説明

可動背もたれ部を有する車両用座席

本発明は、座席部(2)と、座席部(2)に対して回転軸(4)の周りを旋回可能である少なくとも一つの背もたれ部(3.1、3.2)と、座席部(2)と背もたれ部(3.1、3.2)の間で作用するバネ手段(5)とを備える車両用座席(1)に関する。背もたれ部(3.1、3.2)は、少なくとも背もたれ後部壁(21)、背もたれ布張り、及び背もたれカバーを含む。本発明によると、バネ手段(5)は、背もたれ部(3.1、3.2)の中に完全に配置され、前記手段の第2端部は中間片(10)上又は中間片(10)のストップ(14、15)上に作用する。中間片(10)は回転軸(4)上に配置され、ベアリング(20)を経由してフレーム固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用座席、特に請求項1の前提部に記載の調整可能な背もたれを有する自動車用座席に関する。
【背景技術】
【0002】
当該タイプの車両用座席は、従来技術から知られている。例えば、乗客の後方に配置された座席へのアクセスを容易にするために、第一列の座席の背もたれのロックが解除され前方に折り畳まれる。さらに、拡大された積載スペースを得るために、後部座席の背もたれを座席部に向かって折り畳むことが知られている。また、後部座席の背もたれは、積載スペースの使用の大きい変動性を達成するために、2/3〜1/3に分割して設計される場合が多い。ロック解除後すぐに、背もたれの前方折り畳み移動を開始及び支援するために、バネ手段のような、エネルギーアキュムレータが背もたれ構造に配置される場合が多い。前記エネルギーアキュムレータは背もたれ構造の第1端部、及び車体又は座席部構造の第2端部に支持されている。例えば、視覚的な理由のために、又は既存の構造空間が許容しないため、背もたれ構造の中に、すなわち背もたれシェルとパディングとの間に、バネ手段が目に見えるように配置されていない場合は、車体に固定されたベアリングに座席が連結されている間、バネ手段がパディング及び座席カバーの外に導かれていなければならない。それにより一般的に車両用座席の外観を損ねる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、改良され、特に、より確実且つ容易に操作可能な車両用座席を示すという目的に基づく。
【0004】
その目的は、請求項1に示されている構成を有する車両用座席を備えた本発明によって達成される。
【0005】
本発明の有利な改良は、従属項の内容である。
【0006】
座席部と、座席部に対して回転軸の周りを旋回可能である少なくとも一つの背もたれ部と、座席部及び背もたれ部の間で作用するバネ手段とを備える車両用座席の場合であって、背もたれ部は、少なくとも背もたれ後部壁、背もたれ布張り及び背もたれカバーを含む。本発明によると、バネ手段は、背もたれ部の中に完全に配置され、その第2端部で中間片上又は中間片のストップ上に作用する。中間片は回転軸上に配置され、フレームに対して固定式にベアリングに取り付けられている。それにより、バネ手段は、完全に、背もたれ布張り及び/又は背もたれカバー覆われていて、車両の使用者の負傷のリスクが低減する。特に有利には、車両用座席の外観を向上させることができる。
【0007】
一実施形態では、バネ手段は、少なくとも1つのベアリングポイントによって、背もたれ後部壁に回転可能に固定されている。それにより、バネ手段は運用信頼性の高い方法で背もたれ後部壁に保持され、指定されたねじり応力を受けることができる。
【0008】
さらなる実施形態では、バネ手段の第1端部は、フレームに対して固定的に背もたれ後部壁に配置されている第1ベアリングポイントによって背もたれ部に作用する。それにより、背もたれ部の動きが、バネ手段の動的効果により補助されることができる。または背もたれ部の位置が、バネ手段の動的効果によって保持されることができる。
【0009】
背もたれ後部壁の反対を向くバネ手段の側面は、背もたれ布張り及び/又は背もたれカバーに有利に覆われている。それにより、バネ手段は、背もたれ後部壁に隠され、車両の使用者が視覚的及び触覚的に知覚できない。
【0010】
特に有利な方法では、中間片は少なくとも部分的に背もたれ部内に配置され、その上に配置されたストップを有する中間片の少なくとも第1フランジは背もたれ部内に配置されている。それにより、フレームに相対的に固定され、背もたれ部内に配置されて隠されている、バネ手段のためのストップが可能になる。
【0011】
有利な実施形態では、中間片の第2フランジは、第1フランジと実質的に平行に配置されていて、接続部によってそこから離間されている。それにより、ねじり剛性接続が第1及び第2フランジの間に生成される。
【0012】
さらに有利な実施形態では、複数のタブが、中間片の第2フランジ上に配置されていて、タブはベアリングのエッジの周りに形状が適合するように(form−fitting manner)係合する。それにより、中間片がフレームに対して固定され方式で、特に、回転に対して固定した方式でベアリングに連結されることができる。また、ベアリングはフレームに対して固定的に車体上に配置される。
【0013】
特に有利な実施形態では、中間片は、軸方向に配置された接続手段により、ベアリングに結合されている。それにより、中間片が軸方向にベアリング上にしっかり保持される。
【0014】
背もたれ部の使用位置において、中間片の第1ストップは、バネ手段に対して、それがプレストレスされるように作用する。背もたれロックが解除されると、それにより、背もたれ部が、重力及びバネ手段のバネ作用の支援で、格納位置に自動的に折り畳まれる又は旋回されることが可能である。
【0015】
背もたれ部の格納位置において、中間片の第2ストップは、バネ手段に対して、それがプレストレスされるように作用する。それにより、格納位置に旋回された背もたれ部のきしみ騒音及び/又はガタ騒音が確実に回避される。
【0016】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】分割された後部座席の背もたれを備えた後部座席ベンチを概略的に示している斜視図である。
【図2】背もたれピボット軸の領域内で、図1の後部座席の背もたれに従う背もたれ部の詳細を概略的に示している図である。
【図3】図2の外側ベアリングの詳細を拡大して概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
車両用座席1は座席部2並びに第1背もたれ部3.1及び第2背もたれ部3.2で構成されている。第1背もたれ部3.1及び第2背もたれ部3.2は第1使用位置から第2格納位置に、回転軸4の周りの第1可逆旋回運動で、座席部2に向かって進行方向で前方に座席部2に対して個別に又は一緒に旋回可能である。
【0019】
変形実施形態(図示せず)では、各座席部2が背もたれ部3.1を割り当てられることができる。
【0020】
さらに、別の実施形態では、背もたれ部3.1及び/又は3.2を、第3静止位置に、回転軸4の周りの第2可逆旋回運動で、座席部2から離れる方向で後方に移動することも考えられる。
【0021】
背もたれ部3.1及び3.2は、少なくとも、背もたれ後部壁21及び後者の上に配置された背もたれ布張り(図示せず)、並びに背もたれ布張りを覆っている背もたれカバーから形成されている。
【0022】
図2に一例として示されているように、図示のトーションバネのようなバネ手段5は、複数のベアリングポイント6.1、6.2、6.3で第1背もたれ部3.1の背もたれ後部壁21に回動自在に固定されている。この場合には、バネ手段5の第1端部はベアリングポイント6.1で回転自在に保持され、フレームに対して固定される方法で背もたれ後部壁21に結合されている。バネ手段5の第2端部は、中間片10の第1フランジ12に配置されている第1ストップ14に対してこれから具体的に説明する方法で作用する。前記中間片10はベアリング20で固定される。ベアリング20は、連結部11で離隔されていて第1フランジ12と実質的に平行に配置されている第2フランジ13を介して、本体に固定連結されている。
【0023】
背もたれ後部壁21の反対を向くバネ手段5の側面は、背もたれ布張り及び/又は背もたれカバーに覆われ及び/又は囲まれて、それにより第1背もたれ部3.1内に完全に配置されている。
【0024】
中間片10は、少なくとも部分的に背もたれ部3.1内に配置されている。例えば、その上に配置されたストップ14及び15を有する中間片10の少なくとも第1フランジ12は背もたれ部3.1内に配置されており、背もたれ布張り及び/又は背もたれのカバーで覆われている。
【0025】
複数のタブ16及び17が、中間片10の第2フランジ13上に配置されている。前記タブはベアリング20のエッジの周りに形状が適合するように(form−fitting manner)配置されている。それにより、回転軸4の周りで中間片10の回転移動が防止できる。
【0026】
接続手段18は、ベアリング20に対して軸方向に中間片10を固定する。接続手段18は、例えば、従来のネジとして設計されており、ベアリング20と中間片10との間の接続は解除可能である。
【0027】
背もたれ部3.1が装着される前に、バネ手段5はストレスフリーで、背もたれ部3.1は単に回転軸4と座席部2に対して位置され得る。例示的な実施形態でプラグインアダプタとして設計されている中間片10は、車体上のベアリング20の簡単な位置決めと装着を可能にする。具体的には、ベアリング20は、それによって車体にストレスフリーな方法で配置及び装着されることができる。第1使用位置に背もたれ部3.1を移動するだけで、バネ手段5は第1ストップ14に対して、その第2端部で押され、それによりプレストレスされる。
【0028】
背もたれロック(図示せず)がその後リリースされた場合、背もたれ部3.1は、バネ手段5のプレストレス及び特定のサブセクションに向かう重力により駆動され、自動的に、すなわち車両のユーザ側の努力なしに、第1の使用位置から第2の格納位置の方向に、バネ手段5が緩和されるまで移動する。
【0029】
さらなる実施形態では、第1フランジ12上に、さらなるストップ15が配置され得る。この場合には、第2格納位置への回転軸4の周りの背もたれ部3.1の旋回運動が継続されると、第2格納位置に到達する直前に、バネ手段5の第2端部はストップ15と接触し、その過程で、今回は反対方向に若干プレストレスされる。それにより、バネ手段5の緩和によるガタ音及び/又はきしみ音のような迷惑な騒音を回避、あるいは少なくとも低減することができる。
【0030】
好ましくは、プラグインアダプタの形で設計された中間片10の使用により、背もたれ布張り及び/又は背もたれカバーがバネ手段5によって破れることなく、バネ手段5が背もたれ部3.1及び3.2の構造内に有利に配置され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席部(2)と、
前記座席部(2)に対して回転軸(4)の周りを旋回可能である少なくとも一つの背もたれ部(3.1、3.2)と、
前記座席部(2)及び前記背もたれ部(3.1、3.2)の間で作用するバネ手段(5)と
を備え、
前記背もたれ部(3.1、3.2)は、少なくとも背もたれ後部壁(21)、背もたれ布張り及び背もたれカバーを含み、
前記バネ手段(5)は、前記背もたれ部(3.1、3.2)の中に完全に配置され、その第2端部で中間片(10)上又は前記中間片(10)のストップ(14、15)上に作用し、且つ
前記中間片(10)は、前記回転軸(4)上に配置され、フレームに対して固定式にベアリング(20)に取り付けられていることを特徴とする、車両用座席(1)。
【請求項2】
前記バネ手段(5)は、少なくとも1つのベアリングポイント(6.1、6.2、6.3)によって、前記背もたれ後部壁(21)に回転可能に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用座席(1)。
【請求項3】
前記バネ手段(5)の第1端部は、前記フレームに対して固定的に前記背もたれ後部壁(21)に配置されている第1ベアリングポイント(6.1)によって前記背もたれ部(3.1、3.2)に作用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用座席(1)。
【請求項4】
前記背もたれ後部壁(21)の反対を向く前記バネ手段(5)の側面は、前記背もたれ布張り及び/又は前記背もたれカバーに覆われ及び/又は囲まれることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用座席(1)。
【請求項5】
前記中間片(10)は少なくとも部分的に前記背もたれ部(3.1、3.2)内に配置され、その上に配置された前記ストップ(14、15)を有する前記中間片(10)の少なくとも第1フランジ(12)は前記背もたれ部(3.1、3.2)内に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用座席(1)。
【請求項6】
前記中間片(10)の第2フランジ(13)は、前記第1フランジ(12)と実質的に平行に配置されていて、接続部(11)によってそこから離間されていることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用座席(1)。
【請求項7】
複数のタブ(16、17)が、前記中間片(10)の前記第2フランジ(13)上に配置されていて、前記タブは前記ベアリング(20)のエッジの周りに形状が適合するように(form−fitting manner)係合することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両用座席(1)。
【請求項8】
前記中間片(10)は、軸方向に配置された接続手段(18)により、前記ベアリング(20)に結合されていることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両用座席(1)。
【請求項9】
前記背もたれ部(3.1、3.2)の使用位置で、第1ストップ(14)は、前記バネ手段(5)に対して、それがプレストレスされるように作用することを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の車両用座席(1)。
【請求項10】
前記背もたれ部(3.1、3.2)の格納位置で、第2ストップ(15)は、前記バネ手段(5)に対して、それがプレストレスされるように作用することを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載の車両用座席(1)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517169(P2013−517169A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548448(P2012−548448)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050478
【国際公開番号】WO2011/086165
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】