可撓性ステント設計
本発明は、組織支持医療装置及び薬物送達システム、より具体的には生きている動物又はヒトの身体管腔内に埋め込まれて器官を支持し、開存性を維持し、及び/又は薬物若しくは薬剤を送達する管状可撓性ステントに関連する。可撓性ステントは、長手方向軸を画定する円筒形を有し、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。少なくとも1つの接続部材が、バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年2月2日に出願された米国特許仮出願番号第61/149,244号の利益を請求し、これは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、組織支持医療装置及び薬物送達システム、より具体的には生きている動物又はヒトの身体管腔内に埋め込まれて器官を支持し、開存性を維持し及び/又は薬物若しくは薬剤を送達する拡張可能装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
過去において、通路の開存性を維持し、及び/又は薬物若しくは薬剤を局部的に送達するための、身体通路内の埋め込みのために、恒久的な又は生分解性の装置が開発されてきた。これらのデバイスは、通常、経皮的に導入され、所望の位置に配置されるまで、経腔的に移送される。次いで、これらのデバイスは、デバイスの内部に配置されたマンドレル又はバルーンの拡張等により機械的に、又は身体内での作動時に貯蔵エネルギーを放出することによりそれ自体を拡張する。一旦、管腔内で拡張すると、典型的にステントと称されるこれらの装置は、体内組織の中に閉じ込められ、恒久的なインプラントとして残る。
【0004】
既知のステントの設計は、単繊維ワイヤコイルステント(米国特許第4,969,458号)、溶接した金属ケージ(同第4,733,665号及び同第4,776,337号)、並びに最も顕著には、周囲に形成された軸方向スロットを備える薄壁金属円筒(同第4,733,665号、同第4,739,762号及び同第4,776,337号)が挙げられる。ステントで用いる既知の構成材料としては、ポリマー、有機繊維及び、ステンレススチール、金、銀、タンタル、チタン、コバルトクロムのような生体適合性金属、並びにニチノール等の形状記憶合金が挙げられる。
【0005】
米国特許第4,733,665号、同第4,739,762号及び同第4,776,337号は、部材が半径方向外側に拡張して身体通路と接触することを可能にする軸方向のスロットを備える、薄壁管状部材の形態の拡張可能及び変形可能な管腔内血管移植を開示する。挿入後、管状部材はこれらの弾性限度を超えて機械的に拡張し、したがって身体内で恒久的に固定される。これらの管状ステントを拡張するために必要とされる力は、壁部材料の半径方向の厚さに比例する。身体内で使用するために許容可能な水準内の拡張力(例えば、507〜1013kPa(5〜10atm))を維持するため、これらの設計は、非常に薄い壁の材料(例えば、0.0063cm(0.0025インチ)の厚さの壁を有するステンレス鋼管)を使用しなくてはならない。しかしながら、この薄さの材料は、従来的な蛍光透視及びX線装置において不可視であり、したがって、ステントを正確に定置すること及び後に循環系内において外れ、見失われたステントを見つけて回収するのが困難である。
【0006】
更に、これらの薄壁管状ステント設計の多くが、その周辺方向における幅がその半径方向における厚さの2倍超である細長いストラットの網状組織を利用する。拡張した時、これらのストラットは多くの場合、不安定であり、すなわち、これらは座屈する傾向を示し、個別のストラットが面外に捻じれる。これらの捻じれたストラットの、血流への過剰な突出は乱流を増加させ、したがって血栓症を助長することが観察されてきた。この座屈したストラットの問題の解決を試みるため、多くの場合、追加的な処置が必要とされてきた。例えば、最初のステントの埋め込みがストラットの座屈を生じたものと判定された後、捻じれたストラットを管腔壁部内に更に推進しようとするため、第2の高圧バルーン(例えば、1216〜1824kPa(12〜18atm))が使用される。これらの第2の処置は、管腔壁部への付随的な損傷の危険性のため、患者にとって危険であり得る。
【0007】
加えて、既知のステントの多くが、管腔内の拡張の後に、当該技術分野において「反跳」として既知である大きな弾性回復を示す。大きな反跳は、所望の最終直径を達成するために、埋め込み中にステントの過拡張を必要とする。過拡張は、管腔組織に対して潜在的に有害である。上記の種類の既知のステントは、最大拡張から、約6〜12%までの反跳を経験する。
【0008】
大きな反跳はまた、殆どの既知のステントを送達カテーテルバルーン上に確実に収縮するのを非常に困難にする。結果として、管腔側移送中のバルーン上のステントの滑り、最終的な位置付け及び埋め込みが現行の問題であった。多くの補助的なステント固定装置及び技術が、この基本設計の問題を補う試みのために開発されてきた。ステント固定装置のいくつかは、ステントをバルーン上に固定するために使用されるカラー及びスリーブを含む。
【0009】
既知のステント設計の別の問題は、拡張したステントの形状の不均一性である。不均一な拡張は、管腔壁部の不均一な適用範囲に繋がる場合があり、適用範囲内の空隙及び不適切な管腔支持を生じる。更に、ステントのいくつかの区域又はセル内の過拡張は、過剰な材料の歪み及び更にステント機構の破損に繋がり得る。この問題は、製造における変動が比例的により顕著となる、より小さい機構の幅及び厚さを有する、低拡張力ステントにおいて潜在的により悪化する。加えて、ステントの拡張に使用するための典型的な送達カテーテルは、カテーテルの挿入のために小さな形状に折り畳まれたバルーンを含む。バルーンを広げ、ステントを留置するために、液圧によってバルーンが拡張される。バルーンを広げるこのプロセスにより、不均一なステントの拡張を生じる折り目により、バルーンの拡張中に不均一な圧力がステントに適用される。
【0010】
到達が困難である血管中へのステントの導入を促進するために、ステントに可撓性をもたらすことが望ましい。しかしながら、多くの場合、長手方向の可撓性を提供するステントの特性(これは血管内にステントを導入する際に望ましい)は、拡張状態のステントを維持する際に不利であり得る。例えば、独立セル構造又はほぼ菱形のセルの相互接続したリングから形成されるステントは、典型的に1つ以上の螺旋から形成されるステントよりも可撓性が低いが、通常、螺旋ステントよりも均一に、かつ一貫して拡張可能である。均一かつ一貫した方法で拡張されるように適合された、実質的な可撓性を備えるステントを提供することが望ましい。
【0011】
参照として組み込まれる国際公開第03/015664号において、薬物送達のための開口部を有する相互接続したストラットを有するステントが開示される。しかしながら、ストラットを架橋する要素は一般的にストラットよりも薄く、更に離間している。したがって、このような薬物溶出ステントにおいて、架橋要素は、低減した又は一貫性のより少ない薬物送達の領域を提供し得る。低減した又は一貫性のより少ない薬物供給の領域が低減され得る、薬物溶出ステントを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、組織支持医療装置及び薬物送達システム、より具体的には、生きている動物又はヒトの身体管腔内に埋め込まれて器官を支持し、開存性を維持し、及び/又は薬物若しくは薬剤を送達する拡張可能装置に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態において、可撓性ステントは、近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える。円筒形は長手方向軸を画定する。可撓性ステントは、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。各ストラット部材は対向する長手方向に配置された長辺及び対向する周囲方向に配置された短辺を備える実質的な矩形を有する。各ヒンジ部材は、各ストラット部材の短辺に沿って、ストラット部材に接続される。バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる少なくとも1つの接続部材は、各端部においてストラット部材の短辺に取り付けられる。コネクタ部材は、ヒンジ部材には取り付けられない。
【0014】
本発明の別の実施形態において、管状可撓性ステントは、近位端部及び遠位端部を備え、長手方向軸を画定する円筒形を有する。可撓性ステントは、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。螺旋状区分は、近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、近位遷移領域及び遠位遷移領域のピッチ及び入射角は中央領域とは異なる。
【0015】
本発明の更に別の実施形態において、管状可撓性ステントは、近位端部及び遠位端部を有し、長手方向軸を画定する円筒形を有する。可撓性ステントは、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。螺旋状区分は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを更に含み、バンドに沿った隣接するストリングは異なるストリングパターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の一実施形態による、拡張(留置)状態の可撓性ステントの斜視図。
【図1B】本発明の一実施形態による、収縮状態の可撓性ステントの斜視図。
【図1C】本発明の一実施形態による、「切り出したまま」の(製造時の)状態の可撓性ステントの斜視図。
【図2】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図3】図2の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図4A】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、ストラットのクローズアップ平面図。
【図4B】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、ストラットのクローズアップ平面図。
【図4C】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、ストラットのクローズアップ平面図。
【図4D】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、有機的に最適化されたストラットのクローズアップ平面図。
【図5A】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、延性ヒンジのクローズアップ平面図。
【図5B】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、延性ヒンジのクローズアップ平面図。
【図6A】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6B】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6C】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6D】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6E】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6F】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6G】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6H】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6I】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6J】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6K】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6L】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6M】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図7】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、指標ヒンジのクローズアップ平面図。
【図8】螺旋状バンド(ラップ)の入射角度を説明するための、図3に示した中央領域のクローズアップ平面図。
【図9A】本発明の一実施形態による、図2に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図9B】本発明の一実施形態による、図2に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図10】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図11】図10の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図12】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図13】図12の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図14】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図15】図14の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図16】本発明の一実施形態による、図14に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリング及び接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図17】本発明の一実施形態による、図12に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリング及び接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図18】本発明の一実施形態による、図10に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリング及び接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図19】本発明の一実施形態による、デポーを有さない可撓性ステントの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のステントは、可撓性及び送達性に極めて優れながらも、依然として血管開存性を維持するに十分な半径方向強度を提供する。このステントは、コバルトクロム合金、ステンレス鋼合金、又はニッケルチタン合金が挙げられる好適な材料から作製される管を、レーザー切断することによる等、任意の好適な方法で形成することができる。本発明の冠動脈可撓性ステントは、本発明の一実施形態を説明するために開示されるが、開示される発明は、身体内の他の場所及び他の管腔、例えば脈管、非脈管、及び末梢の血管、管等に等しく適用し得ることを当業者は理解する。
【0018】
本発明の一態様により、可撓性ステントは、小径へと収縮し、送達カテーテルによって、身体管腔を通り標的部位へと経皮的に送達されるように設計される。標的部位は、例えば心臓動脈であってよい。一旦留置されると、可撓性ステントは、血管開存性を維持し、必要な場合は、制御された量の薬物又は薬剤を送達する働きをする。
【0019】
本発明の一実施形態による、可撓性ステント100の拡張(留置)状態、収縮状態、及び「切り出したままの」すなわち製造時の状態の斜視図を、それぞれ図1A、図1B及び図1Cに例示する。ステント100は、図1Cに示すように、最初に製造した時の「切り出したままの」直径D3を有する。ステント100は、患者への挿入、及び血管を通したナビゲーションのために、図1Bに示す第1の直径D1にまで収縮され、図1Aに示す第2の直径D2は、血管の標的領域内に留置するためであり、第2の直径は第1の直径よりも大きい。
【0020】
可撓性ステント100は、管腔側表面101及び反管腔表面102、並びにその間の厚さ(壁厚さ)である「T」を有する構造的要素の管状形態を備える円筒形である。このステントの円筒形は、長手方向軸103を画定し、近位端部104及び遠位端部105をそれぞれ有する。
【0021】
近位及び遠位という用語は、一般的に、人体に対する方向又は位置を意味するために使用される。例えば、骨の近位端は、身体の中心により近い、骨の末端部を言及するために使用してもよい。逆に、遠位という用語は、身体から最も遠い、骨の末端部を言及するために使用することができる。脈管構造においては、近位及び遠位は、それぞれ、心臓へと向かう血液の流れ、又は心臓から離れる血液の流れを言及するために使用される場合がある。本発明に記載の可撓性ステントは、動脈系及び静脈系の双方を含め、多くの異なる身体管腔側で使用し得るため、本出願での、近位及び遠位という用語の使用は、送達の方向に関する相対的位置を説明するために使用される。例えば、本出願での遠位端部という用語の使用は、送達経路に関連して、脈管内に最初に導入され、身体内への挿入ポイントから最も遠い、ステントの末端部を説明する。逆に、近位端部という用語の使用は、送達経路に関連して、身体内への挿入ポイントに最も近い、ステントの後端部を説明するために使用される。
【0022】
図2及び図3は、本発明の一実施形態による、ステント100の部分的な拡張状態の平面図である。本明細書で使用する場合、平面図という用語は、その底端縁が円筒を包み込んで上端縁に接続可能なように、長手方向軸に沿って切られて平坦に広げられているステントの2次元(2−D)図であると理解される。
【0023】
ステント100の構造は、一般的に、それぞれ、近位端104に沿った環状端部区分106、遠位端105に沿った環状端部区分107、及びその間の螺旋状内側区分108を含む。螺旋状内側部108は、中央領域111、近位遷移領域109、及び遠位遷移領域110を更に含む。遷移領域109、110は、中央領域111と、近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107との間で遷移する。図3は、異なる区分及び領域を示す、ステント100の分解組立平面図である。
【0024】
ステント100は、一連の円周方向に配置された延性ヒンジ114によって接続される、複数の長手方向に配置されたストラット113を含む。円周方向に隣接するストラット113は、ヒンジ114によって、実質的にS又はZ形状の正弦波状パターンとして両端で接続され、バンドを形成する。可撓性接続部112は、様々な充填状態の下での構造安定性のために、ステント100の構造の全体に分配される。図1〜3に示すステントの設計は、可撓性の接続部形状を有するが、多種多様な接続部形状が想到される。一般的には、図6B〜図6Hを参照されたい。
【0025】
ステント100内の、内側螺旋状区分108が環状端部区分106、107に最初に接続する区域は、固定点と称され、その場所のヒンジ114は、「固定ヒンジ」と称される。この「テイクオフ」点は、設計制約に基づいて変化し得る。更には、入射角度、ストラットの厚さ、ストラットの幅、ヒンジの幅、ヒンジの長さ、デポーの位置及び寸法、並びに接続の長さは、最適化及び設計制約に基づいて変化し得る。
【0026】
本明細書で使用する、長手方向、周囲方向、及び半径方向に配置された、という用語は、ステント100及び長手方向軸103に対する特定の方向を表すものとして知られる。長手方向に配置された部材は、両端間方向で(部材の軸に沿って)方向付けられ、一般的には長手方向軸103の方向である。図を検討すれば、ストラット113の長手方向は、ステント100が図1Aに示すような拡張、留置状態の場合よりも、ステント100が図1Bに示すような収縮状態の場合に、より長手方向軸と平行に近いことが明らかである。いずれにせよ、どちらの場合も、ストラット113の軸線が実質的に長手方向軸と同じ方向に配置されているため、ストラット113は長手方向に配置されると考えられる。ヒンジ114等の、周囲方向に配置される部材は、実質的に管状ステント100の外周に沿って方向付けられる。同様に、半径方向、又は半径方向の配向は、一般に、長手方向軸から外方に管状ステント100の外周へと横断面内で延びる半径に沿う。
【0027】
図4A、図4B、及び図4Cは、本発明な様々な実施形態による、典型的なストラット113を示す。各ストラット113は、長手方向に延びる長辺115及び周囲方向に延びる短辺116を有する、実質的に矩形の部材である。対向する長辺115及び対向する短辺116は、図4Aに示すストラット113によって表されるように、実質的に互いに平行で完全に近い矩形を形成してもよく、又は図4Bに示すストラット113によって表されるように、傾斜、すなわち角度が付けられてテーパー形状のストラット113を形成してもよい。図4A及び図4Bで分かるように、ヒンジ114は、ストラット113に、ストラットの短辺116に沿って取り付けられるが、本発明の好ましい例示的な実施形態では、ストラットの幅(短辺116の長さ)は、ヒンジ114の幅よりも大きい。図4Bに示すように、可撓性接続部112は、ストラット113に、ストラット113の短辺116に沿って取り付けられるが、ヒンジ114には接続しない。
【0028】
図4Cは、ステント100の設計の、いくつかの実施形態に見ることができる、独特なストラット113を表す。図4Cに示されるストラット113は、円形ヒンジ114(以降で記載される)に対する2つの接続部及び可撓性接続部112に対する2つの接続部によって特徴付けられる。このストラット113は、近位端及び遠位端(ヒンジ114及び可撓性接続部112の接続部)で最大幅であり、長手方向のストラット113の長さの中点近傍で最小幅となるようにテーパーが付けられる。換言すれば、図4Cに示すストラット113の短辺116の長さは、ストラット113の長手方向の中心点近傍の幅よりも大きい。
【0029】
ストラット113は、少なくとも1種の薬剤を収容するための、1つ以上のデポー117を有し得る。デポー117は、薬剤を保持することが可能な、陥没部、溝、孔、又は空洞のいずれの形状であってもよいが、好ましくは、ステント100を貫通して精密に形成される、貫通孔である。好ましい実施形態では、貫通孔は、管腔側表面から反管腔側表面へと、ストラットを貫通している。この好ましい形態によって、薬剤が、半径方向内方及び半径方向外方の両方の方向で、ステント100の管腔側面及び反管腔側面に沿って送達されることが可能になる。加えて、デポー117には、ポリマーインレーを、単独で、又は1種以上の薬剤を溶液中若しくは別の方法で含有して、充填することができる。同一のステント内の様々なデポー117には、同じ薬剤、又は異なる薬剤を充填してもよく、また同じ濃度の薬剤、又は異なる濃度の薬剤を有してもよい。いずれの個別のデポー117にも、1つ又は複数種の薬剤を充填することができ、また薬剤をバリア層によって隔てることができる。バリア層は、薬剤を隔てる必要に応じて、デポー117内に様々な形態で配置し得る。好ましい実施形態では、バリア層は、管腔側ステント表面と平行に配向される。
【0030】
ストラット113は、図4A〜図4Cに示すように、対称的な寸法のデポー117を有してもよく、又は図4Dに示すように、有機的に最適化されたデポー117を含んでもよい。有機的に最適化されたデポー117は、いずれのストラット113の所定の寸法に対しても、デポー117の容積を最大化する一方で、ステント100が拡張された時の構造的一体性の維持に不可欠な、材料の追加又は除去による、全機構の応力状態を低減するように設計される。
【0031】
薬剤とは、本明細書においてこの用語が使用される際、以下を含むいずれかの治療用又は薬剤であり得る:ビンカアルカロイド等の天然産物を含む抗増殖剤/有糸分裂阻害剤(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピジポドフィルロトキシン(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(L−アスパラギンを全身で代謝し、それら自体のアスパラギン合成能力を有さない細胞を枯渇させるL−アスパラギナーゼ);窒素マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネート−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼンス−ダカルバジニン(DTIC)等の抗増殖剤/抗有糸分裂アルキル化剤;葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連した阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2−クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})等の抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗剤;白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(すなわち、エストロゲン);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩及びトロンビンの他の阻害剤);線維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ等)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(antisecretory)(ブレベルジン);副腎皮質ステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トライアムシナロン、βメタゾン及びデキサメタゾン)、非ステロイド性薬剤(サリチル酸誘導体、すなわちアスピリン:等の抗炎症剤;パラ−アミノフェノール誘導体、すなわちアセトアミノフェン;インドール及びインデン酢酸(インドメタシン、スリンダク及びエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸、及びメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム);免疫抑制剤:(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);血管形成剤:血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF);一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれらの組み合わせ。
【0032】
1つ以上の薬剤を、1つ以上のデポー117内に分配するか、管腔側若しくは反管腔側のステント100表面の少なくとも一部に沿って分配するか、又はデポー及び/若しくはステント表面の任意の組み合わせで分配してもよい。好ましい実施形態では、薬剤はデポー117内にのみ分配され、それによって薬剤が露出する表面積は、ステント100表面(管腔側、反管腔側、又は双方)のデポー開口部の断面積に制限される。この設計によって、患者への挿入時には実質的にベアメタルの表面積を有するステント100からの、薬剤の送達が可能になる。好ましい実施形態では、ステント100の患者への挿入時に、ステント100のベアメタルが露出する表面積は、40〜95%であり、最も好ましくは、ステント100の患者への挿入時に、約75%がベアメタルである。すなわち、ステント100の表面積は、約25%が薬剤であり、約75%がベアメタルである。薬剤が放出されると、ステント100は純粋なベアメタルステントになる。
【0033】
好ましい実施形態では、デポー117は、ストラットパターン全体にほぼ均一に分配され、使用するステントの直径又は長さとは関係なく、留置されたステント100の単位表面積当たりの、一定の薬剤用量を提供する。ストラット113は、製品設計に適合させる必要に応じて、長さ、入射角度、デポー形態、及び幅を変化させてもよい。
【0034】
延性ヒンジ114は、周囲方向で隣接する2つのストラット113の間の接続要素として使用される。ステント100内には、2種類の延性ヒンジ114が存在する。図5A及び図5Bは、本発明の一実施形態に見られる、2つの典型的な延性ヒンジを示す。図5Aは、周囲方向で隣接する2つのストラット113を接続する、単一の「自由ヒンジ」114aを表す。好ましい実施形態では、この自由ヒンジ114aは「C」形状であり、湾曲区分上の頂点を通って描かれた基準線「A」を中心として実質的に対称である。図5Bは、周囲方向で隣接する2つのストラット113を接続する、延性ヒンジ114bを表し、このストラットの一方は、可撓性接続部112に更に接続する。この延性ヒンジ114bは、図5Aに開示した「C」形状の自由ヒンジ114aよりも円形であり、本明細書で「円形ヒンジ」14bと称される場合がある。自由ヒンジ114a及び接続ヒンジ114bは、本明細書では個別に特定されるが、一般的に、双方とも延性ヒンジ114と称される場合がある。円形ヒンジ14b周辺の領域は、円形ヒンジ領域と称される。可撓性接続部112及び円形延性ヒンジ114bは双方とも、円形ヒンジ領域内で、ストラット113の同一短辺116に接続するが、相互には接続されない。
【0035】
図6Aは、螺旋状区分108の隣接する屈曲部上の2対のストラット間の接続部として働く「円形ヒンジ領域」118の更なる詳細を提供する。このヒンジ領域118は、数個の構成要素を含み、対のストラットを形成する周囲方向で隣接するストラット113の間に延性領域を提供する一方で、可撓性接続部112によって、長手方向で隣接するストラット対の間に必要な接続性を提供する。長手方向で隣接するストラット対、及び相互接続する可撓性接続部112は、組み合わされた時、「4連(quad)ヒンジ領域」として知られる領域を作り出す。この領域は、円形ヒンジ114b及び可撓性接続部112によって直接的に、又は間接的に接続される4つのストラットから構成される。入射角度、ヒンジ114bの幅、テーパーの度合、長さ、及び孔のパターンは、ステントの設計意図、機構の位置、及びステント性能の最適化に基づいて変更される。図6B〜図6Mは、円形ヒンジ領域118内の隣接するストラット対を接続するために使用し得る、様々な接続部112を示す。
【0036】
図7は、ステント100の製造プロセス中で重要な、ステントの別の主要属性を示す。円内の延性ヒンジ114は、「指標ヒンジ」として知られる。この「指標ヒンジ」は、より長いストラット113の長さで特徴付けられ、そのため、この延性ヒンジ又はストラット113先端部は、正弦波形状末端環内の残りのストラット上のストラット113先端部の平面を超えて突出する。説明を容易にするため、長手方向軸103に対して垂直、かつ指標ヒンジの上と下のヒンジ114の両方の湾曲面に接する基準線Aが描かれている。基準線Bは、長手方向軸103に対して垂直、かつ指標ヒンジを表すヒンジ114の湾曲面に接して描かれている。長手方向軸に沿った、基準線Aと基準線Bとの間の距離は、この指標によって提供されるオフセットである。このオフセットは、ステント100の配置を判定する助けとなる基準ポイントとして役立つ。「指標ヒンジ」は、近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107に沿った任意の位置に存在し得る。
【0037】
一般的に言えば、延性ヒンジ114は、周囲のストラット113よりも実質的に幅が薄い、変形可能な要素である。このことによって、延性ヒンジ114は、塑性変形を保持しつつ、その変形状態においても依然として可撓性を維持することが可能になる。したがって、ストラット113は、延性ヒンジ114よりも遙かに強固であり、それ故ステントの拡張中に塑性変形を全く起こさない。ストラット113は、本質的に、剛体として回転するが、一方、延性ヒンジ114は、ステントの拡張に関連する塑性歪みに耐えるべく設計される。結果として、ストラット113内のデポー117は、薬剤及び/又はポリマーインレーの損傷若しくは脱落を引き起こす恐れのある、拡張中の過度の応力から守られる。デポー117は、ステント留置プロセスの全体を通して、応力の残留しない状態が理想的である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、延性ヒンジ114は、ステント100に十分な半径方向剛性を与えると同時に、完全拡張時のピーク塑性歪みが、材料の歪み伝搬能力を超えることがないように、テーパーを付けた幅を使用することによって最適化される。この、幅のテーパー付けは、ヒンジ114の各種類に関して、その延性ヒンジ114の長さに沿った、むらのない均一な塑性歪みの分布を達成するように最適化される。歪み分布にむらをなくし、延性ヒンジ114内の歪みの集中を排除することによって、幅が最大化され、またそれによって剛性が最大化される。延性ヒンジ114の剛性の最大化は、ステント100に半径方向剛性及び疲労耐久性を提供するという点で有利である。
【0039】
概して、テーパー状延性ヒンジ114の幅は、ヒンジ114の根部に近づくにつれて徐々に増大し、ヒンジ114は、その根部で、より幅広のストラット113(又はより剛性の構造)へと急激に遷移する。このことが、塑性歪みがヒンジ根部へ集中することを防ぐが、これはテーパー状ヒンジ根部がより剛性があり、それ故、塑性歪みがヒンジ114の中央部分に分配されるためである。延性ヒンジ114の中央部分は、湾曲部の頂点を含み、通常は均一な幅を有する。
【0040】
再び図2及び図3に戻ると、環状端部区分106、107は、周囲方向に配列されて長手方向に配向された複数のストラット部材113を含み、このストラット部材113は、実質的に正弦波状のS又はZ形状のパターンで、周囲方向に配向された複数の延性ヒンジ114によって両端部を接続され、バンドを無終端の環に形成する。図示の実施形態では、端部区分106、107は、ステント設計の最適化の必要に応じて長さが変わるストラット113から形成され、内側螺旋状部分108が最初に環状端部区分106、107に接続する固定点での接続に必要な形状を提供する。
【0041】
環状端部区分106と環状端部区分107との間に、ステント100の内側螺旋状区分108があり、そこでは正弦波形状に配列されたストラット113及びヒンジ114のバンドが螺旋状の経路をたどる。内側区分108の螺旋状バンドは、ストラット113を、長短の長さが交互に反復するパターンで配列することによって達成される。螺旋状内側部108は、それぞれ近位遷移領域109、遠位遷移領域110、及び中央領域111へと更に区分することができる。
【0042】
中央領域111は、ストリング(要素の集合体)を含み、このストリングは、隣接するストラット部材113及びヒンジ部材114の群から形成され、一定のストリングパターンを形成するように編成される。本発明の一実施形態では、隣接するストリングは、異なるストリングパターンを有し、反復ストリングは、幾何学的に対称であって、反復する中央パターンを形成する。本発明の好ましい実施形態では、反復する中央パターンは、2つの異なる反復ストリングのみからなる。したがって、中央領域111は、一定のピッチ及び一定の入射角度を有する。
【0043】
本明細書で使用するピッチという用語は、所定の領域にわたる正弦波形状の回数であると理解される。これは、歯車の直径ピッチに類似した命名法である。ピッチが大きくなるにつれて、正弦波形状の回数が増加し、すなわち、正弦波状バンドが長手方向軸103を中心に巻かれた際に、1巻き当たりに認められるストラット113及び延性ヒンジ114の数が増大することになる。このことによって、ストラット113及びヒンジ114の非常に密なパターンが作り出される。逆に、ピッチが小さくなるにつれて、正弦波形状の回数が減少し、したがって、正弦波状バンドが長手方向軸103を中心に巻かれた際に、1巻き当たりに認められるストラット113及びヒンジ114の数が減少することになる。入射角度という用語は、具体的には、ステント100の螺旋巻成形区域に言及し、正弦波状バンドが長手方向軸で作る(巻かれる)角度を意味すると理解される。
【0044】
図8は、図3に示した中央領域111の、クローズアップ2次元図である。第1基準線「A」は、長手方向軸103に平行に描かれている。第2基準線「B」は、正弦波状バンドの方向を表すよう描かれている。入射角度(α)は、基準線「A」と基準線「B」との角度である。
【0045】
図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態による、ステント100の中央領域111を形成する反復パターンの部分である2つのストラットストリングを示す。図3、図8、図9A、及び図9Bを参照すると、中央領域111は、図9Bに示す自由ストラットストリング119によって、遠位遷移領域110の近位端から開始する。図示の自由ストラットストリング119は、自由ヒンジ114aによって、2つのデポーの短いストラット113を両末端部に接続された、3つのデポーの長いストラット113を含む。自由ストラットストリング119は、その近位端を、接続ストラットストリング120の遠位端に取り付けられる。接続ストラットストリング120は、その近位端及び遠位端の接続ヒンジ114b、並びに自由ヒンジ114aによって接続された3つの長い(3つのデポーの)ストラット113及び2つの短い(2つのデポーの)ストラット113の交互の配列を含む。この自由ストラットストリング119及び接続ストラットストリング120の交互のパターンは、中央領域111が、近位遷移領域109に出合うまで継続する。図3に示される実施形態は、5つの自由ストラットストリング119と4つの接続ストラットストリング120とを含む中央領域を有する。ステント100の長さは、近位遷移領域109及び遠位遷移領域110、並びに近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107を開示のように維持しつつ、中央領域111の追加又は短縮によって、すなわち、反復パターンの維持の必要に応じた、自由ストラットストリング119若しくは接続ストラットストリング120の追加又は除去によって変更することができる。
【0046】
近位遷移領域109及び遠位遷移領域110は、可変のピッチの区域であって、そこに反復性又は対称性は存在しない。近位遷移領域109及び遠位遷移領域110は、中央領域111と、近位環状端部区域105及び遠位環状端部区域107との間の遷移において、ピッチの逓減をもたらすように構成される。近位遷移領域109及び遠位遷移領域110は、固定ヒンジと呼ばれる接続形状によって、それぞれ近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107に接続される。
【0047】
上記の図で示したステント100の設計は、開放セル設計として既知であり、長手方向に隣接する正弦波形状要素の屈曲部間の接続部が、長手方向に隣接するあらゆるヒンジ114又はストラット113にわたって存在するのではなく、構造体全体に断続的にのみ存在することを意味する。長手方向に隣接するあらゆるヒンジ又はストラットが接続される設計は、クローズドセル設計として既知である。オープンセル構造は、通常、クローズドセル構造よりも可撓性である。
【0048】
前述のように、ステント100の一般的構造は、各端部における環状端部区分106、107を備える螺旋状内側部108及び様々な充填状態の下での構造的安定性のための、構造全体に分布する接続部112を含む。螺旋状内側区分108は、一定のピッチ及び入射角度を有する中央領域111、並びにそれぞれ近位遷移領域109及び遠位遷移領域110に更に区分することができる。この通常の構造は、異なる寸法の様々なステントに関して同一のままであるが、要素(ストラット、ヒンジ、及び屈曲接続部)の形状及びパターンは、様々な所望のステント直径に適合させる必要に応じて変更することができる。
【0049】
図10〜15は、異なる直径寸法のステントに関する、ステント設計の様々な実施形態を示す。図10、図12、及び図14は、それぞれ、異なる寸法及びパターンのステント200、300、400を示す、図2に類似の2次元平面図である。図11、図13、及び図15は、それぞれ、ステント200、300、400の、異なる区分及び領域を示す、図3に類似の分解組立平面図である。説明の容易性のために、ステント100の同様の要素に対し、同様の参照番号を割り当てており、故にステント100に関する要素の説明は、ステント200、300及び400における同様の要素に対して等しく適用されることが理解される。
【0050】
各ステントのパターンの設計は、そのステントの意図する標的血管の処置に基づき、標的となる最良の結果に向けてカスタマイズされる。図10及び図11は、極小径の標的血管の病変を対象とするステント200の一実施形態を表す。極小径のステント類は、いくつかの設計特徴により、非常に小さい血管径に最適化されており、小径の管状材料から製作するように意図されている。
【0051】
極小ステントに関する現行の実施形態は、正弦波形状の近位環状端部区分206及び遠位環状端部区分207を含み、環状端部区分206、207のそれぞれの10個のストラット213から構成される。環状端部区分206と環状端部区分207との間に、ステント200の内側螺旋状区分208があり、そこではストラット213及びヒンジ214の正弦波形状の配列が、螺旋状の経路をたどる。内側区分208の螺旋状経路は、ストラット213を、長短の長さが交互に反復するパターンで配列し、バンドを形成することによって達成される。各内側バンドの中には、1巻き当たり9個のストラット213が存在する。重要な加工パラメーターを維持しつつ、ストラットの数を減らすことで、ステントの性能を向上させることができる。螺旋状内側区分208は、図11に示すように、それぞれ近位遷移領域209、遠位遷移領域210及び中央領域211へと更に区分することができる。
【0052】
中央領域211は、バンド内で反復パターンを形成するように、幾何学的に対称な、反復ストラットストリング又はストラットのみからなる。したがって、中央領域211は、一定のピッチ及び一定の入射角度を有する。反復内側部パターンは、3つのストラット2種類のパターンから構成され、これらが交互に現れ9個のストラットの反復内側部パターンを形成する。
【0053】
図18は、本発明の例示的な一実施形態による、ステント200の中央領域211からの、反復パターンの部分である、2つのストラットストリング219及び220を示す。図10、図11、及び図18を参照すると、中央領域211は、図18に示す自由ストラットストリング219によって、近位遷移領域209の遠位端から開始する。図示の自由ストラットストリング219は、自由ヒンジ214aによって、短い(2つのデポーの)ストラット213を両末端部に接続された、長いストラット(4つのデポーの)213を含む。自由ストラットストリング219は、その遠位端上で、接続ストラットストリング220の近位端に取り付けられる。接続ストラットストリング220は、その近位端及び遠位端の接続ヒンジ214b、並びに自由ヒンジ214aによって接続された2つの長い(4つのデポーの)ストラット213及び1つの短い(2つのデポーの)ストラット213の交互の配列を含む。この自由ストラットストリング219及び接続ストラットストリング220の交互のパターンは、中央領域211が、遠位遷移領域210に出合うまで継続する。図10及び図11に示す実施形態は、6つの自由ストラットストリング219と6つの接続ストラットストリング220とを含む中央領域を有する。
【0054】
中程度の寸法のステントに関する、現行の実施形態は、12個のストラット313の末端環から構成され、正弦波形状の近位環状端部区分306及び遠位環状端部区分307を含む。環状端部区分306と環状端部区分307との間に、ステント300の内側螺旋状区分308があり、そこではバンド内のストラット313及びヒンジ314の正弦波形状の配列が、螺旋状の経路をたどる。内側区分308の螺旋状経路は、ストラット313を、長短の長さが交互に反復するパターンで配列し、バンドを形成することによって達成される。内側螺旋状区分108の中には、バンド1巻き当たり13個のストラット313が存在する。重要な加工パラメーターを維持しつつ、ストラットの数を増やすことで、ステントの性能を向上させることができる。螺旋状内側区分308は、図13に示すように、近位遷移領域309、遠位遷移領域310及び中央領域311へと更に区分することができる。
【0055】
中央領域311は、反復パターンを形成するように、幾何学的に対称な、反復ストラットストリング又はストラットの集合のみからなる。したがって、中央領域311は、一定のピッチ及び一定の入射角度を有する。反復内側部パターンは、3つのストラットの1種類のパターン及び5つのストラットの1種類のパターンから構成され、これらのパターンが交互に現れ、13個のストラットの反復内側部パターンを形成する。
【0056】
図17は、本発明の例示的な一実施形態による、ステント300の中央領域311を形成する反復パターンの部分である、2つのストラットストリング319及び320を示す。図12、図13、及び図17を参照すると、中央領域311は、図17に示す自由ストラットストリング320によって、近位遷移領域の遠位端から開始する。図示の接続ストラットストリング720は、その近位端及び遠位端の接続ヒンジ314b、並びに自由ヒンジ314aによって接続された3つの長い(3つのデポーの)ストラット313の配列を含む。自由ストラットストリング319は、その近位端上で、接続ストラットストリング320の遠位端に取り付けられる。図示の自由ストラットストリング319は、自由ヒンジ314aによって相互接続された、一連の3つの長い(3つのデポーの)ストラット313を含む。3つの、3つのデポー(three, three depot)のストラット313は、両末端部上で、自由ヒンジ314aによって、短い2つのデポーのストラット313に接続される。接続ストラットストリング320及び自由ストラットストリング319の交互のパターンは、中央領域311が、遠位遷移領域310に出合うまで継続する。図12及び図13に示す実施形態は、3つの接続ストラットストリング320と2つの自由ストラットストリング319とを含む中央領域を有する。ステント300の長さは、近位遷移領域309及び遠位遷移領域310、並びに近位環状端部区分306及び遠位環状端部区分307を開示のように維持しつつ、中央領域311の追加又は短縮によって、すなわち、反復パターンの維持の必要に応じた、接続ストラットストリング320若しくは自由ストラットストリング319の追加又は除去によって変更することができる。
【0057】
図14及び図15は、大径の標的血管の病変を対象とするステント400の一実施形態を表す。大径のステント類は、いくつかの設計特徴により、より太い血管に最適化されている。従来の設計と同様に、現行の実施形態は、12個のストラット413から構成される正弦波形状の近位環状端部区分406及び遠位環状端部区分407を含む。端部区分406、407内のストラット413は、様々な長さであるが、全体として、より大径のステント設計におけるストラットは、同等のより小さい公称ステント設計の典型的なストラットよりも長い。端部区分406、407は、図15に示すように、いくつかのポイントによって、近位遷移領域409及び遠位遷移領域410に接続される。
【0058】
図16は、本発明の例示的な一実施形態による、ステント400の中央領域411からの、反復パターンの部分である、2つのストラットストリングを示す。図14、図15、及び図16を参照すると、中央領域411は、図16に示す自由ストラットストリング419によって、遠位遷移領域410の近位端から開始する。図示の自由ストラットストリング419は、自由ヒンジ414aによって相互接続された、短い(3つのデポーの)ストラット113及び長い(4つのデポーの)ストラットの交互配列を含む。自由ストラットストリング419は、その近位端を、接続ストラットストリング420の遠位端に取り付けられる。接続ストラットストリング420は、3つのストラット413の長さであり、その近位端及び遠位端に、接続ヒンジ414bを含む。接続ストリング420内の3つのストラットは、自由ヒンジ414aによって相互接続された、長い(4つのデポーの)ストラット413及び短い(3つのデポーの)ストラット413の交互配列を含む。この自由ストラットストリング419及び接続ストラットストリング420の交互のパターンは、中央領域411が、近位遷移領域409に出合うまで継続する。図15に示す実施形態は、3つの自由ストラットストリング419と2つの接続ストラットストリング420とを含む中央領域を有する。
【0059】
本発明はまた、図2、図10、図12、及び図14に開示したものに類似したストラット/ヒンジ配置となる、中実ストラットの使用もまた考慮する。図19は、類似の設計構造を有するが、ストラット513に沿ったデポーを有さないステント500を示す。ステント500は、ベアメタルステントと使用してもよく、あるいは当該技術分野において既知であるような薬剤及び/又は適切な担体で、部分的に若しくは完全に被覆することができる。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記各ストラット部材は対向する長手方向に配置された長辺及び対向する周囲方向に配置された短辺を備える実質的な矩形を有し、前記各ヒンジ部材は、前記ストラット部材の前記短辺に沿って、前記周囲方向に隣接するストラット部材に接続される、螺旋状区分と、
前記バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる少なくとも1つの接続部材であって、前記接続部材は長手方向に隣接するストラット部材の前記短辺に取り付けられ、前記接続部材は長手方向に隣接するヒンジ部材には取り付けられていない、少なくとも1つの接続部材と、を含む、管状可撓性ステント。
(2) 前記バンドが、実質的にS又はZ型の正弦波状パターンを有する、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(3) 前記各ストラット部材の幅が、前記ストラット部材に取り付けられた前記各ヒンジ部材の幅より大きい、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(4) 少なくとも1つの前記ストラット部材の幅がその長手方向長さに沿ってテーパー形状になっている、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(5) 前記ストラット部材の幅は、前記短辺の一方において最大であり、対向する前記短辺において最小である、実施態様4に記載の可撓性ステント。
(6) 前記ストラット部材の幅が、前記対向する短辺の間の前記ストラット部材の長さに沿った一点において最小である、実施態様4に記載の可撓性ステント。
(7) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(8) 前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(9) 前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、実施態様8に記載の可撓性ステント。
(10) 前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様7に記載の可撓性ステント。
【0061】
(11) 前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様10に記載の可撓性ステント。
(12) 前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(13) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(14) 前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、実施態様13に記載の可撓性ステント。
(15) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、実施態様8に記載の可撓性ステント。
(16) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、実施態様8に記載の可撓性ステント。
(17) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(18) 前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(19) 前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、実施態様18に記載の可撓性ステント。
(20) 前記螺旋状区分は、近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、実施態様1に記載の可撓性ステント。
【0062】
(21) 前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、実施態様20に記載の可撓性ステント。
(22) 前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、実施態様20に記載の可撓性ステント。
(23) 前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、実施態様20に記載の可撓性ステント。
(24) 前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、実施態様23に記載の可撓性ステント。
(25) 前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、実施態様24に記載の可撓性ステント。
(26) 複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される近位端環であって、前記近位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記近位端に取り付けられている、近位端環と、
複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される遠位端環であって、前記遠位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記遠位端に取り付けられている、遠位端環と、を更に含む、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(27) 近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分は近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
(28) 前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
(29) 前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
(30) 前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
【0063】
(31) 前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、実施態様30に記載の可撓性ステント。
(32) 前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、実施態様31に記載の可撓性ステント。
(33) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
(34) 前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(35) 前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、実施態様34に記載の可撓性ステント。
(36) 前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(37) 前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様36に記載の可撓性ステント。
(38) 前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(39) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(40) 前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、実施態様39に記載の可撓性ステント。
【0064】
(41) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、実施態様34に記載の可撓性ステント。
(42) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、実施態様34に記載の可撓性ステント。
(43) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(44) 前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(45) 前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、実施態様44に記載の可撓性ステント。
(46) 前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(47) 前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、実施態様46に記載の可撓性ステント。
(48) 近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分はストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
(49) 前記螺旋状区分が、反復螺旋状パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、実施態様30に記載の可撓性ステント。
(50) 前記反復螺旋状パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、実施態様31に記載の可撓性ステント。
【0065】
(51) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様32に記載の可撓性ステント。
(52) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様48に記載の可撓性ステント。
(53) 前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(54) 前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、実施態様53に記載の可撓性ステント。
(55) 前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(56) 前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様55に記載の可撓性ステント。
(57) 前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(58) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(59) 前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、実施態様58に記載の可撓性ステント。
(60) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、実施態様53に記載の可撓性ステント。
【0066】
(61) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、実施態様53に記載の可撓性ステント。
(62) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(63) 前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(64) 前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、実施態様63に記載の可撓性ステント。
(65) 前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(66) 前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、実施態様65に記載の可撓性ステント。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年2月2日に出願された米国特許仮出願番号第61/149,244号の利益を請求し、これは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、組織支持医療装置及び薬物送達システム、より具体的には生きている動物又はヒトの身体管腔内に埋め込まれて器官を支持し、開存性を維持し及び/又は薬物若しくは薬剤を送達する拡張可能装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
過去において、通路の開存性を維持し、及び/又は薬物若しくは薬剤を局部的に送達するための、身体通路内の埋め込みのために、恒久的な又は生分解性の装置が開発されてきた。これらのデバイスは、通常、経皮的に導入され、所望の位置に配置されるまで、経腔的に移送される。次いで、これらのデバイスは、デバイスの内部に配置されたマンドレル又はバルーンの拡張等により機械的に、又は身体内での作動時に貯蔵エネルギーを放出することによりそれ自体を拡張する。一旦、管腔内で拡張すると、典型的にステントと称されるこれらの装置は、体内組織の中に閉じ込められ、恒久的なインプラントとして残る。
【0004】
既知のステントの設計は、単繊維ワイヤコイルステント(米国特許第4,969,458号)、溶接した金属ケージ(同第4,733,665号及び同第4,776,337号)、並びに最も顕著には、周囲に形成された軸方向スロットを備える薄壁金属円筒(同第4,733,665号、同第4,739,762号及び同第4,776,337号)が挙げられる。ステントで用いる既知の構成材料としては、ポリマー、有機繊維及び、ステンレススチール、金、銀、タンタル、チタン、コバルトクロムのような生体適合性金属、並びにニチノール等の形状記憶合金が挙げられる。
【0005】
米国特許第4,733,665号、同第4,739,762号及び同第4,776,337号は、部材が半径方向外側に拡張して身体通路と接触することを可能にする軸方向のスロットを備える、薄壁管状部材の形態の拡張可能及び変形可能な管腔内血管移植を開示する。挿入後、管状部材はこれらの弾性限度を超えて機械的に拡張し、したがって身体内で恒久的に固定される。これらの管状ステントを拡張するために必要とされる力は、壁部材料の半径方向の厚さに比例する。身体内で使用するために許容可能な水準内の拡張力(例えば、507〜1013kPa(5〜10atm))を維持するため、これらの設計は、非常に薄い壁の材料(例えば、0.0063cm(0.0025インチ)の厚さの壁を有するステンレス鋼管)を使用しなくてはならない。しかしながら、この薄さの材料は、従来的な蛍光透視及びX線装置において不可視であり、したがって、ステントを正確に定置すること及び後に循環系内において外れ、見失われたステントを見つけて回収するのが困難である。
【0006】
更に、これらの薄壁管状ステント設計の多くが、その周辺方向における幅がその半径方向における厚さの2倍超である細長いストラットの網状組織を利用する。拡張した時、これらのストラットは多くの場合、不安定であり、すなわち、これらは座屈する傾向を示し、個別のストラットが面外に捻じれる。これらの捻じれたストラットの、血流への過剰な突出は乱流を増加させ、したがって血栓症を助長することが観察されてきた。この座屈したストラットの問題の解決を試みるため、多くの場合、追加的な処置が必要とされてきた。例えば、最初のステントの埋め込みがストラットの座屈を生じたものと判定された後、捻じれたストラットを管腔壁部内に更に推進しようとするため、第2の高圧バルーン(例えば、1216〜1824kPa(12〜18atm))が使用される。これらの第2の処置は、管腔壁部への付随的な損傷の危険性のため、患者にとって危険であり得る。
【0007】
加えて、既知のステントの多くが、管腔内の拡張の後に、当該技術分野において「反跳」として既知である大きな弾性回復を示す。大きな反跳は、所望の最終直径を達成するために、埋め込み中にステントの過拡張を必要とする。過拡張は、管腔組織に対して潜在的に有害である。上記の種類の既知のステントは、最大拡張から、約6〜12%までの反跳を経験する。
【0008】
大きな反跳はまた、殆どの既知のステントを送達カテーテルバルーン上に確実に収縮するのを非常に困難にする。結果として、管腔側移送中のバルーン上のステントの滑り、最終的な位置付け及び埋め込みが現行の問題であった。多くの補助的なステント固定装置及び技術が、この基本設計の問題を補う試みのために開発されてきた。ステント固定装置のいくつかは、ステントをバルーン上に固定するために使用されるカラー及びスリーブを含む。
【0009】
既知のステント設計の別の問題は、拡張したステントの形状の不均一性である。不均一な拡張は、管腔壁部の不均一な適用範囲に繋がる場合があり、適用範囲内の空隙及び不適切な管腔支持を生じる。更に、ステントのいくつかの区域又はセル内の過拡張は、過剰な材料の歪み及び更にステント機構の破損に繋がり得る。この問題は、製造における変動が比例的により顕著となる、より小さい機構の幅及び厚さを有する、低拡張力ステントにおいて潜在的により悪化する。加えて、ステントの拡張に使用するための典型的な送達カテーテルは、カテーテルの挿入のために小さな形状に折り畳まれたバルーンを含む。バルーンを広げ、ステントを留置するために、液圧によってバルーンが拡張される。バルーンを広げるこのプロセスにより、不均一なステントの拡張を生じる折り目により、バルーンの拡張中に不均一な圧力がステントに適用される。
【0010】
到達が困難である血管中へのステントの導入を促進するために、ステントに可撓性をもたらすことが望ましい。しかしながら、多くの場合、長手方向の可撓性を提供するステントの特性(これは血管内にステントを導入する際に望ましい)は、拡張状態のステントを維持する際に不利であり得る。例えば、独立セル構造又はほぼ菱形のセルの相互接続したリングから形成されるステントは、典型的に1つ以上の螺旋から形成されるステントよりも可撓性が低いが、通常、螺旋ステントよりも均一に、かつ一貫して拡張可能である。均一かつ一貫した方法で拡張されるように適合された、実質的な可撓性を備えるステントを提供することが望ましい。
【0011】
参照として組み込まれる国際公開第03/015664号において、薬物送達のための開口部を有する相互接続したストラットを有するステントが開示される。しかしながら、ストラットを架橋する要素は一般的にストラットよりも薄く、更に離間している。したがって、このような薬物溶出ステントにおいて、架橋要素は、低減した又は一貫性のより少ない薬物送達の領域を提供し得る。低減した又は一貫性のより少ない薬物供給の領域が低減され得る、薬物溶出ステントを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、組織支持医療装置及び薬物送達システム、より具体的には、生きている動物又はヒトの身体管腔内に埋め込まれて器官を支持し、開存性を維持し、及び/又は薬物若しくは薬剤を送達する拡張可能装置に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態において、可撓性ステントは、近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える。円筒形は長手方向軸を画定する。可撓性ステントは、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。各ストラット部材は対向する長手方向に配置された長辺及び対向する周囲方向に配置された短辺を備える実質的な矩形を有する。各ヒンジ部材は、各ストラット部材の短辺に沿って、ストラット部材に接続される。バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる少なくとも1つの接続部材は、各端部においてストラット部材の短辺に取り付けられる。コネクタ部材は、ヒンジ部材には取り付けられない。
【0014】
本発明の別の実施形態において、管状可撓性ステントは、近位端部及び遠位端部を備え、長手方向軸を画定する円筒形を有する。可撓性ステントは、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。螺旋状区分は、近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、近位遷移領域及び遠位遷移領域のピッチ及び入射角は中央領域とは異なる。
【0015】
本発明の更に別の実施形態において、管状可撓性ステントは、近位端部及び遠位端部を有し、長手方向軸を画定する円筒形を有する。可撓性ステントは、複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分を含む。バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で長手方向軸の周囲に巻かれる。螺旋状区分は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを更に含み、バンドに沿った隣接するストリングは異なるストリングパターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の一実施形態による、拡張(留置)状態の可撓性ステントの斜視図。
【図1B】本発明の一実施形態による、収縮状態の可撓性ステントの斜視図。
【図1C】本発明の一実施形態による、「切り出したまま」の(製造時の)状態の可撓性ステントの斜視図。
【図2】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図3】図2の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図4A】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、ストラットのクローズアップ平面図。
【図4B】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、ストラットのクローズアップ平面図。
【図4C】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、ストラットのクローズアップ平面図。
【図4D】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、有機的に最適化されたストラットのクローズアップ平面図。
【図5A】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、延性ヒンジのクローズアップ平面図。
【図5B】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、延性ヒンジのクローズアップ平面図。
【図6A】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6B】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6C】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6D】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6E】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6F】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6G】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6H】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6I】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6J】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6K】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6L】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図6M】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、円形ヒンジ領域のクローズアップ平面図。
【図7】本発明の一実施形態による可撓性ステントからの、指標ヒンジのクローズアップ平面図。
【図8】螺旋状バンド(ラップ)の入射角度を説明するための、図3に示した中央領域のクローズアップ平面図。
【図9A】本発明の一実施形態による、図2に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図9B】本発明の一実施形態による、図2に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図10】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図11】図10の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図12】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図13】図12の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図14】本発明の一実施形態による、可撓性ステントの平面図。
【図15】図14の可撓性ステントの分解組立平面図。
【図16】本発明の一実施形態による、図14に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリング及び接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図17】本発明の一実施形態による、図12に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリング及び接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図18】本発明の一実施形態による、図10に示した可撓性ステントの中央領域を形成する反復パターンの部分である、自由ストラットストリング及び接続ストラットストリングのクローズアップ平面図。
【図19】本発明の一実施形態による、デポーを有さない可撓性ステントの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のステントは、可撓性及び送達性に極めて優れながらも、依然として血管開存性を維持するに十分な半径方向強度を提供する。このステントは、コバルトクロム合金、ステンレス鋼合金、又はニッケルチタン合金が挙げられる好適な材料から作製される管を、レーザー切断することによる等、任意の好適な方法で形成することができる。本発明の冠動脈可撓性ステントは、本発明の一実施形態を説明するために開示されるが、開示される発明は、身体内の他の場所及び他の管腔、例えば脈管、非脈管、及び末梢の血管、管等に等しく適用し得ることを当業者は理解する。
【0018】
本発明の一態様により、可撓性ステントは、小径へと収縮し、送達カテーテルによって、身体管腔を通り標的部位へと経皮的に送達されるように設計される。標的部位は、例えば心臓動脈であってよい。一旦留置されると、可撓性ステントは、血管開存性を維持し、必要な場合は、制御された量の薬物又は薬剤を送達する働きをする。
【0019】
本発明の一実施形態による、可撓性ステント100の拡張(留置)状態、収縮状態、及び「切り出したままの」すなわち製造時の状態の斜視図を、それぞれ図1A、図1B及び図1Cに例示する。ステント100は、図1Cに示すように、最初に製造した時の「切り出したままの」直径D3を有する。ステント100は、患者への挿入、及び血管を通したナビゲーションのために、図1Bに示す第1の直径D1にまで収縮され、図1Aに示す第2の直径D2は、血管の標的領域内に留置するためであり、第2の直径は第1の直径よりも大きい。
【0020】
可撓性ステント100は、管腔側表面101及び反管腔表面102、並びにその間の厚さ(壁厚さ)である「T」を有する構造的要素の管状形態を備える円筒形である。このステントの円筒形は、長手方向軸103を画定し、近位端部104及び遠位端部105をそれぞれ有する。
【0021】
近位及び遠位という用語は、一般的に、人体に対する方向又は位置を意味するために使用される。例えば、骨の近位端は、身体の中心により近い、骨の末端部を言及するために使用してもよい。逆に、遠位という用語は、身体から最も遠い、骨の末端部を言及するために使用することができる。脈管構造においては、近位及び遠位は、それぞれ、心臓へと向かう血液の流れ、又は心臓から離れる血液の流れを言及するために使用される場合がある。本発明に記載の可撓性ステントは、動脈系及び静脈系の双方を含め、多くの異なる身体管腔側で使用し得るため、本出願での、近位及び遠位という用語の使用は、送達の方向に関する相対的位置を説明するために使用される。例えば、本出願での遠位端部という用語の使用は、送達経路に関連して、脈管内に最初に導入され、身体内への挿入ポイントから最も遠い、ステントの末端部を説明する。逆に、近位端部という用語の使用は、送達経路に関連して、身体内への挿入ポイントに最も近い、ステントの後端部を説明するために使用される。
【0022】
図2及び図3は、本発明の一実施形態による、ステント100の部分的な拡張状態の平面図である。本明細書で使用する場合、平面図という用語は、その底端縁が円筒を包み込んで上端縁に接続可能なように、長手方向軸に沿って切られて平坦に広げられているステントの2次元(2−D)図であると理解される。
【0023】
ステント100の構造は、一般的に、それぞれ、近位端104に沿った環状端部区分106、遠位端105に沿った環状端部区分107、及びその間の螺旋状内側区分108を含む。螺旋状内側部108は、中央領域111、近位遷移領域109、及び遠位遷移領域110を更に含む。遷移領域109、110は、中央領域111と、近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107との間で遷移する。図3は、異なる区分及び領域を示す、ステント100の分解組立平面図である。
【0024】
ステント100は、一連の円周方向に配置された延性ヒンジ114によって接続される、複数の長手方向に配置されたストラット113を含む。円周方向に隣接するストラット113は、ヒンジ114によって、実質的にS又はZ形状の正弦波状パターンとして両端で接続され、バンドを形成する。可撓性接続部112は、様々な充填状態の下での構造安定性のために、ステント100の構造の全体に分配される。図1〜3に示すステントの設計は、可撓性の接続部形状を有するが、多種多様な接続部形状が想到される。一般的には、図6B〜図6Hを参照されたい。
【0025】
ステント100内の、内側螺旋状区分108が環状端部区分106、107に最初に接続する区域は、固定点と称され、その場所のヒンジ114は、「固定ヒンジ」と称される。この「テイクオフ」点は、設計制約に基づいて変化し得る。更には、入射角度、ストラットの厚さ、ストラットの幅、ヒンジの幅、ヒンジの長さ、デポーの位置及び寸法、並びに接続の長さは、最適化及び設計制約に基づいて変化し得る。
【0026】
本明細書で使用する、長手方向、周囲方向、及び半径方向に配置された、という用語は、ステント100及び長手方向軸103に対する特定の方向を表すものとして知られる。長手方向に配置された部材は、両端間方向で(部材の軸に沿って)方向付けられ、一般的には長手方向軸103の方向である。図を検討すれば、ストラット113の長手方向は、ステント100が図1Aに示すような拡張、留置状態の場合よりも、ステント100が図1Bに示すような収縮状態の場合に、より長手方向軸と平行に近いことが明らかである。いずれにせよ、どちらの場合も、ストラット113の軸線が実質的に長手方向軸と同じ方向に配置されているため、ストラット113は長手方向に配置されると考えられる。ヒンジ114等の、周囲方向に配置される部材は、実質的に管状ステント100の外周に沿って方向付けられる。同様に、半径方向、又は半径方向の配向は、一般に、長手方向軸から外方に管状ステント100の外周へと横断面内で延びる半径に沿う。
【0027】
図4A、図4B、及び図4Cは、本発明な様々な実施形態による、典型的なストラット113を示す。各ストラット113は、長手方向に延びる長辺115及び周囲方向に延びる短辺116を有する、実質的に矩形の部材である。対向する長辺115及び対向する短辺116は、図4Aに示すストラット113によって表されるように、実質的に互いに平行で完全に近い矩形を形成してもよく、又は図4Bに示すストラット113によって表されるように、傾斜、すなわち角度が付けられてテーパー形状のストラット113を形成してもよい。図4A及び図4Bで分かるように、ヒンジ114は、ストラット113に、ストラットの短辺116に沿って取り付けられるが、本発明の好ましい例示的な実施形態では、ストラットの幅(短辺116の長さ)は、ヒンジ114の幅よりも大きい。図4Bに示すように、可撓性接続部112は、ストラット113に、ストラット113の短辺116に沿って取り付けられるが、ヒンジ114には接続しない。
【0028】
図4Cは、ステント100の設計の、いくつかの実施形態に見ることができる、独特なストラット113を表す。図4Cに示されるストラット113は、円形ヒンジ114(以降で記載される)に対する2つの接続部及び可撓性接続部112に対する2つの接続部によって特徴付けられる。このストラット113は、近位端及び遠位端(ヒンジ114及び可撓性接続部112の接続部)で最大幅であり、長手方向のストラット113の長さの中点近傍で最小幅となるようにテーパーが付けられる。換言すれば、図4Cに示すストラット113の短辺116の長さは、ストラット113の長手方向の中心点近傍の幅よりも大きい。
【0029】
ストラット113は、少なくとも1種の薬剤を収容するための、1つ以上のデポー117を有し得る。デポー117は、薬剤を保持することが可能な、陥没部、溝、孔、又は空洞のいずれの形状であってもよいが、好ましくは、ステント100を貫通して精密に形成される、貫通孔である。好ましい実施形態では、貫通孔は、管腔側表面から反管腔側表面へと、ストラットを貫通している。この好ましい形態によって、薬剤が、半径方向内方及び半径方向外方の両方の方向で、ステント100の管腔側面及び反管腔側面に沿って送達されることが可能になる。加えて、デポー117には、ポリマーインレーを、単独で、又は1種以上の薬剤を溶液中若しくは別の方法で含有して、充填することができる。同一のステント内の様々なデポー117には、同じ薬剤、又は異なる薬剤を充填してもよく、また同じ濃度の薬剤、又は異なる濃度の薬剤を有してもよい。いずれの個別のデポー117にも、1つ又は複数種の薬剤を充填することができ、また薬剤をバリア層によって隔てることができる。バリア層は、薬剤を隔てる必要に応じて、デポー117内に様々な形態で配置し得る。好ましい実施形態では、バリア層は、管腔側ステント表面と平行に配向される。
【0030】
ストラット113は、図4A〜図4Cに示すように、対称的な寸法のデポー117を有してもよく、又は図4Dに示すように、有機的に最適化されたデポー117を含んでもよい。有機的に最適化されたデポー117は、いずれのストラット113の所定の寸法に対しても、デポー117の容積を最大化する一方で、ステント100が拡張された時の構造的一体性の維持に不可欠な、材料の追加又は除去による、全機構の応力状態を低減するように設計される。
【0031】
薬剤とは、本明細書においてこの用語が使用される際、以下を含むいずれかの治療用又は薬剤であり得る:ビンカアルカロイド等の天然産物を含む抗増殖剤/有糸分裂阻害剤(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピジポドフィルロトキシン(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(L−アスパラギンを全身で代謝し、それら自体のアスパラギン合成能力を有さない細胞を枯渇させるL−アスパラギナーゼ);窒素マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネート−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼンス−ダカルバジニン(DTIC)等の抗増殖剤/抗有糸分裂アルキル化剤;葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連した阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2−クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})等の抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗剤;白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(すなわち、エストロゲン);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩及びトロンビンの他の阻害剤);線維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ等)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(antisecretory)(ブレベルジン);副腎皮質ステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トライアムシナロン、βメタゾン及びデキサメタゾン)、非ステロイド性薬剤(サリチル酸誘導体、すなわちアスピリン:等の抗炎症剤;パラ−アミノフェノール誘導体、すなわちアセトアミノフェン;インドール及びインデン酢酸(インドメタシン、スリンダク及びエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸、及びメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム);免疫抑制剤:(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);血管形成剤:血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF);一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれらの組み合わせ。
【0032】
1つ以上の薬剤を、1つ以上のデポー117内に分配するか、管腔側若しくは反管腔側のステント100表面の少なくとも一部に沿って分配するか、又はデポー及び/若しくはステント表面の任意の組み合わせで分配してもよい。好ましい実施形態では、薬剤はデポー117内にのみ分配され、それによって薬剤が露出する表面積は、ステント100表面(管腔側、反管腔側、又は双方)のデポー開口部の断面積に制限される。この設計によって、患者への挿入時には実質的にベアメタルの表面積を有するステント100からの、薬剤の送達が可能になる。好ましい実施形態では、ステント100の患者への挿入時に、ステント100のベアメタルが露出する表面積は、40〜95%であり、最も好ましくは、ステント100の患者への挿入時に、約75%がベアメタルである。すなわち、ステント100の表面積は、約25%が薬剤であり、約75%がベアメタルである。薬剤が放出されると、ステント100は純粋なベアメタルステントになる。
【0033】
好ましい実施形態では、デポー117は、ストラットパターン全体にほぼ均一に分配され、使用するステントの直径又は長さとは関係なく、留置されたステント100の単位表面積当たりの、一定の薬剤用量を提供する。ストラット113は、製品設計に適合させる必要に応じて、長さ、入射角度、デポー形態、及び幅を変化させてもよい。
【0034】
延性ヒンジ114は、周囲方向で隣接する2つのストラット113の間の接続要素として使用される。ステント100内には、2種類の延性ヒンジ114が存在する。図5A及び図5Bは、本発明の一実施形態に見られる、2つの典型的な延性ヒンジを示す。図5Aは、周囲方向で隣接する2つのストラット113を接続する、単一の「自由ヒンジ」114aを表す。好ましい実施形態では、この自由ヒンジ114aは「C」形状であり、湾曲区分上の頂点を通って描かれた基準線「A」を中心として実質的に対称である。図5Bは、周囲方向で隣接する2つのストラット113を接続する、延性ヒンジ114bを表し、このストラットの一方は、可撓性接続部112に更に接続する。この延性ヒンジ114bは、図5Aに開示した「C」形状の自由ヒンジ114aよりも円形であり、本明細書で「円形ヒンジ」14bと称される場合がある。自由ヒンジ114a及び接続ヒンジ114bは、本明細書では個別に特定されるが、一般的に、双方とも延性ヒンジ114と称される場合がある。円形ヒンジ14b周辺の領域は、円形ヒンジ領域と称される。可撓性接続部112及び円形延性ヒンジ114bは双方とも、円形ヒンジ領域内で、ストラット113の同一短辺116に接続するが、相互には接続されない。
【0035】
図6Aは、螺旋状区分108の隣接する屈曲部上の2対のストラット間の接続部として働く「円形ヒンジ領域」118の更なる詳細を提供する。このヒンジ領域118は、数個の構成要素を含み、対のストラットを形成する周囲方向で隣接するストラット113の間に延性領域を提供する一方で、可撓性接続部112によって、長手方向で隣接するストラット対の間に必要な接続性を提供する。長手方向で隣接するストラット対、及び相互接続する可撓性接続部112は、組み合わされた時、「4連(quad)ヒンジ領域」として知られる領域を作り出す。この領域は、円形ヒンジ114b及び可撓性接続部112によって直接的に、又は間接的に接続される4つのストラットから構成される。入射角度、ヒンジ114bの幅、テーパーの度合、長さ、及び孔のパターンは、ステントの設計意図、機構の位置、及びステント性能の最適化に基づいて変更される。図6B〜図6Mは、円形ヒンジ領域118内の隣接するストラット対を接続するために使用し得る、様々な接続部112を示す。
【0036】
図7は、ステント100の製造プロセス中で重要な、ステントの別の主要属性を示す。円内の延性ヒンジ114は、「指標ヒンジ」として知られる。この「指標ヒンジ」は、より長いストラット113の長さで特徴付けられ、そのため、この延性ヒンジ又はストラット113先端部は、正弦波形状末端環内の残りのストラット上のストラット113先端部の平面を超えて突出する。説明を容易にするため、長手方向軸103に対して垂直、かつ指標ヒンジの上と下のヒンジ114の両方の湾曲面に接する基準線Aが描かれている。基準線Bは、長手方向軸103に対して垂直、かつ指標ヒンジを表すヒンジ114の湾曲面に接して描かれている。長手方向軸に沿った、基準線Aと基準線Bとの間の距離は、この指標によって提供されるオフセットである。このオフセットは、ステント100の配置を判定する助けとなる基準ポイントとして役立つ。「指標ヒンジ」は、近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107に沿った任意の位置に存在し得る。
【0037】
一般的に言えば、延性ヒンジ114は、周囲のストラット113よりも実質的に幅が薄い、変形可能な要素である。このことによって、延性ヒンジ114は、塑性変形を保持しつつ、その変形状態においても依然として可撓性を維持することが可能になる。したがって、ストラット113は、延性ヒンジ114よりも遙かに強固であり、それ故ステントの拡張中に塑性変形を全く起こさない。ストラット113は、本質的に、剛体として回転するが、一方、延性ヒンジ114は、ステントの拡張に関連する塑性歪みに耐えるべく設計される。結果として、ストラット113内のデポー117は、薬剤及び/又はポリマーインレーの損傷若しくは脱落を引き起こす恐れのある、拡張中の過度の応力から守られる。デポー117は、ステント留置プロセスの全体を通して、応力の残留しない状態が理想的である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、延性ヒンジ114は、ステント100に十分な半径方向剛性を与えると同時に、完全拡張時のピーク塑性歪みが、材料の歪み伝搬能力を超えることがないように、テーパーを付けた幅を使用することによって最適化される。この、幅のテーパー付けは、ヒンジ114の各種類に関して、その延性ヒンジ114の長さに沿った、むらのない均一な塑性歪みの分布を達成するように最適化される。歪み分布にむらをなくし、延性ヒンジ114内の歪みの集中を排除することによって、幅が最大化され、またそれによって剛性が最大化される。延性ヒンジ114の剛性の最大化は、ステント100に半径方向剛性及び疲労耐久性を提供するという点で有利である。
【0039】
概して、テーパー状延性ヒンジ114の幅は、ヒンジ114の根部に近づくにつれて徐々に増大し、ヒンジ114は、その根部で、より幅広のストラット113(又はより剛性の構造)へと急激に遷移する。このことが、塑性歪みがヒンジ根部へ集中することを防ぐが、これはテーパー状ヒンジ根部がより剛性があり、それ故、塑性歪みがヒンジ114の中央部分に分配されるためである。延性ヒンジ114の中央部分は、湾曲部の頂点を含み、通常は均一な幅を有する。
【0040】
再び図2及び図3に戻ると、環状端部区分106、107は、周囲方向に配列されて長手方向に配向された複数のストラット部材113を含み、このストラット部材113は、実質的に正弦波状のS又はZ形状のパターンで、周囲方向に配向された複数の延性ヒンジ114によって両端部を接続され、バンドを無終端の環に形成する。図示の実施形態では、端部区分106、107は、ステント設計の最適化の必要に応じて長さが変わるストラット113から形成され、内側螺旋状部分108が最初に環状端部区分106、107に接続する固定点での接続に必要な形状を提供する。
【0041】
環状端部区分106と環状端部区分107との間に、ステント100の内側螺旋状区分108があり、そこでは正弦波形状に配列されたストラット113及びヒンジ114のバンドが螺旋状の経路をたどる。内側区分108の螺旋状バンドは、ストラット113を、長短の長さが交互に反復するパターンで配列することによって達成される。螺旋状内側部108は、それぞれ近位遷移領域109、遠位遷移領域110、及び中央領域111へと更に区分することができる。
【0042】
中央領域111は、ストリング(要素の集合体)を含み、このストリングは、隣接するストラット部材113及びヒンジ部材114の群から形成され、一定のストリングパターンを形成するように編成される。本発明の一実施形態では、隣接するストリングは、異なるストリングパターンを有し、反復ストリングは、幾何学的に対称であって、反復する中央パターンを形成する。本発明の好ましい実施形態では、反復する中央パターンは、2つの異なる反復ストリングのみからなる。したがって、中央領域111は、一定のピッチ及び一定の入射角度を有する。
【0043】
本明細書で使用するピッチという用語は、所定の領域にわたる正弦波形状の回数であると理解される。これは、歯車の直径ピッチに類似した命名法である。ピッチが大きくなるにつれて、正弦波形状の回数が増加し、すなわち、正弦波状バンドが長手方向軸103を中心に巻かれた際に、1巻き当たりに認められるストラット113及び延性ヒンジ114の数が増大することになる。このことによって、ストラット113及びヒンジ114の非常に密なパターンが作り出される。逆に、ピッチが小さくなるにつれて、正弦波形状の回数が減少し、したがって、正弦波状バンドが長手方向軸103を中心に巻かれた際に、1巻き当たりに認められるストラット113及びヒンジ114の数が減少することになる。入射角度という用語は、具体的には、ステント100の螺旋巻成形区域に言及し、正弦波状バンドが長手方向軸で作る(巻かれる)角度を意味すると理解される。
【0044】
図8は、図3に示した中央領域111の、クローズアップ2次元図である。第1基準線「A」は、長手方向軸103に平行に描かれている。第2基準線「B」は、正弦波状バンドの方向を表すよう描かれている。入射角度(α)は、基準線「A」と基準線「B」との角度である。
【0045】
図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態による、ステント100の中央領域111を形成する反復パターンの部分である2つのストラットストリングを示す。図3、図8、図9A、及び図9Bを参照すると、中央領域111は、図9Bに示す自由ストラットストリング119によって、遠位遷移領域110の近位端から開始する。図示の自由ストラットストリング119は、自由ヒンジ114aによって、2つのデポーの短いストラット113を両末端部に接続された、3つのデポーの長いストラット113を含む。自由ストラットストリング119は、その近位端を、接続ストラットストリング120の遠位端に取り付けられる。接続ストラットストリング120は、その近位端及び遠位端の接続ヒンジ114b、並びに自由ヒンジ114aによって接続された3つの長い(3つのデポーの)ストラット113及び2つの短い(2つのデポーの)ストラット113の交互の配列を含む。この自由ストラットストリング119及び接続ストラットストリング120の交互のパターンは、中央領域111が、近位遷移領域109に出合うまで継続する。図3に示される実施形態は、5つの自由ストラットストリング119と4つの接続ストラットストリング120とを含む中央領域を有する。ステント100の長さは、近位遷移領域109及び遠位遷移領域110、並びに近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107を開示のように維持しつつ、中央領域111の追加又は短縮によって、すなわち、反復パターンの維持の必要に応じた、自由ストラットストリング119若しくは接続ストラットストリング120の追加又は除去によって変更することができる。
【0046】
近位遷移領域109及び遠位遷移領域110は、可変のピッチの区域であって、そこに反復性又は対称性は存在しない。近位遷移領域109及び遠位遷移領域110は、中央領域111と、近位環状端部区域105及び遠位環状端部区域107との間の遷移において、ピッチの逓減をもたらすように構成される。近位遷移領域109及び遠位遷移領域110は、固定ヒンジと呼ばれる接続形状によって、それぞれ近位環状端部区分106及び遠位環状端部区分107に接続される。
【0047】
上記の図で示したステント100の設計は、開放セル設計として既知であり、長手方向に隣接する正弦波形状要素の屈曲部間の接続部が、長手方向に隣接するあらゆるヒンジ114又はストラット113にわたって存在するのではなく、構造体全体に断続的にのみ存在することを意味する。長手方向に隣接するあらゆるヒンジ又はストラットが接続される設計は、クローズドセル設計として既知である。オープンセル構造は、通常、クローズドセル構造よりも可撓性である。
【0048】
前述のように、ステント100の一般的構造は、各端部における環状端部区分106、107を備える螺旋状内側部108及び様々な充填状態の下での構造的安定性のための、構造全体に分布する接続部112を含む。螺旋状内側区分108は、一定のピッチ及び入射角度を有する中央領域111、並びにそれぞれ近位遷移領域109及び遠位遷移領域110に更に区分することができる。この通常の構造は、異なる寸法の様々なステントに関して同一のままであるが、要素(ストラット、ヒンジ、及び屈曲接続部)の形状及びパターンは、様々な所望のステント直径に適合させる必要に応じて変更することができる。
【0049】
図10〜15は、異なる直径寸法のステントに関する、ステント設計の様々な実施形態を示す。図10、図12、及び図14は、それぞれ、異なる寸法及びパターンのステント200、300、400を示す、図2に類似の2次元平面図である。図11、図13、及び図15は、それぞれ、ステント200、300、400の、異なる区分及び領域を示す、図3に類似の分解組立平面図である。説明の容易性のために、ステント100の同様の要素に対し、同様の参照番号を割り当てており、故にステント100に関する要素の説明は、ステント200、300及び400における同様の要素に対して等しく適用されることが理解される。
【0050】
各ステントのパターンの設計は、そのステントの意図する標的血管の処置に基づき、標的となる最良の結果に向けてカスタマイズされる。図10及び図11は、極小径の標的血管の病変を対象とするステント200の一実施形態を表す。極小径のステント類は、いくつかの設計特徴により、非常に小さい血管径に最適化されており、小径の管状材料から製作するように意図されている。
【0051】
極小ステントに関する現行の実施形態は、正弦波形状の近位環状端部区分206及び遠位環状端部区分207を含み、環状端部区分206、207のそれぞれの10個のストラット213から構成される。環状端部区分206と環状端部区分207との間に、ステント200の内側螺旋状区分208があり、そこではストラット213及びヒンジ214の正弦波形状の配列が、螺旋状の経路をたどる。内側区分208の螺旋状経路は、ストラット213を、長短の長さが交互に反復するパターンで配列し、バンドを形成することによって達成される。各内側バンドの中には、1巻き当たり9個のストラット213が存在する。重要な加工パラメーターを維持しつつ、ストラットの数を減らすことで、ステントの性能を向上させることができる。螺旋状内側区分208は、図11に示すように、それぞれ近位遷移領域209、遠位遷移領域210及び中央領域211へと更に区分することができる。
【0052】
中央領域211は、バンド内で反復パターンを形成するように、幾何学的に対称な、反復ストラットストリング又はストラットのみからなる。したがって、中央領域211は、一定のピッチ及び一定の入射角度を有する。反復内側部パターンは、3つのストラット2種類のパターンから構成され、これらが交互に現れ9個のストラットの反復内側部パターンを形成する。
【0053】
図18は、本発明の例示的な一実施形態による、ステント200の中央領域211からの、反復パターンの部分である、2つのストラットストリング219及び220を示す。図10、図11、及び図18を参照すると、中央領域211は、図18に示す自由ストラットストリング219によって、近位遷移領域209の遠位端から開始する。図示の自由ストラットストリング219は、自由ヒンジ214aによって、短い(2つのデポーの)ストラット213を両末端部に接続された、長いストラット(4つのデポーの)213を含む。自由ストラットストリング219は、その遠位端上で、接続ストラットストリング220の近位端に取り付けられる。接続ストラットストリング220は、その近位端及び遠位端の接続ヒンジ214b、並びに自由ヒンジ214aによって接続された2つの長い(4つのデポーの)ストラット213及び1つの短い(2つのデポーの)ストラット213の交互の配列を含む。この自由ストラットストリング219及び接続ストラットストリング220の交互のパターンは、中央領域211が、遠位遷移領域210に出合うまで継続する。図10及び図11に示す実施形態は、6つの自由ストラットストリング219と6つの接続ストラットストリング220とを含む中央領域を有する。
【0054】
中程度の寸法のステントに関する、現行の実施形態は、12個のストラット313の末端環から構成され、正弦波形状の近位環状端部区分306及び遠位環状端部区分307を含む。環状端部区分306と環状端部区分307との間に、ステント300の内側螺旋状区分308があり、そこではバンド内のストラット313及びヒンジ314の正弦波形状の配列が、螺旋状の経路をたどる。内側区分308の螺旋状経路は、ストラット313を、長短の長さが交互に反復するパターンで配列し、バンドを形成することによって達成される。内側螺旋状区分108の中には、バンド1巻き当たり13個のストラット313が存在する。重要な加工パラメーターを維持しつつ、ストラットの数を増やすことで、ステントの性能を向上させることができる。螺旋状内側区分308は、図13に示すように、近位遷移領域309、遠位遷移領域310及び中央領域311へと更に区分することができる。
【0055】
中央領域311は、反復パターンを形成するように、幾何学的に対称な、反復ストラットストリング又はストラットの集合のみからなる。したがって、中央領域311は、一定のピッチ及び一定の入射角度を有する。反復内側部パターンは、3つのストラットの1種類のパターン及び5つのストラットの1種類のパターンから構成され、これらのパターンが交互に現れ、13個のストラットの反復内側部パターンを形成する。
【0056】
図17は、本発明の例示的な一実施形態による、ステント300の中央領域311を形成する反復パターンの部分である、2つのストラットストリング319及び320を示す。図12、図13、及び図17を参照すると、中央領域311は、図17に示す自由ストラットストリング320によって、近位遷移領域の遠位端から開始する。図示の接続ストラットストリング720は、その近位端及び遠位端の接続ヒンジ314b、並びに自由ヒンジ314aによって接続された3つの長い(3つのデポーの)ストラット313の配列を含む。自由ストラットストリング319は、その近位端上で、接続ストラットストリング320の遠位端に取り付けられる。図示の自由ストラットストリング319は、自由ヒンジ314aによって相互接続された、一連の3つの長い(3つのデポーの)ストラット313を含む。3つの、3つのデポー(three, three depot)のストラット313は、両末端部上で、自由ヒンジ314aによって、短い2つのデポーのストラット313に接続される。接続ストラットストリング320及び自由ストラットストリング319の交互のパターンは、中央領域311が、遠位遷移領域310に出合うまで継続する。図12及び図13に示す実施形態は、3つの接続ストラットストリング320と2つの自由ストラットストリング319とを含む中央領域を有する。ステント300の長さは、近位遷移領域309及び遠位遷移領域310、並びに近位環状端部区分306及び遠位環状端部区分307を開示のように維持しつつ、中央領域311の追加又は短縮によって、すなわち、反復パターンの維持の必要に応じた、接続ストラットストリング320若しくは自由ストラットストリング319の追加又は除去によって変更することができる。
【0057】
図14及び図15は、大径の標的血管の病変を対象とするステント400の一実施形態を表す。大径のステント類は、いくつかの設計特徴により、より太い血管に最適化されている。従来の設計と同様に、現行の実施形態は、12個のストラット413から構成される正弦波形状の近位環状端部区分406及び遠位環状端部区分407を含む。端部区分406、407内のストラット413は、様々な長さであるが、全体として、より大径のステント設計におけるストラットは、同等のより小さい公称ステント設計の典型的なストラットよりも長い。端部区分406、407は、図15に示すように、いくつかのポイントによって、近位遷移領域409及び遠位遷移領域410に接続される。
【0058】
図16は、本発明の例示的な一実施形態による、ステント400の中央領域411からの、反復パターンの部分である、2つのストラットストリングを示す。図14、図15、及び図16を参照すると、中央領域411は、図16に示す自由ストラットストリング419によって、遠位遷移領域410の近位端から開始する。図示の自由ストラットストリング419は、自由ヒンジ414aによって相互接続された、短い(3つのデポーの)ストラット113及び長い(4つのデポーの)ストラットの交互配列を含む。自由ストラットストリング419は、その近位端を、接続ストラットストリング420の遠位端に取り付けられる。接続ストラットストリング420は、3つのストラット413の長さであり、その近位端及び遠位端に、接続ヒンジ414bを含む。接続ストリング420内の3つのストラットは、自由ヒンジ414aによって相互接続された、長い(4つのデポーの)ストラット413及び短い(3つのデポーの)ストラット413の交互配列を含む。この自由ストラットストリング419及び接続ストラットストリング420の交互のパターンは、中央領域411が、近位遷移領域409に出合うまで継続する。図15に示す実施形態は、3つの自由ストラットストリング419と2つの接続ストラットストリング420とを含む中央領域を有する。
【0059】
本発明はまた、図2、図10、図12、及び図14に開示したものに類似したストラット/ヒンジ配置となる、中実ストラットの使用もまた考慮する。図19は、類似の設計構造を有するが、ストラット513に沿ったデポーを有さないステント500を示す。ステント500は、ベアメタルステントと使用してもよく、あるいは当該技術分野において既知であるような薬剤及び/又は適切な担体で、部分的に若しくは完全に被覆することができる。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記各ストラット部材は対向する長手方向に配置された長辺及び対向する周囲方向に配置された短辺を備える実質的な矩形を有し、前記各ヒンジ部材は、前記ストラット部材の前記短辺に沿って、前記周囲方向に隣接するストラット部材に接続される、螺旋状区分と、
前記バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる少なくとも1つの接続部材であって、前記接続部材は長手方向に隣接するストラット部材の前記短辺に取り付けられ、前記接続部材は長手方向に隣接するヒンジ部材には取り付けられていない、少なくとも1つの接続部材と、を含む、管状可撓性ステント。
(2) 前記バンドが、実質的にS又はZ型の正弦波状パターンを有する、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(3) 前記各ストラット部材の幅が、前記ストラット部材に取り付けられた前記各ヒンジ部材の幅より大きい、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(4) 少なくとも1つの前記ストラット部材の幅がその長手方向長さに沿ってテーパー形状になっている、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(5) 前記ストラット部材の幅は、前記短辺の一方において最大であり、対向する前記短辺において最小である、実施態様4に記載の可撓性ステント。
(6) 前記ストラット部材の幅が、前記対向する短辺の間の前記ストラット部材の長さに沿った一点において最小である、実施態様4に記載の可撓性ステント。
(7) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(8) 前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(9) 前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、実施態様8に記載の可撓性ステント。
(10) 前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様7に記載の可撓性ステント。
【0061】
(11) 前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様10に記載の可撓性ステント。
(12) 前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(13) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(14) 前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、実施態様13に記載の可撓性ステント。
(15) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、実施態様8に記載の可撓性ステント。
(16) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、実施態様8に記載の可撓性ステント。
(17) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(18) 前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、実施態様7に記載の可撓性ステント。
(19) 前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、実施態様18に記載の可撓性ステント。
(20) 前記螺旋状区分は、近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、実施態様1に記載の可撓性ステント。
【0062】
(21) 前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、実施態様20に記載の可撓性ステント。
(22) 前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、実施態様20に記載の可撓性ステント。
(23) 前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、実施態様20に記載の可撓性ステント。
(24) 前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、実施態様23に記載の可撓性ステント。
(25) 前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、実施態様24に記載の可撓性ステント。
(26) 複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される近位端環であって、前記近位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記近位端に取り付けられている、近位端環と、
複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される遠位端環であって、前記遠位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記遠位端に取り付けられている、遠位端環と、を更に含む、実施態様1に記載の可撓性ステント。
(27) 近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分は近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
(28) 前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
(29) 前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
(30) 前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
【0063】
(31) 前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、実施態様30に記載の可撓性ステント。
(32) 前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、実施態様31に記載の可撓性ステント。
(33) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様27に記載の可撓性ステント。
(34) 前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(35) 前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、実施態様34に記載の可撓性ステント。
(36) 前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(37) 前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様36に記載の可撓性ステント。
(38) 前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(39) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(40) 前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、実施態様39に記載の可撓性ステント。
【0064】
(41) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、実施態様34に記載の可撓性ステント。
(42) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、実施態様34に記載の可撓性ステント。
(43) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(44) 前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(45) 前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、実施態様44に記載の可撓性ステント。
(46) 前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、実施態様33に記載の可撓性ステント。
(47) 前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、実施態様46に記載の可撓性ステント。
(48) 近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分はストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
(49) 前記螺旋状区分が、反復螺旋状パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、実施態様30に記載の可撓性ステント。
(50) 前記反復螺旋状パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、実施態様31に記載の可撓性ステント。
【0065】
(51) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様32に記載の可撓性ステント。
(52) 前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、実施態様48に記載の可撓性ステント。
(53) 前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(54) 前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、実施態様53に記載の可撓性ステント。
(55) 前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(56) 前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、実施態様55に記載の可撓性ステント。
(57) 前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(58) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(59) 前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、実施態様58に記載の可撓性ステント。
(60) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、実施態様53に記載の可撓性ステント。
【0066】
(61) 前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、実施態様53に記載の可撓性ステント。
(62) 前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(63) 前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(64) 前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、実施態様63に記載の可撓性ステント。
(65) 前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、実施態様52に記載の可撓性ステント。
(66) 前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、実施態様65に記載の可撓性ステント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記各ストラット部材は対向する長手方向に配置された長辺及び対向する周囲方向に配置された短辺を備える実質的な矩形を有し、前記各ヒンジ部材は、前記ストラット部材の前記短辺に沿って、前記周囲方向に隣接するストラット部材に接続される、螺旋状区分と、
前記バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる少なくとも1つの接続部材であって、前記接続部材は長手方向に隣接するストラット部材の前記短辺に取り付けられ、前記接続部材は長手方向に隣接するヒンジ部材には取り付けられていない、少なくとも1つの接続部材と、を含む、管状可撓性ステント。
【請求項2】
前記バンドが、実質的にS又はZ型の正弦波状パターンを有する、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項3】
前記各ストラット部材の幅が、前記ストラット部材に取り付けられた前記各ヒンジ部材の幅より大きい、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項4】
少なくとも1つの前記ストラット部材の幅がその長手方向長さに沿ってテーパー形状になっている、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項5】
前記ストラット部材の幅は、前記短辺の一方において最大であり、対向する前記短辺において最小である、請求項4に記載の可撓性ステント。
【請求項6】
前記ストラット部材の幅が、前記対向する短辺の間の前記ストラット部材の長さに沿った一点において最小である、請求項4に記載の可撓性ステント。
【請求項7】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項8】
前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項9】
前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、請求項8に記載の可撓性ステント。
【請求項10】
前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項11】
前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、請求項10に記載の可撓性ステント。
【請求項12】
前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項13】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項14】
前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、請求項13に記載の可撓性ステント。
【請求項15】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、請求項8に記載の可撓性ステント。
【請求項16】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、請求項8に記載の可撓性ステント。
【請求項17】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項18】
前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、請求項18に記載の可撓性ステント。
【請求項20】
前記螺旋状区分は、近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項21】
前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、請求項20に記載の可撓性ステント。
【請求項22】
前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、請求項20に記載の可撓性ステント。
【請求項23】
前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、請求項20に記載の可撓性ステント。
【請求項24】
前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、請求項23に記載の可撓性ステント。
【請求項25】
前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、請求項24に記載の可撓性ステント。
【請求項26】
複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される近位端環であって、前記近位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記近位端に取り付けられている、近位端環と、
複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される遠位端環であって、前記遠位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記遠位端に取り付けられている、遠位端環と、を更に含む、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項27】
近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分は近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
【請求項28】
前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項29】
前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項30】
前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項31】
前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、請求項30に記載の可撓性ステント。
【請求項32】
前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、請求項31に記載の可撓性ステント。
【請求項33】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項34】
前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項35】
前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、請求項34に記載の可撓性ステント。
【請求項36】
前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項37】
前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、請求項36に記載の可撓性ステント。
【請求項38】
前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項39】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項40】
前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、請求項39に記載の可撓性ステント。
【請求項41】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、請求項34に記載の可撓性ステント。
【請求項42】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、請求項34に記載の可撓性ステント。
【請求項43】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項44】
前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項45】
前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、請求項44に記載の可撓性ステント。
【請求項46】
前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項47】
前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、請求項46に記載の可撓性ステント。
【請求項48】
近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分はストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
【請求項49】
前記螺旋状区分が、反復螺旋状パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、請求項30に記載の可撓性ステント。
【請求項50】
前記反復螺旋状パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、請求項31に記載の可撓性ステント。
【請求項51】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項32に記載の可撓性ステント。
【請求項52】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項48に記載の可撓性ステント。
【請求項53】
前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項54】
前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、請求項53に記載の可撓性ステント。
【請求項55】
前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項56】
前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、請求項55に記載の可撓性ステント。
【請求項57】
前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項58】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項59】
前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、請求項58に記載の可撓性ステント。
【請求項60】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、請求項53に記載の可撓性ステント。
【請求項61】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、請求項53に記載の可撓性ステント。
【請求項62】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項63】
前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項64】
前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、請求項63に記載の可撓性ステント。
【請求項65】
前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項66】
前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、請求項65に記載の可撓性ステント。
【請求項1】
近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記各ストラット部材は対向する長手方向に配置された長辺及び対向する周囲方向に配置された短辺を備える実質的な矩形を有し、前記各ヒンジ部材は、前記ストラット部材の前記短辺に沿って、前記周囲方向に隣接するストラット部材に接続される、螺旋状区分と、
前記バンドの長手方向に隣接する螺旋状屈曲部の間に延びる少なくとも1つの接続部材であって、前記接続部材は長手方向に隣接するストラット部材の前記短辺に取り付けられ、前記接続部材は長手方向に隣接するヒンジ部材には取り付けられていない、少なくとも1つの接続部材と、を含む、管状可撓性ステント。
【請求項2】
前記バンドが、実質的にS又はZ型の正弦波状パターンを有する、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項3】
前記各ストラット部材の幅が、前記ストラット部材に取り付けられた前記各ヒンジ部材の幅より大きい、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項4】
少なくとも1つの前記ストラット部材の幅がその長手方向長さに沿ってテーパー形状になっている、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項5】
前記ストラット部材の幅は、前記短辺の一方において最大であり、対向する前記短辺において最小である、請求項4に記載の可撓性ステント。
【請求項6】
前記ストラット部材の幅が、前記対向する短辺の間の前記ストラット部材の長さに沿った一点において最小である、請求項4に記載の可撓性ステント。
【請求項7】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項8】
前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項9】
前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、請求項8に記載の可撓性ステント。
【請求項10】
前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項11】
前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、請求項10に記載の可撓性ステント。
【請求項12】
前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項13】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項14】
前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、請求項13に記載の可撓性ステント。
【請求項15】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、請求項8に記載の可撓性ステント。
【請求項16】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、請求項8に記載の可撓性ステント。
【請求項17】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項18】
前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、請求項7に記載の可撓性ステント。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、請求項18に記載の可撓性ステント。
【請求項20】
前記螺旋状区分は、近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項21】
前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、請求項20に記載の可撓性ステント。
【請求項22】
前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、請求項20に記載の可撓性ステント。
【請求項23】
前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、請求項20に記載の可撓性ステント。
【請求項24】
前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、請求項23に記載の可撓性ステント。
【請求項25】
前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、請求項24に記載の可撓性ステント。
【請求項26】
複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される近位端環であって、前記近位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記近位端に取り付けられている、近位端環と、
複数の長手方向に配置されたストラット部材及び無終端の環を形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材から構成される遠位端環であって、前記遠位端環は前記接続部材の少なくとも1つによって前記螺旋状区分の前記遠位端に取り付けられている、遠位端環と、を更に含む、請求項1に記載の可撓性ステント。
【請求項27】
近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分は近位遷移領域、遠位遷移領域及びその間の中央領域を含み、それぞれピッチ及び入射角を有し、前記近位遷移領域及び前記遠位遷移領域の前記ピッチ及び前記入射角は前記中央領域とは異なる、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
【請求項28】
前記中央領域は、一定のピッチ及び入射角を有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項29】
前記近位遷移領域及び前記遠位領域はそれぞれ、可変のピッチ及び入射角を有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項30】
前記中央領域は、ストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項31】
前記中央区分が、反復中央パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、請求項30に記載の可撓性ステント。
【請求項32】
前記反復中央パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、請求項31に記載の可撓性ステント。
【請求項33】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項27に記載の可撓性ステント。
【請求項34】
前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項35】
前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、請求項34に記載の可撓性ステント。
【請求項36】
前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項37】
前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、請求項36に記載の可撓性ステント。
【請求項38】
前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項39】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項40】
前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、請求項39に記載の可撓性ステント。
【請求項41】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、請求項34に記載の可撓性ステント。
【請求項42】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、請求項34に記載の可撓性ステント。
【請求項43】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項44】
前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項45】
前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、請求項44に記載の可撓性ステント。
【請求項46】
前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、請求項33に記載の可撓性ステント。
【請求項47】
前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、請求項46に記載の可撓性ステント。
【請求項48】
近位端部及び遠位端部、並びに円筒形を有し、管腔側表面及び反管腔側表面、並びにその間の厚さを備える、管状可撓性ステントであって、前記円筒形は長手方向軸を画定し、前記管状可撓性ステントは、
複数の長手方向に配置されたストラット部材、及びバンドを形成するように周囲方向に隣接するストラット部材を接続する複数の周囲方向に配置されたヒンジ部材を有する螺旋状区分であって、前記バンドは、複数の螺旋状屈曲部を形成するように実質的に螺旋状の様式で前記長手方向軸の周囲に巻かれ、前記螺旋状区分はストリングパターンを形成するように編成された、隣接するストラット部材及びヒンジ部材の群から形成されるストリングを含み、前記バンドに沿った隣接するストリングが異なるストリングパターンを有する、螺旋状区分を含む、管状可撓性ステント。
【請求項49】
前記螺旋状区分が、反復螺旋状パターンを形成するように、幾何学的に対称な反復ストリングを含む、請求項30に記載の可撓性ステント。
【請求項50】
前記反復螺旋状パターンが、2つの異なる反復ストリングのみからなる、請求項31に記載の可撓性ステント。
【請求項51】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項32に記載の可撓性ステント。
【請求項52】
前記ストラット部材の少なくとも1つが、内部に少なくとも1つの薬剤を充填するための、少なくとも1つのデポーを有する、請求項48に記載の可撓性ステント。
【請求項53】
前記少なくとも1つのデポーが複数のデポーを含む、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項54】
前記複数のデポーは、前記可撓性ステント全体にわたってほぼ均一に分布している、請求項53に記載の可撓性ステント。
【請求項55】
前記少なくとも1つのデポーが、貫通孔を画定するように前記ストラット部材を通じて延びる、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項56】
前記少なくとも1つのデポーが、前記管腔側表面から前記反管腔側表面へと前記ストラット部材を通じて延びる、請求項55に記載の可撓性ステント。
【請求項57】
前記少なくとも1つのデポーは、陥没部を画定するように、前記少なくとも1つのストラット部材の厚さよりも小さな深さを有する、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項58】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい反管腔側露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記反管腔側表面内の前記デポー開口部の断面積を除く反管腔側露出表面積を有し、前記反管腔側露出薬剤表面積及び前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積に等しく、前記反管腔側露出表面積は、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の50%〜90%である、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項59】
前記反管腔側露出表面積が、前記可撓性ステント合計反管腔側表面積の約75%である、請求項58に記載の可撓性ステント。
【請求項60】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、少なくとも1つの異なる薬剤を含む、請求項53に記載の可撓性ステント。
【請求項61】
前記複数のデポーの少なくとも2つのデポーが、異なる濃度の同じ薬剤を含む、請求項53に記載の可撓性ステント。
【請求項62】
前記薬剤は、前記可撓性ステントの前記表面内の前記デポー開口部の合計断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記表面内の前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の40%〜90%である、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項63】
前記少なくとも1つのデポーが、少なくとも2つの薬剤を含み、前記薬剤の間にバリア層がある、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項64】
前記少なくとも1つのバリア層が、前記管腔側表面と平行に配置されている、請求項63に記載の可撓性ステント。
【請求項65】
前記薬剤は、前記デポー開口部の断面積に等しい露出薬剤表面積を有し、前記可撓性ステントは、前記デポー開口部の断面積を除く露出表面積を有し、前記露出薬剤表面積及び前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積に等しく、前記露出表面積は、前記可撓性ステント合計表面積の50%〜90%である、請求項52に記載の可撓性ステント。
【請求項66】
前記露出表面積が、前記可撓性ステント合計表面積の約75%である、請求項65に記載の可撓性ステント。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図6J】
【図6K】
【図6L】
【図6M】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図6J】
【図6K】
【図6L】
【図6M】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−516718(P2012−516718A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548406(P2011−548406)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/022904
【国際公開番号】WO2010/088676
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(510197221)コーディス・コーポレイション (11)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【住所又は居所原語表記】430 Route 22, Bridgewater, NJ 08807, United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/022904
【国際公開番号】WO2010/088676
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(510197221)コーディス・コーポレイション (11)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【住所又は居所原語表記】430 Route 22, Bridgewater, NJ 08807, United States of America
【Fターム(参考)】
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