可動式手摺り構造
【課題】建物等の出入口開口を水平姿勢で横切るように建物の壁面に設置された回動手摺り材を、その一端を支点として回動可能に構成して、出入口開口を使用時には鉛直姿勢に退避させ、且つその位置に固定して使用可能な可動式手摺り構造を提供する。
【解決手段】回動用手摺り連結部は、建物の壁面に固定された支持具に支持される支持ソケット部材と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材と、前記支持ソケット部材と回動ソケット部材とを回動可能に連結するジョイント機構とから成り、鉛直姿勢固定部は、壁面に設置した支持ブラケット部材と、回動手摺り材の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材で支持・固定される被支持部材とから成り、回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材は、鉛直姿勢固定部の被支持部材を支持ブラケットへ掛け止めて固定される。
【解決手段】回動用手摺り連結部は、建物の壁面に固定された支持具に支持される支持ソケット部材と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材と、前記支持ソケット部材と回動ソケット部材とを回動可能に連結するジョイント機構とから成り、鉛直姿勢固定部は、壁面に設置した支持ブラケット部材と、回動手摺り材の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材で支持・固定される被支持部材とから成り、回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材は、鉛直姿勢固定部の被支持部材を支持ブラケットへ掛け止めて固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物等の出入口開口を水平姿勢で横切るように建物の壁面に設置された回動手摺り材を、その一端を支点として回動可能に構成して、出入口開口を使用時には鉛直姿勢に退避させ、且つその位置に固定して使用可能な可動式手摺り構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者やリハビリテーションを行っている要介護者は、自力で家や公共施設等の建物内を移動する方法として、その壁面に沿って設けられる手摺り材を伝い歩くことが広く行われている。要介護者は、僅かな距離であっても手摺り材が設置されていないと移動が困難であり、転倒事故につながる虞がある。そのため、出入口開口を使用する際に鉛直姿勢に退避可能な回動手摺り材を使用して建物の壁面に水平方向に連続した手摺り材を設けることが実用に供されている。
【0003】
上記のような手摺り構造が特許文献1に開示されて公知である。図14Aに例示したように、出入口開口の横幅の長さに形成された回動手摺り材13の一端が壁面に固定された固定具14を支点15として回動可能に取り付けられ、同回動手摺り材13の水平姿勢または鉛直姿勢を固定して使用可能な構成とされている。したがって、通常時には固定具14と反対方向の壁面に設けた保持材16で回動手摺り材13の水平姿勢を固定して連続的に設置でき、出入口開口を使用する際には、回動手摺り材13を回動して持ち上げて出入口開口の脇へ退避させその鉛直姿勢を固定できる。鉛直姿勢の固定手段は、図14Bに示すように、壁面に取り付けた保持具17(ブラケット)内へ、回動手摺り材13の支点15の反対側の端部に形成された掛止具18が掛け止められて固定される。
【特許文献1】特許第3585423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の可動式手摺り構造は、出入口開口においても回動手摺り材13を水平方向に連続して設け、出入口開口の使用を妨げない効果は認められる。しかし、回動手摺り材13を鉛直姿勢に固定するために設置される保持具17(ブラケット)の高さ位置は、回動手摺り材13の端部に設けられる掛止具18との関係から、出入口開口の横幅の長さに形成された回動手摺り材13のスパンにより決定されることになる。その為、保持具17の高さ調節ができず、回動手摺り材13の長さ次第では顔の高さ位置(目など)にくる場合があり大変危険である。また、保持具17(ブラケット)は壁からの出幅が回動手摺り材13より出っ張る形状とされているため、出入口開口を人や物が出入りする際に利用者が体を傷つけてしまったり服を引っかけたりする虞があり危険である。特に要介護者にとっては服を引っ掛ける程度の些細な事でも転倒して大事故につながる虞があるため見過ごすことはできない問題である。
【0005】
回動可能な支点15の位置としては、家具等の配置位置や利用者の障害の程度等々を考慮すると、右側のみならず左側にも取り付ける場合が当然考えられる。しかし、水平方向に連続するような手摺りを取り付ける場合、壁への取り付け部に対し、固定手段に対称性がないこと、また前記回動手摺り材13と掛止具18とが一体形成されているので、左側に支点15を設けようとした場合に兼用ができない。したがって、左側に支点15を設ける場合には、各部材を左側専用に成型して実施しなければならず非常に面倒であるし、左側専用部材、右側専用部材が必要となりその商品点数が多くなり在庫管理等が大変となる。
【0006】
また、回動可能な支点15が特殊な形状で複雑な構成の部材とされているが故に、例えば図1、図13のような取り付けを実施するには、更に特殊で複雑な構成の部材が必要となり制作費が嵩みコスト高である。
【0007】
上記回動手摺り材13の一側に連結された固定具14は、図14A又は同公報の図5、図6に示すようにその他側が壁面に固定される構成である。しかし、前記固定具14の他側は出入口開口の左右に隣接される別の手摺り材又はブラケットとする支持具に連結される場合がある。そのため、特許文献1の可動式手摺り構造は、出入口開口の左右の設置環境に自在に適合させることはできず、適合させるには、固定具14の他側の形状を取り付け環境に合わせたものが数種類必要となり、現場での左右変更等の細かな対応が至難で作業効率が悪い。
【0008】
本発明の目的は、安全性が高く、左右に兼用可能として商品点数を少なくし、単純な構成で、コストを低減でき、出入口開口の利用に至便で、左右の設置環境に合わせた様々なパターンを実施可能な可動式手摺り構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る可動式手摺り構造は、
建物等の出入口開口などを水平姿勢で横切り建物の壁面に設置された回動手摺り材の一端に回動用手摺り連結部を設け、他端には水平姿勢を固定する掛け止め部を設けていると共に、他端を前記掛け止め部から外して前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材を固定する鉛直姿勢固定部を設けて成る可動式手摺り構造であって、
前記回動用手摺り連結部は、建物の壁面に固定された支持具に支持される支持ソケット部材と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材と、前記支持ソケット部材と回動ソケット部材とを回動可能に連結するジョイント機構とから成り、
前記鉛直姿勢固定部は、壁面に設置した支持ブラケット部材と、回動手摺り材の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材で支持・固定される被支持部材とから成り、
前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材は、前記鉛直姿勢固定部の被支持部材を支持ブラケットへ掛け止めて固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した可動式手摺り構造において、
回動用手摺り連結部の回動ソケット部材は、回動手摺り材に連結可能な円筒部と、同円筒部の一側端面の中央部から突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板に円筒部の軸心方向の長孔が形成されており、
支持ソケット部材は、建物の壁面に固定された支持具に支持される円筒部と、同円筒部の一側端面から前記ジョイント板を挟む配置で突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板にピン孔が設けられ、更にジョイント板の上面に段差部が形成されており、
前記支持ソケット部材のジョイント板と回動ソケット部材のジョイント板とを互い違いに組み合わせ、それぞれのピン孔と長孔へピンを差して回動可能に連結してジョイント機構が形成されており、
回動手摺り材は長孔の範囲内でピンを移動させて回動することができ、鉛直姿勢において回動ソケット部材の円筒部の下端面を支持ソケット部材の段差部へ載置可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した可動式手摺り構造において、
鉛直姿勢固定部を構成する支持ブラケット部材は、壁面へ固定される取り付け部から腕部がL字形状に伸び、その先端に被支持部材を支持する受け部が平面視を1/4円弧状に形成されて成り、
前記受け部の受け面及び被支持部材の外面のいずれか一方に溝を、他方に突起が設けられ、前記溝と突起とを掛け止めて固定するロック機構が構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造において、
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に沿って固定され水平方向に出入口開口などの手前位置まで配置された手摺り材であり、同手摺り材の端部へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造において、
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に固定されたブラケット材であり、同ブラケット材へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した可動式手摺り構造において、
支持ブラケット部材の受け部は、壁面の位置から見てL字形状の腕部よりも前方に突き出ない形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項3に記載した可動式手摺り構造において、
被支持部材に溝を、支持ブラケット部材に突起が設けられており、被支持部材の溝はその下端部が幅広に形成され且つ直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の突起は前記溝に対応する位置と形状で且つ支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項3に記載した可動式手摺り構造において、
被支持部材に突起を、支持ブラケット部材に溝が設けられており、被支持部材の突起は直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の溝は前記突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられ、前記突起と対応する位置で、支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項7に記載した可動式手摺り構造において、
被支持部材の外面に直径に対して左右対称な位置に設けられた溝は、突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられたH型形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜9に記載した発明に係る可動式手摺り構造1は、以下の効果を奏する。
(1)鉛直姿勢固定部4を、壁面Wの任意高さ位置に設置した支持ブラケット部材40と、回動手摺り材2の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材40で支持・固定される被支持部材41とで成る別物品とする構成としたので、人の目の高さを避けた安全な取り付け高さ位置を任意に設定でき安全性を確保できる。
(2)支持ブラケット部材40の受け部40cは、壁面Wの位置から見てL字形状の腕部40bよりも前方に突き出ない形状であり、出入口開口を出入りする利用者、特に要介護者が体に傷を付けたり服を引っかけるなどの虞を防止しやはり安全性が確保できる。
(3)支持ブラケット部材40の受け部40cの受け面及び被支持部材41の外面のいずれか一方に溝41a又は40d’を、他方に突起41a’又は40dを設け、前記突起41a’又は40dを溝41a又は40d’内へ落とし込むと、溝と突起の側面同士が手前方向に干渉して掛け止められて固定するロック機構としたので、回動手摺り材2の鉛直姿勢の固定を上下の動作だけの簡易な方法ででき、出入口開口の利用に至便である。のみならず、ロック機構を鋳造段階で容易に形成可能な突起と溝という単純な構成で実現でき、もってはコストの削減を図ることができる。
(4)被支持部材41の外面に設けた溝41a又は突起41a’は、被支持部材41の直径Xに対して左右対称な位置及び形状に形成し、支持ブラケット部材40の突起40d又は溝40d’は、前記被支持部材41の溝41a又は突起41a’と対応する位置と形状で、支持ブラケット部材40全体を通る水平方向の中心面Yに対して上下対称に形成したので、出入口開口の左右いずれの壁面Wにも両部材を180度反転させて兼用できる。よって、支持ブラケット部材40と被支持部材41は一種類の形状品でよくなり、商品点数を少なくして在庫及びその管理を簡略化し施工も容易ならしめる。
(5)回動用手摺り連結部3は、支持具6に連結可能な円筒部31を有する支持ソケット部材30と、回動手摺り材2に連結可能な円筒部35を有する回動ソケット部材34とを回動可能に連結して、同回動用手摺り連結部3の端部を円筒部31、34(ソケット形状)としたので、特に円筒部31においてはブラケット又は別の手摺り材とする支持具6であってもその端部へ単に差し込むという簡易な方法で連結でき、出入口開口の左右の設置環境に合わせた様々なパターンを実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、建物等の出入口開口Kなどを水平姿勢で横切り、建物の壁面に設置された回動手摺り材2の一端に回動用手摺り連結部3を設け、他端には水平姿勢を固定する掛け止め部7を設けていると共に、他端を前記掛け止め部7から外して前記回動用手摺り連結部3を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材2を固定する鉛直姿勢固定部4を設けて成る可動式手摺り構造1である。
前記回動用手摺り連結部3は、建物の壁面に固定された支持具6に支持される支持ソケット部材30と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材34と、前記支持ソケット部材30と回動ソケット部材34とを回動可能に連結するジョイント機構とから成る。
前記鉛直姿勢固定部4は、壁面に設置した支持ブラケット部材40と、回動手摺り材2の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材40で支持・固定される被支持部材41とから成る。
前記回動用手摺り連結部3を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材2は、前記鉛直姿勢固定部4の被支持部材41を支持ブラケット40へ掛け止めて固定される。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明に係る可動式手摺り構造1の実施例を、図面に基づいて説明する。
先ず、図1には、回動手摺り材2の一端に回動用手摺り連結部3を設け、他端に水平姿勢を固定する掛け止め部7を設けて、出入口開口Kの片面に沿って水平方向に横切る水平姿勢で建物の壁面Wに固定した可動式手摺り構造1の実施例を示した。出入口開口Kはドアや窓等の開口部である。前記掛け止め部7は従来からよく使用されている汎用品で、例えば支持材6に支持される支持部70と、回動手摺り材2に連結される連結部71とで構成され、両者の端部はソケット機能を発揮する円筒部とされてる。
図2は、回動手摺り材2の他端を前記掛け止め部7の支持部70と連結部71とを切り外し、前記一端の回動用手摺り連結部3を支点として回動手摺り材2を鉛直姿勢に回動し、鉛直姿勢固定部4により同鉛直姿勢を固定した状態を示した。
【0021】
前記回動用手摺り連結部3は、図1〜図3に示すように、壁面に固定された支持具6に連結される支持ソケット部材30と、前記回動手摺り材2の一端に連結される回動ソケット部材34と、前記支持ソケット部材30と回動ソケット部材34とを回動可能に連結するジョイント機構とから構成されている。
【0022】
図4に回動用手摺り連結部3の具体的構成を示した。前記回動ソケット部材34は、回動手摺り材2に連結可能なソケット形状とされた円筒部35と、同円筒部35の一側端面の中央部から突き出されたジョイント板36とから成る。前記ジョイント板36には同円筒部35の軸心方向の長孔37が形成されている。前記ジョイント板36の横幅は、前記円筒部35の直径と同幅を有し、その厚さは後述する支持ソケット部30のジョイント板32、32内に嵌め込める程度とされている。また、その先端がジョイント板36の回動をスムーズならしめるために1/4円弧形状とされている。
【0023】
次に、支持ソケット部材30は、同支持具6に支持されるソケット形状とされた円筒部31と、同円筒部31の一側端面から前記ジョイント板36を挟む配置にするべく適切な間隔を空けて突き出された2本のジョイント板32、32とで成る。前記ジョイント板32は軸方向に対して直交する配置にピン孔33、33が設けられ、更にその上面に段差部32aが形成されている。
【0024】
前記円筒部31を支持する支持具6は、建物の壁面に沿って固定され水平方向に出入口開口Kの手前位置まで配置された別の(既存の)手摺り材としており、同手摺り材2の端部へ前記支持ソケット部材30の円筒部31を差し入れて連結し、建物の壁面に沿って水平方向に連続した手摺り構造を実施できる(請求項4に記載した発明)。勿論この限りではなく、図13に示すように、支持具6’が出入口開口Kの両脇壁面Wに固定されるL形状のブラケット材6’の場合には、同ブラケット材6’の先端へ支持ソケット30部の円筒部31を差し入れて連結される。図示の通り回動手摺り材2の反対側の端部は掛け止め部7の支持部70とブラケット材6’とが連結する構成として実施できる。上記のようにして出入口開口の両側の取り付け環境に適合させて様々な実施パターンで適用できる。
【0025】
上記のような構成の回動用手摺り連結部3は、前記支持ソケット部材30のジョイント板32、32と回動ソケット部材34のジョイント板36とを互い違いに組み合わせて、それぞれのピン孔33と長孔37へピン5を差し渡して回動可能に連結したジョイント機構を形成する。
【0026】
次に、回動用手摺り連結部3が回動する原理について図5、図6から説明する。
回動ソケット部材34は、図5に示すように、長孔37の範囲内で差し込まれたピン5を移動させて回動することが可能である。更に云うと同長孔37の先端部寄り(図示では左端)であると、回動ソケット部材34はスムーズに上下方向に180度回動可能となる。因みに、回動手摺り材2が水平姿勢に固定される状態は、回動ソケット部材34の長孔37のピン5の位置が先端寄りとなっており、上記掛け止め部7を掛け外せば直ちに回動可能な状態にある。
【0027】
そして、図6Aが示すように、図5の如くピン5の位置を先端寄りのまま回動手摺り材2を鉛直方向に回動して立てた後、図6Bが示すように、回動手摺り材2を下方位置へ下ろして、回動ソケット部材34の長孔37のピン5の位置を内端寄り(図示では上端)へ移動させる。すると、回動ソケット部材34の円筒部35の下端面が支持ソケット部材30の段差部32aの上端面へ載置されて、回動ソケット部材34、もっては回動手摺り材2の鉛直姿勢を支持できる。
【0028】
次に、上記鉛直姿勢固定部4について説明する。
鉛直姿勢固定部4は、図3に示すように、回動手摺り材2を鉛直姿勢に固定するものである。その構成は、図3、図7に示すように、支持ブラケット部材40と、回動手摺り材2の他端寄り位置へ取り付けた、前記支持ブラケット部材40で支持・固定される被支持部材41とで成る別物品として構成されている。被支持部材41は端的に言うと、回動手摺り材2の支持ブラケット部材40と接触する高さ位置へ挿入され取り付けられている。
したがって、前記鉛直姿勢固定部4は従来のように手摺り材の先端の掛け止め部7へ設けないので、前記被支持部材41と支持ブラケット部材40の取り付け位置が、回動手摺り材2の長さで決定されることなく、利用者に危険の及ばない高さ位置に任意に設置できる。
【0029】
前記支持ブラケット部材40は、一側端(基端)に壁面Wへ固定可能な円形状の取り付け部40aを有しており、同取り付け部40aに設けられたねじ穴へねじ等を締め込んで前記壁面Wの安全な高さ位置に取り付ける(図示省略)。また、支持ブラケット部材40からL字形状に伸びる腕部40bが形成されている。同腕部40bの先端には、被支持部材41を受ける受け部40cが平面視を1/4円弧形状に形成されている。
【0030】
本発明のロック機構は、前記受け部40cの受け面及び被支持部材の外面のいずれか一方には溝を、他方には突起を設けて掛け止めする構成とされている。例えば、図7には被支持部材41に溝41aを、支持ブラケット部材40に突起40dを設けた例を示した。
前記被支持部材41の溝41aはその下端部が幅広に形成され且つ直径Xに対して左右対称な位置に設けられている。対する支持ブラケット部材40の突起41dは前記溝41aに対応する位置と形状で且つ支持ブラケット部材全体を通る中心面Yに対して上下対称に形成されている。
【0031】
もちろん、上記の限りではなく、突起と溝を反対に取り付けて実施することも考えられる。つまり、図8に示すように、被支持部材41側に突起41a’を、支持ブラケット部材40側に溝40d’を設けて実施できる。つまり、被支持部材41の突起41a’は直径Xに対して左右対称な位置に設け、支持ブラケット部材40の溝40d’は前記突起41a’を挿入可能な溝幅を上下方向に亘って設け、溝の中間位置には水平方向の止め具Sを設け、前記突起41a’と対応する位置で且つ支持ブラケット部材40全体を通る中心面Y(図7と同様のため図示省略)に対して上下対称に形成する構成である。この限りではなく上述した前記被支持部材41の外面に直径に対して左右対称な位置で設けられる溝41a(図7)が、前記支持ブラケット部材40の溝40d’の形状と略同様に、突起を挿入可能な溝幅を上下方向に亘って設け、溝の中間位置には水平方向の止め具を設けたH型形状に形成して実施しても良い(請求項9記載の発明)。
上記のような形状又は配置とされた溝又は突起に構成したので、図11A、図11Bに示すように出入口開口Kの左右のいずれの壁面Wにおいても180度反転すれば容易に兼用でき、支持ブラケット部材40と被支持部材41は一種類の形状品でよくなり商品点数を少なくして在庫及びその管理を簡略化し施工も容易ならしめる。
【0032】
次に、溝と突起とを掛け止める方法について、図5、図6、図9から説明する。
即ち、図5、図6Aに示した如く、回動手摺り材2は、回動用手摺り連結部3の長孔37のピン5の位置を先端寄りを保持したまま鉛直方向に立てられると、図9Aに示すように回動手摺り材2に取り付けた被支持部材41の高さ位置が支持ブラケット部材40の高さ位置よりも高くなる。そして、図6Bの如く回動手摺り材2を下方へ下ろして、ピン5をジョイント板32の長孔37の下方位置(内端寄り)へ落とすと、図9Bに示すように、被支持部材41の溝41a内に支持ブラケット部材40の突起40dが落とし込まれて掛け止められると同時に図6Bの如く回動用手摺り連結部3の支持ソケット部材30の段差部32aの上端面に円筒部35の下端部が載置される。斯くして、回動用手摺り連結部3と、固定用手摺り支持ソケット4とを溝に突起を掛け止めて回動手摺り材2の鉛直姿勢を支持・固定する作業を回動手摺り材2の上下の動作のみで行えるのである。
【0033】
前記支持ブラケット部材40の受け部40cは、図10に示すように、壁面Wの位置から見てL字形状の腕部40bよりも前方に突き出ない形状としている。つまり、壁面Wからの出幅H1を回動手摺り材2の出幅H2より出っ張らない形状である。したがって、出入口開口を使用する利用者、特に要介護者が支持ブラケット部材40に体や服を引っかける虞を防止し安全性を確保できる。
【0034】
図12には、図7の構成で掛け止められた支持ブラケット部材40と被支持部材41とが万が一外れる虞があることを考慮して安全ストッパー8を取り付けた一例を示した。
【0035】
前記安全ストッパー8は受け部40cの背面位置に設けられ、上げ下げ可能なノブ80と、同ノブ80と連結され且つ受け部40c内を貫通し、被支持部材41の溝41a、41aの中間位置に設けた貫通孔41bへその内周面から出ない位置まで差し込んで固定する心棒81と、前記心棒81の両脇に配置されノブ80の上げ下げにより前記貫通孔41bへの出し入れを調整可能とするバネ82とから構成されている。したがって、被支持部材41の溝41aと受け部40cの突起40dとを掛け止めた後、安全ストッパー8のノブ80を下ろして心棒81を被支持部材41の貫通孔41bへ挿入して固定する。取り外しは前記ノブ80を上げて心棒81を貫通孔41bから引き抜けばよい。
勿論、図7の場合に限らず、図8に示す場合においても好適に実施して安全性を更に高めることも好適に実施される。
【0036】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために付言する。例えば階段の降り口に取り付ける際には対面する壁面と同士に本発明の可動式手摺り1を配置して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る可動式手摺り構造の回動手摺り材を水平方向に固定した一実施形態を示す使用状態図である。
【図2】本発明に係る可動式手摺り構造の回動手摺り材を鉛直方向に固定した一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】図2に示す可動手摺り材の拡大図である。
【図4】支点を形成する回動用手摺り支持ソケットの具体的構成を示した斜視図である。
【図5】回動用手摺り支持ソケットの回動原理を示した図である。
【図6】A、Bは、回動用手摺り支持ソケットの鉛直方向の固定形態を示す図である。
【図7】鉛直姿勢固定部の全体構成の一例を示す図である。
【図8】鉛直姿勢固定部の全体構成の他の例を示す図である。
【図9】A、Bは、固定用手摺りリブラケットが回動手摺り材の鉛直方向の固定形態を示す図である。
【図10】鉛直姿勢固定部の出幅が回動手摺り材より突き出ない形状とした一例を示す平面図である。
【図11】A、Bは、鉛直姿勢固定部を左右方向に実施した一例を示した図である。
【図12】鉛直姿勢固定部の背面部に安全用ストッパーを設けた一例を示す断面図である。
【図13】支持具をブラケット材として本発明の可動式手摺り構造を実施した一例を示した図である。
【図14】Aは従来の可動式手摺り構造の概要を示した図である。Bは保持具の拡大図である。
【符号の説明】
【0038】
1 可動式手摺り
2 回動手摺り材
3 回動用手摺り支持ソケット
4 鉛直姿勢固定部
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物等の出入口開口を水平姿勢で横切るように建物の壁面に設置された回動手摺り材を、その一端を支点として回動可能に構成して、出入口開口を使用時には鉛直姿勢に退避させ、且つその位置に固定して使用可能な可動式手摺り構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者やリハビリテーションを行っている要介護者は、自力で家や公共施設等の建物内を移動する方法として、その壁面に沿って設けられる手摺り材を伝い歩くことが広く行われている。要介護者は、僅かな距離であっても手摺り材が設置されていないと移動が困難であり、転倒事故につながる虞がある。そのため、出入口開口を使用する際に鉛直姿勢に退避可能な回動手摺り材を使用して建物の壁面に水平方向に連続した手摺り材を設けることが実用に供されている。
【0003】
上記のような手摺り構造が特許文献1に開示されて公知である。図14Aに例示したように、出入口開口の横幅の長さに形成された回動手摺り材13の一端が壁面に固定された固定具14を支点15として回動可能に取り付けられ、同回動手摺り材13の水平姿勢または鉛直姿勢を固定して使用可能な構成とされている。したがって、通常時には固定具14と反対方向の壁面に設けた保持材16で回動手摺り材13の水平姿勢を固定して連続的に設置でき、出入口開口を使用する際には、回動手摺り材13を回動して持ち上げて出入口開口の脇へ退避させその鉛直姿勢を固定できる。鉛直姿勢の固定手段は、図14Bに示すように、壁面に取り付けた保持具17(ブラケット)内へ、回動手摺り材13の支点15の反対側の端部に形成された掛止具18が掛け止められて固定される。
【特許文献1】特許第3585423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の可動式手摺り構造は、出入口開口においても回動手摺り材13を水平方向に連続して設け、出入口開口の使用を妨げない効果は認められる。しかし、回動手摺り材13を鉛直姿勢に固定するために設置される保持具17(ブラケット)の高さ位置は、回動手摺り材13の端部に設けられる掛止具18との関係から、出入口開口の横幅の長さに形成された回動手摺り材13のスパンにより決定されることになる。その為、保持具17の高さ調節ができず、回動手摺り材13の長さ次第では顔の高さ位置(目など)にくる場合があり大変危険である。また、保持具17(ブラケット)は壁からの出幅が回動手摺り材13より出っ張る形状とされているため、出入口開口を人や物が出入りする際に利用者が体を傷つけてしまったり服を引っかけたりする虞があり危険である。特に要介護者にとっては服を引っ掛ける程度の些細な事でも転倒して大事故につながる虞があるため見過ごすことはできない問題である。
【0005】
回動可能な支点15の位置としては、家具等の配置位置や利用者の障害の程度等々を考慮すると、右側のみならず左側にも取り付ける場合が当然考えられる。しかし、水平方向に連続するような手摺りを取り付ける場合、壁への取り付け部に対し、固定手段に対称性がないこと、また前記回動手摺り材13と掛止具18とが一体形成されているので、左側に支点15を設けようとした場合に兼用ができない。したがって、左側に支点15を設ける場合には、各部材を左側専用に成型して実施しなければならず非常に面倒であるし、左側専用部材、右側専用部材が必要となりその商品点数が多くなり在庫管理等が大変となる。
【0006】
また、回動可能な支点15が特殊な形状で複雑な構成の部材とされているが故に、例えば図1、図13のような取り付けを実施するには、更に特殊で複雑な構成の部材が必要となり制作費が嵩みコスト高である。
【0007】
上記回動手摺り材13の一側に連結された固定具14は、図14A又は同公報の図5、図6に示すようにその他側が壁面に固定される構成である。しかし、前記固定具14の他側は出入口開口の左右に隣接される別の手摺り材又はブラケットとする支持具に連結される場合がある。そのため、特許文献1の可動式手摺り構造は、出入口開口の左右の設置環境に自在に適合させることはできず、適合させるには、固定具14の他側の形状を取り付け環境に合わせたものが数種類必要となり、現場での左右変更等の細かな対応が至難で作業効率が悪い。
【0008】
本発明の目的は、安全性が高く、左右に兼用可能として商品点数を少なくし、単純な構成で、コストを低減でき、出入口開口の利用に至便で、左右の設置環境に合わせた様々なパターンを実施可能な可動式手摺り構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る可動式手摺り構造は、
建物等の出入口開口などを水平姿勢で横切り建物の壁面に設置された回動手摺り材の一端に回動用手摺り連結部を設け、他端には水平姿勢を固定する掛け止め部を設けていると共に、他端を前記掛け止め部から外して前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材を固定する鉛直姿勢固定部を設けて成る可動式手摺り構造であって、
前記回動用手摺り連結部は、建物の壁面に固定された支持具に支持される支持ソケット部材と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材と、前記支持ソケット部材と回動ソケット部材とを回動可能に連結するジョイント機構とから成り、
前記鉛直姿勢固定部は、壁面に設置した支持ブラケット部材と、回動手摺り材の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材で支持・固定される被支持部材とから成り、
前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材は、前記鉛直姿勢固定部の被支持部材を支持ブラケットへ掛け止めて固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した可動式手摺り構造において、
回動用手摺り連結部の回動ソケット部材は、回動手摺り材に連結可能な円筒部と、同円筒部の一側端面の中央部から突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板に円筒部の軸心方向の長孔が形成されており、
支持ソケット部材は、建物の壁面に固定された支持具に支持される円筒部と、同円筒部の一側端面から前記ジョイント板を挟む配置で突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板にピン孔が設けられ、更にジョイント板の上面に段差部が形成されており、
前記支持ソケット部材のジョイント板と回動ソケット部材のジョイント板とを互い違いに組み合わせ、それぞれのピン孔と長孔へピンを差して回動可能に連結してジョイント機構が形成されており、
回動手摺り材は長孔の範囲内でピンを移動させて回動することができ、鉛直姿勢において回動ソケット部材の円筒部の下端面を支持ソケット部材の段差部へ載置可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した可動式手摺り構造において、
鉛直姿勢固定部を構成する支持ブラケット部材は、壁面へ固定される取り付け部から腕部がL字形状に伸び、その先端に被支持部材を支持する受け部が平面視を1/4円弧状に形成されて成り、
前記受け部の受け面及び被支持部材の外面のいずれか一方に溝を、他方に突起が設けられ、前記溝と突起とを掛け止めて固定するロック機構が構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造において、
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に沿って固定され水平方向に出入口開口などの手前位置まで配置された手摺り材であり、同手摺り材の端部へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造において、
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に固定されたブラケット材であり、同ブラケット材へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した可動式手摺り構造において、
支持ブラケット部材の受け部は、壁面の位置から見てL字形状の腕部よりも前方に突き出ない形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項3に記載した可動式手摺り構造において、
被支持部材に溝を、支持ブラケット部材に突起が設けられており、被支持部材の溝はその下端部が幅広に形成され且つ直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の突起は前記溝に対応する位置と形状で且つ支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項3に記載した可動式手摺り構造において、
被支持部材に突起を、支持ブラケット部材に溝が設けられており、被支持部材の突起は直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の溝は前記突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられ、前記突起と対応する位置で、支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項7に記載した可動式手摺り構造において、
被支持部材の外面に直径に対して左右対称な位置に設けられた溝は、突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられたH型形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜9に記載した発明に係る可動式手摺り構造1は、以下の効果を奏する。
(1)鉛直姿勢固定部4を、壁面Wの任意高さ位置に設置した支持ブラケット部材40と、回動手摺り材2の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材40で支持・固定される被支持部材41とで成る別物品とする構成としたので、人の目の高さを避けた安全な取り付け高さ位置を任意に設定でき安全性を確保できる。
(2)支持ブラケット部材40の受け部40cは、壁面Wの位置から見てL字形状の腕部40bよりも前方に突き出ない形状であり、出入口開口を出入りする利用者、特に要介護者が体に傷を付けたり服を引っかけるなどの虞を防止しやはり安全性が確保できる。
(3)支持ブラケット部材40の受け部40cの受け面及び被支持部材41の外面のいずれか一方に溝41a又は40d’を、他方に突起41a’又は40dを設け、前記突起41a’又は40dを溝41a又は40d’内へ落とし込むと、溝と突起の側面同士が手前方向に干渉して掛け止められて固定するロック機構としたので、回動手摺り材2の鉛直姿勢の固定を上下の動作だけの簡易な方法ででき、出入口開口の利用に至便である。のみならず、ロック機構を鋳造段階で容易に形成可能な突起と溝という単純な構成で実現でき、もってはコストの削減を図ることができる。
(4)被支持部材41の外面に設けた溝41a又は突起41a’は、被支持部材41の直径Xに対して左右対称な位置及び形状に形成し、支持ブラケット部材40の突起40d又は溝40d’は、前記被支持部材41の溝41a又は突起41a’と対応する位置と形状で、支持ブラケット部材40全体を通る水平方向の中心面Yに対して上下対称に形成したので、出入口開口の左右いずれの壁面Wにも両部材を180度反転させて兼用できる。よって、支持ブラケット部材40と被支持部材41は一種類の形状品でよくなり、商品点数を少なくして在庫及びその管理を簡略化し施工も容易ならしめる。
(5)回動用手摺り連結部3は、支持具6に連結可能な円筒部31を有する支持ソケット部材30と、回動手摺り材2に連結可能な円筒部35を有する回動ソケット部材34とを回動可能に連結して、同回動用手摺り連結部3の端部を円筒部31、34(ソケット形状)としたので、特に円筒部31においてはブラケット又は別の手摺り材とする支持具6であってもその端部へ単に差し込むという簡易な方法で連結でき、出入口開口の左右の設置環境に合わせた様々なパターンを実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、建物等の出入口開口Kなどを水平姿勢で横切り、建物の壁面に設置された回動手摺り材2の一端に回動用手摺り連結部3を設け、他端には水平姿勢を固定する掛け止め部7を設けていると共に、他端を前記掛け止め部7から外して前記回動用手摺り連結部3を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材2を固定する鉛直姿勢固定部4を設けて成る可動式手摺り構造1である。
前記回動用手摺り連結部3は、建物の壁面に固定された支持具6に支持される支持ソケット部材30と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材34と、前記支持ソケット部材30と回動ソケット部材34とを回動可能に連結するジョイント機構とから成る。
前記鉛直姿勢固定部4は、壁面に設置した支持ブラケット部材40と、回動手摺り材2の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材40で支持・固定される被支持部材41とから成る。
前記回動用手摺り連結部3を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材2は、前記鉛直姿勢固定部4の被支持部材41を支持ブラケット40へ掛け止めて固定される。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明に係る可動式手摺り構造1の実施例を、図面に基づいて説明する。
先ず、図1には、回動手摺り材2の一端に回動用手摺り連結部3を設け、他端に水平姿勢を固定する掛け止め部7を設けて、出入口開口Kの片面に沿って水平方向に横切る水平姿勢で建物の壁面Wに固定した可動式手摺り構造1の実施例を示した。出入口開口Kはドアや窓等の開口部である。前記掛け止め部7は従来からよく使用されている汎用品で、例えば支持材6に支持される支持部70と、回動手摺り材2に連結される連結部71とで構成され、両者の端部はソケット機能を発揮する円筒部とされてる。
図2は、回動手摺り材2の他端を前記掛け止め部7の支持部70と連結部71とを切り外し、前記一端の回動用手摺り連結部3を支点として回動手摺り材2を鉛直姿勢に回動し、鉛直姿勢固定部4により同鉛直姿勢を固定した状態を示した。
【0021】
前記回動用手摺り連結部3は、図1〜図3に示すように、壁面に固定された支持具6に連結される支持ソケット部材30と、前記回動手摺り材2の一端に連結される回動ソケット部材34と、前記支持ソケット部材30と回動ソケット部材34とを回動可能に連結するジョイント機構とから構成されている。
【0022】
図4に回動用手摺り連結部3の具体的構成を示した。前記回動ソケット部材34は、回動手摺り材2に連結可能なソケット形状とされた円筒部35と、同円筒部35の一側端面の中央部から突き出されたジョイント板36とから成る。前記ジョイント板36には同円筒部35の軸心方向の長孔37が形成されている。前記ジョイント板36の横幅は、前記円筒部35の直径と同幅を有し、その厚さは後述する支持ソケット部30のジョイント板32、32内に嵌め込める程度とされている。また、その先端がジョイント板36の回動をスムーズならしめるために1/4円弧形状とされている。
【0023】
次に、支持ソケット部材30は、同支持具6に支持されるソケット形状とされた円筒部31と、同円筒部31の一側端面から前記ジョイント板36を挟む配置にするべく適切な間隔を空けて突き出された2本のジョイント板32、32とで成る。前記ジョイント板32は軸方向に対して直交する配置にピン孔33、33が設けられ、更にその上面に段差部32aが形成されている。
【0024】
前記円筒部31を支持する支持具6は、建物の壁面に沿って固定され水平方向に出入口開口Kの手前位置まで配置された別の(既存の)手摺り材としており、同手摺り材2の端部へ前記支持ソケット部材30の円筒部31を差し入れて連結し、建物の壁面に沿って水平方向に連続した手摺り構造を実施できる(請求項4に記載した発明)。勿論この限りではなく、図13に示すように、支持具6’が出入口開口Kの両脇壁面Wに固定されるL形状のブラケット材6’の場合には、同ブラケット材6’の先端へ支持ソケット30部の円筒部31を差し入れて連結される。図示の通り回動手摺り材2の反対側の端部は掛け止め部7の支持部70とブラケット材6’とが連結する構成として実施できる。上記のようにして出入口開口の両側の取り付け環境に適合させて様々な実施パターンで適用できる。
【0025】
上記のような構成の回動用手摺り連結部3は、前記支持ソケット部材30のジョイント板32、32と回動ソケット部材34のジョイント板36とを互い違いに組み合わせて、それぞれのピン孔33と長孔37へピン5を差し渡して回動可能に連結したジョイント機構を形成する。
【0026】
次に、回動用手摺り連結部3が回動する原理について図5、図6から説明する。
回動ソケット部材34は、図5に示すように、長孔37の範囲内で差し込まれたピン5を移動させて回動することが可能である。更に云うと同長孔37の先端部寄り(図示では左端)であると、回動ソケット部材34はスムーズに上下方向に180度回動可能となる。因みに、回動手摺り材2が水平姿勢に固定される状態は、回動ソケット部材34の長孔37のピン5の位置が先端寄りとなっており、上記掛け止め部7を掛け外せば直ちに回動可能な状態にある。
【0027】
そして、図6Aが示すように、図5の如くピン5の位置を先端寄りのまま回動手摺り材2を鉛直方向に回動して立てた後、図6Bが示すように、回動手摺り材2を下方位置へ下ろして、回動ソケット部材34の長孔37のピン5の位置を内端寄り(図示では上端)へ移動させる。すると、回動ソケット部材34の円筒部35の下端面が支持ソケット部材30の段差部32aの上端面へ載置されて、回動ソケット部材34、もっては回動手摺り材2の鉛直姿勢を支持できる。
【0028】
次に、上記鉛直姿勢固定部4について説明する。
鉛直姿勢固定部4は、図3に示すように、回動手摺り材2を鉛直姿勢に固定するものである。その構成は、図3、図7に示すように、支持ブラケット部材40と、回動手摺り材2の他端寄り位置へ取り付けた、前記支持ブラケット部材40で支持・固定される被支持部材41とで成る別物品として構成されている。被支持部材41は端的に言うと、回動手摺り材2の支持ブラケット部材40と接触する高さ位置へ挿入され取り付けられている。
したがって、前記鉛直姿勢固定部4は従来のように手摺り材の先端の掛け止め部7へ設けないので、前記被支持部材41と支持ブラケット部材40の取り付け位置が、回動手摺り材2の長さで決定されることなく、利用者に危険の及ばない高さ位置に任意に設置できる。
【0029】
前記支持ブラケット部材40は、一側端(基端)に壁面Wへ固定可能な円形状の取り付け部40aを有しており、同取り付け部40aに設けられたねじ穴へねじ等を締め込んで前記壁面Wの安全な高さ位置に取り付ける(図示省略)。また、支持ブラケット部材40からL字形状に伸びる腕部40bが形成されている。同腕部40bの先端には、被支持部材41を受ける受け部40cが平面視を1/4円弧形状に形成されている。
【0030】
本発明のロック機構は、前記受け部40cの受け面及び被支持部材の外面のいずれか一方には溝を、他方には突起を設けて掛け止めする構成とされている。例えば、図7には被支持部材41に溝41aを、支持ブラケット部材40に突起40dを設けた例を示した。
前記被支持部材41の溝41aはその下端部が幅広に形成され且つ直径Xに対して左右対称な位置に設けられている。対する支持ブラケット部材40の突起41dは前記溝41aに対応する位置と形状で且つ支持ブラケット部材全体を通る中心面Yに対して上下対称に形成されている。
【0031】
もちろん、上記の限りではなく、突起と溝を反対に取り付けて実施することも考えられる。つまり、図8に示すように、被支持部材41側に突起41a’を、支持ブラケット部材40側に溝40d’を設けて実施できる。つまり、被支持部材41の突起41a’は直径Xに対して左右対称な位置に設け、支持ブラケット部材40の溝40d’は前記突起41a’を挿入可能な溝幅を上下方向に亘って設け、溝の中間位置には水平方向の止め具Sを設け、前記突起41a’と対応する位置で且つ支持ブラケット部材40全体を通る中心面Y(図7と同様のため図示省略)に対して上下対称に形成する構成である。この限りではなく上述した前記被支持部材41の外面に直径に対して左右対称な位置で設けられる溝41a(図7)が、前記支持ブラケット部材40の溝40d’の形状と略同様に、突起を挿入可能な溝幅を上下方向に亘って設け、溝の中間位置には水平方向の止め具を設けたH型形状に形成して実施しても良い(請求項9記載の発明)。
上記のような形状又は配置とされた溝又は突起に構成したので、図11A、図11Bに示すように出入口開口Kの左右のいずれの壁面Wにおいても180度反転すれば容易に兼用でき、支持ブラケット部材40と被支持部材41は一種類の形状品でよくなり商品点数を少なくして在庫及びその管理を簡略化し施工も容易ならしめる。
【0032】
次に、溝と突起とを掛け止める方法について、図5、図6、図9から説明する。
即ち、図5、図6Aに示した如く、回動手摺り材2は、回動用手摺り連結部3の長孔37のピン5の位置を先端寄りを保持したまま鉛直方向に立てられると、図9Aに示すように回動手摺り材2に取り付けた被支持部材41の高さ位置が支持ブラケット部材40の高さ位置よりも高くなる。そして、図6Bの如く回動手摺り材2を下方へ下ろして、ピン5をジョイント板32の長孔37の下方位置(内端寄り)へ落とすと、図9Bに示すように、被支持部材41の溝41a内に支持ブラケット部材40の突起40dが落とし込まれて掛け止められると同時に図6Bの如く回動用手摺り連結部3の支持ソケット部材30の段差部32aの上端面に円筒部35の下端部が載置される。斯くして、回動用手摺り連結部3と、固定用手摺り支持ソケット4とを溝に突起を掛け止めて回動手摺り材2の鉛直姿勢を支持・固定する作業を回動手摺り材2の上下の動作のみで行えるのである。
【0033】
前記支持ブラケット部材40の受け部40cは、図10に示すように、壁面Wの位置から見てL字形状の腕部40bよりも前方に突き出ない形状としている。つまり、壁面Wからの出幅H1を回動手摺り材2の出幅H2より出っ張らない形状である。したがって、出入口開口を使用する利用者、特に要介護者が支持ブラケット部材40に体や服を引っかける虞を防止し安全性を確保できる。
【0034】
図12には、図7の構成で掛け止められた支持ブラケット部材40と被支持部材41とが万が一外れる虞があることを考慮して安全ストッパー8を取り付けた一例を示した。
【0035】
前記安全ストッパー8は受け部40cの背面位置に設けられ、上げ下げ可能なノブ80と、同ノブ80と連結され且つ受け部40c内を貫通し、被支持部材41の溝41a、41aの中間位置に設けた貫通孔41bへその内周面から出ない位置まで差し込んで固定する心棒81と、前記心棒81の両脇に配置されノブ80の上げ下げにより前記貫通孔41bへの出し入れを調整可能とするバネ82とから構成されている。したがって、被支持部材41の溝41aと受け部40cの突起40dとを掛け止めた後、安全ストッパー8のノブ80を下ろして心棒81を被支持部材41の貫通孔41bへ挿入して固定する。取り外しは前記ノブ80を上げて心棒81を貫通孔41bから引き抜けばよい。
勿論、図7の場合に限らず、図8に示す場合においても好適に実施して安全性を更に高めることも好適に実施される。
【0036】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために付言する。例えば階段の降り口に取り付ける際には対面する壁面と同士に本発明の可動式手摺り1を配置して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る可動式手摺り構造の回動手摺り材を水平方向に固定した一実施形態を示す使用状態図である。
【図2】本発明に係る可動式手摺り構造の回動手摺り材を鉛直方向に固定した一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】図2に示す可動手摺り材の拡大図である。
【図4】支点を形成する回動用手摺り支持ソケットの具体的構成を示した斜視図である。
【図5】回動用手摺り支持ソケットの回動原理を示した図である。
【図6】A、Bは、回動用手摺り支持ソケットの鉛直方向の固定形態を示す図である。
【図7】鉛直姿勢固定部の全体構成の一例を示す図である。
【図8】鉛直姿勢固定部の全体構成の他の例を示す図である。
【図9】A、Bは、固定用手摺りリブラケットが回動手摺り材の鉛直方向の固定形態を示す図である。
【図10】鉛直姿勢固定部の出幅が回動手摺り材より突き出ない形状とした一例を示す平面図である。
【図11】A、Bは、鉛直姿勢固定部を左右方向に実施した一例を示した図である。
【図12】鉛直姿勢固定部の背面部に安全用ストッパーを設けた一例を示す断面図である。
【図13】支持具をブラケット材として本発明の可動式手摺り構造を実施した一例を示した図である。
【図14】Aは従来の可動式手摺り構造の概要を示した図である。Bは保持具の拡大図である。
【符号の説明】
【0038】
1 可動式手摺り
2 回動手摺り材
3 回動用手摺り支持ソケット
4 鉛直姿勢固定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物等の出入口開口などを水平姿勢で横切り建物の壁面に設置された回動手摺り材の一端に回動用手摺り連結部を設け、他端には水平姿勢を固定する掛け止め部を設けていると共に、他端を前記掛け止め部から外して前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材を固定する鉛直姿勢固定部を設けて成る可動式手摺り構造であって、
前記回動用手摺り連結部は、建物の壁面に固定された支持具に支持される支持ソケット部材と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材と、前記支持ソケット部材と回動ソケット部材とを回動可能に連結するジョイント機構とから成り、
前記鉛直姿勢固定部は、壁面に設置した支持ブラケット部材と、回動手摺り材の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材で支持・固定される被支持部材とから成り、
前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材は、前記鉛直姿勢固定部の被支持部材を支持ブラケットへ掛け止めて固定されることを特徴とする、可動式手摺り構造。
【請求項2】
回動用手摺り連結部の回動ソケット部材は、回動手摺り材に連結可能な円筒部と、同円筒部の一側端面の中央部から突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板に円筒部の軸心方向の長孔が形成されており、
支持ソケット部材は、建物の壁面に固定された支持具に支持される円筒部と、同円筒部の一側端面から前記ジョイント板を挟む配置で突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板にピン孔が設けられ、更にジョイント板の上面に段差部が形成されており、
前記支持ソケット部材のジョイント板と回動ソケット部材のジョイント板とを互い違いに組み合わせ、それぞれのピン孔と長孔へピンを差して回動可能に連結してジョイント機構が形成されており、
回動手摺り材は長孔の範囲内でピンを移動させて回動することができ、鉛直姿勢において回動ソケット部材の円筒部の下端面を支持ソケット部材の段差部へ載置可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した可動式手摺り構造。
【請求項3】
鉛直姿勢固定部を構成する支持ブラケット部材は、壁面へ固定される取り付け部から腕部がL字形状に伸び、その先端に被支持部材を支持する受け部が平面視を1/4円弧状に形成されて成り、
前記受け部の受け面及び被支持部材の外面のいずれか一方に溝を、他方に突起が設けられ、前記溝と突起とを掛け止めて固定するロック機構が構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した可動式手摺り構造。
【請求項4】
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に沿って固定され水平方向に出入口開口などの手前位置まで配置された手摺り材であり、同手摺り材の端部へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造。
【請求項5】
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に固定されたブラケット材であり、同ブラケット材へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造。
【請求項6】
支持ブラケット部材の受け部は、壁面の位置から見てL字形状の腕部よりも前方に突き出ない形状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した可動式手摺り構造。
【請求項7】
被支持部材に溝を、支持ブラケット部材に突起が設けられており、被支持部材の溝はその下端部が幅広に形成され且つ直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の突起は前記溝に対応する位置と形状で且つ支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載した可動式手摺り構造。
【請求項8】
被支持部材に突起を、支持ブラケット部材に溝が設けられており、被支持部材の突起は直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の溝は前記突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられ、前記突起と対応する位置で、支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載した可動式手摺り構造。
【請求項9】
被支持部材の外面に直径に対して左右対称な位置に設けられた溝は、突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられたH型形状に形成されていることを特徴とする、請求項7に記載した可動式手摺り構造。
【請求項1】
建物等の出入口開口などを水平姿勢で横切り建物の壁面に設置された回動手摺り材の一端に回動用手摺り連結部を設け、他端には水平姿勢を固定する掛け止め部を設けていると共に、他端を前記掛け止め部から外して前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材を固定する鉛直姿勢固定部を設けて成る可動式手摺り構造であって、
前記回動用手摺り連結部は、建物の壁面に固定された支持具に支持される支持ソケット部材と、前記回動手摺り材の一端に取り付けられた回動ソケット部材と、前記支持ソケット部材と回動ソケット部材とを回動可能に連結するジョイント機構とから成り、
前記鉛直姿勢固定部は、壁面に設置した支持ブラケット部材と、回動手摺り材の他端寄り位置へ取り付けた前記支持ブラケット部材で支持・固定される被支持部材とから成り、
前記回動用手摺り連結部を支点として鉛直姿勢に回動した回動手摺り材は、前記鉛直姿勢固定部の被支持部材を支持ブラケットへ掛け止めて固定されることを特徴とする、可動式手摺り構造。
【請求項2】
回動用手摺り連結部の回動ソケット部材は、回動手摺り材に連結可能な円筒部と、同円筒部の一側端面の中央部から突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板に円筒部の軸心方向の長孔が形成されており、
支持ソケット部材は、建物の壁面に固定された支持具に支持される円筒部と、同円筒部の一側端面から前記ジョイント板を挟む配置で突き出されたジョイント板とから成り、前記ジョイント板にピン孔が設けられ、更にジョイント板の上面に段差部が形成されており、
前記支持ソケット部材のジョイント板と回動ソケット部材のジョイント板とを互い違いに組み合わせ、それぞれのピン孔と長孔へピンを差して回動可能に連結してジョイント機構が形成されており、
回動手摺り材は長孔の範囲内でピンを移動させて回動することができ、鉛直姿勢において回動ソケット部材の円筒部の下端面を支持ソケット部材の段差部へ載置可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した可動式手摺り構造。
【請求項3】
鉛直姿勢固定部を構成する支持ブラケット部材は、壁面へ固定される取り付け部から腕部がL字形状に伸び、その先端に被支持部材を支持する受け部が平面視を1/4円弧状に形成されて成り、
前記受け部の受け面及び被支持部材の外面のいずれか一方に溝を、他方に突起が設けられ、前記溝と突起とを掛け止めて固定するロック機構が構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した可動式手摺り構造。
【請求項4】
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に沿って固定され水平方向に出入口開口などの手前位置まで配置された手摺り材であり、同手摺り材の端部へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造。
【請求項5】
回動用手摺り連結部の支持ソケット部材を支持する支持具は、建物の壁面に固定されたブラケット材であり、同ブラケット材へ支持ソケット部材の円筒部が連結されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した可動式手摺り構造。
【請求項6】
支持ブラケット部材の受け部は、壁面の位置から見てL字形状の腕部よりも前方に突き出ない形状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した可動式手摺り構造。
【請求項7】
被支持部材に溝を、支持ブラケット部材に突起が設けられており、被支持部材の溝はその下端部が幅広に形成され且つ直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の突起は前記溝に対応する位置と形状で且つ支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載した可動式手摺り構造。
【請求項8】
被支持部材に突起を、支持ブラケット部材に溝が設けられており、被支持部材の突起は直径に対して左右対称な位置に設けられており、支持ブラケット部材の溝は前記突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられ、前記突起と対応する位置で、支持ブラケット部材全体を通る中心面に対して上下対称に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載した可動式手摺り構造。
【請求項9】
被支持部材の外面に直径に対して左右対称な位置に設けられた溝は、突起を挿入可能な溝幅が上下方向に亘って設けられ、溝の中間位置には水平方向の止め具が設けられたH型形状に形成されていることを特徴とする、請求項7に記載した可動式手摺り構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−23736(P2007−23736A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211818(P2005−211818)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
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