説明

可変ばね式動吸振器

【課題】軽量で小型の位置調整部材により、可変ばね式動吸振器を制振対象物に設置した後にも磁気ばね定数を簡便に調整する。
【解決手段】制振対象物1に固定された固定部構造体3と、前記固定部構造体3の上部及び下部に固定部ヨーク8を介して固定された上部及び下部固定部磁石列9と、前記固定部構造体3の内部に設置された非磁性体からなる可動部構造体2と、前記上部及び下部固定部磁石列9に対しそれぞれ所定の隙間を形成するように前記可動部構造体2の上部及び下部に固定された上部及び下部可動部磁石列6と、を備える可変ばね式動吸振器において、前記上部固定部磁石列9と可動部構造材2をそれぞれ移動可能とする位置調整部材を備え、前記位置調整部材により前記隙間を調整可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造物や各種機器の制振装置に関し、特に、可動重量と永久磁石を用いた可変ばね式動吸振器に関する。
【背景技術】
【0002】
可変ばね式動吸振器は図6に示すように、制振対象物となる振動している主系質量体(M)に付加質量体(m)をばね要素(k)と減衰要素(c)を介して直接取り付けた上、付加するパラメータm、k、cを制振対象物に対して最適に選択することにより振動抑制効果を得るものである。
【0003】
このような可変ばね式動吸振器の原理を具体化した例として、複数の永久磁石と導体板を用いてばね要素(k)と減衰要素(c)を構成した可変ばね式動吸振器が提案されている(特許文献1乃至3)。
【0004】
特許文献1及び2に示されている可変ばね式動吸振器の例では、矩形磁石を隣接する磁石が異磁極となるように縦横に一定の間隔を保ち複数配列し、可変ばね式動吸振器の付加質量体と制振対象物に各々異磁極が対向するように設置する。可動磁石の水平移動に伴い、磁束のせん断方向に働く磁気吸引力および磁気反発力が復元力として作用することにより、磁気ばね要素が構成できる。さらに対向する磁石間隙には非接触に導体板を設置している。磁石の相対移動に伴い導体板とこれを横切る磁束が相対運動し渦電流が発生、磁束と作用することにより、運動方向と逆向きに抵抗力が働くため、これを利用して磁気減衰要素を構成している。このように永久磁石と導体板からなる単純な構成により、可変ばね式動吸振器に必要な復元力と減衰力が同時に得られるため、コイルばね、オイルダンパ等の機械要素を各々配置していた方式に比べ、可変ばね式動吸振器の大幅な小型化が可能となっている。
【0005】
さらに、特許文献2に示されている可変ばね式動吸振器の例では、図7に示すように、可動質量の両側に磁気ばね要素を配置するとともに、固定部側(制振対象物側)の磁石を両側ともにスライド移動可能な構造とし、磁石間隙間を調整することで、磁気ばね定数を可変ばね式動吸振器としての最適なばね定数に調整できる構成となっている。
【0006】
具体的に説明すると、図7において、制振対象物1に可動部構造体2を取り囲む固定部構造体3が固定設置され、複数の可動磁石4を隣接する磁石が異磁極となるように縦横に配置し、磁性材である可動部ヨーク5に固定することで可動部磁石列6を構成し、非磁性材からなる可動部構造体2の両側に固定している。
【0007】
複数の固定磁石7も隣接する磁石が異磁極となるように、可動部磁石列6と同一配置にて磁性材である固定部ヨーク8に固定することで固定部磁石列9を構成し、一定の隙間10を介して全ての可動磁石4と固定磁石7が異磁極となるように可動部磁石列6に対向させ、固定部構造体3に固定している。
【0008】
この動吸振器を制振対象物1に固定した後、固定部構造体3に設置した押しボルト11aと引きボルト11bを操作することにより、固定部磁石列9をスライド移動可能とし、最適なばね定数が得られるよう可動部構造体2の両側の可動部磁石列6と固定部磁石列9の隙間10を調整する構造となっている。
【0009】
また、特許文献3に示されている可変ばね式動吸振器の例では、動吸振器を設置した後に、制振対象物の振動数が変化しても、その変化に追従して固定部側磁石がスライド移動し磁石間の隙間を自動調整できる位置調整部材を設けて、動吸振器のばね定数を最適に調整する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4040123号公報
【特許文献2】特許第3718307号公報
【特許文献3】特許第4409742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の技術では、大型で複雑な位置調整装置が必要となり、吸振器が重量化及び大型化するという課題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、制振対象物に設置した後でも磁気ばね定数を適切に調整することができるコンパクトで調整容易な位置調整部材を備えた可変ばね式動吸振器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る可変ばね式動吸振器は、制振対象物に固定された固定部構造体と、前記固定部構造体の上部及び下部に固定部ヨークを介して固定された上部及び下部固定部磁石列と、前記固定部構造体の内部に設置された非磁性体からなる可動部構造体と、前記上部及び下部固定部磁石列に対しそれぞれ所定の隙間を形成するように前記可動部構造体の上部及び下部に固定された上部及び下部可動部磁石列と、を備える可変ばね式動吸振器において、前記上部固定部磁石列と可動部構造材をそれぞれ移動可能とする位置調整部材を備え、前記位置調整部材により前記隙間を調整可能とすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る可変ばね式動吸振器の縦断面図。
【図2】第2の実施形態に係る可変ばね式動吸振器の縦断面図。
【図3】第3の実施形態に係る可変ばね式動吸振器の縦断面図。
【図4】第4の実施形態に係る可変ばね式動吸振器の概念図。
【図5】第4の実施形態に係る可変ばね式動吸振器の縦断面図。
【図6】可変ばね式動吸振器の概念モデル図。
【図7】従来の可変ばね式動吸振器の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る可変ばね式動吸振器の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る可変ばね式動吸振器を図1により説明する。
(構成)
第1の実施形態に係る可変ばね式動吸振器は、制振対象物1に可動部構造体2を取り囲む固定部構造体3が固定設置されている。複数の可動磁石4を隣接する磁石が異磁極となるように縦横に配置し、磁性材である可動部ヨーク5に固定することで上部及び下部の可動部磁石列6を構成し、非磁性材からなる可動部構造体2の両側に固定している。
【0016】
複数の固定磁石7も隣接する磁石が異磁極となるように、可動部磁石列6と同一配置にて磁性材である固定部ヨーク8に固定することで上部及び下部の固定部磁石列9を構成し、所定の隙間10を介して全ての可動磁石4と固定磁石7が異磁極となるように可動部磁石列6に対向させ、固定部構造体3に固定している。
【0017】
可動部構造材2を移動可能とする位置調整部材は、可動部構造材2を可動部受け座14及びベアリング球13を介して支持する固定部受け座15と、固定部受け座15と固定部構造材3の側部との間に設けられたスライド部材16と、固定部構造体3の上部と固定部受け座15との間に設置され固定部受け座15を上下動させる押しボルト17aと引きボルト17bからなる昇降部材18と、から構成される。
【0018】
固定部受け座15は、固定部構造体3の側部との間に設置されたスライド部材16を介して固定部構造体3に対しスライド移動可能であり、押しボルト17aと引きボルト17bを固定部構造体3の上部から操作することで固定部受け座15を固定部構造体3に対しスライドさせ、可動部受け座14がこれに連動することにより可動部構造体2の位置を調整可能としている。スライド部材16としては、例えば車輪やリニアガイドを用いる。
【0019】
さらに、上部の固定部磁石列9は、固定部構造体3の上部と固定部ヨーク8の間に設置した押しボルト11aと引きボルト11bからなる昇降部材により可動部構造体2に対し上下にスライド移動可能な構成となっている。
【0020】
(作用)
制振対象物1に固定部構造体3を設置した状態において、押しボルト17aと引きボルト17bからなる昇降部材18の端部を固定部構造材3の上部から操作することで、固定部受け座15を固定部構造体3に対しスライドさせ、可動部受け座14がこれに連動することにより可動部構造体2の位置を調整可能とする。さらに押しボルト11aと引きボルト11bからなる昇降部材を固定部構造材3の上部からそれぞれ操作することで、固定部磁石列9を上下動させる。
これにより、可動部構造体2の両側にある磁石列間の隙間10を各々所望の大きさに調整することが可能となる。
【0021】
(効果)
本第1の実施形態によれば、可動部構造体を位置調整部材により、可動質量の上部に配置した固定部磁石列を昇降部材により、それぞれスライド可能とすることで、可動質量と制振対象物と間の隙間を簡便にかつ高精度で調整することが可能となり、これにより、可変ばね式動吸振器の設置後でも最適なばね定数を簡便に調整することが可能となる。また、軽量で小型の位置調整部材を用いることにより、動吸振器の重量化及び大型化を抑制し、可動部構造体を簡便に上下動させることが可能となる。
【0022】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る可変ばね式動吸振器を図2により説明する。なお、上記実施形態のものと同一の構成には同一番号を付与し、重複説明を省略する。
【0023】
(構成)
第2の実施形態では、可変ばね式動吸振器の位置調整部材として、押しボルト17aと引きボルト17bの代わりに、固定部構造材3の上部及び下部に取り付けられたボールねじ軸19を用いて固定部受け座15をスライドさせる構成としている。
【0024】
固定部受け座15は、ボールねじ軸19にねじ係合されるとともに、ボールねじ軸19の両端を回転軸受21で支持し、固定部構造体3の側部との間に設置されたスライド部材16を介してスライド可能な構成とすることで、可動部構造体2の位置を調整可能としている。また、ボールねじ軸19の端部に設置したねじ部22をロックナット23で固定することで、調整位置を固定する。
【0025】
(作用)
制振対象物1に固定部構造体3を設置した状態において、ボールねじ軸19の端部を固定部構造材3の上部から操作することで、固定部受け座15を固定部構造体3に対しスライドさせ、可動部受け座14がこれに連動することにより可動部構造体2の位置を調整可能とし、さらに押しボルト11aと引きボルト11bからなる昇降部材を固定部構造材3の上部からそれぞれ操作することで、固定部磁石列9を上下動させる。
これにより、可動部構造体2の両側にある磁石間隙間10を各々所望の大きさに調整することが可能となる。
【0026】
(効果)
本第2の実施形態によれば、位置調整部材としてボールねじ軸を用いたことにより、可変ばね式動吸振器の設置後に最適なばね定数をさらに簡便に調整することが可能となる。
【0027】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る可変ばね式動吸振器を図3により説明する。なお、上記実施形態のものと同一の構成には同一番号を付与し、重複説明を省略する。
【0028】
(構成)
第3の実施形態では、可変ばね式動吸振器の位置調整部材として、固定部受け座15の上下部にくさび手段を用いる構成としている。
固定部受け座15の上下部には一体構造のテーパ部24が配置されるとともに、テーパ部24に接触するくさび部材25をその両側に配置し、固定部構造材3の側部に設けられた押しボルト26とスライドガイド27を介してくさび部材25をスライド移動することで、固定部受け坐15を上下動させ、可動部構造体2の位置を調整する。また、押しボルト26はナット28で固定することで、調整位置を固定する。
【0029】
(作用)
制振対象物1に固定部構造体3を設置した状態において、押しボルト26を操作することにより、くさび部材25をスライドさせて可動部構造体2の位置を調整し、また、押しボルト11aと引きボルト11bからなる昇降部材を固定部構造材3の上部からそれぞれ操作することで、固定部磁石列9を上下動させる。
これにより、可動部構造体2の両側にある磁石間隙間10を各々所望の大きさに調整することが可能となる。
【0030】
(効果)
本第3の実施形態によれば、位置調整部材としてくさび部材を用いたことにより、可変ばね式動吸振器の設置後に最適なばね定数をさらに簡便に調整することが可能となる。
【0031】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る可変ばね式動吸振器を図4により説明する。なお、上記実施形態のものと同一の構成には同一番号を付与し、重複説明を省略する。
【0032】
(構成)
図4は第4の実施形態に係る可変ばね式動吸振器の原理を示す概念図である。
第4の実施形態に係る可変ばね式動吸振器は、制振対象物1に取り付けられた振動センサー29と、制御装置30と、位置調整部材31を有する。
【0033】
制御装置30は、制振対象物1に取り付けられた振動センサー29からの信号を受けて、最適な隙間10の大きさを決定する演算部(図示せず)を備え、その制御信号を受けて作動する位置調整部材31により、固定部構造体3の上板32に固定された固定部磁石列9と可動部構造体2を同時に平行移動するように構成されている。
【0034】
次に、本第4の実施形態に係る位置調整部材31の具体例を図5により説明する。
第1のボールねじ軸33の回転とともに移動するボール保持部34を、上部の固定部磁石列9を固定している上板32に一体固定する。第1のボールねじ軸33の両端は回転軸受35で支持し、固定部構造体3の側部との間に設置されたスライド機構36を介して上板32を上下にスライド可能な構成としている。第1のボールねじ軸33の端部にモータ37を設置して、制御信号に応じてモータ回転を制御することで、上部の固定部磁石列9が固定された上板32を上下動させる。
【0035】
さらに、固定部構造体3に設置した減速器38を介して第1のボールねじ軸33の回転は第2のボールねじ軸39に伝達される。また、可動部構造体2は、ベアリング球13と可動部受け座14を介して固定部受け座15に支持され、これにより隙間10を保持している。また、固定部受け座15は第2のボールねじ軸39の回転とともに上下に移動する。
【0036】
第2のボールねじ軸39の両端は回転軸受41で支持し、固定部構造体3の側部と固定部受け座15の間に設置されたスライド部材16を介して固定部受け座15を上下にスライド可能な構成とすることで、可動部構造体2の位置を調整する構造となっている。
【0037】
(作用)
制振対象物1に固定部構造体3を設置した状態において、制御装置30は制振対象物1に取り付けられた振動センサー29からの信号を受けて隙間10の大きさを決定し、その大きさに応じてモータ37が所定量回転し、固定部構造体3の上板32に固定された上部の固定部磁石列9と可動部構造体2が同時に平行移動する。
これにより、可動部構造体2の両側にある磁石間隙間10を各々所望の大きさに調整することが可能となる。
【0038】
(効果)
本第4の実施形態によれば、上部の固定部磁石列と可動部構造体を同時に移動させることが可能な小型の位置調整部材を用いることにより、可変ばね式動吸振器を設置した後でも制振対象物の振動特性変化に追従して、固定部磁石列と可動部磁石列の磁石間隙間10を自動的に最適に調整することができる。
【0039】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…制振対象物、2…可動部構造体、3…固定部構造体、4…可動磁石、5…可動部ヨーク、6…可動部磁石列、7…固定磁石、8…固定部ヨーク、9…固定部磁石列、10…隙間、11a…押しボルト、11b…引きボルト13…ベアリング球、14…可動部受け座、15…固定部受け座、16…スライド部材、17a…押しボルト、17b…引きボルト、18…昇降部材19…ボールねじ軸、21…回転軸受、22…ねじ部、23…ロックナット、24…テーパ部、25…くさび、26…押しボルト、27…スライドガイド、28…ナット、29…振動センサー、30…制御装置、31…駆動機構、32…上板、33…第1のボールねじ軸、34…ボール保持部、35…回転軸受、36…スライド機構、37…モータ、38…減速器、39…第2のボールねじ軸、41…回転軸受。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制振対象物に固定された固定部構造体と、前記固定部構造体の上部及び下部に固定部ヨークを介して固定された上部及び下部固定部磁石列と、前記固定部構造体の内部に設置された非磁性体からなる可動部構造体と、前記上部及び下部固定部磁石列に対しそれぞれ所定の隙間を形成するように前記可動部構造体の上部及び下部に固定された上部及び下部可動部磁石列と、を備える可変ばね式動吸振器において、
前記上部固定部磁石列と可動部構造材をそれぞれ移動可能とする位置調整部材を備え、前記位置調整部材により前記隙間を調整可能とすることを特徴とする可変ばね式動吸振器。
【請求項2】
前記可動部構造材を移動可能とする位置調整部材は、前記可動部構造材を可動部受け座及びベアリング球を介して支持する固定部受け座と、前記固定部受け座と前記固定部構造材との間に設けられたスライド部材と、前記固定部受け座と前記固定部構造体の上部の間に取り付けられた押しボルト及び引きボルトと、からなることを特徴とする請求項1記載の可変ばね式動吸振器。
【請求項3】
前記可動部構造材を移動可能とする位置調整部材は、前記可動部構造材を可動部受け座及びベアリング球を介して支持する固定部受け座と、前記固定部受け座と前記固定部構造材との間に設けられたスライド部材と、前記固定部受け座に取り付けられ前記前記固定部構造体の上部及び下部に支持されたボールねじ軸と、からなることを特徴とする請求項1記載の可変ばね式動吸振器。
【請求項4】
前記可動部構造材を移動可能とする位置調整部材は、前記可動部構造材を可動部受け座及びベアリング球を介して支持する固定部受け座と、前記固定部受け座と前記固定部構造材との間に設けられたスライド部材と、前記固定部受け座の上下部に取り付けられたくさび状部材と、前記くさび状部材をスライドさせる押しボルトと、からなることを特徴とする請求項1記載の可変ばね式動吸振器。
【請求項5】
前記上部固定部磁石列を移動可能とする位置調整部材は、前記前記上部固定部磁石列を支持するヨークに取り付けられた押しボルト及び引きボルトからなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の可変ばね式動吸振器。
【請求項6】
制振対象物に固定された固定部構造体と、前記固定部構造体の上部及び下部に固定部ヨークを介して固定された上部及び下部固定部磁石列と、前記固定部構造体の内部に設置された非磁性体からなる可動部構造体と、前記上部及び下部固定部磁石列に対しそれぞれ所定の隙間を形成するように前記可動部構造体の上部及び下部に固定された上部及び下部可動部磁石列と、前記制振対象物に取り付けられた振動センサーと、を備える可変ばね式動吸振器において、
前記信号センサーからの信号に基づき前記隙間の大きさを決定する制御部と、前記決定された大きさの隙間を形成するように前記上部固定部磁石列と可動部構造材を同時に移動可能とする位置調整部材とを備えたことを特徴とする可変ばね式動吸振器。
【請求項7】
前記上部固定部磁石列と可動部構造材を同時に移動可能とする位置調整部材は、前記可動部構造材を可動部受け座及びベアリング球を介して支持する固定部受け座と、前記固定部受け座と前記固定部構造材との間に設けられたスライド部材と、前記固定部構造材の上板に取り付けられ当該上板を移動可能とする第1のボールねじ軸と、前記固定部受け座に取り付けられるとともに第1のボールねじ軸に連動して前記固定部受け座を移動可能とする第2のボールねじ軸と、からなることを特徴とする請求項6記載の可変ばね式動吸振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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