説明

可搬式作業台

【課題】簡単な構造の取付金具で手掛かり棒を起立姿勢に突出させることができる可搬式作業台を提供する。
【解決手段】手掛かり棒5の下端部には、ピン基端側に把手23を形成したロックピン12が貫通されると共に、ピン先端部12aが前記溝部8のピン先端側ロック孔9a,9bに突入する方向にバネ14で付勢され、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した状態でピン先端部12aをピン先端側ロック孔9aに突入することにより手掛かり棒5を起立姿勢に固定し、前記バネ14に抗して把手23を引っ張ってロックピン12をロック解除した状態で手掛かり棒5を下方へ回転して下端部5aを溝部8の下半部Bに嵌合し、ピン先端部12aをピン先端側ロック孔9bに突入することによって手掛かり棒5を折畳姿勢に固定するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の建設現場等において天井の内装仕上げや天井内の配線、配管等の比較的高い場所で作業を行う時に使用する作業台に関するもので、特に、天板の前後両端に脚体が折り畳み可能に設けられ、各脚体は左右一対の脚柱と両脚柱間に横架された踏桟とからなり、脚体には天板より上方に突出する手掛かり棒が設けられた昇降補助用の可搬式の作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
天板より上方に突出する手掛かり棒が設けられた従来の可搬式作業台として、例えば下記特許文献1に記載されたものがある。この作業台では、手掛かり棒を、脚柱に沿う折り畳み状態と最上部の枢支点より上方に突出する伸展状態とにわたって回動可能に枢着し、手掛かり棒が最上部の枢支点より上方に突出する伸展状態にあっては、手掛かり棒は脚柱が前後方向に傾斜するにもかかわらず起立状態に伸展され、手掛かり棒が脚柱に沿う折り畳み状態にあっては、手掛かり棒は脚柱の前後方向の傾斜角度面に合わせて折り畳まれるよう手掛かり棒の回転軌跡を矯正する手段を設けてなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−131788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載されているような作業台は、手掛かり棒の取付構造が非常に複雑で部品点数が多くなり、製作コストが高くつくという難点があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、簡単な構造の取付金具によって手掛かり棒を使用位置と折畳位置とに位置変更可能な可搬式作業台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、天板1の前後両端に脚体2,2が折り畳み可能に設けられ、各脚体2は左右一対の脚柱2a,2aと両脚柱2a,2a間に横架された踏桟2bとからなり、脚体2には天板1より上方に突出する手掛かり棒5が設けられた可搬式作業台において、脚柱2aの上端部側に、上下方向に溝部8を形成すると共に溝部8の上下両端部にピン先端側ロック孔9a,9bを形成した取付金具6が固定され、取付金具6の溝部8には中央部に手掛かり棒5の下端5oが枢支軸11によって上下方向回転可能に枢着され、溝部8の上半部Aには天板1上方に起立姿勢で突出する手掛かり棒5の下端部5aが嵌合され、溝部8の下半部Bには起立姿勢から反転して脚柱2a沿いに折り畳まれた手掛かり棒5の下端部5aが嵌合されるようになっており、手掛かり棒5の下端部には、ピン基端側に把手23を形成したロックピン12が貫通されると共に、ピン先端部12aが前記溝部8のピン先端側ロック孔9a,9bに突入する方向にバネ14で付勢され、しかして手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した状態でピン先端部12aをピン先端側ロック孔9aに突入することにより手掛かり棒5を起立姿勢に固定し、前記バネ14に抗して把手23を引っ張ってロックピン12をロック解除した状態で手掛かり棒5を下方へ回転して下端部5aを溝部8の下半部Bに嵌合し、ピン先端部12aをピン先端側ロック孔9bに突入することによって手掛かり棒5を折畳姿勢に固定するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1に記載の可搬式作業台において、ロックピン12の把手23はロックピン12の基端部に略U字状に形成され、このU字状把手23の先端部12bは、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した時に、前記溝部8の上端側に設けられたピン基端側ロック孔24aに突入するようになっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1に記載の可搬式作業台において、ロックピン12の把手23はロックピンの基端部に略U字状に形成され、このU字状把手23の先端部12bは、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部A及び下半部Bに嵌合した時に、前記溝部8の上端側及び下端側に設けられたピン基端側ロック孔24a,24bに突入するようになっていることを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の可搬式作業台において、手掛かり棒5の枢支軸11は、手掛かり棒5を左右方向に貫通すると共に取付金具6の両側板6a,6bを貫通していて、取付金具6の両側板6a,6bのうち脚柱2aと隣接するがわの側板6aと反対側の側板6bの外側に突出する枢支軸11の外端部には、作業台が横転した時に枢支軸11が受ける衝撃を緩和するためのクッション部材17が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、上下方向に溝部8を形成した簡単な構造の取付金具6に手掛かり棒5を上下方向回転可能に枢着し、この手掛かり棒5の下端部にロックピン12を設けると共に、このロックピン12をピン先端部12aがピン先端側ロック孔9a,9bに突入する方向にバネ14で付勢したもので、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した時にピン先端部12aをピン先端側ロック孔9aに突入することによって手掛かり棒5を起立姿勢に固定し、またバネ14に抗し把手23を引っ張ってロックピン12をロック解除した状態で手掛かり棒5を下方へ回転して下端部5aを溝部8の下半部Bに嵌合した時にピン先端部12aをピン先端側ロック孔9bに突入することにより手掛かり棒5を折畳姿勢に固定するようにしたから、手掛かり棒5を起立姿勢の使用位置に簡単容易に固定することができると共に、折畳姿勢での収納位置に簡単容易に固定することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、ロックピン12の把手23はロックピン12の基端部に略U字状に形成され、このU字状把手23の先端部12bは、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した時に、溝部8の上端側のピン基端側ロック孔24aに突入するようになっているから、手掛かり棒5の下端部5aを溝部8の上半部Aに嵌合させた状態で、ピン先端部12aを溝部8の上端側のピン先端側ロック孔9aに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを溝部8の上端側のピン基端側ロック孔24aに突入することによって、手掛かり棒5を起立姿勢の使用状態で安定良く且つ堅固に固定することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、ロックピン12の把手23はロックピン12の基端部に略U字状に形成され、このU字状把手23の先端部12bは、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部A及び下半部Bに嵌合した時に、溝部8の上端側及び下端側に設けられたピン基端側ロック孔24a,24bに突入するようになっているから、手掛かり棒5の下端部5aを溝部8の上半部Aに嵌合させた状態で、ピン先端部12aを溝部8の上端側のピン先端側ロック孔9aに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを溝部8の上端側のピン基端側ロック孔24aに突入することにより、手掛かり棒5を起立姿勢の使用状態でより安定良く且つ堅固に固定でき、また手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の下半部Bに嵌合した状態で、ピン先端部12aを溝部8の下端側のピン先端側ロック孔9bに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを溝部8の下端側のピン基端側ロック孔25aに突入することによって、手掛かり棒5を折畳姿勢の収納位置に安定良く堅固に固定することができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、角筒状手掛かり棒5の下端部5aを左右方向に貫通すると共に、取付金具6の左右両側壁を貫通していて、この取付金具6の左右両側壁のうち脚柱2aと隣接する側と反対側の側壁を貫通する枢支軸11の外端部にクッション部材17が取り付けてあるから、このクッション部材17によって、作業台が横転した時に作業台が受ける衝撃を緩和すると共に、作業台の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る作業台の正面図である。
【図2】同作業台の側面図である。
【図3】手掛かり棒が起立姿勢に固定されている状態を示す斜視図である。
【図4】手掛かり棒が折畳姿勢に固定されている状態を示す斜視図である。
【図5】取付金具による手掛かり棒下端部の取付部分の拡大側面図である。
【図6】取付金具による手掛かり棒下端部の取付部分の拡大正面図である。
【図7】(a) はロックピンをロックした状態を示す平面図、(b) はロックピンをロック解除した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1及び図2に示す作業台において、天板1の左右両端には、夫々梯子状の脚体2,2が、回転金具3により、図示しないが、天板1下面に平行に沿うように折り畳んだ閉脚状態と、図1に示すような下広がり状に傾斜して起立した開脚状態との間で開閉可能に設けられ、天板1と各脚体2との間には途中で屈曲自在なステイ4が介装されている。各脚体2は、図2に示すように下広がり状に配置された左右一対の脚柱2a,2aと、両脚柱2a,2a間に複数段に横架した踏桟2bとからなるもので、各脚柱2aの上端部に、天板1よりも上方に突出する昇降案内用の手掛かり棒5が取付金具6によって取り付けられている。
【0016】
取付金具6は、図2及び図5に示すように、脚柱2aの上端部にスペーサ金具7を介して固定されている。この場合、脚体2を形成する左右の脚柱2a,2aは下広がり状に配置されて、各脚柱2aが一定角度傾斜しているため、図5に示すように、所定角度のスペーサ金具7を介して取付金具6を脚柱2aに対し所定角度傾斜させて取り付けると共に、手掛かり棒5の下端部5aをその上方部に対し所定角度傾斜させた状態に形成することによって、手掛かり棒5を天板1より上方に起立姿勢で突出伸展できるようにしている。
【0017】
この取付金具6は、図3〜図6に示すように、両側板6a,6bと背面板6cとにより側面視が略くの字状を成して上下方向に延びる溝部8を形成するように脚柱2aにスペーサ金具7を介して取り付けられている。その溝部8を形成する片方の側板6a(脚柱2aに隣接する方の側板6a)の上端部及び下端部にピン先端側ロック孔9a,9bが設けられ、反対側の側板6b(脚柱2aから遠い方の側板6b)の上端部は一部切除されて(その切除部をSaで示す)、前記ロック孔9aと対向する部位に半円状のピン係合部10aが形成され、同側板6bの上端部も同様に一部切除されて(その切除部をSbで示す)、前記ロック孔9bと対向する部位に半円状のピン係合部10bが形成されている。
【0018】
尚、取付金具6は、楔状のスペーサ金具7を介して脚柱2aの上端部に取り付けられるが、このスペーサ金具7は、回転金具3を脚柱2aに取り付ける際に回転金具3と一緒に脚柱2aに取り付けられるもので、図5に示すように、脚柱2a、回転金具3及びスペーサ金具7を貫通するボルト挿通孔20にボルト21を通して、スペーサ金具7に固定されたナット22にねじ込むことにより取り付けられる。そして、取付金具6は、片方の側板6aをスペーサ金具7に溶接又はリベット止めすることによって取り付けられる。
【0019】
そして、取付金具6の溝部8には上下方向中央部に、手掛かり棒5の下端5oが枢支軸11によって上下方向回転可能に枢着され、この溝部8の上半部Aには、天板1の上方に起立姿勢で突出する手掛かり棒5の下端部5aが図3、図5及び図6に示すように嵌合され、溝部8の下半部Bには、図4の実線図示及び図6の仮想線図示のように起立姿勢から反転して脚柱2a沿いに折り畳まれた手掛かり棒5の下端部5aが嵌合されるようになっている。
【0020】
手掛かり棒5の下端部5aには、図3〜図7に示すように、ピン基端側に略U字状の把手23を形成したロックピン12が、角筒状の手掛かり棒5を形成する左右側壁m,nにスライド可能に貫通され、このロックピン12は、手掛かり棒5との間に介装されたコイルバネ14によって、ピン先端部12aが取付金具側板6aの上端部及び下端部のピン先端側ロック孔9a,9bに突入する方向に付勢されている。従って、手掛かり棒5の下端部5aが図3に示すように溝部8の上半部Aに嵌合した状態で、ピン先端部12aを側板6aの上端部のピン先端側ロック孔9aに突入させることによって手掛かり棒5を起立姿勢に固定し、またコイルバネ14の付勢力に抗して把手23を手前側へ引っ張ることによりロックピン12をロック解除し、この状態で手掛かり棒5を下方へ回転して下端部5aを溝部8の下半部Bに嵌合し、ピン先端部12aを側板6aの下端部のピン先端側ロック孔9bに突入することによって手掛かり棒5を折畳姿勢に固定することができる。
【0021】
また、図3、図4、図6及び図7に示すように、ロックピン12の基端側にあるU字状把手23の先端部12bが突入するピン基端側ロック孔24a,25aを形成した取付片24,25が、取付金具6の溝部8を形成する側板6bの上下両端側に取り付けてある。この場合、上下の取付片24,25は、図7から分かるように、側板6bと面一の状態で背面板6cの上下端部に夫々例えば溶接によって固着されている。
【0022】
従って、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した状態で、ピン先端部12aを側板6a上端部のピン先端側ロック孔9aに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを側板6bの上端部側のピン基端側ロック孔24aに突入することにより、手掛かり棒5を起立姿勢の使用状態で安定良く堅固に固定することができる。また手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の下半部Bに嵌合した状態で、ピン先端部12aを側板6a下端部のピン先端側ロック孔9bに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを側板6bの下端部側のピン基端側ロック孔25aに突入することによって、手掛かり棒5を起立姿勢の使用状態で安定良く堅固に固定することができる。
【0023】
尚、取付金具6の溝部8を形成する側板6bの上端部は一部分切除されて、その切除部Saには、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した時にロックピン12の基端側が係合する半円状のピン係合部10aが形成され、また同側板6bの上端部も同じ様に一部分切除されて、その切除部Sbには、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の下半部Bに嵌合した時にロックピン12の基端側が係合する半円状のピン係合部10bが形成されている。上端側切除部Saは、溝部8の上半部Aに嵌合した手掛かり棒5を下方へ回転させる時に、手掛かり棒5と共に旋回移動するロックピン12の基端部側が側板6bの上端部からスムーズに抜け出るようにするものであり、下端側切除部Sbは、溝部8の下半部Bに嵌合した手掛かり棒5を上方へ回転させる時に、ロックピン12の基端部側が側板6bの下端部からスムーズに抜け出るようにするものである。
【0024】
前記コイルバネ14は、図7の(a) ,(b) に示すように、ロックピン12に嵌め込まれて、ロックピン12の先端側に取り付けられた固定ピン26と、手掛かり棒5の側壁mとの間に介装されたもので、このばね14の付勢力によって、ロックピン12を取付金具6のピン先端側ロック孔9a,9bに突入する方向に付勢している。
【0025】
また、手掛かり棒5の下端5oを取付金具6に上下方向回転可能に枢着する枢支軸11はボルトからなるもので、図5に示すように、角筒状手掛かり棒5の左右両側壁m,nを貫通すると共に、取付金具6の両側板6a,6bを貫通していて、この取付金具6の両側板6a,6bのうちの脚柱2aに隣接する側の側板6aと反対側の側板6bの外側に突出するボルト頭部11aには合成ゴムなどの弾性材料からなるクッション部材17が、この枢支軸11の外端部を被うように取り付けられている。このクッション部材17を枢支軸11の外端部にこれを被うように取り付けたことにより、作業台が横転した時に作業台が受ける衝撃を緩和すると共に、作業台の破損を防止することができる。脚柱2aと隣接するがわの側板6aから突出する枢支軸11の先端部にはナット18が螺着されている。
【0026】
次に、上述した手掛かり棒5の使用方法について説明する。
先ず、図4に示すように手掛かり棒5が取付金具6の溝部8の下半部Bに嵌合してロックピン12がロックされた状態から、コイルバネ14の付勢力に抗してロックピン12の把手23を手前側へ引っ張って、ピン先端部12aを側板6a下端部のピン先端側ロック孔9bから引き抜き且つ把手23の先端部12bをピン基端側ロック孔25aから引き抜いて折畳姿勢での手掛かり棒5のロックを解除し、図7の(b) に示すようなロック解除状態で枢支軸11を中心に手掛かり棒5を上方に回転させる。
【0027】
上記のようにロック解除状態で手掛かり棒5を枢支軸11を中心に上方への回転させてその下端部5aを溝部8の上半部Aに嵌合した後、それまで引っ張っていたロックピン12の把手23を緩めながら、ピン先端部12aを側板6aの上端部のピン先端側ロック孔9aに突入させると共に、把手23の先端部12bを側板6bの上端部側のピン基端側ロック孔24aに突入させることによって、手掛かり棒5を起立姿勢に固定する。この状態を図3及び図6に示す。
【0028】
手掛かり棒5を収納する時は、図3及び図6の実線図示の状態から、コイルバネ14の付勢力に抗してロックピン12の把手23を手前側へ引っ張って、ピン先端部12aを側板6a上端部のピン先端側ロック孔9aから引き抜き且つ把手23の先端部12bをピン基端側ロック孔24aから引き抜いて起立姿勢での手掛かり棒5のロックを解除し、このロック解除状態で、枢支軸11を中心に手掛かり棒5を下方に回転させて、その下端部5aを溝部8の下半部Bに嵌合し、ロックピン12の把手23を緩めながら、ピン先端部12aを側板6aの下端部のピン先端側ロック孔9bに突入させると共に、把手23の先端部12bを側板6bの下端部側のピン基端側ロック孔25aに突入させることによって、手掛かり棒5を起立姿勢に固定する。
【0029】
以上説明したような作業台によれば、上下方向の溝部8を形成した簡単な構造の取付金具6に手掛かり棒5の下端5oを上下方向回転可能に枢着し、この手掛かり棒5の下端部にロックピン12を設けると共に、このロックピン12をピン先端部12aがピン先端側ロック孔9a,9bに突入する方向にバネ14で付勢したもので、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した状態でピン先端部12aをピン先端側ロック孔9aに突入することにより手掛かり棒5を起立姿勢に固定し、またバネ14に抗して把手23を引っ張ってロックピン12をロック解除した状態で手掛かり棒5を下方へ回転して下端部5aを溝部8の下半部Bに嵌合し、ピン先端部12aをピン先端側ロック孔9bに突入することによって手掛かり棒5を折畳姿勢に固定するようにしたから、手掛かり棒5を起立姿勢の使用位置に簡単容易に固定することができると共に、折畳姿勢での収納位置に簡単容易に固定することができる。
【0030】
また、ロックピン12の把手23は、ロックピン12の基端部に略U字状に形成され、このU字状把手23の先端部12bは、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部Aに嵌合した時に、側板6bの上端側のピン基端側ロック孔24aに突入するようになっているから、手掛かり棒5の下端部5aを溝部8の上半部Aに嵌合させた状態で、ピン先端部12aを側板6a上端部のピン先端側ロック孔9aに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを側板6bの上端部側のピン基端側ロック孔24aに突入することにより、手掛かり棒5を起立姿勢の使用状態で安定良く且つ堅固に固定することができる。
【0031】
また、U字状把手23の先端部12bは、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の上半部A及び下半部Bに嵌合した時に、側板6bの上端側及び下端側に設けられたピン基端側ロック孔24a,24bに突入するようになっているから、手掛かり棒5の下端部5aが溝部8の下半部Bに嵌合した状態で、ピン先端部12aを側板6a下端部のピン先端側ロック孔9bに突入すると共に、U字状把手23の先端部12bを側板6bの下端部側のピン基端側ロック孔25aに突入することによって、手掛かり棒5を起立姿勢の使用状態で安定良く堅固に固定することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 天板
2 脚体
2a 脚柱
5 手掛かり棒
5o 手掛かり棒の下端
5a 手掛かり棒の下端部
6 取付金具
8 溝部
A 溝部の上半部
B 溝部の下半部
9a ピン先端側ロック孔
9b ピン先端側ロック孔
11 枢支軸
12 ロックピン
17 クッション部材
24a ピン基端側ロック孔
24b ピン基端側ロック孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の前後両端に脚体が折り畳み可能に設けられ、各脚体は左右一対の脚柱と両脚柱間に横架した踏桟とからなり、脚体には天板より上方に突出する手掛かり棒が設けられた可搬式作業台において、脚柱の上端部側に、上下方向に溝部を形成すると共に溝部の上下両端部にピン先端側ロック孔を形成した取付金具が固定され、取付金具の溝部には中央部に手掛かり棒の下端が枢支軸によって上下方向回転可能に枢着され、溝部の上半部には天板上方に起立姿勢で突出する手掛かり棒の下端部が嵌合され、溝部の下半部には起立姿勢から反転して脚柱沿いに折り畳まれた手掛かり棒の下端部が嵌合されるようになっており、手掛かり棒の下端部には、ピン基端側に把手を形成したロックピンが貫通されると共に、ピン先端部が前記溝部のピン先端側ロック孔に突入する方向にバネで付勢され、しかして手掛かり棒の下端部が溝部の上半部に嵌合した状態でピン先端部をピン先端側ロック孔に突入することにより手掛かり棒を起立姿勢に固定し、前記バネに抗して把手を引っ張ってロックピンをロック解除した状態で手掛かり棒を下方へ回転して下端部を溝部の下半部に嵌合し、ピン先端部をピン先端側ロック孔に突入することによって手掛かり棒を折畳姿勢に固定するようにした可搬式作業台。
【請求項2】
ロックピンの把手はロックピンの基端部に略U字状に形成され、このU字状把手の先端部は、手掛かり棒の下端部が溝部の上半部に嵌合した時に、前記溝部の上端側に設けられたピン基端側ロック孔に突入するようになっている請求項1に記載の可搬式作業台。
【請求項3】
ロックピンの把手はロックピンの基端部に略U字状に形成され、このU字状把手の先端部は、手掛かり棒の下端部が溝部の上半部及び下半部に嵌合した時に、前記溝部の上端側及び下端側に設けられたピン基端側ロック孔に突入するようになっている請求項1に記載の可搬式作業台。
【請求項4】
手掛かり棒の枢支軸は、手掛かり棒を左右方向に貫通すると共に取付金具の両側板を貫通していて、取付金具の両側板のうち脚柱と隣接するがわの側板と反対側の側板の外側に突出する枢支軸の外端部には、作業台が横転した時に枢支軸が受ける衝撃を緩和するためのクッション部材が取り付けられている請求項1〜3の何れかに記載の可搬式作業台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−58209(P2011−58209A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207204(P2009−207204)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000101662)アルインコ株式会社 (218)
【Fターム(参考)】