説明

口腔用医薬製剤

(a)非ステロイド抗炎症薬(NSAID)であって鎮痛作用を有するもの;(b)遊離アミノ基または一置換のアミノ基またはそれらの混合物を有する、生物学的に適合する緩衝有機アミン(製剤のpHを以下の範囲内に緩衝するのに適した量);(c)6.5〜8.0の範囲のpH;及び(d)製剤グレードの水を含有する水溶液の形態における医薬製剤であって、NSAID(a)がフルルビプロフェンおよび/またはジクロフェナクであり;かつ生物学的に適合する緩衝有機アミン(b)がD−グルカミン、メグルミン、トロメタモール(トリス緩衝液)またはそれらの混合物である製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症および鎮痛作用を有し、特に、適切な投薬ポンプ(dosing pump)によって口腔中にスプレーするのに適している、生理的pHに緩衝された水溶液からなる、口腔用医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ約10年間、喉、口、歯茎の広汎性炎症状態の発生が、とりわけ冬の間に、増加している。これらの非常に厄介な状態は、通常、1つの特定の原因によるものではなく、様々な外的要因(例えば、周囲温度の急激な変化、空気もしくは汚染環境中に含まれる刺激性または毒性物質、たばこの煙の直接的または間接的吸引)、あるいは内的要因(例えば、ウイルス、エコー・ウイルス、マクロウイルスもしくはバクテリアの軽度感染)、あるいは、頻繁に起こるように、これらの刺激の1つ以上が同時に存在することによって起こり得る。よって、これに伴う臨床像は極めて複雑であり、多くの症状の中でも、炎症と痛みが支配的な症状である。このように、これらの様々な原因の全てに個々に効く特定の標的治療はないため、唯一の可能な治療ストラテジーは、主に喉、口および歯茎の炎症または鬱血を抑えると同時に厄介な痛みを軽減または除くことによって、これらの厄介な症状をできるだけ効率的に除くことである。
【0003】
現在市販されている、この複雑な臨床像を治療するのに用いられる製品は、一般的に2つのカテゴリーに分けられる。
【0004】
1つめは、天然物質または抽出物(例えば、プロポリス、蜂蜜と野生バラの混合物、オイゲノールなど)をベースとする様々な製品で構成される。一方、2つめのカテゴリーは、効能と最適な安全性および耐性プロファイルとを合わせた医薬活性成分を1つ以上含む医薬製剤からなる。これらの医薬製剤は、通常、ヨーロッパ健康当局(European health authorities)によって「家庭薬(self-medication products)」に分類される。これは、患者が自分で自発的に要求するか、医者、薬剤師、もしくはその他の医療従事者に相談した後に要求するか、あるいは広告メッセージに応じて要求するものである。
【0005】
これらの医薬製品は、1つ以上の有効成分を含んでいるために、健康行政機関(health regulatory authorities)による医薬としての事前承認を受けなければならず、そのため薬局でしか販売されていないことが多い(具体的な法律は国によって異なる)。しかし、該医薬製品は医者の処方箋を提出する必要なく、患者の要求に応じて直接自由に販売される場合もある。こういった事情から、「自由に販売されている製品(freely-sold products)」または「店頭販売製品(over-the-counter-products)」として知られるこれらの医薬の別名の意味が分かる。
【0006】
上記を十分に考慮すると、口、喉および歯茎にスプレーする抗炎症および鎮痛剤として用いられる家庭用医薬製品は、様々な望ましい要件を満たさなければならない。そのような要件としては、以下が挙げられる:
(a)鬱血を減らし、それに伴う痛みを和らげる抗炎症および鎮痛効果が十分であること;さらに、有効成分は溶液に均一に溶解し、口腔内へ均等にスプレーできるものでなければならない。
(b)溶液は薬学的に安定で、有効成分および補助成分は互いに反応しないものでなければならない。
(c)溶液は、口腔粘膜が生物学的に受け入れることができ、象牙質を蝕むことがないように過度に酸性でなく、炎症を悪化させないように過度に塩基性でもないものであるべきである。
(d)口および咽頭をバクテリアおよびウイルスの攻撃から保護する低刺激性消毒効果の提供。
(e)製造およびその後の使用中におけるバクテリア混入および増殖から溶液を保護するための保存作用を有していること。
(f)デリケートで、不快な味や香りに敏感な器官に使用するものであるため、感覚刺激的に許容できるものであること。
【0007】
よって、理想的な溶液は一定期間安定であり、沈殿および汚染もなくクリアかつ透明でなければならない。したがって、一定の不適合性(例えば、8.0より上のpHでパラベンを使用すること)、高反応性無機物質(例えば、重炭酸ナトリウム)を組成物に導入すること、象牙質のカルシウムを蝕むエデト酸およびその塩を用いること(”Handbook of Pharmaceutical Excipients”、第4版、2003年、American Pharmaceutical Association、p.226、段落14)、またはエージング中の色の喪失を避けるため不安定な着色剤を用いることなどを避ける必要がある。
【0008】
現在、上記した理想的な特徴をすべて兼ね備えることのできる医薬組成物はない。実際に、文献に記載されている、または既に市場に出ている(不当競争の不当な非難が起こらないように、商品名は意図的に記載しないでおく)製剤は、上記の特性の大半を満たしていない。
【0009】
例えば、COX−2阻害剤(セレコキシブ、レフェコキシブ(refecoxib)など)などの新世代の非ステロイド抗炎症剤は、その作用機序のために局所的に用いることができない。一方、その他の第一世代の非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は、求められる濃度が高いため(イブプロフェン、チアプロフェン酸)、または公知のような水中での不安定性のため(アセチルサリチル酸)、またはその難溶性のため(ピロキシカム、テノキシカム)、用いることができない。さらに他のものは感作性を有することが知られており(ジフルニサル、ゾメピラク)、そのせいでその局所的使用は勧められない。
【0010】
残りの有効成分の中では、優れた抗炎症作用を示すが鎮痛作用が不十分なもの(ナプロキセンおよびエトドラク)があるのに対し、逆に優れた鎮痛作用(ケトロラク)を示すが抗炎症はほとんど示さないものもある。既に市場にある製品のいくつかは、時に8.0より高いpHを示し、そのせいで粘膜と生理学的に適合せず、さらには口腔の腐生フローラ(saprophytic flora)の有害な感染異常(dysmicrobism)を引き起こす。実際、口の生理的pHは6.7〜7.5である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
文献に記載された医薬組成物、または市販されている医薬組成物に上述した要件を満たすことができるものがないならば、上述した特徴を兼ね備えた医薬製剤とのギャップを早急に埋める必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
様々な研究および実験試行後、そのような特徴を兼ね備えた医薬製剤が驚くべきことに見出された。該製剤は、以下を含有する:
(a)非ステロイド抗炎症薬(NSAID)であって鎮痛作用を有するもの;
(b)生物学的に適合する緩衝有機アミン(buffering organic amine);
(c)6.5〜8.0、好ましくは7.0〜7.5の範囲の緩衝pH;
(d)製剤グレードの水。
【0013】
このようにして緩衝した溶液はさらに以下を含んでいてもよい:
(e)低刺激性殺菌剤
(f)1つ以上の保存剤
(g)その他の補助成分。
【0014】
また本発明は上記で定義した溶液に基づいた医薬投与形態に関する。該溶液はさらに10〜100mlの範囲の容積で容器に分配されてもよい。
【0015】
さらに本発明は上記で定義した溶液の完全なパッケージされた形態のものに関し、それは、緩衝溶液を入れる容器であって、投薬ポンプと溶液を口腔内に直接スプレーするための適切な分配器(distributor)とを備えたもので構成されている。
【0016】
さらに本発明は、上記で定義したような溶液の製造方法、そしてそれを患者による使用、販売および流通可能な状態の最終パッケージングに分配する方法に関する。該方法は以下の順序の操作を含む:
(1)1つ以上の保存剤を、全体で必要な量の50%より多い水に溶解すること。水は事前に約80℃に加熱し、その後、溶液を室温(約25℃)に冷却する。
(2)選択したNSAIDを水、もしくは、より好ましくは均等な割合の水/エタノール混合物に溶解し、すぐに選択した有機アミンで特定のpHに緩衝する。
(3)混合物(1)にその他の成分を加える。
(4)溶液(2)を溶液(3)に徐々に注ぎ、十分に混合する。
(5)体積(または重量)を水で調節し、必要に応じて、有機アミンを加えることにより、pHを規定値に調整する。
(6)緩衝溶液を容器に分配し、容器を投薬ポンプで密封する。適切な分配器をポンプの上に取り付け、次いでシステムを患者用インフォメーション説明書と共に箱にパッケージする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を以下の記述において詳細に説明する。
【0018】
本発明の第一の目的は、以下を含む水溶液で構成される医薬製剤を提供することである:
(A)投与単位において、バランスのとれた抗炎症および鎮痛作用をもたらすのに十分な量の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)。この目的のために選ばれるNSAIDsがフルルビプロフェンおよびジクロフェナクである場合に、最良の結果が得られる。特に、フルルビプロフェンは高い治療指数を示す。フルルビプロフェンは、ラセミ体(もしくはラセミ混合物)またはそのエナンチオマーの1つ(すなわち、(R)−(−)フルルビプロフェンもしくは(S)−(+)フルルビプロフェン、そしてより好ましくは(R)−(−)フルルビプロフェン)として使用され得る。選択されたNSAIDは、溶液中において、一定範囲の濃度にて単独で用いられる。その中で最適濃度は、以下の表1に示したような表示のタイプによって決められる。
【0019】
【表1】

【0020】
(B)単独または混合物として存在し、強い緩衝特性を有し、遊離または部分的に置換された形態での緩衝アミノ基を有し、口腔の生理的pHに近い特定範囲内に溶液のpHを維持するのに十分な量で用いられる、生物学的に適合する有機アミン。最も驚くべき結果は、選択された緩衝有機アミンが、D−グルカミン、メグルミン、もしくはトロメタモール(トリス緩衝液)で構成される場合に得られる。特に、文献(Merck Index第13版、メグルミン1.0%=pH10.5およびトロメタモール0.1%=pH10.1)にも記載されているように、メチルモノ置換されたアミノ基を有し、そのために緩衝作用がより弱くなっているメグルミンが、所望のpHを得るのにより適している。一方で、トロメタモールも非常に望ましい。これはよく知られた、最も信頼できる化学薬理学のテキストブックに、「生理的緩衝液」として働く唯一の「無毒なアミン」として記載されている。
【0021】
所望の緩衝作用が一般的得られる濃度はそれぞれの緩衝有機アミンによって異なり、以下の表2に記載する。
【0022】
【表2】

【0023】
(C)溶液のpHは6.5〜8.0、好ましくは7.0〜7.5の間の範囲である。このpH値は、特定量の選択NSAIDを、6.7〜7.5の間である口の生理的pHになるべく近い生体適合のpHを得るのに必要な量の(モノ−もしくはジ置換)緩衝有機アミンで緩衝することによって得られる。さらに、このpH範囲は、口腔の腐生バクテリアフローラの生理的バランスの改変を避けるのに特に適している。
(D)通常の薬局方において規定される品質の製剤グレードの水(精製水もしくは2回蒸留した水など)。
【0024】
本発明の医薬製剤の第二の目的は、製剤学的、技術的、感覚刺激特性に関して更なる改善を示す、緩衝溶液を提供することである。
【0025】
よって、バクテリアもしくはウイルス感染から生じる表面の感染症状と戦うのに好適である、緩衝溶液を有する目的の要件がある場合、以下を提供することも目的の要件である:
(E)局所的使用に生物学的および薬学的に適合する、低刺激性表面殺菌剤。同様の局所的適応および用途に、当業者に知られている量で従来用いられているものから選択される。この物質はさらに溶液のその他の成分および用いる分配システムと化学的に適合するものでなければならない。一般的に選択される殺菌剤は、セチルピリジニウムクロリド、またはグリシルリジン酸またはそのアンモニウムまたはジカリウム塩で構成される。その抗バクテリアおよび抗ウイルス特性は文献において既に詳細に記載されている。殺菌物質は溶液中に単独で、特定の抗バクテリアおよび抗ウイルス作用を発揮するのに十分な量で存在する。その上、グリシルリジン酸またはそのアンモニウムまたはジカリウム塩は、さらにスクロースの約50倍強力な著しい甘味を示す。
【0026】
選択された低刺激性殺菌剤は緩衝溶液中において単独で、様々な量にて用いられる。その中で最適濃度がさらに決められる。それを以下の表3に示す:
【0027】
【表3】

【0028】
本発明の緩衝溶液はさらに、保存、流通およびそれに続く使用のために、通常、マルチドーズ容器(multidose container)にパッケージされている。該容器は適切な圧力投薬ポンプを備えており、それにより溶液を喉、口および歯茎に均一にスプレーすることができる。しかしながら、この場合、ポンプを繰り返し使用することで起こる内部圧力の低下により、汚染された空気が外から容器に入り、偶発的に、溶液そのものの中にバクテリアのコロニーが混入または増殖するという実際のリスクがある。
【0029】
よって、既に市販されているが値段の高いより高度なポンプを用いない場合、また内部圧力の減少を補填するためにそのポンプが容器に入る空気を滅菌する適切な濾過システムを備えていない場合、緩衝溶液は以下をさらに含んでいなければならない:
(F)保存物質、またはその混合物。該物質は、溶液の微生物コントロールを十分に達成するため、従来から用いられているものの中から当業者によく知られた量で選択される。該物質は、さらに局所的投与に適し、かつ化学的見地から、溶液のその他の成分とだけでなく、用いるマルチドーズシステムの構成材とも適合するようなものである。選択される一般的な保存剤には、従来のパラベン(例えば、メチル p−ヒドロキシベンゾエートもしくはプロピル p−ヒドロキシベンゾエートをそれぞれ単独または組み合わせて)だけでなく、とりわけエデト酸二ナトリウム カルシウム(すなわち、歯のエナメルのカルシウムを攻撃し得る単純なジナトリウム塩ではない)、またはナトリウム ベンゾエートが含まれる。
【0030】
選択された保存剤は、緩衝溶液中にて、バクテリアの混入および増殖を防ぐのに適した濃度で用いられる。以下の表4にその濃度を示す:
【0031】
【表4】

【0032】
上記保存剤の2つ以上の混合物を用いてもよい。好ましくは、混合物のそれぞれの成分は上記表4の割当制限内の量で存在する。
【0033】
最後に、緩衝溶液の最終の技術的、薬学的および感覚刺激的特性を改善するため(ここで、口腔内にスプレーされるための製品において、フレーバーは無視できない要因であることを心に留めておく)、本発明の医薬製剤を技術的および感覚刺激的見地から、以下の通り、その他の補助成分を添加することにより改善する必要がある。
(G)それぞれの補助成分の性質、品質および濃度は、出発緩衝溶液および得たい製剤の最終特性によってケースごとに変わる。
【0034】
それぞれの補助成分の品質に関しては、当業者であれば、主な薬局方の1つ(Eur. Ph., USP, JP, FU, BP)において発行された特定の刊行物に記載された品質規格に適合するものの中から確実に選択できるであろう。特定の刊行物がない場合、当業者は、例えば「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、第20版、編者:A.R. Gannaroら、University of Science in Philadelphia Collegeまたは「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第4版、2003年、American Pharmaceutical Associationなどの専門出版物に記載されているようなものと同様に適合できる特性を有する補助成分を選ぶことができる。
【実施例】
【0035】
以下の実施例は、特定の補助成分および実施例に例示したそれぞれの緩衝溶液に最適な該成分の濃度の単なる例示を提供する。
【0036】
したがって、選択される好ましい補助成分およびその濃度は各々の緩衝液に束縛されず、また本発明を制限するものではなく、その各々を適切にその他の同様な成分に換えることも可能であり、その場合でも得られる結果は本発明のそのものの結果と総体的に同程度のものである。
【0037】
とは言うものの、本実施例に記載されたその質と量に関して、これらの成分は慎重な最適化の結果得られたものである。この最適化は無頓着に行われたのではなく、進歩性に関するものである。以下の実施例の好ましい補助成分は下記の通りである:
−グリセロール(粘度剤(viscosity agent))
−ソルビトール、キシリトール(甘味剤(sweetening agent))
−エチルアルコール(流動化剤)
−ヒマシ油40ポリエトキシレート (castor oil 40 polyethoxylate)(濃稠化剤)
−サッカリン・ナトリウム、アセスルファム・カリウム(甘味料(sweetener))
−ミントエッセンス、天然ミントフレーバー、天然ピーチフレーバー(天然エッセンスまたはフレーバー)
−パテントブルー V−E131、E−124(着色)
本発明の溶液は、上記の順に、薬学分野で従来用いられている方法および機器を用いて調製されるが、これは必須ではなく、本発明そのものを限定するものでもない。実際に、用いる特定の製剤、調製するバッチの総体的な容積に関して調節が可能であり、その場合でも得られる結果は本発明のそのものの結果と総体的に同程度のものである。
【0038】
通常、溶液は保存、流通、販売および使用のために、分配器を付けた投薬ポンプを備えた適切な容器にパッケージされる。これにより、直接的に口、喉および歯茎へ容易にスプレーすることが可能になる。特に、溶液を、分注エロゲーター(dispensing erogator、様々なタイプおよび形状のもの)を取り付けた圧力操作ポンプを備えたマルチドーズ容器にパッケージするのが好ましく、これによって口腔に溶液を均一にスプレーできるようになる。
【0039】
一般的に、一回の投与でスプレーされる溶液の容積は、有効成分の濃度に応じて変わるが、実施例の製剤に関しては、一回の投与でスプレーされる溶液の望ましい容積は、100〜300マイクロリッターの範囲であり、好ましくは、200マイクロリッターが一回の投与でスプレーされる。
【0040】
本発明の医薬製剤は、痛みを伴う、口、喉および歯茎の炎症症状の局所的治療に有用である。該組成物は、それによく付随しているバクテリアおよびウイルス成分によってもたらされる症状に対抗するため、低刺激性の殺菌剤をさらに含んでいてもよい。よって、本製剤が、口腔の粘膜の炎症/鬱血および付随する痛みを減らすのに有用であることがわかる。本発明のもう1つの重要な局面は、キシリトールを甘味剤として使用することである。これは、特定の静菌性および殺菌性作用を示すと同時に、微生物によって用いられることもなく、またその付随する齲蝕原性作用によって虫歯を促進することもない。
【0041】
本発明の典型的な緩衝溶液の実施例を、以下に表形式で示し、個々の詳細をより容易に識別できるようにする。
【0042】
これらの実施例は、本発明をより良く示す目的で提供するものであり、そのため、本発明そのものを何ら限定するものではなく、当業者にとって自明なこれ以外の改変も本発明の精神および範疇に含まれることは明白である。
【0043】
【表5】

【0044】
(A)=有効成分
(B)=緩衝有機アミン
(C)=pH
(D)=水(製剤グレード)
(E)=殺菌剤
(F)=保存剤
(G)=補助成分
以下の組成物を次の実施例の方法において記載したようにして調製する。
【0045】
【表6】

【0046】
(A)=有効成分
(B)=緩衝有機アミン
(C)=pH
(D)=水(製剤グレード)
(E)=殺菌剤
(F)=保存剤
(G)=補助成分
以下の組成物を次の実施例の方法において記載したようにして調製する。
【0047】
【表7】

【0048】
(A)=有効成分
(B)=緩衝有機アミン
(C)=pH
(D)=水(製剤グレード)
(E)=殺菌剤
(F)=保存剤
(G)=補助成分
以下の組成物を次の実施例の方法において記載したようにして調製する。
【0049】
実施例11
実施例1の組成物をスプレーするための溶液を15ml含む、2000バイアルの調製
スプレー用溶液を15ml含む2000バイアルの製造バッチ処方(production batch formula):
【0050】
【表8】

【0051】
フェーズ1 溶液A
20リットルの精製水を適切なステンレススチール溶解機に入れ、約80℃に調節する。30.0gのメチルp−ヒドロキシベンゾエートおよび6.0gのプロピルp−ヒドロキシベンゾエートを完全に溶解する。溶液を室温(25℃)に冷却する。
フェーズ2 溶液B
3リットルの水および3.0kgの96%エチルアルコールを適切なステンレススチール容器中で、約30℃にて混合する。次いで、75.0gのフルルビプロフェンを加え、メグルミン(約63g)でpH7.1に緩衝する。
フェーズ3 溶液C
溶液Aを連続して撹拌中に、その他の成分:3.0kgのグリセロール、2.1kgのソルビトール、720.0gの硬化ヒマシ油40ポリエトキシレート、45.0gのサッカリン・ナトリウムおよび180.0gのミントエッセンスを加える。完全に溶解するまで撹拌する。
フェーズ4 緩衝溶液
容積を精製水を加えることによって調節し、pHを調べる。必要に応じて、メグルミンを添加して、pHを所望値の7.1に緩衝する。次いで、緩衝溶液をバイアルに分配し、バイアルを分注エロゲーターを備えた投与ポンプで密封する。次に、システムを適切な箱にパッケージする。このようにして、1865バイアル(それぞれ15ml)を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)非ステロイド抗炎症薬(NSAID)であって鎮痛作用を有するもの;
(b)遊離アミノ基または一置換のアミノ基またはそれらの混合物を有する、生物学的に適合する緩衝有機アミン(buffering organic amine)であって、製剤のpHを以下の範囲内に緩衝するのに適した量のもの;
(c)6.5〜8.0の範囲のpH;及び
(d)製剤グレードの水
を含有する、水溶液の形態における医薬製剤であって、
NSAID(a)がフルルビプロフェンおよび/またはジクロフェナクであり;かつ生物学的に適合する緩衝有機アミン(b)がD−グルカミン、メグルミン、トロメタモール(トリス緩衝液)またはそれらの混合物である製剤。
【請求項2】
フルルビプロフェンがラセミ化合物の形態であるか、またはR−(−)フルルビプロフェンおよびS−(+)フルルビプロフェンから選択されるそのエナンチオマーの1つである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
(a)1.5mg/ml〜8.0mg/ml、好ましくは2.5mg/mlの量のフルルビプロフェン;および/または0.5mg/ml〜1.5mg/ml、好ましくは0.74mg/mlの量のジクロフェナクを含有する、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
7.0〜7.5のpHを有する、前項のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項5】
0.35mg/ml〜1.12mg/mlの量のD−グルカミン;0.40mg/ml〜2.4mg/mlの量のメグルミン;および/または0.10mg/ml〜0.75mg/mlの量のトロメタモールを含有する、前項のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項6】
溶液のpHを7.0〜7.5の範囲内に緩衝するのに適した量の、生物学的に適合する緩衝有機アミン(b)を含有する、前項のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項7】
以下の補助成分:
(e)低刺激性殺菌剤;および/または
(f)1つ以上の保存剤;
をさらに含有する前項のいずれかに記載の医薬製剤であって、
(e)低刺激性殺菌剤が、
必要に応じて1.0mg/ml〜6.0mg/ml、最適には5.0mg/mlの量の塩化セチルピリジニウム;
必要に応じて0.8mg/ml〜1.2mg/ml、最適には1.0mg/mlの量のグリシルリジン酸またはその塩を、少なくとも1つ含み;
(f)保存剤が、
必要に応じて0.25mg/ml〜1.15mg/mlの量のメチルp−ヒドロキシベンゾエート;
必要に応じて0.03mg/ml〜0.15mg/mlの量のプロピルp−ヒドロキシベンゾエート;
必要に応じて0.1mg/ml〜1.0mg/mlの量のエデト酸二ナトリウムカルシウム;
必要に応じて0.2mg/ml〜5.0mg/mlの量のナトリウムベンゾエートを、少なくとも1つ含有する、製剤。
【請求項8】
粘度剤(viscosity agent)、甘味剤、流動化剤、濃稠化剤、着色剤および天然エッセンスまたは香味剤から選ばれる補助成分を少なくとも1つさらに含有する、前項のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項9】
さらなる補助成分が、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、エチルアルコール、ヒマシ油40ポリエトキシレート、サッカリン・ナトリウム、アセスルファム・カリウム、ミントエッセンス、天然ミントフレーバー、天然ピーチフレーバーおよびパテントブルーV−E131、E−124の少なくとも1つから選択される、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
口および咽頭、とりわけ口、喉および歯茎の炎症治療用である、前項のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項11】
好ましくは一回の用量が100マイクロリットル(0.1ml)〜300マイクロリットル(0.3ml)の間、好ましくは200マイクロリットル(0.2ml)の投薬容量でスプレーするためのうがい薬の形態である、前項のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項12】
投薬ポンプ(dosing pump)を備えた、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬製剤を含むパッケージされた医薬製剤。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の医薬製剤の製造方法であって、
i)保存剤を溶液に溶解すること;
ii)選択したNSAIDを水または水/エチルアルコール混合物に溶解し、有機アミンで特定のpH値へ緩衝すること;
iii)工程i)の溶液に補助成分を加え、工程i)の溶液と工程ii)のNSAIDおよび有機アミンの溶液を混合すること;
iv)体積(または重量)を水で調節し、必要に応じて、有機アミンを加えることにより、pHを規定値に調整することを含む方法。

【公表番号】特表2007−522155(P2007−522155A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552472(P2006−552472)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014478
【国際公開番号】WO2005/079747
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(592255486)テラピコン エス.アール.エル. (4)
【氏名又は名称原語表記】THERAPICON S.R.L.
【Fターム(参考)】