説明

可撓性エアレーションパネル及びその使用方法

【課題】設置作業が容易なエアレーションパネルを提供する。
【解決手段】可撓性エアレーションパネル101は、上部(シート)102及び下部(シート)104を含んで構成され、上部102は、穴、スリット、切り込み形状、又は他の穿孔を含む可撓性弾性素材を含んで構成され、下部104もまた、可撓弾性材料(上部102の可撓弾性材料と同一でも異なってもよい)を含んで構成される。上部(シート)102の穿孔は、気体がエアレーションパネル101を流れるときに、気泡が実質的に均一で切れ目ないパターンで、上部102の面積相当を覆って提供される様に構成される。また、穿孔は、種々のサイズ及び形状に形成され、穴、スリット、切り込み又はこれらの組み合わせが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、気体(例えば、空気)による気泡を、水タンク、ベースン(water basin)、リザーバ又は湖沼などの液体本体(liquid body)に導入するエアレーションパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアレーションパネル構造としては、例えば、米国特許第5,192,467号により、膜部材からなる上部が平らな剛性の板からなる下部上に設けられた構造が知られている。このような構造には、膜部材を剛性板に固定するための周縁部押さえストリップが含まれている。更に、膜部材のうねりを防止するための中間押さえストリップが備えられている。このエアレーションパネル構造は、調節可能に構成されたアンカーボルトにより液体容器の底部に保持される。このようなパネルは、大きいものの場合、重量があり扱いにくく移動や設置が困難である。この剛性板を用いるアプローチでは、例えばステンレス鋼又は非可撓性プラスチック板等の異なる複数の材料が、ネジ、クランプ又は接着剤により可撓性の上部膜シートに連結される。また、米国特許第5,192,467号には、従来技術による他のエアレーションパネル構造の例が記載されている。他のエアレーション構造として、例えば、独国特許公報第2942697号及び欧州特許公報第0229386号に記載されたエアレーションパネルが知られている。他の例としては、下部剛性支持板に固定された上部可撓性膜部材を有するパネル型空気拡散装置を開示する米国特許第4,624,781号がある。更に他の例としては、例えばネジやリベット等によるポイントアタッチメントではなく持続的な固定配置により剛性支持部に固定された可撓性膜部材を開示する米国特許第5,015,421号がある。
【0003】
更に、他のエアレーションパネルも知られている。例えば、米国特許第6,406,005号には、剛性ベースプレート及び有孔弾性膜部材が開示されている。ここで、この有孔弾性膜部材は、その縁に沿って剛性ベースプレート上の対応する溝にプレスされたシーリングストリップにより剛性ベースプレートに固定されている。また、米国特許第5,532,391号には、ベースプレートを含む気体拡散装置が記載されている。このとき、このベースプレート上には有孔ダイヤフラムが張られ、このベースプレートにおいて、上部格子によりダイヤフラムの過度の拡張が防止される。更に、欧州公報第0761294号には、パネルの周縁部及び中心点において支持板に固定された有孔膜部材を備えたエアレーターパネルが記載されており、また、欧州公報第0747031号には、浴槽での使用に適した解剖学的形状の気泡について記載されている。
【0004】
米国特許第6,558,549号及び第6,645,374号には、液体の水を透過しない可撓性酸素透過性膜からなる気体供給用膜モジュールが教示されている。この装置は巨視的な穿孔を含まないため(代わりに代替膜が微孔性疎水性材料で構成される)、この装置は、作動時に気泡を生成することはない。また、この装置は、非剛性拘止システムを有するものとして記載され、相対的に扁平なものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周知のエアレーションパネル、特に種々の剛性支持板は全て、重量があり、高価で、設置や維持管理が難しく扱いにくい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、剛性支持板を用いず、過度の重量、体積、コスト及び設置時の困難性を排した可撓性のエアレーションパネルを提供する。本発明の一態様による可撓性エアレーションパネルによれば、空気、酸素、又は他の気体を、例えば酸素など特定の気体栄養素が枯渇した又は乏しい生物的排水処理プラント及び湖沼に供給することができる。
【0007】
本発明の一態様では、可撓性エアレーションパネルは、上部及び下部を含んで構成されてもよい。ここで、上部は、穴、スリット、切り込み形状、又は他の穿孔を含む可撓性弾性材料を含んで構成され、下部は、可撓性弾性材料(上部の可撓性弾性材料と同一でも異なってもよい)を含んで構成される。上部は、溶接、化学結合、加硫、ステッチング、又は接着剤等により下部にシールされて、1つ以上、好ましくは2つ以上のキャビティに分画規定されるように構成できる。また、アンカー等を、可撓性エアレーションパネルを所定位置に固定するために用いてもよい。
【0008】
本発明の種々の態様によれば、可撓性のエアレーションパネルは、多種の外形に形成され、この形状には、限定を意図するものではないが、四角形、長方形、三角形、円形、楕円形、ドーナツ形、円筒形、三日月形(crescent)、立方体形状、角錐形状、円錐形状及び角柱形状が含まれる。エアレーションパネルの内部形状を外形に合わせて構成し、拡張時の容積全体に空気を循環及び拡散させる単一又は複数のキャビティを形成してもよい。
【0009】
気体は、供給管を用いて単一又は複数のインレットを通り、可撓性のエアレーションパネルに送られる。このインレットは、可撓性エアレーションパネルの周縁部に位置してもよく又は可撓性エアレーションパネルの内部に位置してもよい。複数のエアレーションパネルは、分散状態に配設することができる。このとき、複数のパネルは各々が供給管を有してもよく、或いは、連続するパネルの端まで拡散した気体を共有するように複数のパネルが互いに連結されていてもよい。
【0010】
また、エアレーションパネルを、例えば、アンカーロッド、ボルト、ケーブル、チェーン等の固定装置を1つ以上用いて、液体本体又はコンテナの底部近傍に拘止してもよい。これら固定手段は、可撓性エアレーションパネルの所定部分に、又は可撓性エアレーションパネルの周縁部に配置される任意の構造フレームに、直接取り付けることができる。
【0011】
エアレーションパネルは、ケーブルを緊張させて水平アレイにより拘止してもよい。例えば、拘止ケーブルは、ベースン(basin)又はコンテナのコンクリート壁や底部に係留される。ケーブルの張力は、ケーブル及びアンカーに作用するターンバックルにより得られる。ケーブルの端を壁に固定して、例えば、対向する壁に固定されたアイボルトにより折り返して、1本のケーブルで2つ以上のエアレーションパネルを支持することができる。
【0012】
複数のエアレーションパネルは、種々の構成で配置できる。例えば、エアレーションパネルは、要求される表面カバー率に応じて、列構成又は交互構成で配置されてもよい。
【0013】
可撓性エアレーションパネルは、様々な用途に用いられ、これには例えば、水タンク、ベースン又はスラッジのエアレーションが挙げられる。また、このエアレーションパネルは、種々の好気性水処理にも利用可能である。
【0014】
本発明の他の態様では、液体本体に気体を拡散する方法を提供する。この方法は、(i)前記液体本体内に1つ以上のエアレーションパネルを配置すること、を含んで構成される。ここで、前記エアレーションパネルは、可撓性であり、少なくとも1つのインレットと、少なくとも上部及び下部とを夫々有し、前記上部及び下部は、少なくとも1つのキャビティを規定し、該少なくとも1つのキャビティは、加圧気体で充満可能であり、該加圧気体は、前記エアレーションパネルの夫々へ流入して、前記少なくも1つのキャビティに前記少なくとも1つのインレットを介して流入するように構成され、前記エアレーションパネルの前記上部は、夫々穿孔され、前記加圧気体が気泡となって前記エアレーションパネルの前記上部から夫々排出されるように構成される。更に、前記方法は、(ii)前記加圧気体の供給源を提供すること、及び(iii)前記加圧気体を、前記エアレーションパネルの夫々へ流入させ、前記少なくとも1つのキャビティに前記少なくとも1つのインレットを介して流入させることを含んで構成される。前記エアレーションパネルの前記少なくとも上部及び下部は、1以上の可撓性非剛性弾性材料で夫々構成される。
【0015】
ここで、「液体本体(liquid body)」には、浴槽、温水浴槽又はレクリエーションスイミングプールよりも実質的に大きな体積を有する液体本体を含むことができる。また、好ましい可撓性非剛性弾性材料の密度は、約1.0gm/mL未満である。更に好ましくは、本発明の一態様によるエアレーションパネルは、エアレーションパネルの周縁部に又は周縁部周辺に配置される構造フレームを更に含んで構成される。
【0016】
本発明による方法の他の態様では、液体本体に気体を拡散させることを含み、これは、(i)前記液体本体内に1つ以上のエアレーションパネルを配置すること、を含んで構成され、ここで、前記エアレーションパネルは、可撓性であり、少なくとも1つのインレットと、少なくとも上部及び下部とを夫々有し、前記上部及び下部は、少なくとも1つのキャビティを規定し、該少なくとも1つ以上のキャビティは、加圧気体で充満可能であり、該加圧気体は、前記エアレーションパネルの夫々へ流入して、前記少なくも1つのキャビティに前記少なくとも1つのインレットを介して流入し、前記エアレーションパネルの前記上部は、夫々穿孔されて、前記上部の面積相当を覆って実質的に均一で切れ目のないパターンの気泡が提供されるように、各拡散装置の前記上部から前記加圧気体が夫々排出されて、更に(ii)前記加圧気体の供給源を提供すること、及び(iii)前記加圧気体を、前記エアレーションパネルの夫々へ流入させ、前記少なくとも1つのキャビティに前記少なくとも1つのインレットを介して流入させることを含んで構成される。前記エアレーションパネルの前記少なくとも上部及び下部は、1以上の可撓性非剛性弾性材料で夫々構成される。
【0017】
本発明の好ましい態様では、液体本体に気体を拡散させる可撓性のエアレーションパネルは、(i)少なくとも1つのインレットと、(ii)少なくとも上部及び下部とを含んで構成され、前記少なくとも上部及び下部は、前記少なくとも1つのインレットと連通し又加圧気体で充満可能な少なくとも1つのキャビティを規定する。前記上部は、穿孔されて、ここから前記加圧気体が気泡となって排出される。また、前記エアレーションパネルの前記少なくとも上部及び下部は、1以上の可撓性非剛性弾性材料で構成される。
【0018】
より好ましくは、液体本体に気体を拡散させる可撓性のエアレーションパネルは、(i)少なくとも1つのインレットと、(ii)少なくとも上部及び下部とを含んで構成され、前記少なくとも上部及び下部は、前記少なくとも1つのインレットと連通し又加圧気体で充満可能な少なくとも1つのキャビティを規定し、前記上部は、穿孔されて、前記上部の面積相当を覆って実質的に均一で切れ目のないパターンの気泡が提供されるように前記上部から前記加圧気体が排出される。前記エアレーションパネルの前記少なくとも上部及び下部は、密度が約1.0gm/mL未満の1以上の可撓性非剛性弾性材料で構成される。また、前記エアレーションパネルは、前記エアレーションパネルの周縁部に又は周縁部周辺配置された構造フレームを具備し、前記エアレーションパネルの前記下部に又は前記下部に接する剛性支持板を含まずに構成される。
【0019】
前記穿孔には、種々のサイズ及び形状を採用でき、これには、限定を意図するものではないが、穴、スリット、切り込み、又はこれらの組み合わせが含まれる。穿孔の寸法にも種々のサイズを採用可能であるが、好ましくは、約1.0mm〜約10mmの範囲内、より好ましくは、約0.2mm〜約5mmの範囲内、最も好ましくは約0.5mm〜約3.0mmの範囲内である。穿孔は、様々な構成で配置可能であり、これには、不規則な配置、又は、例えば、三角形、星型又は長方形状などの左右対称の幾何学的な配置が含まれる。また、穿孔の密度は、一様ではなく、開口部(有孔)対非開口部(無孔)の面積比により決定される。この比は、約5%〜約95%の開口面積、好ましくは約15%〜約75%の開口面積、より好ましくは約30%〜約50%の開口面積をとる。
【0020】
本発明の好ましい態様では、前記少なくとも上部及び下部は、縁がシールされた可撓性非剛性弾性シートで構成される。シールは、当該技術分野において知られたどのような方法によりなされてもよく、これには、限定を意図するものではないが、溶接、化学結合、加硫、ステッチング、接着、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0021】
更に、本発明の可撓性のエアレーションパネルは、種々の形状に形成可能であり、これには、限定を意図するものではないが、四角形、長方形、三角形、円形、楕円形、ドーナツ形、円筒形、三日月形、立方体形状、角錐形状、円錐形状又は角柱形状等が含まれる。また、液体本体の底部に又は底部近傍に、アンカーロッド、ケーブル、チェーン、スパイク、釘又はこれらの組み合わせを介して、可撓性のエアレーションパネルは、直接的に、又は可撓性エアレーションパネルの周縁部に好ましく配置された構造フレームを通して、係留される。同様に、外接構造フレームは、当業者に明らかな種々の取り付け手段により可撓性エアレーションパネルに取り付けられる。更に、アンカーポイントと共に、パネルと液体本体の底部間に間隔を設けるスペーサを有利に利用することもできる。
【0022】
本発明の一態様では、上部及び下部は、エアレーションパネルの1つ以上の内部セクションにおいてシールされ、これにより前記少なくとも1つのインレットに連通する2つ以上のキャビティが規定される。これら2つ以上のキャビティは、エアレーションパネルの周縁部の形状に合わせて形成されてもよい。気体は、適切な気体流量で導入され、例えば、約5〜約74cm/min/上部m、好ましくは、約15〜54cm/min/上部m、更に好ましくは約25〜約44cm/min/上部mである。当然ながら、気体は、特定の適用形態に適したものであればどのような気体を選択してもよい。この気体は、例えば、酸素、窒素、二酸化炭素又は単に空気である。
【0023】
パネルの上部及び下部の少なくとも一方を構成する材料として、種々の可撓性非剛性弾性材料を用いることができる。これらの材料には、限定を意図するものではないが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アセタール及びポリアセタール、並びにナイロン等が含まれる。
【0024】
以上の全般的な開示と以下の詳細な開示とは、共に例示と説明のみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。
【0025】
本発明の特徴、態様、効果は、以下の記載、特許請求の範囲、及び添付図面に示す例示的な実施形態により、明らかとなるものと考える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、種々の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、長方形のエアレーションパネル101、フレーム108及びアンカー装置112を有するエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。可撓性エアレーションパネル101は、上部(シート)102及び下部(シート)104を含んで構成されてもよい。上部102は、穴、スリット、切り込み形状、又は他の穿孔を含む可撓性弾性素材を含んで構成され、下部104もまた、可撓弾性材料(上部102の可撓弾性材料と同一でも異なってもよい)を含んで構成される。
【0027】
上部の穿孔に関して、この穿孔は、気体がエアレーションパネル101を流れるときに、気泡が実質的に均一で切れ目ない(unbroken)パターンで、上部102の面積相当を覆って提供される様に構成される。また、穿孔は、種々のサイズ及び形状に形成され、これには、限定を意図するものではないが、穴、スリット、切り込み又はこれらの組み合わせが含まれる。穿孔の寸法は、種々のサイズに形成されるが、好ましくは、約0.1mm〜約10mmの範囲内、より好ましくは約0.2mm〜約5mmの範囲内、最も好ましくは約0.5mm〜約3.0mmの範囲内である。穿孔は、様々な構成で配置可能であり、これには、不規則な配置、又は、例えば、三角形、星型又は長方形状などの左右対称の幾何学的な配置が含まれる。また、穿孔の密度は、一様ではなく、開口部(有孔)対非開口部(無孔)の面積比により決定される。この比は、約5%〜約95%の開口面積、好ましくは約15%〜約75%の開口面積、より好ましくは約30%〜約50%の開口面積をとる。
【0028】
有孔上部102及び無孔下部104の材料は、種々の可撓性非剛性弾性材料で構成される。例えば、これら材料には、限定を意図するものではないが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アセタール及びポリアセタール、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリ塩化ビニル、アクリル、酢酸ビニル、並びに他のプラスチック等、可撓性で気体不透過性のシートが形成可能なもの、が含まれる。実際的には、密度が約1.0gm/mL未満の可撓性非剛性弾性材料であればどのようなものでも使用可能である。また、天然及び合成織物を用いてもよい。更に、上部及び下部に用いる適切な材料の例としては、例えば米国特許第6,846,534号、第6,797,215号及び第6,764,629号に記載されており、これらは参照により本開示に含まれるものとする。このようなシーティングを使用することにより、従来技術に見られるような装置の欠点、例えば、剛性支持板及び可撓性弾性パネル間の熱膨張率の違いに付随する欠点を負わないパネルを提供することができる。この熱膨張率の違いからは、1つ以上の取付ポイントに応力が生じうる。好ましい実施形態では、パネルの上部及び下部は、同一の(又は異なるタイプの)可撓性非剛性弾性材料により形成される。本発明の他の実施形態では、下部は、ポリウレタン又はポリエステルなどの弾性材料の2以上の層に吸収された又は取り付けられた少なくとも1層からなる織物で形成される。このとき、この織物には、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、ケブラーなどが含まれる。他の実施形態では、下部は、2層からなる弾性材料間に配置される少なくとも1層からなる織物を含んで構成されるが、他の構成を採用することも可能である。例えば、2層からなる織物及び3層からなる弾性材料で、弾性材料の層及び織物の層が交互に配置された構造を形成することもできる。
【0029】
エアレーションパネル101は、上部102を下部104にシールすることにより形成され、1つ以上のシール110により1つ以上のキャビティ106が規定される。シール110には、溶接、化学結合、加硫、ステッチング又は接着剤などを1以上含むことができる。一実施形態では、可撓性エアレーションパネルは、上部及び下部の一方又は両方の端部又は周縁部114にて、上部102及び下部104間のシールにより形成されてもよい。
【0030】
周縁部114の端部近傍へ向けて中央部118(又は内部セクション)を渡すように中央部118にシール110を追加して、複数のキャビティ106を、エアレーションパネル101内に縦方向、横方向又は円錐状の線に沿って、例えばリブ付き浮遊装置となるように形成する。上部及び下部間の縦方向、横方向又は円錐状のシール線110により規定される複数のキャビティ106は、空気が導入されたときのパネルの浮き上がりを防止し、周縁部の構造フレーム108及び可撓性エアレーションパネル101間の取り付け部分に過度の緊張が与えられる可能性を低減し、又はパネル101により生じる気泡が不均一に拡散することを防止する利点がある。中央部118のシール110は、接着剤、溶融法、縫い合わせ又は他の物理的な取り付け方法を用い、選択された線に沿って、上部102及び下部104を取り付けることにより形成される。このような複数のキャビティによる構造により、エアレーションパネル101の全体構造に幾らかの剛性が与えられる。また、複数キャビティ構造は、上部102の穿孔と共に、多量に流れる気体のための大きく相対的に非閉塞な複数の通路をエアレーションパネル101のすべての領域にわたって提供し、気泡の均一な拡散パターンを用いて液体本体に対して効果的なエアレーションを行うことができる。一実施形態では、パネルの周縁部の形状に沿わせた2つ以上のキャビティが形成される。
【0031】
更に、エアレーションパネル101は、気体インレット120を含んで構成され、これにより、例えば図10に示されるように、供給管123を用いて気体を可撓性エアレーションパネル101に導入可能となっている。供給管123は、気体をエアレーションパネル101に供給する気体源(図示せず)に接続される。また、適切な気体であればどの気体でも使用可能である。例えば、本発明の種々の実施形態による可撓性エアレーションパネル101は、空気、酸素、及び他の気体の少なくとも1つを、例えば酸素など特定の気体栄養素が枯渇した又は乏しい生物的排水処理プラント又は湖沼に供給することができる。
【0032】
インレット120は、図1に示すように単一であっても、図11に示すように複数であってもよく、図1に示すような可撓性エアレーションパネル101の周縁部に、又は中央部108近傍の可撓性エアレーションパネルの内部に、配置されてもよい。気体源からの気体は、加圧下で供給管123及び気体インレット120を介してキャビティ106に導入される。
【0033】
気体が1つ以上に形成されたキャビティ106を満たすと、エアレーションパネル101は膨張し、気体は上部102の穿孔を通って排出される。また、気体アウトレット122を、例えば図3に示されるように、パネル中に気体をより均一に拡散させるような領域に、又は、後述のように、2つ以上のエアレーションユニットを連続して接続するように、選択的に備えることができる。
【0034】
エアレーションパネル101を流れる気体の流量は、パネル101のサイズ及び形状と共に、上部102の穿孔のタイプ及び構造並びに選択的に含まれる気体アウトレット122の有無に依存する。気体流量の例としては、約5〜約74cm/min/上部m、好ましくは約15〜約54cm/min/上部m、より好ましくは、約25〜約44cm/min/上部mの範囲、が含まれる。
【0035】
図1に示されるように、可撓性エアレーションパネル100は、取り外し可能で好ましくはエアレーションパネル101の浮力を打ち消すことができる構造フレーム108を選択的に含んで構成されてもよい。好ましい一実施形態では、構造フレーム108は、エアレーションパネル101の周縁部114に沿ったそのエアレーションパネル101の縁に沿って取り付けられる。これにより、穿孔された上部102は、その上部102を支持する下部104に、周縁部114周りにおいて確実にシールされる。したがって、中央部118において上部及び下部を弱体化させて気体の流れを妨げる高応力ポイントを中央部118のリベットやネジに局在させること無く、エアレーションパネル101を、水中に保持することができる。図1の構造フレーム108は、代表的には、エアレーションパネル101の周縁部114に外接する。
【0036】
構造フレーム108は、例えば、金属、プラスチック(例えばPVC)などの種々の適切な材料で構成される。また、フレームは、適切な構造であればどのような構造でも採用することができる。例えば、図1に示した実施形態による構造フレーム108は、幅Wが約0.1〜約3メートル及び長さLが約1〜約5メートルとすることができる。更に、構造フレーム108は、フレーム108の各辺に沿って、例えば開口部などの複数の連なった取付ポイント124を有してもよい。この取付ポイント124を通して、例えば、ボルト、アンカーロッド又はケーブルなどのアンカー装置112が挿入される。
【0037】
アンカー装置112は、エアレーションパネルアッセンブリ100を設置する所定の位置、例えばタンク、ベースン又はコンテナなどの底部又は底部近傍に、エアレーションパネルアッセンブリ100を係留、固定又は拘止するために用いることができる。アンカー装置112は、当該技術分野において知られるどのようなタイプの固定装置であってもよく、これには例えば、アンカーロッド、ボルト、ケーブル等又はこれらの組み合わせ等を用いることができる。これらのアンカー装置112は、可撓性エアレーションパネル101の所定部分に、又は可撓性エアレーションパネル101の周縁部114に位置する任意の構造フレーム108の所定部分に、直接的に取り付け可能である。代表的には、アンカー装置は複数用いられ、アンカーアレイが形成される。このアンカーアレイは、個別に調節可能なアンカー装置を有している。このアンカーアレイは、可撓性パネルを液体本体の表面に対して水平にすることができるもので、これにより可撓性パネルを液体本体内に配置することができる。換言すれば、アンカーアレイのアンカー装置は、アンカー装置の長さに対して相対的にエアレーションポイントの取付ポイントの高さを調節することができ、これによりエアレーションパネルの上平面及び底平面を液体本体に対して平行に配置することができる。
【0038】
図1に示された実施形態では、構造フレーム108上に広間隔に設けられた複数の取付ポイント124(即ち開口部)に挿入されたアンカーロッドを用いることにより、複数のアンカー装置112がアンカーアレイを形成する。フレーム構造108は、アンカーロッドに沿ったナットにより、アンカーロッドに固定される。更に、フレーム構造をアンカーロッドに固定するナットは、各取付ポイント124を昇降可能とするように、アンカーロッドの長さ方向に調節可能である。このようにこれらの取付ポイントを調節することで、エアレーションパネル101全体を液体本体の上面に対して水平にすることができ、即ち、エアレーションパネル101の上平面及び底平面を液体本体の上面に対して水平に配置できるようになる。このような構成を用いることで、エアレーションパネル101や構造フレーム108は確実に固定され、したがって、大規模な構造やバラストを必要とすることなく、エアレーションパネルの浮上を防止することができる。
【0039】
また、1つ以上のアンカー装置112は、アンカーボルトを適当なスペーサ又は調節金物と共に使用してもよい。このスペーサは、エアレーションとエアレーションタンク、ベースン、コンテナ等の底部との間の距離を規定する又は水平に配置されるようにするもので、一方調節金物は、パネルをエアレーションタンク、ベースン、コンテナ等に設置する際にパネルを水平にするものである。例えば、各アンカーポイントを、スペーサ及び調節金具の少なくとも一方を含んで構成し、液体本体の表面に対してエアレーションパネルが水平となるように構成されてもよい。
【0040】
更に、又は或いは、エアレーションパネル101を、後述する図12〜15に示されるように、ケーブルを緊張させて、水平アレイ形状のアンカーアレイにより拘止することもできる。
【0041】
上述のように、図1の実施形態では、可撓性エアレーションパネルアッセンブリ100は、シーム110に沿って無孔下部104に結合し複数のキャビティ106を形成する有孔上部102を有する長方形エアレーションパネル101を含んで構成される。一実施形態では、1つ以上のキャビティ106を含むことができる。他の実施形態では、この1つ以上のキャビティ106は、好ましくは、2つ以上のキャビティ106とすることができる。図1の場合、長方形のエアレーションパネル101は、11つの細長キャビティを含んで構成される。加えて、1つの気体インレット120が含まれる。しかしながら、エアレーションパネル101は他の実施形態も採用し得る。例えば、本発明の種々の実施形態によれば、可撓性エアレーションパネルには、様々な外形を採用することができ、その形状には、限定を意図するものではないが、四角形、長方形、三角形、円形、楕円形、ドーナツ形、円筒形、又は、三日月形が含まれ、さらに、この可撓性エアレーションパネルには、例えば立方体形状、角錐形状、円錐形状及び角柱形状などの三次元形状を採用することもできる。加えて、エアレーションパネルの内部形状を、外形に合わせて構成し、これにより、拡張時の容積全体に空気を循環及び拡散させる単一又は複数のキャビティを形成してもよい。
【0042】
図2は、四角形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは、2つの気体インレット120及び2つの気体アウトレット122を含み、これらはエアレーションパネル101を挟んでその両側に配置されている。気体アウトレット122は、図示したエアレーションパネルアッセンブリ100に連続して接続される他のエアレーションパネルアッセンブリの別セットの気体インレットに繋がる供給管123に接続される。種々のエアレーションパネルアッセンブリを連続して接続することで、個々のエアレーションパネルアッセンブリのサイズを増大させることなく、より大きな体積の液体に対するエアレーションが可能となる。一実施形態では、2つ以上のエアレーションパネルアッセンブリを連続して繋ぐことができ、例えば、3つ、4つ、又は5つのユニットを連続して繋ぐこともできる。
【0043】
エアレーションパネルの有孔上部及び下部には、その上部及び下部の周縁部114に沿って形成されたシール110並びにエアレーションパネル101の中央部118内において気体の流れの長手方向に沿って形成されたシール110を用いることにより、1つ以上のキャビティ106が形成される。
【0044】
エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置112を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。アンカー装置112は、エアレーションパネル101の外縁内であって周縁部114に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の周縁部114に沿って、例えば取付ポイント124に、取り付けられる。或いは、取付ポイントとして機能する開口部であって、アンカー装置を挿入可能にする又はアンカー装置を構造フレームに取り付け可能にする開口部を伴った構造フレームを、エアレーションパネルの周縁部114に沿って取り付けることができる。
【0045】
図3は、長方形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリ100は、3つの気体インレット120を含んで構成される。説明のため、インレットの1つには供給管123を取り付けて図示する。エアレーションパネル101の有孔上部及び下部には、その上部及び下部の周縁部114に沿って形成されたシール110並びにエアレーションパネル101の中央部118内において気体の流れの長手方向に沿って形成されたシール110を用いることにより、1つ以上のキャビティ106が形成される。気体アウトレット122は、エアレーションパネル101内の領域であって、パネル全域にわたる気体の均一な拡散を促進させるような領域に接続される。
【0046】
図3では、構造フレーム108は、エアレーションパネル101の周縁部114に沿って取り付けられる。構造フレーム108は、そのフレームの辺に沿って開口部を含んで構成される。この開口部は、アンカー装置112の取付ポイント124として機能し、これによりアンカーアレイを形成するアンカー装置112は、構造フレーム108に挿入される又は取り付けられる。アンカー装置112は、エアレーションパネルを液体本体の表面に対して水平にさせるように調節可能なアンカーロッドであってもよい。或いは、構造フレーム108は省略可能であり、また、アンカー装置112は、例えば、エアレーションパネル101の外縁内であって周縁部114に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の周縁部114に沿って取付ポイントに取り付けることもできる。
【0047】
図4は、三角形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは1つの気体インレット120を含んで構成される。エアレーションパネルの有孔上部及び下部には、その上部及び下部の周縁部114に沿って形成されたシール110並びに三角形のエアレーションパネル101の形状を反映したエアレーションパネル101の中央部118内において気体の流れの長手方向に沿って形成されたシール110が用いられて、1つ以上のキャビティ106が形成される。エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置112を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。アンカー装置112は、例えば、エアレーションパネル101の外縁内であって周縁部114に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の周縁部114に沿って、取付ポイント124に取り付けられる。或いは、取付ポイントとして機能する開口部であって、アンカー装置を挿入可能にする又はアンカー装置を構造フレームに取り付け可能にする開口部を伴った三角形の構造フレームを、エアレーションパネルの周縁部114に沿って取り付けることができる。
【0048】
図5は、円形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは、1つの気体インレット120及び1つの気体アウトレット122を含み、これらはエアレーションパネル101を挟んでその両側に配置されている。気体アウトレット122は、図示したエアレーションパネルアッセンブリ100に連続して接続される他のエアレーションパネルアッセンブリの別の気体インレットに繋がる供給管に接続される。エアレーションパネルの有孔上部及び下部には、周縁部114及びエアレーションパネル101の中央部118に沿って形成されたシール110が用いられて、1つ以上のキャビティ106が形成される。
【0049】
エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。このアンカー装置は、エアレーションパネル101、エアレーションパネルの周縁部に取り付けられた構造フレーム、又は気体インレット若しくは気体アウトレットの何れかに接続される。アンカー装置112は、例えば、アンカーロッド、クランプ等とすることができる。例えば図5は、気体インレット120及び気体アウトレット122が、アンカー装置112(例えばアンカーロッド)にパイプクランプ126を介して取り付けられることを示している。パイプクランプは、ナットによってアンカー装置に取り付けられる。これにより、各パイプクランプ126の位置は夫々のアンカーロッドに沿って調節可能となり、エアレーションパネル101の上平面を液体本体の上面に対して水平とすることができるようになる。
【0050】
図6は、楕円形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは、1つの気体インレット120及び1つの気体アウトレット122を含み、これらはエアレーションパネル101を挟んでその両側に配置されている。気体アウトレット122は、図示したエアレーションパネルアッセンブリ100に連続して接続される他のエアレーションパネルアッセンブリの別の気体インレットに繋がる供給管に接続される。エアレーションパネルの有孔上部及び下部には、上部及び下部の外周部130及び内周部132に沿って形成されたシール110が用いられて、1つのキャビティ106が形成される。エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置112を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。アンカー装置112は、例えば、エアレーションパネル101の外縁内であって外周部130に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の外周部130に沿って、取付ポイント124に取り付けられる。或いは、取付ポイントとして機能する開口部であって、アンカー装置を挿入可能にする又はアンカー装置を構造フレームに取り付け可能にする開口部を伴った構造フレームを、エアレーションパネルの外周部130に沿って取り付けることができる。
【0051】
図7は、ドーナツ形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは、1つの気体インレット120及び1つの気体アウトレット122を含み、これらはエアレーションパネル101を挟んでその両側に配置されている。気体アウトレット122は、図示したエアレーションパネルアッセンブリ100に連続して接続される他のエアレーションパネルアッセンブリの別の気体インレットに繋がる供給管に接続される。エアレーションパネルの有孔上部及び下部には、上部及び下部の外周部130及び内周部132に沿って形成されたシール110が用いられて、1つのキャビティ106が形成される。エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置112を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。アンカー装置112は、例えば、エアレーションパネル101の外縁内であって外周部130に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の外周部130に沿って、取付ポイント124に取り付けられる。或いは、取付ポイントとして機能する開口部であって、アンカー装置を挿入可能にする又はアンカー装置を構造フレームに取り付け可能にする開口部を伴った構造フレームを、エアレーションパネルの外周部130に沿って取り付けることができる。
【0052】
図8は、円筒形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは、1つの気体インレット120及び1つの気体アウトレット122を含んで構成される。エアレーションパネルの有孔上部102及び下部には、上部及び下部の外周部114に沿って形成されたシール110が用いられて、1つのキャビティ106が形成される。エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置112を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。アンカー装置112は、例えば、エアレーションパネル101の外縁内であって周縁部114に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の周縁部114に沿って、取付ポイント124に取り付けられる。或いは、取付ポイントとして機能する開口部であって、アンカー装置を挿入可能にする又はアンカー装置を構造フレームに取り付け可能にする開口部を伴った構造フレームを、エアレーションパネルの周縁部114に沿って取り付けることができる。
【0053】
図9は、三日月形に形成されたエアレーションパネル101を含んで構成されるエアレーションパネルアッセンブリ100の一実施形態を示す。エアレーションパネルアッセンブリは、1つの気体インレット120を含んで構成される。エアレーションパネルの有孔上部102及び下部には、上部及び下部の外周部130及び内周部132に沿って形成されたシール110並びに中間シール134が用いられて、2つのキャビティ106が形成される。エアレーションパネル101は、例えばアンカーロッドなどのアンカー装置112を用いて、エアレーションタンク、コンテナ、ベースン等の底部に固定することができる。アンカー装置112は、例えば、エアレーションパネル101の外縁内であって外周部130及び内周部132に沿って設けられたシール110の外側に配置される開口部において、エアレーションパネル101の外周部130及び内周部132に沿って、取付ポイント124に取り付けられる。或いは、取付ポイントとして機能する開口部であって、アンカー装置を挿入可能にする又はアンカー装置を構造フレームに取り付け可能にする開口部を伴った構造フレームを、エアレーションパネルの外周部130に沿って取り付けることができる。
【0054】
ここで、本発明の実施形態による可撓性エアレーションパネルを製造する方法を説明する。上部(又はシート)を、そのシートの幅方向に穿孔した後、例えば図1〜9に示したような所望の形状に切断する。このとき、上部シートの周縁部に沿って、無孔部を残しておく。その後、下部無孔部(又はシート)を、上部シートの寸法に合わせて切断する。そして、上部シート及び下部シートを上下に重ね、互いに固定又はシールする。シール処理には、上述のように様々な方法を採用可能であるが、好ましくは高周波溶接又は両シートに型締め圧及び熱を加える機械処理を用いて行われる。このようにして、上部シート及び下部シートは、強固で連続的一体的なシームに融合される。その後必要性や要求に応じて、融合したシートに更に切断又はトリミングを行ってもよい。好ましくは、アンカーの突起部を収容可能な取付ポイントとして、取付フレームポケットが構成される。その後、組み立てたエアレーションパネルに、リーク、空気分配、圧力損失などについての試験を行う。
【0055】
前述のように、エアレーションパネルアッセンブリは、液体本体内で、個別に用いることも、他のエアレーションパネルと組み合わせて用いることもできる。例えば、一実施形態では、2つ以上のエアレーションパネルアッセンブリを連結して組み立てる。他の実施形態では、好ましくは、3、4又は5つのユニットを連結して組み立てる。当然ながら、単一の又は複数のパネルアッセンブリによる構成には、どのようなパネル枚数でも採用可能である。2つ以上のエアレーションパネルアッセンブリを用いれば、特定の時間において、より大きな体積の液体本体をエアレーションすることができる。複数のエアレーションパネルアッセンブリは、例えば、図10に示すような分散構成で、又は図11に示すような連結構成で、配置することができる。
【0056】
図10では、複数の可撓性エアレーションパネルアッセンブリ100が、個別に供給管123を有する分散構成で配置されている。図10では、1つのエアレーションパネルアッセンブリあたり1つの供給管123が示されている。この供給管123は、1つの気体インレット120Aに接続されると共に他の気体インレット120Bはシールされて使用されていない。しかしながら、特定のエアレーションパネル101において気体インレットが1つ以上使用される場合、その特定のエアレーションパネルの気体インレットは、夫々が個別に供給管を有するか、又はその特定のエアレーションパネルの複数の気体インレットがすべて1つの供給管に接続される。また、図10の実施形態では、エアレーションパネルアッセンブリは気体アウトレットを含まずに構成されている。
【0057】
図11では、複数の可撓性エアレーションパネルアッセンブリ100が、連結構成で配置されている。この構成では、エアレーションパネルアッセンブリが互いに接続されて、1つ以上の供給管123が第1のエアレーションパネル100Aの1つ以上の気体インレット120に接続されている。第1のエアレーションパネルアッセンブリ100Aのエアレーションパネルを通る気体の流れは、第2のエアレーションパネルアッセンブリ100Bの1つ以上の気体インレットに接続される1つ以上の気体アウトレットから排出される。更に、第2のエアレーションパネルアッセンブリ100Bのエアレーションパネルを通る気体の流れは、第3のエアレーションパネルアッセンブリ100Cの1つ以上の気体インレットに接続される1つ以上の気体アウトレットから排出される。前述同様、エアレーションパネルアッセンブリ100Cのエアレーションパネルを通る気体の流れは、他のエアレーションパネルアッセンブリ100Dの1つ以上の気体インレットに接続される1つ以上の気体アウトレットから排出される。そして、エアレーションパネルアッセンブリ100Dのエアレーションパネルを通る気体の流れは、1つ以上の排気管136に接続される1つ以上の気体アウトレットから排出される。この排気管136は、他のエアレーションパネルアッセンブリに接続されてもよい。図11では、4つのアッセンブリ100A〜100Dを示したが、アッセンブリはいくつ設けてもよく、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上設けることもできる。
【0058】
図10及び11は、1列に構成される複数のエアレーションパネルを示している。しかしながら、例えば図12〜15に示すような他の構成も採用可能である。図12及び14は、1列あたり4つのアッセンブリを含む2列のエアレーションパネルアッセンブリ100を示している。図12では、8つのアッセンブリが、夫々が個別に供給管123を有する分散構成で配置されている。図10と同様に、1つのエアレーションパネルアッセンブリあたり1つの供給管123が1つの気体インレット120Aに接続され、他の気体インレット120Bはシールされて使用されていない。また、エアレーションパネルアッセンブリは、気体アウトレットを含んで構成されても含まずに構成されてもよい。
【0059】
一方、図14は、各エアレーションパネルアッセンブリ列が連結構成にある配置を示している。図11と同様に、エアレーションパネルアッセンブリは互いに接続されて、1つ以上の供給管123が第1のエアレーションパネルアッセンブリ100Aの1つ以上の気体インレット120に接続されている。第1のエアレーションパネルアッセンブリ100Aのエアレーションパネルを通る気体の流れは、アッセンブリ100Aを出ると、エアレーションパネルアッセンブリ100Bに流れ込んでこれを通り抜け、アッセンブリ100Bから出て、エアレーションパネルアッセンブリ100Cに流れ込んでこれを通り抜け、アッセンブリ100Cを出て、エアレーションパネルアッセンブリ100Dに流れ込んでこれを通り抜け、アッセンブリ100Dを出て、1つ以上の排気管136に流れ込む。図14に示した実施形態では、2列の気体の流れは互いに独立しているが、必要に応じて互いに接続させることもできる。
【0060】
図13及び15は、4つのエアレーションパネルアッセンブリ100の交互構成を示している。図13では、4つのアッセンブリ100が、夫々が個別に供給管123を有する分散構成に配置されている。図10及び12と同様に、1つのエアレーションパネルアッセンブリあたり1つの供給管123が1つの気体インレット120Aに接続され、他の気体インレット120Bはシールされて使用されていない。また、エアレーションパネルアッセンブリは、気体アウトレットを含まずに構成される。
【0061】
一方、図15は、複数のエアレーションパネルアッセンブリが連結交互構成にある配置を示している。図11及び14と同様に、1列あたり少なくとも2つの互いに接続されたエアレーションパネルアッセンブリを有する2列のエアレーションパネルアッセンブリが図示されている。例えば、1つ以上の供給管123が、第1のエアレーションパネルアッセンブリ100Aの1つ以上の気体インレット120に接続されている。第1のエアレーションパネルアッセンブリ100Aのエアレーションパネルを通る気体の流れは、アッセンブリ100Aを出て、アッセンブリ100Cの気体インレットに繋がる供給管に流れ込み、アッセンブリ100Cに流れ込んでこれを通り抜け、アッセンブリ100Cから出て、1つ以上の排気管(図示せず)に流れ込む。一方、エアレーションパネルアッセンブリ100Bの1つ以上の気体インレットには、1つ以上の供給管(図示せず)が接続されている。エアレーションパネルアッセンブリ100Bのエアレーションパネルを通る気体の流れは、アッセンブリ100Bを出て、アッセンブリ100Dの気体インレットに繋がる供給管に流れ込み、アッセンブリ100Dに流れ込んでこれを通り抜け、アッセンブリ100Dから出て、1つ以上の供給管136に流れ込む。上述のように、複数のパネルアッセンブリによる構成には、どのようなパネル枚数でも採用可能である。
【0062】
図10及び11を再び参照する。これらの図は、エアレーションパネル101をアンカー装置112に接続する構造フレーム108を夫々含んだ一連のエアレーションパネルアッセンブリを示している。例えば、アンカー装置は、コンクリートに埋め込まれて、エアレーションパネルアッセンブリをエアレーションタンク、ベースン、コンテナ等の底部に固定することができる。しかしながら、図12〜15に示したように他のタイプのアンカー装置を用いることもできる。
【0063】
図12〜15は、エアレーションパネル101は、緊張させたケーブル150による実質的に平面状のアレイとなるよう形成されたアンカーアレイにより拘止されることを示している。例えば、拘止ケーブル150は、エアレーションタンク、ベースン、コンテナ等の壁及び床の少なくとも一方に係留される。拘止ケーブルを壁に係留する場合、アンカー装置は、タンク、ベースン、コンテナ等の壁に埋め込まれたアンカーベース(例えばアイボルト)を含んで構成され、例えば、アンカーベースはコンクリートに埋め込まれる。アンカーベースとケーブルの一端との間には、ターンバックルが接続され、構造フレーム又はエアレーションパネル自体に設けられたエアレーションパネルアッセンブリの取付ポイント(例えば開口部)に取り付けられ又は挿入されたケーブルに張力を生じさせる。ケーブル150には、例えばワイヤ、チェーン、ロープ等、当業者に知られるいかなる形状を採用してもよい。
【0064】
図12及び14は、アンカー装置の複数の実施形態を示している。一実施形態では、2つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150A、対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた2つのアンカーベース152A、152A’及びターンバックル154Aにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Aは、ターンバックル154Aを介して一方のアンカーベース152Aに取り付けられており、そして、2つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。そして、ケーブル150Aの他端は、他方のアンカーベース150A’に取り付けられている。ターンバックル154Aを用いることで、ケーブル150Aに張力が生じる。
【0065】
第2の実施形態では、4つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150B、対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた2つのアンカーベース152B、150B’及びターンバックル154Bにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Bは、ターンバックル154Bを介して一方のアンカーベース152Bに取り付けられており、そして、4つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。そして、ケーブル150Bの他端は、他方のアンカーベース150B’に取り付けられている。ターンバックル154Bを用いることで、ケーブル150Bに張力が生じる。
【0066】
アンカー装置の第3の実施形態では、4つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150C、2つの対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた4つのアンカーベース152C、152C’、152C’’、152C’’’及びターンバックル154Cにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Cは、ターンバックル154Cを介してアンカーベース152Cに取り付けられており、そして、2つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。次に、ケーブル150Cは、対向する壁に取り付けられたアンカーベース152C’及び125C’’に挿入され、そして、残りの2つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられる。そして、ケーブル150Cは最後にアンカーベース150C’’’に取り付けられる。ターンバックル154Cを用いることで、ケーブル150Cに張力が生じる。他の実施形態では、アンカーベース152C’及び152C’’を、1つのアンカーベースに置き換えてもよい。
【0067】
アンカー装置の第4の実施形態では、8つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150D、2つの対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた4つのアンカーベース152D、152D’、152D’’、152D’’’及びターンバックル154Dにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Dは、ターンバックル154Dを介してアンカーベース152Dに取り付けられており、そして、4つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。次に、ケーブル150Dは、対向する壁に取り付けられたアンカーベース152D’及び125D’’に挿入され、そして、残りの4つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられる。そして、ケーブル150Dは最後にアンカーベース150D’’’に取り付けられる。ターンバックル154Dを用いることで、ケーブル150Dに張力が生じる。他の実施形態では、アンカー装置152D’及び152D’’を、1つのアンカーベースに置き換えてもよい。
【0068】
図13及び15は、アンカー装置の他の複数の実施形態を示す。第5の実施形態では、1つのエアレーションパネルアッセンブリの一辺が、1本のケーブル150E、対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた2つのアンカーベース152E、152E’及びターンバックル154Eにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Eは、ターンバックル154Eを介して一方のアンカーベース152Eに取り付けられており、そして、エアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。そして、ケーブル150Eの他端は、他方のアンカーベース150E’に取り付けられる。ターンバックル154Eを用いることで、ケーブル150Eに張力が生じる。
【0069】
第6の実施形態では、2つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150F、対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた2つのアンカーベース152F、152F’及びターンバックル154Fにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Fは、ターンバックル154Fを介して一方のアンカーベース152Fに取り付けられており、そして、2つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。そして、ケーブル150Fの他端は、他方のアンカーベース150F’に取り付けられている。ターンバックル154Fを用いることで、ケーブル150Fに張力が生じる。
【0070】
アンカー装置の第7の実施形態では、2つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150G、2つの対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた4つのアンカーベース152G、152G’、152G’’、152G’’’及びターンバックル154Gにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Gは、ターンバックル154Gを介してアンカーベース152Gに取り付けられており、そして、1つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。次に、ケーブル150Gは、対向する壁に取り付けられたアンカーベース152G’及び125G’’に挿入され、そして、残りのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられる。そして、ケーブル150Gは最後にアンカーベース150G’’’に取り付けられる。ターンバックル154Gを用いることで、ケーブル150Gに張力が生じる。他の実施形態では、アンカー装置152G’及び152G’’を、1つのアンカーベースに置き換えてもよい。
【0071】
アンカー装置の第8の実施形態では、4つのエアレーションパネルアッセンブリの夫々の一辺が、1本のケーブル150H、2つの対向するコンクリート壁に夫々埋め込まれた4つのアンカーベース152H、152H’、152H’’、152H’’’及びターンバックル154Hにより、所定位置に保持されている。ケーブル150Hは、ターンバックル154Hを介してアンカーベース152Hに取り付けられており、そして、2つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられている。次に、ケーブル150Hは、対向する壁に取り付けられたアンカーベース152H’及び125H’’に挿入され、そして、残りの2つのエアレーションパネルアッセンブリの構造フレームの取付ポイントに挿入又は取り付けられる。その後、ケーブル150Hは最後にアンカーベース150H’’’に取り付けられる。ターンバックル154Hを用いることで、ケーブル150Dに張力が生じる。他の実施形態では、アンカー装置152H’及び152H’’を、1つのアンカーベースに置き換えてもよい。
【0072】
拘止ケーブルを床に係留する場合、床アンカー保持装置156(例えば、ターンバックル又はアイボルト)が、アンカーベース152と共に用いられ、ケーブル150を、実質的に平面状のアレイに対して垂直方向に拘止する。一実施形態では、床アンカー保持装置156は、ケーブルを実質的に平面状のアレイの面の外に引き出す又は押し出すことによりケーブルに引張力を生じさせる。これにより、ケーブルがそらされて、ケーブルが長距離にわたって横断できるようになる。距離が長いため、また、ケーブルの長さに変化が無いため、ケーブルからはたるみが除かれる。図12〜13は、ケーブル150の長さ方向に沿って配置される複数の床アンカー保持装置156を含んで構成され、複数のエアレーションパネルアッセンブリ100をエアレーションタンク等の底部に沿って固定するアンカーアレイを示す。また、ケーブルを平面状アレイの面から外へ引き出す又は押し出すことで、取付ポイントの高さが相対的に変化するため、即ち、液体本体の表面に対するエアレーションパネルの上平面及び底平面の方向が変化するため、アンカー保持装置156を、1つ以上のエアレーションパネルの水平化を助けるために使用することもできる。様々な取付ポイントの高さを調整することにより、1つ以上のパネルアッセンブリを液体本体の表面に対して水平にすることができる。
【0073】
図17は、本発明の他の実施形態を示しており、ここでは、エアレーションパネル101周りの調節可能な構造フレーム108用のアンカーアレイにおいて用いられるアンカー装置112の他の構成を示している。アンカー装置は、2つの支柱チャネル302A、302Bを含んで構成されている。支柱チャネル302Aは、アンカーロッド304、平ワッシャ305、ナット306(図17の右図にのみ図示)により液体本体の床に固定され、このため支柱チャネル302Aは床に対して不動である。支柱チャネル302Bは、支柱チャネル302Aの上に配設され、支柱チャネル302A上を支柱チャネル302Aに沿ってZ方向にスライドすることで所望の位置に配置される。このため、支柱チャネル302Bはアンカーロッド304に対して可動である。一旦Z方向の所望の位置が決定されると、支柱チャネル302Bは、支柱チャネル302A内に位置するバネ板ナット316(図17の左図にのみ図示)にねじ込まれるボルト317を(ワッシャと共に)用いることにより支柱チャネル302Aに固定され、そのため、ボルト317をバネ板ナット316に向けて締めると、支柱は互いに固定されるようになる。
【0074】
さらに、構造フレーム108は、X及びY方向に可動となるようにアンカー装置112に取り付けられる。これは、構造フレームに挿入され、ナット311、フェンダワッシャ314を通って支柱チャネル302Bのチャネルに導かれ、バネ板ナット312に緩くねじ込まれるアンカーロッド308により実現される。このアンカーロッド308、構造フレーム108及びバネ板ナット312は、一体化した1つのユニットとして支柱チャネル302Bに沿ってX方向に可動であり、所望の位置に配置可能である。一旦X方向の所望の位置が決定されると、ナット311は、バネ板ナット312の方向にねじ締められ、アンカーロッド308は、支柱チャネル302Bに対して定位置で固定される。
【0075】
Y方向において、構造フレーム108は、アンカーロッド308上で2つのナット310とこれに夫々対応するワッシャに310に挟まれている。そして、構造フレーム108は、下側のナット310を回してロッドに対して上下させることで、アンカーロッド308の長手方向に沿って可動である。一旦、アンカーロッドに沿った所望の位置が決定されると、上側のナット310を下側のナット310の方向に回して、構造フレーム108をアンカーロッドに対して固定位置に固定する。したがって、図17の構成では、構造フレーム108をX、Y、Z方向に移動可能とすることができ、これにより調節可能でまた拡張可能なフレームのアンカーアレイの調節が容易になる。
【0076】
そのため、エアレーションパネルは、エアレーションパネルの配置が調節可能で尚且つ調節可能又は拡張可能なフレーム108が使用可能となるよう、図17に記載のアンカー装置112などのアレイを含んで構成されてもよい。本発明の実施形態による拡張可能なフレーム108の例としては、フレームの1以上の辺に1つ以上の圧縮継手を用いることにより調節可能となるポリ塩化ビニル(PVC)製のフレームが含まれる。例えば、構造フレーム108が図1に示すように長方形である場合、フレームの各辺に1つの圧縮継手、つまり4つの圧縮継手、が用いられる。この継ぎ手は各辺の中央部分に設置される。このような構成により、エアレーションパネルを伸張状態に維持する必要があれば、構造フレーム108は伸張可能となり、エアレーションパネルにおける大きな反りやたるみを防止することができる。設置の間には、構造フレーム108のPVC管材をすべて、継手に完全に挿入することができる。フレームを拡張するためには、圧縮継手の端を単にねじって緩め、エアレーションパネルを伸張状態に維持するのに十分なだけPVC管をほんの少し引き出し、継手を再び締める。
【0077】
図16は、本発明の実施形態の1例によるエアレーションパネルアッセンブリの1適用例を示す。排水処理システム200は、ベースン処理タンク202、排水吸込管路204、放流水排出管路206及び気体源208を含んで構成される。分散構成の一連のエアレーションパネルアッセンブリ100は、アンカー装置112の使用によりタンク202の底部210に取り付けられて設置されている。一実施形態では、詳細な図面からも分かるように、エアレーションパネルアッセンブリ100は、タンク202の底部210から約0.1m〜約0.5m、好ましくはタンク202の底部210から約0.15m〜約0.2mの距離Sの間隔をあけて配置される。排水は、排水吸込管路204からタンク202に、エアレーションアッセンブリ100を完全に覆うように導入される。気体(例えば空気)は、気体源208から供給管123を介してエアレーションパネルアッセンブリ210に供給される。気体源とは、例えば送風機又は圧縮ガスである。エアレーションパネルアッセンブリ100を通過した気体は、エアレーションパネルの上面上で気泡を形成し、排水をエアレーションする。処理された排水は、排出管路206を用いて排出される。
【0078】
上述のエアレーションパネルアッセンブリに加え、以下、気体を液体本体に拡散させる方法を記載する。本発明の一実施形態では、液体本体への気体の拡散は、液体本体内に1つ以上の可撓性エアレーションパネル101を配置することにより実現される。各エアレーションパネルには、少なくとも1つのインレット120と、加圧された気体で満たされた少なくとも1つのキャビティ106を規定する少なくとも上部102及び下部104と、を含むことができる。加圧気体は、各パネル100を流れ、少なくとも1つのインレット120を介して少なくとも1つのキャビティ106に流入する。各パネル100の上部102は穿孔されて、加圧気体を各パネル102の上部102から気泡として排出可能である。次に、加圧気体の供給源が備えられ、加圧気体が、各パネル100へ流れ、少なくとも1つのインレット120を介して少なくとも1つのキャビティ106へ流入するようになる。
【0079】
本発明の他の実施形態では、液体本体に気体を拡散する方法を含んで構成される。ここでは、1つ以上の可撓性エアレーションパネル101が液体本体内に配置される。各エアレーションパネル101は、少なくとも1つのインレット120並びに少なくとも上部102及び下部104を有し、これら上部及び下部は、加圧気体で満たされる少なくとも1つのキャビティ106を規定する。加圧気体は、各エアレーションパネル101に流入して、少なくとも1つのインレット120を介して少なくとも1つのキャビティ106に流入する。各エアレーションパネル102の上部102は穿孔され、これにより加圧気体は、各エアレーションパネル102の上部102から、上部の面積相当を覆い実質的に均一で切れ目のないパターンの気泡を提供できるように排出可能となる。また、加圧気体の供給源が備えられ、加圧ガスが、各エアレーションパネル101に流れ、少なくとも1つのインレット120を介して少なくとも1つのキャビティ106に流入するようになる。
【0080】
以上の開示から、本発明の種々の実施形態は、信頼性が高く、製造時には相対的に経済的で、設置についても費用対効果が高く、処理排水中で相対的に高い気体流量を可能にするシステム及び方法を提供することにより、従来技術の限界を克服することができる。
【0081】
本発明の種々の実施形態は、製造、輸送及び設置が単純で簡便な1つ以上の可撓性エアレーションパネル及びその関連アッセンブリを提供する。相対的に薄く軽い材料による大きな可撓性エアレーションパネルであって、容易に輸送できるように積重ねたり巻いたりが可能で、その一方では使用時には(剛性支持パネルの使用に頼ることなく)相対的に剛性を有する全体構造を有し、パネルのうねり等は実質的に防止することでパネル全体に均一な気体拡散を大流量で確保できる可撓性エアレーションパネルを提供することができる。可撓性エアレーションパネルは、様々に適用可能であり、例えば、水タンク、ベースン、又はスラッジのエアレーションに使用することができる。更に、エアレーションパネルは、種々の好気性水処理に利用できる。
【0082】
エアレーションパネルの上部の穿孔は、穴、スリット、切り込み又はこれらの組み合わせにより形成される気泡を提供することができる。エアレーションパネル全体は、所望の形状、例えば、四角形、長方形、三角形、円形、楕円形、ドーナツ形、円筒形、弧形、半月形、立方体形状、角錐形状、円錐形状、又は角柱形状に形成されてもよい。更に、エアレーションパネルの位置は種々の構成により配置することができる。例えば、エアレーションパネルを、表面被覆率からの要求に応じて、列に並べる又は交互に並べることができる。更に、エアレーションパネルアッセンブリは、アンカーロッド、ケーブル、スパイク又は釘を介して、液体本体の底部に又は底部近傍に係留されてもよい。アンカーポイントは、アッセンブリを水平化するための調節金具を含んで構成されてもよい。
【0083】
本発明の開示を基に、発明の範囲や精神から離れずに他の実施形態や修正を行うことが可能であることが当業者であれば認識されるものである。したがって、本開示に対して当業者によりなされうるすべての改良は、本発明の範囲及び精神の内において、本発明の実施形態に含まれるものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲で規定する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態による代表的な長方形の可撓性エアレーションパネルを示す平面図及び側面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による四角形の可撓性エアレーションパネルを示す。
【図3】複数のインレット、空気供給管及び構造フレームを含んだエアレーションパネルをより詳細に示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による三角形の可撓性エアレーションパネルを示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による円形の可撓性エアレーションパネルを示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による楕円形の可撓性エアレーションパネルを示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるドーナツ形の可撓性エアレーションパネルを示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による円筒形の可撓性エアレーションパネルを示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による三日月形の可撓性エアレーションパネルを示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による、分散構成で配置された4つのエアレーションパネルを示す斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態による、連結構成で配置された4つのエアレーションパネルを示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態による、アンカーケーブルにより1列構成及び分散構成で配置された8つのエアレーションパネルを示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による、アンカーケーブルにより交互分散構成で配置された4つのエアレーションパネルを示す斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態による、アンカーケーブルにより2列構成及び連結構成で配置された8つのエアレーションパネルを示す斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態による、アンカーケーブルにより交互構成及び分散構成で配置された4つのエアレーションパネルを示す斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態による、排水処理システムにおいて使用されるエアレーションパネルアッセンブリの分散構成の平面図、側面図及び詳細図である。
【図17】本発明の一実施形態によるアンカー装置の正面図及び側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体本体に気体を拡散するエアレーションパネルアッセンブリであって、
少なくとも2つの可撓性のエアレーションパネルを含んで構成され、
前記少なくとも2つの可撓性のエアレーションパネルは夫々が、
(i)少なくとも1つのインレットと、
(ii)少なくとも上部及び下部と
を含んで構成され、
前記少なくとも上部及び下部は、前記少なくとも1つのインレットと連通し又加圧気体で充満可能な少なくとも1つのキャビティを規定し、
前記上部は、穿孔されて、前記上部から前記加圧気体が気泡となって排出され、
前記エアレーションパネルの前記少なくとも上部及び下部は、1以上の可撓性非剛性弾性材料で構成され、
前記少なくとも2つのエアレーションパネルは、一方のエアレーションパネルからの気体が他のエアレーションパネルに流入するように連結される
エアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項2】
前記穿孔は、穴、スリット、切り込み、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも上部及び下部は、縁がシールされた可撓性非剛性弾性シートからなる、
請求項1に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項4】
アンカーアレイが、前記少なくとも2つのエアレーションパネルのうちの1つのエアレーションパネルの周縁部周辺に取り付けられ、前記可撓性のエアレーションパネルを前記液体本体の表面に対して水平にする、請求項1に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項5】
前記アンカーアレイは、少なくとも1本のケーブル、少なくとも2つのアンカーベース、及びターンバックルを含んで構成される、請求項4に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項6】
前記ケーブルは、その1本が少なくとも2つのエアレーションパネルの各一辺に取り付けられる、請求項5に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1本のケーブルは、ワイヤ、チェーン及びロープのいずれかである、請求項5に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項8】
前記エアレーションパネルの前記少なくとも上部及び下部は、密度が約1.0gm/mL未満の1以上の可撓性非剛性弾性材料で構成される、請求項1に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも2つのエアレーションパネルの夫々は、
(i)前記エアレーションパネルの周縁部に又は周縁部周辺に配置された構造フレームを具備し、
(ii)前記エアレーションパネルの前記下部に又は前記下部に接する剛性支持板を含まない、
請求項1に記載のエアレーションパネルアッセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のエアレーションパネルアッセンブリを用いて液体本体に気体を拡散する方法であって、
(i)前記少なくとも2つのエアレーションパネルのうちの1つのエアレーションパネルの周縁部周辺に取り付けられ、前記可撓性のエアレーションパネルを前記液体本体の表面に対して水平にするアンカーアレイによって、前記液体本体内に前記エアレーションパネルアッセンブリを配置すること、
(ii)前記加圧気体の供給源を備えること、及び
(iii)前記加圧気体を、前記エアレーションパネルの夫々へ流入させ、前記少なくとも1つのキャビティに前記少なくとも1つのインレットを介して流入させること、
を含む方法。
【請求項11】
前記液体本体の体積は、浴槽、温水浴槽又はレクリエーションスイミングプールよりも実質的に大きい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つのエアレーションパネルの夫々が、その周縁部に又は周縁部周辺に配置される構造フレームを更に含んで構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のエアレーションパネルの水平面は、前記液体本体の表面と実質的に平行である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記アンカーアレイは複数のケーブルを含んで構成され、該複数のケーブルは実質的に平面的な構成に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つのエアレーションパネルは、少なくとも4つのエアレーションパネルである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記エアレーションパネルの前記上部は、夫々穿孔され、前記上部の面積相当を覆って実質的に均一で切れ目のないパターンの気泡が提供されるように、前記エアレーションパネルの前記上部の夫々から前記加圧気体が排出されるように構成される、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−166196(P2012−166196A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−77717(P2012−77717)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2008−538175(P2008−538175)の分割
【原出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(502427895)パークソン コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】