説明

可撓性高温ウルトラバリヤー

【課題】酸素に対して低い透過性を示すバリヤーフィルムおよび該バリヤーフィルムを有する電子デバイスを提供する。
【解決手段】HSPETのTg以上のTgを有する第1のポリマー層によってオーバーコートされ、そしてHSPETのTg以上のTgを有する少なくとも1つの第2のポリマー層によって分離された少なくとも2つの可視光透過性無機バリヤー層によってさらにオーバーコートされている、熱安定化ポリエチレンテレフタレート(「HSPET」)のTg以上のTgを有する可撓性の可視光透過性基材を有する可撓性のバリヤーアセンブリーを使用して、有機発光デバイスおよび光弁のような感湿および酸素感応性物品を取り付けるか、カバーするか、被包化するか、または形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリヤーフィルムおよび電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス(OLED)は、水蒸気または酸素に暴露された時に、出力低下または早期故障を被る可能性がある。OLEDデバイスの被包化および寿命延長のために、金属およびガラスが使用されているが、金属は典型的に透明性を欠き、そしてガラスは可撓性を欠く。OLEDおよび他の電子デバイスのための別の被包化材料を見出すために集中的な努力が進行中である。水蒸気および酸素に対して低い透過性を示す可撓性ポリマーバリヤーフィルムが特に有用であるが、これまで、懸命な産業的努力にもかかわらず、限定的な成功が達成されただけであった。可撓性バリヤーフィルムに関連する参考文献としては、米国特許第5,440,446号明細書(ショー(Shaw)ら)、米国特許第5,530,581号明細書(コーガン(Cogan))、米国特許第5,681,666号明細書(トレガー(Treger)ら)、米国特許第5,686,360号明細書(ハービー(Harvey),IIIら)、米国特許第5,736,207号明細書(ワルサー(Walther)ら)、米国特許第6,004,660号明細書(トポルスキー(Topolski)ら)、米国特許第6,083,628号明細書(イアリジス(Yializis))、米国特許第6,146,225号明細書(シーツ(Sheats)ら)、米国特許第6,214,422号明細書(イアリジス(Yializis))、米国特許第6,268,695号明細書(アフィニト(Affinito))、米国特許第6,358,570号明細書(アフィニト(Affinito))、米国特許第6,413,645号明細書(グラフ(Graff)ら)、米国特許第6,492,026号明細書(グラフ(Graff)ら)、および米国特許第6,497,598号明細書(アフィニト(Affinito))、米国特許出願第2001/0015620 A1号明細書(アフィニト(Affinito))、米国特許出願第2002/0125822 A1号明細書(グラフ(Graff)ら)、米国特許出願第2002/0150745 A1号明細書(マーティン(Martin)ら)、および米国特許出願第2002/0176993 A1号明細書(グラフ(Graff)ら)、欧州特許出願第0 777 280 A2号明細書(モトローラ インコーポレイテッド(Motorola,Inc.))およびPCT公開出願国際公開第97/16053号パンフレット(ロバート ボッシュ GmbH(Robert Bosch GmbH))が挙げられる。ワルサー(Walther)らの特許は、最低の酸素透過率が0.375cc/m2/日/バールであるとして報告されるプラスチック容器用のバリヤーアセンブリーを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,440,446号明細書
【特許文献2】米国特許第5,530,581号明細書
【特許文献3】米国特許第5,681,666号明細書
【特許文献4】米国特許第5,686,360号明細書
【特許文献5】米国特許第5,736,207号明細書
【特許文献6】米国特許第6,004,660号明細書
【特許文献7】米国特許第6,083,628号明細書
【特許文献8】米国特許第6,146,225号明細書
【特許文献9】米国特許第6,214,422号明細書
【特許文献10】米国特許第6,268,695号明細書
【特許文献11】米国特許第6,358,570号明細書
【特許文献12】米国特許第6,413,645号明細書
【特許文献13】米国特許第6,492,026号明細書
【特許文献14】米国特許第6,497,598号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2001/0015620 A1号明細書
【特許文献16】米国特許出願第2002/0125822 A1号明細書
【特許文献17】米国特許出願第2002/0150745 A1号明細書
【特許文献18】米国特許出願第2002/0176993 A1号明細書
【特許文献19】欧州特許出願第0 777 280 A2号明細書
【特許文献20】PCT公開出願国際公開第97/16053号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一態様において、熱安定化ポリエチレンテレフタレート(「HSPET」)のガラス転移温度(「Tg」)以上のTgを有する第1のポリマー層によってオーバーコートされ、そしてHSPETのTg以上のTgを有する少なくとも1つの第2のポリマー層によって分離された少なくとも2つの可視光透過性無機バリヤー層によってさらにオーバーコートされている、HSPETのTg以上のTgを有する可撓性の可視光透過性基材を含んでなるバリヤーアセンブリー(以下、「バリヤーフィルム」と示されることもある)であって、23℃および90%RHで0.005cc/m2/日未満の酸素透過率を有するバリヤーアセンブリーを提供する。
【0005】
もう1つの態様において、本発明は、
a)HSPETのTg以上のTgを有する可撓性の光透過性支持体を提供する工程と、
b)支持体の上に、HSPETのTg以上のTgを有する第1のポリマー層を形成する工程と、
c)第1のポリマー層の上に、可視光透過性の第1の無機バリヤー層を形成する工程と、
d)第1の無機バリヤー層の上に、HSPETのTg以上のTgを有する第2のポリマー層を形成する工程と、
e)第2のポリマー層の上に、可視光透過性の第2の無機バリヤー層を形成する工程と、
を含んでなる、バリヤーアセンブリーの製造方法であって、23℃および90%RHで0.005cc/m2/日未満の酸素透過率を有するバリヤーアセンブリーの製造方法を提供する。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、HSPETのTg以上のTgを有する第1のポリマー層によってオーバーコートされ、そしてHSPETのTg以上のTgを有する少なくとも1つの第2のポリマー層によって分離された少なくとも2つの可視光透過性無機バリヤー層によってさらにオーバーコートされている、HSPETのTg以上のTgを有する可撓性の可視光透過性基材を含んでなるバリヤーアセンブリーによって少なくとも部分的にカバーされた、感湿もしくは酸素感応性光源または光弁を含んでなるディスプレーまたは照明デバイスを提供する。
【0007】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明から明白となるであろう。しかしながら、いかなる場合も上記要約は、請求対象における限定として解釈されない。請求対象は請求の範囲によってのみ定義され、これは、審査中に修正され得る。
【0008】
様々な図面における類似の符号は、類似の要素を示す。図面の要素は、実物大ではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】開示されたバリヤーアセンブリーの概略断面図。
【図2】開示された積層化バリヤーアセンブリーの概略断面図。
【図3】開示された方法を実行するための装置の概略図。
【図4】開示されたOLEDデバイスの概略断面図。
【図5】開示されたバリヤーアセンブリーの顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のバリヤーアセンブリーまたはデバイスにおける様々な層の位置に関して、「頂上」、「上」、「最上」等のような配向に関する単語を使用することによって、水平支持体層に関する1以上の層の相対的な位置を指す。バリヤーアセンブリーまたはデバイスが、それらの製造間または製造後に、いずれかの特定の配向を有するべきであるとは意図されない。
【0011】
本発明のバリヤーアセンブリーの基材または他の要素に関して層の位置を説明するために「オーバーコートされる」という用語を使用することによって、層が基材または他の要素の上にあることを指すが、層は必ずしも基材または他の要素と接触していなくてもよい。2つの無機バリヤー層に関してポリマー層の位置を説明するために「によって分離される」という用語を使用することによって、ポリマー層が無機バリヤー層の間にあることを指すが、層は必ずしもいずれかの無機バリヤー層と接触していなくてもよい。
【0012】
「ポリマー」という用語を使用することによって、ホモポリマーおよびコポリマー、ならびに例えば共押出によって、または例えばエステル交換反応を含む反応によって、混和性ブレンドで形成され得るホモポリマーまたはコポリマーを指す。「コポリマー」という用語は、ランダムおよびブロックコポリマーの両方を含む。「硬化されたポリマー」という用語は、架橋および未架橋ポリマーの両方を含む。「架橋」ポリマーという用語は、網状ポリマーを形成するために、通常、架橋分子または基を通して、共有化学結合によってポリマー鎖が一緒に結合されるポリマーを指す。架橋ポリマーは、難溶性であることを一般的に特徴とするが、適切な溶媒の存在下で膨潤可能である。
【0013】
「Tg」という用語を使用することによって、薄フィルム形態ではなくバルクで評価される場合の硬化ポリマーのガラス転移温度を指す。ポリマーが薄フィルム形態でのみ調査可能である例においては、通常、合理的精度を伴って、バルク形態のTgを推定することが可能である。バルク形態のTg値は、通常、示差走査熱量測定(DSC)を使用して熱流対温度の速度を評価することによって決定され、ポリマーのセグメント移動性(segmental mobility)の開始、およびポリマーがガラス状態からゴム状態へと変化したと言える反曲点(通常、二次転移)を決定する。温度および振動数の関数としてポリマーのモジュラスの変化を測定する動機械的熱分析(DMTA)技術を使用して、バルク形態のTg値を推定することもできる。
【0014】
「可視光透過性」支持体、層、アセンブリーまたはデバイスという用語を使用することによって、支持体、層、アセンブリーまたはデバイスが、垂直軸に沿って測定された少なくとも約20%のスペクトルの可視部分上の平均透過率Tvisを有することを意味する。
【0015】
図1を参照すると、110にバリヤーアセンブリーが一般的に示される。アセンブリー110は、HSPET(Tg=約78℃)のTg以上のTgを有する可視光透過性、可撓性のプラスチックフィルム製の支持体112を含む。支持体112は、HSPETのTg以上のTgを有するポリマー層114によってオーバーコートされ、そして層118および122のようなポリマー層によって分離された層116、120および124のような2以上の可視光透過性無機バリヤー層によってさらにオーバーコートされている。またアセンブリー110は、好ましくは、可視光透過性無機バリヤー層124最頂上に保護ポリマーオーバー層126を含む。
【0016】
図2は、可視光透過性接着剤の層132を使用して対面関係で2片のアセンブリー110を一緒に積層化することによって製造可能な積層化バリヤーアセンブリー130を示す。
【0017】
好ましい可撓性の光透過性支持体112は、550nmで少なくとも約70%の可視光透過率を有する。好ましくは、支持体は、熱固定、張力下でのアニール化、または支持体が拘束されていない時に少なくとも熱安定化温度まで収縮を防ぐ他の技術を使用して熱安定化される。支持体が熱安定化されない場合、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」、Tg=105℃)のTgより高いTgを有する。より好ましくは、支持体は、少なくとも約110℃、なおより好ましくは、少なくとも約120℃、そして最も好ましくは、少なくとも約128℃のTgを有する。HSPETに加えて、特に好ましい支持体としては、他の熱安定化高Tgポリエステル、PMMA、スチレン/アクリロニトリル(「SAN」、Tg=110℃)、スチレン/無水マレイン酸(「SMA」、Tg=115℃)、ポリエチレンナフタレート(「PEN」、Tg=約120℃)、ポリオキシメチレン(「POM」、Tg=約125℃)、ポリビニルナフタレン(「PVN」、Tg=約135℃)、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」、Tg=約145℃)、ポリアリールエーテルケトン(「PAEK」、Tg=145℃)、高Tgフルオロポリマー(例えば、ダイネオン(DYNEON)(登録商標)HTE、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよびエチレンのターポリマー、Tg=約149℃)、ポリカーボネート(「PC」、Tg=約150℃)、ポリα−メチルスチレン(Tg=約175℃)、ポリアリーレート(「PAR」、Tg=190℃)、ポリスルホン(「PSul」、Tg=約195℃)、ポリフェニレンオキシド(「PPO」、Tg=約200℃)、ポリエーテルイミド(「PEI」、Tg=約218℃)、ポリアリールスルホン(「PAS」、Tg=220℃)、ポリエーテルスルホン(「PES」、Tg=約225℃)、ポリアミドイミド(「PAI」、Tg=約275℃)、ポリイミド(Tg=約300℃)およびポリフタルアミド(120℃の熱撓み温度)が挙げられる。材料費用が重要である適用に関して、HSPETおよびPEN製の支持体が特に好ましい。バリヤー性能が最重要である適用に関して、より高価な材料製の支持体が使用されてもよい。好ましくは、支持体は、約0.01mm〜約1mm、より好ましくは、約0.05mm〜約0.25mmの厚さを有する。
【0018】
HSPETのTg以上のTgを有する第1のポリマー層は、支持体の上に位置する。様々なポリマー材料を利用することができる。適切な高Tgポリマーを形成する揮発性モノマーが特に好ましい。好ましくは、第1のポリマー層は、PMMAのTgより高いTg、より好ましくは、少なくとも約110℃、なおより好ましくは、少なくとも約150℃、そして最も好ましくは、少なくとも約200℃のTgを有する。第1の層を形成するために使用することができる特に好ましいモノマーとしては、ウレタンアクリレート(例えば、CN−968、Tg=約84℃およびCN−983、Tg=約90℃、両方ともサートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能)、イソボルニルアクリレート(例えば、SR−506、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約88℃)、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、SR−399、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約90℃)、スチレンとブレンドされたエポキシアクリレート(例えば、CN−120S80、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約95℃)、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、SR−355、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約98℃)、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、SR−230、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約100℃)、1,3−ブチレングリコールジアクリレート(例えば、SR−212、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約101℃)、ペンタアクリレートエステル(例えば、SR−9041、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約102℃)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、SR−295、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約103℃)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(例えば、SR−444、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約103℃)、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR−454、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約103℃)、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR−454HP、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約103℃)、アルコキシル化三官能性アクリレートエステル(例えば、SR−9008、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約103℃)、ジプロピレングリコールジアクリレート(例えば、SR−508、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約104℃)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、SR−247、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約107℃)、エトキシル化(4)ビスフェノールジメタクリレート(例えば、CD−450、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約108℃)、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル(例えば、CD−406、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約110℃)、イソボルニルメタクリレート(例えば、SR−423、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約110℃)、環状ジアクリレート(例えば、IRR−214、UCB ケミカルズ(UCB Chemicals)から市販品として入手可能、Tg=約208℃)、ならびにトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、SR−368、サートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能、Tg=約272℃)、前記メタクリレートのアクリレートおよび前記アクリレートのメタクリレートが挙げられる。
【0019】
モノマーまたはオリゴマーの層を基材に適用し、そして例えば、放射線架橋性モノマーのフラッシュエバポレーションおよび蒸着によって、層を架橋して、その位置でポリマーを形成して、続いて、例えば、電子ビーム装置、UV光源、放電装置または他の適切なデバイスを使用して架橋することによって、第1のポリマー層を形成することができる。支持体を冷却することによって、コーティング効率を改善することができる。ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)またはスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)のような従来のコーティング法を使用して、モノマーまたはオリゴマーを基材に適用し、次いで上記に明らかにされたように架橋することもできる。また溶媒中にオリゴマーまたはポリマーを含有する層を適用し、そのようにして適用された層を乾燥させて溶媒を除去することによっても、第1のポリマー層を形成することができる。高温でガラス状態を有し、ガラス転移温度がHSPETのガラス転移温度以上であるポリマー層を提供する場合、プラズマ重合が利用されてもよい。最も好ましくは、第1のポリマー層は、フラッシュエバポレーションおよび蒸着によって形成され、続いてその位置で架橋される。例えば、米国特許第4,696,719号明細書(ビスチョフ(Bischoff))、米国特許第4,722,515号明細書(ハム(Ham))、米国特許第4,842,893号明細書(イアリジス(Yializis)ら)、米国特許第4,954,371号明細書(イアリジス(Yializis))、米国特許第5,018,048号明細書(ショー(Shaw)ら)、米国特許第5,032,461号明細書(ショー(Shaw)ら)、米国特許第5,097,800号明細書(ショー(Shaw)ら)、米国特許第5,125,138号明細書(ショー(Shaw)ら)、米国特許第5,440,446号明細書(ショー(Shaw)ら)、米国特許第5,547,908号明細書(フルザワ(Furuzawa)ら)、米国特許第6,045,864号明細書(ライオンズ(Lyons)ら)、米国特許第6,231,939号明細書(ショー(Shaw)ら)および米国特許第6,214,422号明細書(イアリジス(Yializis));PCT公開出願国際公開第00/26973号パンフレット(デルタ V テクノロジーズ インコーポレイテッド(Delta V Technologies,Inc.));D.G.ショー(D.G.Shaw)およびM.G.ラングロイズ(M.G.Langlois)、「ア ニュー ベイパー デポジション プロセス フォー コーティング ペーパー アンド ポリマー ウェブス(A New Vapor Deposition Process for Coating Paper and Polymer Webs)」、第6回インターナショナル バキューム コーティング コンフェレンス(6th International Vacuum Coating Conference)(1992);D.G.ショー(D.G.Shaw)およびM.G.ラングロイズ(M.G.Langlois)、「ア ニュー ハイ スピード プロセス フォー ベイパー デポジッティング アクリレート シン フィルムス:アン アップデート(A New High Speed Process for Vapor Depositing Acrylate Thin Films:An Update)」、ソサエティー オブ バキューム コーターズ 第36回アニュアル テクニカル コンフェランス プロシーディングス(Society of Vacuum Coaters 36th Annual Technical Conference Proceedings)(1993);D.G.ショー(D.G.Shaw)およびM.G.ラングロイズ(M.G.Langlois)、「ユース オブ ベイパー デポジッテッド アクリレート コーティングス トゥ インプルーブ ザ バリヤー プロパティーズ オブ メタライズド フィルム(Use of Vapor Deposited Acrylate Coatings to Improve the Barrier Properties of Metallized Film)」、ソサエティー オブ バキューム コーターズ 第37回アニュアル テクニカル コンフェランス プロシーディングス(Society of Vacuum Coaters 37th Annual Technical Conference Proceedings)(1994);D.G.ショー(D.G.Shaw)、M.ローリグ(M.Roehrig)、M.G.ラングロイズ(M.G.Langlois)およびC.シーハム(C.Sheehan)、「ユース オブ エバポレーテッド アクリレート コーティングス トゥ スムース ザ サーフェイス オブ ポリエステル アンド ポリプロピレン フィルム サブストレーツ(Use of Evaporated Acrylate Coatings to Smooth the Surface of Polyester and Polypropylene Film Substrates)」、ラドテック(RadTech)(1996);J.アフィニト(J.Affinito)、P.マーティン(P.Martin)、M.グロス(M.Gross)、C.コロナド(C.Coronado)およびE.グリーンウェル(E.Greenwell)、「バキューム デポジッテッド ポリマー/メタル マルチレイヤー フィルムス フォー オプティカル アプリケーション(Vacuum deposited polymer/metal multilayer films for optical application)」、シン ソリッド フィルムス(Thin Solid Films)270、43−48(1995);ならびにJ.D.アフィニト(J.D.Affinito)、M.E.グロス(M.E.Gross)、C.A.コロナド(C.A.Coronado)、G.L.グラフ(G.L.Graff)、E.N.グリーンウェル(E.N.Greenwell)およびP.M.マーティン(P.M.Martin)、「ポリマー−オキシド トランスパレント バリヤー レイヤーズ(Polymer−Oxide Transparent Barrier Layers)」、ソサエティー オブ バキューム コーターズ 第39回アニュアル テクニカル コンフェランス プロシーディングス(Society of Vacuum Coaters 39th Annual Technical Conference Proceedings)(1996)に記載の通りである。
【0020】
それぞれのポリマー層の平滑性および連続性、ならびに下層に対するその接着性は、好ましくは、適切な前処理によって増強される。好ましい前処理措置は、適切な反応性または非反応性雰囲気の存在下での放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電バリヤー放電または大気圧放電);化学的前処理または火炎前処理を利用する。これらの前処理は、下層の表面が、続いて適用されるポリマー層の形成に対してより受容性となるように助ける。プラズマ前処理が特に好ましい。高Tgポリマー層とは異なる組成を有し得る別の接着促進層も、中間層の接着性を改善するために下層の上に利用されてよい。接着促進層は、例えば、別のポリマー層または金属含有層、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物の層であり得る。接着促進層は、数nm(例えば、1nmまたは2nm)〜約50nmの厚さを有してよく、所望であれば、より厚くてもよい。
【0021】
第1のポリマー層の所望の化学組成および厚さは、支持体の性質および表面トポグラフィーに部分的に依存する。厚さは、好ましくは、続いて第1の無機バリヤー層が適用され得る平滑な欠陥のない表面を提供するために十分である。例えば、第1のポリマー層は、数nm(例えば、2nmまたは3nm)〜約50マイクロメートルの厚さを有してよく、そして所望であれば、より厚くてもよい。
【0022】
HSPETのTg以上のTgを有するポリマー層によって分離された少なくとも2つの可視光透過性無機バリヤー層は、第1のポリマー層の上に配置される。これらの層は、それぞれ、「第1の無機バリヤー層」、「第2の無機バリヤー層」および「第2のポリマー層」と示すことができる。所望により、追加的な無機バリヤー層およびポリマー層が存在してもよく、HSPETのTg以上のTgを有さないポリマー層が含まれる。しかしながら、好ましくは、無機バリヤー層のそれぞれの隣接ペアは、HSPETのTg以上のTgを有するポリマー層によってのみ、そしてより好ましくは、PMMAのTgより高いTgを有するポリマー層によってのみ分離されている。
【0023】
無機バリヤー層は同一でなくてもよい。様々な無機バリヤー材料を利用することができる。好ましい無機バリヤー材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、金属酸ホウ化物およびそれらの組み合わせ、例えば、シリカのような酸化ケイ素、アルミナのような酸化アルミニウム、チタニアのような酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(「ITO」)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸ホウ化ジルコニウム、酸ホウ化チタンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。インジウムスズ酸化物、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびそれらの組み合わせが、特に好ましい無機バリヤー材料である。ITOは、それぞれの構成元素の相対的な割合の適切な選択によって、導電性になり得る特別な種類のセラミック材料の例である。無機バリヤー層は、好ましくは、スパッタリング(例えば、カソードまたは平面マグネトロンスパッタリング)、エバポレーション(例えば、抵抗または電子ビームエバポレーション)、化学蒸着、めっき等のようなフィルムメタライジング分野で利用される技術を使用して形成される。最も好ましくは、無機バリヤー層は、スパッタリング、例えば、反応スパッタリングを使用して形成される。従来の化学蒸着法のような低エネルギー技術と比較して、スパッタリングのような高エネルギー堆積技術によって無機層が形成された場合、増強されたバリヤー特性が観察される。理論に拘束されずに、増強された特性は、より大きい運動エネルギーと一緒に基材に到着した種の集中のためであると考えられ、これは、圧縮の結果としてより低いボイド率分布へと導く。それぞれの無機バリヤー層の平滑性および連続性、ならびに下層に対するその接着性は、第1のポリマー層に関して上記されたもののような前処理(例えば、プラズマ前処理)によって増強され得る。
【0024】
無機バリヤー層は同一の厚さを有さなくてもよい。それぞれの無機バリヤー層の所望の化学組成および厚さは、下層の性質および表面トポグラフィーに部分的に依存し、そしてバリヤーアセンブリーの所望の光学特性に依存する。無機バリヤー層は、好ましくは、連続的であるように十分に厚く、そしてバリヤーアセンブリーおよびアセンブリーを含有する物品が所望の程度の可視光透過性および可撓性を有することを確実にするために十分に薄い。好ましくは、それぞれの無機バリヤー層の物理的な厚さ(光学的な厚さの反対として)は、約3nm〜約150nm、より好ましくは、約4nm〜約75nmである。
【0025】
そのバリヤー機能に加えて、1以上の可視光透過性無機バリヤー層の全てまたは一部を、電極(適切に導電性である場合)または接触感応表面のような目的のために使用することができる。暴露された層の一部を残すことによって、または層を鉛、回路トレースまたは他の電子的要素に連結することによって、これを製造することができる。
【0026】
第1、第2およびいずれかの追加の無機バリヤー層を分離する第2のポリマー層は、同一でなくてもよく、そして全て同一の厚さを有さなくてもよい。様々な第2のポリマー層材料を利用することができる。好ましい第2のポリマー層材料としては、第1のポリマー層に関して上記されたものが挙げられる。好ましくは、第2のポリマー層は、第1のポリマー層に関して上記されたように、フラッシュエバポレーションおよび蒸着によって適用され、続いて、その位置で架橋される。上記されたような前処理(例えば、プラズマ前処理)も、好ましくは、第2のポリマー層の形成の前に利用される。第2のポリマー層の所望の化学組成および厚さは、下層の性質および表面トポグラフィーに部分的に依存する。第2のポリマー層の厚さは、好ましくは、続いて無機バリヤー層が適用され得る平滑な欠陥のない表面を提供するために十分である。典型的に、第2のポリマー層は、第1のポリマー層未満の厚さを有してよい。例えば、それぞれの第2のポリマー層は、約5nm〜約10マイクロメートルの厚さを有してよく、そして所望であれば、より厚くてもよい。
【0027】
好ましくは、バリヤーアセンブリーは、保護ポリマートップコートを有してよい。このトップコートを「第3のポリマー層」と呼ぶことができる。揮発性(メタ)アクリレートモノマーが、第3のポリマー層で使用するために好ましく、HSPETのTg以上のTgを有する揮発性アクリレートモノマーが特に好ましく(例えば、第1および第2のポリマー層に関して上記されたもの)、そしてPMMAより高いTgを有する揮発性アクリレートモノマーが最も好ましい。所望であれば、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)またはスプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)のような従来のコーティング法を使用して、第3のポリマー層を適用することができ、次いで、例えば、UV放射を使用して架橋することができる。最も好ましくは、第1および第2のポリマー層に関して上記されたように、フラッシュエバポレーション、蒸着、およびモノマーの架橋によって、第3のポリマー層を形成する。上記されたような前処理(例えば、プラズマ前処理)も、好ましくは、第3のポリマー層の形成の前に利用される。第3のポリマー層の所望の化学組成および厚さは、下層の性質および表面トポグラフィー、バリヤーアセンブリーが晒される危険、ならびに適用可能なデバイス要求条件に部分的に依存する。第3のポリマー層の厚さは、好ましくは、通常の危険から下層を保護する平滑な欠陥のない表面を提供するために十分である。典型的に、第3のポリマー層は、第1のポリマー層未満の厚さであって、第2のポリマー層より大きい厚さを有してよい。例えば、第3のポリマー層は、約5nm〜約10マイクロメートルの厚さを有してよく、そして所望であれば、より厚くてもよい。
【0028】
バリヤーアセンブリーが可視光透過性であり、そして38℃および100%相対湿度で約0.005g/m2/日未満、より好ましくは、50℃および100%相対湿度で約0.005g/m2/日未満、そして最も好ましくは、85℃および100%相対湿度で約0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率(WVTR)を有するように、好ましいバリヤーアセンブリーは十分な数の無機バリヤー層および基材を有し、そして第1および第2のポリマー層は、好ましくは十分高いTgを有する。少なくとも約20%、より好ましくは、少なくとも約60%の透明度値(Tvis、400nmと700nmとの間の透過率パーセントTの平均化によって決定される)が好ましい。
【0029】
図3は、本発明のバリヤーアセンブリーのロール−トゥ−ロール(roll−to−roll)製造のために使用することができる、好ましい装置180を示す。動力付きロール181aおよび181bは、装置180を通して支持ウェブ182を前後に移動させる。温度制御された回転ドラム183aおよび183b、ならびにアイドラーロール184a、184b、184c、184dおよび184eは、金属スパッタリングアプリケーター185、プラズマ前処理機186、モノマーエバポレーター187および電子ビーム架橋デバイス188を通してウェブ182を運搬する。液体モノマー189を、リザーバー190からエバポレーター187に供給する。装置180を通して複数の通路を使用して、連続的な層または層のペアをウェブ182に適用することができる。例えば、数ペアの層の連続的な堆積を可能にするために、ドラム183aおよび183bの周囲に沿って、追加的なアプリケーター、前処理機、エバポレーター、および架橋デバイスを装置180に加えることができる。装置180を適切なチャンバー(図3中に図示されず)中に収納して、様々な前処理、モノマーコーティング、架橋およびスパッタリング工程を妨げる、酸素、水蒸気、ダストおよび他の雰囲気汚染物質を防ぐために真空下に維持することができるか、または適切な不活性雰囲気を供給することができる。
【0030】
特にバリヤーフィルムの表面で、それらの物理的または化学的特性を変更または改善するために、様々な機能性層およびコーティングを本発明のバリヤーアセンブリーに追加することができる。かかる層またはコーティングとしては、例えば、可視光透過性導電層または電極(例えば、インジウムスズ酸化物のもの);帯電防止コーティングまたはフィルム;難燃剤;UV安定剤;耐摩耗性またはハードコート材料;光学コーティング;被り防止材料;磁気または磁気光学コーティングまたはフィルム;写真乳剤;プリズムフィルム;ホログラフィックフィルムまたはイメージ;感圧接着剤またはホットメルト接着剤のような接着剤;隣接層への接着を促進するためのプライマー;ならびにバリヤーアセンブリーが接着ロールの形態で使用される場合に使用するための低接着バックサイズ材料が挙げられる。これらの機能性成分を、バリヤーアセンブリーの1以上の最も外側の層に組み入れることができるか、または別々のフィルムもしくはコーティングとして適用することができる。
【0031】
いくつかの適用に関して、例えば、染色されたフィルム層をバリヤーアセンブリーに積層化することによって、着色されたコーティングをバリヤーアセンブリーの表面に適用することによって、またはバリヤーアセンブリーを製造するために使用される材料の1以上に染料または顔料を含ませることによって、バリヤーアセンブリーの外見または性能を変更することが望ましい。染料または顔料は、赤外、紫外または可視スペクトルの部分を含むスペクトルの1以上の選択された領域で吸収可能である。特に、バリヤーアセンブリーが、他を反射しながらいくつかの振動数を伝達する場合、バリヤーアセンブリーの特性を完成するために、染料または顔料を使用することができる。
【0032】
例えば、製品の識別、配置情報、広告、警告、装飾または他の情報を表示するために使用されるもののようなインクまたは他の印刷されたしるしによって、バリヤーアセンブリーを処理することができる。バリヤーアセンブリー上に印刷するために、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、凸版印刷、オフセット印刷、フレキソインキ印刷、点刻印刷、レーザー印刷等のような様々な技術を使用することができ、そして1成分および2成分インク、酸化乾燥およびUV乾燥インク、溶解インク、分散インクおよび100%インク系を含む様々な種類のインクを使用することができる。
【0033】
様々な適用において、水蒸気、酸素または他の気体の透過を防止するために、本発明のバリヤーアセンブリーを使用することができる。本発明のバリヤーアセンブリーは、OLED、光弁、例えば、液晶ディスプレー(LCD)および他の電子デバイスの被包化のために特に有用である。本発明の代表的な被包化OLEDデバイス200を図4に示す。図4において、デバイス200の前部または発光側は下方向に向いている。デバイス200は、アノードとして機能する外側ITO層(図4中に図示しないが、下方向に向くように配向されている)を有する本発明の可視光透過性バリヤーアセンブリー210を含む。発光構造220は、外側ITO層と接触してバリヤーアセンブリー210上に形成されている。構造220は、適切に通電された時にバリヤーアセンブリー210を通しての下方向への発光を協力する複数の層(図4中に個々に図示されず)を含有する。デバイス200は、導電性カソード230および金属ホイル包囲250も含む。ホイル包囲250は、接着剤240によってデバイス220の後部、側部および前部に接着される。接着剤240に形成された開口部260は、ホイル250の一部270を変形させて、カソード230に接触することを可能にする。ホイル250のもう1つの開口部(図4中に図示されず)は、接触が、バリヤーアセンブリー210の外側のITO層によって形成されるアノードによって生じることを可能にする。金属ホイル250およびバリヤーアセンブリー210は、主として、水蒸気および酸素の発光構造220への到達を防止する。
【0034】
以下の非限定的な実施例を参照することによって、本発明は説明される。ここで、全ての部およびパーセントは、特記されない限り重量によるものである。
【実施例】
【0035】
実施例1
アクリレート/ITO/アクリレート/ITO/アクリレート/ITO/アクリレートの交互配置で7層に配列されたアクリレートとインジウムスズ酸化物(「ITO」)層との積層体によって、ポリエチレンナフタレート(「PEN」)支持フィルムをカバーした。個々の層は以下の通りに形成された。
【0036】
(層1)91メートルの長さの、厚さ0.127mm×幅508mmのロール、カラデックス(KALADEX)(登録商標)1020 PEN フィルム(デュポン−テイジン フィルムズ(Dupont−Teijin Films)から市販品として入手可能、Tg=120℃)を、ロール−トゥ−ロール(roll−to−roll)真空加工チャンバー中に装填した。チャンバーの圧力を8×10-6トールまでポンプで低下させた。9.1メートル/分のウェブ速度を使用して、そして0℃に冷却されたコーティングドラムとフィルムの後部を接触させたままにしながら、チタンカソードを使用して600Wで操作された窒素プラズマによってフィルムを処理した。プラズマ処理の直後、およびフィルムがドラムに接触したままで、プラズマ処理されたフィルム表面を、97%のIRR−214 環状ジアクリレート(UCB ケミカルズ(UCB Chemicals)から市販品として入手可能、Tg=208℃)と3%のエベクリル(EBECRYL)(登録商標)170 アクリル化酸性接着促進剤(UCB ケミカルズ(UCB Chemicals)から市販品として入手可能)とを組み合わせることによって調製されたアクリレート混合物によってコーティングした。このアクリレート混合物は、コーティング前に真空脱気され、そして60kHzの振動数で操作された超音波アトマイザー(ソノテック コーポレイション(Sonotek Corp.)から市販品として入手可能)を通して275℃に維持された加熱蒸発チャンバー中へと3.0ml/分の流速でポンプ注入された。得られたモノマー蒸気流は、プラズマ処理されたフィルム表面上で濃縮し、そして8kVおよび2.5ミリアンプで操作された単一フィラメントを使用して電子ビーム架橋されて、厚さ426nmのアクリレート層を形成した。
【0037】
(層2)チャンバー内部でウェブ方向を反対にし、そして90%In23/10%SnO2ターゲット(ユミコア インジウム プロダクツ(Umicore Indium Products)から市販品として入手可能)を使用して、長さ20メートルのアクリレート−コーティングウェブ表面の上にITO無機酸化物層をスパッタ蒸着した。1500ワットの電力、3ミリトールの圧力で134sccmのアルゴンおよび3.0sccmの酸素を含有する気体混合物、ならびに0.55メートル/分のウェブ速度を使用してITOをスパッタし、層1のアクリレート上に堆積された厚さ48nmのITO層を提供した。
【0038】
(層3)再度、ウェブ方向を反対にした。層1に関するものと同一の一般条件を使用して、第2のアクリレート層をコーティングし、そして同一の20メートルウェブ長さ上に架橋したが、これらの例外を除く。チタンカソードおよび層2アルゴン/酸素気体混合物を使用して3000Wでプラズマ処理を実行し、そしてモノマー流速は1.1ml/分であった。これによって、層2上に、厚さ104nmのアクリレート層を提供した。
【0039】
(層4)再度、ウェブ方向を反対にした。層2に関するものと同一条件を使用して、厚さ48nmのITO層を層3上に堆積させた。
【0040】
(層5)再度、ウェブ方向を反対にした。層3に関するものと同一条件を使用して、厚さ104nmのアクリレート層を層4上にコーティングした。
【0041】
(層6)再度、ウェブ方向を反対にした。層2に関するものと同一条件を使用して、厚さ48nmのITO層を層5上に堆積させた。
【0042】
(層7)再度、ウェブ方向を反対にした。層3に関するものと同一条件を使用して、厚さ104nmのアクリレート層を層6上にコーティングした。
【0043】
得られた7層の積層体(基材を数えない)は、30°の入射角で測定された平均分光透過率Tvis=50%(400nmと700nmとの間の透過率パーセントTの平均化によって決定された)、およびモコン パーマトラン(MOCON PERMATRAN)−W(登録商標)3/31 WVTR テスティングシステム(モコン インコーポレイテッド(MOCON Inc)から市販品として入手可能)の0.005g/m2/日の下部検出限度速度未満であった水蒸気透過率(ASTM F−129に従って、85℃および100%RHで決定された)を示した。またフィルムは、38℃および90%RHで評価された場合、モコン オキシトラン(MOCON OXTRAN)(登録商標)2/20 酸素透過率テスティングシステム(モコン インコーポレイテッド(MOCON Inc)から市販品として入手可能)の0.005cc/m2/日の下部検出限度速度未満であった酸素透過率(ASTM D−3985に従って決定され、かつ試験気体に面するフィルムの両側で評価された)を示し、そして50℃および90%RHで評価された場合、0.030cc/m2/日の平均値未満を示した。
【0044】
実施例1のバリヤーアセンブリーを液体窒素に含浸させ、半分に折り、そして走査電子顕微鏡を使用して断面の試験をした。図5は、得られた顕微鏡写真を示す。図5において、支持体312、第1のポリマー層314、可視光透過性無機バリヤー層316、320および324、第2のポリマー層318および322、ならびに第3のポリマー層326が明瞭に見える。
【0045】
実施例2
実施例1と同一の様式で7層の積層体を調製したが、SR−368D 混合アクリレート混合物(SR−351 トリメチロールプロパントリアクリレートとSR−368 トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートとの50:50混合物としてサートマー カンパニー(Sartomer Co.)から市販品として入手可能)を使用し、そして層3、5および7の形成においてプラズマ処理を使用しなかった。SR−351の62℃のTgとSR−368の272℃のTgとの算術平均を基準として、SR−368Dの推定Tgは167℃である。
【0046】
得られた7層の積層体は、30°の入射角で測定された平均分光透過率Tvis=68%、およびWVTR テスティングシステムの0.005g/m2/日の下部検出限度速度未満であったWVTR(50℃および100%RHで決定された)を示した。
【0047】
実施例3
実施例1と同一の様式で7層の積層体を調製したが、メリネックス(MELINEX)(登録商標)617 ポリエチレンテレフタレート(「PET」)フィルム基材(デュポン−テイジン フィルムズ(DuPont−Teijin Films)から市販品として入手可能、Tg=70℃)および様々なアクリレートを使用した。層1のアクリレートとして、トリプロピレングリコールジアクリレート(「TRPGDA」、UCB ケミカルズ(UCB Chemicals)から市販品として入手可能、Tg=62℃)を使用した。97%のTRPGDAと3%のEBECRYL170 アクリル化酸性接着促進剤とを含有し、かつ推定Tg=62℃を有する混合物を使用して、層3、5および7を形成した。
【0048】
得られた7層の積層体は、30°の入射角で測定された平均分光透過率Tvis=71%、および0.036g/m2/日のWVTR(50℃および100%RHで決定された)を示した。
【0049】
実施例4
熱安定化PET基材
実施例1と同一の様式で7層の積層体を調製したが、メリネックス(MELINEX)(登録商標)ST725 熱安定化PETフィルム基材(デュポン−テイジン フィルムズ(DuPont−Teijin Films)から市販品として入手可能、Tg=78℃)、層1、3、5および7に関してEBECRYL170 アクリル化酸性接着促進剤を使用せずに100%のIRR−214 アクリレート、ならびに層3、5および7を堆積する時にケイ素カソードおよび層2アルゴン/酸素気体混合物を使用して2000Wで実行されたプラズマ処理を使用した。
【0050】
得られた7層の積層体は、30°の入射角で測定された平均分光透過率Tvis=77%、および0.006g/m2/日のWVTR(60℃および100%RHで決定された)を示した。
【0051】
実施例5
WVTRに及ぼす基材Tgの影響
無機酸化物/バリヤーポリマー/無機酸化物の配置で配列されたSiAlO無機酸化物と市販品のバリヤーポリマー(サラン(SARAN)(登録商標)F−278、ダウ ケミカルズ カンパニー(Dow Chemical Company)から市販品として入手可能)の3層の積層体で、様々なガラス転移温度を有するいくつかの基材をカバーした。準備工程として、単一ロールを製造するために、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、PETおよびポリエーテルスルホンフィルム基材の部分を一緒に端と端とをスプライスした。以下の通り、これらの基材上に個々の無機酸化物およびバリヤーポリマー層を形成した。
【0052】
(層1)ロール−トゥ−ロール(roll−to−roll)スパッターコーター中にスプライスロールを装填した。成膜チャンバーの圧力を2×10-6トールまでポンプで低下させた。2kWおよび600V、1ミリトールの圧力で51sccmのアルゴンおよび30sccmの酸素を含有する気体混合物、および0.43メートル/分のウェブ速度を使用して、Si−Al(95/5)ターゲット(アカデミー プリシジョン マテリアルズ(Academy Precision Materials)から市販品として入手可能)を反応スパッタリングすることによって、厚さ60nmのSiAlO無機酸化物層を基材フィルムの上に堆積させた。
【0053】
(層2)真空コーターから、酸化物がコーティングされたウェブを除去した。6.1m/分ウェブ速度で操作される150Rローレットロールを備えたモデルCAG−150マイクログラビアコーター(ヤスイ−セイキ カンパニー(Yasui−Seiki Co.)から市販品として入手可能)を使用して、テトラヒドロフランとトルエンとの65/35v/v混合物中のサラン(Saran)F278ポリマーの10%溶液を連続的に層1上にコーティングした。80℃の温度でコーターの乾燥部分で溶液をエバポレーションした。
【0054】
(層3)ポリマーがコーティングされたウェブを真空コーター中に装填した。層1に関するものと同一条件を使用して、第2のSiAlO無機酸化物層を層2の上に堆積させた。
【0055】
次いで、コーティングされたバリヤーアセンブリーのそれぞれの部分のWVTRを38℃および100%RHで決定した。結果を以下の表1にまとめる。
【0056】
【表1】

【0057】
表1にPETおよびPES基材によって示されるように、基材Tgが増加すると、WVTR値が減少する傾向があった。PMPおよびPP基材は、WVTR試験温度未満のTg値を有したため、従って、それらのWVTR値は、より高いTg基材とは異なって、いくらか影響を受け得る。
【0058】
実施例6
WVTRに及ぼすポリマー層Tgの影響
様々なガラス転移温度を有するポリマー層を利用する連続4層ポリマー/無機酸化物/ポリマー/無機酸化物積層体によって、HSPE100 0.1mm PETフィルム(テイジン フィルムズ(Teijin Films)から市販品として入手可能、Tg=70℃)をカバーした。無機酸化物はITOであり、そして表2に提示された成分からポリマーを形成した。ここでは、それぞれの成分の量は、配合物中の重量部として示されている。
【0059】
【表2】

【0060】
(層1)6.1m/分のライン速度でモデルCAG−150マイクログラビアコーターおよび150Rローレットを使用して、PETフィルム基材の連続部分に表2に示された5つの配合物をコーティングした。100%電力で操作された6kW フュージョン H バルブ(Fusion H bulb)(フュージョン UV システムズ(Fusion UV Systems)から市販品として入手可能)を使用してコーティングを硬化した。
【0061】
(層2)コーティングされたフィルム基材をスパッターコーター中に装填し、そして2×10-6トールのベース圧力までポンプで低下させた。300Wおよび420Vおよび90/10酸化スズ/酸化インジウムターゲット(アルコニウム スペシャルティ アロイズ(Arconium Specialty Alloys)から市販品として入手可能)、4ミリトールの圧力で30sccmのアルゴンおよび8sccmの酸素を含有する気体混合物、ならびに0.127のメートル/分のウェブ速度を使用して、厚さ40nmのITO無機酸化物層を層1の配合物の上に堆積させた。
【0062】
(層3および層4)それぞれ、層1および層2に関するものと同一の条件を使用して、第2のポリマー層を層2の上にコーティングして層3を形成し、そして第2のITO層を層3の上に堆積して層4を形成した。
【0063】
次いで、コーティングされたバリヤーアセンブリーのそれぞれの部分のWVTRを50℃および100%RHで決定した。結果を以下の表3にまとめる。
【0064】
【表3】

【0065】
表3の配合物1、2および5によって示されるように、ポリマーTgが増加すると、WVTR値が減少する傾向があった。配合物1、2および5のポリマーは、実質的な量の多官能性モノマーまたはオリゴマーから製造された。配合物3および4に関しては、いくらかの異なる挙動が観察された。配合物3は、75%の一官能性モノマーを含有し、従って配合物1、2および5と同一の様式では架橋されない。配合物4は、液晶ジアクリレートモノマーをUV硬化することによって得られる液晶ポリマーをベースとしており、従って、配合物1、2および5と同一の様式で作用しない。
【0066】
実施例7
積層化バリヤー構造
光学接着剤を使用して、PET基材上に6層の積層体を有するバリヤーアセンブリー2つを対面になる様式で一緒に接着するために、積層化バリヤーアセンブリーを組み立てた。完成した積層化バリヤーアセンブリーは、PET/ポリマー1/SiAlO/ポリマー2/SiAlO/ポリマー2/SiAlO/光学接着剤/SiAlO/ポリマー2/SiAlO/ポリマー2/SiAlO/ポリマー1/PET配置を有した。以下の通り、バリヤーアセンブリーを形成し、そして一緒に積層化した。
【0067】
(層1)6.1m/分でモデルCAG−150マイクログラビアコーターおよび110Rローレットを使用して、配合物6(表4には示されず)によって、HSPE50 0.05mm PETフィルム(テイジン(Teijin)から市販品として入手可能、Tg=70℃)をコーティングした。「ポリマー1」として識別される層を提供するために、100%電力で操作されたフュージョン F600 H バルブ(Fusion F600 H bulb)を使用してコーティングを硬化した。光示差走査熱量測定(「光DSC」)を使用して決定されるように、ポリマー1は122.8℃のTgを有した。
【0068】
(層2)実施例5のSiAlO無機酸化物層に関して記載された条件を使用して、厚さ60nmのSiAlO無機酸化物層を層1の上に堆積した。
【0069】
(層3)層1に関して記載された条件を使用するが、4.6m/分のコーティング速度を使用して、配合物7(表4には示されず)によって、層2をコーティングして、そして硬化して、「ポリマー2」として識別される層を提供した。ポリマー2は90℃のTgを有した。
【0070】
(層4、層5および層6)それぞれ、層2および層3に関するものと同一の条件を使用して、第2のSiAlO層を層3の上に堆積させて層4を形成し、第2のポリマー2の層を層4の上にコーティングして層5を形成し、そして第3のSiAlO層を層5の上に堆積させて層6を形成し、それによってPET/ポリマー1/SiAlO/ポリマー2/SiAlO/ポリマー2/SiAlO配置を有するバリヤーアセンブリーを提供した。
【0071】
【表4】

【0072】
得られたコーティングされたバリヤーアセンブリーロールを2つのロールに分割し、そして3M(登録商標)8141の光学的に透明な積層化接着剤(3M カンパニー(3M Co.)から市販品として入手可能)およびロール−トゥ−ロール(roll−to−roll)ラミネーターを使用して、対面になる様式で一緒に積層化した。38℃および100%RHで非積層化バリヤーアセンブリーに関して、ならびに38℃/100%RHおよび50℃/100%RHで積層化バリヤーアセンブリーに関してWVTR値を決定した。結果を以下の表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
表5の結果によって示されるように、対面積層化工程はWVTRの減少をもたらす。WVTRは、38℃および50℃の測定温度の両方において、モコン パーマトラン(MOCON PERMATRAN)−W3/31 WVTR テスティングシステムの0.005g/m2/日の下部検出限度速度未満のままであった。
【0075】
実施例8
OLEDデバイス
以下の通り形成された上部表面ITO導電層の堆積のために、再度、実施例1のバリヤーアセンブリーからの試料をロール−トゥ−ロール(roll−to−roll)真空加工チャンバー中に装填した。
【0076】
(層8)層6に関するものと同一条件を使用してITOをスパッタ蒸着させたが、0.19メートル/分のウェブ速度を使用して、層7のアクリレートの上に堆積された厚さ138nmのITO層を提供した。
【0077】
得られた上部表面導電性のバリヤーを、X−ACTO(登録商標)ナイフ(ハント コーポレイション(Hunt Corporation)から市販品として入手可能)を使用して22mm×22mmの正方形にカットした。アセトンですすぎ、空気乾燥させた後、マイクロ−リエ(MICRO−RIE)(登録商標)シリーズ80 プラズマシステム(テクニクス インコーポレイテッド(Technics,Inc.)から市販品として入手可能)を使用してこの正方形を酸素プラズマでクリーニングし、そして50ワット電力および200ミリトール酸素圧力で4分暴露した。クリーニングされた正方形上に、バイトロン(BAYTRON)(登録商標)P4083 ポリチオフェン(バイエル コーポレイション(Bayer Corporation)から市販品として入手可能)の1%固体水溶液を2500rpmで30秒間、スピンコーティングした。最初に、22×22×1mmのガラススライドを真空チャック上に配置し、ガラススライドを適切な位置に保持するために真空を適用し、1滴のメタノールをガラススライドの上部に添加し、クリーニングされた正方形をメタノールの上に配置し、そして正方形の縁をガラススライドの縁と一直線に合わせることによって、正方形をスピンコーター真空チャックの適切な位置に保持した。メタノールは、ガラススライドと正方形との間の空間を充填し、そしてスピンコーティング操作の間、正方形を適切な位置に保持する。窒素雰囲気下、70℃のホットプレート上で、コーティングされた正方形を乾燥させた。
【0078】
コーティングされた正方形をベルジャー型エバポレーションチャンバーに移し、そして約10-6トールまで排気した。次に続く層を順次的に、19.5mmの正方形の開口部を含有するシャドーマスクを通して、コーティングされた正方形上に熱的に蒸着した。
【0079】
(層1)7%テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(「FTCNQ」、日本、東京の東京化成工業株式会社(Tokyo Kasei Kogyo Co.,Tokyo,Japan)から市販品として入手可能)によってドープされた、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(「MTDATA」、H.W.サンズ コーポレイション(H.W.Sands Corp.)から市販品として入手可能)の厚さ2245Åの層。
【0080】
(層2)N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(「アルファ−NPB」、OPD7534としてH.W.サンズ コーポレイション(H.W.Sands Corp.)から市販品として入手可能)の厚さ300Åの層。
【0081】
(層3)1%(10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7,−テトラメチル l−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン(「C545T」染料、イーストマン コダック カンパニー(Eastman Kodak Co.)から市販品として入手可能)によってドープされた、トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(「AlQ3」、H.W.サンズ コーポレイション(H.W.Sands Corp.)から市販品として入手可能)の厚さ300Åの層。
【0082】
(層4)AlQ3の厚さ200Åの層。
【0083】
カソードの熱堆積のために、蒸着された正方形を、薄フィルムエバポレーションチャンバーを含むグローブボックス(「エドワーズ(Edwards)500」、BOC エドワーズ(BOC Edwards)から市販品として入手可能)に移した。カソードが正方形のほぼ中心に堆積されるように配置された1cm2の円形の開口部を有する金属シャドーマスクを通して、約10-7トールで、厚さ1000Åのカルシウム層(アルファ−アーサー カンパニー(Alfa−Aesar Co.)から市販品として入手可能なターゲットを使用して)および厚さ2000Åの銀層(アルファ−アーサー カンパニー(Alfa−Aesar Co.)から市販品として入手可能なターゲットを使用して)を、正方形上に連続的に堆積させた。ITOアノードをアリゲータークリップと接触させ、そしてCa/Agカソードを純金ワイヤーと接触させることによって、完成したOLEDデバイス中を約4〜9ボルトのDCが通過した時に、緑灯が放射された。
【0084】
2002年12月19日出願の係属中の米国特許出願第10/324,585号明細書に記載の通り、銅ホイルによってデバイスを被包化した。約50mm×100mm片の3M(登録商標)サーモ−ボンド フィルム(Thermo−Bond Film)845 EG 熱積層化フィルム(接着剤の厚さ0.06mm)をそのリリースライナー側で2×8グリッドの25mm正方形に押し付けた。ハンドヘルドのペーパーパンチを使用して、6mmの円形の穴をそれぞれの25mm正方形の中心でカットした。穴の開いた熱積層化フィルムを、接着剤側でホイルと接触する約125×75mm片の厚さ0.05mmCuホイル(マックマスター−カー サプライ カンパニー(McMaster−Carr Supply Co.)から市販品として入手可能)上に配置し、次いでリリースライナー側でアルミニウムプレートと接触する76×229×0.64mmのアルミニウムプレート(Q−パネル カンパニー(Q−panel Company)から市販品として入手可能)上に配置した。得られたアセンブリーを、3回連続で、約102℃で操作されたTDEシステムズ モデル(TDE Systems Model)HL−406 2−ロールサーマルラミネーター(Kマート コーポレイション(Kmart Corp.)から市販品として入手可能)を通して供給して、接着剤フィルムをCuホイルに積層化し、そして接着剤においてホイルを6mmの穴へと変形した。積層化Cuホイルをアルミニウム担体プレートから除去し、ハサミで25mm正方形へとカットし、そしてグリーン放射OLEDデバイスを含有するグローブボックス中に入れた。接着剤層の6mmの穴が正方形のほぼ中心に残るように、積層化Cuホイルの25mm正方形を約20mm正方形へとハサミで縁取りした。次いで、リリースライナーを除去し、そして暴露された接着剤層を22mm正方形のOLEDデバイスの1つのカソード側に対して配置し、接着剤層を通って6mmの穴はOLEDデバイスのカソードのほぼ中心に位置し、そして積層化Cuホイル正方形はOLED基材に関して45°まで回転して、積層化Cuホイル正方形の角はぴったりと合い、そしてOLED基材の縁のほぼ中心を越えて延在した。ピンセットを使用して、得られたアセンブリーを一緒に保持し、そして約20秒間、100℃のホットプレート上に置き、OLED基材への積層化Cuホイルの接着を引き起こした。次いで、グローブボックスの不活性窒素雰囲気中で、得られたアセンブリーを、約100℃で操作されたベステック(BESTECH)(登録商標)モデル2962 2ロール サーマルラミネーター(ローズ アート インダストリーズ(Rose Art Industries)から市販品として入手可能)中に通過させることによって、Cuホイルの角をOLEDデバイスの前部上に折り、そしてそこに積層化した。冷却時、デバイスの角において暴露されたITO部分を接触させることによって、被包化OLEDへのアノード連結を作製し、そしてCuホイルを接触させることによってカソード連結を作製した。電流が適用された時、デバイスから緑灯が放射された。
【0085】
本発明の様々な修正および変更は、本発明から逸脱することなく当業者に明白であろう。本発明は、実例の目的のみのために本明細書に明白にされたものに限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HSPETのTg以上のTgを有する第1のポリマー層によってオーバーコートされ、そしてHSPETのTg以上のTgを有する少なくとも1つの第2のポリマー層によって分離された少なくとも2つの可視光透過性無機バリヤー層によってさらにオーバーコートされている、HSPETのTg以上のTgを有する可撓性の可視光透過性基材を含んでなるバリヤーアセンブリーであって、23℃および90%RHで0.005cc/m2/日未満の酸素透過率を有するバリヤーアセンブリー。
【請求項2】
基材が、PMMAのTgより高いTgを有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項3】
基材が、少なくとも約120℃のTgを有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項4】
基材が、熱安定化PETまたはポリエチレンナフタレートを含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項5】
基材が、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー、ポリカーボネート、ポリα−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはポリフタルアミドを含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項6】
第1または第2のポリマー層が、PMMAのTgより高いTgを有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項7】
第1および第2のポリマー層が、少なくとも約150℃のTgを有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項8】
第1または第2のポリマー層が、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル、イソボルニルメタクリレート、環状ジアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートのポリマーを含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項9】
バリヤーアセンブリー中の第1、第2およびいずれかのさらなるポリマー層が、PMMAのTg以上のTgを有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項10】
少なくとも1つの無機バリヤー層が金属酸化物を含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項11】
少なくとも1つの無機バリヤー層がインジウムスズ酸化物を含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項12】
少なくとも1つの無機バリヤー層が、酸化ケイ素または酸化アルミニウムを含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項13】
少なくとも1つの無機バリヤー層が、アルミニウムとケイ素との混合酸化物を含んでなる、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項14】
50℃および100%相対湿度で0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項15】
85℃および100%相対湿度で0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項16】
少なくとも約60%のTvisを有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項17】
アセンブリーの少なくとも一部が、導電層または電極によってオーバーコートされている、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項18】
導電層または電極が可視光透過性である、請求項17に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項19】
バリヤーアセンブリー中の全てのポリマー層が架橋されている、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項20】
少なくとも約150℃のTgを有する第2のポリマー層によって分離された少なくとも3つの可視光透過性無機バリヤー層を有する、請求項1に記載のバリヤーアセンブリー。
【請求項21】
a)HSPETのTg以上のTgを有する可撓性の可視光透過性支持体を提供する工程と、
b)支持体の上に、HSPETのTg以上のTgを有する第1のポリマー層を形成する工程と、
c)第1のポリマー層の上に、可視光透過性の第1の無機バリヤー層を形成する工程と、
d)第1の無機バリヤー層の上に、HSPETのTg以上のTgを有する第2のポリマー層を形成する工程と、
e)第2のポリマー層の上に、可視光透過性の第2の無機バリヤー層を形成する工程と、
を含んでなる、バリヤーアセンブリーの製造方法であって、23℃および90%RHで0.005cc/m2/日未満の酸素透過率を有するバリヤーアセンブリーの製造方法。
【請求項22】
第1または第2のポリマー層が、PMMAのTgより高いTgを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1および第2のポリマー層が、少なくとも約150℃のTgを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
基材が、熱安定化PET、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー、ポリカーボネート、ポリα−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはポリフタルアミドを含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第1または第2のポリマー層が、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル、イソボルニルメタクリレート、環状ジアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートのポリマーを含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの無機バリヤー層が、金属酸化物を含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの無機バリヤー層が、インジウムスズ酸化物、酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたはアルミニウムとケイ素との混合酸化物を含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
バリヤーアセンブリーが可視光透過性であり、そして50℃および100%相対湿度で0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率を有するように、十分な数の無機バリヤー層が適用され、そして基材、ならびに第1および第2のポリマー層が十分高いTgを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
バリヤーアセンブリーが可視光透過性であり、そして85℃および100%相対湿度で0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率を有するように、十分な数の無機バリヤー層が適用され、そして基材、ならびに第1および第2のポリマー層が十分高いTgを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
HSPETのTg以上のTgを有するポリマー層によってオーバーコートされ、そしてHSPETのTg以上のTgを有する少なくとも1つのポリマー層によって分離された少なくとも2つの可視光透過性無機バリヤー層によってさらにオーバーコートされている、HSPETのTg以上のTgを有する可撓性の可視光透過性基材を含んでなるバリヤーアセンブリーによって少なくとも部分的にカバーされた、感湿もしくは酸素感応性光源または光弁を含んでなるディスプレーまたは照明デバイス。
【請求項31】
第1または第2のポリマー層が、PMMAのTgより高いTgを有する、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項32】
第1および第2のポリマー層が、少なくとも約150℃のTgを有する、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項33】
基材が、熱安定化PET、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー、ポリカーボネート、ポリα−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはポリフタルアミドを含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項34】
第1または第2のポリマー層が、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル、イソボルニルメタクリレート、環状ジアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートのポリマーを含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項35】
少なくとも1つの無機バリヤー層が金属酸化物を含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項36】
少なくとも1つの無機バリヤー層が、インジウムスズ酸化物、酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたはアルミニウムとケイ素との混合酸化物を含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項37】
バリヤーアセンブリーが可視光透過性であり、50℃および100%相対湿度で0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率を有し、そして23℃および90%RHで0.005cc/m2/日未満の酸素透過率を有するように、十分な数の無機バリヤー層を有し、そして十分高いTgを有する基材、ならびに第1および第2のポリマー層を有する、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項38】
バリヤーアセンブリーが可視光透過性であり、そして85℃および100%相対湿度で0.005g/m2/日未満の水蒸気透過率を有するように、十分な数の無機バリヤー層を有し、そして十分高いTgを有する基材、ならびに第1および第2のポリマー層を有する、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項39】
バリヤーアセンブリーが、少なくとも約150℃のTgを有するポリマー層によって分離された少なくとも3つの可視光透過性無機バリヤー層を有する、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項40】
バリヤーアセンブリーと光源または光弁との間に導電層をさらに含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項41】
光源または光弁が有機発光デバイスを含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。
【請求項42】
光源または光弁が液晶ディスプレーを含んでなる、請求項30に記載のディスプレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−131601(P2011−131601A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42243(P2011−42243)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【分割の表示】特願2006−509551(P2006−509551)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】