説明

可変中間バレル制流及び隣接高強度混合アセンブリを持つ押出機

単軸又は2軸押出機(22)及び上流の前処理装置(24)を有する、改善された高比機械的エネルギの押出システム(20)が提供される。押出機(22)は、少なくとも一つの、軸周りに羽根の付いた、回転可能なスクリュアセンブリ(58)を内部に具備する長尺のバレル(26)を有する。バレル(26)は、中間バレル可変制流弁アセンブリ(32)を有し、また、弁アセンブリ(32)の上流において、スクリュアセンブリ(58)は、その内部に、分離/均一化スクリュセクション(66)を有する。スクリュセクション(66)は、複数の、交互ピッチのスクリュパーツ(82〜92)を有する。好ましくは、バレル(26)は、また、弁アセンブリ(32)の下流に大気ベント(36)も有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、広義には、動物飼料や人の食物の加工のために使用され、また、従来の押出機の構造と比較してより高い比機械的エネルギ(Specific Mechanical Energy)値を提供する改良された押出アセンブリに関する。より具体的には、本発明は、押出バレルが、この中を通る材料の選択的可変流を可能にする中間バレル弁アセンブリを、この弁アセンブリの上流にある分離(disrupting)/均一化スクリュセクションと共に具備する押出アセンブリに関する。本発明のより好ましい態様では、大気ベントが、可変弁アセンブリの下流に具備される。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
押出システムは、一般的に、人の食物及び動物飼料の製造に使用される。大別すると、2つのタイプの押出システムがあり、具体的には単軸スクリュシステムと2軸スクリュシステムである。その名称が示唆するように、単軸スクリュ押出機は、単一の、長尺の、らせん状に羽根の付いた、軸周りに回転可能なスクリュアセンブリを内部に具備する一つの長尺のバレルを持つ。一方、2軸スクリュ押出機は、一対の、並置された、らせん状に羽根の付いた、軸周りに回転可能である、インターカレート(介在)スクリュアセンブリを具備する特別に構成された複数のバレルを持つ。前処理装置を、単軸又は2軸スクリュ押出機の上流に用いることも非常に一般的であり、該装置は、出発材料を少なくとも一部調理する役割を果たし、そのデンプン含有成分を糊化した。通常、高レベルの調理及び糊化が望まれるが、これは、該作用が、下流にある押出機で必要とされる調理を減少させ、より高い品質の製品並びにより高い処理能力をもたらすからである。
【0003】
熱エネルギによる投入エネルギの増加を伴うこと無く、比機械的エネルギ(SME)及び調理レベルを最大化しようとして、これまで、多くの特定の構成の押出機が提案されてきた。この目的のために、押出機スクリュの長さに沿った蒸気ロック、並びに固定及び可変両方の、材料の流れの制限を与える可変弁システムを使用することが知られている。このような手法は一般的であるが、押出加工に要求される、より高いSME値及び調理値を提供するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、動物飼料又は人の食物の加工中に、非常に高いエネルギの投入を必要とすること無く、SME値及び調理値を高めることができる改良された押出アセンブリが本技術分野において求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、上記に概要された問題を解消し、また、投入口及び離間した制限されたオリフィスダイ排出口を持つ長尺のバレルを有し、該バレルが、このバレルの長さに沿って配置された中間バレル弁アセンブリを具備し、該弁アセンブリが、この弁アセンブリの中を通る材料の流れの選択的可変制限のための構造を含む、(おそらくは、単軸又は2軸のスクリュ押出アセンブリのどちらかである)押出アセンブリを提供する。この押出アセンブリは、さらに、バレル内に、少なくとも1つの、長尺の、軸周りに羽根の付いたスクリュアセンブリを持ち、材料を、投入口からバレル及び弁アセンブリを通ってダイ出口の外へ運ぶよう動作可能である。このスクリュアセンブリは、中間バレル弁アセンブリの上流に、分離/均一化スクリュセクションを持ち、この分離/均一化スクリュセクションは、複数の羽根付きスクリュパーツを持ち、これらのスクリュパーツの少なくとも1つは右回りピッチを持ち、またこれらのスクリュパーツの少なくとも別の1つは左回りピッチを持つ。中間バレル弁アセンブリと、このような分離/均一化スクリュセクションとの複合使用は、所望される飼料又は食物の加工結果を提供することが証明されている。
【0006】
好ましい形態では、スクリュパーツは、スクリュパーツの内の隣接するスクリュパーツが逆ピッチを持つように構成されている。最も好ましい形態では、分離/均一化スクリュセクションは、弁アセンブリに直接隣接され、これにより分離/均一化スクリュセクションから出る材料は、他の羽根付きスクリュセクションに遭遇すること無く、直接弁アセンブリに流入される。また、大気ベントが、弁アセンブリの下流、好ましくは、弁アセンブリに直接隣接するよう具備されてもよい。ベントの使用は、一般的に、最終押出物における過剰な膨張を最小にするために使用される。
【0007】
多くの場合、前処理装置(preconditioner)が、押出バレルの上流に備えられ、前処理装置は、前処理装置入口及び前処理装置出口を有する長尺の容器を提供し、前処理装置出口は、材料の前処理装置からバレルへの通過のためにバレル入口と作動的に連結される。特に好ましい前処理装置は、(参照番号により、ここに組み込まれている)米国特許第4、752、139号に記載されている2軸設計のものであり、個々の軸がそれぞれの可変速度駆動装置を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、押出機と作動的に連結された、上流の好ましい前処理装置を具備する本発明による好ましい押出機の側面図であり、
【図2】図2は、本発明の中間バレル流れ制限弁アセンブリの斜視図であり、
【図3】図3は、上流の高強度の分離/均一化スクリュアセンブリ及び下流のベントと組み合わせられた中間バレル流れ制限弁アセンブリを描く、図1に図示される押出機の垂直断面図であり、
【図4】図4は、分離/均一化スクリュアセンブリの要素を図示する分解斜視図であり、
【図5】図5は、分離/均一化スクリュアセンブリの垂直断面図であり、
【図6】図6は、中間バレル流れ制限弁アセンブリ、及び上流の分離/均一化スクリュアセンブリの一部を描く図1及び3に図示される押出機の部分垂直断面図であり、
【図7】図7は、好ましい中間バレル流れ制限弁アセンブリの設計を図示する垂直断面図であり、
【図8】図8は、材料を加工中の押出機の動作を示す図1及び3に図示される押出機の部分垂直断面図であり、
【図9】図9は、2軸押出機での使用のために設計された本発明の中間バレル流れ制限弁アセンブリの別の実施形態の垂直断面図であり、
【図10】図10は、図9に図示される中間バレル流れ制限弁アセンブリの部分垂直断面図であり、
【図11】図11は、2軸スクリュ押出機における、隣接する分離/均一化スクリュセクションを図示する部分断面図であり、
【図12】図12は、本発明で使用するための好ましい前処理装置の斜視図であり、
【図13】図13は、図12の前処理装置の側面図であり、
【図14】図14は、前処理装置の内部構造を描く、図13の14−14線に沿った断面図であり、
【図15】図15は、前処理装置の構造をさらに図示する、図13の15−15線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好適実施例の詳細な説明
図1は、広義には押出機22及び上流に位置する前処理装置24を有する押出アセンブリ20を図示する。図示例の押出機22は、最末端の制限オリフィスダイ28と、投入口30とを持つ、長尺の、複数のセクションから成るバレル26を含む単軸押出機である。中間バレル流れ制限(制流)弁アセンブリ(MBV)32は、中間のバレルセクションの間に設置され、バレルベント34は、アセンブリ32の下流に配置される。前処理装置24は、入口38及び出口40を持つデュアルチャンバハウジング36を有し、該出口40はバレル投入口30と連結される。さらに、中間ヘッド50は、アセンブリ32の下流に大気ベント34を具備していることが分かる。
【0010】
図3では、押出機22が、より詳細に図示されている。押出バレル26は、投入口30を有する入口ヘッド42、並びに5つの介在ヘッド44、46、48、50、及び52と出口ヘッド54とから成る。ヘッド42〜54は、それぞれ端と端が連結され、投入口30からダイ出口28へ延在する中央領域56を共同して規定する。さらに、ヘッド44〜54は、内側の、管状の、らせん状にリブが付いたスリーブ44a〜54aを具備することが分かる。選択的に調節可能である中間バレル弁アセンブリ32は、ヘッド48と50とに挟まれているが、入口ヘッドを除く何れの隣接するヘッド間に配置されてもよい。このアセンブリ32は、2007年10月11日付け米国特許公開公報第2007/0237850号に図示されるタイプのものであり、参照番号によってここに組み込まれている。
【0011】
押出機22は、領域56の長さに沿って延在し、また、投入口30から投入された材料を、ダイ28を通る最終的な押出しのためにバレル26の長さに沿って運ぶように動作可能である、長尺の、らせん状に羽根の付いたスクリュアセンブリ58を持つ。
【0012】
スクリュアセンブリ58は、一組の第1及び第2入口セクション60及び62と、第3セクション64と、MBVアセンブリ32につながる特殊な分離/均一化スクリュセクション66と、下流スクリュセクション68及び70と、最終のアンカットコーンノーズスクリュセクション72とを有する。従来型の蒸気ロック要素74は、スクリュセクション62と64との間、64と66との間、アセンブリ32の下流端とスクリュセクション68との間、及びスクリュセクション70と72との間に配置される。スクリュセクション60〜72は、六角形の中心シャフト76(図7)に取り付けられ、この中心シャフト76は、スクリュアセンブリ58の動力回転のために、従来型の駆動モータ及びギア減速アセンブリ(図示せず)と作動的に連結される。
【0013】
特殊なスクリュセクション66は、入口セクション78並びに下流の分離/均一化セクション80を有する。セクション78は、シリアル番号_ 、発明の名称が「低粘度に前処理された材料の加工のための単軸スクリュ押出機」である同時係属及び同時出願され、参照番号によりここに組み込まれている米国特許出願に詳細に説明されているタイプの短尺のスクリュセグメントである。セクション80は、交互ピッチの、複数の隣接する羽根付きスクリュパーツ82〜92を有し、例えばパーツ82は右回りのピッチを持ち、一方隣接するパーツ84は左回りのピッチを持つ;個々のパーツ82〜92は、その長さにおいて完全な1ピッチ又は完全な1旋回より短いのが好ましい。セクション78及び80には、中心シャフト76を収容するように六角形の中心孔78’及び80’が設けられている。
【0014】
MBVアセンブリ32は、図2に図示されており、内側の剪断ロック要素94、及び結合する外側の制限ユニット96を広義には有する。アセンブリ32は、図3及び7にそれぞれ図示されるような単軸又は2軸スクリュ押出機での使用のために設計されており、また、押出機22内に背圧及び剪断のレベルの増大を生じさせ、加工中の材料に移入される機械エネルギを増加させるように、押出バレル26を通る流れの制限のレベルに変化を与えるのに使用される。
【0015】
詳細には、アセンブリ32の剪断ロック要素94は、シャフト76を収容するように設計された六角形の中心孔98を持ち、最も外側に円滑作動面100が設けられた円状断面を持つ一体環状金属ボディである。このように、要素94は、シャフト76及びスクリュアセンブリ58と同時に回転する。
【0016】
制限ユニット96は、1対の側面周辺開口106が設けられた、横方向に延在する貫通スロット104(図6)を持つ略円状のプライマリボディ102を有する。このボディ102は、金属構造物であり、また、ヘッドセクションフランジに設けられた類似な孔と結合するように設計された一連の軸方向孔108を持つ。ねじ部品(図示せず)が、ヘッドセクション48及び50の隣合うフランジの間にボディ102を連結するために使用され、ボディ102は、揃えられたヘッドセクション48及び50の間に事実上挟まれる。
【0017】
アセンブリ32は、スロット104内に摺動自在にそれぞれ収容される一対の制限要素110、112も有する。要素110、112は、互いに左右対称であり、その構造は図7に最もよく図示されている。これにより、各要素が、最内にアーチ状面116を形成する、金属の顎様ボディ114を有することが分かる。各面116の中央部領域は、要素94の半径に近い基本的に円の半径を有するが、各面116の外側部領域は、最端に真円ではない突出を一対持つ。各ボディ114は、フレキシブルシール122を受ける外接溝120が与えられている。各ボディ114は、終端ノッチ126を持つ一体型の、外部に突出した耳124も持つ。プレート128は、ノッチ126上に設置され、締め具130により固定される。
【0018】
アセンブリ32は、さらに、説明されるように、要素110、112を剪断ロック要素94へ向うように又は離れるように動かすために、これらの要素110、112と作動的に連結される駆動装置132を含む。駆動装置132は、前方のバット端138、中心ねじ部140、及び角型駆動端部142を持つ一対の駆動スクリュ134、136を有する。各駆動スクリュ134、136の前方バットエンド138は、対応するボディ114のノッチ126内に配置され、スクリュの残りは、外側に延在していることが分かるだろう。
【0019】
駆動装置132は、さらに、側面の開口106の上に各々設置され、また、締め具148によって所定の位置に固定される一対のアーチ状のカバープレート144、146を有する。各プレート144、146は、対応する駆動スクリュ134、136のねじ部140を収容する中心ねじ孔150を持つ。こうして、駆動スクリュ134、136の回転が、要素110、112を内側又は外側にスライドさせ、要素110、112の表面116と剪断ロック要素94の作動面100との間の選択的隙間を規定することが良く理解されるであろう。駆動スクリュ134、136のこのような回転運動は、駆動端部142に取り付けられたクランク152の使用により手動で生じさせてもよい。もしくは、図6に模式的に図示されるように、各モータ154、156が、制限要素110、112の電動駆動のために、駆動スクリュ134、136に連結されてもよい。一般的には、モータ154、156は、押出機22の総合的なデジタルコントロールの一部を形成するコントローラ158と連結されるだろう。
【0020】
図9及び10は、適切に構成された2軸スクリュバレル164内に、図11に示されるように並列してかみ合わされ、インターカレートされたスクリュ160、162を持つ2軸スクリュ押出機に使用される流れ制限アセンブリ32aを示す。図示されるように、各押出スクリュ160、162のスクリュ羽根の外面は、スクリュ羽根の外周部と、スクリュの中心ボディの内側谷径との間の、隣接スクリュ羽根の領域に延びる。アセンブリ32aの要素は、多くが、アセンブリ32の要素と同じであるので、識別文字“a”を除いて、同様な参照番号が図9〜10において使用されている。このように、アセンブリ32aは、一対の剪断ロック要素94aを持ち、各々は、六角形のスクリュシャフト76aの一方の上にそれぞれ取り付けられている。また、一対の対向する制限要素110a、112aが設置されており、好ましくは、図示されるように垂直方向に取り付けられる。要素110a、112aの内側の作動面116aは、両方の剪断ロック要素94aを同時に収容し、かつ係合するように、一対の並列したアーチ状領域を持つ。この実施形態においては、駆動装置132aが、多少異なっている。具体的には、それぞれの要素110a、112aの駆動スクリュ134a、136aは、離間された孔168、170を形成する二分された駆動ハウジング166内に収容される。孔168、170の間の、駆動スクリュ134a、136aの中央セクションは、駆動ナット172を具備する。要素110a、112aの調整は、駆動ナット172の回転により行われ、これによって、対応する要素110a、112aは、剪断ロック要素94aへ向かうようにまた離れるように動かされる。これまでの説明から、要素110a、112aが、駆動スクリュ134a、136aの回転により、基本的に整列一致した直線路に沿って剪断ロック要素94aへ向かうようにまた離れるように動くことは容易に理解されよう。
【0021】
図11は、バレル164の一部を形成する一対の2軸スクリュ押出バレルヘッド174、176の間に挟まれているアセンブリ32aを示す。図11において、さらに、アセンブリ32aの上流にあるスクリュセクション66aは、前述のスクリュセクション66と同様な構成であり、つまり、各セクション66aは、交互の逆ピッチスクリュパーツ82a〜92aを有することが分かるであろう。
【0022】
前処理装置24は、図12〜14に図示されており、また、2007年10月19日に提出され、参照番号によりここに組み込まれている同時係属中の米国特許出願シリアル番号11/875、033に説明されるタイプのものである。前処理装置24は、一対の、平行で、長尺の、軸方向に延在する、回転可能な混合シャフト180及び182をその長さに沿って具備する、長尺の、2段階の混合容器178を有する。シャフト180、182は、制御装置(図示せず)に作動的に連結された個々の可変駆動装置と連結される。可変駆動装置は、可変速駆動(VSD)の形態であることが好ましいが、コントローラは、コントローラ、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は論理演算命令を実行可能である他の何れのタイプのデジタル又はアナログ装置でもよい。この装置は、デル(Dell)、コンパック(Compaq)、ゲートウェイ(Gateway)、又は他の何れかのコンピュータ製造業者によって製造されて販売されるパーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ、または、ウィンドウズNT(Windows NT)、ノーベルネットウェア(Novel Netware)、ユニックス(Unix)、又は他の何れかのネットワーク・オペレイティング・システムを実行するネットワークコンピュータでもよい。VSD駆動装置は、本発明の目的を達成するようプログラムされてもよく、例えば、異なる回転速度範囲、回転方向、及び定格出力のために構成されてもよい。
【0023】
容器178は、一対の、長尺の、並置された、相互連結されたチャンバ186及び188、並びに材料投入口190及び材料排出口192が設けられた横方向にアーチ型の側壁184を持つ。チャンバ188は、隣接するチャンバ186より大きい断面積を持ち、説明される理由により重要である。各チャンバ186、188は、対応するチャンバの長さに沿った一連の離間した入口ポート194、196を具備し、また、中間ポート198の組は、チャンバ186、188の接合部に配置される。これらポート194〜198は、チャンバの内部につながる水/又は蒸気注入器の連結に対応している。容器178全体では、さらに、前及び後端プレート200及び202、並びに中央プレート204を持つ。
【0024】
図示されるように、シャフト180、182は、対応するチャンバ186、188内の基本的には中心部に配置される。この目的のために、プレート200に取り付けられた前方軸受206は、シャフト180、182の前方端を支持し、同様に、プレート202に固定された後方軸受208は、シャフトの後方端を支持する。シャフト180、182は、前述の可変周波数駆動装置との連結を与えるために、軸受208から突出し後方に延在する延長部180a、182aを持つ。
【0025】
シャフト182は、シャフトの長さに沿って互い違いの関係で配置される、半径方向、外方向に延在する複数の混合要素210を具備する。各要素210(図15)は、シャフト182の対応するねじ孔214内に収容されるねじ付き内側セグメント212を有し、この内側セグメント212は、実質的に平坦なパドル様部材218を持つ外方向に突出するセグメント216を備える。図14で最もよく分かるように、混合要素210のパドル部材218は、入口190から出口192への材料の移動の方向に対して逆方向に方向付けられる。つまり、これらの部材は、前処理装置24を通る材料の流れを妨げるように働く。
【0026】
小チャンバ186内に設置されるシャフト180も、同様に、その長さに沿って、交互に互い違いの関係にある一連の混合要素144を持つ。要素220は、要素220はサイズが多少小さいことを除き、要素210と同一である。各要素220は外部のパドル様部材222を持つ。この場合、部材220は、部材210と逆方向に方向付けられ、つまり、それらは、投入口190から排出口192に向かい、そしてその外への材料の流れをより促進するように順方向に方向付けられる。
【0027】
要素210及び220の隣接対は、軸方向に互いにオフセットしており、間に差し込まれる、こうして、該要素は、セルフワイピング設計のものではない。これは、シャフトが大きく異なる回転速度で回転することを可能にし、一方、要素210及び220間での機械的干渉による如何なる潜在的ロックアップをも回避する。
【0028】
本発明の前処理装置のデザインは、これまで可能であったものに比べ、材料の加工の度合をより大きくすることができる。例えば、米国特許第4、752、139号に説明されるタイプの従来の前処理装置は、シャフト間の異なる相対回転速度を達しうるための現場調整が出来なかった。つまり、このような従来の前処理装置では、装置の製造の際に、一旦、回転速度差が決定されると、その後、全面的な改造無しでは回転速度差を変えることが出来なかった。このタイプの通常の前処理装置は、小及び大チャンバ内のシャフト間でそれぞれ2:1の速度差があった。しかしながら、本発明では、より大きな、また無制限に調節可能な速度差が容易に得られる。このように、好ましい形態では、シャフト180、182間の速度差は、少なくとも1:5であり、また、一般的には、3:1から18:1の範囲であり、小チャンバシャフト180は、通常、大チャンバシャフト182の速度より大きい速度で回転する。この後者の速度差は、シャフト180に対する900rpmの回転速度、及びシャフト182に対する50rpmの回転速度が対応する。
【0029】
この強化設計は、数多くの加工利点を与える。一例を挙げると、’139の従来の前処理装置の設計では、達成可能な最大の調理度合は、通常は約30%であり、最大で約43%であった(参照番号によりここに組み込まれている、米国穀物化学者学会(1982年10月26日)、第67回年次総会、調理度合決定のための新規方法、メイソン(Mason)他で説明された方法に従いデンプン成分の糊化により測定される)。しかしながら、本発明の使用によると、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、最も好ましくは少なくとも約75%の非常に大きい調理パーセンテイジが達成された。また同時に、これらの強化された調理値は、従来の前処理装置と比較して、同じ又はより短い滞留時間と共に得られた;具体的には、このような従来の設計は、最大の調理値を得るために約160〜185秒以上の滞留時間を必要とすると考えられ、一方、本前処理装置では、同様な調理を達成するための滞留時間は、ずっと少なく、120〜150秒のオーダであった。さらに、もし、より長い典型的な前処理装置の滞留時間が使用されたとしたならば、調理値の度合は、通常著しく増加する。
【0030】
上流の分離/均一化スクリュセクションとの中間バレル弁の複合使用は、数多くの予期せぬ利点が得られた。図8には、分離/均一化スクリュセクション66の作用が図示されている。つまり、押出バレルを通過する材料は、スクリュパーツ82〜92により切断されかつ分離されるが、これは、また、材料が中間バレル弁アセンブリ32及びベント付きヘッド50に入る時、材料が、“完全充填”状態になる(つまり、材料がスクリュアセンブリ58及びバレルヘッド間の自由空間を完全に満たす)という効果を持つ。これは、従来の押出設計と比較して、著しく高い比機械的エネルギ(SME)値を与えることが分かった。本発明の使用により、熱エネルギ投与を増加することなく、10〜25%のオーダのSME値の改善が得られる。
【0031】
好ましい中間バレル弁の別の利点は、標準の押出機の構成では見られなかった柔軟性があることである。例えば、あるタイプの製品にて所望されれば、弁は、全開放の状態に維持されてもよく、押出スクリュ又はバレルの構造を変える必要が無い。このように、中間バレル弁の使用は、処理装置が単軸の押出機のみを持つことを可能する一方で、幅広い様々な材料を適切に加工することを可能にする。
【0032】
以下の実施例は、本発明による好ましい装置及び方法を示すものである。しかしながら、この実施例は、例証としてのみ提供されており、従って、本発明の全体の範囲に対する限定として受け取られるべきではないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0033】
本実施例では、2つの異なる鮭用飼料レシピが、標準の7ヘッド単軸スクリュ押出セットアップ(実施例1及び3)と、第4ヘッド内への、図3に図示されるような交互ピッチの分離/均一化スクリュパーツの付与を除き標準セットアップと同一である7ヘッド単軸スクリュセットアップ(実施例2及び4)とを使用して加工された。各セットアップは、第4及び第5ヘッド間に、図2に図示されるタイプの中間バレル弁を具備し、真空ベントが弁のすぐ下流に設置された。押出機の上流に、ウェンガー(Wenger)製、標準モデル16、DDC前処理装置が、各試験で使用された。製品は、蒸気及び水の添加を伴った初期の前処理によって処理され、次いで蒸気及び水の注入を伴った押出が成された。これらの実施例において、押出ヘッドは、ヘッドの外部ジャケットを通る通水によって温度制御が行われた。
【0034】
実施例1及び2で用いられた第1のレシピは、穀物を19.8wt%、機能性植物性タンパク質を19.6wt%、及び非機能性動物タンパク質を60.6wt%含有する。具体的なレシピは:小麦、19.8wt%;蒸気乾燥魚粉、29.6wt%;加水分解羽毛粉、21.2wt%;大豆粕、14wt%;家禽粉、9.8wt%;及びコーングルテンミール、5.6wt%である。実施例3及び4で用いられた第2のレシピは、穀物を21.5wt%、機能性植物性タンパク質を20.3wt%、及び非機能性動物タンパク質を58.2wt%含有する。具体的なレシピは:蒸気乾燥魚粉、33.7wt%;加水分解羽毛粉、18.4wt%;大豆粕、11.5wt%;家禽粉、6.1wt%;及びコーングルテンミール、2.7wt%;小麦、21.5wt%;及び小麦グルテン、6.1wt%である。
これらの試験の結果は、以下の表に示される。
【0035】
【表1】


*1“コントロール”は、押出ヘッドの外部ジャケットを通る流入水の温度を指す;“温度”は、押出ヘッドで計測された実際の温度を指す。
【0036】
実施例1では、SME値は、45kw−hr/mtであった。この実施例1の間は、中間バレル弁は100%閉じられ、ベントは25%開かれ、また、ベント圧は2psiであった。実施例2では、SME値は、52kw−hr/mtであり、弁は100%閉じられ、ベントは10%開かれ、また、ベント圧は15psiであった。実施例3では、SME値は、55.5kw−hr/mtであり、弁は100%閉じられ、ベントは10%開かれ、また、ベント圧は0psiであった。実施例4では、SME値は、60kw−hr/mtであり、弁は100%閉じられ、ベントは10%開かれ、また、ベント圧は10psiであった。
【0037】
これらの実施例は、分離/均一化要素を使用して得られる有益な結果を実証した。比較押出実施例番号2及び4は、実質的に一様であり、良い品質の押出物を製造した。さらに、これらの実施例は、条件が実質的に同じであり、また、押出物の密度が同様であったにも関わらず、16%及び9%のSMEの増加が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口及び離間した制限されたオリフィスダイ出口を持つ長尺のバレルと、
前記バレルの長さに沿って配置され、かつ中を通る材料の流れを選択的に制限するための構造を有する中間バレル弁アセンブリと、
前記バレル内にあり、かつ前記入口から、前記バレル及び前記弁アセンブリを通って前記ダイ出口の外へ材料を移動するように動作可能である少なくとも1つの、長尺の、軸周りに羽根の付いたスクリュアセンブリと、を有し、
前記スクリュアセンブリは、前記弁アセンブリの上流に分離/均一化スクリュセクションを持ち、該スクリュセクションは、複数の羽根付きのスクリュパーツを持ち、該スクリュパーツの少なくとも1つは右回りピッチを持ち、前記スクリュパーツの少なくとも別の一つは左回りピッチを持つことを特徴とする押出アセンブリ。
【請求項2】
前記スクリュパーツの隣接するスクリュパーツは、逆ピッチを持つ請求項1に記載の押出アセンブリ。
【請求項3】
前記弁アセンブリの下流に大気ベントを有する請求項1に記載の押出アセンブリ。
【請求項4】
前記大気ベントは、前記弁アセンブリのすぐ下流に配置される請求項3に記載の押出アセンブリ。
【請求項5】
前記分離/均一化スクリュセクションは、前記弁アセンブリに直接隣接され、これにより、前記分離/均一化スクリュセクションを出る材料は、他の羽根付きスクリュセクションに遭遇することなく前記弁アセンブリに直接流入する請求項1に記載の押出アセンブリ。
【請求項6】
前記押出バレルの上流に前処理装置を有し、該前処理装置は、前処理装置入口及び前処理装置出口を具備する長尺の容器を提供し、前記前処理装置出口は、前記前処理装置から前記バレルへの材料の通過のために前記バレル入口と作動的に連結される請求項1に記載の押出アセンブリ。
【請求項7】
前記前処理装置は、
一対の、並列され、連通されたセクションを有する前記容器であって、該セクションの一方は、前記セクションの他方より大きい直径を持つ前記容器と、
一対の長尺の混合シャフトであって、その各々が複数の混合要素を具備し、前記容器のそれぞれのセクション内に、横方向に離間した関係で配置される一対の長尺の混合シャフトと、を有する請求項6に記載の押出アセンブリ。
【請求項8】
前記スクリュパーツの各々は、フルピッチより短い長さを有する請求項1に記載の押出アセンブリ。
【請求項9】
前記押出バレルは、単軸スクリュ押出バレルであり、前記バレル内に単軸スクリュアセンブリを有する請求項1に記載の押出アセンブリ。
【請求項10】
前記押出バレルは、2軸スクリュ押出バレルであり、前記バレル内に一対の隣接したスクリュアセンブリを有する請求項1に記載の押出アセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2011−509197(P2011−509197A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541503(P2010−541503)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/088329
【国際公開番号】WO2009/088804
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(504031159)
【Fターム(参考)】