説明

口腔表面の細菌性沈着の阻害

【化1】


本発明は、両性界面活性剤及びエチレンのモノマーを含んでなるホモ−又はコポリマーを含有する経口組成物並びに関連する方法に関する。エチレンのモノマーは、ホスホネート基を含む。モノマーは、式(I)の構造によって表すことができ、式中、A及びA’の一つは水素原子であり、そして他方は水素原子又は−(X)の基から選択され;ここにおいて、nは、0又は1から選択され;但し、nが0である場合、mは1であり、そしてnが1である場合、mは1ないし3の整数であることを条件とし;Xは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子から選択され;Rは、独立に水素原子又は有機ラジカルであり;Lは、単結合及び連結基から選択され;M及びM’は、水素原子、アルカリ金属、及びアンモニウムイオンから独立に選択されるか、或いは共にアルカリ土類金属又は他の二価の元素を形成し;そしてpは、1又は2であり、但し、Lが単結合である場合、pは1であることを条件とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
多くの疾病状態が、口腔中の細菌の作用に伴う。例えば、歯茎及び歯槽骨の感染の炎症である歯肉炎は、アクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)を含む歯垢形成細菌によって分泌される毒素及び他の物質によって起こされる。
【0002】
更に、歯垢は、結石の部位又は歯石の形成を与える。除去されない歯垢が、歯周靭帯に影響する結石(歯石)に硬化した場合、歯周病が発症することができる。歯垢及び歯石が沈着し続けるに従い、歯茎は後退し、継続する感染及び潜在的な歯の喪失に導く。これらの疾病状態を予防又は治療するために、抗細菌剤が、練り歯磨き及びマウスウオッシュのような口腔ケアー組成物中に組込まれている。歯垢、結石、歯石、歯肉炎及び関連する疾病状態を抑制するために、多数の物質が以前から提案され、そして使用されている。
【0003】
これらの慣用的な組成物は有効であることができる。然しながら、異なった医学的、治療的及び経済的必要性を持つ口腔ケアーの患者がいる場合、口腔表面への細菌の沈積及び付着に対して同様に有効である、例えば口腔の細菌によって促進される歯垢の形成並びに他の疾病及び疾患を予防又は減少する組成物及び方法を提供することがやはり好ましい。
【0004】
発明の簡単な概要
本発明は、両性界面活性剤、及びエチレンのモノマーを含んでなるホモ−又はコポリマーを含有する経口組成物に関する。エチレンのモノマーは、ホスホネート基を含む。モノマーは、以下の式(I):
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、
−A及びA’の一つは水素原子であり、そして他方は水素原子又は−(X)の基から選択され;ここにおいて、nは、0又は1から選択され;但し、nが0である場合、mは1であり、そしてnが1である場合、mは1ないし3の整数であることを条件とし;Xは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子から選択され;Rは、独立に水素原子又は有機ラジカルであり;
−Lは、単結合及び連結基から選択され;
−M及びM’は、水素原子、アルカリ金属、及びアンモニウムイオンから独立に選択されるか、或いは共にアルカリ土類金属又は他の二価の元素を形成し;
そして
−pは、1又は2であり、但し、Lが単結合である場合、pは1であることを条件とする]
の構造によって表すことができる。
【0007】
更に含まれるものは、細菌の沈着を阻害する方法、並びに経口組成物の使用により口腔中の炎症の減少によって全身の健康を促進及び維持する方法を含む。
発明の詳細な説明
本発明は、口腔表面の細菌の沈着を阻害する組成物及び方法に関する。特に、本発明は、口腔細菌の口腔表面への沈着及び/又は付着を阻害し、これによって歯垢の形成を阻害するための両性界面活性剤との組合せのホスホン酸ポリマー及び/又はコポリマーを含む組成物の使用に関する。このような組成物は、口腔表面に未希釈で適用することができるか、或いは適用時又は適用後に他の活性剤を含むことができる。
【0008】
本発明は、両性界面活性剤、及びホスホネート基を含んでなるエチレンのモノマーを含んでなるホモ−又はコ−ポリマーの組合せを含有する経口組成物を提供する。組成物は、歯磨き剤、マウスリンス、ロゼンジ、チューインガム、菓子、懸濁液、錠剤、粉末、ペースト、又はゲルを含む、口腔への投与のために適した、いずれかの形態を取ることができる。例示的には、両性界面活性剤は、ベタイン界面活性剤であることができ、そしてホモ−コ−ポリマーは、ビニルホスホン酸のコポリマーである。好ましい態様において、組成物は、更にフェノール含有化合物を含有する。
【0009】
ホモ−又はコ−ポリマーは、いずれもの既知の又は当技術において開発されたものであり、そしてホスホネート基(諸基)(本明細書中で以下“EMP”)のみを含有する、又は他のモノマーと共重合されたEMP(諸)を含有するエチレンのモノマーを含有するポリマーを含むことができる。このような状況において、コポリマーがEMPを含有し、そして他のモノマー(類)が、約1:1、約2:1 約5:1又は約10:1の比であることが好ましい。例示的には、ホモ−又はコ−ポリマーは、ビニルホスホン酸のコポリマー及び50モル%までのビニルホスホン酸以外の一つ又はそれより多い非フッ素化不飽和モノマーを含む。
【0010】
EMPが、以下の式(I):
【0011】
【化2】

【0012】
によって表される構造のものであることが好ましい。
式(I)において、A及びA’の少なくとも一つが水素原子であり、そして他方が水素原子又は−(X)の基であり、ここにおいて、nは、独立に0又は1であり、但し、nが0である場合、mは1であり、そしてnが1である場合、mは独立に1ないし3の整数であることを条件とする。“X”は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子から独立に選択される原子を表す。Rによって表される基は、それぞれ独立に水素原子及び/又は置換された又は非置換の、有機炭化水素ラジカル、好ましくはC1−50有機ラジカル又はC−C18有機ラジカルである。M及びM’は、水素原子、アルカリ金属、及びアンモニウムイオンから独立にそれぞれ選択されるか、及び/又は共に二価のアルカリ土類元素又は他の二価のカチオンを形成する。
【0013】
Lによって表される基は、単結合又は連結基、好ましくはアルキレン基(脂肪族炭素のみを含有)又はアルキレンイミノ基(脂肪族炭素に加えて脂肪族窒素を含有)であることができる。いくつかの態様において、連結基Lが:合計1ないし12個の炭素原子及び窒素原子;1ないし8個の炭素原子及び窒素原子;又は合計1ないし6個の炭素原子及び窒素を含有することが好ましい。pによって表されるグループは、1又は2であり、但し、Lが単結合である場合、pは1であることを条件とする。
【0014】
本発明の組成物中で使用するための更に好ましいホモ−又はコポリマーは、複数のホスホネート基を含有するものを含む。一つの態様において、ポリマーは、複数の式Iの繰返し単位を含んでなるホモ−又はコポリマーである。例えば、ポリマーは、置換された又は非置換の炭化水素ラジカル:アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アシル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホキシ、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルホスフィニル、ジアルキルホスフィノキシ トリアルキルシリルラジカル;ベンジル、ベンゾイル、ベンジルオキシ、ベンジルチオ、ベンジルスルホキシ、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、ベンゾイルアミド、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルホキシ、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルアセトアミド、キシリル、ピリジル及びフラニルから選択することができる。
【0015】
ホモ−又はコ−ポリマーが少なくとも一つの式(I)のEMPを含有する一つの態様において、nは0であることができ、そしてR基は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル及びベンジルラジカルから独立に選択することができる。
【0016】
例示的に、ホモ−又はコ−ポリマーは、式(I)中のAが−(X)であり、nが0であり、mが1であり、そしてRがC1−6アルキル又はフェニル基であり、そしてA’が水素であるホモポリマーである。Rがメチル基である場合、このようなホモポリマーは、ポリ(1−ホスホノプロペン)又はその塩である。別の方法として、Rがフェニル基である場合、ホモポリマーは、ポリ(β−スチレンホスホン酸)又はその塩である。
【0017】
EMPは、M及びM’がそれぞれ水素であるそのホスホン酸の形態で、或いは少なくとも一つのモノマーM及びM’の少なくとも一つがアルカリ金属、典型的にはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであるか;或いはM及びM’は共にアルカリ土類元素(カルシウムのような)又は他の二価の元素であるその塩(部分塩を含む)として存在することができる。
【0018】
一つの態様において、EMPは、ビニルホスホン酸、又はその塩(部分塩を含む)のホモポリマーである。このような化合物は、本明細書中で“ポリビニルホスホネート”として記載され、そして当技術において既知のいずれかの方法によって調製することができる。
【0019】
ポリマーは、いずれもの分子量を有することができ、そしてこのようなものは、具体的な処方及び所望する最終的な利益の特質により、組成物内で変化させることができる。例えば、ポリマーは、少なくとも約1,000、好ましくは約1,000ないし約100,000、約5,000ないし約100,000、約10,000ないし約100,000、約15,000ないし約100,000、約20,000ないし約100,000、約25,000ないし約100,000又は約25,000ないし約90,000の平均分子量を有することができる。一つの態様において、平均分子量は、約22,000より小さくなく、例えば約22,000ないし約90,000、約22,000ないし約70,000又は約25,000ないし約35,000である。もう一つの態様において、平均分子量は、20,000より大きくなく、例えば約5,000ないし約20,000又は約5,000ないし約15,000である。
【0020】
別の方法として、ポリマーは、(a)ビニルホスホン酸から誘導される単位の分子立体配置を有する単位;及び(b)フッ化ビニルホスホニルから誘導される単位のコポリマーであることができる。約2:1ないし約25:1の(a)単位と(b)単位の比が好ましい。
【0021】
コポリマー中の(a)単位は、以下の式:
【0022】
【化3】

【0023】
[(a)nは、(a)単位の数を表す数値である]
の構造を有するとして描写することができる。
(b)単位は、以下:
【0024】
【化4】

【0025】
[mは“コポリマー中の(b)単位の数を表す数値である”]
の構造式を有するとして描写することができる。
(a)及び(b)単位は、コポリマー分子中に無作為に分布されるていることができ、そしてコポリマーは、更に非毒性であり、そして好ましくはコポリマーの所望する抗歯垢及び抗歯肉炎活性を妨害しない種類及び量で、少量の比率の他のエチレンの不飽和のモノマーから誘導されたものを含有することもできる。他のこのようなモノマーは、例えば、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン及びイソブチレンのようなオレフィン;ビニルメチル−、エチル−及びイソブチル−エーテルのようなビニル低級アルキルエーテル;アクリル酸、メタクリル酸、アコニット酸、マレイン酸及びフマル酸並びにそのメチル、エチル、イソブチル及びジメチルアミノエチルエステルのようなアルファ、ベータ−不飽和カルボン酸並びにその低級アルキル及び置換された低級アルキルエステル;アリルアルコール及び酢酸エステル;ハロゲン化ビニル及びビニリデン;酢酸及び酪酸ビニルのようなビニル低級アルカン酸エステル;アクリルアミド及びメタクリルアミド並びにそのN−低級アルキル及びN,N−ジ(低級アルキル)置換誘導体;他のハロゲン化ビニルホスホニル、等を含むことができる。
【0026】
本発明の(a)及び(b)コポリマーは、好ましくは約2,000ないし約50,000、更に好ましくは約3,500ないし約16,000の数平均分子量を有していなければならない。これらは、(a)単位の前駆体としての塩化ビニルホスホニル、及び(b)単位の前駆体としてのフッ化ビニルホスホニルの混合物を、所望による他のモノマーと共に、実質的に無水の条件下で、フリーラジカル触媒の存在中で重合し、そして次いで得られたコポリマーを水と混合して、コポリマー中の塩化ビニルホスホニル単位を、ビニルホスホン酸(a)単位に、加水分解的に転換することによって調製することができる。
【0027】
もう一つの態様において、本発明の組成物中で有用なホスホネートポリマーは、ビニルホスホン酸のホモ−又はコポリマーを含んでなる。好ましい態様において、ビニルホスホン酸コ−又はホモポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって数平均分子量として決定される約4,000ないし9,100、更に好ましくは約6,000ないし8,900の分子量を有する。適したポリマーは、二塩化ビニルホスホニルを、実質的に無水の条件下で、フリーラジカル触媒の存在中で重合することによって、既知の方法によって調製される。重合後、得られたポリマーを水で洗浄して、ビニルホスホン酸ジクロリド単位をホスホン酸単位に加水分解する。得られた遊離酸の状態のポリマーを、好ましくはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン、アルカリ土類、等のような経口的に受容可能なカチオンを含有する塩基性物質で、部分中和を含む中和によって塩の形態に転換する。ビニルホスホン酸を含有するコポリマーは、更に好ましくは約50重量%より少ない、更に好ましくは約10重量%より少ない、そして更に好ましくは約2重量%より少ない少量の比率の他の非フッ素化したエチレンの不飽和モノマーから誘導された繰返し単位を含有することもできる。このような非フッ素化モノマーの非制約的な例は、上記に与えられている。
【0028】
各種の態様において、本発明のホスホネートポリマーは、Lが、アルキレン又はアルキレンイミノ接続基である式Iの反復単位を含有する。Lがアルキレンである代表的なポリマーは、以下の式(II):
【0029】
【化5】

【0030】
の単位を有するポリ(ブテン−4,4−ジホスホネート)ナトリウムを含む。
同様に、Bがアルキレンイミノである例示的なポリマーは、以下の式(III):
【0031】
【化6】

【0032】
の単位を有するポリ−(アリルビス(ホスホノエチル)アミン)である。
本発明の組成物は、更に両性界面活性剤を含有する。両性界面活性剤は、pHにより、負又は正のいずれかの電荷をとるものを含む。適した両性界面活性剤は、制約なしに、カルボキシル酸、硫酸、リン酸、又はホスホン酸のようなイオン基を有するC8−20脂肪族第二、及び第三アミンの誘導体を含む。
【0033】
ベタイン界面活性剤が好ましいものであることができる。一つの態様において、ベタイン界面活性剤は、トリメチルグリシン(ベタイン)の誘導体である。これらは、以下の式(IV):
【0034】
【化7】

【0035】
によって表される構造によって特徴づけることができる。
式中、R及びRIIは、独立に水素又はC1−4アルキルのような低級アルキル、好ましくはメチルである。RIIIは、6個又はそれより多い、好ましくは8個又はそれより多い、そして最も好ましくは12個又はそれより多い炭素原子を含有する疎水性基である。一つの態様において、RIIIはアルキル基であり、そして両性界面活性剤は、アルキルベタインである。非制約的な例は、ラウリルベタインである。もう一つの態様において、RIIIは、アルカミドアルキル基であり、そして両性界面活性剤は、アミドアルキルベタインである。非制約的な例は、ココアミドプロピルベタインである。
【0036】
好ましい態様において、組成物は、更に、一つ又はそれより多いフェノール含有化合物を含有する。各種の態様において、フェノール含有化合物は、芳香剤及び/又は抗細菌剤として機能することができる。これらは、直接接続されたヒドロキシル基を持つベンゼン環を有することによって特徴付けられる。フェノール環上の他の位置は、C1−8アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、及びハロゲンのような各種の基で置換されていることができる。フェノール含有化合物は、更にトリクロサンのようなハロゲン化されたジフェニルエーテル化合物、並びにホノキオール及びマグノロールのようなジフェノール物質を含む。
【0037】
フェノール含有化合物の非制約的な例は、カルバトロール、オイゲノール、4−ヘキシルレゾルシノール、ブロムクロロフェン、チモール、及びトリクロサンを含む。フェノール化合物の更なる非制約的な例は、フェノール及びその同族体;モノ−及びポリアルキル、並びに芳香族ハロフェノール;レゾルシノール及びカテコール、並びにこれらの誘導体;及びビスフェノール化合物を含む。芳香族ハロフェノールの例は、オルト−クロロフェノール、パラ−クロロフェノール、パラ−ブロモフェノール、及びオルト−ブロモフェノールを含む。個々のフェノール含有化合物の更なる非制約的開示は、例えば米国特許第5,296,214号の第3欄、10行目ないし第4欄、32行目に見出され、この開示は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0038】
ビスフェノール化合物は、ホノキオール、マグノロール、デヒドロジオイゲノール、及びこれらの構造的類似体を含む。一つの態様において、フェノール含有化合物は、以下の式(V):
【0039】
【化8】

【0040】
[式中、X及びYの一つは−OHであり、そして他方は−Hであり、そしてR及びRは、独立にC1−8アルキル又はC1−8アルケニルである]
によって表される構造を有する。例は、マグノロール、ホノキオール、及びこれらの類似体を含む。もう一つの態様において、フェノール含有化合物は、以下の式(VI):
【0041】
【化9】

【0042】
[式中、R及びRは、独立にC1−8アルキル又はC1−8アルケニルであり、そしてR及びRは、独立にC1−4アルキル、好ましくはメチルである]
によって表される構造を有する。例は、デヒドロジオイゲノール及び構造的類似体を含む。
【0043】
本発明の組成物は、ホスホネートポリマー、両性界面活性剤、及び好ましくはフェノール含有化合物を、口腔表面への歯垢細菌の付着を阻害するために有効な量で含有する。好都合なモデルにおいて、歯の歯垢形成の阻害の作用は、アクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)の、唾液で被覆されたヒドロキシルアパタイトのビーズへの付着を標準的な方法によって測定することによってシミュレートされる。
【0044】
各種の態様において、経口組成物は、細菌皮膜の形成を予防又は阻害するために口腔表面への適用のために適した形態である。経口組成物の非制約的な例は、練り歯磨き又は歯磨きゲル、歯磨き剤、マウスウオッシュ、マウスリンス、口腔ロゼンジ、チューインガム、食用ストリップ、等を含む。物理的形態によるが、経口組成物は、ホスホネートポリマー、両性界面活性剤、及び好ましくはフェノール化合物に加えて、慣用的な成分を含有する。
【0045】
生物学的に受容可能な担体に加えて、本発明の経口組成物は、好ましくは口腔の細菌の増殖を阻害する有効な量の化合物又は化合物類を含有する。いくつかの態様において、このような化合物は、先に記載したようなフェノール含有化合物である。別の方法として、経口組成物は、フェノール含有化合物以外の抗細菌性化合物を含有する。各種の態様において、抗細菌的に有効な量は、経口組成物の全重量に基づいて、約0.001%ないし約10%の量、例えば0.01%ないし約5%、又は約0.1%ないし約2%である。有効な量は、経口組成物の形態によって変化するものである。例えば、練り歯磨き、歯磨きゲル、及び粉末歯磨きにおいて、有効な量は、通常少なくとも約0.01%、そして更に好ましくは少なくとも約0.05%である。いくつかの好ましい態様において、抗細菌性化合物は、所望する抗細菌活性のレベルを達成するために、練り歯磨き、ゲル、又は粉末中に0.1%又はそれより多いレベルで存在する。通常、抗細菌性化合物は、組成物の全重量に基づいて、5%又はそれより少なく、好ましくは約2%又はそれより少なく、そして更に好ましくは約1%又はそれより少なく処方される。これらの制限の上端の濃度を使用することができるが、しかし時には経済的理由のためにあまり好ましくない。各種の態様において、最適な有効性は、約0.1%ないし約1%、特に約0.1%ないし約0.5%又は約0.1%ないし約0.3%で達成され、ここにおいて、全てのパーセントは、経口組成物の全重量に基づいている。歯磨きゲル、粉末歯磨き、ガム、食用ストリップ、等中に使用される量は、練り歯磨き中で使用されるものに匹敵する。
【0046】
マウスウオッシュ及びリンスにおいて、抗細菌的に有効な量は、通常上記の範囲の低い側である。典型的には、抗細菌性化合物は、約0.001%(又は10ppm)ないし約1%まで又はそれより小さい、好ましくは約0.5%又はそれより小さい、或いは約0.2%又はそれより小さいレベルで使用される。好ましくは、これは約0.01%(100ppm)又はそれより大きい。各種の態様において、経口組成物は、約0.03ないし約0.12重量%の抗細菌性化合物を含んでなる。
【0047】
抗細菌性化合物に加えて、多くの活性成分及び機能性物質が、本発明の各種の組成物中に含まれる。このような物質は、制約なしに、研磨剤、湿潤剤、界面活性剤、抗結石剤、増粘剤、粘度改良剤、抗齲歯剤、芳香剤、着色剤、付加的抗細菌剤、抗酸化剤、抗炎症性成分、等を含む。これらは、本発明の経口組成物のペースト、リンス、ガム、ロゼンジ、条片、及び他の形態に、既知の方法によって加えられる。
【0048】
各種の形態において、経口組成物は、好ましくは歯のエナメル質を研磨するか、又は白色化効果を与えるかのいずれかのために貢献する、歯科的に受容可能な研磨剤を含んでなる。非制約的な例は、シリカゲル及び沈降シリカのようなシリカ研磨剤を含む。商業的な態様は、J.M.Huberによって販売されているZEODENT(登録商標)115及びW.R.Grace & Co.のデービソン化学事業部のSYLODENT(登録商標)XWA、SYLODENT(登録商標)783又はSYLODENT(登録商標)650XWAを含む。他の有用な歯磨き研磨剤は、制約なしに、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ケイ酸アルミニウム、焼成アルミナ、ベントナイト又は他のケイ素系物質、或いはこれらの混合物を含む。
【0049】
本発明の組成物は、例えば練り歯磨きを空気中に暴露したときに硬化するのを防ぐために有用な、湿潤剤を含有することができる。制約なしに、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、及び低分子量PEGのような多価アルコールを含む、いずれもの経口的に受容可能な湿潤剤を使用することができる。殆んどの湿潤剤は、更に甘味剤としても機能する。一つ又はそれより多い湿潤剤が、全量が組成物の約1%ないし約70%、例えば約1%ないし約50%、約2%ないし約25%、又は約5%ないし約15重量%として、所望により存在する。
【0050】
組成物は、相乗的な抗歯垢効果を供給する両性界面活性剤以外の界面活性剤を含有することができる。その殆んどがアニオン性、非イオン性又は両性であるいずれもの経口的に受容可能な界面活性剤を使用することができる。適したアニオン性界面活性剤は、制約なしに、硫酸C8−20アルキルの水溶性塩、C8−20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシネート、タウレート、等を含む。これらの及び他の群の例示的な例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ココナツモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルイソチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む。適した非イオン性界面活性剤は、制約なしに、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪族アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三アミンオキシド、第三ホスフィンオキシド、及びジアルキルスルホキシドを含む。適した両性界面活性剤は、制約なしに、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基又はホスホン酸基のようなアニオン性基を有するC8−20脂肪族第二及び第三アミンの誘導体を含む。適した例は、ココアミドプロピルベタインである。一つ又はそれより多い界面活性剤が、全量が組成物の約0.01%ないし約10%、例えば約0.05%ないし約5%又は約0.1%ないし約2重量%として、所望により存在する。
【0051】
抗結石剤は、いずれもの当技術において既知の、又は開発されたものであることができる。一つ又はそれより多いこのような薬剤が存在することができる。適した抗結石剤は、制約なしに、リン酸塩及びポリリン酸塩(例えばピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸のようなポリペプチド、スルホン酸ポリオレフィン、リン酸ポリオレフィン、アザシクロアルカン−2,2−ジホスホネート(例えば、アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸)、N−メチルアザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(EHDP)及びエタン−1−アミノ−1,1−ジソスホネートのようなジホスホネート、ホスホノアルカンカルボン酸並びにこれらの薬剤のいずれかの塩、例えばこれらのアルカリ金属及びアンモニウム塩を含む。有用な無機リン酸及びポリリン酸塩は、例示的に、一塩基、二塩基及び三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、テトラポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸モノ−、ジ−、トリ−及びテトラナトリウム、ポリリン酸二水素二ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を含み、ここにおいて、所望によりナトリウムを、カリウム又はアンモニウムによって置換することができる。他の有用な抗結石剤は、ポリカルボン酸ポリマーを含む。これらは、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸又は無水マレイン酸のようなカルボン酸基を含有するモノマーのポリマー或いはコポリマーを含む。非制約的な例は、ISP,Wayne,NJからGantrezTMの商標で入手可能なもののようなポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸(PVMA/MA)コポリマーを含む。更に他の有用な抗結石剤は、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、グルタル酸及びシュウ酸並びにこれらの塩のようなヒドロキシカルボン酸、並びにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなアミノポリカルボン酸を含む捕捉剤を含む。一つ又はそれより多い抗結石剤が、抗結石的に有効な全量で、典型的には約0.01%ないし約50%、例えば約0.05%ないし約25%、又は約0.1%ないし約15重量%で組成物中に所望により存在する。
【0052】
もう一つの態様において、組成物は、フッ化物イオンの経口的に受容可能な供給源を含んでなる。一つ又はそれより多いこのような供給源が存在することができる。フッ化物イオンの適した供給源は、フッ化物、モノフルオロリン酸及びフルオロケイ酸塩、並びにオラフルール(N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−ジヒドロフルオリド)を含むアミンフッ化物を含む。制約なしに、アルカリ金属(例えば、カリウム、ナトリウム)、アンモニウム、スズ及びインジウム塩等を含む、経口的に受容可能であるいずれものこのような塩を使用することができる。水溶性のフッ化物を放出する塩が典型的には使用される。一つ又はそれより多いフッ化物を放出する塩が、合計約100ないし約20,000ppm、約200ないし約5,000ppm、又は約500ないし約2,500ppmのフッ化物イオンを与える量で、所望により存在する。フッ化ナトリウムが、存在する唯一のフッ化物を放出する塩である場合、例示的に約0.01%ないし約5%、約0.05%ないし約1%又は約0.1%ないし約0.5重量%の量のフッ化ナトリウムが組成物中に存在する。
【0053】
他の成分は、制約なしに、芳香剤、着色剤、及び抗酸化剤及び抗炎症剤のような他の活性成分を含む。成分は、既知の方法によって経口組成物中に調合される。
歯磨きペースト及びゲルは、主要な量の湿潤剤及び通常歯の清掃のための研磨化合物又は化合物類を含有する。これらは、抗細菌性化合物Iに加えて、抗齲歯剤、抗歯垢化合物、抗炎症剤、等のような各種の活性成分と共に調合される。
【0054】
マウスリンス及びマウスウオッシュは、活性化合物Iを、水又は水/エタノールのような液体担体中に含有する。一般的に、組成物は、98又は99重量%までの主要な量の溶媒を含有する。活性化合物Iは、所望により界面活性剤、着色剤、芳香剤、及び他の活性成分と一緒に調合される。
【0055】
もう一つの態様において、本発明は、動物の口腔表面に歯垢の形成を与えることを提供する。この方法は、複数のホスホネート基を含んでなるエチレンのポリマー物質との組合せで両性界面活性剤を含有する経口組成物を口腔表面に適用することを含んでなる。各種の態様におけるエチレンのポリマー物質は、先に記載したホスホネートポリマーを含む。組成物は、好ましくはベタイン界面活性剤を含有し、そして更にフェノール含有化合物を含有する。各種の態様において、歯のような口腔表面へ適用する組成物が、表面上の歯垢の形成を、ポリマー物質又は両性界面活性剤のいずれかを欠いている組成物より高い程度で阻害することが観察されている。この方法は、ヒト又は非ヒトの患者に行うことができる。
【0056】
もう一つの態様において、本発明は、患者の全身の健康を改善又は維持する方法を提供する。この方法は、患者の口腔に、経口的に受容可能な担体、ベタイン界面活性剤、複数のホスホネート基を含んでなるポリマー、及び抗細菌性フェノール組成物を含有する経口組成物を適用することを含んでなる。組成物の口腔への適用は、細菌のレベルを減少する。各種の態様において、ポリマーは、先に記載したホスホネートポリマーのいずれかを含んでなる。
【0057】
実施例
実施例1−マウスリンス製剤
成分 重量%
ソルビトール 10.0
テゴベタイン(13%水溶液) 1.42
グリセリン 10.0
PVPA、ナトリウム塩 3.61
エタノール(95%水溶液) 10.0
プロピレングリコール 7.0
フェノール香料 0.15
水(メントール) 100.0になるまで。
【0058】
上記の成分を、一日2回使用することができるマウスリンスに混合した。
実施例2−練り歯磨き製剤
成分 重量%
グリセリン 25.0
カルボキシメチルセルロース 1.3
サッカリン 0.3
フッ化ナトリウム 0.3
シリカ 30.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
テゴベタイン(30%水溶液) 1.7
フェノール香料(メントール) 1.0
PVPA、ナトリウム塩 3.0
水 100.0にする。
【0059】
上記の成分を、一日2回使用することができる練り歯磨きに調合した。
実施例3
実施例Iのマウスリンス製剤(formulation)を、ヒトの臨床試行において歯垢阻害パーセントについて試験した。これを、同様の、しかしベタイン及びフェノール含有化合物を欠いている製剤と比較した。実施例1のマウスウオッシュにおいて、36%の歯垢の阻害が観察された。ベタイン及びフェノール含有化合物を含まない比較のマウスリンスにおいて、歯垢の21%阻害が観察された。
【0060】
実施例4
各種のマウスリンス製剤を、実施例1のマウスリンスと比較した。実施例6のように、実施例1のマウスリンスは、歯垢の36%阻害を示した。
【0061】
実施例1のような、しかし0.03のトリクロサンをPVPAの代わりに含有する比較例は、歯垢の26%減少を示した。
実施例1のような、しかしPVPA及びフェノール香料を欠いているマウスリンスは、歯垢の19%阻害を示した。
【0062】
実施例1のような、しかしテゴベタイン及びフェノール香料を欠いているマウスリンスは、歯垢の21%阻害を示した。
実施例1のような、しかしPVPAを欠いているマウスリンスは、歯垢の13%阻害を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両性界面活性剤;及び
ホスホネート基を含んでなるエチレンのモノマーを含んでなるホモ−又はコポリマー;
を含んでなる、経口組成物。
【請求項2】
歯磨き剤、マウスリンス、ロゼンジ、及びチューインガムからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記両性界面活性剤が、ベタイン界面活性剤を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが、ビニルホスホン酸のコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
更に、フェノール含有化合物を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
両性界面活性剤;及び
以下の式(I):
【化1】

[式中、
−A及びA’の一つは水素原子であり、そして他方は水素原子又は−(X)の基から選択され;ここにおいて、nは、0又は1から選択され;但し、nが0である場合、mは1であり、そしてnが1である場合、mは1ないし3の整数であることを条件とし;Xは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子から選択され;Rは、独立に水素原子又は有機ラジカルであり;
−Lは、単結合及び連結基から選択され;
−M及びM’は、水素原子、アルカリ金属、及びアンモニウムイオンから独立に選択されるか、或いは共にアルカリ土類金属又は他の二価の元素を形成し;
そして
−pは、1又は2であり、但し、Lが単結合である場合、pは1であることを条件とする]
の構造によって表されるモノマーを含んでなるホモ−又はコポリマー;
を含んでなる、経口組成物。
【請求項7】
Lが、アルキレンラジカル又はアルキレンイミノラジカルから選択される連結基を表す、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが、少なくとも約1,000の数平均分子量を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、ベタイン界面活性剤である、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
Lが単結合である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
nが0である、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
−ベタイン界面活性剤;及び
−ビニルホスホン酸のホモ−又はコポリマー或いは塩の形態のビニルホスホン酸;
を含んでなる、経口組成物。
【請求項13】
前記ホモ−又はコポリマーが、ポリビニルホスホン酸モノマーを含んでなる、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
更に、フェノール含有化合物を含んでなる、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
口腔の表面に、両性界面活性剤及びホスホネート基を含んでなるエチレンのモノマーを含んでなるホモ−又はコポリマーを含んでなる、経口組成物を適用することを含んでなる、歯の表面の細菌の付着を阻害するための方法。
【請求項16】
前記ホスホネート基を含んでなるエチレンのモノマーが、少なくとも50モル%の量でポリマー中に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ホスホネート基を含んでなるエチレンのモノマーが、少なくとも90モル%の量でポリマー中に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記両性界面活性剤が、ベタイン界面活性剤を含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ホモ−又はコポリマーが、以下の式(I):
【化2】

[式中、
−A及びA’の一つは水素原子であり、そして他方は水素原子又は−(X)の基から選択され;ここにおいて、nは、0又は1から選択され;但し、nが0である場合、mは1であり、そしてnが1である場合、mは1ないし3の整数であることを条件とし;Xは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子から選択され;Rは、独立に水素原子又は有機ラジカルであり;
−Lは、単結合及び連結基から選択され;
−M及びM’は、水素原子、アルカリ金属、及びアンモニウムイオンから独立に選択されるか、或いは共にアルカリ土類金属又は他の二価の元素を形成し;
そして
−pは、1又は2であり、但し、Lが単結合である場合、pは1であることを条件とする]
の構造によって表されるモノマーを含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
表面又は口腔に、両性界面活性剤、及びホスホネート基を含んでなるエチレンのモノマーを含んでなるホモ−又はコポリマーを含んでなる、経口組成物を適用することを含んでなる、ヒトの全身の健康を増進又は改善するための方法。

【公表番号】特表2009−504747(P2009−504747A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527054(P2008−527054)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/031803
【国際公開番号】WO2007/022167
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】