説明

可動接点及びこれを用いた可動接点付シート及びスイッチ装置

【課題】 押圧動作時の移動ストロークを大きくでき、スイッチの部品点数を減少させ、スイッチ組立を容易に行うことが可能な可動接点及びこれを用いた可動接点付シート及びスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 第1の板ばね4及びこの第1の板ばね4よりもばね力の大きな第2の板ばね5とを備え、第2の板ばね5の片側に第1の板ばね4を一体に設け、第2の板ばね5の他端を基端として第1の板ばね4が撓むことにより第2の板ばね5を傾動可能に配設し、第1の板ばね4が撓むことにより第2の板ばね5が傾動する第1移動ストロークと、第2の板ばね5が撓むことにより第2の板ばね5が移動する第2移動ストロークとによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルビデオやカメラ、携帯電話等の各種電子機器に使用され、押圧操作時にスイッチの動作ストロークを大きくできる可動接点及びそれを用いた可動接点付シート及びスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動作(移動)ストロークを大きくできるスイッチの構造としては、可動接点と押ボタンとの間にゴム等の弾性体を挟み込んで、反転動作可能な可動接点を押圧して動作させる押ボタンの下面中央の突部を変形可能な弾性体で形成し、スイッチの操作時に、可動接点の反転動作よりも先に押圧用の弾性体を所定量だけ変形(縮小)させる構成のものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のスイッチの構造を図22〜図24に示す。図22は従来のスイッチを示す断面図、図23は従来のスイッチの押ボタンと押圧用弾性体の結合構成を示す断面図、図24は従来のスイッチの動作状態を示す縦断面図である。
【0004】
図に示すように、従来のスイッチの構成では、ダイアフラム状の反転動作形可動接点106を押して反転動作させる剛体材料製の押ボタン107下面の突部109を、ゴム等の弾性体で形成している。すなわち、図22において、押ボタン121はその下面中央に押圧用弾性体122を保持した構成としている。
【0005】
そして、この押圧用弾性体122はゴム等の弾性材料からなり、図23に示すように、上部が大径のフランジ部122Bとなった二段構造の円柱状で、この先端がテーパ122Cとなったフランジ部122Bを、同図に矢印で示すように、剛体材料製の押ボタン121の下面中央の内部が広くなった段付き孔121Aに圧入することによって両者は結合されている。
【0006】
また、この押圧用弾性体122の押圧による変形すなわち縮小は、プッシュオンスイッチのダイアフラム状の反転動作形可動接点106の反転動作時の押し力よりも小さな力で変形を始めるように設定されている。
【0007】
従って、図24(a)に示す状態から押ボタン121の上面突部123に押し力Pを加えることによって押ボタン121が下方に動き始めると、その下面中央の押圧用弾性体122が縮み始め(同図(b))、上面突部123に加える力が大きくなるにつれてダイアフラム状の反転動作形可動接点106も徐々に変形して、押し力Pが反転動作形可動接点106が反転動作する力を越えると、反転動作形可動接点106は節度感を伴って反転動作し(同図(c))、外側固定接点103A、103Bと中央固定接点105との間すなわち接続端子102と104との間を導通させる。
【0008】
この後、押ボタン121の上面突部123に加えていた押し力Pを除くと、押ボタン121は反転動作形可動接点106と押圧用弾性体122の弾性力によって押し戻され、元の図24(a)の状態に復帰する。
【0009】
すなわち、従来のスイッチの動作ストロークは、そのダイアフラム状の反転動作形可動接点106の反転動作時の荷重に相当する力で押圧用弾性体122が変形(縮小)する寸法だけ動作ストロークが大きくなる。
【0010】
【特許文献1】特開平9−161599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来のスイッチにおいては、可動接点と押ボタンとの間に、別部材からなる弾性体を用いている構成のため部品点数が増え、組立が煩雑になるという問題があった。
【0012】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、押圧動作時の移動ストロークを大きくでき、スイッチの部品点数を減少させ、スイッチ組立を容易に行うことが可能な可動接点及びこれを用いた可動接点付シート及びスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、前記第2の板ばねの片側に前記第1の板ばねを一体に設け、前記第2の板ばねの他端を基端として前記第1の板ばねが撓むことにより前記第2の板ばねを傾動可能に配設し、前記第1の板ばねが撓むことにより前記第2の板ばねが傾動する第1移動ストロークと、前記第2の板ばねが撓むことにより前記第2の板ばねが移動する第2移動ストロークとによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成した構成とした。
また、第2の解決手段として、前記第1の板ばね及び前記第2の板ばねは、同一のばね性金属板で一体形成されると共に、何れか一方にクリック用の反転部を形成した構成とした。
また、第3の解決手段として、前記第1及び第2の板ばねを、フープ状に複数個連続して設け、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねとの中心を結ぶ仮想線を横切る方向の外周縁にフープ材との繋ぎ桟部を設けた構成とした。
【0014】
また、第4の解決手段として、前記第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが撓んでスイッチ切り換え前の前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う前記第2移動ストロークを形成した構成とした。
また、第5の解決手段として、前記第1の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが撓んでスイッチ切り換え後の前記第2移動ストロークを形成した構成とした。
また、第6の解決手段として、前記第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが撓んでスイッチの切り換えを行う前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチ切り換え後の前記第2移動ストロークを形成した構成とした。
また、第7の解決手段として、前記第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが撓んで1段目のスイッチの切り換えを行う前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが反転してクリック感の生成と2段目のスイッチの切り換えを行う前記第2移動ストロークを形成した構成とした。
【0015】
また、第8の解決手段として、第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、押圧操作時に前記第1の板ばね及び前記第2の板ばねが撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成した可動接点付シートであって、第1乃至第7の解決手段の何れかに記載の可動接点を、可撓性を有する粘着シートの下面側に貼着し、この粘着シートと前記可動接点とを一体に剥離可能な剥離シートに積層させた構成とした。
また、第9の解決手段として、共通固定接点及び個別固定接点が配設された基台と、この基台上に載置され、前記共通固定接点及び個別固定接点と接離する第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、押圧操作時に前記第1の板ばね及び前記第2の板ばねが撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成したスイッチ装置であって、第1乃至第7の解決手段の何れかに記載の可動接点を、前記共通固定接点及び前記個別固定接点が配設された前記基台上に載置した構成とした。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明の可動接点は、第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、第2の板ばねの片側に第1の板ばねを一体に設け、第2の板ばねの他端を基端として第1の板ばねが撓むことにより第2の板ばねを傾動可能に配設し、第1の板ばねが撓むことにより第2の板ばねが傾動する第1移動ストロークと、第2の板ばねが撓むことにより第2の板ばねが移動する第2移動ストロークとによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成したことから、可動接点の第2の板ばねと一体に設けた第1の板ばねによって可動接点を傾動させるようにしたので、動作(移動)ストロークを大きく形成できる。また、可動接点の両側を浮かせるのではなく、一側の他端を基端として傾動させるので、安定した良好な操作フィーリングが得られる。
また、第1の板ばね及び第2の板ばねは、同一のばね性金属板で一体形成されると共に、何れか一方にクリック用の反転部を形成したことから、可動接点としての第1及び第2の板ばねとクリック用ばねを、同一の金属板をプレス成形することにより容易に製造できる。
また、第1及び第2の板ばねを、フープ状に複数個連続して設け、第1の板ばねと第2の板ばねとの中心を結ぶ仮想線を横切る方向の外周縁にフープ材との繋ぎ桟部を設けたことから、可動接点の傾動を繰り返し行ってもフープ材との切り離し痕が接点や基台を削ることがなく、異物の発生を抑制し、長寿命化が図れる。
【0017】
また、第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、第2の板ばねが押圧されることにより、第1の板ばねが撓んでスイッチ切り換え前の第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う第2移動ストロークを形成したことから、スイッチの切り換えまでの移動ストロークを大きくでき、スイッチの切り換え時には明瞭なクリック感触をえることができる。
また、第1の板ばねにクリック用の反転部を設け、第2の板ばねが押圧されることにより、第1の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばねが撓んでスイッチ切り換え後の第2移動ストロークを形成したことから、スイッチの切り換え時に明瞭なクリック感触を得ることができ、スイッチの切り換え後の移動ストロークを大きくできる。
また、第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、第2の板ばねが押圧されることにより、第1の板ばねが撓んでスイッチの切り換えを行う第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチ切り換え後の第2移動ストロークを形成したことから、スイッチの切り換え後の移動ストロークを大きくでき、スイッチの切り換え後に更に押圧されたことをクリック感触で感知できる。
また、第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、第2の板ばねが押圧されることにより、第1の板ばねが撓んで1段目のスイッチの切り換えを行う第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばねが反転してクリック感の生成と2段目のスイッチの切り換えを行う第2移動ストロークを形成したことから、1段目と2段目のスイッチの切り換えが可能な2段スイッチを構成でき、操作性が向上する。
【0018】
また、本発明の可動接点付シートは、第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、押圧操作時に第1の板ばね及び第2の板ばねが撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成した可動接点付シートであって、第1乃至第7の解決手段の何れかに記載の可動接点を、可撓性を有する粘着シートの下面側に貼着し、この粘着シートと可動接点とを一体に剥離可能な剥離シートに積層させたことから、移動ストロークが大きく、スイッチの組立が容易なスイッチ用の可動接点付シートを提供できる。
また、本発明のスイッチ装置は、共通固定接点及び個別固定接点が配設された基台と、この基台上に載置され、共通固定接点及び個別固定接点と接離する第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、押圧操作時に第1の板ばね及び第2の板ばねが撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成したスイッチ装置であって、第1乃至第7の解決手段の何れかに記載の可動接点を、共通固定接点及び個別固定接点が配設された基台上に載置したことから、移動ストロークが大きく、部品点数の少ないスイッチ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図21に示す。図1は本発明の可動接点の平面図、図2は本発明の可動接点を用いたスイッチ装置の要部断面図、図3は本発明の可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図、図4は同じく可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図である。
また、図5は本発明の可動接点の他の実施例を示す平面図、図6は同じくスイッチ装置の他の実施例を示す要部断面図、図7は同じく可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図、図8は同じく可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図、図9は本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図、図10は同じくスイッチ装置の更に他の実施例を示す要部断面図、図11は同じく可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図、図12は同じく可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図であり、また、図13は本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図、図14は同じくスイッチ装置の更に他の実施例を示す要部断面図、図15は同じく可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図、図16は同じく可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図である。
また、図17は本発明の可動接点をフープ状にした状態を示す平面図、図18は本発明の可動接点を粘着シートに貼着した可動接点付シートを示す平面図、図19は可動接点付シートを用いたスイッチ装置を示す断面図で、図20及び図21は本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図である。
【0020】
図1及び図2において、本発明の可動接点及びスイッチ装置は、導電性の金属板からなる共通固定接点2及び個別固定接点3が平坦状の表面にそれぞれ対向して配設された絶縁性の樹脂積層板等からなる基台1と、この基台1上に載置され、前記共通固定接点2及び個別固定接点3と接離する第1及び第2の板ばね4、5からなる可動接点6とを備えている。
【0021】
前記可動接点6は、弾性を有する導電性の金属薄板からなり、中央に反転可能なドーム状の反転部5aを有する略円形状の第2の板ばね5と、この第2の板ばね5の片側に連結部4aで接続して一体に形成された略U字状の第1の板ばね4とから形成されている。そして、この可動接点6は、第1の板ばね4に比べて第2の板ばね5のばね力の方が大きくなるように形成されており、第1の板ばね4が撓んだ後、第2の板ばね5が反転動作することによって押圧操作時に大きな移動ストロークが得られるものとなっている。
【0022】
また、第1の板ばね4と第2の板ばね5との間には、一対の連結部4aを挟んだ中央位置に、細長状の逃げ孔4bが設けられている。この逃げ孔4bを設けることにより、第2の板ばね5の反転部5aが比較的大きく絞り加工されたとしても、この絞り加工による第1の板ばね4に及ぼす応力を抑え変形を防止することができる。また、この逃げ孔4bを設けることにより、第1の板ばね4と第2の板ばね5との間に(逃げ孔4bに臨むように)第2の板ばね5の周縁部5bの一部を露出させている。
【0023】
また、第1の板ばね4は、一対の連結部4aから外周部に向かって下方へ湾曲しており、第2の板ばね5が押圧された際には、連結部4aを介してこの湾曲部に応力が加わることにより湾曲部が撓んで、第2の板ばね5が傾動するものとなっている。
【0024】
可動接点6は、基台1上に載置されるものとなり、この時、前記第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図2の左端)が、前記共通固定接点2と常時接触した状態で載置され、一方、第1の板ばね4の外周部の一端(図2の右端)が基台1の上面と常時当接した状態となっている。また、第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図2の右端)及び第1の板ばね4の連結部4aが、前記基台1の上面と一定の間隔を保持して対峙されており、第2の板ばね5が押圧された時、この第1の板ばね4の連結部4aまたは第2の板ばね5の周縁部5bのどちらか一方が基台1の上面と当接するものとなっている。
【0025】
また、第2の板ばね5の反転部5aの頂部下面が、個別固定接点3と一定の間隔を保持して対峙されている。また、第2の板ばね5の反転部5aの頂部下面には、複数(例えば、本発明では3個)の突状のボッチからなる接点部5cが形成されており、この接点部5cが個別固定接点3と接触可能な接点部を構成している。
【0026】
この時、前記可動接点6は、第1の板ばね4のばね性によって連結部4aを介して第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図2の右端)が上方に付勢されており、第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図2の左端)を支点として傾動動作及び復帰動作可能に配設されている。また、この場合、第1の板ばね4の外周部の一端(図2の右端)が基台1の上面に当接した状態となっており、第1の板ばね4の連結部4aは、第1及び第2の板ばね4、5の非動作時においては、基台1上の共通固定接点2、及び個別固定接点3の配設位置よりも上方に位置するように上方に膨出して形成されている。
【0027】
上記構成の可動接点6を用いたスイッチ装置の動作を、図3及び図4を用いて説明する。
非動作時においては、図2に示すように、可動接点6は第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図2の左端)が共通固定接点2と接触しているが、第2の板ばね5の接点部は個別固定接点3とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0028】
次に、図3に示すように、図示しない電子機器等の操作部材により第2の板ばね5の反転部5a頂部上面が押圧されると、第2の板ばね5が周縁部5bの一端(図3の左端)を支点として傾動され、これにより第1の板ばね4の連結部4aを介して湾曲部に応力が加わることにより、第1の板ばね4が下方に撓み、第1の板ばね4の連結部4a及び第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図3の右端)が下方へ移動し、第1の板ばね4の連結部4aまたは第2の板ばね5の周縁部5bの他端のどちらか一方が基台1の上面と当接して第1移動ストロークが得られる。この状態では、スイッチは依然オフ状態となっている。
【0029】
この状態から、図4に示すように、図示しない操作部材を更に押圧すると、今度は第2の板ばね5の反転部5aが反転し、反転部5aの頂部下面に設けられた接点部5cが、個別固定接点3と接触してスイッチがオン状態となる。この第2の板ばね5の反転動作により第2移動ストロークが得られるものとなる。
【0030】
このように、本発明の可動接点6を用いたスイッチ装置は、第1の板ばね4及びこの第1の板ばね4よりもばね力の大きな第2の板ばね5とを備え、この第2の板ばね5の片側に第1の板ばね4を一体に設け、第2の板ばね5の他端を基端として第1の板ばね4が撓むことにより第2の板ばね5を傾動可能に配設すると共に、第2の板ばね5にクリック用の反転部5aを設け、この第2の板ばね5が押圧されることにより、第1の板ばね4が撓んでスイッチ切り換え前の第1移動ストローク(プリストローク)を形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばね5が反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う第2移動ストロークを形成することにより、スイッチの切り換えまでの全移動ストロークを大きくできると共に、スイッチの切り換え時には明瞭なクリック感触を得ることができるものとなっている。
【0031】
図5乃至図8は、本発明の可動接点及びスイッチ装置の他の実施例を示している。
この場合、上記実施例とは、可動接点及び固定接点の構成が一部相違している。すなわち、本実施例の可動接点16は、同じ金属板で一体に形成された第1の板ばね14と第2の板ばね15とから形成されている点では同じであるが、第1の板ばね14には、クリック用の反転部14cが設けられており、また、基台11に設けられた個別固定接点13は、第2の板ばね15の周縁部15bの他端(図6の右端)または第1の板ばね14の連結部14aの一部と一定の間隔を保持して対峙されている。
【0032】
図5、図6に示すように、可動接点16は、弾性を有する導電性の金属薄板からなり、中央に平坦部15aを有する略円形状の第2の板ばね15と、この第2の板ばね15の片側に連結部14aで接続して一体に形成され、反転可能な反転部14cを有する略U字状の第1の板ばね14とから形成されている。また、第1の板ばね14と第2の板ばね15との間には、一対の連結部14aを挟んだ中央位置に、細長状の逃げ孔14bが設けられている。また、この逃げ孔14bを設けることにより、第1の板ばね14と第2の板ばね15との間に(逃げ孔14bに臨むように)第2の板ばね15の周縁部15bの一部を露出させている。
【0033】
また、第1の板ばね14の反転部14cには、外周部から逃げ孔14bに至る山形に突き出された一対の屈曲部14dが設けられており、この屈曲部14dを設けることにより連結部14aに接続された反転部14cを湾曲させている。そして、第2の板ばね15が押圧された際には、連結部14aを介してこの屈曲部14dに応力が加わることにより湾曲部に反り力が作用し、第1の板ばね14の反転部14cが上方に反転するものとなっている。
【0034】
可動接点ばね16が基台11上に載置される時、前記第2の板ばね15の周縁部15bの一端(図6の左端)が、共通固定接点12と常時接触した状態で載置され、一方、第2の板ばね15の周縁部15bの他端(図6の右端)または第1の板ばね14の連結部14aの一部が、前記個別固定接点13と一定の間隔を保持して対峙されている。この第1の板ばね14の連結部14aまたは第2の板ばね15の周縁部15bのどちらか一方が個別固定接点13と接触可能な接点部を構成している。
【0035】
前記可動接点16は、第1の板ばね14のばね性によって連結部14aを介して第2の板ばね15の周縁部15bの他端(図6の右端)が上方に付勢されており、第2の板ばね15の周縁部15bの一端(図6の左端)を支点として傾動動作及び復帰動作可能に配設されている。また、この場合、第1の板ばね14の反転部14cの外周部の一端(図6の右端)が基台11の上面に当接した状態となっており、第1の板ばね14の連結部14aは、第1及び第2の板ばね14、15の非動作時においては、基台11上の個別固定接点13よりも上方に位置するように配置されている。
【0036】
上記構成の可動接点16を用いたスイッチ装置の動作を、図7及び図8を用いて説明する。
非動作時においては、図6に示すように、可動接点16は第2の板ばね15の周縁部15bの一端(図6の左端)が共通固定接点12と接触しているが、第1及び第2の板ばね14、15の各接点部は個別固定接点13とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0037】
次に、図7に示すように、図示しない電子機器等の操作部材により第2の板ばね15の平坦部15a上面が押圧されると、第2の板ばね15が周縁部15bの一端(図7の左端)を支点として傾動され、これにより第1の板ばね14の連結部14aを介して屈曲部14dに応力が加わることにより反転部14cの湾曲部に反り力が作用し、第1の板ばね14の反転部14cが上方に反転する。この反転により第1の板ばね14の連結部14a及び第2の板ばね15の周縁部15bの他端(図7の右端)が下方へ移動し、第1の板ばね14の連結部14aまたは第2の板ばね15の周縁部15bの他端のどちらか一方が個別固定接点13と接触してスイッチがオン状態となる。この状態で第1移動ストロークが得られる。
【0038】
この状態から、図8に示すように、図示しない操作部材を更に押圧すると、スイッチがオンした状態のまま、今度は第2の板ばね15の平坦部15aが下方へ撓んで、中央下面が基台11の上面と当接して移動が停止する。この第2の板ばね15の撓み動作により第2移動ストロークが得られるものとなる。
【0039】
このように、本発明の可動接点16を用いたスイッチ装置は、第1の板ばね14及びこの第1の板ばね14よりもばね力の大きな第2の板ばね15とを備え、この第2の板ばね15の片側に第1の板ばね14を一体に設け、第2の板ばね15の他端を基端として第1の板ばね14が撓むことにより第2の板ばね15を傾動可能に配設すると共に、第1の板ばね14にクリック用の反転部14cを設け、第2の板ばね15が押圧されることにより、第1の板ばね14が反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばね15が撓んでスイッチ切り換え後の第2移動ストローク(オーバーストローク)を形成することにより、スイッチの切り換え時に明瞭なクリック感触を得ることができると共に、スイッチの切り換え後の移動ストロークを大きくできるものとなっている。
【0040】
図9乃至図12は、本発明の可動接点及びスイッチ装置の更に他の実施例を示している。
この場合、本実施例では、上記した図5乃至図8の実施例の基台11に、前述した図1乃至図4の実施例の可動接点6を載置した構成としている。尚、上記及び前述した各実施例の構成と同一部品については同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例では、可動接点ばね6は、第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図10の左端)が、共通固定接点12と常時接触した状態で基板11に載置され、一方、第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図10の右端)または第1の板ばね4の連結部4aの一部が、個別固定接点13と一定の間隔を保持して対峙されている。そして、この第1の板ばね4の連結部4aまたは第2の板ばね5の周縁部5bのどちらか一方が個別固定接点13と接触可能な接点部を構成している。
【0041】
前記可動接点6は、第1の板ばね4のばね性によって連結部4aを介して第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図10の右端)が上方に付勢されており、第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図10の左端)を支点として傾動動作及び復帰動作可能に配設されている。また、この場合、第1の板ばね4の外周部の一端(図10の右端)が基台11の上面に当接した状態となっており、第1の板ばね4の連結部4aは、第1及び第2の板ばね4、5の非動作時においては、基台11上の個別固定接点13よりも上方に位置するように配置されている。
【0042】
上記構成の可動接点6を用いたスイッチ装置の動作を、図11及び図12を用いて説明する。
非動作時においては、図10に示すように、可動接点6は第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図10の左端)が共通固定接点12と接触しているが、第1及び第2の板ばね4、5の各接点部は個別固定接点13とは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0043】
次に、図11に示すように、図示しない電子機器等の操作部材により第2の板ばね5の反転部5a頂部上面が押圧されると、第2の板ばね5が周縁部5bの一端(図11の左端)を支点として傾動され、これにより第1の板ばね4の連結部4aを介して湾曲部に応力が加わることにより、第1の板ばね4が下方に撓み、第1の板ばね4の連結部4a及び第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図11の右端)が下方へ移動し、第1の板ばね4の連結部4aまたは第2の板ばね5の周縁部5bの他端のどちらか一方が個別固定接点13と接触してスイッチがオン状態となる。この状態で第1移動ストロークが得られる。
【0044】
この状態から、図12に示すように、図示しない操作部材を更に押圧すると、スイッチがオンした状態のまま、今度は第2の板ばね5の反転部5aが反転し、反転部5aの中央下面が基台11の上面と当接して移動が停止する。この第2の板ばね5の反転動作により第2移動ストロークが得られるものとなる。
【0045】
このように、本発明の可動接点6を用いたスイッチ装置は、第1の板ばね4及びこの第1の板ばね4よりもばね力の大きな第2の板ばね5とを備え、この第2の板ばね5の片側に第1の板ばね4を一体に設け、第2の板ばね5の他端を基端として第1の板ばね4が撓むことにより第2の板ばね5を傾動可能に配設すると共に、第2の板ばね5にクリック用の反転部5aを設け、この第2の板ばね5が押圧されることにより、第1の板ばね4が撓んでスイッチの切り換えを行う第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばね5が反転してクリック感の生成とスイッチ切り換え後の第2移動ストローク(オーバーストローク)を形成することにより、スイッチの切り換え後の移動ストロークを大きくできると共に、スイッチの切り換え後に更に押圧されたことをクリック感触で感知できるものとなっている。
【0046】
図13乃至図16は、本発明の可動接点及びスイッチ装置の更に他の実施例を示している。
この場合、本実施例では、上記した図9乃至図12の実施例と基台の構成が一部相違している。本実施例の基台21には、共通固定接点22に並設して第1の個別固定端子23aと第2の個別固定端子23bとからなる一対の個別固定接点23が形成されており、この基台21に前述した図1乃至図4の実施例の可動接点6を載置した構成としている。尚、上記及び前述した各実施例の構成と同一部品については同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0047】
すなわち、本実施例では、可動接点ばね6は、第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図14の左端)が、共通固定接点22と常時接触した状態で基板21に載置され、一方、第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図14の右端)または第1の板ばね4の連結部4aの一部が、第1の個別固定接点23aと一定の間隔を保持して対峙されている。そして、この第1の板ばね4の連結部4aまたは第2の板ばね5の周縁部5bのどちらか一方が第1の個別固定接点23aと接触可能な接点部を構成している。
【0048】
また、第2の板ばね5の反転部5aの頂部下面が、第2の個別固定接点23bと一定の間隔を保持して対峙されている。この第2の板ばね5の反転部5aの頂部下面には、複数の突状のボッチからなる接点部5cが形成されており、この接点部5cが第2の個別固定接点23bと接触可能な接点部を構成している。
【0049】
前記可動接点6は、第1の板ばね4のばね性によって連結部4aを介して第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図14の右端)が上方に付勢されており、第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図14の左端)を支点として傾動動作及び復帰動作可能に配設されている。また、この場合、第1の板ばね4の外周部の一端(図14の右端)が基台21の上面に当接した状態となっており、第1の板ばね4の連結部4aは、第1及び第2の板ばね4、5の非動作時においては、基台21上の第1の個別固定接点23aよりも上方に位置するように配置されている。
【0050】
上記構成の可動接点6を用いたスイッチ装置の動作を、図15及び図16を用いて説明する。
非動作時においては、図14に示すように、可動接点6は第2の板ばね5の周縁部5bの一端(図14の左端)が共通固定接点22と接触しているが、第1及び第2の板ばね4、5の各接点部は第1及び第2の個別固定接点23a、23bとは離間しており、スイッチはオフ状態となっている。
【0051】
次に、図15に示すように、図示しない電子機器等の操作部材により第2の板ばね5の反転部5a頂部上面が押圧されると、第2の板ばね5が周縁部5bの一端(図15の左端)を支点として傾動され、これにより第1の板ばね4の連結部4aを介して湾曲部に応力が加わることにより、第1の板ばね4が下方に撓み、第1の板ばね4の連結部4a及び第2の板ばね5の周縁部5bの他端(図15の右端)が下方へ移動し、第1の板ばね4の連結部4aまたは第2の板ばね5の周縁部5bの他端のどちらか一方が第1の個別固定接点23aと接触して1段目のスイッチがオン状態となる。この状態で第1移動ストロークが得られる。
【0052】
この状態から、図16に示すように、図示しない操作部材を更に押圧すると、1段目のスイッチがオンした状態のまま、今度は第2の板ばね5の反転部5aが反転し、反転部5aの頂部下面に設けられた接点部5cが第2の個別接点23bと接触して2段目のスイッチがオン状態となる。この第2の板ばね5の反転動作により第2移動ストロークが得られるものとなる。
【0053】
このように、本発明の可動接点6を用いたスイッチ装置は、第1の板ばね4及びこの第1の板ばね4よりもばね力の大きな第2の板ばね5とを備え、この第2の板ばね5の片側に第1の板ばね4を一体に設け、第2の板ばね5の他端を基端として第1の板ばね4が撓むことにより第2の板ばね5を傾動可能に配設すると共に、第2の板ばね5にクリック用の反転部5aを設け、この第2の板ばね5が押圧されることにより、第1の板ばね4が撓んで1段目のスイッチの切り換えを行う第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、第2の板ばね5が反転してクリック感の生成と2段目のスイッチの切り換えを行う第2移動ストロークを形成することにより、1段目と2段目のスイッチの切り換えが可能な2段スイッチを構成でき、操作性が向上するものとなっている。
【0054】
図17は、本発明の可動接点6をフープ状にした状態を示している。
この場合、第1の板ばね4と第2の板ばね5からなる可動接点6を、帯状の金属板からなるフープ材7に複数個連続して設けている。そして、フープ材7と可動接点6とは、第2の板ばね5の外周縁に設けられた繋ぎ桟部7aで接続されている。また、この繋ぎ桟部7aは、第1及び第2の板ばね4、5との中心を結ぶ仮想線L−Lを横切る方向の第2の板ばね5の外周縁に形成されており、すなわち動作時に基台21と当接する範囲を避けた外周縁5bに形成されている。このため、可動接点6の傾動を繰り返し行っても、フープ材7との切り離し痕が固定接点や基台を削ることがなく、異物の発生を抑制し、長寿命化が図れるものとなっている。
【0055】
上記した本発明の実施例によれば、第1の板ばね4及びこの第1の板ばね4よりもばね力の大きな第2の板ばね5とを備え、この第2の板ばね5の片側に第1の板ばね4を一体に設け、第2の板ばね5の他端を基端として第1の板ばね4が撓むあるいは反転することにより第2の板ばね5を傾動可能に配設し、第1の板ばね4が撓むあるいは反転ことにより第2の板ばね5が傾動する第1移動ストロークと、第2の板ばね5が撓むあるいは反転することにより第2の板ばね5が移動する第2移動ストロークとによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成するようにして、可動接点6の第2の板ばね5と一体に設けた第1の板ばね4によって可動接点6を傾動させるようにしたので、動作(移動)ストロークを大きく形成できるものとなる。また、可動接点6の両側を浮かせるのではなく、一側の他端を基端として傾動させるので、安定した良好な操作フィーリングが得られるものとなっている。
【0056】
また、第1の板ばね4及び第2の板ばね5を、同一のばね性金属板で一体形成すると共に、何れか一方にクリック用の反転部を形成したので、可動接点6としての第1及び第2の板ばね4、5とクリック用ばねを、同一の金属板をプレス成形することにより容易に製造できるものとなっている。
【0057】
また、本発明のスイッチ装置は、基台1、11、21上に載置され、共通固定接点2、12、22及び個別固定接点3、13、23と接離する第1の板ばね4、14及びこの第1の板ばね4、14よりもばね力の大きな第2の板ばね5、15からなる可動接点6、16を備え、押圧操作時に第1の板ばね4、14及び第2の板ばね5、15が撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成したスイッチ装置であって、可動接点6、16を、共通固定接点2、12、22及び個別固定接点3、13、23が配設された基台上に載置したことから、移動ストロークが大きく、部品点数の少ないスイッチ装置を提供できるものとなっている。
【0058】
図18及び図19は、本発明の可動接点6を粘着シートに貼着した可動接点付シート、及びこの可動接点付シートを用いたスイッチ装置を示している。尚、図13乃至図16で説明した同一部品については同一符号を付してその説明を省略する。
粘着シート31は、ポリエステル樹脂等の絶縁性のフィルム材からなり、可撓性を有するシート状に形成されている。この粘着シート31の下面には、部分的に接着剤32が塗布されており、この接着剤32により粘着シート31の下面側に第1及び第2の板ばね4、5からなる可動接点6が貼着されている。
【0059】
この場合、粘着シート31の下面には、第1の板ばね4の上面側に対応して非粘着部(接着剤32の未塗布部)が形成され、第2の板ばね5の上面側に対応して粘着部(接着剤32の塗布部)が形成されており、可動接点6は第2の板ばね5の上面側の部分でのみ粘着シート31に貼着されたものとなっている。このように、粘着シート31の下面には、第1の板ばね4の上面に非粘着部を形成し、第2の板ばね5の上面に粘着部を形成したので、第1の板ばね4の撓みを阻害することがなく、確実な動作が得られるものとなっている。
【0060】
また、粘着シート31の下面には、同じくポリエステル樹脂等の絶縁性のフィルム材からなり、可動接点6が収容される収容孔33aを有するスペーサシート33が貼着されている。そして、このスペーサーシート33を含む粘着シート31と第1及び第2の板ばね4、5からなる可動接点6とを一体に、搬送時及び組立て時等に可動接点6にゴミや異物等が付着するのを防止する保護シートの役目を持つ剥離可能な剥離シート(図示せず)上に積層させることによりシート状の可動接点付シートが構成されている。
【0061】
図19は、本発明の可動接点付シートを用いたスイッチ装置を示しており、共通固定接点22と、第1及び第2の個別固定接点23a、23bが配設された基台21上に、剥離シートを剥離した後、可動接点付シートがスペーサーシート33の下面に塗布された接着剤34によって貼着され積層されている。
尚、本発明のスイッチ装置の動作については、図13乃至図16に示したスイッチ装置の構成で説明した内容と同様のためここではその説明は省略する。
【0062】
このように、本発明の可動接点6を用いた可動接点付シートは、第1の板ばね4及びこの第1の板ばね4よりもばね力の大きな第2の板ばね5とを備え、押圧操作時に第1の板ばね4及び第2の板ばね5が撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成した可動接点付シートを、可撓性を有する粘着シート31の下面側に貼着し、この粘着シート31と可動接点6とを一体に剥離可能な剥離シートに積層させたことから、可動接点付シートの搬送時やスイッチの組立時に、接点部にゴミや異物などが付着するのを防止できると共に、組立時には可動接点付シートの剥離シートを剥がして各固定接点22、23が配設された基台21上に積層するだけでいいので、移動ストロークが大きく、スイッチの組立が容易なスイッチ用の可動接点付シートを提供できるものとなっている。
尚、本発明の可動接点付シートは、上記した可動接点6と基台21の組み合わせに代えて、前述の図1乃至図12で説明した可動接点と基台の組み合わせで構成した可動接点付シートとすることも可能である。
【0063】
尚、図20及び図21は本発明の可動接点の更に他の実施例を示している。
図20に示す可動接点56は、弾性を有する導電性の金属薄板からなり、中央に反転可能なドーム状の反転部55aを有する略円形状の第2の板ばね55と、この第2の板ばね55の片側に連結部54aを介して突出して一体に形成された一対の第1の板ばね54とから形成されている。そして、この可動接点56は、第1の板ばね54に比べて第2の板ばね55のばね力の方が大きくなるように形成されており、第1の板ばね54が撓んだ後、第2の板ばね55が反転動作することによって押圧操作時に大きな移動ストロークが得られるものとなっている。
【0064】
また、一対の第2の板ばね55の間には、第2の板ばね55の周縁部55bの一部が露出して設けられている。また、第1の板ばね54は、一対の連結部54aから自由端に向かって下方へ湾曲して設けられおり、第2の板ばね55が押圧された際には、連結部54aを介してこの湾曲部に応力が加わることにより湾曲部が撓んで、第2の板ばね55が傾動するものとなっている。
【0065】
図21に示す可動接点66は、同じく弾性を有する導電性の金属薄板からなり、中央に反転可能なドーム状の反転部65aを有する略円形状の第2の板ばね65と、この第2の板ばね65の片側の周縁部65bに連結部64aを介して突出して一体に形成された第1の板ばね64とから形成されている。この可動接点66も、同じように、第1の板ばね64に比べて第2の板ばね65のばね力の方が大きくなるように形成されており、第1の板ばね64が撓んだ後、第2の板ばね65が反転動作することによって押圧操作時に大きな移動ストロークが得られるものとなっている。
【0066】
また、同じように、第1の板ばね64は連結部64aから自由端に向かって下方へ湾曲して設けられおり、第2の板ばね65が押圧された際には、連結部64aを介してこの湾曲部に応力が加わることにより湾曲部が撓んで、第2の板ばね65が傾動するものとなっている。
【0067】
尚、上記可動接点56、66を用いたスイッチ装置の構造及び動作については、上述した実施例の構成及び動作と同一なため、ここではその説明は省略する。
このような、上記実施例の可動接点56、66を用いたスイッチ装置においても、上述した実施例の場合と同様な作用効果が得られるのはもちろんである。また、上記可動接点56、66の構成によれば、小さく形成できるので、材料歩留りが向上し安価対応が図れると共に、基台などへの配線パターンの形成が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の可動接点を示す平面図である。
【図2】本発明の可動接点を用いたスイッチ装置を示す要部断面図である。
【図3】本発明の可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明の可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図5】本発明の可動接点の他の実施例を示す平面図である。
【図6】本発明のスイッチ装置の他の実施例を示す要部断面図である。
【図7】本発明の可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図8】本発明の可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図9】本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図である。
【図10】本発明のスイッチ装置の更に他の実施例を示す要部断面図である。
【図11】本発明の可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図12】本発明の可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図13】本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図である。
【図14】本発明のスイッチ装置の更に他の実施例を示す要部断面図である。
【図15】本発明の可動接点の第1移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図16】本発明の可動接点の第2移動ストローク状態を示す要部断面図である。
【図17】本発明の可動接点をフープ状にした状態を示す平面図である。
【図18】本発明の可動接点を粘着シートに貼着した可動接点付シートを示す平面図である。
【図19】本発明の可動接点付シートを用いたスイッチ装置を示す断面図である。
【図20】本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図である。
【図21】本発明の可動接点の更に他の実施例を示す平面図である。
【図22】従来のスイッチを示す断面図である。
【図23】従来のスイッチの押ボタンと押圧用弾性体の結合構成を示す断面図である。
【図24】従来のスイッチの動作状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1:基台
2:共通固定接点
3:個別固定接点
4:第1の板ばね
4a:連結部
4b:逃げ孔
5:第2の板ばね
5a:反転部
5b:周縁部
5c:接点部
6:可動接点
7:フープ材
7a:繋ぎ桟部
11:基台
12:共通固定接点
13:個別固定接点
14:第1の板ばね
14a:連結部
14b:逃げ孔
14c:反転部
14d:屈曲部
15:第2の板ばね
15a:平坦部
15b:周縁部
16:可動接点
21:基台
22:共通固定接点
23:個別固定接点
23a:第1の個別固定接点
23b:第2の個別固定接点
31:粘着シート
32:接着剤
33:スペーサシート
33a:収容孔
34:接着剤
54:第1の板ばね
54a:連結部
55:第2の板ばね
55a:反転部
55b:周縁部
56:可動接点
64:第1の板ばね
64a:連結部
65:第2の板ばね
65a:反転部
65b:周縁部
66:可動接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、前記第2の板ばねの片側に前記第1の板ばねを一体に設け、前記第2の板ばねの他端を基端として前記第1の板ばねが撓むことにより前記第2の板ばねを傾動可能に配設し、前記第1の板ばねが撓むことにより前記第2の板ばねが傾動する第1移動ストロークと、前記第2の板ばねが撓むことにより前記第2の板ばねが移動する第2移動ストロークとによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成したことを特徴とする可動接点。
【請求項2】
前記第1の板ばね及び前記第2の板ばねは、同一のばね性金属板で一体形成されると共に、何れか一方にクリック用の反転部を形成したことを特徴とする請求項1記載の可動接点。
【請求項3】
前記第1及び第2の板ばねを、フープ状に複数個連続して設け、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねとの中心を結ぶ仮想線を横切る方向の外周縁にフープ材との繋ぎ桟部を設けたことを特徴とする請求項2記載の可動接点。
【請求項4】
前記第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが撓んでスイッチ切り換え前の前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う前記第2移動ストロークを形成したことを特徴とする請求項2記載の可動接点。
【請求項5】
前記第1の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチの切り換えを行う前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが撓んでスイッチ切り換え後の前記第2移動ストロークを形成したことを特徴とする請求項2記載の可動接点。
【請求項6】
前記第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが撓んでスイッチの切り換えを行う前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが反転してクリック感の生成とスイッチ切り換え後の前記第2移動ストロークを形成したことを特徴とする請求項2記載の可動接点。
【請求項7】
前記第2の板ばねにクリック用の反転部を設け、前記第2の板ばねが押圧されることにより、前記第1の板ばねが撓んで1段目のスイッチの切り換えを行う前記第1移動ストロークを形成し、更に押圧されることにより、前記第2の板ばねが反転してクリック感の生成と2段目のスイッチの切り換えを行う前記第2移動ストロークを形成したことを特徴とする請求項2記載の可動接点。
【請求項8】
第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、押圧操作時に前記第1の板ばね及び前記第2の板ばねが撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成した可動接点付シートであって、請求項1乃至7の何れかに記載の可動接点を、可撓性を有する粘着シートの下面側に貼着し、この粘着シートと前記可動接点とを一体に剥離可能な剥離シートに積層させたことを特徴とする可動接点付シート。
【請求項9】
共通固定接点及び個別固定接点が配設された基台と、この基台上に載置され、前記共通固定接点及び個別固定接点と接離する第1の板ばね及びこの第1の板ばねよりもばね力の大きな第2の板ばねとを備え、押圧操作時に前記第1の板ばね及び前記第2の板ばねが撓むことによってスイッチ切り換え時の全移動ストロークを形成したスイッチ装置であって、請求項1乃至7の何れかに記載の可動接点を、前記共通固定接点及び前記個別固定接点が配設された前記基台上に載置したことをことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−216329(P2006−216329A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26936(P2005−26936)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】