説明

口腔内貼付剤

【解決手段】 香料と、基剤成分として(A)カラギナン及び(B)プルランとを含有し、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/((A)+(B)))×100が5〜45%であることを特徴とする口腔内貼付剤。
【効果】 本発明によれば、口腔内への付着が良好で、かつ口腔内でゆっくりと溶解し、加えて経時や加温における香気の保存安定性に優れた口腔内貼付剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内への付着性が良好で、かつ口腔内でゆっくりと溶解する口腔内貼付剤に関し、さらに詳しくは、経時や加温における、香気保存安定性に優れる口腔内貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔内殺菌、口臭除去等の口腔用組成物は、塗布剤、スプレー剤、含嗽剤等からなり、唾液分泌により機能の持続性が低く効果が十分に発揮しないうえ、外出時等に時間や場所を選ばず適用することが困難であるという問題点があった。そこで、携帯性に優れ、外出先でも、人前でも気軽に適用できるフィルムやシート状の剤形とした製剤が提案されている。さらに、上あご等の口腔粘膜に貼付して口中で舐めて溶かすことで、機能性成分が徐々に溶け出し、口腔内殺菌、口臭除去等の機能を持続的に発現する口腔内貼付剤の提案もなされている。これは違和感もなく、ガムやキャンディーのように会話の邪魔にならないというメリットがある。その構成成分としては、フィルム形成性、粘膜付着性に優れた高分子化合物を基剤として、賦形剤、可塑剤、機能性成分、香料、甘味料、乳化剤、着色料等を適宜含有するものである。
【0003】
しかしながら、このようなフィルムやシート状の剤形とした製剤は、経時や加温において香気が低下するという問題点があり、賞味期限が短く保管場所を選ぶという不具合があった。また、持続的に成分を口腔内に放出するためには、口腔内の付着性が良好で、口腔内でゆっくりと溶解することが好ましい。
そこで、口腔内への付着性が良好で、かつゆっくりと溶解し、加えて香気保存安定性に優れる口腔内貼付剤が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開平63−280014号公報
【特許文献2】特公平5−41602号公報
【特許文献3】特開平3−164139号公報
【特許文献4】特開平5−236885号公報
【特許文献5】特表2002−525306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、口腔内への付着が良好で、かつ口腔内でゆっくりと溶解し、加えて経時や加温における香気の保存安定性に優れる口腔内貼付剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、香料を含有する口腔内貼付剤に、プルランとカラギナンを特定比率で組み合わせて配合することにより、口腔内への付着が良好で持続性を有し、かつ経時や加温における香気の保存安定性が向上することを知見し、本発明をなすにいたったものである。なお、この知見を利用することにより、口腔内貼付剤の賞味期間を長くすることができる。
【0007】
従って、本発明は、
[1].香料と、基剤成分として(A)カラギナン及び(B)プルランとを含有し、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/((A)+(B)))×100が5〜45%であることを特徴とする口腔内貼付剤、
[2].(A)カラギナン及び(B)プルランの合計含有量が10質量%以上であることを特徴とする[1]記載の口腔内貼付剤、
[3].(A)カラギナンがκ−カラギナンであることを特徴とする[1]又は[2]記載の口腔内貼付剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、口腔内への付着が良好で、かつ口腔内でゆっくりと溶解し、加えて経時や加温における香気の保存安定性に優れた口腔内貼付剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の口腔内貼付剤は、基剤成分として(A)カラギナンと(B)プルランとを含有する。この2成分を組み合わせることによって、香気の保存安定性、特に高温安定性が良好となる。基材成分とは、口腔用貼付剤全体の物性をコントロールするための、ベースとなる成分をいう。
【0010】
(A)成分のカラギナンとしては、κ、ι、λタイプが存在するが、このなかでもκ−カラギナンが好ましい。(A)及び(B)成分は、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0011】
(A)成分と(B)成分との質量比((A)/((A)+(B)))×100は、5〜45%であり、好ましくは10〜40%、より好ましくは15〜30%である。この比率が5%未満だと口腔内での溶解に要する時間が10分未満となってしまう。一方、45%を超えると平滑なシート化が困難となる。ここで、口腔内での溶解時間とは、厚さ400μmで14mmφの大きさの口腔内貼付剤を口腔内の上あごに貼付し、舐めた時に口腔内で完全に口腔内貼付剤がなくなるのに要した時間をいう。
【0012】
さらに、基材成分である(A)カラギナン及び(B)プルランの合計含有量が、口腔内貼付剤中10質量%以上であり、10〜99質量%が好ましく、より好ましくは30〜95%、さらに好ましくは40〜90%である。この範囲とすることによって、本発明の効果が特に優れ、さらに粘着性や貼付したときの使用感(口腔内での貼付違和感)が改善される。なお、(A)カラギナン及び(B)プルランの合計含有量は、口腔内貼付剤が乾燥して調製される場合は、乾燥調製後の口腔内貼付剤の全質量(剥離用フィルム等は含まない)に対する合計含有量である。
【0013】
本発明の口腔内貼付剤は香料を含有する。香料は香料成分を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、有効量を配合することができる。
例えば、天然香料として、マスティック油、パセリ油、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、ベイ油、レモングラス油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワーが挙げられる。
【0014】
単品香料としては、l−メントール、dl−メントール、メントール誘導体、dl−カンフル、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、さらに、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルアンスラニレート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチノンアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラールトリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等が挙げられる。単品香料及び/又は天然香料も含む調合香料として、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー等が挙げられる。また、香料の形態は、精油、抽出物、固形物、又はこれらを噴霧乾燥した粉体でもよい。
【0015】
本発明の口腔内貼付剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の水溶性高分子化合物を配合することができる。水溶性高分子化合物としては、特に限定されないが、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、大豆多糖類、トラガントガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na,K等の一価塩)、カードラン、寒天、グアーガム、グルコマンナン、タマリンドシードガム、タラガム、澱粉、ローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、水溶性ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストリン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。水溶性高分子化合物の含有量は、口腔内貼付剤中0〜20質量%が好ましい。
【0016】
さらに、口腔内貼付剤に柔軟性を付与するための可塑剤を配合することが好ましい。可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アセチルエタノールアミン等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができる。これらの中では、特にプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールが好ましい。可塑剤の含有量は、口腔内貼付剤中1〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。
【0017】
本発明の口腔内貼付剤は、各種有効成分を配合し、口臭防止剤等の各種製剤とすることができる。例えば、口臭防止を目的とする口腔内貼付剤とする場合は、口臭防止成分を1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて配合することが好ましい。口臭防止成分としては、サイクロデキストリン、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、銅クロロフィリンナトリウム、カテキン、ポリフェノール、フラボノイド、グルコン酸銅、クエン酸銅、リンゴ酸銅等の銅塩、ローズマリー、セージ、タイム、オレガノ、マジョラム、シソ、セーボリー等のシソ科植物、コラエキス、サンショウエキス、チョウジ、オウレン、レンギョウ、タンニン酸、没食子酸、甜茶、車前草、ジコッピ、ニンドウ、ディル、オウゴン、メース、アラメ、カキノハ、ビタミンC、ビタミンE、重曹、サラダ油、リノール酸、トリクロサン、ビオゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。口臭防止成分の含有量は、口腔内貼付剤中0.001〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%である。
【0018】
口臭防止以外の効果を目的とする製剤、例えば、解熱鎮痛剤、総合感冒薬、催眠鎮静剤、眠気防止剤、小児鎮静剤、鎮咳居痰剤、口腔内殺菌・口内炎用剤、歯痛・歯槽膿漏用剤、口腔内殺菌、うがい薬、抗アレルギー剤、鼻炎用剤、点鼻薬、鎮暈薬、胃腸薬、ビタミン剤等の製剤にすることもできる。
【0019】
口腔内貼付剤に配合する有効成分は、目的とする効能・効果に応じて適宜選択すればよい。それらの有効成分としては、抗菌物質、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗ウィルス剤、抗真菌生物剤、麻酔剤、免疫抑制剤、代謝拮抗剤、駆虫剤、アメーバ撲滅剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、抗精神病剤、抗高血圧剤、筋弛緩剤等が挙げられる。さらに具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アセトアミノフェン、アスピリン、アミノ安息香酸エチル、アミノエチルスルホン酸、液状フェノール、エテンザミド、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化リゾチーム、塩酸クロルヘキシジン、塩酸ナファゾリン、塩酸ピリドキシン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸フェニレフリン、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸メクリジン、塩酸リドカイン、グリチルリチンジカリウム、塩化セチルピリジニウム、酸ジフェンヒドラミン、dl−塩酸メチルエフェドリン、カフェイン、無水カフェイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グリセリン、グルクロノラクトン、グルコン酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サリチル酸ジフェンヒドラミン、チモール、銅クロロフィリンナトリウム、酢酸トコフェロール、臭化水素酸スコポラミン、炭酸水素ナトリウム、トラネキサム酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ノスカピン、ハッカ油、パントテン酸カルシウム、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ブロムワレリル尿素、ベラドンナ総アルカロイド、ポピドンヨード、マレイン酸クロルフェニラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、l−メントール、dl−メントール、リボフラビン、ロートエキス、ヨウ素、リン酸ジヒドロコデイン、ホセキシチン、N−ホルムアミドイルチェナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、カルベニシリン、コリスチン、ペニシリンG、ポリマイキシンB、バンコマイシン、セハゾリン、セファロリジン、チブロリハマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド、ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソミシン、トブラマイシン、ナリジキシックアシッド、ノルフロキサシン、フルダラニン、ニトロフラゾン、ピリルアミン、クロルフェニラミン、テトラヒドラゾリン、アンタゾリン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ベータメタソン、デキサメタソン、デキサメタソンリン酸ナトリウム、プレドニソン、メチルプレドニソロン、メドリソン、フルオロメトロン、フルオコルトロン、プレドニソロン、プレドニソロンリン酸ナトリウム、トリアムシノロン、インドメタシン、スリンダック、エコチオフェート、サリチル酸フィソスチグミン、ジイソプロピルフルオロフォスファート、エピネフリン、ジピボリルエピネフリン、ネオスチグミン、ヨウ化エコチオペート、臭化デメカリウム、カルバコール、メタコリン、ベタネコール、アトロピン、ホマトロピン、スコポラミン、エフェドリン、コカイン、トロピカミド、フェニルエフリン、シクロペントレート、オキシフェノニウム、オイカトロピン、チモロール、グリセロール、尿素、イベルメクチン、ピリメタミン、トリサルファピリミジン、クリンダマイシン、アシクロビル、5−ヨード−2−デオキシウリジン、アデノシンアラビノシド、トリフルオロチミジン、インターフェロン、アセタゾールアミド、ジクロルフェンアミド、アムフォテリシンB、ニスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、ミコナゾール、エチドカインコカイン、ベノキシネート、塩酸ジブカイン、塩酸ジクロニン、ナエパイン、塩酸フェナカイン、ピペロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸テトラカイン、ヘキシルカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、ローズベンガル、アドレナリン、ヒドロキシアンフェタミン、ピロカルピン、キモトリプシン、EDTA、デフェロキサミン、メソトレキセート、シクロフォスファミド、アザチオプリン、インシュリン等が例示される。これらの物質は1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて用いることができ、配合する場合、配合量は全体で口腔内貼付剤中0.005〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%である。
【0020】
さらに、甘味剤を適宜選択し、その有効量を配合することができる。例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、及びサッカリンナトリウムから選ばれる少なくとも1種以上を配合するのが好ましい。この中でも、高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウム、スクラロース、及びアスパルテーム等から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。高甘味度甘味料を使用することにより、甘味及びフィルムの物性に優れた良好な口腔内貼付剤を得ることができる。甘味剤の含有量は、口腔内貼付剤中0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%である。
【0021】
また、乳化剤を適宜選択し配合することができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種単独で又は2種以上を適且組み合わせて配合するのが好ましい。乳化剤の含有量は、口腔内貼付剤中0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0022】
本発明の口腔内貼付剤は、通常シート状として調製され、粘膜に貼付して使用することができる。その製法としては、上述した成分を水及び/又はエタノールに溶解乃至は分散し、これを剥離用フィルムにキャスティングし、乾燥する方法を採用し得るが、これに限定されない。
【0023】
なお、口腔内貼付剤中の水分量は、上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また下限は、好ましくは0質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。この範囲で、特にべたつき・柔軟性等の点で良好な口腔内貼付剤が得られる。
【0024】
本発明の口腔内貼付剤の厚みは200〜1,000μmが好ましい。さらには300〜500μmがより好ましい。1,000μmより厚い場合は、剤の柔軟性が失われて口腔内に違和感を感じさせ、200μmより薄い場合は、剤がすぐに溶けてしまい、十分な持続効果が得られない場合がある。なお、その大きさは粘膜に通用し易い適宜な大きさとすることができる。
【0025】
以上の口腔内貼付剤は、一層形態であるが、目的とする口腔内への付着性及び口腔内での溶解性を実現するために、口腔内貼付剤を適宜積層化することもできる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0027】
[実施例1]
キャスティング溶液の調製
エタノール10gに、ペパーミント油3g、ユーカリ油1g、l−メントール10gを十分混合溶解し、溶液Aとした。別途、水760gに、κ−カラギナン(三栄源エフエフアイ(株)のカラギニンCSK−1)11g及びプルラン((株)林原商事のPF−20)46gを投入し、80℃、5分間加熱溶解させ、60℃まで放冷した。この溶液に、溶液を撹拌しながら、ポリグリセリン脂肪酸エステル1g、濃グリセリン10g、D−ソルビトール70%水溶液12g、アセスルファムカリウム0.22g、スクラロース0.16g、アスパルテーム2g及び溶液Aを投入し、これらを溶解させた。さらにこの溶液を撹拌しながら、ローズマリー抽出物0.2g、サンショウ抽出物2g、コラエキス0.5gを投入溶解させ、キャスティング溶液を得た。
【0028】
塗工、乾燥
50μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)表面に、上記キャスティング溶液を展延し、70℃の熱風乾燥機にて乾燥して、400μm厚のシート(水分量7質量%)を作製し、14mmφにカットして口腔内貼付剤を得た。
【0029】
[実施例2〜8、比較例1〜2]
表1,2に示す組成で、実施例1の製造方法に準じて400μm厚のシートを作製し、14mmφにカットして口腔内貼付剤を得た。
なお、実施例1〜8、比較例1〜2の口腔内貼付剤の包装形態は、紙/アルミニウム/ポリエチレンのラミネートシートを35mm×50mmのサイズとし、4方シールした。
【0030】
得られた口腔内貼付剤について、下記方法で香気の保存安定性を評価し、口腔内での溶解時間を測定した。結果を表中に併記する。なお、表中の口腔内貼付剤の重量は、乾燥後に得られた口腔用貼付剤であって、PETは含まない。
【0031】
香気の保存安定性の評価
口腔内貼付剤を恒温槽中(25℃、40℃、50℃、70℃)に投入し、一定期間経過後に取り出して、室温に戻した後香気を評価した。香気の評価は、口腔内貼付剤を試験者の上あご粘膜に付着させ、普通に舐めて溶かした。この時に感じた香気を、下記評価基準にて官能により評価した。結果は試験者5人の平均値を示す。4点以上を合格とする。
<評価基準>
5点:非常に香気を感じる
4点:かなり香気を感じる
3点:少し香気を感じる
2点:やや香気を感じる
1点:香気を感じない
【0032】
溶解時間の測定
PETシートをはがし、口腔内貼付剤を上あご粘膜に付着させ、普通に舐めて溶かし、この口腔内貼付剤が溶けてなくなるまでの時間を測定した。結果は試験者5人の平均値を示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表中の記載を下記に示す。
*1 HPMC:HPMC2910,ヒドロキシプロピルメチルセルロース
*2 PVA:ポリビニルアルコール部分けん化物
*3 CMC-Na:カルボキシメチルセルロースナトリウム
*4 PVP:ポリビニルピロリドンK90
*5 PEG400:ポリエチレングリコール400
*6 TO−10M:モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料と、基剤成分として(A)カラギナン及び(B)プルランとを含有し、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/((A)+(B)))×100が5〜45%であることを特徴とする口腔内貼付剤。
【請求項2】
(A)カラギナン及び(B)プルランの合計含有量が10質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の口腔内貼付剤。
【請求項3】
(A)カラギナンがκ−カラギナンであることを特徴とする請求項1又は2記載の口腔内貼付剤。

【公開番号】特開2006−182669(P2006−182669A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375896(P2004−375896)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】