説明

可搬型電子機器、可搬型電子機器の重心制御方法および重心制御プログラム

【課題】縦長と横長の状態に画面表示を切り替える際に、違和感を覚えることなく操作できる可搬型電子機器等を提供する。
【解決手段】本発明に係る可搬型電子機器10は、筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な可搬型電子機器であって、重力加速度の方向を検知する重力加速度センサ23と、重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて筐体の向けられている方向を判定する重力方向検知部31と、重力方向検知部の判定した筐体の向けられている方向に応じて筐体の重心位置を調整する重心移動手段15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可搬型電子機器、可搬型電子機器の重心制御方法および重心制御プログラムに関し、特に手に持った時の重量感を軽減することが可能な可搬型電子機器等に関する。より詳しくは、当該電子機器筐体の向きやその持ち方に応じて最適な位置に重心を移動することによって重量感を軽減することが可能な可搬型電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末、スマートフォン、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどのような可搬型電子機器が、世の中に広く普及している。操作者は、このような可搬型電子機器を片手もしくは両手で持ちながら、操作ボタンもしくはタッチパネルなどを利用して操作する。
【0003】
それらの可搬型電子機器の中には、画面表示方向を縦長(ポートレート)もしくは横長(ランドスケープ)に切り替えて使用することが可能なもの、さらに重力加速度センサを利用して当該機器の筐体の方向を動かすだけでその画面表示方向の切り替えを行うことが可能なものも多くなっている。
【0004】
これに関連して、以下の各々の技術文献がある。その中でも特許文献1には、電子書籍を読み進めていくとその進捗状況に応じて端末装置の重心を移動させるという電子ブックシステム等について記載されている。特許文献2には、車体搭乗部をスライダによって移動させることによって自動車の車体の傾斜許容量を拡大するという車両について記載されている。
【0005】
特許文献3には、重力加速度方向を検知することにより、筐体の方向に応じて画面の表示方向を切り替えるというタブレット型パーソナルコンピュータが記載されている。特許文献4には、磁性流体を磁力で移動させることによって重心を移動させる重心移動装置について記載されている。
【0006】
特許文献5には、ユーザの身体などの接触および重力加速度方向を検知して画面の表示方向を切り替えるという携帯端末装置について記載されている。非特許文献1には、可搬型電子機器で利用可能な重力加速度センサについての一般的な技術の一例、特に加速度センサとジャイロセンサ、地磁気センサなどの組み合わせによって正確な角度の測定値を得る技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−150598号公報
【特許文献2】特開2008−137468号公報
【特許文献3】特開2008−139711号公報
【特許文献4】特開2010−076707号公報
【特許文献5】特開2010−113503号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「3Dモーションセンサ」、NECトーキン株式会社、[平成22年10月22日検索]、インターネット<URL:http://www.nec-tokin.com/product/3d/pdf/3d_j.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
可搬型電子機器について、小型軽量化、多機能化、省電力化、操作性の向上などと並ぶ重要な開発課題として、使用感の向上がある。即ち、可搬型電子機器は、該装置を手で持って使用する操作者にとって、違和感を覚えることなく操作できるものでなければならない。
【0010】
単に当該機器を小型軽量化するだけでは、良好な使用感を得られない場合がある。即ち、電子回路やディスプレイ装置などを軽量化しても、たとえばバッテリーなどのように、他の部分と比べて軽量化しにくい部分がある。そのため、他の部分が軽量になっても軽量化しにくい部分が残ると、当該機器内部で重量のバランスを取ることが難しくなる。
【0011】
特に画面表示方向を縦長(ポートレート)もしくは横長(ランドスケープ)に切り替えて使用することが可能な可搬型電子機器では、縦長と横長のうち一方の状態で最適な使用感が得られるように当該機器内部の重量のバランスを設計すると、もう一方の状態では重量のバランスが取れていないこととなる。このような偏った重量感は、操作者にとって違和感の要因となる。縦長および横長の両方の状態で違和感の発生しないように機器内部の重量のバランスを設計することは困難を伴う。
【0012】
この問題を解決しうる技術は、特許文献1〜5および非特許文献1に記載の技術を組み合わせても得られない。重心を移動させる技術は特許文献1〜2および4に記載されており、また可搬型電子機器の縦長と横長の状態を切り替えることによって、画面表示の切り替えを行う技術は特許文献3および特許文献5に記載されている。従って、縦長と横長の状態を切り替えることに連動して、筐体内部で重心を移動させれば、この問題は解決されるかのようにみえる。
【0013】
しかしながら、特許文献2および4に記載された重心を移動可能とする構造は、可搬型電子機器に内蔵することが不可能である。また特許文献1に記載された技術は、左右方向のみの重心の移動であるので、縦長と横長の各状態で違和感の発生しないように機器内部の重量のバランスを最適化するという用途には利用できない。従って、これらに特許文献3および特許文献5に記載された縦長と横長の状態に画面表示を切り替える技術を組み合わせることは不可能であるので、前述の問題を解決しうる技術を得ることは当然ながらできない。非特許文献1は、センサについての既存の技術について記載しているに過ぎないので、これをさらに組み合わせても、前述の問題は解決されない。
【0014】
本発明の目的は、縦長と横長の状態に画面表示を切り替える際に、重量の不釣り合いに起因して生じる操作者の違和感を有効に軽減しうる可搬型電子機器、可搬型電子機器の重心制御方法および重心制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る可搬型電子機器は、筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器であって、重力加速度の方向を検知する重力加速度センサと、重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて筐体の向けられている方向を判定する重力方向検知部と、重力方向検知部の判定した筐体の向けられている方向に応じて作動し、機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に筐体の重心位置を調整する重心移動手段とを有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る可搬型電子機器の重心制御方法は、筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器にあって、重力加速度の方向を重力加速度センサが検知し、重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて筐体の向けられている方向を重力方向検知部が判定し、重力方向検知部の判定した筐体の向けられている方向に応じて機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に筐体の重心位置を調整するための信号をおもり制御部が生成し、筐体の重心位置を算出された位置に重心移動手段が調整することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る可搬型電子機器の重心制御プログラムは、筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器にあって、可搬型電子機器が備えるコンピュータに、予め備えられた重力加速度センサの出力に基づいて筐体の向けられている方向を判定する手順、重力方向検知部の判定した筐体の向けられている方向に応じて機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に筐体の重心位置を調整するための信号を生成する手順、および筐体の重心位置を調整するための信号を予め備えられた重心移動手段に出力する手順を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上述した通り、重力加速度センサの出力に基づいて筐体の向けられている方向を判定し、それによって筐体の重心位置を調整するように構成したので、当該機器の重心位置を画面の表示方向が縦長と横長の各々の状態に適した位置に調整することができる。これによって、縦長と横長の状態に画面表示を切り替える際に、重量の不釣り合いに起因して生じる操作者の違和感を有効に軽減するという優れた特徴を持つ可搬型電子機器、可搬型電子機器の重心制御方法および重心制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る可搬型電子機器の外観の構成について示す説明図である。
【図2】図1に示した可搬型電子機器の内部の機械的構成について示す説明図である。
【図3】図2に示した電子回路の構成について示す説明図である。
【図4】図2に示したおもりによる重心位置の移動の一例を示す説明図である。図4(a)は重力方向に対して可搬型電子機器の長手方向を水平方向として使用している状態(横長状態)を、図4(b)は重力方向に対して可搬型電子機器の短手方向を水平方向として使用している状態(縦長状態)を各々示す。
【図5】図3に示したおもり制御パラメータの記憶内容を示す説明図である。
【図6】図3に示した重力方向検知部およびおもり制御部の動作を示すフローチャートである。
【図7】図2に示した重心移動手段に替えて適用可能な重心移動手段の具体的な例について示す説明図である。図7(a)はリニアモータを使用した例、図7(b)はおもりを取り付けた円盤をモータによって回転させる例、図7(c)は磁性流体および非磁性流体を使用した例、図7(d)は可撓性の容器に封入した液体をポンプで移動させる例を各々示す。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る可搬型電子機器の外観の構成について示す説明図である。
【図9】図8に示した可搬型電子機器の内部の機械的構成について示す説明図である。
【図10】図9に示した電子回路の構成について示す説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る可搬型電子機器の外観について示す説明図である。
【図12】図11に示した可搬型電子機器の内部の機械的構成について示す説明図である。
【図13】図12に示した電子回路の構成について示す説明図である。
【図14】図12〜13に示した可搬型電子機器の、片手持ちおよび両手持ちの状態とこれに伴う最適な重心位置の違いについて示す説明図である。図14(a)は横長状態の可搬型電子機器を左手で持って操作している状態(片手持ち)、図14(b)は両手で持って操作している状態(両手持ち)を各々示す。図14(c)は縦長状態を示す。
【図15】図13に示したおもり制御パラメータの記憶内容を示す説明図である。
【図16】図13に示した重力方向検知部、おもり制御部および接触検知部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の構成について添付図1〜3に基づいて説明する。
最初に、本実施形態の基本的な内容について説明し、その後でより具体的な内容について説明する。
本実施形態に係る可搬型電子機器10は、筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器である。この可搬型電子機器10は、重力加速度の方向を検知する重力加速度センサ23と、重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて筐体の向けられている方向を判定する重力方向検知部31と、重力方向検知部の判定した筐体の向けられている方向に応じて作動し、機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に筐体の重心位置を調整する重心移動手段15とを有する。
【0021】
また、この重心移動手段15は、おもり駆動軸15bと、おもり駆動軸上を移動するおもり15aと、おもりのおもり駆動軸上の移動を案内するおもりガイド軸15cと、おもりガイド軸でおもりを移動させるモータ15dとによって構成される。そして可搬型電子機器10は、モータを駆動制御しておもりガイド軸上での最適位置にまでおもりを移動させるおもり制御部32を有する。おもり駆動軸15bは、筐体の長手方向が水平方向として使用される場合の下端部中央領域と、筐体の短手方向が水平方向として使用される場合の下端部中央領域とを結ぶ線上に配置されている。
【0022】
この構成を備えることにより、可搬型電子機器10は、縦長と横長の状態に画面表示を切り替える際に、操作者が違和感を覚えることなく操作できるという効果を得ることができる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る可搬型電子機器10の外観の構成について示す説明図である。可搬型電子機器10は、たとえば携帯電話端末、スマートフォン、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどのような用途のものであり、操作ボタン11や表示パネル12などを備えた一般的な可搬型電子機器である。表示パネル12は、液晶ディスプレイなどによる表示画面12bの上に、操作者が指で操作可能なタッチパネル12aが貼られた構造である。また、イヤホン13を接続することによって、操作者が音声出力を聞くことが可能となる。
【0024】
操作者は、可搬型電子機器10を片手で保持しつつ、操作ボタン11、もしくは表示パネル12上のタッチパネル12aを利用して入力操作を行い、表示パネル12の表示画面12b、およびイヤホン13などからの音声を出力として得ることができる。入力および出力のための手段および方法は、特にこの例に限定されない。図1および図2には、可搬型電子機器10の中心位置18を示している。
【0025】
図2は、図1に示した可搬型電子機器10の内部の機械的構成について示す説明図である。可搬型電子機器10内部には、入力された情報に対して演算処理を行ってその結果を出力する電子回路14と、重心移動手段15が配置されている。
【0026】
重心移動手段15は、中心部に貫通ねじ穴を有するおもり15aと、このおもり15aの前記貫通ねじ穴と螺合してこれを保持するおもり駆動軸15bと、おもり駆動軸15bと平行に配置されて前記おもり15aの移動を案内するおもりガイド軸15cと、おもり駆動軸15bを回転させる動力源であるモータ15dとを含んで構成される。そして、このおもり駆動軸15bは、可搬型電子機器10の筐体の長手方向が水平方向として使用される場合(後述の横長状態)の下端部中央領域と、この筐体の短手方向が水平方向として使用される場合(後述の縦長状態)の場合の下端部中央領域とを結ぶ線上に配置されている。
【0027】
おもり駆動軸15bの片端には従動ギア15eが、モータ15dの駆動軸には原動ギア15fが各々取り付けられ、これらのギアが歯合されることによってモータ15dの回転がおもり駆動軸15bに伝達され、これによっておもり15aがおもりガイド軸15c上で移動可能となる。また図2には、可搬型電子機器10の重心位置16、およびおもりガイド軸15c上でのおもり15aの位置であるおもり位置17aおよび17bを示している。
【0028】
図3は、図2に示した電子回路14の構成について示す説明図である。電子回路14は、コンピュータとしての基本的な構成を備える。即ち、電子回路14は、コンピュータプログラムを実行する主体となる主演算制御手段(CPU: Central Processing Unit)21と、データを記憶する記憶手段22とを備える。これに加えて、電子回路14は、重力加速度の方向を検出する重力加速度センサ23を備える。
【0029】
主演算制御手段21では、重力方向検知部31、およびおもり制御部32が、各々コンピュータプログラムとして後述するそれぞれの機能を実行されるように構成されている。また、記憶手段22には、おもり制御パラメータ35があらかじめ記憶されている。これについても後述する。
【0030】
重力方向検知部31は、重力加速度センサ23から出力される信号から、可搬型電子機器10の現在の向きを検知して、これをおもり制御部32に出力する。おもり制御部32は、重力方向検知部31が検知した可搬型電子機器10の現在の向きから、おもり制御パラメータ35によっておもり15aのおもりガイド軸15c上での位置を決定し、これに基づいてモータ15dを駆動してその位置におもり15aを移動させる。
【0031】
図4は、図2に示したおもり15aによる重心位置16の移動の一例を示す説明図である。図4(a)は重力方向に対して可搬型電子機器10の長手方向を水平方向として使用している状態を、図4(b)は重力方向に対して可搬型電子機器10の短手方向を水平方向として使用している状態を各々示す。以後、図4(a)および(b)に示す状態を、各々横長状態、縦長状態という。
【0032】
右利きの操作者は通常、可搬型電子機器10を左手で持ち、右手で操作ボタン11もしくはタッチパネル12aを操作する。操作者はその際、表示画面12bが見やすくなるように可搬型電子機器10を持つ。そのため、可搬型電子機器10の重心は左手の中心付近にあることが望ましいが、この「左手の中心」にあるべき望ましい重心位置は、図4(a)に示す横長状態と図4(b)に示す縦長状態との間で異なる。図4(a)および(b)では、横長状態と縦長状態の各々の場合の最適重心位置16aおよび16bを示している。
【0033】
重心移動手段15は、可搬型電子機器10の操作状態が横長状態と縦長状態との間で変化した場合に、最適重心位置16aと16bとの間で重心位置16を移動させることができるように、おもり15aの重量およびおもり駆動軸15bの配置を設定している。
【0034】
より具体的には、おもり位置17aにおもり15aを配置すれば可搬型電子機器10の重心位置16は横長状態の最適重心位置16aとなり、おもり位置17bにおもり15aを配置すれば可搬型電子機器10の重心位置16は縦長状態の最適重心位置16bとなるよう、おもり15aの重量およびおもり駆動軸15b、おもりガイド軸15cの配置が設定されている。そして、横長状態と縦長状態の各々に対応するおもり位置17aおよび17bが、おもり制御パラメータ35として記憶されている。
【0035】
重力方向検知部31は、重力加速度センサ23からの出力信号から、可搬型電子機器10が横長状態と縦長状態のうちのいずれであるかを検出する。そして、おもり制御部32は、その各々の場合の最適重心位置16aおよび16bのうちのいずれかに重心位置16が移動するよう、おもり制御パラメータ35を参照しておもり15aのおもりガイド軸15c上での位置(おもり位置17aおよび17b)を設定し、モータ15dを駆動してその位置におもり15aを移動させる。
【0036】
図5は、図3に示したおもり制御パラメータ35の記憶内容を示す説明図である。おもり制御パラメータ35は、可搬型電子機器10の操作状態35aと、これに対応するおもり位置35bとが対応されて記憶されている。操作状態35aは「横長状態」と「縦長状態」のうちいずれか、おもり位置35bはその各々に対応するおもり位置17aおよび17bである。
【0037】
図6は、図3に示した重力方向検知部31およびおもり制御部32の動作を示すフローチャートである。まず重力方向検知部31が、重力加速度センサ23から出力される重力加速度方向の角度に変化があるか否か、即ち可搬型電子機器10の向きに変化があるか否かを判断する(ステップS101)。このステップS101の処理は、より具体的には、重力加速度センサ23が検知した重力加速度方向の角度の変化が特定の閾値以上になった否かを判断する。変化がなければステップS101の判断を繰り返す。
【0038】
重力加速度方向の角度に変化があった場合(ステップS101がイエス)、重力方向検知部31は可搬型電子機器10の現在の向きが横長状態であるか縦長状態であるかを判断する(ステップS102)。横長状態であれば(ステップS102がイエス)、おもり制御部32はおもり制御パラメータ35を利用して、横長状態の最適重心位置16aに対応するおもり位置17aに、モータ15dを駆動しておもり15aを移動させる(ステップS103)。以後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0039】
可搬型電子機器10の現在の向きが縦長状態である場合も同様に(ステップS102がノー)、おもり制御部32はおもり制御パラメータ35を利用して、縦長状態の最適重心位置16bに対応するおもり位置17bに、モータ15dを駆動しておもり15aを移動させる(ステップS104)。以後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0040】
(第1の実施形態の全体的な動作)
次に、上記の実施形態の全体的な動作について説明する。本実施形態に係る重心制御方法は、筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な可搬型電子機器10にあって、重力加速度の方向を重力加速度センサが検知し(図6・ステップS101)、重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて筐体の向けられている方向を重力方向検知部が判定し(図6・ステップS102)、重力方向検知部の判定した筐体の向けられている方向に応じて筐体の重心位置を重量のバランスの取れた位置に調整するための信号をおもり制御部が生成し、筐体の重心位置を算出された位置に重心移動手段が調整する(図6・ステップS103および104)。
【0041】
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行するコンピュータである携帯電話端末20および可搬型電子機器10の主演算制御手段21に実行させるようにしてもよい。本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリ等に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
この動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
【0042】
本実施形態では、図2に示したおもり15aのおもりガイド軸15c上での位置の両端(おもり位置17aおよび17b)が、横長状態と縦長状態の各々の場合の最適重心位置16aおよび16bに対応する。即ち、モータ15dを回転させておもり位置17aおよび17bの間でおもり15aを移動させることにより、横長状態と縦長状態の各々の場合の最適重心位置16aおよび16bに、重心位置16を設定することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、可搬型電子機器10の現在の向きの横長状態および縦長状態に対応する最適重心位置16aおよび16bの間で重心位置16を移動させる構成としたが、この重心位置16は可搬型電子機器10の現在の向きを示す重力加速度方向の角度に任意の数式を適用して算出するものとしてもよい。
【0044】
(第1の実施形態の拡張)
前述の第1の実施形態で、重心移動手段15は、おもり15aのおもりガイド軸15c上での位置をモータ15dの駆動によって移動させることによって重心位置を移動させるという例を示したが、おもり制御部32からの制御運号に応じての重心位置の移動には、これ以外にも種々の方法を利用することができる。図7は、図2に示した重心移動手段15に替えて適用可能な重心移動手段55a〜dの具体的な例について示す説明図である。
【0045】
図7(a)に示す重心移動手段55aは、おもり15aのおもり駆動軸15b上での移動に替えて、おもり51aを取り付けたリニアモータ51bを使用している。図7(b)に示す重心移動手段55bは、おもり15aのおもり駆動軸15b上での移動に替えて、おもり52aを取り付けた円盤52bをモータ52cによって回転させて、これによっておもり52aを移動させている。
【0046】
図7(c)に示す重心移動手段55cは、おもり15aに替えて、各々比重および磁性の異なる2種類の液体、磁性流体53aおよび非磁性流体53bを使用し、これらを容器53c内に封入し、その外部から電磁石53dによって磁力を作用させ、これによって磁性流体53aを移動させている。
【0047】
図7(d)に示す重心移動手段55dは、おもり15aに替えて液体54aを使用し、これを可撓性容器54b内に封入してポンプ54cによって移動させている。これら以外にも、おもり制御部32からの制御出力に応じて重心位置を移動させることが可能なものであれば、任意の構造を重心移動手段15として利用することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る可搬型電子機器210は、第1の実施形態として前述した構成に加えて、重力加速度センサ23が検知した重力加速度の方向に基づいて作動し、画面の表示方向を縦長と横長のうちいずれか一方に切り替える表示方向検知部233を有するものとした。
【0049】
この構成によれば、既に画面の表示方向を縦長と横長に切り替えることが可能な可搬型電子機器に対して、少ない変更で第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0050】
図8および図9は、本発明の第2の実施形態に係る可搬型電子機器210の外観および内部の機械的構成について各々示す説明図である。可搬型電子機器210の外観は、前述の第1の実施形態で説明した可搬型電子機器10と、特に違いはない。また、内部の機械的構成についても特に違いはない。ただ、電子回路214の構成の一部が、第1の実施形態の電子回路14と異なる。これ以外の各部は、全て第1の実施形態と同一の名称と参照番号でいう。
【0051】
図10は、図9に示した電子回路214の構成について示す説明図である。電子回路14は、ハードウェアとしての構成は第1の実施形態で説明した電子回路14と同じく、主演算制御手段21と、記憶手段22と、重力加速度センサ23とを備える。
【0052】
主演算制御手段21では、重力方向検知部31、おもり制御部32に加えて、表示方向制御部233が、各々コンピュータプログラムとして後述するそれぞれの機能を実行されるように構成されている。また、記憶手段22には、おもり制御パラメータ35に加えて、表示方向制御パラメータ236があらかじめ記憶されている。表示方向制御部233および表示方向制御パラメータ236以外の要素は、第1の実施形態で説明したものと動作は同一であるので、第1の実施形態と同一の名称と参照番号でいう。
【0053】
表示方向制御部233は、重力加速度センサ23の出力から重力方向検知部31が検知した可搬型電子機器210の現在の向きから、表示方向制御パラメータ236を使用して、表示画面12bに対して出力すべき表示画面の方向を決定し、その方向に表示画面を表示させる。
【0054】
重力加速度センサを利用して、図4で説明した横長状態と縦長状態とで表示画面の方向を変化させるという構成は、横長状態と縦長状態とで操作者が操作可能な可搬型電子機器であれば既に一般的に採用されている。そのような電子機器であれば、重力加速度センサ23を新たに追加する必要はなく、ただ重心移動手段15と、おもり制御部32およびおもり制御パラメータ35を追加するだけで、本発明を実施することができ、本明細書で記載した効果が得ることが可能である。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る可搬型電子機器310は、操作者が筐体に触れている位置を検知する接触センサ311と、接触センサが検知した操作者が筐体に触れている位置に基づいて操作者が筐体を保持している体勢を判定する接触検知部333とを備えると共に、さらに重心移動手段15が、重力方向検知部および接触検知部の検知結果に基づいて重心位置を移動制御するものとした。
【0056】
この構成によれば、画面の表示方向を筐体の縦長と横長に加えて、重心を操作者が該筐体を保持する体勢(片手持ちと両手持ち)に応じた重心位置に移動できるので、より操作性を向上できる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0057】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る可搬型電子機器310の外観について示す説明図である。可搬型電子機器310の外観は、前述の第1の実施形態で説明した可搬型電子機器10に加えて、操作者が外装筐体のどの部分に触れているかを検出する接触センサ311が外装に貼られている。
【0058】
図12は、図11に示した可搬型電子機器310の内部の機械的構成について示す説明図である。可搬型電子機器310内部の構成は、構成の一部が第1の実施形態の電子回路14と異なる電子回路314と、機械的構造が第1の実施形態と同一である重心移動手段15とを備える。
【0059】
図13は、図12に示した電子回路314の構成について示す説明図である。電子回路314は、ハードウェアとしての構成は第1の実施形態で説明した電子回路14と同じく、主演算制御手段21と、記憶手段22と、重力加速度センサ23とを備える。
【0060】
主演算制御手段21では、重力方向検知部31およびおもり制御部32が、第1の実施形態で説明したものとは別の重力方向検知部331およびおもり制御部332に置換されている。これに加えて、接触検知部333が追加され、主演算制御手段21でコンピュータプログラムとして後述する機能を実行されるように構成されている。また、記憶手段22には、第1の実施形態で説明したものと同様のおもり制御パラメータ335があらかじめ記憶されている。
【0061】
接触検知部333は、接触センサ311から出力される信号から、操作者が可搬型電子機器310のどの部分を触って操作しているかを検出する。おもり制御部332は、重力方向検知部31が検知した可搬型電子機器310の現在の向き、および接触センサ311から出力される操作者が可搬型電子機器310を触っている位置から、おもり制御パラメータ335によっておもり15aのおもりガイド軸15c上での位置を決定し、これに基づいてモータ15dを駆動してその位置におもり15aを移動させる。
【0062】
図14は、図12〜13に示した可搬型電子機器310の、片手持ちおよび両手持ちの状態とこれに伴う最適な重心位置の違いについて示す説明図である。図14(a)は横長状態の可搬型電子機器310を左手で持って操作している状態、図14(b)は両手で持って操作している状態を各々示す。図14(a)および(b)に示す各々の状態をそれぞれ片手持ちおよび両手持ちという。図14(c)は縦長状態の可搬型電子機器310を操作している状態を示すが、この場合は通常、操作者は可搬型電子機器310を片手で持って操作する。
【0063】
可搬型電子機器310の外装に貼られている接触センサ311は、可搬型電子機器310の表示画面12bの縁の4方向に貼られている。ここでは、各々の接触センサ311を、可搬型電子機器310を横長状態とした場合に、表示画面12bの向かって左側に操作者が触れていることを検出する横長左側接触センサ311a、表示画面12bの向かって右側に操作者が触れていることを検出する横長右側接触センサ311bという。そして、可搬型電子機器310を縦長状態とした場合に、表示画面12bの向かって左側に操作者が触れていることを検出する縦長左側接触センサ311c、表示画面12bの向かって右側に操作者が触れていることを検出する縦長右側接触センサ311dという。
【0064】
図14(a)に示した横長状態の片手持ちでは、横長左側接触センサ311aにだけ操作者が触れていることを示す信号が検出され、他の接触センサではそのような信号は検出されない。この場合の最適重心位置316aは、横長状態とした可搬型電子機器310の筐体中心部から左下方向にある。
【0065】
図14(b)に示した横長状態の両手持ちでは、横長左側接触センサ311aおよび横長右側接触センサ311bに操作者が触れていることを示す信号が検出され、他の接触センサではそのような信号は検出されない。この場合の最適重心位置316bは、横長状態とした可搬型電子機器310の筐体中心部から下方向にある。
【0066】
図14(c)に示した縦長状態では、縦長左側接触センサ311cおよび縦長右側接触センサ311d、またはそれらのうちの一方に操作者が触れていることを示す信号が検出され、他の接触センサではそのような信号は検出されない。この場合の最適重心位置316cは、縦長状態とした可搬型電子機器310の筐体中心部から下方向にある。
【0067】
本実施形態では、以上の図14(a)〜(c)に示す3状態「横長状態の片手持ち」「横長状態の両手持ち」「縦長状態」の各々に対して、最適重心位置316a〜cがあり、そしてその各々に対応するおもり位置317a〜cが、おもり制御パラメータ335として記憶されている。
【0068】
図15は、図13に示したおもり制御パラメータ335の記憶内容を示す説明図である。おもり制御パラメータ35は、可搬型電子機器310の操作状態335aと、これに対応するおもり位置335bとが対応されて記憶されている。操作状態35aは「横長状態の片手持ち」「横長状態の両手持ち」「縦長状態」のうちいずれか、おもり位置35bはその各々に対応するおもり位置317a〜cである。
【0069】
図16は、図13に示した重力方向検知部331、おもり制御部332および接触検知部333の動作を示すフローチャートである。重力方向検知部31が、重力加速度センサ23からの出力に変化があるか否か、即ち可搬型電子機器310の向きに変化があるか否かを判断する(ステップS101)動作は、図6で示した第1の実施形態と同一である。
【0070】
重力加速度センサ23からの出力に変化があれば、これに続いて重力方向検知部331は、重力加速度センサ23の出力から可搬型電子機器310が横長状態であるか縦長状態であるかを検出する(ステップS102)。
【0071】
可搬型電子機器310が縦長状態であれば(ステップS102がノー)、おもり制御部332はおもり制御パラメータ335を利用して、縦長状態の最適重心位置316cに対応するおもり位置317cに、モータ15dを駆動しておもり15aを移動させる(ステップS104)。以後、ステップS101からの処理を繰り返す。ここまでの動作は、図6で示した第1の実施形態と同一であるので、図6と同一の参照番号としている。
【0072】
ステップS102で可搬型電子機器310が横長状態であると判断された場合(ステップS102がイエス)、引き続いて接触検知部333が、操作者が可搬型電子機器310を片手持ちで操作しているか両手持ちで操作しているかを判断する(ステップS401)。
【0073】
「横長状態の片手持ち」であれば(ステップS401がイエス)、おもり制御部332はおもり制御パラメータ335を利用して、横長状態の片手持ちの最適重心位置316aに対応するおもり位置317aに、モータ15dを駆動しておもり15aを移動させる(ステップS402)。以後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0074】
「横長状態の両手持ち」であれば(ステップS401がノー)、おもり制御部332はおもり制御パラメータ335を利用して、横長状態の両手持ちの最適重心位置316bに対応するおもり位置317bに、モータ15dを駆動しておもり15aを移動させる(ステップS403)。以後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0075】
なお、上記では操作者が右利きの場合のみを示しているが、操作者が左利きの場合は可搬型電子機器310を横長状態の片手持ちとすると、図16(a)の左右を逆転させた状態となるので、横長右側接触センサ311bにのみ操作者が触れていることを示す信号が検出され、他の接触センサではそのような信号は検出されない。
【0076】
接触検知部333がこの「操作者が左利きの場合」についても判断可能とし、また重心移動手段15をこの場合の最適重心位置にも対応できるようにおもり駆動軸15bの配置およびおもり制御パラメータ335の記憶データを設定するようにしてもよい。もちろん、おもり駆動軸15bの配置は、直線的な配置である必要はない。
【0077】
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
【0078】
上述した各々の実施形態について、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下のようになる。なお、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0079】
(付記1) 筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器であって、
重力加速度の方向を検知する重力加速度センサと、
前記重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて前記筐体の向けられている方向を判定する重力方向検知部と、
前記重力方向検知部の判定した前記筐体の向けられている方向に応じて作動し、前記機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に前記筐体の重心位置を調整する重心移動手段と
を有することを特徴とする可搬型電子機器。
【0080】
(付記2) 前記重心移動手段を、
おもり駆動軸と、
前記おもり駆動軸上を移動するおもりと、
前記おもりの前記おもり駆動軸上の移動を案内するおもりガイド軸と、
前記おもりガイド軸で前記おもりを移動させるモータとによって構成すると共に、
前記モータを駆動制御して前記おもりガイド軸上での最適位置にまで前記おもりを移動させるおもり制御部を有することを特徴とする、付記1に記載の可搬型電子機器。
【0081】
(付記3) 前記おもり駆動軸が、前記筐体の長手方向が水平方向として使用される場合の下端部中央領域と、前記筐体の短手方向が水平方向として使用される場合の下端部中央領域とを結ぶ線上に配置されていることを特徴とする、付記2に記載の可搬型電子機器。
【0082】
(付記4) 前記重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて作動し、前記画面の表示方向を縦長と横長のうちいずれか一方に切り替える表示方向検知部を有することを特徴とする、付記1に記載の可搬型電子機器。
【0083】
(付記5) 操作者が前記筐体に触れている位置を検知する接触センサと、
前記接触センサが検知した前記操作者が前記筐体に触れている位置に基づいて前記操作者が前記筐体を保持している体勢を判定する接触検知部を備えると共に、
前記重心移動手段が、前記重力方向検知部および前記接触検知部の検知結果に基づいて前記重心位置を移動制御するように構成したことを特徴とする、付記1に記載の可搬型電子機器。
【0084】
(付記6) 筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器にあって、
重力加速度の方向を重力加速度センサが検知し、
前記重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて前記筐体の向けられている方向を重力方向検知部が判定し、
前記重力方向検知部の判定した前記筐体の向けられている方向に応じて前記機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に前記筐体の重心位置を調整するための信号をおもり制御部が生成し、
前記筐体の重心位置を前記算出された位置に重心移動手段が調整する
ことを特徴とする重心制御方法。
【0085】
(付記7) 筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器にあって、
前記可搬型電子機器が備えるコンピュータに、
予め備えられた重力加速度センサの出力に基づいて前記筐体の向けられている方向を判定する手順、
前記重力方向検知部の判定した前記筐体の向けられている方向に応じて前記機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に前記筐体の重心位置を調整するための信号を生成する手順、
および前記筐体の重心位置を調整するための信号を予め備えられた重心移動手段に出力する手順
を実行させることを特徴とする重心制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、可搬型電子機器に対して適用可能である。特に、画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な可搬型電子機器に適している。
【符号の説明】
【0087】
10、210、310 可搬型電子機器
11 操作ボタン
12 表示パネル
12a タッチパネル
12b 表示画面
13 イヤホン
14、214、314 電子回路
15、55a、55b、55c、55d 重心移動手段
15a、51a、52a おもり
15b おもり駆動軸
15c おもりガイド軸
15d、52c モータ
15e、15f ギア
16 重心位置
16a、16b、316a、316b、316c 最適重心位置
17a、17b、35b、317a、317b、317c おもり位置
18 中心位置
21 主演算制御手段
22 記憶手段
23 重力加速度センサ
31、331 重力方向検知部
32、332 おもり制御部
35、335 おもり制御パラメータ
35a 操作状態
51b リニアモータ
52b 円盤
53a 磁性流体
53b 非磁性流体
53c 容器
53d 電磁石
54a 液体
54b 可撓性容器
54c ポンプ
233 表示方向検知部
236 表示方向制御パラメータ
311、311a、311b、311c、311d 接触センサ
333 接触検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器であって、
重力加速度の方向を検知する重力加速度センサと、
前記重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて前記筐体の向けられている方向を判定する重力方向検知部と、
前記重力方向検知部の判定した前記筐体の向けられている方向に応じて作動し、前記機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に前記筐体の重心位置を調整する重心移動手段と
を有することを特徴とする可搬型電子機器。
【請求項2】
前記重心移動手段を、
おもり駆動軸と、
前記おもり駆動軸上を移動するおもりと、
前記おもりの前記おもり駆動軸上の移動を案内するおもりガイド軸と、
前記おもりガイド軸で前記おもりを移動させるモータとによって構成すると共に、
前記モータを駆動制御して前記おもりガイド軸上での最適位置にまで前記おもりを移動させるおもり制御部を有することを特徴とする、請求項1に記載の可搬型電子機器。
【請求項3】
前記おもり駆動軸が、前記筐体の長手方向が水平方向として使用される場合の下端部中央領域と、前記筐体の短手方向が水平方向として使用される場合の下端部中央領域とを結ぶ線上に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の可搬型電子機器。
【請求項4】
前記重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて作動し、前記画面の表示方向を縦長と横長のうちいずれか一方に切り替える表示方向検知部を有することを特徴とする、請求項1に記載の可搬型電子機器。
【請求項5】
操作者が前記筐体に触れている位置を検知する接触センサと、
前記接触センサが検知した前記操作者が前記筐体に触れている位置に基づいて前記操作者が前記筐体を保持している体勢を判定する接触検知部を備えると共に、
前記重心移動手段が、前記重力方向検知部および前記接触検知部の検知結果に基づいて前記重心位置を移動制御するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の可搬型電子機器。
【請求項6】
筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器にあって、
重力加速度の方向を重力加速度センサが検知し、
前記重力加速度センサが検知した重力加速度の方向に基づいて前記筐体の向けられている方向を重力方向検知部が判定し、
前記重力方向検知部の判定した前記筐体の向けられている方向に応じて前記機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に前記筐体の重心位置を調整するための信号をおもり制御部が生成し、
前記筐体の重心位置を前記算出された位置に重心移動手段が調整する
ことを特徴とする重心制御方法。
【請求項7】
筐体の向けられている方向に応じて画面の表示方向を縦長と横長に切り替え可能な機器本体を有する可搬型電子機器にあって、
前記可搬型電子機器が備えるコンピュータに、
予め備えられた重力加速度センサの出力に基づいて前記筐体の向けられている方向を判定する手順、
前記重力方向検知部の判定した前記筐体の向けられている方向に応じて前記機器本体が縦長または横長に配置された場合の各下方領域に前記筐体の重心位置を調整するための信号を生成する手順、
および前記筐体の重心位置を調整するための信号を予め備えられた重心移動手段に出力する手順
を実行させることを特徴とする重心制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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