説明

可変焦点レンズ

放射ビームを変更するための光学装置であって、その装置は、第一の流体(A)及び第二の流体(B)を含む可変焦点レンズ(1)並びに焦点制御系を含み、ここで流体は、不混和性であり、且つ、入力の放射ビーム(15;32;33)の所定の発散収束度を変更するように配置される構成へと変更可能である流体のメニスカス(6;106;206;306)によって相互に分離される。光学装置は、その装置が、流体のメニスカスを一度通過してきた後に、放射ビームを流体のメニスカスへ向かって逆戻りに再度方向付けるように配置された第一のリダイレクタ及びメニスカスを二回通過してきた後に、放射ビームを流体のメニスカスに向かって逆戻りにさらに再度方向付けるように配置された第二のリダイレクタを含むことを特徴とし、ここでその構成は、再度の方向付けの各々の後に続く放射ビームの収束発散をさらに変更するように配置され、さらなる変更は、可変焦点レンズに、増幅された焦点屈折力を提供するように配置される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射ビームを変更するための光学装置に、特に、可変焦点レンズに、増幅された焦点屈折力を提供するための光学装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
可変焦点レンズは、先行技術において知られたものである。例えば、国際公開第03/069380号パンフレット(特許文献1)は、流体のメニスカスによって相互に分離された二つの不混和性の流体を含む可変焦点レンズを開示する。各々の流体は、異なる屈折率を有し、且つ、メニスカスは、メニスカスを通過する放射ビームについてのレンズとして作用する。レンズの焦点屈折力を変動させるためには、エレクトロウェッティング力が、メニスカスの曲率を変動させるために、使用される。レンズは、最大の焦点屈折力と最小の屈折力との間における、ある範囲の異なる焦点屈折力を提供する。
【0003】
上述したもののような、可変焦点レンズは、数多くの用途、例えば、カメラ及びコンパクト・ディスク(CD)若しくは従来のディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)のような光学記録担体を走査するためのデバイスに使用されることがある。いくつかのこのような用途において、利用可能な屈折力の範囲は、狭すぎるものであり、且つ、その用途の全体的な性能を制限する傾向がある。
【0004】
メニスカスの曲率を変動させるためのエレクトロウェッティング力を利用する可変焦点レンズは、電圧がレンズの流体へ印加されることを要求する。印加された電圧は、相対的に大きいものであることがあり、異なる焦点屈折力の間における切り替えを相対的に遅いものにする。これは、特定の用途についての可変焦点レンズの性能を妨げることがある。
【特許文献1】国際公開第03/069380号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、増幅された焦点屈折力を有する可変焦点レンズを含む光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に従って、提供されるものは、放射ビームを変更するための光学装置であり、前記の装置は、
a)第一の屈折率を有する第一の流体(A)及び第二の、異なる、屈折率を有する第二の流体(B)を含む可変焦点レンズを含み、ここで、前記の流体は、不混和性であり、且つ、入力の放射ビームの所定の収束発散を変更するように配置される構成へと変更可能である流体のメニスカスによって相互に分離され、それによって、前記の構成が、前記のレンズの焦点屈折力を決定し、且つ、
前記の装置は、
b)前記の流体のメニスカスの構成の変動によって前記の焦点屈折力を制御するように配置された焦点制御系
:を含む、装置において、
光学装置は、前記の流体のメニスカスを一度通過してきた後に、前記の放射ビームを、前記の流体のメニスカスへ向かって逆戻りに再度方向付けるように配置された第一のリダイレクタ及び前記のメニスカスを二回通過してきた後に、前記の放射ビームを、前記の流体のメニスカスへ向かって逆戻りにさらに再度方向付けるように配置された第二のリダイレクタを含み、ここで、前記の構成は、前記のリダイレクタの各々の後に続く前記の放射ビームの収束発散をさらに変更するように配置され、前記のさらなる変更は、前記の可変焦点レンズに、増幅された焦点屈折力を提供するように配置されるという点で特徴付けられる、装置である。
【0007】
流体のメニスカスの構成は、メニスカスを通じた第一の通過をなすとき、どのように放射ビームの収束発散が変更されるかを決定する。第一の及び第二のリダイレクタによるこの変更されたビームの再度の方向付けは、ビームが、流体のメニスカスを通じた第二の及び第三の通過をなすことを引き起こし、ビームの収束発散のさらなる変更に帰着する。その構成は、どのようにビームの収束発散がさらに変更されるかをもまた決定する。
【0008】
レンズの焦点屈折力は、収束発散の変更の程度によって決定される。本発明に従って、ビームを、少なくとも第二の及び第三の時間に、メニスカスを通過させることによって、受けたさらなる変更は、レンズによって提供された焦点屈折力の増幅を提供する。
【0009】
流体のメニスカスの構成の変動は、増幅された焦点屈折力を含む、可変焦点レンズの焦点屈折力を変動させる。レンズの焦点屈折力における相対的に大きい変化は、先行技術の系との比較において、メニスカスの構成における相対的に小さい変化をなすことによって、得られることがある。
【0010】
国際公開第2004/102251号パンフレットは、流体のメニスカスの構成が、エレクトロウェッティング力を使用することで、変動させられる、調節可能なミラーを開示する。調節可能なミラーの機能は、メニスカスのレンズの機能との組み合わせで、反射性の表面によって提供される。
【0011】
本発明に従って、メニスカスの構成は、レンズの流体にわたる電圧の印加を伴う、エレクトロウェッティング力によって制御されることがある。レンズの焦点屈折力が、増幅された焦点屈折力であると、先行技術の系についてのものよりも小さい印加電圧が、所望の焦点屈折力を得るために、要求される。さらに、異なるメニスカスの構成の間で切り替えるとき、所望の焦点屈折力の変化を得るために要求された電圧の変化は、先行技術との比較において、相対的に小さいものである。これは、レンズの焦点屈折力の急速な切り替えを提供する。
【0012】
流体のメニスカスを通じた一度のみの放射ビームの通過は、ビームへの色収差の導入に至ることがある。ビームを、それが、メニスカスを通じたさらなる通過をなすように再度方向付けることによって、導入された色収差の量が、低減される。これは、最小限の色収差を有するビームを要求する用途に有益なことである。
【0013】
好ましくは、光学装置は、前記の光学装置を通過する放射ビームの偏光を変更して、前記の第一の及び前記の第二のリダイレクタの少なくとも一つの動作を改善するように配置される。
【0014】
第一の及び第二のリダイレクタ、並びにリダイレクタと協働する光学素子は、放射ビームの偏光を変更するように構築されることがある。これは、所望の様式で制御されるものである光学装置を通じた放射ビームの通過を可能にする。
【0015】
好ましくは、第一のリダイレクタは、前記の流体のメニスカスへ向かって前記の放射ビームを反射させるように配置された第一のミラーである。
【0016】
第一のリダイレクタが、第一のミラーであるとき、メニスカスを一度通過してきた、入力の放射ビームは、流体のメニスカスに向かって及びその流体のメニスカスを通じて逆戻りに反射させられる。メニスカスを通じて再度通過することによって、収束発散は、さらに変更させられ、且つ、焦点屈折力は、増幅される。
【0017】
第二のリダイレクタが、前記流体のメニスカスを通じて前記の放射ビームを反射させるように配置された第二のミラーであることは、好適なことである。
【0018】
第二のリダイレクタが、第二のミラーであるとき、放射ビームは、第一のミラーによって反射させられてしまった後で、さらに反射させられて、流体のメニスカスを通じた、その上さらなる通過をなすことがある。
【0019】
このその上さらなる通過の間に、メニスカスは、その上さらに収束発散を変更し、それは、その上さらに、レンズの焦点屈折力を増幅する。増幅された焦点屈折力は、より効率的な焦点屈折力の切り替えが提供されることを可能にする。流体のメニスカスの構成が、エレクトロウェッティング力によって決定される場合には、特定の焦点屈折力について要求された印加電圧が、さらに低減される。
【0020】
本発明の光学装置は、可変焦点レンズが、大きい範囲の焦点屈折力及び焦点屈折力の効率的な且つ急速な切り替えを提供することを要求される用途内に、都合良く組み込まれることがある。
【0021】
本発明の第二の態様に従って、提供されるものは、物体の像を取得するための像取得デバイスであり、前記のデバイスは、物体の像を検出するための像検出系及び前記の像検出系へと物体の像を集束させるように配置された光学系を含み、ここで、前記の光学系は、本発明に従った光学装置を含む。
【0022】
本発明の第三の態様において、提供されるものは、本発明に従った光学装置を含む光学ズームレンズ系である。
【0023】
本発明の第四の態様は、光学記録担体を走査するための光学走査デバイスを提供し、前記デバイスは、
a)放射ビームを放出するための放射原系;
b)光学記録担体から引き出された情報を担持する放射ビームを検出するための検出系;及び
c)光学記録担体に前記の放出された放射ビームを集束させるための且つ前記の記録担体に集束させられてしまった後に、前記の放出された放射ビームを、前記の検出系へと集束させるための光学系
:を含み、ここで、前記の光学系は、本発明に従った光学装置を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のさらなる特徴及び利点は、付随する図面を参照してなされる、ほんの一例として与えられた、後に続く本発明の好適な実施形態の記載から明らかなものになると思われる。
【0025】
図1及び2は、先行技術に従った可変焦点レンズ1を、すなわち、国際公開第03/069380号パンフレットに開示されたものを、概略的に示す。
【0026】
可変焦点レンズ1は、流体チャンバー5を形成するための透明な前方の素子3及び透明な後方の素子4によって密閉される円筒形の第一の電極2を含む。
【0027】
流体チャンバー5は、シリコーン油又はアルカンのような、電気絶縁性の第一の液体A、及び、塩の溶液を含有する水のような、電気伝導性の第二の液体Bである二つの非混和性の流体を含有する。二つの液体は、示すようにレンズ1の光軸OAのまわりに回転対称である非球面の曲率を有する構成を有する流体のメニスカス6によって相互に分離される。二つの液体は、好ましくは、メニスカス6の構成が可変レンズ1の位置づけと独立に制御されることがあるように等しい密度を有するように配置される。第一の液体Aは、第一の屈折率を有し、且つ、第二の液体Bは、第二の異なる、屈折率を有する。
【0028】
第二の電極7は、環状であり、且つ、液体チャンバー5の一方の端に、この事例では後方の素子4に隣接して、配置される。第二の電極7は、電極が第二の流体Bに作用するように、液体チャンバー5における少なくとも一つの部分に配置される。
【0029】
メニスカス6の構成は、レンズ1によって提供された焦点屈折力を決定する。焦点制御系8は、この構成の変動によって焦点屈折力を制御するように配置される。制御系8は、第一の及び第二の電極2,7へ電気的に接続され、且つ、第一の及び第二の電極2,7にわたって印加された電圧Vを変動させることによって構成を変動させる。メニスカスのエレクトロウェッティング力のおかげで、第二の流体Bによる、第一の電極2の流体接触層9の濡れ性は、制御系8によって電圧Vの印加の下で、変動する。これは、三つの相線(流体接触層9と二つの液体A及びBとの間における接触の線)でメニスカス6の接触角αを変化させる。
【0030】
図1は、前方の素子3から眺めたとき、凸の曲率を有する構成を備えたメニスカス6を示し、その曲率は、印加電圧Vによって得られる。レンズ1は、入力の経路IP及び出力の経路OPを有し、それら経路は、相互に分離され、且つ、それら経路は、光軸OAと一致したものである。放射ビーム10は、入力の経路IPに沿ってレンズ1へと進み、且つ、所定の収束発散を有する。ビームは、光軸OAに沿って進み、メニスカス6が、制御系8によって構成されてしまうと共に、メニスカス6は、放射ビームの収束発散を変更する。変更されたビームは、出力の経路OPに沿ってレンズ1の外に進む。
【0031】
図2は、異なる構成を有するメニスカス6を示し、その構成は、凸の曲率であり、且つ、その構成は、低減された接触角αに対応する。制御系8は、この構成を得るためには、異なる電圧Vを印加し、且つ、レンズ1を通過する放射ビームの収束発散は、異なって変更される。
【0032】
可変焦点レンズのさらなる特徴及び要素を、国際公開第03/069380号パンフレットに従って記載するが、それらの内容は、ここでは参照によって組み込まれる。
【0033】
図3及び5は、記載した先行技術の光学装置の動作との比較において、所定の収束発散を有する放射ビーム15についての本発明の光学装置の動作の原理を図示する。
【0034】
図3は、図1及び2を使用して、記載した先行技術に従った可変焦点レンズの動作を示す。メニスカス6は、前方の素子3から眺めたとき、凸の曲率を備えた構成を有し、且つ、第一の及び第二の流体A,Bは、メニスカス6を通過する放射ビームの収束発散が、メニスカス6によって収束させられて正の焦点屈折力を提供するように屈折率を有する。
【0035】
焦点屈折力は、レンズの焦点距離によって測定されることがある。図3は、先行技術の可変焦点レンズの焦点距離Fを概略的に図示する。放射ビーム15は、周辺の放射線によって図示するように、光軸OAに沿って、及び、焦点16にビームを集束させる、メニスカス6を通じて、通過する。焦点距離Fは、メニスカス6から焦点16まで光軸OAに沿って取られる。
【0036】
図4は、相対的に厚いレンズによって提供された焦点距離Fがどのように定義されるかを概略的に示す。
【0037】
入力の放射ビームの周辺の光線Rは、光軸OAにおける焦点19まで相対的に厚いレンズLによって屈折させられる。交点Pから焦点19までの光軸OAに沿った距離は、厚いレンズLの焦点距離Fである。交点Pは、レンズLTによって屈折させられることなく延長させられたとすれば、周辺の光線Rの入力の経路と、レンズLによって屈折されることなくレンズLへ逆戻りに延長されたとすれば、周辺の光線Rの出力の経路と、の間の交差にある。
【0038】
図5は、図1、2及び3を使用して記載した先行技術の可変焦点レンズに従った可変焦点レンズを含む本発明に従った光学装置を概略的に示す。
【0039】
この実施形態のレンズの特徴及び要素は、先に記載した特徴に類似したものであり、且つ、100だけ増加した、同じ符号を使用して、参照される;対応する記載は、ここでもまた当てはまると解釈されるべきである。
【0040】
本発明に従って、光学装置は、メニスカス106を一度通過してきた後に、放射ビームを、メニスカス106に向かって逆戻りに、再度方向付けるように配置される第一のリダイレクタを含む。その装置は、メニスカス106を二回通過してきた後に、放射ビームを、メニスカス106に向かって逆戻りに、さらに再度方向付けるように配置される第二のリダイレクタをさらに含む。メニスカスの構成は、再度の方向付けの各々を後に続く放射ビームの収束発散をさらに変更するように配置され、且つ、さらなる変更は、可変焦点レンズに、増幅された焦点屈折力を提供するように配置される。
【0041】
以下に記載するものである本発明の実施形態において、第一のリダイレクタは、放射ビームを流体のメニスカス106に向かって反射させるように配置された第一のミラーであり、且つ、第二のリダイレクタは、流体のメニスカス106に向かって放射ビームを反射させるように配置された第二のミラーである。第一の及び第二のミラーは、光軸OAに位置させられ、且つ、各々は、反射性の表面14,17を有する。
【0042】
図5は、概略的であり、且つ、図示の明瞭さのために、第一の及び第二のミラーの反射性の表面14,17のみを示す。第一の及び第二の反射性の表面14,17は、平面の且つ光軸OAに垂直なものであり、それら表面は、各々、メニスカス106に向かって面する。
【0043】
図5は、光学装置の動作の原理を概略的に示す。本発明の光学装置の三つは、個々の光軸が相互に一致したものであるように、相互に隣接して示される。左手の光学装置として示された、第一の光学装置の第一の反射性の表面14は、中央の光学装置として示される、第二の光学装置の第一の反射性の表面14と一致したものであるように示される。第二の装置の第二の反射性の表面17は、右手の光学装置として示される、第三の光学装置の第二の反射性の表面17と一致したものであるように示される。
【0044】
メニスカス106は、前方の素子103から眺めたとき、凸の曲率を備えた構成を有し、且つ、第一の及び第二の流体A,Bは、メニスカス106を通過する放射ビームの収束発散が、メニスカス106によって収束させられて正の焦点屈折力を提供するように、屈折率を有する。異なる実施形態においては、メニスカスは、放射ビームを発散させて、負の焦点屈折力を提供する。
【0045】
図に示された第二の及び第三の光学装置が、仮想的な装置であることは、理解されることであり、それら装置は、装置を通じたビームの通過を示すために、それが、反射性の表面のまわりに実質的に折り曲げられてないものであったとした場合の光学装置を示すように図示される。
【0046】
動作中に、放射ビームは、入力の経路IPに沿って及び流体のメニスカス106を通じて通過してきた後に、第一のミラーによって反射させられて、メニスカス106を通じたさらなる通過をなす。メニスカスの構成は、放射ビームの収束発散をさらに変更するように、配置される。第二のミラーは、ビームの収束発散をその上さらに変更するメニスカス106を通じたその上さらなる通過をなすために、放射ビームをさらに反射させる。この例においては、メニスカス106は、放射ビームを焦点18に収束する。
【0047】
図5は、本発明に従った光学装置の焦点距離Fを概略的に図示する。焦点距離Fは、図4を使用して図示された、相対的に厚いレンズによって提供された焦点距離の定義に従ったものである。焦点距離Fは、交点20から焦点18まで光軸OAに平行な方向に取られる。交点20は、メニスカス106によって屈折させられることなく延長された場合のビーム15の入力の経路とメニスカス106による屈折無しで装置へと逆戻りに延長された場合のビーム15の出力の経路との間の交差にある。メニスカス106による放射ビームのさらなる変更は、可変焦点レンズに、増幅された焦点屈折力を提供し、且つ、これは、本発明によって提供された焦点距離Fが先行技術によって提供された焦点距離F未満であること引き起こす。
【0048】
図3及び5を使用して記載した光学装置については、第一の流体Aは、n=1.35の屈折率を有し、且つ、第二の流体Bは、n=1.5の屈折率を有する。流体チャンバー105における二つの流体A及びBの間に形成されたメニスカスの半径rは、2mmである。先行技術に従った焦点距離Fは、13.33mmであり、且つ、本発明に従った、焦点距離Fは、4.97mmである。
【0049】
光軸OAに沿った、第一の流体Aの及び第二の流体Bの厚さは、焦点可変レンズの焦点距離を変更する。この例においては、流体Aの厚さは、1mmであり、且つ、第二の流体Bの厚さは、0.5mmである。二つの流体A,Bの厚さが、光学装置の焦点距離Fとの比較において、小さいものであるとき、先行技術に従った、レンズの焦点距離Fは、おおよそ、関係式1:
【0050】
【数1】

に従ったものである。
【0051】
本発明に従って提供された、レンズの焦点距離Fは、おおよそ、関係式2:
【0052】
【数2】

に従ったものである。
【0053】
関係式1及び2を使用することで、先行技術及び本発明に従った焦点距離F,Fは、それぞれ、おおよそ13.33mm及び4.44mmであることが、計算される。
【0054】
第二の流体Bの厚さが、先に記載したものを超えるものである、さらなる実施形態において、その厚さは、光学装置によって提供された焦点距離をさらに変更する。
【0055】
流体のメニスカス106が、メニスカス106を通過する放射ビームを収束させる凸の曲率を有することを、記載してきた。あるいは、流体のメニスカス106は、メニスカス106を通過する放射ビームを発散させるように構成されることがある。このような実施形態においては、可変焦点レンズの焦点屈折力は、また、先行技術との比較において、増幅される。収束発散の変更は、第一の及び第二の流体A,Bの屈折率によって、並びに、印加電圧Vによって、決定される。メニスカス106は、凹の曲率又は平面の構成を有するように、制御系によって変更可能であることがある。流体の屈折率及び/又は流体の材料は、記載したものと異なるものであることがある。
【0056】
図6は、水平な軸Xにプロットされた、焦点屈折力のある一定の量の変化を得るために取られた時間(t)に対する、垂直な軸Yにプロットされた、焦点屈折力の変化の量(ΔFP)の間の関係式を概略的に示す。第一の関係式Rは、先行技術の可変焦点レンズに対応し、且つ、第二の関係式Rは、本発明に従った光学装置に対応する。軸Y,Xにおける単位は、任意である。
【0057】
第二の関係式Rは、第一の関係式Rと比較したとき、焦点屈折力のある一定の変化を提供するために本発明の装置について取られた時間の量が、一般に、焦点屈折力の同じ変化を提供するために先行技術の可変焦点レンズについて取られた時間の量よりも少ないものであることを示す。
【0058】
図7は、水平な軸Xにプロットされた、焦点屈折力のある一定の量の変化を達成するために要求された電圧(V)に対して、垂直な軸Yにプロットされた、焦点屈折力の変化の量(ΔFP)の関係を概略的に示す。第三の関係Rは、先行技術の可変焦点レンズに対応し、且つ、第四の関係Rは、本発明に従った光学装置に対応する。軸Y,Xにおける単位は、任意である。
【0059】
第四の関係Rは、第三の関係Rと比較されたとき、焦点屈折力のある一定の変化を提供するために本発明の装置について要求された電圧の量が、一般に、焦点屈折力の同じ変化を提供するために先行技術の可変焦点レンズについて要求された電圧の量よりも少ないものであることを示す。
【0060】
図8は、本発明の実施形態に従った光学装置を概略的に示す。この実施形態の特徴及び要素は、先に記載した特徴に類似したものであり、且つ、200だけ増加した、類似の符号を、使用することにする。対応する記載は、ここでもまた当てはまると解釈されるべきである。
【0061】
この実施形態において、流体のメニスカス206の構成は、放射ビームを収束させる。光学装置は、第一の四分の一波長板22、偏光依存性のミラー24である、第一のミラー、第二の四分の一波長板26、及び、部分的に透過性のミラー28である、第二のミラーを含む。第二の四分の一波長板26は、後方の素子204と偏光依存性のミラー24との間にある。偏光依存性のミラー24の反射性の表面217は、例えば、3MTMによって生産されたもののような二重輝度向上フィルム(Dual Brightness Enhancement Film)(DBEF)の反射性のコーティングを含む。
【0062】
光軸OAに沿って通過する、且つ、入力の経路IPを通過してきた直後の、放射ビーム32は、第一の四分の一波長板22によって、円偏光、例えば、右回りの円偏光へ変更させられる第一の方向を備えた直線偏光を有する。部分的に透過性のミラー28は、放射ビーム32の少なくとも一部が部分的に透過性のミラー28を通過することを、可能にするように配置される。放射ビーム32は、流体のメニスカス206を通過し、且つ、第二の四分の一波長板26は、右回りの円偏光を、偏光の第一の方向に対して垂直である、第二の方向における直線偏光へ変更する。放射ビーム32は、第一の反射性の表面214によって反射させられ、且つ、第二の方向における偏光を右回りの円偏光へ変更する第二の四分の一波長板26を通過する。次に、放射ビーム32は、流体のメニスカス206を通じた第二の通過をなし、且つ、メニスカス206に向かって部分的に透過性のミラー28によって逆戻りに反射させられて、メニスカス206を通じた第三の通過をなす。部分的に透過性のミラー28によるビームの反射は、右回りの円偏光を、左回りの円偏光へ変更し、その円偏光を、次に第二の四分の一波長板26が、第一の方向における偏光へ変更する。偏光依存性のミラー24の表面214は、さらに反射させられた放射ビームの少なくとも一部が、偏光依存性のミラー24を通じて且つ出力の経路OPに沿って通過することを可能にするように、配置される。
【0063】
さらなる実施形態において、第一の及び第二の流体A、Bは、流体のメニスカス206が部分的に透過性のミラーとして作用することを引き起こす材料を含むことがある。このような実施形態においては、第一のミラーは、要求されない。
【0064】
上に記載した実施形態において、偏光依存性のミラー24は、ある一定の偏光を備えた放射を選択することによって、偏光依存性のミラーを通じたさらに反射させられたビームの通過を制御するように、配置され、且つ、部分的に透過性のミラー28は、放射のある一定の部分が、部分的に透過性のミラーを通過することを可能にすることによって、部分的に透過性のミラー28を通じた入力の放射ビームの通過を制御するように配置される。さらなる実施形態においては、偏光依存性のミラー及び部分的に透過性のミラーは、記載したものと異なるものであることがある。
【0065】
図9は、本発明の異なる実施形態に従った光学装置を概略的に示し、ここで、その装置は、反射屈折の系の形態にある。実施形態の特徴及び要素は、先に記載した特徴と類似するものであり、且つ、300だけ増加した、類似の符号を、使用することにする。対応する記載は、ここでもまた当てはまると解釈されるべきである。
【0066】
この実施形態においては、流体のメニスカス306の構成は、前方の素子303から眺めたとき、凸の曲率であり、且つ、放射ビームを発散させる。第二のミラーは、入力の放射ビームの少なくとも一部が、入力の経路IPに沿って通過してきた直後に、第二のミラーを照射しないように配置される形状を有し、その第二のミラーは、この実施形態においては、メニスカス306に面する平面の反射性の表面317を有する環状のミラー34である。環状のミラー34は、透明であり且つチャンバー5の光軸OAに垂直な半径未満である光軸OAに垂直な半径を有する、内側の開口36を有する。第一のミラー37は、放射ビームの少なくとも一部が、第二のミラー34によって反射させられてしまった後に、第一のミラー37を照射しないように配置される形状を有する。第一のミラー37は、円筒形の流体チャンバー5の光軸OAに垂直な半径未満である光軸OAに垂直な半径を有する。この例において、第一のミラー37は、前方の素子303に隣接して光軸OAに位置させられ、且つ、第二のミラー34は、後方の素子304に隣接して光軸OAに位置させられる。
【0067】
光軸OAに沿って通過する、且つ、入力の経路IPに沿って通過してきて直ちに、放射ビーム33は、内側の開口36を通じて、且つ、流体のメニスカス306を通じて、通過する。この実施形態において、可変焦点レンズは、放射ビームが、内側の開口36を通過してきた後に、メニスカス306に到達する前に、後方の素子304及び第二の流体Bを通過するように、先の実施形態について記載したものと異なる位置づけを有する。放射ビーム33は、前方の素子303を通過し、且つ、第一の反射性の表面314によって流体のメニスカス306を通じて逆戻りに反射させられる。ビームの一部は、第二の反射性の表面317によってメニスカス306を通じて逆戻りにさらに反射させられ、且つ、第一のミラー37の周辺の縁38の側へ進む。出力のビームは、出力の経路OPまわりに芯出しされる環状の強度の断面を有する。
【0068】
さらなる実施形態においては、放射ビームは、入力の放射ビームの一部が、周辺の縁38を通過するように、先の実施形態について記載したものと反対の方向で装置を通過することがあり、且つ、後に続く反射及びさらなる反射は、内側の開口36を通じて装置から出力される。
【0069】
その上さらなる実施形態において、図9を使用して記載した装置の第一のミラーは、代わりに、環状のミラー34の半径未満である光軸OAから垂直な半径を有する外側の周辺部を備えたさらなる環状のミラーであることがある。メニスカスは、さらなる環状のミラーが、さらなる反射のために環状のミラー34へと放射ビームを反射させるように、開口36を通過してきた、入力の放射ビームを発散させて、さらなる環状のミラーの外側の周辺部を過ぎたビームを出力する。
【0070】
さらなる実施形態において、装置は、先の実施形態について記載したものと類似するものであることがあるが、しかし、放射ビームは、入力の放射ビームの少なくとも一部が、代わりに、さらなる環状のミラーの外側の周辺部を通過し且つ環状のミラーによって反射させられ、さらなる環状のミラーによってさらに反射させられ且つ内側の開口36を通じて出力することよりも先にメニスカスによって収束させられるように、反対の方向に進む。
【0071】
第一の及び第二のミラーの両方が環状のものである、その上さらなる実施形態において、放射ビームは、第二のミラーの開口を通過し、且つ、メニスカスによって発散させられてきたものは、第一のミラーの反射性の表面によって反射させられて、メニスカスを通じたさらなる通過をなす。次に、第二のミラーの反射性の表面は、放射ビームを、ビームが第一のミラーの中央の開口を通じて且つ装置の外へ通過するように再度方向付けられるように、さらに反射させる。この方式で装置を通じたビームの通過を制御するためには、第一の及び/又は第二のミラーの反射性の表面は、平面のものでないことがあり、湾曲したものであることがある。
【0072】
図10は、像取得デバイス、例えばカメラ、を概略的に示す。デバイスは、通過する物体の像を担持する放射ビームについての光軸OAを有する。デバイスは、図8を使用して先に記載したものに従った光学装置48、50の二つを含むズームレンズ系を有する光学系を有する。各々の流体のメニスカスは、相互の組み合わせで、放射ビームによって担持された像へズーム因子を導入する構成を有する。光学系は、また、物体の像を検出するための像検出系46へ、ズームされた像を集束させるための対物系44を有する。光学系は、放射ビームを変更するレンズ51を、ビームが検出系46に正しく集束させられることを保証するために、さらに含む。代わりの像取得デバイスにおいて、二つの光学装置の各々が、図9を使用して先に記載した装置に従ったものである。
【0073】
光学装置は、図10を参照して記載したものと異なるものであるズームレンズ系内に含まれることがある。一つの例は、ズームレンズ系を通過する放射ビームに作用するように配置される一部を有する波面変更子を含む少なくとも一つの切り替え可能な光学素子を含むズームレンズ系である。切り替え可能な素子は、また、第一の流体及び第二の流体を含む。第一の及び第二の流体は、相互に異なる屈折率を有し、且つ、相互に不混和性である。切り替え可能な素子は、第一のモード及び第二のモードを有する。第一のモードにおいて、切り替え可能な素子は、第一の流体が波面変更子の部分を覆う、流体の構成を有し、且つ、第二のモードにおいて、切り替え可能な素子は、第二の流体が代わりに波面変更子の部分を覆う、異なる流体の構成を有する。切り替え可能な素子を、例えば第一の及び第二の流体の少なくとも一つに電圧を印加することがある、切り替え系を使用することで、第一の及び第二のモードの間で切り替えることができる。切り替え可能な素子は、ズームレンズ系を通過する放射ビームへとズーム因子を導入する。素子が第一のモードにあるとき導入されるズーム因子は、その素子が第二のモードにあるとき導入されるズーム因子と異なるものである。
【0074】
図11は、情報層54を有する光学記録担体52を走査するための光学走査デバイスを概略的に示す。デバイスは、光軸OAに沿って所定の波長の放射ビームを放出するための放射源系56を有する。放射ビームは、光学系によって情報層54に集束させられ、その光学系は、図8を使用して先に記載した装置に従った光学装置58及び第一の対物系53を含む。集束させられた放射ビームは、情報層54によって反射させられ、且つ、ビームスプリッター62は、情報層54から引き出された情報を担持する放射ビームを、放射ビームを検出するように配置される検出系64へ放射ビームを集束させる光学系の第二の対物系63へ、方向付ける。
【0075】
代わりの光学走査デバイスにおいて、光学装置は、代わりに、図9を使用して先に記載した装置に従ったものである。
【0076】
上の実施形態は、本発明の実例となる例として理解されるものである。本発明のさらなる実施形態が、予見される。例えば、記載した光学素子の仕様は、異なるものであることがある。第一の又は第二のミラーの反射性の表面は、平面のものでないことがあり、凹の、凸の、又はこれらの組み合わせであることがあり、且つ、また、光軸に関して異なって位置づけされることがある。さらには、第一のミラー又は第二のミラーは、記載したものと異なる形状を有することがあり、又は、反射性の表面を形成するために使用された材料は、異なるものであることがある。
【0077】
メニスカスが放射ビームを収束させる、実施形態を記載してきた。このような実施形態においては、メニスカスは、代わりに、放射ビームを発散させるように構成されることがある。メニスカスが放射ビームを発散させる、記載した実施形態においては、メニスカスは、代わりに、放射ビームを収束させるように構成されることがある。回転対称な構成を備えたメニスカスを記載してきた。メニスカスは、光軸のまわりに回転非対称である構成に構成されることがある。
【0078】
記載した実施形態の各々について、入力の経路に沿って通過する放射ビームは、コリメートされた収束発散である所定の収束発散を有する。入力のビームは、代わりに、収束性のもの又は発散性のものであることがある。
【0079】
装置を通じたビームの通過の制御を提供する、偏光を備えたビームの使用がなされる、実施形態を記載してきた。これは、リダイレクタの動作を改善する。装置は、記載したものに対して異なる偏光を有する放射ビームで動作することがあり、且つ、ビームの偏光を異なって変更するように配置されることがある。
【0080】
先に記載した実施形態においては、入力及び出力の経路は、光軸と一致したものである。入力及び出力の経路は、代わりに、経路が光軸と不一致であるように、記載した光軸に関して異なる位置決めを有することがある。
【0081】
放射ビームが、メニスカスを通じた三つの経路をなすように、装置が、二つのリダイレクタを含む、実施形態を記載してきた。リダイレクタは、記載したような、ミラーでないことがあり、ビームを再度方向付けるための代わりの光学素子であることがある。さらには、装置は、ビームが、メニスカスを通じた三つを超える経路をなすことがあるように、さらなるリダイレクタを含むことがある。
【0082】
先に記載した実施形態について、放射ビームの光線は、光軸に関して異なる径方向の位置で、及び/又は、メニスカスに関して異なる入射角で、メニスカスを各々の時間で通過する。これらの入射角の及び/又はこれらの径方向の位置の変動は、収束発散の変更が変化することを引き起こす。装置が、記載したものと異なる入射角及び/又は異なる径方向の位置でメニスカスを通じて放射ビームの光線を通過させるように配置されることがあることが、予見される。代わりに、メニスカスが、ビームの収束発散を変更しないように構成されることがある。
【0083】
焦点距離によって示唆された、本発明によって提供された増幅された焦点屈折力の量は、先に記載したものと異なるものであることがある。これを達成するためには、流体A、Bの屈折率、光軸OAに沿った流体の厚さ、及び、チャンバーの半径が、先に記載したものと異なるものであることがある。
【0084】
エレクトロウェッティング力を使用する可変焦点レンズに関して、本発明を記載してきた。装置は、代わりに、エレクトロウェッティング力を使用しない異なるタイプの可変焦点レンズを含むことがある。
【0085】
光学装置を含むデバイスを記載してきた。このようなデバイスは、記載したものと異なるものであることもあり、且つ、本発明の異なる実施形態に従った光学装置を含むことがある。
【0086】
光学装置のさらなる用途が予見される。例えば、装置は、照明されるエリアのサイズを変動させることが望まれる、トーチのような、照明デバイスに含まれることがある。装置は、携帯電話、写真及びビデオカメラ、医療機器、データ記録及び読み取り機器、識別機器、並びに自動車用の機器のような、カメラを含むデバイスに組み込まれることがある。装置は、また、望遠鏡内に含まれることがある。
【0087】
装置の実施形態、例えば、図9を使用して記載した反射屈折系は、偏光した放射ビームの使用無しで動作する。このような装置は、都合良くは、偏光と無関係である動作を要求する用途において、例えばカメラにおいて、使用されることがある。装置は、一般に、装置を通過する放射ビームについて低い色収差を導入する。メニスカスを通じて一度よりも多く放射ビームを通過させることは、ビームへ導入された色収差の全体的な量を最小にする。
【0088】
いずれか一つの実施形態に関して記載したいずれの特徴も、単独で、又は、記載した他の特徴との組み合わせで、使用されることがあり、且つ、また、他のいずれの実施形態の一つ以上の特徴との組み合わせでも又は他のいずれの実施形態のいずれの組み合わせでも、使用されることがあることは、理解されることである。さらには、上に記載しない均等物及び変更物もまた、添付する特許請求の範囲において明確に定められる本発明の範囲を逸脱することなく、用いられることがある。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、先行技術に従った可変焦点レンズを示す。
【図2】図2は、先行技術に従った可変焦点レンズを示す。
【図3】図3は、先行技術に従った光学装置による焦点屈折力を示す。
【図4】図4は、本発明に従ったレンズによって提供された焦点屈折力を概略的に示す。
【図5】図5は、本発明に従った光学装置によって提供された増幅された焦点屈折力を示す。
【図6】図6は、先行技術との比較において、本発明の実施形態によって提供された焦点屈折力の関係を概略的に示す。
【図7】図7は、先行技術との比較において、本発明の実施形態によって提供された焦点屈折力の関係を概略的に示す。
【図8】図8は、本発明の異なる実施形態に従った光学装置を示す。
【図9】図9は、本発明の異なる実施形態に従った光学装置を示す。
【図10】図10は、本発明の実施形態に従った光学装置を含む像取得デバイスを概略的に示す。
【図11】図11は、本発明の実施形態に従った光学装置を含む光学走査デバイスを概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを変更するための光学装置であって、
該装置は、
a)第一の屈折率を有する第一の流体及び第二の異なる屈折率を有する第二の流体を含む可変焦点レンズを含み、該流体は、不混和性であり、且つ、入力の放射ビームの所定の収束発散を変更するように配置される構成へと変更可能である流体のメニスカスによって相互に分離され、それによって該構成が、該レンズの焦点屈折力を決定し、
該装置は、
b)該流体のメニスカスの構成の変動によって該焦点屈折力を制御するように配置された焦点制御系
:を含む、光学装置において、
該光学装置は、該流体のメニスカスを一度通過してきた後に、該放射ビームを、該流体のメニスカスへ向かって逆戻りに再度方向付けるように配置された第一のリダイレクタ及び該メニスカスを二回通過してきた後に、該放射ビームを、該流体のメニスカスへ向かって逆戻りにさらに再度方向付けるように配置された第二のリダイレクタを含み、該構成は、該リダイレクタの各々の後に続く該放射ビームの収束発散をさらに変更するように配置され、該さらなる変更は、該可変焦点レンズに、増幅された焦点屈折力を提供するように配置されることを特徴とする、光学装置。
【請求項2】
前記流体のメニスカスの構成は、前記流体のメニスカスを通過する放射ビームを収束させるように配置される、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記流体のメニスカスの構成は、前記流体のメニスカスを通過する放射ビームを発散させるように配置される、請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
前記装置は、前記光学装置を通過する放射ビームの偏光を変更して、前記第一のリダイレクタ及び前記第二のリダイレクタの少なくとも一つの動作を改善するように配置される、請求項1乃至3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記第一のリダイレクタは、前記放射ビームを前記流体のメニスカスに向かって反射させるように配置された第一のミラーである、請求項1乃至4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記第一のミラーは、前記さらに再度方向付けられた放射ビームの少なくとも一部が、前記第一のミラーを照射しないように配置される形状を有する、請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第一のミラーは、前記さらに再度方向付けられたビームの少なくとも一部が前記第一のミラーを通過することを可能にするように配置され、且つ、前記第一のミラーは、前記第一のミラーを通じた前記さらに再度方向付けられたビームの通過を制御するように配置される、請求項5に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第二のリダイレクタは、前記放射ビームを前記流体のメニスカスに向かって反射させるように配置された第二のミラーである、請求項1乃至7のいずれかに記載の光学装置。
【請求項9】
前記第二のミラーは、前記入力の放射ビームの少なくとも一部が、前記第二のミラーを照射しないように配置される形状を有する、請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第二のミラーは、環状である、請求項9に記載の光学装置。
【請求項11】
前記第二のミラーは、前記入力の放射ビームの少なくとも一部が前記第二のミラーを通過することを可能にするように配置され、且つ、前記第二のミラーは、前記第二のミラーを通じた前記入力の放射ビームの通過を制御するために配置される、請求項8に記載の光学装置。
【請求項12】
物体の像を取得するための像取得デバイスであって、
該デバイスは、物体の像を検出するための像検出系及び該物体の像を該像検出系へと集束させるように配置された光学系を含み、該光学系は、請求項1乃至11のいずれかに記載の光学装置を含む、像取得デバイス。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれかに記載の光学装置を含む光学ズームレンズ系。
【請求項14】
光学記録担体を走査するための光学走査デバイスであって、
該デバイスは、
a)放射ビームを放出するための放射源系;
b)光学記録担体から引き出された情報を担持する放射ビームを検出するための検出系;及び
c)光学記録担体に該放出された放射ビームを集束させるための且つ該記録担体に集束せられてしまった後に該放出された放射ビームを該検出系へと集束させるための光学系
:を含み、
該光学系は、請求項1乃至11のいずれかに記載の光学装置を含む、デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−538617(P2008−538617A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507251(P2008−507251)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051220
【国際公開番号】WO2006/111933
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】