抑制することを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、本体ケース1と、この本体ケース1の前方側に装着した口腔内挿入部3と、この口腔内挿入部3に設けた鏡筒4と、この鏡筒4内に設けた複数のレンズ群G1からG4と、前記鏡筒4の前方側開口4aに、光学的に対応する前記口腔内挿入部3部分に設けた撮像窓3aと、前記鏡筒4の後方側開口4bに光学的に連結した撮像装置10とを備え、前記撮像窓3a部分に、照明素子9を配置するとともに、前記鏡筒4を金属により構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の口腔内カメラの構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、この口腔内挿入部に設けた鏡筒と、この鏡筒内に設けた複数のレンズと、前記鏡筒の前方側開口に、光学的に対応する前記口腔内挿入部部分に設けた撮像窓と、前記鏡筒の後方側開口に光学的に連結した撮像装置とを備え、前記本体ケース内に設けた照明素子の光は、光導路を介して鏡筒内を通過させ、撮像窓部分に供給する構成となっていた(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−532083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、撮像窓部分の温度上昇が大きくなるということであった。
【0006】
すなわち、撮像窓部分には、強い光を供給しなければ適切な口腔内画像を得ることが出来ないので、この撮像窓部分には、前記照明素子から極めて強い光が供給されており、この強い光によって撮像窓部分の温度上昇が大きくなってしまうのであった。
【0007】
撮像窓部分の温度上昇が大きくなることによる弊害の一つは、口腔内の撮像窓部分近傍に熱を与えることになり、この熱が不快感を与えることになってしまうことであった。
【0008】
そこで本発明は、撮像窓部分の温度上昇を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、この口腔内挿入部に設けた鏡筒と、この鏡筒内に設けた複数のレンズと、前記鏡筒の前方側開口に、光学的に対応する前記口腔内挿入部部分に設けた撮像窓と、前記鏡筒の後方側開口に光学的に連結した撮像装置とを備え、前記撮像窓部分に、照明素子を配置するとともに、前記鏡筒を金属により構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、この口腔内挿入部に設けた鏡筒と、この鏡筒内に設けた複数のレンズと、前記鏡筒の前方側開口に、光学的に対応する前記口腔内挿入部部分に設けた撮像窓と、前記鏡筒の後方側開口に光学的に連結した撮像装置とを備え、前記撮像窓部分に、照明素子を配置するとともに、前記鏡筒を金属により構成したものであるので、撮像窓部分の温度上昇を抑制することができる。
【0011】
すなわち、本発明においては、照明素子を撮像窓部分に配置したので、その光強度をあまり強くしなくとも十分に照明することができ、この結果として、撮像窓部分の温度上昇を抑制することができる。
【0012】
また、この撮像窓部分まで延長された鏡筒が金属により構成した物であるので、撮像窓部分の熱を鏡筒の後方側開口へと放散させることができ、この結果としても、撮像窓部分の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図
【図2】その断面図
【図3】その分解斜視図
【図4】その鏡筒部分の断面図
【図5】その口腔内挿入部の下面図
【図6】その口腔内挿入部の分解斜視図
【図7】その口腔内挿入部の分解斜視図
【図8】その口腔内挿入部の分解上面図
【図9】その口腔内挿入部の分解上面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0015】
図1において、1は、ほぼ円筒状の本体ケースで、この本体ケース1の後端側には電源および信号用のコード2が接続されている。また、この本体ケース1の前方側には、口腔内挿入部3が装着され、この口腔内挿入部3内には、図2、図3で示す鏡筒4が設けられている。この鏡筒4は、図3、図4に示すように、前方側開口4aから後方側開口4bに向けて、その開口径が段階的に大きくなる構成とし、この鏡筒4内に図4で示すごとく、4群のレンズG1からG4が配置されている。
【0016】
具体的には、鏡筒4の後方側開口4bから、まず、1群目のレンズ群G1を入れ、図4のごとく、鏡筒4の前方側開口4a部分まで押し込み、この部分でレンズ群G1の外周を鏡筒4の内面に当接させ、この状態で位置決めを行う。
【0017】
続いて、鏡筒4の後方側開口4bから、スペーサ筒5をレンズ群G1まで押し込み、この状態で位置決めを行う。
【0018】
次に、鏡筒4の後方側開口4bから、2群目、3群目のレンズ群G2、G3を入れ、図4のごとく、スペーサ筒5まで押し込み、この状態で位置決めを行う。
【0019】
次に、鏡筒4の後方側開口4bから、スペーサ筒6をレンズ群G3まで押し込み、この状態で位置決めを行う。
【0020】
次に、鏡筒4の後方側開口4bから、4群目のレンズ群G4を入れ、図4のごとく、スペーサ筒6まで押し込み、この状態で位置決めを行う。
【0021】
次に、鏡筒4の後方側開口4bから、スペーサ筒7をレンズ群G4まで押し込み、この状態で位置決めを行う。
【0022】
さて、前記鏡筒4の前方側開口4aに、光学的に対応する前記口腔内挿入部3の下面部分には撮像窓3aを設けており、この撮像窓3aと鏡筒4の前方側開口4aの間には、プリズム8が設けられている。
【0023】
また、撮像窓3aは、図5に示すごとく、四角形をしており、対向する前後辺には、それぞれ二つの照明素子9が配置されている。一方、前記鏡筒4の後方側開口4bには、図3で示す撮像装置10が光学的に連結されている。
【0024】
以上の構成において、口腔内の画像を取得する場合は、図1に示す口腔内挿入部3を口腔内に挿入し、その状態で、照明素子9により撮像部の照明を行う。この時、撮像窓3aから得られる映像は、プリズム8、レンズ群G1、G2、G3、G4および、鏡筒4外に設けた図4に示す5群目、6群目のレンズ群G5、G6を介して、撮像装置10へと送られ、その後、コード2を介して、モニタに映し出される。
【0025】
そして、このモニタを見ながら希望する撮像部を見つけ出したときには、図1に示す撮像ボタン11を押せば、その時の画像は静止画としてモニタ内のメモリに記録される。
【0026】
さて、この状態において、本実施形態においては、照明素子9を撮像窓3aに配置したので、つまり、撮像部分の近傍に照明素子9を配置したので、この照明素子9からの照明を大きくしなくても、十分にクリアな画像を取得することができる。
【0027】
したがって、この撮像部分の温度を異常に高めることはない。
【0028】
上述したように、本実施形態における照明素子9は、撮影時に十分な照度を得るために、撮像窓3aの近傍に配置しており、さらには、照明素子9によって生じる熱を効率的に逃がすように構成されている。
【0029】
以下、その構成と特徴点について説明する。
【0030】
図6に、口腔内挿入部3の分解斜視図を示す。
【0031】
図6に示すように、口腔内挿入部3の前方下方側には、撮像窓構成体12が配置されており、この撮像窓構成体12は、底面に、中央を略四角形に開口した撮像窓3aが設けられており、この撮像窓3aに対向する口腔内挿入部3内には、光導素子13が配置されている。
【0032】
この光導素子13は、撮像窓3aからの光情報を本体ケース1側に反射させる反射素子8と、この反射素子8の下面側において、この反射素子8を撮像窓3a内に装着可能にするカバー素子14と、により構成されている。
【0033】
このカバー素子14の底面の水平方向の大きさは、撮像窓3aの大きさよりも小さくし、反射素子8の底面の水平方向の大きさは、撮像窓3aの大きさよりも大きな形状となっており、これによって、反射素子8を上にして、カバー素子14を下にした状態で、上方より撮像窓3a内にカバー素子14を嵌合することで、撮像窓構成体12に光導素子13を装着することができる。
【0034】
次に、照明素子9の構成であるが、四つの照明素子9は、フレキシブル導電性基板9aに装着されており、本体ケース1側と電気的に接続されている。このフレキシブル導電性基板9aの先端側は、照明素子保持具15に装着されており、この照明素子保持具15は、口腔内挿入部3の前方開口部分に連結する連結部材16によって口腔内挿入部3に装着されている。
【0035】
この状態において、上述した光導素子13が装着された撮像窓構成体12は、下方より照明素子保持具15の中央の開口部に嵌合して、照明素子9を挟み込むように口腔内挿入部3の前方開口に嵌合して装着されることになる。
【0036】
次に、連結部材16を鏡筒4にどのように接続するかについて、図7、図8、図9を用いて詳細に説明する。
【0037】
図7に示すように、鏡筒連結部材17は、連結部材16と鏡筒4を接続する構成になっている。
【0038】
図8に示すように、鏡筒連結部材17は、円筒型の開口部17aの両端に板バネ状の付勢体17bを設けた構成となっており、この付勢体17bは、連結部材16に設けられた2つの連結端16bを内側から押し広げた状態で付勢しながら付勢体17bの先端の爪が連結端16bの先端の孔に嵌合して装着される。
【0039】
次に、図9に示すように、鏡筒連結部材17の円筒型の開口部17aに鏡筒4の先端4aを嵌合して装着する。鏡筒連結部材17の円筒型の開口部17aは、板金状の金属を円筒状に加工したものであり、挿入する鏡筒4の先端4aの円筒の大きさよりも小さくなるように形成されているので、先端4aを開口部17aに挿入した際には、開口部17aが先端4aを覆うように付勢した状態となり、開口部17aの内側内面が、鏡筒4の先端4aの外周面に対して、より密着するようになる。
【0040】
このように、照明素子9を具備した照明素子保持具15は、連結部材16と、鏡筒連結部材17によって、鏡筒4に面密着しながら接続することになり、照明素子9に発生した熱を鏡筒4に対して効率よく伝えることになり、この撮像窓3a部分の熱は鏡筒4の前方側開口4aから後方側開口4bへと効果的に伝熱させることができ、この結果として、撮像窓3a部分の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
また、照明素子9を具備した照明素子保持具15は、連結部材16と、鏡筒連結部材17は、鏡筒4に対して熱伝導を効果的に行うために、金属により構成されており、さらには、鏡筒4は、図3、図4に示すように、前方側開口4aから後方側開口4bに向けて、その開口径が段階的に大きくなる構成となっているので、鏡筒4の前方側開口4aに伝えられた熱は、より体積の大きな後方側開口4bに伝えられることとなり、熱を効果的に放熱するような構成となっているのである。
【0042】
すなわち、照明素子9と鏡筒4とは、この鏡筒4の先端に装着した照明素子保持具15は、連結部材16と、鏡筒連結部材17による熱伝導体を介して、熱伝導的に装着した構成となっており、この結果、撮像窓3a部分の温度上昇を抑制することができるのである。
【0043】
また、本実施形態においては、この撮像窓3a部分の近傍に鏡筒4の前方側開口4aが配置するとともに、この鏡筒4は、金属により構成している。このため、この撮像窓3a部分の熱は鏡筒4の前方側開口4aから後方側開口4bへと効果的に伝熱させることができ、この結果としても、撮像窓3a部分の温度上昇を抑制することができる。
【0044】
つまり、この撮影時において、撮像窓3a部分が口腔内の皮膚や歯に当接しても異常な高温を感じさせることはなく、快適な撮影作業が実行できることとなる。
【0045】
また、鏡筒4を金属で形成すれば、その加工精度を高めることができるので、レンズ群G1からG4までを、この鏡筒4内の所定場所に適切に配置することができる。
【0046】
さらに、このような、レンズ群G1からG4までの適切配置を行うために、スペーサ筒5、6、7も加工精度が出しやすい金属製としている。ただし、これらのスペーサ筒5、6、7は、少なくとも、その内面側には黒色系被膜を設けることで、光の不要な反射を防止するようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように本発明は、本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、この口腔内挿入部に設けた鏡筒と、この鏡筒内に設けた複数のレンズと、前記鏡筒の前方側開口に、光学的に対応する前記口腔内挿入部部分に設けた撮像窓と、前記鏡筒の後方側開口に光学的に連結した撮像装置とを備え、前記撮像窓部分に、照明素子を配置するとともに、前記鏡筒を金属により構成したものであるので、撮像窓部分の温度上昇を抑制することができる。
【0048】
すなわち、本発明においては、照明素子を撮像窓部分に配置したので、その光強度をあまり強くしなくとも十分に照明することができ、この結果として、撮像窓部分の温度上昇を抑制することができる。
【0049】
また、この撮像窓部分まで延長された鏡筒が金属により構成した物であるので、撮像窓部分の熱を鏡筒の後方側開口へと放散させることができ、この結果としても、撮像窓部分の温度上昇を抑制することができる。
【0050】
したがって、口腔内カメラとして、広く活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 本体ケース
2 コード
3 口腔内挿入部
3a 撮像窓
4 鏡筒
4a前方側開口
4b 後方側開口
5 スペーサ筒
6 スペーサ筒
7 スペーサ筒
8 プリズム
9 照明素子
10 撮像装置
11 撮像ボタン
12 撮像窓構成体
13 光導素子
14 カバー素子
15 照明素子保持具
16 連結部材
16b 連結端
17 鏡筒連結部材
17a 開口部
17b 付勢体
G1 レンズ群
G2 レンズ群
G3 レンズ群
G4 レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケースの前方側に装着した口腔内挿入部と、この口腔内挿入部に設けた鏡筒と、この鏡筒内に設けた複数のレンズと、前記鏡筒の前方側開口に、光学的に対応する前記口腔内挿入部部分に設けた撮像窓と、前記鏡筒の後方側開口に光学的に連結した撮像装置とを備え、
前記撮像窓部分に、照明素子を配置するとともに、前記鏡筒を金属により構成した口腔内カメラ。
【請求項2】
鏡筒は、前方側開口から後方側開口に向けて、その開口径が段階的に大きくなる構成とした請求項1に記載の口腔内カメラ。
【請求項3】
前後に配置されたレンズ間には、金属製のスペーサ筒を介在させた請求項1または2に記載の口腔内カメラ。
【請求項4】
スペーサ筒の内面には、黒色系被膜を設けた請求項3に記載の口腔内カメラ。
【請求項5】
前記照明素子と鏡筒とは、この鏡筒の先端に装着した熱伝導体を介して、熱伝導的に装着した請求項1から4のいずれか一つに記載の口腔内カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−67605(P2011−67605A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150729(P2010−150729)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】