説明

可撓性材を加工するための方法および装置

本発明は、帯形状の可撓性材を加工するための方法および装置に関する。帯形状の可撓性材2を加工するための方法およびこれに対応した装置を最適化した作業工程と高い生産信頼性をもって提供するために、第1および第2端部領域10、16を有する帯形状の可撓性材2、特定的にはベルト状の生地材、を加工するための方法においては、可撓性材2の第1および第2端部10、16を同時に加工し、うち一種類の加工には少なくとも1回の縫合工程を含むことが提案される。この場合、短縮された作業サイクル時間で確実かつ一定の品質が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯形状の可撓性材を加工するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の説明の文脈において、「可撓性(biegeschlaff)」という文言は、曲げモーメントによる影響をほとんど受けないため、実質的に応力のみを受けて引張り状態で搬送される材料を示す。「帯形状(Streifenform)」という文言は、長さが幅又は高さよりも顕著に長い外形のものをいい、特に本件のようにベルト状の生地材のような外形のものをいう。したがって、ベルト状の生地材は、上述した特性を備えた材料グループの重要な代表例である。合成繊維製の安全ベルトおよび/又は荷役搬送ベルト以外には、例えば金属シート、樹脂シート又は補強繊維内装の有る若しくは無いポリ塩化ビニール(PVC)材料等の、ベルト状の皮革材、ゴム材又は樹脂材が、帯形状の材料として可撓特性を有する。
【0003】
以下では自動車の安全ベルトの製造についてのみ例示として説明するが、この例示に発明を限定するものではない。既に実施されている公知の方法によれば、安全ベルトは通常、各作業位置に中間的な入力バッファおよび出力バッファを備えた一連の作業位置で製造される。ベルト材はまず例えば3.80メートル〜約5.40メートルの長さに切断され、1つの作業位置で、押し込みピンをピンポケットにクランプ保持した状態で、ピンポケットが公知の方法によって手動で折り畳まれ、縫合される。この領域ではラベルが取付けされる場合もある。その後、ベルト材は、巻き取りベルトドラムつまり巻き取り装置に送られた後、ピンによって厚みがついたピンポケットが、ベルトドラムの最終位置に固定された静止位置に来るまで、手動で引っ張られる。
【0004】
公知の方法においては、予め組み付けられた安全ベルトはその後、ベルトドラムの性能を検査するために、いわゆる振り子テストを受ける。最後に、ベルト材に、ロックプレート又は締付けプレートと、偏向装置とが設けられ、保持用リベットも設けられる。いずれの場合も、ベルト材の第2自由端部は、端部取付け部品を介してループ状になり、折り畳まれ、縫合される。通常、ラベルが縫合前に導入される。この鳩目ストッパはベルトドラムとともに、自動車の例えばBピラーの領域において、安全ベルトの頑丈な固定点を構成している。偏向装置は、座席の背もたれの領域でBピラーに安全ベルトを保持し、乗車後に締付け可能なスライドベアリングを構成している。最終検査の後、即時に使用可能に予備製造された安全ベルトが包装される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製造の信頼性を高めて作業工程を最適化しながら、可撓性材を加工するための方法および対応する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、各独立請求項に記載した特徴によって達成される。これによれば、本発明による、第1および第2端部を有する帯形状の可撓性材、特定的にはベルト状の生地材を加工するための装置は、第1および第2端部を同時に加工するための加工ユニットが設けられ、可撓性材の第1および第2端部が異なる方法で加工され、少なくとも縫合工程が一方の加工の一部であることを特徴とする。このようにして、帯形状の可撓性材の両端部が同時に加工可能になったことが、本発明による方法およびその方法による装置の基礎を形成する。したがって、全体としては手動で実行する、半自動の搬送工程および位置決め工程が省略されるために、従来分離していた作業ステーション同士を接続しオーバッラップして使用することによって、かなりの量の作業時間が節約され、製造の信頼性も高まる。また、各加工工程においては2つの端部が互いに一定の位置にあるため、ポカヨケ方式の意味における操作エラーおよび組付けエラーに対するセーフガード、すなわち製造時に起こり得るエラーやエラー原因の意図的な回避、を含む作業工程の最適化が可能になった。
【0007】
更なる有利な特徴は、各従属クレームの発明特定事項である。本発明の一好適実施形態においては、第1加工ユニットにおいて、ピンが挿入されている間に第1端部が折り畳まれ縫合され、好適にはこの挿入が自動的に行われる。このようにして第1加工ユニットにおいては、挿入、組付け、折り畳みおよび縫合の作業工程が第1端部において行われる。好適には第2加工ユニットにおいては、第1加工ユニットにおける各加工工程と同時に、帯形状の可撓性材が所定の長さに測られ、続いて熱切断されて切断縁部が後処理されるが、この切断縁部の後処理は、特定的には、熱切断後のならし工程として、および/又は、切断縁部の熱変形として行われる。
【0008】
可撓性材の第2端部が回収機構に挿入案内されている間に、既に加工された可撓性材が第1加工ユニットから取り出されることも有利である。これによれば、可能な製造工程に関して上述した第1加工ユニット内では別体の排出機構を省略することができる。さらに、第1加工ユニットでまだ加工が行われている間に、帯状材の更なる移送を既に開始していてもよい。
【0009】
本発明の一好適実施形態においては、第2端部が回収機構を介して案内されるのに続いて、第2端部にロック部材および固定手段が取り付けられ、続けて、特定的には押し込み部材・引張り部材の組合せを用いて、固定リベットを所定の位置に又は所定のベルト長さに配置する。このようにして押し込み部材・引張り部材のペアを用いて、特定的には、予め位置決めした各部材を、帯状材も同じ方法で案内しながら、単一の工程で加工することができる。これは、第2端部が次の加工ステーションへ移る際に、連続的に多少とも行うのが有利である。
【0010】
また、少なくとも2つの加工ユニットの間に、少なくとも1つのバッファリングユニット又は中間収納部が設けられているのも有利である。この少なくとも1つのバッファリングユニットは、各加工領域の外側でベルト状の生地材を受けるという目的を果たす。本発明の一実施形態においては、この中間収納部は第1端部の加工ユニットと切断ユニットとの間に、少なくとも1つの下垂ループ形状で設けられている。2つの端部を多少なりとも同時に加工し、対応する装置の全長をかなり短くすることは、中間バッファを設けたことによって容易になる。なぜならこのようにすれば、例えばグリッパーによって第1端部を第1加工ユニットに先に送ってそこで加工する間に、同時に別の方法によって、一定の長さのベルト部分をセットし、測定区画し、チェックすることが可能になるからである。具体的には、上記の選択された加工シーケンスにおいては、すなわち第1加工ユニットにおいてはピンを押し込みながら第1端部を折り畳み縫合し、第2加工ユニットにおいては可撓性材を測定区画および/又は計量した後に熱切断および/又は切断縁部の後処理を行う加工シーケンスにおいては、第1加工ユニットにおける加工が比較的複雑であり時間を要するため、第2加工ユニットにおける加工および後続の加工トラックへの移送が同時に完了するからである。
【0011】
本発明の一実施形態では、押し込み部材を用いて、可撓性材の端部が、加工トラックおよび/又は例えば回収部材等のような安全ベルトの部材に挿入される。この目的のために、少なくとも1つのフィーダ又はピンプレートが設けられ、端部の位置決めと供給とを行う。フィーダ又はピンプレート若しくはニードルプレートは、具体的には、例えば案内プレートの形態をとった補助挿入手段と協働する。このようにすれば、実際の加工の最初では、第1端部をグリッパーによって、長手バッファからピンプレートおよび補助挿入手段を介して正確かつ確実に第1加工ユニットに導入することが可能となり、その際には皺になることもなければ、その他の所定外の動きをすることもない。同時に、ベルト材は継続して長手バッファの中に送られ、可撓性材が測定区画される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、その他の特徴および有利な点を明らかにするために、図面を用いた実施形態を参照しながら本発明についてさらに詳細に説明する。
【0013】
図面における種々の実施形態においては、同様の部材および加工工程には同じ参照符号を使用する。以下、自動車用安全ベルトの製造のみについて示すが、これに本発明を限定するものではない。ただしこれは、コストに対するプレッシャーが高い一方で安全性に対する要求が高く年間生産量も多いため、本発明の主な利用分野の代表的なものである。
【0014】
図1aを参照すると、装置1の第1実施形態においては、無端ベルト材2が帯形状の可撓性材として、収納ローラ3から供給される。ベルト材2は、引張り部材5、長さ測定部ΔL、熱切断装置6、熱切断装置6を使用後にベルト材2の切断縁部を後処理するならし加工装置7、および第2引張り部材8を通過する。第2引張り部材8を通過後、ベルト材2の第1端部10は、詳述を省略する搬送手段によって、中間バッファ11を介して、第1加工ユニットAとしての自動ピン供給部12へ移送される。第1端部10は、補助挿入手段としての案内プレートとともにフィーダ又はピンプレート9によって導入されることによって、第1加工ユニットAへの導入の際の、可撓性材2の膨張又はねじれを回避する。ベルト材2の第1端部10は、ピン供給部12で反転されて所定寸法のループ13を形成し、全自動で縫合され、これに続いて円形その他の断面を有する金属製又は樹脂製のピン14を押し込む間、モニターされる。その間もベルト材2は、収納ローラ3から引張り部材5、8を介して連続搬送される。所定の長さLまで来ると、このベルト材2の搬送は停止され、熱切断装置6が、長さLのベルト材の一区画15をベルト材2から切断するとともに、生地の切断縁部を溶融又はシールして、その直後、2つの新たに切断された縁部を、ならし加工装置7に位置決めして一緒に加工する。引張り部材5、熱切断装置6およびならし加工装置7は、長さ測定部ΔLとともに、第2加工ユニットBの主要部材を構成している。
【0015】
まだ熱く成形可能な切断縁部をならし加工装置7の2枚の非加熱金属プレートの間でプレスすることによって、2つの切断縁部が成形され、具体的には、加工中のベルト材2の残余と同じ高さに戻る。このようにして、既に加工されたベルト材の区画15の第2端部16も、後続の区画15’の第1端部10’も、所定の方法で処理される。
【0016】
ならし加工装置7を開放すると、図1bに示すように、ベルト区画15の第2端部16が解放されて装置1の第2加工トラック18に移送され、図面では詳細に示していないピボットアーム又は送りアーム17に設けた、引張り部材8に固定される。ピン供給部材12の各作用工程のうち一部と、長さLへの測定区画を挟んだ引張り部材5、8によるベルト材2の搬送と、装置6、7で行う切断およびならし加工とは、ピボットアーム又は送りアーム17による移送とベルト回収部20への挿入とも含め、時間をオーバーラップさせて同時に行われる。その結果、図3から明らかなように、一連全体の加工モードにわたって時間が節約される。
【0017】
ピボットアーム又は送りアーム17が引張り部材8とともに図1aに示す初期位置に復帰したときには、第1端部10’を新たに形成したが未切断である後続区画15’を備えたベルト材2が既に、引張りローラ5を介して収納ローラ3から第1加工トラック4に挿入し、トラック前方へ搬送することが可能になっている。この目的のためには、現在加工中のベルト材区画15は、その第1端部10とともにピン供給部材12から離す必要がない。したがって、これらの工程も互いに同時に稼動し、時間の節約ができる。
【0018】
図1cでは略示のみである案内プレート上では、区画15の第2端部16が、補助挿入手段21を備えたフィーダ又はピンプレートを介して、加工トラック18において所定の方法で準備・位置決めされているベルト回収部20に挿入され、ベルト回収部20からさらに別の引張り部材22に案内移送される。この時点では引張り部材8が略示の通り開放されており、今度は逆転作動する押し部材として使用されてベルト区画15を解放する。
【0019】
引張り部材22がベルト区画15を搬送すると、上述した工程においてピン14を取り付けた第1端部10が、矢印19の方向に開放した引張り部材8を介してベルト回収部20に到達する。その後ベルト区画15は張力付与部23の顎部同士をクランプすることによって固定されて張力付与状態になり、これにより第1端部10がクランプという公知の方法によってベルト回収部20に安定的に固定され、この力の付与によってピン14が実際に挿入されているかどうかが確認される。
【0020】
ベルト回収部20が解放されると、逆転作動する引張り部材22によって制御されるベルト材がゆっくりと進み、機械的係合が外れた後、ベルト回収部20によって自動的に約1.5メートル巻き取られる。このように準備したベルト区画15はベルト回収部20とともに中間バッファ24内へ移送され、この半完成ユニットが中間バッファ24から、ベルト回収部20の性能を検査するためにいわゆる振り子テスト25に送られる。振り子テストに合格したユニットはすべて、別の中間バッファ26に移送される。
【0021】
このテスト25は必要に応じて、製造の最後にも配置してよいし、最終テストに統合してもよい。これにより、特に図2の実施形態で後述するように2つの中間バッファ24、26のうち一方が省略可能になることに因り、製法全体をより迅速にすることもできる。
【0022】
本実施形態では、図1dでは既に、半完成ユニットが中間バッファ26から取り出されている。この時点ではベルト区画15が約1.5メートルの一定長さl1まで自動的に巻き取られ、ベルト回収部20に固定され、この状態で最終加工トラック27に移送される。したがって、ベルト区画15は既に加工トラック27側で固定され、所定の長さl1まで巻き出されている。ここでは第2端部16が引張り部材28と偏向装置29と締付けプレート30とを通って案内されることによって、これらの部材がベルト区画15にある意味外嵌される。偏向装置29および締付けプレート30が組付け位置から滑り落ちるのを防ぐため、樹脂製リベット31又は同等のストッパが所定長さl2の箇所で固定されている。ラベル32が取り付けられる間に、第2端部16が端部取付け部品33に挿入され、所定の程度まで折り畳まれて縫合される。この縫合工程およびラベル32の取付けもまた、トラック27に沿って行う他の加工工程とともに時間をオーバーラップさせて行われ、これにより、同時に実行される部分的な加工工程によって、ベルト区画15の第2端部16も加工される。この点においては、図3が再び参照される。
【0023】
図2に略示した流れ図は、図1cおよび図1dの流れ図の改変例である。ここでは、図1dを参照しながらすでに説明した部材である締付けプレート30および偏向装置29をベルト区画15の第2端部16に通す工程は、リベット31の取り付けとともに、図1cの第2加工トラック18の最後に前倒しされている。その直後には中間収納を経ずに、ベルト区画15の第2端部16について、端部取付け部品33の固定と、cの位置での縫い付けによるラベル32の取付けとを含む最終加工が行われる。尚、図1aおよび図1bに、他の公知のラベル位置を文字aおよびbで示している。aは、ベルト材2の折り重なり部の下へ部分的に押し込まれるラベル材を示し、bは単にベルト材2に縫い付けられるだけのラベルを示している。
【0024】
この後、ベルト回収部20の性能検査のための振り子テスト25と、検査済みの完成ユニットの中間バッファ26への移送が続く。これらの工程は、オプションである最終視認検査および包装に先立って行われる。
【0025】
図3は、図1a〜図1dの順に略示した流れによる方法の、各工程の時間のオーバーラップを示した時系列表である。同時に実行される加工工程および方法工程の時間的なオーバーラップのいくつかを重要な領域として選択して、1点鎖線の楕円形で示している。それぞれの部分的な工程が、各参照番号により示す製造装置1の各部および完成品のベルトユニットの各部材に割り振られる。このように、図1a〜図1dに関して上述した方法は、同時に実行される工程を考慮に入れて全体を概観することによって、時間に関して追跡可能となっている。したがって、引張り部材5、8によるベルト材2の把持および挿入又は搬送、並びに装置ΔLによる自動測定の後、第1端部10の第1加工ユニットAへの移送が行われる。ピン供給部材12における折り畳み、縫合又は固定とオーバーラップして引張り部材5、8を介してベルト材2の搬送を続けると、熱切断装置6およびならし加工装置7が作動を開始し所定の方法でベルト区画15を形成し、工程中に端部16、10’を成形する。ピン供給部材12におけるピンの挿入と縫合および固定とが未だ継続している間に、自由端ではあるがならし加工装置7が開いた後には引張り部材8に固定される新たに形成された第2端部16とともに、ピボットアーム又は送りアーム17が第1加工トラック4から第2加工トラック18に進む。この工程においては、いわゆるダミーシームができないように、つまり下糸が生地にしっかりと固定されずに、上糸のみが強い接続部が生じないように細心の注意が払われる。
【0026】
ピン供給部材12における縫合工程と平行して、公知の方法で作成されたベルト回収部20が手動であるいはロボットにより挿入される。この時には引張り部材8が、押し込み部材として逆転作動することによって、フィーダ又はピンプレートおよび補助挿入手段21とともに、ベルト回収部20を介して第2端部16を引張り部材22の方へ送ることができる。
【0027】
図1cを参照すると、第1加工ユニットAから引き出された第1端部10がベルト回収部20に位置固定された後、中間バッファ24が手動で充填され、これがオペレータによるアクセスP1である。これで第1サイクルZが終了する。この次に振り子テスト25と中間バッファ26への挿入とが続くが、中間バッファ26からは既に収納されている半完成ベルトアセンブリを同時に取り出すことができ、これがオペレータによるアクセスP2である。これらオペレータによるアクセスP1、P2の両方においては、点線で囲ったように、各ケースにおけるセーフティ・マージンとして充分な作動時間が考慮されている。
【0028】
図1dを参照すると、第3加工トラック27においては、偏向装置29、締付けプレート30および取付けリベット31が引張り部材28によって通過する。ここでも、区画15のベルト材の搬送と、個々の充填および加工工程が工程においてオーバーラップする。ラベル32の取付けと端部取付け部品33の固定とによって装置1における加工が終了し、完成品の安全ベルトが、特に引張り部材22、28が開くと同時に取り出され、各所期用途に応じた最終検査と、包装工程とに移送される。こうして、作動サイクルを削減し人手もほとんど使わずに、上述した方法によって信頼性のおける一定の品質が確保される。
【0029】
上記のものに対する変形例であって部分的にのみ自動化する方法については、出発点としての図4aに装置1の概略全体を示し、図4b〜図4eの順に、流れの概略を示すとともに、異なる加工ユニットA,B、C又は個別の作業ステーションにわたる材料フローMを示している。必要となる作業者又はオペレータOP1〜OP4を個別に示した状態で、各加工ユニットA、B、Cを、構成又はモジュールの機能範囲における変更点とともに略示している。特許請求の範囲に記載した基本的概念から離れることなく、本装置を図4aの全体図から、詳細の程度が異なるが1つの変形例として、個々の加工ユニットA〜Cに細分化している。
【0030】
図4aの概略図の後の図4bにおいては、加工ユニットAを、図1a〜図1cの例に対応させ具体的な形で示している。この新しい実施形態の主な相違点として指摘せねばならないのは、ここでは可撓性のベルト材2のうちベルト回収部20を介して引っ張られるのはごく僅かな部分のみである点であり、これにより、ピン供給部材又はピン充填部材12に第1自由端部10を送る際には充分な残余部分が維持される。これに平行してラベル32はPCSEユニットにおいて第2端部16に既に完全に取付けされているが、尚、このPCSEユニットとはプレス、切断、縫合および排出のための複合装置である。このようにして、予め切断されたベルト材区画15の場合にも、又は各測定寸法に切断されて切断縁部が前処理されたベルト材区画15の場合にも、端部10、16に対して実行される作業工程の時間がオーバーラップする。この工程においてはベルト材区画15に既にオペレータOP1の手によってベルト回収部20が備えられ、挿入中に適切に準備され位置決めされている。
【0031】
一端部10においてはピン供給部材12の領域でループ又はピンポケット13に対する縫合工程が完了し、かつ他端部16においてもラベル32に関する工程が完了した後、半完成品の安全ベルトはオペレータOP2によって加工ユニットAから取り出され、振り子テスト25を受けてから中間収納部24に最終移送される。そこからオペレータOP3は半完成品の安全ベルトを取り出し、加工ユニットBにおいて偏向装置29と締付けプレート30とを設け、また用途によってはオプションとしてクリップ36を設けて代替使用する。最後にその位置には端部取付け部品33も取り付けられ、安全ベルトを自動車のBピラーの領域に固定する。ここではオペレータOP3によって、半完成品の安全ベルトを挿入する前に、組立て補助具である適切な構成部品であってポケット形状を有する、いわゆる治具が装備される。オプションとして加工ユニットBには単数又は複数のリベット装置が設け、その樹脂製又は金属製のリベットによって特にベルト材上の締付け具30の変位を規制するように構成してもよい。
【0032】
また、加工ユニットB、Cの間には以降符号24で総称するバッファ又は中間収納部が移送位置を形成しており、この移送装置はオペレータOP3によって充填され、オペレータOP4によって空にされる。本実施形態では、オペレータOP4はここから加工ユニットCにおいて最終工程を実行し、安全ベルトを緩めた後に締付け具30がガタガタ鳴るのを防止するための、いわゆる消音器を取り付ける。その後オペレータOP4によって安全ベルトは巻き上げられ、所定の方法により包装される。
【0033】
図4bでは、より具体的に加工ユニットAの構成を示している。ここではループ保管部又は中間バッファ11、34の形態をとった2つの長手バッファ又は長手補償部が、ピン供給部材12およびラベル32のディスペンサーの箇所で、各縫合ステーションの上流側に設けられていることがより明瞭になっている。通常ピン供給部材12における作業工程は、ラベル32のディスペンサーの領域における作業工程よりも長く作動する。ラベル32のディスペンサーは、ベルト材2が挿入されると直ちに始動する。さらに、ベルト材の余剰長さ分は、シャッタ35の上流に位置する引張り部材によって、シャッタ35を通って搬送される。第1端部10にピン14を装備した後、このピン14は引張り部材8および張力付与装置23によってベルト回収部20に引き込まれる。ラベル32が取付けられると、第2端部16は、引張り部材8の搬送方向を変えることによって制御されて、ベルト回収部20に巻き取られる。その後、この半完成ユニットはオペレータOP2によって取り出される。このような構成によって中間バッファ11、34も少なくとも部分的に空にすることができ、その間、ピン供給部材12の領域において作業は継続する。
【0034】
一例にすぎないものだが、本発明の本実施形態においては、安全ベルトの1つの所定の構成部材だけを受け取るマークリーダXおよび治具Yが、ポカヨケ方式を一貫して実施する手段として引張り部材8の上流側に設けられている。マークリーダXによって、可撓性材のうち手動挿入部分の向きの適否がチェックされる。組立て補助具又は治具Yは、その構造に関し、例えば偏向装置29等の安全ベルト構成部材のための受けポケットとして構成されており、これにより他の部品が機械的に入り込まないように、さらに、その位置にあるべき部品のみが、適切な向きで取り付けられるようになっている。それぞれに意図された構成要素があるかどうかは治具Yで電気的にチェックされるが、本実施形態では治具Y自体が12個の接触子を介して暗号化され、ハードウェアおよびソフトウェアの両方によってその位置を製造装置内にあるようにし、これにより、その存否およびタイプと製造ライン内のその位置とに関し、センターの電子照会システム内部で完全自動チェックされる。肯定的な回答があった場合のみ、次の製造工程、例えば少なくとも1つの縫合工程、の開始が許可される。ある構成部材の治具Yへの不正確な供給等のエラーも、オペレータOPによって具体的に把握され、迅速に対応修正される。
【0035】
加工ユニットBは、2つの実施形態における製造の柔軟性と、製品の変更や用途変更に対する迅速な適応性とを示すために図示されている。図4cに示す工程は基本的に、端部取り付け部品33近辺のベルトの幅を減らすために、長手方向に縫い畳まれた部分、いわゆるバタフライ、を備えた第2端部16に関するものである。加工ユニットBには、オペレータOP3によって、又は中間収納部24の向こうの加工ユニットCにいるオペレータOP4によって、オプションとしてのいわゆる消音器モジュールを組み込んでもよい。
【0036】
図4dは、種々のロック部材又はブラケットを装着するための部分的な工程を、オプションとしてのリベット作業工程とともに詳細に示したものであり、ここではこれらロック部材又はブラケットが部分的に巻き解かれたベルト回収部20がある作業ライン上の、バッファ保管部24の間に備えられている。この実施形態では、用途ごとの一構成部材ごとに、最大3つの治具Yがベルトの長さlにわたって摺動可能に設けられるとともに電子的に暗号化されている。
【0037】
またここでは端部取付け部品33が、オペレータOP3によって手動で装着される。その後、自由端である第2端部16が折り畳まれ、自動長さ測定に続いて縫合工程に移るが、ここでもオペレータOPの介入はない。このようにして、治具Yと組立ておよび端部取付け部品33の固定は機械的にも電子的にも完全に検証可能に構成され、予想可能なエラーに対する融通を確保しながらも、大規模な調整および変更に対する融通も設けた状態で、製造を明確に文書化可能になっている。
【0038】
図4eでは、加工ユニットCが最終の加工工程を示しており、またオプションとしての、リベットおよび消音器モジュールの具体例も示している。これらのモジュールは、一方では締付けベルト30を受け他方では端部取付け部品33を受けるために、図示のように加工ユニットC内の作業長手方向に沿って、治具Y間の長さ又は位置に関して変位可能に構成されている。ここでは、受け止め手段又は治具は、既に安全ベルトに装備されているため、相対位置を固定するための保持部材の役割も果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1a】本発明による製造方法を例示した流れの概略を、対応製造装置の異なる領域にわたり異なる時間間隔で示す図
【図1b】本発明による製造方法を例示した流れの概略を、対応製造装置の異なる領域にわたり異なる時間間隔で示す図
【図1c】本発明による製造方法を例示した流れの概略を、対応製造装置の異なる領域にわたり異なる時間間隔で示す図
【図1d】本発明による製造方法を例示した流れの概略を、対応製造装置の異なる領域にわたり異なる時間間隔で示す図
【図2】図1の流れの変形例を示す図
【図3】図1の流れによる方法における各工程時間のオーバーラップを示す時系列表
【図4a】構成を変形し部分的にのみ自動化した方法を示す概略流れ図であって、必要となる作業者も示す図
【図4b】構成を変形し部分的にのみ自動化した方法を示す概略流れ図であって、必要となる作業者も示す図
【図4c】構成を変形し部分的にのみ自動化した方法を示す概略流れ図であって、必要となる作業者も示す図
【図4d】構成を変形し部分的にのみ自動化した方法を示す概略流れ図であって、必要となる作業者も示す図
【図4e】構成を変形し部分的にのみ自動化した方法を示す概略流れ図であって、必要となる作業者も示す図
【符号の説明】
【0040】
1 装置
2 ベルト材/可撓性材
3 収納ローラ
4 第1加工トラック
5 引張り部材
6 熱切断装置
7 ならし加工装置
8 引張り部材
9 フィーダ/ピンプレート
10 第1端部
10’ 後続のベルト区画15’の第1端部
11 中間バッファ
12 ピン供給部
13 ループ
14 ピン
15 ベルト区画
15’ 後続のベルト区画
16 第2端部
17 ピボットアーム又は送りアーム
18 第2加工トラック
19 矢印
20 ベルト回収部
21 補助挿入手段
22 引張り部材
23 張力付与部
24 中間バッファ
25 振り子テスト
26 中間バッファ
27 第3/最終加工トラック
28 引張り部材
29 偏向装置
30 締付けプレート
31 リベット/ストッパ
32 ラベル
33 端部取付け部品
34 中間バッファ
35 シャッタ
36 クリップ
A 第1加工ユニット
B 第2加工ユニット
C 第3加工ユニット
ΔL 長さ測定部
a、b、c 縫い付けられる異なるラベルの位置
P1、P2 オペレータによるアクセス
Z サイクル時間
Op オペレータ
PCSE プレス加工、切断、縫合および排出のための複合装置
Y 暗号化しハードウェア/ソフトウェアによってチェックする治具
X マークリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2端部を有する帯形状の可撓性材、特定的にはベルト状の生地材、を加工するための方法であって、
前記帯形状のベルト状生地材をその長手方向に搬送する間に、可撓性材(2)の第1および第2端部(10、16)が同時に加工され、かつ
前記可撓性材(2)の第1および第2端部(10、16)が異なる方法で加工され、少なくとも縫合工程が一方の加工方法の一部であることを特徴とする方法。
【請求項2】
可撓性材(2)の第1および第2端部(10、16)がオペレータ(OP1、OP2、OP3、OP4)によって、関連付けられたモジュール(A、B、C)に手動で導入されるおよび/又は位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1加工ユニットにおいて、ピン(14)が挿入されている間に第1端部(10)が折り畳まれ縫合され、かつ
第2加工ユニットにおいて、前記第1加工ユニットにおける各加工工程と同時に、帯形状の可撓性材(2)が所定の長さに測られ、続いて熱切断されて切断縁部が後処理されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
切断縁部の後処理が、ならし工程又は熱変形の形態で実行されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
可撓性材の第2端部(16)が回収機構(20)に挿入案内されている間に、既に加工された可撓性材(2)が第1加工ユニットから引き出されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
回収機構(20)に案内された第2端部(16)が通過した後、締付けプレート(30)および固定手段又は偏向手段(29)が挿入され、続いて、固定リベット(31)又は同等のストッパを、例えば所定の箇所に又は所定のベルト長さで縫合することによって、配設することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
可撓性材(2)が少なくとも処理直前領域の外側で、空間を最適化した方法であって特定的には少なくとも1つの下垂ループ状に、途中でバッファリングされることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
可撓性材(2)の熱切断の後、新たに形成された複数の端部(16、10’)が、特定的にはならし装置(7)において、接合工程で同時に成形されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記端部(10、16)が、フィーダ又はピンプレート(9)を用いて、特定的には補助挿入手段とともに、位置決めされて送られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
引張り部材(8)が第2加工トラック(18)において、押し部材として逆作動することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
帯形状の可撓性材、特定的にはベルト状の生地材、を加工する装置であって、
第1端部(10)および第2端部(16)を同時に加工するために、少なくとも2つの加工ユニット(A、B)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つの加工ユニット(A、B)の間に、加工領域の外側でベルト状の生地材(2)を受けるために、少なくとも1つのバッファリングユニット(24,26,34)が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記端部(10、16)を位置決めして送るための少なくとも1つのフィーダ又はピンプレート(9)が設けられ、これが特定的には補助挿入手段と協働することを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
区画(15)の端部(16)を1つの加工トラック(4)から別の加工トラック(18)に移送するために逆作動可能な引張り部材(8)が、ピボットアーム又は送りアーム(17)に設けられていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
1つの所定のロック部材を正確に受け取るために、機械的かつ電子的に暗号化された少なくとも1つの組付け補助具(x)がポケット状に形成されていることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【公表番号】特表2009−529103(P2009−529103A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557663(P2008−557663)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001978
【国際公開番号】WO2007/101683
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508270484)エルエスゲー・ロムボールド・システム・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー (2)
【Fターム(参考)】