説明

可変ストロークおよびクリアランス機構

一般に、組立体は、シリンダに収容された少なくとも一つのピストンと、ピストンに連結された伝達アームと、を含む。伝達アームは回転部材によって画成されるチャンネル内に収容された部材に連結される。伝達アームの移動は、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整し、ピストンのストロークがえられるように、部材をチャンネル内でスライドさせる。部材は、回転部材が伝達アームに対して回転できるように、および/または伝達アームの向きが回転部材に対して変えることができるように構成されている。他の実施では、伝達アームは、ノーズピンを含み、回転部材はノーズピンに連結され、伝達アームの移動は、シリンダ内のピストンの軸方向位置を変更し、ノーズピンがノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って回転部材に対して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変ストロークおよびクリアランス機構に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の装置(例えば、油圧ポンプまたはモータ、空気圧縮機またはモータ、オルタネータ、電気推進エンジン、および内燃機関)では、ピストンの運動は、フライホイールに回転を伝え、またはその逆に使用される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一つの一般的な側面では、組立体は、シリンダに収容された少なくとも一つのピストンと、ピストンに連結された伝達アームと、を含む。伝達アームは、回転部材によって画成されるチャンネルに収容された部材に連結される。伝達アームの移動は、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整し、ピストンのストロークが変えられるように、部材をチャンネル内でスライドさせる。
【0004】
ある実施では、部材は、回転部材を伝達アームに対して回転させるように構成される。他の実施では、部材は、代替的にまたは追加的に、回転部材に関して伝達アームの向きの変化を可能にするように構成される。
【0005】
この側面の特定の実施は、一つまたはそれ以上の次の特徴を含む。伝達アームは、伝達アームを部材に連結するノーズピンを含む。アクチュエータが、伝達アームを、例えば軸方向に移動させるように構成される。スラストベアリングが、伝達アームの肩部と部材との間に位置決めされる。部材は、ベアリングを含み、スライド部材が、ベアリングを収容する。チャンネルは、真っ直ぐな通路または湾曲した通路をたどる。
【0006】
伝達アームは、シリンダ内のピストンの軸方向位置を変えることによって、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。伝達アームは、伝達アームと組立体の中心軸線との間に角度があるように、部材に連結され、チャンネル内での部材のスライドは、チャンネル内のより短いストローク位置に向かって、伝達アームと中心軸との間の角度の変化を引き起こす。伝達アームの移動は、クリアランス距離を同時に調整し、部材をチャンネル内でスライドさせる。
【0007】
クリアランス距離とストロークの間の多数の関係が、伝達アームの移動によってもたらされる。例えば、ある実施では、伝達アームの移動は、一定のクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。組立体が、冷凍圧縮機であるとき、伝達アームの移動は、実質的に0のトップクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、クリアランス距離を調整する。
【0008】
組立体が、燃焼機関であるとき、伝達アームの移動は、実質的に一定の圧縮比が、異なるストロークに関して維持されるように、クリアランス距離を調整する。変形例では、スライド部材およびチャンネルは、対応するストローク値に関して定められた圧縮比を提供するストローク−クリアランス関係を定める。
【0009】
他の側面では、組立体は、シリンダに収容された少なくとも一つのピストンと、ピストンに連結された伝達アームと、を含む。伝達アームは、ノーズピンを含み、回転部材が、ノーズピンに連結され、伝達アームの軸方向移動が、シリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させ、ノーズピンを、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って、回転部材に対して移動させる。
【0010】
この側面の実施は、一つまたはそれ以上の次の特徴を含む。アクチュエータが、伝達アームを軸方向に移動させるように構成される。回転部材は、伝達アームの軸方向移動が、ピストンの軸方向位置を同時に変化させ、ノーズピンを移動させるように、ノーズピンに連結される。
【0011】
回転部材は、チャンネルを画成し、部材は、チャンネル内に配置される。回転部材は、部材によってノーズピンに連結され、伝達アームの軸方向移動は、ノーズピンが、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って、回転部材に対して移動するように、部材をチャンネル内でスライドさせる。部材は、ベアリングを含み、チャンネルは、真っ直ぐまたは湾曲した通路をたどる。
【0012】
伝達アームの軸方向移動は、ピストンの軸方向位置を変化させて、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。回転部材は、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿った回転部材に対して移動するノーズピンが、ピストンのストロークを変化させるように、ノーズピンに連結される。例えば、ノーズピンは、伝達アームと組立体の中心軸の間に角度があるように回転部材に連結され、ノーズピンが、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って回転部材に対して移動すると、伝達アームと中心軸線との間の角度の変化を引き起こし、その結果、ピストンのストロークの変化をもたらす。
【0013】
クリアランス距離とストロークの間の多数の関係が、伝達アームの移動によってもたらされてもよい。例えば、ある実施では、伝達アームの移動は、一定のクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁の間のクリアランス距離を調整する。組立体が、冷凍圧縮機であるとき、伝達アームの移動は、実質的に0のトップクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、クリアランス距離を調整する。
【0014】
組立体が、燃焼機関であるとき、伝達アームの移動は、実質的に一定の圧縮比が、異なるストロークに関して維持されるように、クリアランス距離を調整する。変形例では、スライド部材およびチャンネルは、対応するストローク値に関して定められた圧縮比を提供するストローク−クリアランスの関係を定める。
【0015】
他の側面では、方法は、伝達アームを軸方向に移動させてシリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させ、伝達アームのノーズピンを、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って、回転部材に対して同時に移動させる。
【0016】
この側面の実施は、一つまたはそれ以上の次の特徴を含んでいてもよい。例えば、ノーズピンを移動させることは、ノーズピンに連結された部材を、回転部材によって画成されたチャンネル内でスライドさせることを含む。部材は、ベアリングを含み、ノーズピンを移動させることは、回転部材によって画成されたチャンネル内で、ノーズピンに連結されたベアリングをスライドさせることを含む。部材は、真っ直ぐまたは湾曲した通路に沿って、チャンネル内でスライドされる。
【0017】
伝達アームを軸方向に移動させてシリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させることは、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。ノーズピンを、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って、回転部材に対して移動させることは、ピストンのストロークを変化させる。ノーズピンを、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って、回転部材に対して移動させることは、伝達アームと中心軸線との間の角度を変化させ、その結果、ピストンのストロークを変化させる。
【0018】
クリアランス距離とストロークの間の多数の関係が、もたらされてもよい。例えば、伝達アームを軸方向に移動させてシリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させることは、実質的に0のトップクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。変形例として、または追加的に、伝達アームを軸方向に移動させてシリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させることは、実質的に一定の圧縮比が、異なるストロークに関して維持されるように、または定められた圧縮比が対応するストローク値に関して存在するように、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。ある実施では、伝達アームを軸方向に移動させてシリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させることは、一定のクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する。
【0019】
一つまたはそれ以上の実施の詳細が、以下の添付の図面および説明に記載される。他の特徴、目的、利点が、説明、図面、および請求項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1Aおよび図1Bを全体的に参照すると、組立体100は、一つまたはそれ以上のピストン組立体104(例えば五つのピストン組立体104)を含み、ピストン組立体104は、伝達アーム106の周りの円周に取り付けられている。伝達アーム106は、例えばユニバーサルジョイント(Uジョイント)または等速ボールジョイントによって支持される。ジョイント110は、組立体軸線Aに沿って直線的に移動させることができ、その結果、伝達アーム106が、以下に論ずる理由で組立体軸線Aに沿って直線的に移動する。ジョイント110が、サポート108に連結され、サポート108は、アクチュエータ148に連結される。アクチュエータ148が、サポート108およびジョイント110を組立体軸線Aに沿って直線的に移動させるように構成される。アクチュエータ148は、サポート108、ジョイント110、および伝達アーム106を軸方向に移動させるようにサポート108上で作動する、例えばボールナットアクチュエータのような電動ねじアクチュエータである。
【0021】
伝達アーム106は、例えば2003年5月27日に出願され、2003年12月4日に公開された、PCT出願番号WO03/100231号の図23乃至図23Aに示されているように、ピストンジョイント組立体112を介してピストン組立体104に連結された駆動アーム106bを含む。ピストン組立体104は、一端にピストン114を有し、他端にガイドロッド116を有する片端ピストンを含む。ピストン114は、シリンダ118に受け入れられる。
【0022】
加えて、伝達アーム106は、また、回転部材、例えばフライホイール130に(以下に詳述するように)連結されたノーズピン122を有するアーム106aを含み、スイングアーム106aは、組立体軸線Aに対してスイング角度βを形成する。フライホイール130は、シャフト140に連結され、シャフト140の回転が、フライホイール130の回転を引き起こす。フライホイール130の回転の結果、ノーズピン122は、組立体軸線Aの周りにほぼ円形に移動する。組立体軸線Aの周りのノーズピン122の円形運動は、伝達アーム106によってピストン組立体104のピストン軸線Pに沿う直線運動に変換される。かくして、伝達アーム106は、フライホイール130の回転をピストン組立体104のピストン軸線Pに沿う直線運動に変換する。逆に、伝達アーム106は、ピストン組立体104のピストン軸線Pに沿う直線運動を、フライホイール130の回転運動、したがって、クランクシャフト140の回転に変換する。伝達アーム106による、フライホイールの回転とピストンの直線運動との間の変換は、例えばPCT出願番号WO03/100231号にさらに記載される。
【0023】
特に図1C乃至図1Eを参照すると、ノーズピン122は、球面ベアリングのような自動調心ノーズピンベアリング126によってフライホイール130に連結される。ノーズピン122は、例えば、ベアリング126のボアから延びるノーズピン124の一部分に位置した溝内に配置されがワッシャおよびスナップリング(図示せず)によって、ベアリング126のボア内に軸方向に固定される。ベアリング126により、伝達アーム106およびフライホイール130を互いに対して回転させる。ベアリング126は、スライド部材124に収容され、スライド部材124は、フライホイール130に形成されたチャンネル134内に収容される。チャンネル134は、直線路150を有し、且つ組立体軸線Aに対して選択された角度αをなす。図1Eに最もよく示されているように、スライド部材124は、直線路150と合う真っ直ぐなベースを有する。
【0024】
スラストベアリング146が、ノーズピンベアリング126と伝達アーム106の肩部132の間で、ノーズピン122に位置決めされている。スラストベアリング146は、伝達アーム106、ベアリング126、およびスライド部材124の間のスラスト荷重から摩擦を減じ、その結果、伝達アームが軸方向に移動されるとき、以下にさらに記載するように、フライホイール130が回転すると、スライド部材124およびベアリング126を伝達アーム134に対して回転させる。
【0025】
スライド部材124は、図1Cに、チャンネル134内の第一位置が実線で示され、第二位置が点線で示される。スライド部材124が第一位置にあるとき、ベアリング126の中心は、組立体軸線Aから半径方向距離x1の位置にある。スライド部材124が第二位置にスライドすると、ベアリング126の中心からの半径方向距離は、半径方向距離x2まで増大する。逆に、スライド部材124が第二位置から第一位置にスライドすると、半径方向距離は減少する。半径方向距離の変化により、アーム106aと組立体軸線Aとの間の角度βに変化をもたらす。ベアリング126は、ノーズピン124とベアリング126のボアとの整列を維持するように、角度βで回転する。
【0026】
角度βの値は、ピストン組立体104のストロークを決定する。かくして、スイング角度βの変化により、ピストン組立体104のストロークに変化をもたらす。
【0027】
したがって、再び図1Aおよび図1Bを参照すると、ジョイント110および伝達アーム106が組立体軸線Aに沿って軸方向に移動するように作動されるとき、スライド部材124はチャンネル134に沿ってスライドし、それにより、スイングアーム106aと組立体軸線Aの間の角度βの変化をもたらす。その結果、スライド部材124のチャンネル134に沿う移動は、例えばPCT出願番号WO03/100231号の図25、図54、および図55の参照に記載されるように、ピストン組立体104のストロークの変化を引き起こす。
【0028】
同時に、伝達アーム106の組立体軸線Aに沿う移動は、シリンダ118内でピストン組立体104の軸方向位置を、変化させ、それにより、トップクリアランス距離、すなわち、ピストン114がストロークの上死点にあるときのピストン114の端面138とシリンダ118端壁144の間の距離dを調整する。かくして、伝達アーム106の組立体軸線Aに沿う移動は、(スライド部材124と斜めチャンネル134の結果として)ストロークと、(ピストン組立体104の軸方向位置の対応する変化の結果として)トップクリアランス距離の両方を調整し、所定のストローク値は、対応するクリアランス距離の値を有する。
【0029】
かくして、図1Aに示すように、アクチュエータ148が伝達アーム106をフライホイール130から遠ざかる方向に移動させると、スライド部材124は、チャンネル134の第一位置(例えば最小ストローク位置)まで下方に移動し、ピストン組立体104の軸線方向位置が変わる。スライド部材124をチャンネル134の下方にスライドさせることは、角度βを減少させ、したがってピストン114のストロークを減少させる。同時に、ピストン組立体104の位置の軸方向の変化により、ピストン組立体104がシリンダ118の端壁に向かって移動されるから、シリンダ118の端壁とピストン114の端面との間のトップクリアランス距離dが調整される。
【0030】
図1Bを参照すると、アクチュエータ148が、伝達アーム106をフライホイール130に向かって移動させるとき、スライド部材124がチャンネル134の第二位置(例えば最大ストローク位置)まで上方にスライドし、ピストン組立体104の軸方向位置が変わる。スライド部材124をチャンネル134の上方にスライドさせることは、角度βを増大させ、したがってピストン114のストロークを増大させる。同時に、ピストン組立体104の軸方向位置の変化により、ピストン組立体104がシリンダ118の端壁から遠ざかるから、シリンダ118の端壁とピストン114の端面との間のトップクリアランス距離dが調整される。
【0031】
したがって、アクチュエータ148、スライド部材124、およびチャンネル134は、ピストン組立体104のストロークと、ピストン144の端面138およびシリンダ118の端壁の間のトップクリアランス距離dとの間の定められた関係をもたらす、ストローク−クリアランス機構を形成する。
【0032】
PCT出願番号WO03/100231号の図58に記載されるように、ストローク−クリアランス機構は、ベアリング126をフライホイール130内に固定し、ノーズピン124をノーズピンベアリング126を通してスライドさせながら伝達アーム106を軸方向に移動させることによって得られる。もし伝達アーム106が軸方向に移動されるなら、ピストン組立体104の軸方向位置は、上述のように変えられる。同時に、ノーズピン124は、ノーズピンベアリングに滑り込んだり滑り出したりし、アーム106aと軸線Aの間の角度を変える。かくして、ストロークとクリアランスを、一緒に調整することができる。
【0033】
しかしながら、この場合、伝達アーム106が軸方向に移動すると、ノーズピン124は、フライホイール130に対してノーズピン124の中心軸線Tに沿って移動するのみである。したがって、ノーズピンをノーズピンベアリング内でスライドさせることによってストロークを調整することは、設計することができる限られた量のストローク−クリアランス関係に備える。
【0034】
他方、スライド部材124およびチャンネル134が使用されるとき、ノーズピン124は、フライホイールに対してそれ自身の中心軸線T以外の軸線に沿って移動する。特に、ノーズピン124は、伝達アーム106が軸方向に移動されると、チャンネル136の軸線に沿って移動する。これは、可能性の範囲が、チャンネル136内のスライド部材124がたどる通路150の設計に存在するから、ストローク−クリアランスの関係についてより広範な可能性を考慮に入れる。
【0035】
チャンネル134の設計は、ストローク−クリアランス関係を決定する(即ち所定のストローク値に対してトップクリアランス距離dの値を決定する)。通路150のような直線通路を有するチャンネル134にとって、軸線Aに対する通路の角度αを変えることは、ストローク−クリアランス関係を変更する。この場合、角度αのより大きな値により、ジョイント110の軸線Aに沿う動きの単位当たりのストロークのより大きな変化を引き起こす。
【0036】
一般に、実施される特定のストローク−クリアランス関係は、組立体110の用途に依存し、その用途のために実験的に決定することができる。組立体100は、例えば内燃機関として使用するように適合されることができる。エンジンのために、ピストンストロークの上死点におけるクリアランスおよびピストンストロークの下死点におけるクリアランスが、エンジンの圧縮比を定める。エンジンにとって、ストロークが増大するとき圧縮比を実質的に一定にすること、またはストロークが増大するとき圧縮比を減少させることは、有利である。そのようにすることは、圧縮比がエンジンの所定出力のための所定量以上であるときに起こる、空気/燃料混合体の異常燃焼である、デトネーションとして知られる状況を制限することができる。
【0037】
チャンネル134の通路を実験的に決定するために、所望の最大および最小ストロークをもたらす、フライホイール130でのスライド部材124の位置が決定され、それらのストロークに対する対応するトップクリアランスが決定される。直線関係が、ストロークとストロークの各値に対するトップクリアランスの必要な関係を満足するとき、二点の間の直線が、チャンネル134を画成する。
【0038】
最大および最小ストロークに適切なスイング角度を、ストロークと角度βの間の関係に基づいて決定することができ、ジョイント110の適切な軸方向位置を、組立体100の、CAD図面のようなコンピュータ化された図面を用いて決定することができる。ストロークは、次の等式によってβに関係する。
tanβ=0.5s/h
ここで、sは、ストロークであり、hは、組立体軸線Aとピストン軸線Pの間の距離である。
【0039】
最大所望ストロークのためのスイング角度が決定されると、次いで、CAD図面を用いて、伝達アーム106が、最大所望ストロークに必要な角度に配置され、次いで、トップクリアランス距離dが最大ストロークのための所望距離に等しくなるまで、軸方向に移動される。同様に、最小所望ストロークが決定されると、伝達アーム106が、最小所望ストロークに必要な角度に配置され、次いで、トップクリアランスが、最小ストロークのための所望クリアランスに等しくなるまで、軸方向に移動される。
【0040】
一般に、ストローク当たりの一定の圧縮比のためには、チャンネル134の通路150は、直線である。同様に、ストロークと圧縮比の間の線形関係のためには、チャンネル134の通路150は、直線である。それ自体、通路150は、最大および最小ストロークの二点間の直傾斜と対応するクリアランス距離から決定される。
【0041】
しかしながら、図2Aおよび図2Bを参照すると、ある実施では、ストロークとトップクリアランスの所望の関係は、線形的ではない。そのような状況では、チャンネル134の通路202およびスライド部材224のベース224aは、非線形関係をもたらすように、湾曲される。そのような状況では、通路202の湾曲は、CAD図面を使用して、伝達アーム106を最大ストロークおよび最小ストロークについて位置決めし、湾曲の端点を決定することによって決定される。次いで、伝達アーム106を所望のストロークと中間ポイントを決定するためのポイント間のクリアランスに基づいて位置決めし、湾曲をこれらのポイントに適合させる。
【0042】
図2Aの通路202は、凹状通路であり、ベース224aは、通路202に合う凸状である。通路202が凹状なので、スライド部材134は、特定の値βを達成するために、凹状通路202に沿って直線路150よりも遠い距離をスライドしなければならない。それ故に、凹状通路202を使用してストロークの特定値を得るために、伝達アーム106は、直線路150を使用して同じストロークの値を得る場合よりも、より大きな距離、フライホイール130に向かっておよびフライホイールから離れて軸方向に移動される。その結果、ピストン組立体104が、凹状通路202では、直線路150よりも大きな距離、端壁144から離れておよび端壁144に向かって移動されるから、ストロークの特定値における圧縮比は、直線路150における場合よりも凹状通路202における場合の方が小さくなり、ストローク値におけるトップクリアランス距離dは、直線路150よりも凹状通路202の方が大きくなる。
【0043】
図2Cに示すように、凸状通路204および凹状ベース(図示せず)を有するスライド部材224を使用することによってこの状況を逆にすることができる。この状況では、ストロークの特定値における圧縮比は、直線路150を使用したストロークの同じ値における場合よりも大きい。
【0044】
再び図1Aおよび図1Bを参照すると、ストロークが変わっても圧縮比が実質的に一定になるエンジンの例として、ジョイント110および伝達アーム106は、第一位置から第二位置まで1.4インチの距離だけ軸方向に移動するように構成される。通路150の角度αは約44.7°である。これは、約14.5°の最小スイング角度βと、約30°の最大スイング角度をもたらす。組立体軸線Aからピストン軸線Pまでの距離hは、約4.28インチである。これは、約2.3インチの最小ストロークと、4.6インチの最大ストロークをもたらす。最小ストロークでは、トップクリアランス距離dは、約0.l56インチであり、最大ストロークでは、トップクリアランス距離は、約0.413インチである。これにより、シリンダ118の端壁144が平坦でなく、0.1インチのストロークがでこぼこによって引き起こされる(完璧なシリンダと比較して)容積の変化を償うと仮定して、ストローク範囲の間約10:1の圧縮比になる。
【0045】
もしシリンダ118の端壁144が平坦であれば、圧縮比を提供するトップクリアランス距離は、最大ストロークで0.513インチであり、最小ストロークで0.256インチである。しかしながら、シリンダの端壁は通常平坦ではなく、容積を変更する。この変更された容積は、平坦な端壁144に必要なトップクリアランス距離から0.1インチを差し引くことによって考慮に入れられる。
【0046】
ストロークが増大するに従って圧縮比が線形的に減少する(またはその逆の)エンジンの例として、ジョイント110および伝達アーム106は、第一位置から第二位置まで約0.65インチの距離軸方向に移動するように構成される。通路150の角度αは約47.4°である。これにより、約14.5°の最小スイング角度βおよび、約32.1°の最大スイング角度になる。組立体軸線Aからピストン軸線Pまでの距離hは、約4.3インチである。これにより、約2.3インチの最小ストロークおよび、4.6インチの最大ストロークになる。最小ストロークでは、トップクリアランス距離dは、約0.065インチであり、最大ストロークでは、トップクリアランス距離は、約0.413インチである。
【0047】
図3を参照すると、そのような寸法は、端壁144が平坦でなく、且つ0.1インチが平坦でないことによる変化した容積に原因があると仮定して、グラフ300に示すように、線形的に変化する圧縮比に備える。線302は、ストロークと圧縮比との線形関係を示す。示すように、圧縮比は、最小ストローク(約2.3インチ)における約15:1から最大ストローク(約4.6インチ)における約10:1まで線形的に変化する。
【0048】
図1A乃至図1Dに示す組立体100は、また、例えば冷凍圧縮機、空気ポンプまたはモータ、油圧ポンプまたはモータ等としての用途に適応させることができる。一般的に、これらの装置のために、ピストン端面138がシリンダ118の端壁144と接触することなく、できるだけ0に近いトップクリアランス距離dを有することが望ましい。かくして、組立体100が、これらの装置の一つとしての用途に適応されるとき、チャンネル134の通路は、所望のストロークの範囲の間、実質的に0のトップクリアランス距離dをもたらすように設計される。例えば、チャンネル134とジョイント110の位置決めとは、10/1000インチから20/1000インチの範囲のトップクリアランス距離dを提供する。
【0049】
一般的に、ピストン組立体104の変位を変化させる製造公差および長期にわたるベアリングの摩耗を考慮に入れるある量のトップクリアランス距離dが存在する。したがって、与えられるトップクリアランス距離dの量は、製造公差と、ピストン組立体104の変位において期待される変化に依存する。加えて、製造公差によって、トップクリアランス距離のある変動が、最小ストローク位置と最大ストローク位置の間に存在し、変動の絶対量は、組立体寸法に依存する。しかしながら、トップ距離クリアランスdにおける変動は、最小ストローク位置と最大ストローク位置の間のストロークの変化量のパーセンテージとしては、2%以下に維持される。
【0050】
一定の圧縮比では、通路150は、実質的に0のトップクリアランス距離を提供するように、一般的に直線である。しかしながら、非直線通路を、例えば少なくとも一部がトップクリアランス距離dの変動を補償するために、またはストロークとトップクリアランス距離dの間に他の関係をもたらすために、使用してもよい。
【0051】
図4を参照すると、組立体400は、モータ駆動のスクリューアクチュエータ148の代わりに、油圧シリンダ402、レバー404、およびスプリングリターン406が、ジョイント110および伝達アーム106を軸方向に移動させるのに使用されることをのぞいて、組立体100と同様である。
【0052】
この実施では、ジョイント110は、サポート410の一端410aに取り付けられる。サポート410は、サポート410が組立体軸線Aに沿って直線的に移動することができるが、組立体軸線Aを中心に回転することができないように、キー止めされ、或いはスプラインである。サポート410の他端410bは、支点408に取り付けられたレバー404の端部404aに取り付けられている。レバー404の第二端部404bは、油圧シリンダ402のアーム402aに取り付けられている。オイルがシリンダ402に内に圧入されると、アーム402aはレバー404に向かって移動する。アーム402aがレバー404に向かって移動すると、アーム402aはレバー404の端部404bに力を及ぼし、レバー404を支点408を中心に回転させる。これにより、レバー404の端部404aを、伝達アーム106に向かって移動させ、それによってサポート410に力を及ぼし、それにより、サポート410および伝達アーム106をフライホイール130に向かって軸方向に移動させる。
【0053】
伝達アーム106がフライホイール130に向かって移動すると、ストロークおよびクリアランスは、上述のように、スライド部材124がチャンネル134内でスライドし(それによりスイング角度βを変化させ)、ピストン組立体104が軸方向に移動する結果、同時に変えられる。
【0054】
オイルがシリンダ402から排出されると、アーム402aによってレバー404に及ぼされる力は、減少され、伝達アーム106がフライホイール130から遠ざかる方向に、それ故により短いストローク位置(つまりより小さいスイング角度β)に軸方向に移動する。一般的に、ピストンの力は、伝達アーム106に、伝達アーム106およびスライド部材124をチャンネル134内でより短いストローク位置に進める圧力を提供し、アーム402aによってレバー404に及ぼされる力は、スライド部材124がチャンネル134内でより長いストローク位置(より大きいスイング角度β)に移動するように、伝達アーム106を移動させるのに必要とされる。かくして、単純にアーム402aによって生じた力を減ずることにより、ピストンの力は、伝達アーム106およびスライド部材124をより短いストローク位置に移動させるように作用する。しかしながら、スプリングリターン406は、アーム402aによって及ぼされた力が減少するとき、スライド部材124がより短いストローク位置に確実に戻るようにするのに使用される。
【0055】
多数の実施が記載された。それにもかかわらず、様々な変更がなされてもよいことは理解されよう。例えば、五つのピストン組立体が記載されたが、より少ない、またより多いピストン組立体が使用されてもよい(例えば1,2,3,4,7,8等)。加えて、ピストン組立体104は、片端ピストン組立体として図示された。しかしながら、両端ピストン組立体もまた使用されてもよい。したがって、他の実施形態は、続く請求項の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】可変ストロークおよびクリアランス機構を含む組立体の側面図である。
【図1B】可変ストロークおよびクリアランス機構を含む組立体の側面図である。
【図1C】チャンネルを有する回転部材およびスライド部材の側面図である。
【図1D】チャンネルを有する回転部材およびスライド部材の斜視図である。
【図1E】スライド部材の斜視図である。
【図2A】チャンネルを有する回転部材およびスライド部材の変形例を示す側面図である。
【図2B】スライド部材の変形例の斜視図である。
【図2C】チャンネルを有する回転部材およびスライド部材の変形例の側面図である。
【図3】圧縮比とストロークの比例関係を示すグラフである。
【図4】図1に示す組立体の変形例の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
シリンダに収容される少なくとも一つのピストンと、
ピストンに連結される伝達アームと、
チャンネルを画成する回転部材と、
伝達アームに連結され、回転部材によって画成されるチャンネル内に配置された部材と、を含み、部材は、回転部材を伝達アームに対して回転させるように構成され、
伝達アームの移動は、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整し、
伝達アームの移動により、ピストンのストロークが変えられるように、部材をチャンネル内でスライドさせる、
ことを特徴とする組立体。
【請求項2】
部材は、ベアリングを含む、
請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
ベアリングを収容するスライド部材を更に含む、
請求項5に記載の組立体。
【請求項4】
伝達アームの移動は、シリンダ内のピストンの軸方向位置を変えることによって、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整する、
請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
伝達アームは、伝達アームと組立体の中心軸線の間に角度があるように、部材に連結され、チャンネル内での部材のスライドは、伝達アームと中心軸線との間の角度の変化を引き起こし、ピストンのストロークの変化をもたらす、
請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
伝達アームの移動は、ピストンの端面とシリンダの端壁の間のクリアランス距離を同時に調整し、且つピストンのストロークが変えられるように、部材をチャンネル内でスライドさせる、
請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
チャンネルは、真っ直ぐな通路をたどる、
請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
チャンネルは、湾曲した通路をたどる、
請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
部材を、チャンネル内でより短いストローク位置に向かって付勢するスプリングリターンを更に含む、
請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
組立体は、冷凍圧縮機である、
請求項1に記載の組立体。
【請求項11】
伝達アームの移動は、実質的に0のトップクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁の間のクリアランス距離を調整する、
請求項14に記載の組立体。
【請求項12】
組立体が、燃焼機関である、
請求項1に記載の組立体。
【請求項13】
伝達アームの移動は、実質的に一定の圧縮比が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁の間のクリアランス距離を調整する、
請求項16に記載の組立体。
【請求項14】
スライド部材およびチャンネルは、対応するストローク値に関して定められた圧縮比を提供するストローク−クリアランス関係を定める、
請求項16に記載の組立体。
【請求項15】
伝達アームの移動は、一定のクリアランス距離が、異なるストロークに関して維持されるように、ピストンの端面とシリンダの端壁の間のクリアランス距離を調整する、
請求項1に記載の組立体。
【請求項16】
シリンダと、
シリンダに収容される少なくとも一つのピストンと、
ピストンに連結される伝達アームと、
チャンネルを画成する回転部材と、
伝達アームに連結され、回転部材によって画成されるチャンネル内に配置される部材と、を含み、部材は、回転部材に関して伝達アームの向きを変えることができるように構成され、
伝達アームの移動は、ピストンの端面とシリンダの端壁との間のクリアランス距離を調整し、
伝達アームの移動により、ピストンのストロークが変えられるように、部材をチャンネル内でスライドさせる、
ことを特徴とする組立体。
【請求項17】
シリンダと、
シリンダに収容される少なくとも一つのピストンと、
ピストンに連結され、且つノーズピンを含む伝達アームと、
ノーズピンに連結された回転部材と、を含み、伝達アームの移動が、シリンダ内のピストンの軸方向位置を変え、且つノーズピンを、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って回転部材に対して移動させる、
ことを特徴とする組立体。
【請求項18】
伝達アームの軸方向移動は、ピストンの軸方向位置を変化させ、ピストンの端面とシリンダの端壁の間のクリアランス距離を調整する、
請求項17に記載の組立体。
【請求項19】
回転部材は、ノーズピンが、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って回転部材に対して移動すると、ピストンのストロークを変化させるように、ノーズピンに連結される、
請求項17に記載の組立体。
【請求項20】
伝達アームを軸方向に移動させて、シリンダ内のピストンの軸方向位置を変化させ、同時に、伝達アームのノーズピンを、ノーズピンの中心軸線以外の軸線に沿って、回転部材に対して移動させる、
ことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−500493(P2008−500493A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515313(P2007−515313)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/018425
【国際公開番号】WO2005/119010
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(500118850)アール サンダーソン マネージメント インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】