説明

可撓性包装体詰め製品

【課題】より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできる可撓性包装体詰め製品を提供することである。
【解決手段】内容物Nが自立可能な可撓性包装体14に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品10であって、可撓性包装体14の両側部の少なくともいずれか一方に形成され、相互に係止する上下一対の係止部15a、16aを有し、可撓性包装体14には、前記上下一対の係止部15a、16aのうちの下側の係止部16aより上方の位置を幅方向に開封するように誘導する開封誘導部151が形成され、開封誘導部151に従って開封された可撓性包装体14を折り曲げて前記上下一対の係止部15a、16aが相互に係止され得るように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチのような可撓性包装体に内容物を詰めて密封してなる可撓性包装体詰め製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カレールー等の流動性食品をパウチ(可撓性包装体)に詰めて密封し、加熱・殺菌したレトルトパウチ食品(パウチ詰め製品)がある。このようなレトルトパウチ食品として、近年、具を除いたタレや汁等の調味液を詰めて密封したものが提案されている(特許文献1参照)。このレトルトパウチ食品では、パウチを開封して具を投入した後に、ジッパーによってパウチを再封し、電子レンジ等によってタレや汁とともに具の加熱調理がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1記載のレトルトパウチ食品は、パウチ内に具を投入した後に、開口部近傍に設けられているジッパーを閉めることによって密封されるため、調味液(タレや汁等)とともに具を電子レンジ等で加熱調理する際に発生する蒸気によって当該パウチ内の圧力が上昇する。そこで、このレトルトパウチ食品では、パウチに蒸気を放出するための蒸気孔が形成されている。これにより、加熱調理に際して発生する蒸気によってパウチ内の圧力が上昇しようとしても蒸気孔から蒸気が放出されるので、必要以上に当該パウチ内の圧力が高まることがない。
【0005】
しかしながら、前述した従来のレトルトパウチ食品は、パウチにジッパーや蒸気孔を設けなければならないためにその構造が複雑であり、製造が難しく、かつコストもかさむものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできる可撓性包装体詰め製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品は、内容物が自立可能な可撓性包装体に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品であって、前記可撓性包装体の両側部の少なくともいずれか一方に形成され、相互に係止する上下一対の係止部を有し、前記可撓性包装体には、前記上下一対の係止部のうちの下側の係止部より上方の位置を幅方向に開封するように誘導する開封誘導部が形成され、前記開封誘導部に従って開封された前記可撓性包装体を折り曲げて前記上下一対の係止部が相互に係止され得るようにした構成となる。
【0008】
このような構成により、開封誘導部に従って開封され、自立した可撓性包装体内に追加物を投入した後に当該可撓性包装体を折り曲げて上下一対の係止部を相互に係止することができるので、その自立した可撓性包装体の折り曲げられた状態を保持できるようになる。そして、自立して折り曲げられたた状態の可撓性包装体内にあるもともとの内容物及び追加物を電子レンジ等で加熱調理する際に発生した蒸気は、可撓性包装体の折り返しによって放出され難くなるものの、その折り返し部分を通って開封された部分から放出される。
【0009】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記開封誘導部は、前記上下一対の係止部のうちの上側の係止部より上方の位置を幅方向に開封するように誘導する構成とすることができる。
【0010】
このような構成により、自立して折り曲げられたた状態の可撓性包装体内にあるもともとの内容物及び追加物を電子レンジ等で加熱調理する際に発生した蒸気は、その折り曲げにより下方に向いた当該可撓性包装体の先端部分から放出されるようになる。
【0011】
また、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記可撓性包装体は、当該可撓性包装体の相対する第1シートと第2シートとを有し、前記開封誘導部は、前記第1シート及び前記第2シートのいずれか一方を幅方向に切り裂くように開封することを誘導する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、開封誘導部に従って可撓性包装体の相対する第1シート及び第2シートのいずれか一方を幅方向に切り裂くように開封することができる。
【0013】
更に、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記開封誘導部は、前記上下一対の係止部のうちの上側の係止部と下側の係止部との間の位置を幅方向に開封するように誘導する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、上下一対の係止部の間の位置において可撓性包装体の相対する第1シート及び第2シートのいずれかが切り裂かれるように開封されるので、前記上下一対の係止部を相互に係止させるためにその開封された可撓性包装体を当該上下一対の係止部の間の位置で折り曲げやすくなる。
【0015】
また、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記上下一対の係止部は、切り起こし部及び当該切り起こし部が嵌り込む孔部とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、可撓性包装体を折り曲げて、切り起こし部を孔部に嵌め込むようにして相互に係止させることにより、可撓性包装体の折り曲げられた状態が維持されるようになる。
【0017】
更に、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記上下一対の係止部のそれぞれは、前記両側部の最外縁部から斜めに切り込んで形成される外側切り込みと当該外側切り込みから上方向に続く内側切り込みとからなる切り込み部とすることができる。
【0018】
このような構成により、可撓性包装体を折り曲げて、上側の切り込み部と下側の切り込み部とを相互に差し込み合うようにして係止させることにより、可撓性包装体の折り曲げられた状態が維持されるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品によれば、開封誘導マークに従って開封され、自立した可撓性包装体内に追加物を投入した後に当該可撓性包装体を折り曲げて上下一対の係止部を相互に係止させることにより、その自立した可撓性包装体の折り曲げられた状態を保持できるようになる。従って、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された追加物をもともとの内容物とともに加熱調理することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図2】図1に示すレトルトパウチ食品のパウチを開封し、該パウチに追加物を投入した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図7】図6に示すレトルトパウチ食品のパウチを開封した状態を示す斜視図である
【図8】図6に示すレトルトパウチ食品のパウチを開封した状態を示す側面図である。
【図9A】図6に示すレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げた状態の一例を示す側面図である。
【図9B】図6に示すレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げた状態の他の一例を示す側面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図11】図10に示すレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図13】図12に示すレトルトパウチ食品の断面構造を示す断面図である。
【図14】図12に示すレトルトパウチ食品のパウチを開封した状態を示す側面図である。
【図15】図12に示すレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げて内容物及び追加物の加熱調理を行った状態を示す側面図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品を示す斜視図である。
【図17】図16に示すレトルトパウチ食品の断面構造を示す断面図である。
【図18】図16に示すレトルトパウチ食品のパウチを開封した状態を示す側面図である。
【図19】図16に示すレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げて内容物及び追加物の加熱調理を行った状態を示す側面図である。
【図20】可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の開封されたパウチを折り曲げた状態を維持する方法の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図1に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品は、パウチ(可撓性包装体)にタレや汁等の調味液を詰めて密封したレトルトパウチ食品である。
【0023】
図1において、レトルトパウチ食品10は、底付きのパウチ14に調味液等の流動性の内容物Nが詰められて密封され、自立可能な構造となっている。パウチ14は、例えば、多層樹脂製の表シート11、裏シート12、及び底部を構成するシート(図示略)の周囲部分をヒートシール加工して袋状に形成されている。このヒートシール加工により、袋状のパウチ14の周囲部分には、下縁シール部131、側シール部132、133及び上縁シール部134が形成される。このレトルトパウチ食品10は、パウチ14の下縁シール部131が足部となって自立可能となる。
【0024】
パウチ14における一方の側シール部132には、下から上に向けて起こすことが可能となる略U字状の切り起こし部15aが上縁シール部134に比較的近い位置に形成され、この切り起こし部15aから所定長だけ離れた下方位置に孔部16aが形成されている。これら切り起こし部15a及び孔部16aは、パウチ14を折り曲げて相互に係止可能となる上下一対の係止部を構成する。また、パウチ14の逆側の側シール部133にも、同様の位置関係で上下一対の係止部を構成する切り起こし部15b及び孔部16bが形成されている。
【0025】
パウチ14における一方の側シール部132の外縁部の切り起こし部15aと上縁シール部134との間の所定位置には切欠き部151が形成され、逆側の側シール部133の外縁部の同様の位置にも切欠き部152が形成されている。これら切欠き部151、152は、この部分からパウチ14を幅方向に開封するように誘導する開封誘導部であって、いずれかの切欠き部151、152から上縁シール部132に沿って(破線A参照)切り裂くことによりパウチ14を開封することができる。
【0026】
前述したレトルトパウチ食品10は次のようにして利用される。
【0027】
パウチ14が、側シール部132、133に形成された切欠き部151、152のいずれかから上縁シール部134に沿って切り裂かれ、図2に示すように、開封される。これにより、調味液等の内容物Nの入ったパウチ14は、切り裂き位置より上方部分が切り落とされて、開口150の形成された状態となる。この状態で、自立したパウチ14に開口150から肉塊等の具(追加物S)が投入される。そして、パウチ14にもともとあった調味液等の内容物Nと新たに投入された具等の追加物Sとが、例えば、パウチ14をその開口150の形成された端部を持って振ることにより、混ぜ合わされる。
【0028】
次いで、表シート11と裏シート12とを押え込むようにしてパウチ14内から空気を抜いた後に、それぞれ上下一対となる切り起こし部15a、15bと孔部16a、16との中央部より上方の部分が折り返される。そして、図3に示すように、切り起こし部15a、15bが側シール部132、133から起こされて孔部16a、16bに嵌め込まれる。すると、折り曲げられたパウチ14の復元力によってパウチ14の折り返された側の部分が上方にずれて、各切り起こし部15a、15bの根元部分とその近傍の側シール部132、133の部分とが孔部16a、16bの縁部分を挟み込むようにして、それら切り起こし部15a、15bと孔部16a、16bとが相互に係止し合う。これにより、パウチ14は、図3に示すように折り曲げられた状態を維持する。
【0029】
この状態(図3参照)で、電子レンジ等によってパウチ14内で混ざった内容物N及び追加物Sが加熱調理される。このとき、パウチ14内で発生する蒸気はその折り曲げられた部分を通過し難く、また、下方を向いた開口150から出難い。しかし、パウチ14内の圧力がある程度高くなると、内部で発生した蒸気は、折り曲げられた部分を押し広げて通過して下方を向いた開口150から放出される。これにより、パウチ14内は適度な温度及び圧力に保持されて、混ざったもともとの内容物N及び追加物Sが加熱調理される。
【0030】
前述した本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品であるレトルトパウチ食品10によれば、切欠き部151、152のいずれかから切り裂くことにより開封され、自立したパウチ14内に追加物Sを投入した後に当該パウチ14を折り曲げて上下一対の切り起こし部15a、15b及び孔部16a、16bを相互に係止させることにより、その開封されて自立したパウチ14の折り曲げられた状態を保持できるようになる。従って、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0031】
本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図4に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。なお、図4において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0032】
図4に示すレトルトパウチ食品10は、パウチ14の両方の側シール部132、133に、前述した第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(図1参照)と異なり、上下一対の係止部を構成する切り起こし部17a、17bと孔部18a、18bとが、孔部18a、18bが切り起こし部17a、17bより上側となるような位置関係にて形成されている。
【0033】
このようなレトルトパウチ食品10においても、パウチ14を切欠き部151、152(開封誘導部)のいずれから切り裂いて開封し、具等の追加物Sを投入した後に、それぞれ上下一対となる切り起こし部17a、17bと孔部18a、18bとの中央部より上方の部分が折り返される。そして、切り起こし部17a、17bが起こされて、孔部18a、18bに通される。すると、折り曲げられたパウチ14の復元力によってパウチ14の折り返された側の部分が上方にずれて、孔部18a、18bの縁部分が対応する切り起こし部17a、17bの根元部分に引っ掛かるようにして、それら切り起こし部17a、17bと孔部18a、18bとが相互に係止し合う。これにより、パウチ14は、図3に示すものと同様に、折り曲げられた状態を維持する。この状態で、パウチ14内で混ざった内容物N及び追加物Sを電子レンジ等によって加熱調理することができる。
【0034】
本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としての図4に示すレトルトパウチ食品10によれば、第1の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0035】
本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図5に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。なお、図5において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0036】
図5に示すレトルトパウチ食品10では、パウチ14の両方の側シール部132、133に、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(図1参照)と異なり、上下一対の係止部を構成する第1切り起こし部19a、19bと第2切り起こし部20a、20bとが、第1切り起こし部19a、19bが第2切り起こし部20a、20bより上側になるような位置関係にて形成されている。各第1切り起こし部19a、19bは、先端部が矢じり状に広がった形状で、下から上に向けて起こすことが可能となっている。また、第2切り起こし部20a、20bは、略円形で、第1切り起こし部19a、19bとは逆に、上から下に向けて起こすことが可能となっている。
【0037】
このようなレトルトパウチ食品10においては、パウチ14を切欠き部151、152(開封誘導部)のいずれかから切り裂いて開封し、具等の追加物Sを投入した後に、それぞれ上下一対となる第1切り起こし部19a、19bと第2切り起こし部20a、20bとの中央部より上方の部分が折り返される。そして、第1切り起こし部19a、19bが折り返しの内方に向けて起こされるとともに、第2切り起こし部20a、20bが表面シート11側または裏面シート側12のいずれかの側に起こされる。このように起こされた第1切り起こし部19a、19bが、その先端部を窄めた状態で、第2切り起こし部20a、20bを起こすことによって形成された略円形の孔部に嵌め込まれる。すると、折り曲げられたパウチ14の復元力によってパウチ14の折り返された側の部分が上方にずれて、第2切り起こし部20a、20bがおこされて形成された孔部の縁部分に、対応する第1切り起こし部19a、19bの矢じり状に広がった先端部分が引っ掛かるようにして、それら第1切り起こし部19a、19bと孔部(第2切り起こし部20a、20bにより形成される)とが相互に係止し合う。これにより、パウチ14は、図3に示すものと同様に、折り曲げられた状態を維持する。この状態で、パウチ14内で混ざったもともとの内容物N及び追加物Sを電子レンジ等によって加熱調理することができる。
【0038】
本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としての図5に示すレトルトパウチ食品10によれば、前述した第1及び第2の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0039】
特に第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10では、第1切り起こし部19a、19bは、その先端が矢じり状になっているので、対応する第2切り起こし部20a、20bが起こされて形成される孔部に嵌め込まれると、抜け難くなり、電子レンジ等での加熱料理中に、折り曲げられた状態が解かれてパウチ14がもとの形になってしまうことを確実に防止することができる。
【0040】
なお、各第2切り起こし部20a、20bの直径については、対応する第1切り起こし部19a、19bの矢じり状の先端部分の最大幅より小さく、かつ、その根元から前記先端部分に至る部分の幅より僅かに大きくなるように設定することができる。
【0041】
第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10において、第2切り起こし部20a、20bは、第1実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合(図1〜図3参照)と同様に、単なる孔部に代えることができる。
【0042】
また、第1及び第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10において、孔部16a、16b(18a、18b)は、第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(図5参照)における第2切り起こし部20a、20bのような切り起こし部に代えることができる。このように、各切り起こし部を係止部として構成することは、パウチ14の製造過程において、打ち抜きカスが発生することがない、という点で好ましい。
【0043】
更に、第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10において、第1切り起こし部19a、19bと第2切り起こし部20a、20bとの上下関係を逆にしてもよい。
【0044】
なお、第1、第2及び第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10のように、係止部として切り起こし部を形成することは、パウチ14の側縁に切り込みの端が現れないという点で、好ましい。
【0045】
本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図6に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。なお、図6において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0046】
図6に示すレトルトパウチ食品10では、パウチ14に形成される開封誘導部が、前述した第1乃至第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品のもの(切り裂き部151、152)と異なる。
【0047】
図6に示すレトルトパウチ食品10は、パウチ14の両側の側シール部132、133に、第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品(図1参照)と同様に、上下一対の係止部としての切り起こし部15a、15bと孔部16a、16bとが形成されている。一方の側シール部132の切り起こし部15bと孔部16aとの間の所定位置において、未シール部21aが形成され、この未シール部21a内の表シート11に突片153が開封誘導部として形成されている。また、他方の側シール部133にも同様の位置関係で、未シール部21bが形成され、この未シール部21b内の表シート11に突片154が開封誘導部として形成されている。そして、表シート11には、一方の側シール部132に形成された突片153と他方の側シール部133と結ぶように切り裂きを容易化した切り裂き誘導線155がレーザ加工等によって形成されている。
【0048】
このようなレトルトパウチ食品10においては、パウチ14の側シール部132、133に形成された未シール部21a、21bに突出する突片153、154のいずれか、例えば、突片153を摘まんで切り裂き誘導線155に沿って引くことにより表シート11の引き裂き誘導線155の部分が、図7に示すように引き裂かれる。これにより、図7とともに図8に示すように、表シート11の引き裂かれた部分が開口160となってパウチ14が開封される。この状態で、自立したパウチ14に開口160から追加物Sが投入され、パウチ14内においてもともとあった内容物Nと追加物とが混ぜ合わされる。
【0049】
次いで、表シート11と裏シート12とを押え込むようにしてパウチ14内から空気を抜いた後に、それぞれ上下一対となる切り起こし部15a、15bと孔部16a、16bとの略中央部より上方の部分が、表シート11を内側にして折り返される。例えば、図9Aに示すように、開口160の形成された部分を境にして折り返すようにすると、その境の部分は裏シート12だけなので、折り返し易い。また、図9Bに示すように、開口160が折り返しの境の部分より先端側に位置するように折り返すようにすると、折り曲がった部分において表シート11と裏シート12との密着性が高まるので、開封された状態のパウチ14の気密性をある程度高く維持することができる。
【0050】
このようにパウチ14が折り返されると、第1の実施の形態の場合(図3参照)と同様に、切り起こし部15a、15bが側シール部132、133から起こされて孔部16a、16bに嵌め込まれ、それら切り起こし部15a、15bと孔部16a、16bとが相互に係止し合う。これにより、パウチ14は、折り曲げられた状態を維持する(図3参照)。この状態で、電子レンジ等によってパウチ14内で混ざった内容物N及び追加物Sが加熱調理される。このとき、パウチ14内で発生する蒸気は、折り曲げられた部分を通って開口160から放出される。特に、図9Bに示すように、パウチ14が開口160とずれた位置にて折り曲げられた場合、蒸気がその折り曲げられた部分を通過し難くなるので、パウチ14内の圧力をある程度高く維持させることができるようになる。
【0051】
本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としての図6に示すレトルトパウチ食品10によれば、第1乃至第3の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0052】
本発明の第5の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図10に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。なお、図10において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0053】
図10に示すレトルトパウチ食品10では、パウチ14の両方の側シール部132、133に、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(図1参照)と異なり、上下一対の係止部を構成する第1切り込み部22a、22bと第2切り込み部23a、23bとが、第1切り込み部22a、22bが第2切り込み部23a、23bより上側になるような位置関係にて形成されている。第1切り込み部22a、22bのそれぞれは、側シール部132の最外縁部から斜め上方向に切り込んで形成される外側切り込みと該外側切り込みから上方向に続く内側切り込みにて構成されている。また、第2切り込み部23a、23bのそれぞれも、第1切り込み部22a、22bと同様に、側シール部133の最外縁部から斜め上方向に切り込んで形成される外側切り込みと該外側切り込みから上方向に続く内側切り込みにて構成されている。
【0054】
このようなレトルトパウチ食品10においては、パウチ14を切欠き部151、152(開封誘導部)のいずれかから切り裂いて開封し、具等の追加物Sを投入した後に、それぞれ上下一対となる第1切り込み部22a、22bと第2切り込み部23a、23bとの中央部より上方の部分が折り返される。そして、第1切り込み部22a、22bの外側切り込みと第2切り込み部23a、23bの外側切り込みとが合わせられて、それぞれの外側切り込み部に側シール部132、133の部分が相互に差し込まれ、更に、図11に示すように、第1切り込み部22a、22bの内側切り込み及び第2切り込み部23a、23bの内側切り込みに側シール部132、133の部分が相互に嵌め込まれる。これにより、第1切り込み部22a、22bと第2切り込み部23a、23bとが引っ掛かって相互に係止し合った状態となる。その結果、パウチ14は、図11に示すように、折り曲げられた状態を維持する。この状態で、パウチ14内で混ざったもともとの内容物N及び追加物Sを電子レンジ等によって加熱調理することができる。
【0055】
本発明の第5の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としての図10に示すレトルトパウチ食品10によれば、前述した第1乃至第4の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0056】
本発明の第6の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図12及び図13に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密閉してなるレトルトパウチ食品である。なお、図12及び図13において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0057】
図12及び図13に示すレトルトパウチ食品10では、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(図1参照)と同様に、表シート11、裏シート12及び底部を構成するシート31を重ねてその周囲部分をシールして袋状にした自立可能なパウチ14の両方の側シール部132、133に、切り起こし部15a、15b、孔部16a、16b、及び開封誘導部としての切欠き部151、152が形成されている。また、表シート11の所定部位には、当該表シート11を縦方向にたるませて折り返してなる折り返し部32が形成されている。
【0058】
このようなレトルトパウチ食品10においては、パウチ14が切欠き部151、152(開封誘導部)のいずれかから切り裂かれて、図14に示すように開封される。これにより、調味液等の内容物Nの入ったパウチ14は、切り裂き位置より上部分が切り落とされて、開口150の形成された状態となる。この状態で、自立したパウチ14に開口150から肉塊等の具(追加物S)が投入される。そして、パウチ14にもともとあった調味液等の内容物Nと新たに投入された具等の追加物Sとが、例えば、パウチ14をその開口150の形成された端部を持って振ることにより、混ぜ合わされる。
【0059】
次いで、表シート11と裏シート12とを押え込むようにしてパウチ14内から空気を抜いた後に、それぞれ上下一対となる切り起こし部15a、15bと孔部16a、16との中央部より上方の部分が、折り返し部32の形成された表シート11を外側にし、即ち、裏シート12を内側にして折り返される。そして、図3に示す場合と同様に、切り起こし部15a、15bと孔部16a、16bとが相互に係止し合って、パウチ14の折り曲げられた状態が維持される(図3参照)。
【0060】
この状態で、パウチ14内で混ざったもともとの内容物N及び追加物Sが電磁レンジ等によって加熱調理される。その際、パウチ14内で発生した蒸気によって内圧が上昇すると、折り返し部32が、図15に示すように拡張して、パウチ14の表シート11側が大きく伸びる。そのため、パウチ14内の容積が増大して、比較的多くの追加物Sを投入しても吹きこぼれることなく加熱調理することができる。また、表シート11側が大きく伸びることによって、裏シート12側への折り返しがより確実なものとなる。パウチ14内の圧力を比較的高くに保持しつつ、内容物N及び追加物Sを加熱調理することができるようになる。なお、使用者が追加物Sを投入する際に折り返し部32を広げるようにしてもよい。
【0061】
また、この本発明の第6の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としての図12及び図13に示すレトルトパウチ食品10によれば、前述した第1乃至第5の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになることは勿論である。
【0062】
本発明の第7の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図16及び図17に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密閉してなるレトルトパウチ食品である。なお、図16及び図17において、図1に示す各部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0063】
図16及び図17に示すレトルトパウチ食品10では、前述した第6の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10(図12及び図13参照)と同様に、表シート11、裏シート12及び底部を構成するシート31を重ねてその周囲部分をシールして袋状にして自立可能なパウチ14が形成されている。そして、パウチ14の両方の側シール部132、133に、切り起こし部15a、15b、孔部16a、16b、及び開封誘導部としての切欠き部151、152が形成されている。更に、表シート11の所定部位には、当該表シート11を縦方向にたるませて上側と下側の2か所で折り返してなる折り返し部33が形成され、裏シート12の表シート11形成された折り返し部34に対向する位置に同様の折り返し部34が形成されている。
【0064】
このようなレトルトパウチ食品10においては、パウチ14が切欠き部151、152(開封誘導部)のいずれかから切り裂かれて、図18に示すように開封され、この開封により形成された開口150から自立した状態のパウチ14に追加物Sが投入されて、もともとあった内容物Nと混ぜ合わされる。そして、それぞれ上下一対となる切り起こし部15a、15bと孔部16a、16との中央部より上方の部分が、例えば、シート12を内側にして折り返され、図3に示す場合と同様に、切り起こし部15a、15bと孔部16a、16bとが相互に係止しさせられ、パウチ14の折り曲げられた状態が維持される(図3参照)。
【0065】
この状態で、パウチ14内で混ざったもともとの内容物N及び追加物Sが電磁レンジ等によって加熱調理される。その際、パウチ14内で発生した蒸気によって内圧が上昇すると、表シート11側の折り返し部33と、裏シート12側の折り返し部34とが、図19に示すように拡張して、パウチ14内の容積が増大する。これにより、パウチ14内に比較的多くの追加物Sを投入しても吹きこぼれることなく加熱調理することができるようになる。なお、使用者が追加物Sを投入する際に折り返し部33、34を広げるようにしてもよい。
【0066】
また、この本発明の第7の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としての図16及び図17に示すレトルトパウチ食品10によれば、前述した第1乃至第6の実施の形態に係る可撓性詰め製品の場合と同様に、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ14内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになることは勿論である。
【0067】
前述した各実施の形態においては、両方の側シール部132、133にそれぞれ上下一対の係止部としての切り起こし部及び孔部等が形成されたが、切り起こし部及び孔部等の上下一対の係止部は、両方の側シール部132、133のうちのいずれか一方だけに形成されるものであってもよい。この場合、折り曲げられたパウチ14は、片側の側シール部132(133)だけが合わせられた状態となるので、ユーザは自身で折りぐせを付けることによって、パウチ14の折り曲げられた状態をより確実に維持させることができるようになる。
【0068】
なお、調味液等の内容物Nが入れられて自立可能なパウチ14を開封し、具等の追加物Sを投入した後にパウチ14の先端部分を折り返した状態で、電子レンジ等でその内容物Nとともに追加物Sを加熱調理するという観点からは、図20に示すような更に簡易な手法が考えられる。図20に示されるレトルトパウチ10では、前述したように折り返した部分を上下一対の係止部にて相互に係止させることに代えて、パウチ14を折り曲げた状態で、両方の側シール部132をテープ41、43で固定するとともに、開口15の形成された部分を境に裏シート12から表シート11にわたってテープ42貼り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上、説明したように、本発明に係る可撓性包装体詰め製品は、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできるという効果を有し、パウチのような可撓性包装体に内容物を詰めて密封してなる可撓性包装体詰め製品として有用である。
【符号の説明】
【0070】
10 レトルトパウチ食品(可撓性包装体詰め製品)
11 表シート
12 裏シート
131 下縁シール部
132、133 側シール部
134 上縁シール部
14 パウチ
15a、15b、17a、17b 切り起こし部
16a、16b、18a、18b 孔部
19a、19b 第1切り起こし部
20a、20b 第2切り起こし部
21a、21b 抜き孔
22a、22b 第1切り込み部
23a、23b 第2切り込み部
31 シート(底部用)
32、33、34 折り返し部
41、42、43 テープ
150、160 開口
151、152 切欠き部
153、154 突片
155 切り裂き誘導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が自立可能な可撓性包装体に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品であって、
前記可撓性包装体の両側部の少なくともいずれか一方に形成され、相互に係止する上下一対の係止部を有し、
前記可撓性包装体には、前記上下一対の係止部のうちの下側の係止部より上方の位置を幅方向に開封するように誘導する開封誘導部が形成され、
前記開封誘導部に従って開封された前記可撓性包装体を折り曲げて前記上下一対の係止部が相互に係止され得るようにした可撓性包装体詰め製品。
【請求項2】
前記開封誘導部は、前記上下一対の係止部のうちの上側の係止部より上方の位置を幅方向に開封するように誘導する請求項1記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項3】
前記可撓性包装体は、当該可撓性包装体の相対する第1シートと第2シートとを有し、
前記開封誘導部は、前記第1シート及び前記第2シートのいずれか一方を幅方向に切り裂くように開封することを誘導する請求項1記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項4】
前記開封誘導部は、前記上下一対の係止部のうちの上側の係止部と下側の係止部との間の位置を幅方向に開封するように誘導する請求項3記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項5】
前記上下一対の係止部は、切り起こし部及び当該切り起こし部が嵌り込む孔部である請求項1乃至4いずれか記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項6】
前記上下一対の係止部のそれぞれは、前記両側部の最外縁部から斜めに切り込んで形成される外側切り込みと当該外側切り込み線から上方向に続く内側切り込みとからなる切り込み部である請求項1乃至4いずれか記載の可撓性包装体詰め製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−126556(P2011−126556A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284951(P2009−284951)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】