説明

可動接点部材およびスイッチ装置

【課題】小型化を図ると共に、切欠部における応力振幅を低減して長寿命化を図ることができる可動接点部材およびスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】ドーム状に膨出して反転動作可能な膨出部25と、膨出部25の外周縁部から連続して半径方向外側に広がるスカート部26とを有し、スカート部26には、対向する2箇所が切り欠かれた一対の切欠部27が形成され、一対の切欠部27間の間隔が、膨出部25の径寸法よりも大きく設定されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動接点部材およびスイッチ装置に関し、特に、携帯電話等の小型の電子機器に組み込まれる可動接点部材およびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スイッチ装置に用いられる可動接点部材として、金属薄板を加工して、所定の曲率でドーム状に形成したものが知られている。この可動接点部材は、押圧により反転され、押圧を除くことにより弾性復元力により復帰される。この場合、操作フィーリングは、可動接点部材の曲率の変更により調整されるが、可動接点部材の曲率を可変させただけでは作動力やクリック感触等の所望の操作フィーリングを得ることが困難となっていた。
【0003】
この問題を解決する可動接点部材として、ドーム状の膨出部と膨出部の外周側を支持することになるスカート部とを組み合わせたものがある。この可動接点部材は、外周縁部から所定の傾斜角度で半径方向の内側に向かって立ち上がるスカート部と、スカート部に連なり、所定の曲率で上方に膨出した膨出部とを有している。このように、可動接点部材を膨出部とスカート部とを組み合わせて構成することにより、膨出部の曲率やスカート部の傾斜角度、高さを調整して、所望の操作フィーリングを得るようにしている。
【0004】
近年、携帯電話等の電子機器の小型化に伴い、可動接点部材の小型化が望まれている。このため、上記した可動接点部材のように膨出部の全周に亘ってスカート部を設けると、可動接点部材が大型化してしまうという問題がある。この問題を解決するために、外周縁部の対向する2箇所を平行に切り欠いて、膨出部を小判状とした可動接点部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この可動接点部材は、小判状の膨出部の長手方向にのみスカート部が形成され、小型化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−187664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、中央に集中荷重を受ける板状の部材は、外周縁部において周方向に最大の応力振幅が発生することが知られている。また、可動接点部材は、打ち抜き加工により形成されており、加工時の破断面となる外周縁部から内側にクラックが発生する傾向にある。特許文献1に記載の可動接点部材では、膨出部に形成された一対の切欠部に応力集中が生じるため、小型化を図ることができるものの、切欠部からクラックが生じ易く、十分な寿命性能を持たせることができないという問題があった。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、小型化を図ると共に、切欠部における応力振幅を低減して長寿命化を図ることができる可動接点部材およびスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の可動接点部材は、ドーム状に膨出して反転動作可能な膨出部と、前記膨出部の外周縁部から連続して半径方向外側に広がるスカート部とを有し、前記スカート部には、対向する2箇所が切り欠かれた一対の切欠部が形成され、前記一対の切欠部間の間隔が、前記膨出部の径寸法よりも大きく設定されたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、スカート部にのみ一対の切欠部が形成されるため、可動接点部材の繰り返し押圧操作時に生じる応力を膨出部で分散させることができ、膨出部に一対の切欠部が形成される構成と比較して、切欠部における応力振幅を小さくできる。よって、可動接点部材の切欠部におけるクラックの発生を抑制することができる。このように、一対の切欠部により可動接点部材の小型化を図りつつ、可動接点部材の長寿命化を図ることができる。
【0010】
また本発明は、上記可動接点部材において、前記膨出部の外周縁部と前記切欠部とが、少なくとも前記膨出部の厚み寸法の2倍以上離れていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、スカート部に形成された切欠部が膨出部から十分に離間されるため、膨出部が切欠部からの影響を強く受けることがない。
【0012】
また本発明は、上記可動接点部材において、板材が外形形状に沿って切断された後の塑性加工により形成されることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、塑性加工の後に外形形状に沿って切断される場合と比較して、外周縁部に生じる残留応力を少なくして、可動接点部材の長寿命化を図ることができる。
【0014】
また本発明は、上記可動接点部材において、前記スカート部は、前記膨出部の外周縁部におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に略一致するように前記膨出部の外周縁部から連続していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、膨出部の外周縁部とスカート部の膨出部に連なる部分との延設方向が略一致するため、膨出部とスカート部とがなだらかに接続される。この場合、可動接点部材の押圧操作により、作動力がスカート部の外周縁部から半径方向及び周方向に伝達されるが、膨出部とスカート部とがなだらかに接続されるため、作動力の伝達が接続部分で遮られることない。よって、可動接点部材に加わる作動力がスカート部だけでなく膨出部においても受け止められる。したがって、可動接点部材の繰り返し押圧操作によって、切欠部に生じる応力振幅が低減され、可動接点部材の長寿命化を図ることができる。なお、略一致するように連続するとは、膨出部の外周縁部における接線方向に完全一致するように接続する場合だけに限定されるものではなく、作動力がスカート部だけで受け止めらないような範囲内、すなわち、押圧操作時に外側から中央に向かう応力伝達を遮断しない程度の範囲内で接線方向と一致していればよい。
【0016】
また本発明は、上記可動接点部材において、前記スカート部は、前記膨出部の外周縁部におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に沿って、直線状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、スカート部の切欠部に生じる応力振幅を低減して長寿命化を図ると共に、スカート部の傾斜角度を調整して操作フィーリングを調整することができる。
【0018】
また本発明は、上記可動接点部材において、前記スカート部は、前記膨出部の外周縁部におけるドーム半径方向に延びる接線に対する外接円に沿うように形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、スカート部の切欠部に生じる応力振幅を低減して長寿命化を図ると共に、円弧の曲率を調整して操作フィーリングを調整することができる。
【0020】
また本発明は、上記可動接点部材において、前記スカート部の外周縁部から連続して半径方向外側に広がる脚部を有し、前記スカート部と前記脚部とは、前記脚部の前記スカート部に連なる部分におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に略一致するように連続していることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、スカート部と脚部とが脚部のスカート部に連なる部分における接線の接方向に略一致するように接続されているため、スカート部と脚部とがなだらかに接続され、可動接点部材に加わる作動力が脚部だけでなくスカート部においても受け止められる。したがって、可動接点部材の繰り返し押圧操作によって、脚部の外周縁部に生じる周方向の応力振幅が低減され、可動接点部材の長寿命化を図ることができる。なお、略一致するように接続するとは、脚部のスカート部に連なる部分における接線方向に完全一致するように接続する場合だけに限定されるものではなく、作動力が脚部だけで受け止めらないような範囲内、すなわち、押圧操作時に外側から中央に向かう応力伝達を遮断しない程度の範囲内で接線方向と一致していればよい。
【0022】
また本発明は、上記可動接点部材において、前記スカート部または前記脚部において、前記一対の切欠部を除く外周縁部に、フープ材からの切断時に発生する切り残し部分が残存することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、応力振幅が最大となる切欠部を避けて繋ぎ部分が形成されるため、切欠部におけるクラックの発生が抑制され、可動接点部材の長寿命化を図ることができる。
【0024】
本発明のスイッチ装置は、上記可動接点部材と、前記可動接点部材が配置され、前記膨出部に離接される固定接点を有するスイッチ基台とを備えたことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、可動接点部材の長寿命化を図り、スイッチ装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、可動接点部材の小型化を図ると共に、切欠部における応力振幅を低減して可動接点部材の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、スイッチ装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、スイッチ装置の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、可動接点部材の説明図である。
【図4】本発明に係る可動接点部材の変形例の説明図である。
【図5】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、可動接点部材の一部における応力パターンの説明図である。
【図6】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、可動接点部材の切り残し部分の説明図である。
【図7】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、可動接点部材の外周縁部における端面形状の説明図である。
【図8】本発明に係る可動接点部材の実施の形態を示す図であり、可動接点部材の反転動作の説明図である。
【図9】本発明に係る可動接点部材の他の変形例の説明図である。
【図10】本発明に係る可動接点部材の従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
スイッチ装置に用いられる可動接点部材では、ドーム状の膨出部と、膨出部に連なるスカート部とを組み合わせたものが提案されている。本発明が適用されるスイッチ装置においては、電子機器の小型化に伴い、可動接点部材の小型化が望まれている。一般に、可動接点部材の小型化を図る場合にはスカート部と共に膨出部を切り欠いて一対の対向する切欠部を設けることで可動接点部材が小型化される。しかしながら、この可動接点部材では、一対の切欠部からクラックが生じ易く、長寿命化を図ることが困難となっていた。
【0029】
ここで、本件出願人が、一対の切欠部の形成位置と可動接点部材の寿命(ここでは、可動接点部材にクラックが発生する繰り返し押圧操作の打鍵回数を指す。)との関係を調べた結果、図10の可動接点部材41に示すように、スカート部43と共に膨出部42に一対の切欠部44を設けた場合には極端に寿命が短くなることが確認された。これは、一対の切欠部44間の間隔Sが膨出部42の径Φよりも小さい場合(S<Φ)には、膨出部42が小判状となるため、切欠部44に発生する応力を膨出部42において適切に分散させることができないためだと考えられる。
【0030】
そこで、本件出願人は、膨出部を残すように、スカート部だけを切り欠いて一対の切欠部を形成したところ、可動接点部材の寿命が2倍以上に増加することを発見した。すなわち、本発明の第一の骨子は、膨出部を残すようにスカート部にのみ一対の切欠部を形成することにより、可動接点部材を小型化すると共に、長寿命化を図ることである。
【0031】
また、可動接点部材の小型化を図る場合には、可動接点部材に切欠部を設ける他、可動接点部材の小径化によっても実現できる。一般に、中心に集中荷重を受ける円板においては、円板の外周縁部に生じる周方向の応力振幅σは、円板の径をφ、円板の厚みをtとすると、次式(1)に示すように、円板の径の二乗に反比例して大きくなっている。
σ∝t/φ2・・・(1)
したがって、可動接点部材の小径化により、可動接点部材の外周縁部には周方向に大きな応力振幅が発生する。
【0032】
また、本件出願人が可動接点部材の外周縁部に生じる周方向の応力振幅と可動接点部材の寿命との関係を調べた結果、応力振幅の増加により寿命が対数的に減少することが確認された。このように、可動接点部材の小径化により外周縁部に発生する周方向の応力振幅が大きくなり、可動接点部材の寿命が大幅に減少されるため、可動接点部材の小径化には可動接点部材の外周縁部に発生する周方向の応力振幅を低減することが重要となる。
【0033】
ここで、ドーム形状の膨出部と、膨出部に連なるスカート部とを単純に組み合わせて可動接点部材を形成した場合には、可動接点部材に加わる作動力がスカート部のみで受け止められるため、可動接点部材の外周縁部に発生する周方向の応力振幅が大きくなる。これは、膨出部とスカート部との接続部分において押圧操作時に支点が生じることで応力伝達の方向が転換されることになり、この方向転換の影響により、押圧操作時に外側から内側に向かう応力伝達が膨出部とスカート部との境目(接続部分)で遮断されるためである。したがって、一対の切欠部を有する可動接点部材を小径化した場合には、特に切欠部における応力振幅が増加して十分な寿命性能を得ることができない。
【0034】
そこで、本件出願人は、膨出部とスカート部との接続形状を調べた結果、膨出部とスカート部との境目において、膨出部におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に略一致するようになだらかにスカート部を接続することで、上記応力伝達が遮断されないことを発見した。すなわち、本発明の第二の骨子は、切欠部を設けた可動接点部材において、膨出部とスカート部との接続部分における応力伝達の遮断を抑制することにより、可動接点部材の小径化によって増加する切欠部における応力振幅を低減し、可動接点部材の長寿命化を図ることである。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明のスイッチ装置は、主として携帯電話、リモコン、オーディオ機器、および電子カメラ等の各種電子機器に取り付けられ、入力操作部として機能するものである。図1を参照して、スイッチ装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の斜視図である。図2は、図1に示すスイッチ装置の分解斜視図である。
【0036】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、図示しない電子機器の筐体内に組み込まれるものであり、上面が開口されたハウジング2と、ハウジング2の開口に装着されて収納部を形成するカバー部材3とを有している。また、収容部内にはハウジング2の底壁に載置される可動接点部材4と、可動接点部材4の上部に当接して、可動接点部材4を反転動作させる操作キー5が収容されている。
【0037】
ハウジング2は、絶縁性材料により上面を開口した箱形に形成されている。ハウジング2の側壁部の四隅には、上面から上方にカバー部材3の位置決め用の位置決め突起部11が突出して形成されている。ハウジング2の底壁部には、中央に位置する中央固定接点部13と、中央固定接点部13を挟んで対向して位置する一対の外側固定接点部14とが設けられており、中央固定接点部13および一対の外側固定接点部14は収容部内に僅かに突出されている。中央固定接点部13および一対の外側固定接点部14は、図示しない導体パターンを介して外部端子15に接続され、外部端子15を介して図示しない電子機器の基板に接続される。
【0038】
カバー部材3は、上面視略正方形の板状に形成されている。カバー部材3の四隅には、切欠部17が形成されており、切欠部17をハウジング2の位置決め突起部11に係合させることで、カバー部材3がハウジング2に対して前後左右に位置決めされる。カバー部材3の中央には、操作キー5のヘッド部21を外部に露出させるための円形開口18が形成されている。
【0039】
可動接点部材4は、金属板等の導電性材料により薄型の略ドーム状に形成されている。また、可動接点部材4は、膨出方向を上方に向けて一対の外側固定接点部14上に載置され、その中央部は中央固定接点部13の真上に位置されている。押圧操作により可動接点部材4が反転されると、可動接点部材4の中央部が中央固定接点部13に接触され、中央固定接点部13と一対の外側固定接点部14とが可動接点部材4を介して導通される。なお、可動接点部材4の詳細構成については後述する。
【0040】
操作キー5は、円柱状のヘッド部21と、ヘッド部21の下部から側方に広がる上面視略正方形状のフランジ部22と、フランジ部22の中心から下方に突出する円柱状の押圧突起部23(図8参照)とを有している。ヘッド部21は、カバー部材3の円形開口18よりも僅かに小径に形成されており、円形開口18を介して収容部から外部に突出される。フランジ部22は、操作キー5の抜けを防止するものであり、可動接点部材4の復帰時にカバー部材3の下面に当接される。押圧突起部23は、可動接点部材4の頂点部分に接するように突出しており、操作キー5に加わる押圧力を可動接点部材4の頂点部分に集中させる。
【0041】
図3を参照して、可動接点部材について詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る可動接点部材の説明図であり、(a)は可動接点部材の平視図、(b)は可動接点部材の部分拡大図である。なお、図3(a)において、紙面中央が上面図、紙面下方がA−A断面図、紙面側方がB−B断面図をそれぞれ示す。
【0042】
図3(a)に示すように、可動接点部材4は、ドーム状に膨出する膨出部25と、膨出部25の外周縁部25aから下方に向けて半径方向外側に広がるスカート部26とを有している。よって、スカート部26は、膨出部25の外周縁部25aに連続して形成されているので膨出部25を支持する。膨出部25は、所定の直径Φの円の領域において所定の曲率で湾曲して形成され、スカート部26は所定の角度で傾斜して形成されている。この場合、膨出部25は、スカート部26になだらかに接続されており、膨出部25とスカート部26との境目に反転時の支点が形成されないようになっている。
【0043】
また、スカート部26には、膨出部25を挟んで対向する2箇所に一対の切欠部27が形成されている。一対の切欠部27は、スカート部26を平行に切り欠いて形成されている。このように、可動接点部材4は、スカート部26に一対の切欠部27を設けて、小型化が図られている。この場合、一対の切欠部27間の間隔Sは、膨出部25の径Φよりも大きく設定されている(S>Φ)。すなわち、一対の切欠部27は、膨出部25を切り欠くことなく、スカート部26のみを切り欠いて形成される。
【0044】
このため、可動接点部材4の反転動作時に、切欠部27から内側に向かう応力伝達が、円形の膨出部25において適切に分散され、図10に示す可動接点部材41と比較して、切欠部27に生じる応力振幅を低減させることが可能となる。このとき、膨出部25の外周縁部25aと切欠部27との間隔Lは、最も狭い位置において、少なくとも可動接点部材4の板厚tの2倍以上を有することが好ましい(L≧2t)。この構成により、切欠部27によってスカート部26が短くされた部分においても、この部分を膨出部25の一部としてではなく、スカート部26として機能させることができる。したがって、膨出部25に対し、切欠部27を形成したスカート部26からの悪影響を低減することができる。
【0045】
また、図3(b)に示すように、膨出部25の外周縁部25aに接してドーム半径方向に延びる接線T1は、水平面Hとのなす傾斜角度(接線方向)がスカート部26の傾斜角度に一致されている。より具体的には、可動接点部材4の径方向に沿う断面において、膨出部25の湾曲面に沿った仮想円C1をとった場合、この仮想円C1の膨出部25の外周縁部25aにおける接線T1と水平面Hとの傾斜角度が、スカート部26の傾斜角度に一致する。
【0046】
このように、スカート部26は、膨出部25の外周縁部25aから接線T1方向に延在しているため、膨出部25とスカート部26とがなだらかに接続される。この構成により、可動接点部材4の反転動作時に、接続部分にて支点が生じないことにより外側から内側に向かう応力伝達が膨出部25とスカート部26との境目において遮断されないため、スカート部26の外周縁部に生じる応力振幅を低減させることが可能となる。
【0047】
なお、ここでは、接線T1と水平面Hとのなす傾斜角度とスカート部26の傾斜角度が一致する構成としたが、この構成に限定されず、これら傾斜角度の差が可動接点部材4の反転動作時に外側から中央に向かう応力伝達を遮断しない程度の角度範囲内にあればよい。すなわち、スカート部26の延在方向が、接線T1方向に対して反転動作時に外側から中央に向かう応力伝達を遮断しない程度に近ければよい。
【0048】
また、上記したようにスカート部を直線状に傾斜させる構成に代えて、図4に示すように、スカート部を湾曲させて構成してもよい。図4は、本発明の実施の形態に係る可動接点部材の変形例の説明図であり、(a)は可動接点部材の側面図、(b)は可動接点部材を長手方向に切断した断面図、(c)は(b)の部分拡大図である。なお、変形例においては、スカート部を湾曲した点についてのみ図3の可動接点部材と異なるため、特に相違点について説明する。
【0049】
図4(a)、(b)に示すように、変形例に係る可動接点部材31においては、膨出部32は、所定の曲率で凸状に湾曲して形成され、スカート部33は、所定の曲率で凹状に湾曲して形成されている。この場合、膨出部32は、スカート部33になだらかに接続されており、膨出部32とスカート部33との境目に反転時の支点が形成されないようになっている。また、スカート部33には、膨出部32を挟んで対向する2箇所に一対の切欠部34が形成されている。一対の切欠部34の間隔は、膨出部32の径よりも大きく設定され、切欠部34に生じる応力振幅が低減されている。この場合、膨出部32の外周縁部32aと切欠部34との間隔が、最も狭い位置において、少なくとも可動接点部材31の板厚の2倍以上を有することが好ましい。
【0050】
図4(c)に示すように、膨出部32の外周縁部32aに接してドーム半径方向に延びる接線T2と水平面Hとのなす傾斜角度(接線方向)が、スカート部33の膨出部32に連なる部分33aに接してドーム半径方向に延びる接線T3と水平面Hとのなす傾斜角度に一致されている。より具体的には、可動接点部材31の半径方向に沿う断面において、膨出部32の湾曲形状に沿った仮想円C2およびスカート部33の湾曲形状に沿った仮想円C3をとった場合、仮想円C2の膨出部32の外周縁部32aにおける接線T2と、仮想円C3のスカート部33の膨出部32に連なる部分33aにおける接線T3とが一直線上に連なる。この関係を言い換えると、仮想円C2は、仮想円C3の接線T3に対しての外接円となり、仮想円C3は、仮想円C2の接線T2に対しての外接円となる関係となっている。
【0051】
このように、スカート部33は、膨出部32の外周縁部32aから接線T2を有するように湾曲して連なるため、膨出部32とスカート部33とがなだらかに接続される。この変形例に係る構成においても、可動接点部材31の反転動作時に、接続部分にて支点が生じないことにより、外側から内側に向かう応力伝達が膨出部32とスカート部33との境目において遮断されないため、スカート部33の外周縁部に生じる応力振幅を低減させることが可能となる。
【0052】
なお、ここでは、接線T2と水平面Hとのなす傾斜角度と接線T3と水平面Hとのなす傾斜角度とが一致する構成としたが、この構成に限定されず、これら傾斜角度の差が可動接点部材31の反転動作時に外側から中央に向かう応力伝達を遮断しない程度の角度範囲内にあればよい。すなわち、接線T3方向が、接線T2方向に対して反転動作時に外側から中央に向かう応力伝達を遮断しない程度に近ければよい。
【0053】
図5を参照して、本実施の形態に係る可動接点部材、変形例に係る可動接点部材および比較例に係る可動接点部材の応力伝達方法について説明する。各応力パターンは、有限要素法による解析から求めたものである。なお、比較例に係る可動接点部材は、所定の曲率で凸状に湾曲した膨出部と所定の角度で傾斜されたスカート部とが、屈曲するように接続されたものである。このため、比較例に係る可動接点部材では膨出部とスカート部との境目に反転時の支点が形成される。
【0054】
図5は、可動接点部材の切欠部における応力パターンの説明図であり、(a)、(b)は比較例に係る可動接点部材、(c)、(d)は本実施の形態に係る可動接点部材、(e)、(f)は変形例に係る可動接点部材の応力パターンをそれぞれ示している。なお、図5(a)、(c)、(e)においては、実線が非押圧操作時の応力パターン、破線が押圧操作時の応力パターンをそれぞれ示し、図5(b)、(d)、(f)においては、実線が非押圧操作時、破線が押圧操作時をそれぞれ示している。また、説明の便宜上、膨出部とスカート部との境目の位置を同じ位置とした場合における応力パターンを示している。
【0055】
図5(a)に示すように、比較例に係る可動接点部材35においては、三角形状の応力パターンがあらわれており、切欠部38で応力のピーク値を有している。また、可動接点部材35の反転動作によって生じた応力が径方向に広がることなく、切欠部38の延在方向(周方向)にのみ広がっている。これは、膨出部36とスカート部37との接続部分が僅かに角張って形成され、図5(b)に示すように、反転動作時にスカート部37は立設した状態のまま膨出部36との接続部分に支点が形成されるためである。このため、可動接点部材35の反転動作によって生じた応力の伝達が支点部分では伝達方向が僅かに転換され、この伝達方向の転換の影響により、膨出部36とスカート部37との接続部分から内側に広がるのが遮断される。
【0056】
このように、可動接点部材35に加わる作動力がスカート部37のみで受け止められるため、特にスカート部37の切欠部38に生じる周方向の応力振幅が強くなる。また、上記したように、可動接点部材35の寿命は応力振幅の増加に対して対数的に減少するという関係を有している。したがって、比較例に係る可動接点部材35においては、応力が集中する切欠部38にクラックが生じ易くなり、十分な寿命を得ることができない。特に、可動接点部材35を小型化する場合には、応力振幅は径の大きさ二乗に反比例することから、大幅に寿命が短くなってしまう。
【0057】
一方、図5(c)に示すように、本実施の形態に係る可動接点部材4においては、比較例に係る可動接点部材35と同様に三角形状の応力パターンがあらわれているものの、反転動作によって生じた応力が切欠部27の延在方向(周方向)だけでなく径方向にも広がっている。これは、スカート部26が膨出部25の外周縁部25aから接線方向になだらかに接続され、図5(d)に示すように、反転動作時に膨出部25とスカート部26との接続部分に支点が形成されないためである。このため、可動接点部材4の反転動作によって生じた応力の伝達が膨出部25とスカート部26との接続部分から何ら影響を受けることなく、膨出部25とスカート部26との接続部分から内側に広がるのが遮断されない。
【0058】
このように、可動接点部材4に加わる作動力がスカート部26だけでなく膨出部25においても受け止められるため、比較例に係る可動接点部材35と比較して、切欠部27に生じる周方向の応力振幅が大きく低減される。したがって、本実施の形態に係る可動接点部材4においては、応力振幅の減少に対して寿命が対数的に増加されることから、比較例に係る可動接点部材35と比較して寿命を大幅に長くすることが可能となる。また、可動接点部材4を小型化する場合においても、所望の寿命を確保することが可能となる。
【0059】
また、図5(e)に示すように、変形例に係る可動接点部材31においては、切欠部34よりも径方向内側寄りで応力のピーク値を有する応力パターンがあらわれている。また、可動接点部材31の反転動作によって生じた応力が切欠部34の延在方向(周方向)だけでなく径方向にも広がっている。これは、スカート部33が膨出部32の外周縁部32aから共通の接線を有するようになだらかに接続され、図5(f)に示すように、膨出部32とスカート部33との接続部分に反転動作時に支点が形成されないためである。このため、可動接点部材31の反転動作によって生じた応力の伝達が膨出部32とスカート部33との接続部分から何ら影響を受けることなく、膨出部32とスカート部33との接続部分から内側に広がるのが遮断されない。
【0060】
このように、可動接点部材31に加わる作動力がスカート部33だけでなく膨出部32においても受け止められると共に、応力のピーク値が切欠部34から内側に位置されるため、切欠部34に生じる周方向の応力振幅が大きく低減される。よって、変形例に係る可動接点部材31は、比較例に係る可動接点部材35および本実施の形態に係る可動接点部材4と比較して、寿命をさらに長くすることが可能となる。また、可動接点部材31を小径化する場合においても、所望の寿命を確保することがさらに容易となる。
【0061】
ところで、本実施の形態に係る可動接点部材4の製造工程においては、可動接点部材4が一対の切欠部27を除く外周縁部においてフープ材に接続されている。このため、フープ材からの可動接点部材4の切り離し時に、一対の切欠部27に切り残し部分28が残存することがない。以下、図6を参照して、可動接点部材に対する切り残し部分の影響について説明する。図6は、本発明の実施の形態に係る可動接点部材の切り残し部分の説明図である。なお、図6において、(a)が一対の切欠部に切り残し部分が残存する場合、(b)が一対の切欠部以外の外周縁部に切り残し部分が残存する場合をそれぞれ示す。
【0062】
図6(a)に示すように、例えば、可動接点部材4の製造工程において、可動接点部材4が一対の切欠部27でフープ材に接続されていた場合には、フープ材の切り離し時に一対の切欠部27に切り残し部分28が残存する。この切り残し部分28は、切欠部27の端面から外方に僅かに突出し、付け根部分に角部を形成している。一対の切欠部27における応力振幅は、スカート部26の他の外周縁部と比べて大きいため、この付け根部分からクラックが生じ易い。
【0063】
この問題を解決するため、フープ材からの切り離し時に、一対の切欠部27に切り残し部分28を残存させないように切断する構成が考えられる。しかしながら、高度な加工が必要となり、作業効率が低下すると共に、製造コストが増加してしまう。
【0064】
一方、図6(b)に示すように、可動接点部材4の製造工程において、可動接点部材4が一対の切欠部27を除く外周縁部でフープ材に接続されていた場合には、フープ材の切り離し時に一対の切欠部27を除く外周縁部に切り残し部分28が残存する。したがって、一対の切欠部27と比較して応力振幅が小さいスカート部26の外周縁部に切り残し部分28が残存するため、切り残し部分28の付け根部分からクラックが生じ難くなっている。
【0065】
このように、本実施の形態に係る可動接点部材4は、簡易な構成で切り残し部部28の付け根部分からのクラックを抑制している。なお、ここでは、傾斜したスカート部26を有する可動接点部材4を例示して説明したが、湾曲したスカート部33を有する変形例に係る可動接点部材31においても、切欠部34を除く外周縁部に切り残し部分を残存させてもよい。また、可動接点部材4の所望の寿命を確保可能であれば、切欠部27に切り残し部分28を残存させてもよい。
【0066】
また、本実施の形態に係る可動接点部材4の製造工程においては、金属板材が可動接点部材4の外形形状に沿って切断された後に、塑性加工によって膨出部25とスカート部26とが形成される。これとは逆に、図7(a)に示すように、例えば、塑性加工によって膨出部25とスカート部26とが形成された後に、可動接点部材4の外形形状に沿って金属板材が切断されると、スカート部26の外周縁部の残留応力が大きくなる。
【0067】
具体的には、金属板材を凸状に塑性変形した状態で切断されるため、図示しない切断刃が金属板材の斜面に対して斜めに当たり、スカート部26の外周縁部が鉛直に切断される。このため、スカート部26の外周縁部に生じる歪が不均一となり、残留応力が大きくなる。このように、可動接点部材4の外周縁部の残留応力が大きくなるため、特に切欠部27においてクラックが生じ易くなる。
【0068】
これに対し、図7(b)に示すように、可動接点部材4の外形形状に沿って金属板材が切断された後に、塑性加工によって膨出部25とスカート部26とが形成されると、スカート部26の外周縁部の残留応力が減少される。具体的には、平坦な金属板材が切断されるため、図示しない切断刃が金属板材の平面に対して垂直に当たって切断される。このため、図7(a)に示す可動接点部材4と比べて、金属板材の外周縁部に生じる不均一な歪が減少して残留応力が小さくなる。
【0069】
そして、金属板材に塑性加工を施してスカート部26と膨出部25とが形成されると、スカート部26の外周縁部の端面が斜面に対して垂直に形成される。このように、スカート部26の外周縁部の残留応力が小さくなるため、特に切欠部27におけるクラックが抑制される。なお、ここでは、傾斜したスカート部26を有する可動接点部材4を例示して説明したが、湾曲したスカート部33を有する比較例に係る可動接点部材31においても、金属板材が切断された後に、塑性加工によって膨出部32とスカート部33とが形成される構成としてもよい。また、可動接点部材4の所望の寿命を確保可能であれば、金属板材を凸状に塑性変形した状態で切断して可動接点部材4を形成してもよい。
【0070】
図8を参照して、可動接点部材の反転動作について簡単に説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る可動接点部材の反転動作の説明図である。
【0071】
図8(a)に示すように、操作キー5が押圧されていない初期状態においては、可動接点部材4の弾性力により操作キー5が上方に持ち上げられている。この場合、可動接点部材4の外周縁部が一対の外側固定接点部14に接触し、中央部が中央固定接点部13から離間されている。この初期状態から操作キー5が押圧されると、操作キー5を介して可動接点部材4の頂部に押圧力が集中され、可動接点部材4が半径方向外側から中心に向かって徐々に撓み始める。
【0072】
さらに、可動接点部材4に加わる荷重が大きくなり所定の荷重以上になると、図8(b)に示すように可動接点部材4が反転する。可動接点部材4が反転すると、可動接点部材4の中央部が中央固定接点部13に接触され、中央固定接点部13と一対の外側固定接点部14とが可動接点部材4を介して導通される。そして、可動接点部材4から作動力が除かれると、可動接点部材4は自身の弾性力により復帰し、操作キー5を上方に押し上げる。
【0073】
以上のように、本実施の形態に係る可動接点部材4によれば、スカート部26にのみ一対の切欠部27が形成されるため、可動接点部材4の繰り返し押圧操作時に生じる応力を円形の膨出部25に分散させることができ、膨出部25に一対の切欠部27が形成される構成と比較して、切欠部27における応力振幅を小さくできる。よって、可動接点部材4の切欠部27におけるクラックの発生を抑制することができる。このように、一対の切欠部27により可動接点部材4の小型化を図りつつ、可動接点部材4の長寿命化を図ることができる。
【0074】
本実施の形態に係る可動接点部材4によれば、膨出部25とスカート部26とがなだらかに接続され、外側から中央に向かう応力伝達が膨出部25とスカート部26との境目で遮断されることがない。したがって、可動接点部材4の繰り返し押圧操作によって、スカート部26の切欠部27に生じる応力振幅が低減され、可動接点部材4の長寿命化を図ることが可能となる。また、膨出部25とスカート部26とにより形成されているため、所定の曲率でドーム状に形成した可動接点部材と比較して、膨出部25の曲率、スカート部26と膨出部25との境界位置等を調整して所望の操作フィーリングを得ることが可能となる。
【0075】
なお、本発明に係る可動接点部材は、本実施の形態に係る可動接点部材および変形例に係る可動接点部材に限定されるものではない。図9に示すように、可動接点部材を形づくる膨出部およびスカート部等の各部が、外周縁部から内側に向かう応力伝達を妨げないように接続されていれば、どのような形状であってもよい。例えば、図9(a)に示す可動接点部材は、膨出部を所定の曲率で凸状に湾曲し、スカート部を膨出部とは異なる曲率で凸状に湾曲したものである。この場合、スカート部の膨出部に連なる部分は、膨出部の外周縁部に接してドーム半径方向に延びる接線と略一致するように形成されている。
【0076】
また、図9(b)に示す可動接点部材は、膨出部を所定の曲率で凸状に湾曲し、スカート部を膨出部とは異なる曲率で凹状に湾曲し、スカート部の外周縁部を水平状としたものである。この場合も、スカート部の膨出部に連なる部分は、膨出部の外周縁部に接してドーム半径方向に延びる接線と略一致するように形成されている。
【0077】
また、図9(c)、(d)に示す可動接点部材のように、スカート部の外周縁部にさらに脚部を連ねるようにしてもよい。図9(c)、(d)に示す可動接点部材は、膨出部を所定の曲率で凸状に湾曲し、スカート部を所定の角度で傾斜させ、湾曲部を所定の曲率で凸状または凹状に湾曲したものである。この場合は、スカート部の膨出部に連なる部分は、膨出部の外周縁部に接してドーム半径方向に延びる接線の接線方向と略一致するように形成されると共に、スカート部の外周縁部は、脚部のスカート部の外周縁部に連なる部分に接してドーム半径方向に延びる接線の接線方向と略一致するように形成されている。なお、ここでいう略一致とは、完全一致に限らず、押圧操作によって外側から内側に向かう応力伝達を遮らないのであれば、多少ズレを有していてもよい。
【0078】
これら図9(a)−(d)に示す可動接点部材は、本実施の形態に係る可動接点部材と同様に、スカート部の対向する2箇所を平行に切り欠いて一対の切欠部が形成される。これにより、可動接点部材の繰り返し押圧操作時に生じる応力を円形の膨出部に適切に分散させることができ、切欠部の応力振幅を小さくできる。
【0079】
また、上記した実施の形態においては、膨出部を所定の曲率で形成する構成としたが、この構成に限定されるものではない。膨出部は、スカート部になだらかに連なり、操作キー等の押圧部材からの押圧力を受ける形状であればどのような形状であってもよい。
【0080】
また、上記した実施の形態においては、ハウジング内に可動接点部材が保持されたスイッチ装置を例示して説明したが、この構成に限定されるものではない。本発明に係る可動接点部材を用いるスイッチ装置であれば、どのような構成でもよく、例えば、保持シートにより可動接点部材が基板に保持されるシート型のスイッチ装置であってもよい。
【0081】
また、上記した実施の形態においては、膨出部とスカート部とがなだらかに接続される構成としたが、この構成に限定されるものではない。本発明に係る可動接点部材は、スカート部にのみ切欠部が形成されることで切欠部の応力振幅が減少される構成であればよく、例えば、膨出部とスカート部とが屈曲するように接続され、膨出部とスカート部との境目に反転時の支点が形成される構成としてもよい。
【0082】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、小型化を図ると共に、切欠部における応力振幅を低減して長寿命化を図ることができるという効果を有し、特に、携帯電話等の小型の電子機器に組み込まれる可動接点部材およびスイッチ装置に有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 スイッチ装置
2 ハウジング
3 カバー部材
4、31 可動接点部材
5 操作キー
13 中央固定接点部
14 外側固定接点部
21 ヘッド部
22 フランジ部
23 押圧突起部
25、32 膨出部
25a、32a 外周縁部
26、33 スカート部
27、34 切欠部
28 切り残し部分
C1、C2、C3 仮想円
T1、T2、T3 接線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状に膨出して反転動作可能な膨出部と、
前記膨出部の外周縁部から連続して半径方向外側に広がるスカート部とを有し、
前記スカート部には、対向する2箇所が切り欠かれた一対の切欠部が形成され、
前記一対の切欠部間の間隔が、前記膨出部の径寸法よりも大きく設定されたことを特徴とする可動接点部材。
【請求項2】
前記膨出部の外周縁部と前記切欠部とが、少なくとも前記膨出部の厚み寸法の2倍以上離れていることを特徴とする請求項1に記載の可動接点部材。
【請求項3】
板材が外形形状に沿って切断された後の塑性加工により形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可動接点部材。
【請求項4】
前記スカート部は、前記膨出部の外周縁部におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に略一致するように前記膨出部の外周縁部から連続していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の可動接点部材。
【請求項5】
前記スカート部は、前記膨出部の外周縁部におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に沿って、直線状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の可動接点部材。
【請求項6】
前記スカート部は、前記膨出部の外周縁部におけるドーム半径方向に延びる接線に対する外接円に沿うように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の可動接点部材。
【請求項7】
前記スカート部の外周縁部から連続して半径方向外側に広がる脚部を有し、
前記スカート部と前記脚部とは、前記脚部の前記スカート部に連なる部分におけるドーム半径方向に延びる接線の接線方向に略一致するように連続していることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の可動接点部材。
【請求項8】
前記スカート部または前記脚部において、前記一対の切欠部を除く外周縁部に、フープ材からの切断時に発生する切り残し部分が残存することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の可動接点部材。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の可動接点部材と、前記可動接点部材が配置され、前記膨出部に離接される固定接点を有するスイッチ基台とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−64401(P2012−64401A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206908(P2010−206908)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】