説明

可溶性βーアミロイドの非侵襲的画像法のための組成物及び方法

可溶性Aβと特異的に結合し、検出のために標識される造影剤を使用する、アルツハイマー病及び他のアミロイド関連疾患の指標としての可溶性Aβのレベルを、インビトロ、エクスビボ、インビボ、及び原位置で評価する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵襲的手法を伴わない可溶性βーアミロイドの検出及び被検体の脳内でのその局所濃度の測定に関する。本開示は、新規の組成物、造影剤及びベンゾフラン誘導体にも関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(「AD」)の主な組織病理学的特徴は、脳内の関連炎症と相まった神経突起のプラーク及びもつれの存在である。プラークは、主としてβ−アミロイド(「Aβ」)ペプチドの沈澱した(又は水溶液に不溶性の)線維状物から構成されることは知られている。完全に線維状に凝集したAβペプチドの生成は、アミロイド前駆体タンパク質(「APP」)の切断によって開始される複雑なプロセスである。APPの切断後、Aβのモノマー状物は、多分、疎水的相互作用及び/又はドメインスワッピングによって、他のモノマーと会合して、ダイマー、トリマー及びより程度の高いオリゴマーを形成することができる。Aβのオリゴマーはさらに会合してプロトフィブリル及び最終的な原線維を形成することができる。これは、神経突起のプラークの主要な構成要素である。最近、Aβの可溶性オリゴマー(水性緩衝液中で可溶性である。)は、神経細胞機能障害の大きな原因となることが示されている。実際、動物モデルによれば、可溶性Aβペプチドの量を単に低下させるだけで、プラーク中のAβのレベルに影響を与えることなく、認識機能を十分に改善できるとことが示唆されている。
【0003】
現在、AD診断の唯一の方法は、プラーク及びもつれがあるかどうかをみる脳の解剖試験である。ADの症状が他の痴呆のスペクトルと共有されるので、ADの生体診断は、特に初期段階で困難である。最近、患者の知的能力を試験するように設計された簡単な認識力テスト、例えば、ADAS−cog(アルツハイマー病評価スケール−認識サブスケール(Alzheimer’disease assessment scale−cognitive subscale))又はMMSE(ミニ精神状態試験(Mini−mental state examination))を用いて、AD診断が実施されている。主観的な性質及び患者固有のばらつきが、そうした手段によるAD診断の主な欠点である。ADを早期に正確に診断することができないという事実は、ADの発病を遅延させるか又は停止させるための治療剤として、抗Aβ薬物を試験しようとする製薬会社に大変な課題をもたらす。さらに、ADを早期に検出し、かつ患者にAβ低下化合物の治療剤を施すことができたとしても、現在のところ、その治療剤が臨床的に有効であるかどうかを知る方法はない。
【特許文献1】米国特許出願第10/431,202号明細書
【特許文献2】米国特許第6133259号明細書
【特許文献3】米国特許第6168776号明細書
【特許文献4】米国特許第6114175号明細書
【特許文献5】米国特許第5811310号明細書
【特許文献6】米国特許第5750349号明細書
【特許文献7】米国特許第5231000号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2002/0159947号明細書
【特許文献9】米国特許第5520904号明細書
【非特許文献1】Kayed,et al.,Science,vol.300,page 486,April 18,2003
【非特許文献2】Merrifield(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156
【非特許文献3】Li WH,Parigi G,Fragai M,Luchinat C,Meade TJ,Inorg Chem 2002 Jul 29;41(15):4018−24
【非特許文献4】Louie AY,Huber MM,Ahrens ET,Rothbacher U,Moats R,Jacobs RE,Fraser SE,Meade TJ.Nat Biotechnol 2000 Mar;18(3):321−5
【非特許文献5】Weissleder R,Tung CH,Mahmood U,Bogdanov A Jr Nat Biotechnol 1999 Apr;17(4):375−8
【非特許文献6】Tubis and Wolf,Eds.,“Radiopharmacy”,Wiley−Interscience,New York(1976)
【非特許文献7】Wolf,Christman,Fowler,Lambrecht,“Synthesis of Radiopharmaceuticals and Labeled Compounds Using Short−Lived Isotopes”,in Radiopharmaceuticals and Labeled Compounds,Vol.1,p.345−381(1973)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、可溶性Aβペプチドレベルを、脳内で局所的に測定する方法を開発することに有意義な必要性が存在する。
【0005】
老人性プラークの目標化画像法によって、β−アミロイドのレベルを非侵襲的に直接測定しADを診断することが試みられている。現在のAβ目標化造影剤は、脳内のAβ線維性沈殿物の特徴である不溶性凝集物をターゲットにしているので、このアプローチは、可溶性Aβペプチドの具体策としては成功していない。さらに、大きなプラーク負荷は中後期段階の疾患に最も関連しているので、プラークの目標化画像法は早期診断を提供することができない。さらに、現在の抗Aβ治療剤が、画像化技術によって臨床的にしかるべき時点で、線維性沈澱物に検出するのに検知できるほど影響を及ぼすことは示されていない。
【0006】
或いは、インビトロでのAβの手段は、脳脊髄液中の可溶性Aβに対しては特異的であるが、可溶性Aβ種の脳でのレベルの直接的で正確な評価に必要な脳内の局所Aβに対して必要となる選択性が欠如している。今日まで、中枢神経系(「CNS」)中に存在する可溶性Aβペプチド種(モノマー、ダイマー、トリマー及びn−オリゴマーを含む)の目標化された非侵襲的測定及び画像化はまだ取り組まれていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は以下の式Iを有する化合物に関する。
【0008】
【化1】

式中、Xは酸素、窒素及びイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、RはC〜C32置換若しくは非置換直鎖又は枝分れ鎖アルキル、五員環、六員環及びその縮合系を含む脂環式の、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される炭化水素基である。
【0009】
別の態様では、式Iで記す化合物及び標識を含む造影剤を説明する。
【0010】
別の態様では、Aβ種又はアミロイド形成性ペプチドを含むことが疑われるサンプルを提供する段階と、式Iの化合物を含む造影剤を施用する段階と、Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つと結合した造影剤の量を検出する段階とを含むAβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つを検出する方法である。
【0011】
別の態様では、被検体に式Iの化合物を含む造影剤を投与する段階と、Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つと結合した造影剤を検出する段階とを含むアミロイド関連疾患を評価する方法である。
【0012】
さらに別の態様では、被検体における治療剤の治癒効能を非侵襲的に評価する方法であって、式Iの組成物の第1の用量を被検体に投与する段階と、被検体内での造影剤のベースライン測定値を非侵襲的に得る段階と、評価する治療剤を被検体に施す段階と、前記組成物の第2の用量を被検体に投与する段階と、被検体内の造影剤の第2の測定値を非侵襲的に得る段階と、時間的に別個の2以上の測定値を比較する段階とを含む方法であって、存在する造影剤の量の増減が治療剤の効能を示す方法を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本開示は、アルツハイマー病を含むアミロイド関連疾患を診断するための可溶性Aβのレベルを非侵襲的に評価する方法に関する。本方法はインビボで可溶性Aβレベルを定性的かつ定量的に測定する。本方法は、アミロイド関連疾患に使用する関連治療剤の効能を測定するために用いることもできる。可溶性Aβレベルを評価するために、標識された診断用造影剤を被検体に送達する。被検体は一般に動物であり、ヒトであってもよい。標識された造影剤は、少なくとも1つの可溶性Aβと結合する化学的実体(chemical entity)と画像化モダリティで検出できる信号を発する化学的実体とを含有する。標識された造影剤は、医学的に妥当な手段で被検体に送達される。選択された標識によるクリアランス時間をもたせた後、可溶性Aβと結合した造影剤の量を、画像化モダリティを用いて発せられた信号を非侵襲的に測定することによって決定する。得られた画像の可視的で定量的な分析によって、脳内の可溶性Aβの全体レベル及び局所レベルの正確な評価が提供される。
【0014】
本明細書では「Aβ種」は、Aβ可溶性モノマー、可溶性オリゴマー及び不溶性原線維を指す。本明細書では「アミロイド形成性ペプチド」は、アミロイド形成プロセスを受けるか、又はそれを受ける性向を有していて、交差βシートの第2の構造を有するアミロイドと称される凝集物を形成し、偏光下で複屈折性であり、組織染色コンゴレッドで染色され、性質上線維性であるペプチド又はタンパクを指す。
【0015】
本開示は、Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドを標識し検出し、かつAβ種及びアミロイド形成性ペプチドの量をインビトロ、エクスビボ及び原位置で、定量的に測定する方法にも関する。Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドと結合する薬剤は、放出される放射線、蛍光放射及び薬剤の光学的特性などのその薬剤の発した信号によって検出される。少なくとも、細胞培養、死後のヒト組織、疾患の動物モデル並びに合成及び組み替えソースからのAβ種及びアミロイド形成性ペプチドは、一般にインキュベーションの期間、過剰の薬剤に曝される。非特異的に結合しているか、又はインキュベーション溶液中にフリーで存在する薬剤は、封鎖されるか又は洗い落とされ、通常の顕微鏡、広範囲画像化(widefield imaging)、放射分析、蛍光、光学及び分析の技術で検出することができるAβ種及びアミロイド形成性ペプチドに特異的に結合している薬剤は後に残る。検出可能な信号を数値に変換して、目標化したAβ種及びアミロイド形成性ペプチドの量を定量化することができる。
【0016】
可溶性Aβと結合する造影剤の化学的実体は、より多くのAβペプチド、最大で24個のAβペプチドを含むモノマー、ダイマー、トリマー及び/又はオリゴマーと結合することができる。より具体的には、造影剤が結合できる可溶性Aβ種には、Aβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43又はその任意の組合せのモノマー、ダイマー、トリマー及びオリゴマーが含まれる。可溶性モノマー若しくはオリゴマー形態のAβペプチドは、エクスビボで、組み換え手段によって、又は合成的に誘導することができる。可溶性Aβには、水溶液に可溶性であるモノマー系Aβ及び低オリゴマー系Aβが含まれる。いくつかの実施形態では、可溶性Aβは15000倍の重力下で遠心分離後、水溶液の上澄み中に残留するタイプのものである。いくつかの実施形態では、可溶性Aβには、コンゴレッドで染色した場合に緑色の複屈折を示さないAβモノマー及びその凝集物が含まれる。
【0017】
可溶性Aβと結合するか或いは可溶性Aβの存在を示す造影剤は、天然のソースから誘導されても人工的に作製されてもよく、小分子、ペプチド、タンパク質、酵素、核酸、核酸配列、デンドリマー、ポリマー、抗体又は抗体断片であってよい。
【0018】
「小分子」という用語は、約5000ダルトン以下の分子量を有する分子を意味する。ある実施形態では、小分子は300〜2000ダルトンの範囲の分子量を有する。当業界でよく知られているように、そうした化合物は化合物ライブラリ、組合せライブラリ、天然物ライブラリ及び他の類似のソースにおいて見出すことができ、さらには、これらのライブラリにある化合物の化学的改変、例えば、所望の薬理学的特性を有する化合物を生成するために使用できる当業者に理解されている医薬品化学の方法によって得ることができる。
【0019】
一実施形態では、ある種の化合物及びその誘導体は可溶性Aβに結合する造影剤として有用である。本明細書で述べる組成物は、蛍光結合アッセイで測定されるように、可溶性Aβへのナノモルの親和性を示す。
【0020】
適切な化合物及び誘導体は以下の式Iで表されるものを含む。
【0021】
【化2】

式中、Xは酸素、窒素又はイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは炭化水素基であり、Rは炭化水素基又はハロゲンである。Rは炭化水素基であることが好ましい。ハロゲンは、これらに限定されないが、臭素、フッ素、塩素及びヨウ素を含む、当業者にハロゲンとして知られている任意の物質を含むことを意味する。炭化水素基は、置換若しくは非置換飽和若しくは不飽和の、枝分れ鎖、直鎖のアルキル、アリール、ヘテロアリール、脂環基又は上記の任意の組合せを含む任意の炭化水素基を意味する。R及びRは、酸素、窒素、イオウ、又は塩素、臭素若しくはフッ素などのハロゲンの1以上のヘテロ原子でさらに置換されていてもよい。一実施形態では、RはC〜C10アルキルヒドロキシ、アミド基、尿素基又はウレタン基であり、Rは置換又は非置換C〜C32直鎖若しくは枝分れ鎖アルキル、置換又は非置換アリール基、置換又は非置換脂環式基である。本明細書で用いる用語アリール及びヘテロアリールは、これらに限定されないが、五員環、六員環及びその縮合環系を含むものとする。本発明の種々の実施形態で用いる用語「アルキル」は、炭素及び水素原子を含み、直鎖アルキル、枝分れ鎖アルキル、アラルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル及びポリシクロアルキル基と、炭素及び水素に加えて、例えば、これらに限定されないが、酸素、イオウ、窒素、フッ素、臭素及び塩素を含む周期律表の第15族、第16族及び第17族から選択される原子を適宜含む上記アルキルとの両方を指すものとする。「アルキル」という用語は、アルコキシド基のアルキル部分も包含する。種々の実施形態において、直鎖及び枝分れ鎖アルキル基には、非限定的な例として、C〜C12アルキル、C〜C15シクロアルキル又はアリールから選択される1種以上の基で適宜置換されたC〜C32アルキル、及びC〜C32アルキルから選択される1種以上の基で適宜置換されたC〜C15シクロアルキルが含まれる。いくつかの具体的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルが含まれる。シクロアルキル及びビシクロアルキル基のいくつかの非限定的な例には、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロヘプチル及びアダマンチルが含まれる。種々の実施形態では、アラルキル基は7〜約14個の炭素原子を含むものであり、これらには、これらに限定されないが、ベンジル、フェニルブチル、フェニルプロピル及びフェニルエチルが含まれる。種々の実施形態では、本発明の種々の実施形態で使用されるアリール基は、6〜18個の炭素原子を含む置換若しくは非置換アリール基又は縮合芳香族基である。これらのアリール基のいくつかの非限定的な例には、C〜C12アルキル、C15シクロアルキル又はアリールから選択される1種以上の基で適宜置換されたC〜C15アリールが含まれる。アリール基のいくつかの具体的な例には置換又は非置換フェニル、ビフェニル、トルイル及びナフチルが含まれる。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、Rは、アルキルヒドロキシ、アミド基、尿素基、又は以下の式のものなどのウレタン基
【0023】
【化3】

式中、ZはNH若しくはSであるか、或いはRは以下の構造のものである。
【0024】
【化4】

式中、YはH又はOであり、nは1又は2の整数であり、RはO又はNHであり、Rはアシル、置換若しくは非置換アリール、尿素又はウレタンである。さらに、Rの非限定的な例には、以下の表1に示すものが含まれる。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
【表5】

さらに別の実施形態では、有用な造影剤には、以下の式IIのものなどのベンゾフラン誘導体が含まれる。
【0030】
【化5】

但し、R及びRは上記と同様である。より具体的には、表2に記す式を有するある種のベンゾフラン誘導体がAβのための造影剤として有用である。
【0031】
【表6】

【0032】
【表7】

【0033】
【表8】

【0034】
【表9】

【0035】
【表10】

【0036】
【表11】

【0037】
【表12】

但し、ZはNH、O、Sであり、Arは、上記例のように、置換されたフェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル等である。当業界で周知のように、「Et」はエチルであり、「Me」はメチルである。
【0038】
式IIに示すものと類似の置換された2−フェニル−3−アルキルベンゾフランは、ベンジルとフェノール及びアリールエーテルのルイス酸介在縮合、ベンジルケトンとα,β不飽和カルボニルとo−ジブロモベンゼンを有するフェノール系化合物とのパラジウム触媒による交差カップリング及び低い価のTi触媒によるジカルボニル化合物のMcMurry−タイプの還元的環化によって合成されている。また、2,3−ジフェニルベンゾフランはリン酸触媒によるα−アリールオキシデオキシベンゾインのシクロ脱水によって調製されている。2−アリール−3−アリルベンゾフランは、2−アルキニルフェノールのアリルカーボネートでのPd触媒を用いた環化によって合成されている。Pd−触媒による環化も、様々な2−アルキルベンゾフラン及び2−アリールベンゾフランの合成に好ましい方法である。
【0039】
しかし、これらの方法は、多岐にわたる上記一般構造のベンゾフランの合成を可能にするほど多目的ではない。より多目的で一般的なアプローチを以下に示す。2−ブロモ−3−ホルミルベンゾフランを出発点として用いた市販の有機亜鉛試薬との反応によって、3位に官能化された部分の導入がもたらされる。2−ブロモ−官能性を用いたスズキ(Suzuki)カップリングによって、様々な官能基の存在下で、官能化された2−アリール置換基の導入が可能になる。実際的な利点が得られれば、これらの2つの段階を入れ替えることができる。マイクロ波で加速した有機合成の使用によって、高生産性の有機合成による分子の多様性を追求する前に、合成ストラテジーの迅速な評価及び反応条件の最適化が可能になる。ホルミル置換基は、還元的逐次アミノ化による、官能化されたアミン部分への効果的な導入を可能にする。
【0040】
ここで述べた可溶性Aβと結合する造影剤とは異なって、Aβ又は老人性プラークの不溶性沈殿物にもっぱら結合する造影剤及び染料がある。不溶性Aβ沈殿物と特異的に結合する小分子には、例えば、コンゴレッド、クリサミンG(Chrysamine G)、メトキシ−X04、TZDM、[11C]6、IMSB、チオフラビンS及びT、TZDM、1−BTA、ベンザチオゾール(benzathiozole)誘導体、[125I]3、BSB、IMSB、スチリルベンゼン誘導体、IBOX、ベンゾオキサゾール誘導体、IMPY、ピリジン誘導体、DDNP、FDDNP、FENE、ジアルキルアミノナフチル誘導体、ベンゾフラン誘導体及びこれらの誘導体(例えば、米国特許第6133259号、同6168776号、同6114175号を参照されたい)などの小さい分子量分子が含まれる。
【0041】
核酸配列及びその誘導体はフリン及びアミロイド前駆体タンパク質(「APP」)のためのmRNAを含むAβの不溶性老人性プラークと結合することが示されている。
【0042】
ペプチドはAβ及び老人性プラークの不溶性沈殿物のための造影剤としても開発されている。不溶性Aβを画像化するために標識されている配列特異性ペプチドには、標識化Aβペプチド自体、プトレシン−ガドリニウム−Aβペプチド、放射性標識化Aβ、[111In]Aβ、[125I]Aβ、γ線放出放射性同位体で標識されたAβ、Aβ−DTPA誘導体、放射性標識化プトレシン、KVLFFベースのリガンド及びその誘導体が含まれる。
【0043】
凝集したAβの阻害剤は、可溶性及び/又はAβの不溶性原線維と相互作用することによって、これらの凝集物の生成を破壊することが示唆されている。阻害剤又は抗凝集剤の例には、Aβのペプチド、KVLFFベースのリガンド、小分子量化合物、カーボンナノ構造、リファマイシン、IDOX、アクリドン、ベンゾフラン、アポモルヒネ及びその誘導体が含まれる。
【0044】
Aβ42、タンパク質、金属、小分子量化合物、脂質などの、凝集を促進するための薬剤も知られている。Aβ原線維の凝集か又は脱凝集のどちらかを促進する薬剤は、おそらく可溶性Aβ又は不溶性Aβのどちらか、或いはその両方と相互作用する。これは、Aβと独占的に結合する化合物の開発の実現の可能があることを示唆している。
【0045】
Aβの抗体は、それらも可溶性Aβ及び不溶性Aβと相互作用するので、KLVFF−誘導体と類似している。可溶性Aβ及び不溶性Aβに特異的な抗体を、アミノ酸残基13〜26からなる接合領域及び/又はAβのアミノ酸残基33〜42からなるカルボキシ末端などの所望の目標エピトープを含む適切な抗原又はハプテンに対して調製することができる。可溶性Aβに適した1つの抗体がKayed, et al., Science, vol. 300, page 486, April 18,2003に開示されている。合成ペプチドは、従来の固相技術でも調製することができ、適切な免疫原と結合させ、従来技術によって抗血清抗体又は単クローン抗体を調製するために使用することができる。適切なペプチドハプテンは一般に、Aβ内に5個以上の近接する残基を含み、6個を超える残基を含むことができる。合成ポリペプチドハプテンは、アミノ酸を順次成長鎖に加えるMerrifield固相合成技術(Merrifield(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156)によって生成することができる。適切な抗体には、例えば、米国特許第5811310号、同5750349号及び同5231000号に記載のもの、R1282、21F12、3D6、FCA3542並びにAβ1−40、1−42及び他のイソ型のための単クローン及び多クローン性抗体が含まれる。その分子に結合することなく、目標分子の具体的な存在を示すことができる特定の造影剤が開発されている。そうした場合、その信号が、特定の目標分子の存在をベースとして活性化されるか又は不活性化されないので、造影剤は「活性化可能である」と考えることができる。そうした薬剤の例はMRI及び光学的画像法用に使用されている(Li WH,Parigi G,Fragai M,Luchinat C,Meade TJ,Inorg Chem 2002 Jul 29;41(15):4018−24)(Louie AY,Huber MM,Ahrens ET,Rothbacher U,Moats R,Jacobs RE,Fraser SE,Meade TJ.Nat Biotechnol 2000 Mar;18(3):321−5)(Weissleder R,Tung CH,Mahmood U,Bogdanov A Jr Nat Biotechnol 1999 Apr;17(4):375−8)。
【0046】
上記の薬剤は可溶性Aβ又は不溶性(すなわち線維性)Aβのどちらかを目標とする。薬剤は動物の体の中枢神経系内又は末梢部で凝集してアミロイドを形成する他のタンパク質と結合することができる。アミロイド形成性ペプチドでの疾患はアミロイドーシスと称することができる。身体のCNS以外で影響を及ぼすアミロイドーシスは全身性アミロイドーシスと称され、他方、CNSでのアミロイドーシスには、パーキンソン病のα−シヌクレインタンパク質、アミロイドーマの多発性骨髄腫関連タンパク質、オクロエプト髄膜(oculoeptomeningeal)A及び髄膜脳血管(Meningocerebrovascular)Aのトランスサイレチン、ダウン症候群及びアミロイドーシス(HCHWA)オランダ形の遺伝性脳溢血のAβペプチド、HCHWA−アイスランド型のシスタチンC、並びに感染性海綿状脳症のプリオンタンパク質が含まれる。
【0047】
検出可能な信号を放出する式I及びIIで示したものを含む造影剤の化学的実体(標識とも称される。)は、固有のものであっても、或いは放射性標識、常磁性標識、光学的標識等であってもよい。「標識」は以後、薬剤自体の蛍光又は化学ルミネセンスなどの固有の標識、或いは薬剤に付け加えられた標識の両方を含むものとする。使用できる画像化モダリティのタイプは、個々の被検体に使用する標識の選択にあたって重要な要素となる。例えば、放射性標識は、利用できる画像化モダリティで検出可能な崩壊形のものを有していなければならない。適切な放射性同位体は当業界で周知であり、β−放射体、γ−放射体、陽電子放射体及びx線放射体を含む。適切な放射性同位体には、H、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euが含まれる。ハロゲン(塩素、フッ素、臭素及びヨウ素など)、並びにテクネチウム、イットリウム、レニウム及びインジウムを含む金属の同位体も有用な標識である。結合できる金属イオンの典型的な例は99mTc、123I、111In、131I、97Ru、67Cu、67Ga、125I、68Ga、72As、89Zr及び201Tlである。本開示で使用するために、放射性標識は、当業界で周知の標準的放射性標識化手順を使用して調製することができる。標識化は、上記一覧表の標識のうちの1つをR又はR基の1つ若しくは両方に組み込むことによって実施することが好ましい。
【0048】
開示した化合物は、放射性標識を直接化合物中に混ぜ込むことによって直接に放射性標識するか、又は、キレート化剤を介して放射性標識を化合物中に混ぜ込む(化合物中にキレート化剤が混ぜ込まれている。)ことによって間接的に放射性標識することができる。そうした放射性標識は、当業界で認められている基準を適用して、化学的にも代謝的にも十分安定でなければならない。また、標識を、様々な異なる放射性同位体を用いて様々な方法で混ぜ込むことができるが、そうした放射性標識化が、標識されていない部分の高い結合親和性及び特異性にそれほど影響を及ぼさないような形で実施しなければならない。
【0049】
陽電子放射断層撮影法(「PET」)によるインビボでの診断用画像化のために好ましい放射性同位体は11C、18F、123I及び125Iである。18Fが最も好ましい。一般に、標識された原子は、合成の段階で標識した化合物に導入される。これによって、最大の放射化学的収率が可能になり、放射性材料の取扱い時間が短縮される。半減期の同位体を取り扱う場合に考慮すべき重要なことは、合成手順を実行するのに要する時間と精製方法である。放射性標識した化合物の合成のためのプロトコルはTubis and Wolf,Eds.,“Radiopharmacy”,Wiley−Interscience,New York(1976);Wolf,Christman,Fowler,Lambrecht,“Synthesis of Radiopharmaceuticals and Labeled Compounds Using Short−Lived Isotopes”,in Radiopharmaceuticals and Labeled Compounds,Vol.1,p.345−381(1973)に記載されている。
【0050】
常磁性標識は金属イオンであってよく、金属錯体又は金属酸化物粒子の形態で存在する。適切な常磁性同位体には、157Gd、55Mn、162Dy、52Cr、及び56Feが含まれる。常磁性標識はいくつかのアプローチで結合部分と結合させることができる。1つのアプローチは、1種以上の金属キレート剤を造影剤の結合部分に直接結合させることである。或いは、造影剤の結合部分を、常磁性金属イオン若しくは重原子を含有する固体粒子に結合させるか、又は音波発生によるガスの超微粒気泡に結合させることができる。固体粒子の表面改質分野の技術の1つによって、可溶性Aβに特異的に結合する造影剤を、常磁性金属イオン又は重原子を含有する固体粒子に結合させるために多くの方法を用いることができる。一般に、造影剤を、固体粒子の表面の構成要素と反応するカップリング基に結合させる。カップリング基は、多くのシランのどれであってもよく、また、固体粒子表面上の表面ヒドロキシル基と反応するポリホスホネート、ポリカルボキシレート、ポリホスフェート又はその混合物を含むこともできる。これらは、例えば米国特許出願公開第2002/0159947号に記載されており、米国特許第5520904号に記載のようにこれらを固体粒子の表面とカップリングすることができる。
【0051】
造影剤自体が蛍光性であってもよく、またフルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、及びその誘導体等の蛍光体である光学的標識を付与されていてもよい。標識は、緑色蛍光性のタンパク質、ルシフェリン、ジオキセタン等の化学発光性であってよい。これらの蛍光体プローブは例えばMolecular Probes,Inc.,Eugene,Oregonから市販されている。可溶性Aβに結合する造影剤は、当業者に周知の技術によって、化合物の部分に連結させることができる。
【0052】
標識された造影剤は一般に、薬剤用担体を含む組成物で患者に投与することができる。薬剤用担体は、滅菌水、アルコール、油脂、ワックス、タンパク質を含む、標識したAβ結合化合物を患者に送達するのに適切な任意の適合性のある無毒性物質であってよく、担体中に不活性固体を含むことができる。薬剤として許容される補助剤(緩衝液剤、分散剤)を薬剤組成物中に混ぜ込むこともできる。
【0053】
担体は、許容される担体、好ましくは水性担体中に溶解された造影剤の溶液又はそのカクテルを含むことができる。様々な水性殺菌担体、例えば、水、緩衝液化水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、25%ヒト血清アルブミン等を使用することができる。溶液は、発熱物質が無く、殺菌されており、粒子状物質がほぼ存在しないことが好ましい。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤等、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどの生理学的条件に近似させるのに必要な、薬剤として許容される追加の物質を含むことができる。組成物溶液中の造影剤の濃度は必要に応じて変えることができる。一般に、濃度は画像化モダリティに応じて痕跡量〜5重量%にもなり、主として、選択された投与の具体的な方式によって流体の容積、粘度を基に選択される。濃度は約0.1〜約1ナノモル、より好ましくは約0.1ナノモル〜約0.5ナノモルであることが好ましい。造影剤は数mlの注入可能な溶液で存在することができ、用量をベースにして決定され、当業者によって容易に計算される。薬剤を18Fで標識する場合、約105ピコモルの18Fによって最初に10mCiの放射線量がもたらされる。この放射能の量は一般的であり、現在の医療用の画像化手順で安全であると考えられる。静脈内注射用の典型的な組成物は、250mlの滅菌したリンゲル溶液、最大で100mg、好ましくは約10mgの造影剤を含むように作製することができる。造影剤を含む組成物を薬剤組成物と一緒にすることができ、アミロイド関連症状に苦しむ、又はそのリスクのある患者に、皮下、筋肉内又は静脈内投与することができる。
【0054】
被検体中の可溶性アミロイドの存在及びその量を決定するために造影剤を被検体に投与する。投与後、望むなら、クリアランス時間をもたせることができる。その時間によって、造影剤が被検体の身体の中を移動し、利用できる任意の可溶性Aβと結合し、他方、結合していない造影剤が被検体の身体を通り抜けることが可能になる。造影剤が直接には結合しないが、Aβの存在をある程度示す場合、そこでレポーター分子が「活性化される」特異的な相互作用が起こるように十分な時間をかけることができる。クリアランス時間は、使用するために選択した標識よって変り、1分間〜24時間の範囲であってよい。次いで、画像化モダリティによって、造影剤は被検体の身体の中で非侵襲的に検出される。画像化モダリティは、用いる標識、医療関係者が利用できるモダリティ及び被検体の医療上のニーズに応じて、陽電子放射断層撮影法(「PET」)、光学的単光子放出コンピュータ断層撮影法(「SPECT」)、核磁気共鳴画像法(「MRI」)、超音波コンピュータ断層撮影法(「CT」)等を含むことができる。上記画像調節のための装置及び方法は、当業者に周知である。
【0055】
造影剤は送達可能であり、被検体の身体の中に存在する可溶性Aβの量を決定するために、疾患又は疾患前状態の目安として画像をとることができる。可溶性Aβのレベルによって疾患前状態が示され、可溶性Aβ及び/又はその前駆体の除去を目的とした治療剤によって、アルツハイマー病などのアミロイド関連疾患の発現を阻止するか又は未然に防ぐことができる。可溶性Aβの除去によって、疾患の臨床的徴候をすでに示している被検体の症状を改善することもできる。
【0056】
別の態様では、本方法は、被検体に用いた治療剤の効能を判断するために使用することができる。多くの経時的画像を用いることによって、Aβのレベルの量と位置の変化を追跡することができる。この方法は、医師が、個々の被検体が必要とする治療剤の量及び頻度を決定する助けとなることができる。この実施形態では、本開示による造影剤を投与し、ベースライン画像を得る。ベースライン画像を得る前か後に、評価する治療剤を被検体に投与する。所定の期間の後、本開示による造影剤の第2の投与を行う。第2の画像又はそれ以上の画像を得る。ベースラインと第2の画像を定性的かつ定量的に比較して、評価しようとする治療剤の有効性を、第2の画像又はそれ以上の画像の信号強度の増減をもとに決定することができる。
【0057】
以下に非限定的実施例を示し、本発明の様々な実施形態を説明する。
【0058】
実施例1
2−ブロモ−3−ブロモメチルベンゾ[b]フランの調製:3−メチルベンゾフラン(4g、30.26ミリモル)と四塩化炭素(20ml)中のN−ブロモスクシンイミド(10.8g、60ミリモル)の懸濁液に過酸化ベンゾイル(100mg)を加え、その混合物を3時間還流させた。新鮮なNBSを加え(1.1g)、混合物を1時間還流させた。追加のNBS(1g)を加え、さらに1時間還流させ、反応混合物のGC−MS分析を行って、所望の生成物に10%モノブロム化生成物及び8%トリブロム化生成物がもたらされていることが示された。スクシンイミドをろ別し、白色になるまでCClで洗浄し、溶媒をストリップさせて、褐色の粘性のオイル状物を得た。無水エタノール(12ml)を加え、溶液を−25℃に冷却し、黄色結晶の塊をフリットしたカニューレにより−25℃でろ過した。結晶物を12mlエタノールで−40℃で洗浄し、真空下で乾燥して所望の生成物を針状結晶の塊として得た(GC−MSで95%純度)、7.672g(87.4%)。
【0059】
実施例2
2−ブロモ−3−ヒドロキシメチルベンゾ[b]フラン(2)の調製:250mlフラスコに、ジオキサン(30ml)中のジブロミド(7.672g、26.45ミリモル)を加え、続いてNaHCOの水(30ml)の溶液を加えた。その混合物を、強力に撹拌しながら、加熱して1時間還流させた。次いで冷却した混合物を水(150ml)で希釈し、ジクロロメタン(5×)で抽出した。抽出物をブラインで洗浄して乾燥し、溶媒をストリップさせた。得られたオレンジ色のオイル状物を12mlクロロホルム中に溶解させて−20℃に冷却した。得られた結晶を上記と同様に−40℃でろ過し、冷クロロホルムで洗浄し、減圧下で乾燥して、所望の生成物を薄黄色の結晶として得た(GC−MS純度98%)、3.72g(62.2%)。
【0060】
実施例3
2−ブロモ−3−ホルミルベンゾ[b]フラン(3)の調製:50ml丸底フラスコに、粉末化したピリジニウムクロロクロメート(443mg、2.055ミリモル)、セライト(Celite(登録商標))(450mg)及び乾燥ジクロロメタン(20ml)を加えた。式I中のアルコール2(式中、R=CHOH、R=Br、X=O)(226mg、1ミリモル)のジクロロメタン(1ml)中の溶液を加え、混合物を暗所で室温で1時間撹拌した。TLC(ヘキサン/酢酸エチル4/1容積/容積)によって完全に転換していることが分かった(R0.7対R0.3(出発物質))。混合物をエーテルで希釈し、1インチのシリカゲルのプラグを通してフラッシュし、溶媒をストリップさせ、残留物を、ヘキサン/酢酸エチル2/1容積/容積を用いて、再度1インチのシリカゲルのプラグを通してフラッシュして所望の生成物を薄オレンジ色の結晶として得た(205mg、91%)。
【0061】
実施例4
スズキカップリング反応のための一般的手順:マイクロは使用可能なバイアルに、2−ブロモ−3−置換ベンゾフラン(0.1ミリモル)、アリールボロン酸(2当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pddba、0.03当量)、KCO(1.5当量)及び脱ガスしたジメチルホルムアミド(1ml)を加えた。バイアルをNでパージし、キャップをして、120℃で10分間照射させた(初期電力50W)。次いで水を加え(2ml)、その混合物をエーテル(5×)で抽出し、水、ブラインで洗浄してNaSOで乾燥し、粗生成物をヘキサン/酢酸エチル勾配液を用いてMPLCで精製した。すべての反応は、終了する前に転換しているかどうか分析した。別段の指定のない限り、反応中、冷却は加えなかった。また、10分間の反応時間で、一般に、出発物質のブロモフランが完全に消費される結果となった。
【0062】
実施例5
実施例3(式I、R=CHO、R=Br、X=O)のアルデヒド3への有機金属試薬の付加の概略手順:乾燥した5mlフラスコに、アルデヒド(0.2〜1ミリモル)、乾燥エーテル(1.5ml)を加え、混合物を0℃に冷却した。次いで、有機金属試薬溶液(1.25当量)を滴下し、混合物を0℃で30分間撹拌した。この時点で、GC−MSは、ほぼ完全に転換していることを示した。エーテル層を水性クエン酸で洗浄し、乾燥し、化合物をヘキサン/酢酸エチル勾配液を用いてMPLCで精製した。対応するケトンが所望の生成物であった場合、粗製第二アルコールを実施例3に概略を示した手順によって酸化した。
【0063】
実施例6
2−アリール−3−ホルミルベンゾフランの還元的アミノ化の概略手順:1mlバイアルに、アルデヒド(0.05〜0.1ミリモル)、ジクロロエタン(0.4ml)、2当量の第一又は第二アミン、1当量のAcOH及び1.5当量のNaBH(Oac)3を加えた。混合物を室温で強力に撹拌した。GC−MS分析によって、4〜10時間でほとんど反応が完了していることが分かった。溶媒を窒素ストリームでストリップさせ、酢酸エチルとシリカゲル(100〜200mg)を加え、固体サンプル技術を用いてMPLCで粗生成物を精製した。
【0064】
実施例7
2−アリール−3−アミノメチルベンゾフランの調製の概略手順:
a)乾燥したバイアルに、トリフェニルホスフィン(275mg、1.05当量)とフタルイミド(149mg、1.02当量)を加えた。バイアルにストッパーをつけ、N2でパージした。乾燥THF(2ml)、続いてTHF(1ml)中のアルコール2(式Iで、R=CHOH、R=Br、X=O)の溶液を加え、続いてすぐにジイソプロピル−アゾ−ジカルボキシレート(DIAD)を滴下した。フタルイミドが溶解するに従って混合物は温まった。バイアルを空気ストリームで冷却した。得られた黄色溶液を室温で14時間撹拌した。シリカゲルを反応混合物に加え、溶媒をストリップさせた。ヘキサン酢酸エチルの0〜40容積/容積%勾配液を用いたMPLCでの精製によって、所望の2−ブロモ−3−(フタルイミドメチル)ベンゾフランを84%の収率で得た。
【0065】
b)上記中間体を用いた2位での種々のアリール部分の導入が、実施例4に述べた一般的なスズキカップリング手法に従って順調に進行した。
【0066】
c)こうして得られた2−アリール−3−ベンゾフラニルメチルフタルイミドの脱保護を、イソプロパノール中の0.1M溶液としての対応する中間体を続いて1.05当量のN,N−ジメチル1,3−プロパンジアミン処理し、マイクロ波を110℃で10分間照射して実施した。シリカゲルを加えて、溶媒をストリップさせ、0.1%トリエチルアミンを含むヘキサン/酢酸エチルを用いてMPLCを行って所望のアミンを得た。
【0067】
実施例8
中間体34b、35b(化合物の表のアミド、尿素、ウレタン)を以下のようにして調製した:アミン(例えばNN1、c)(1mlの乾燥ジクロロメタン中に0.1ミリモル)を含む乾燥したバイアルに、イソシアネート1.05当量を加え、室温で4時間か又はGC−MS分析で完全な転換が示されるまで混合物を撹拌した。溶媒をストリップさせ、残留物を1ml酢酸エチルにとり、酢酸エチルを用いて3ml SPEカ−トリッジ(シリカゲル)を通してろ過した。生成物は>95%純度(GC−MS)であり、さらに精製することなく使用した。同様に、アミドの合成のために酸クロリドを用いた。この場合、1当量のトリエチルアミンを酸クェンチャーとして使用した。この手順をウレタンの合成にも用いた。その場合、反応を完結させるために、一般に1.25当量のクロロホメートを必要とした。塩基性アルミナのSPEカ−トリッジを通したろ過によって、さらにMPLC精製することなく使用できる十分な純度の化合物が得られた。
【0068】
実施例9
可溶性Aβ(1−42)の生成:別個の瓶の中の1mgのAβ(1−42)と375〜500μLの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(Sigma,St.Louis,MO;HFIP)をまず氷上で30分間冷却して、可溶性Aβ(1−42)(Bachem,Torrance,CA;lot#0560840及び0535120)を調製した。冷却したAβ(1−42)に冷HFIPを加えて溶解し、混濁したAβ−HFIP混合物を室温で1時間インキュベートした。次いで、得られた清澄なAβ−HFIP溶液を真空下で乾燥して透明なフィルムにした。そのフィルムを22μLのジメチルスルホキシド(Sigma、DMSO)にとり、次いでリン酸緩衝食塩水(pH7.4、PBS)で希釈して1.107ml(200μmM)の容積にした。
【0069】
不溶性Aβ(1−40)原線維の生成:Aβ(1−40)原線維をHFIP中に溶解し、次いで乾燥し、可溶性Aβ(1−42)生成のために上述したようにして、透明なフィルムにした。乾燥したAβ(1−40)の透明フィルムを、ろ過した蒸留脱イオン水で6mg/mLに希釈し、必要なら超音波バス中、室温で、透明な溶液が得られるまでインキュベートした。得られた溶液をPBS(pH7.4)でさらに希釈して、200μMのAβの最終濃度を得た。これを軌道型振とう器で37℃、100〜200rpmで、3〜4日間インキュベートした。濁った溶液が得られた。コンゴレッドを用いて原線維濃度を算出した。その生成が確認された後、直ちに原線維を使用した。
【0070】
蛍光滴定アッセイ:メタノール中の2〜4mMのプローブの新鮮な溶液を、PBS(pH7.4)で適切に希釈して、300〜400μLのPBS(pH7.4、2%メタノール)中に0.1nM〜100μMの最終濃度範囲のプローブを有し、10μMAβ(1−40)原線維又は6.6μM可溶性Aβ(1−42)を有するアッセイ溶液を得た。複製のシリーズのアッセイ溶液を、可溶性Aβ又は原線維の容積をPBSで置き換えて、一定分量に分けた。プローブと可溶性/線維性Aβを有する溶液のセットと、Aβを有していない複製セットを調製し、蛍光スペクトルで3回測定した。Aβの存在に特異的であるプローブの蛍光放出スペクトルのスペクトル変化によって、プローブとAβ種との間の独特の結合相互作用が示された。この独特のスペクトル変化によってプローブの結合親和性の測定が可能になった。結合親和性測定のための蛍光放出スペクトルは、少なくとも分光蛍光光度計及びスペクトルグラフを含む当業者に周知の蛍光分析機器によって測定される。平衡解離定数は、結合の1サイト飽和モデルを用いて計算した。平衡解離定数の同様の測定には、少なくとも吸収率、放射能、反射光、偏光、質量スペクトル等を含む現象を測定するための当業者に周知の機器を使用することができる。
【0071】
実施例10
ベンゾフランの同族体を選択すると、蛍光結合アッセイで測定して、可溶性Aβ(1−42)へのナノモル結合親和性を示すが、Aβ(1−40)原線維への結合はほとんど示さなかった。可溶性又は線維性Aβの存在に対して独特であるプローブの蛍光のスペクトルの変化を、プローブの結合親和性を計算するために用いる。例えば、22nMKの値(表3)は、PBS中に2%メタノールの37bの蛍光強度(及び量子収量)の5倍に近い蛍光強度(及び量子収量)の特徴的な増加で、37b(表2)の可溶性Aβに対する選択的結合を示している。10μMのAβ(1−40)原線維中の37bは、原線維の存在において蛍光強度の有意の増大が見られないことから分かるように、原線維への最少の特異的結合を有していた。39b(表2)は可溶性Aβ42ではなく、Aβ(1−40)原線維に特異的に結合するベンゾフラン誘導体の例である。これに対し、38bはAβ不溶性形態とも不溶性線維性形態とも結合しない(表3)。
【0072】
【表13】

典型的な実施形態で示し説明してきたが、本発明の範囲を逸脱しないどのような形においても様々な修正及び置き換えを行うことができるので、上述した詳細に限定するものではない。したがって、定常的に過ぎない実験を用いてでも、当業者は、本明細書で開示した本発明の変更形態及び等価物を思いつくことができる。そうしたすべての変更形態及び等価物は上記特許請求の範囲で定義の本発明の趣旨及び範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式を有する化合物
【化1】

式中、Xは酸素、窒素及びイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、Rはハロゲン及び炭化水素基からなる群から選択され、前記炭化水素基はC〜C32置換若しくは非置換直鎖又は枝分れ鎖アルキル、五員環、六員環及びその縮合系を含む脂環式のアリール及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【請求項2】
が構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが酸素であり、Rがアルキルヒドロキシであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Xが酸素であり、Rがアミドであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Xが酸素であり、Rが尿素であり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Xが酸素であり、Rがウレタンであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
構造1b〜65bからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される標識をさらに含む、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
前記標識がH、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される放射性同位体である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
前記標識が157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される常磁性粒子である、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
前記標識が蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的粒子である、請求項8記載の化合物。
【請求項12】
次式を有する化合物
【化2】

式中、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、Rは構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である。
【請求項13】
放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される標識をさらに含む、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
前記標識がH、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される放射性同位体である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
前記標識が157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される常磁性粒子である、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
前記標識が蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的粒子である、請求項13記載の化合物。
【請求項17】
次式を有する化合物を含む造影剤であって、該化合物が放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される標識を含む造影剤。
【化3】

式中、Xは酸素、窒素及びイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、Rはハロゲン及び炭化水素基からなる群から選択され、前記炭化水素基はC〜C32置換若しくは非置換枝分れ鎖又は直鎖アルキル、五員環、六員環及びその縮合系を含む脂環式のアリール及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【請求項18】
が構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項17記載の造影剤。
【請求項19】
Xが酸素であり、Rがアルキルヒドロキシであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項17記載の造影剤。
【請求項20】
Xが酸素であり、Rがアミドであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項17記載の造影剤。
【請求項21】
Xが酸素であり、Rが尿素であり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項17記載の造影剤。
【請求項22】
Xが酸素であり、Rがウレタンであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である、請求項17記載の造影剤。
【請求項23】
構造1b〜65bからなる群から選択される、請求項17記載の造影剤。
【請求項24】
前記標識がH、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される放射性同位体である、請求項17記載の造影剤。
【請求項25】
前記標識が157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される常磁性粒子である、請求項17記載の造影剤。
【請求項26】
前記標識が蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的粒子である、請求項17記載の造影剤。
【請求項27】
Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つを検出する方法であって、
Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つを含む疑いがあるサンプルを提供する段階と、
次式を有する化合物であって、放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される前記サンプルへの標識を含む化合物を含む造影剤を施用する段階と、
【化4】

(式中、Xは酸素、窒素及びイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、Rはハロゲン及び炭化水素基からなる群から選択され、前記炭化水素基はC〜C32置換若しくは非置換枝分れ鎖又は直鎖アルキル、五員環、六員環及びその縮合系を含む脂環式のアリール及びヘテロアリールからなる群から選択される。)、
Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つに結合した前記造影剤の量を検出する段階と
を含む方法。
【請求項28】
前記造影剤を施用する段階が、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記造影剤を施用する段階が、Xが酸素であり、Rがアルキルヒドロキシであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記造影剤を施用する段階が、Xが酸素であり、Rがアミドであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記造影剤を施用する段階が、Xが酸素であり、Rが尿素であり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記造影剤を施用する段階が、Xが酸素であり、Rがウレタンであり、Rが構造1a〜53aからなる群から選択される炭化水素基である化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記造影剤を施用する段階が、構造1b〜65bからなる群から選択される化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項34】
前記造影剤を施用する段階が、H、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される放射性同位体である標識を有する化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記造影剤を施用する段階が、157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される常磁性粒子である標識を有する化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項36】
前記造影剤を施用する段階が、蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的粒子である標識を有する化合物を含む、請求項27記載の方法。
【請求項37】
前記Aβ種が最大で24個のAβペプチドのモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー及びその組合せからなる群から選択される可溶性Aβである、請求項27記載の方法。
【請求項38】
前記Aβ種が、Aβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43のモノマー、ダイマー、トリマー及びオリゴマー及びその組合せからなる群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項39】
アミロイド関連疾患を有するか有すると疑われる被検体に、次式を有する化合物であって、放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される標識を含む化合物を含む造影剤を投与する段階と、
【化5】

(式中、Xは酸素、窒素及びイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、Rはハロゲン及び炭化水素基からなる群から選択され、前記炭化水素基はC〜C32置換若しくは非置換枝分れ鎖又は直鎖アルキル、五員環、六員環及びその縮合系を含む脂環式のアリール及びヘテロアリールからなる群から選択される。)、
非侵襲的画像化法を用いて、Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つに結合している前記造影剤を検出する段階と
を含むアミロイド関連疾患を評価する方法。
【請求項40】
前記可溶性Aβ種が最大で24個のAβペプチドのモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー及びその組合せからなる群から選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記Aβ種がAβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43及びその組合せの群から選択される、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記造影剤が放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される標識を含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記造影剤がH、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される標識を含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記造影剤が157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される標識を含む、請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記造影剤が蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的標識を含む、請求項39記載の方法。
【請求項46】
前記アミロイド関連疾患がアルツハイマー病である、請求項39記載の方法。
【請求項47】
前記検出する段階が、被検体内の前記造影剤のレベルを非侵襲的に測定する段階を含む、請求項39記載の方法。
【請求項48】
前記検出する段階が、被検体の脳を画像化する段階を含む、請求項39記載の方法。
【請求項49】
被検体に、次式の化合物を含み、かつ検出のために標識された造影剤を含む組成物の第1の用量を投与する段階と、
【化6】

(式中、
Xは酸素、窒素及びイオウの少なくとも1つを含む基から選択され、Rは置換又は非置換アルキルヒドロキシ、アミド、尿素及びウレタンからなる群から選択され、Rはハロゲン及び炭化水素基からなる群から選択され、前記炭化水素基はC〜C32置換若しくは非置換枝分れ鎖又は直鎖アルキル、五員環、六員環及びその縮合系を含む脂環式のアリール及びヘテロアリールからなる群から選択される。)
被検体内での造影剤のベースライン測定値を非侵襲的に得る段階と、
被検体に評価する治療剤を投与する段階と、
被検体に前記組成物の第2の用量を投与する段階と、
被検体内での造影剤の第2の測定値を非侵襲的に得る段階と、
別個の時間での2以上の測定値を比較する段階と
を含む治療剤の有効性を評価する方法であって、存在する造影剤の量の増減が治療剤の効能を示す方法。
【請求項50】
前記組成物の第1の用量の投与の前に、前記評価する治療剤を投与する、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記組成物の第1の用量が0.1ナノモル〜約100mgの範囲の量の前記造影剤を含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記造影剤を、放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択されるもので標識する、請求項49記載の方法。
【請求項53】
前記造影剤を、H、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される放射性同位体で標識する、請求項49記載の方法。
【請求項54】
前記造影剤を、157Gd、55Mn、162Dy、52Cr及び56Feからなる群から選択される常磁性粒子で標識する、請求項49記載の方法。
【請求項55】
前記造影剤が蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的標識を含む、請求項49記載の方法。
【請求項56】
前記非侵襲的に測定値を得る段階が、陽電子放射断層撮影法、核磁気共鳴画像法、光学的画像法、単光子放出コンピュータ断層撮影法、超音波コンピュータ断層撮影法及びx線コンピュータ断層撮影法からなる群から選択される技術を用いて画像を作成し分析する段階を含む、請求項49記載の方法。
【請求項57】
前記非侵襲的に測定値を得る段階が、Aβ種及びアミロイド形成性ペプチドの少なくとも1つによって活性化される造影剤の量を測定する段階をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項58】
被検体に、可溶性Aβと結合し、かつ検出のために標識されている造影剤を投与する段階と、
可溶性Aβと結合した前記造影剤の複合体として存在する前記造影剤を非侵襲的に検出する段階と
を含む方法。
【請求項59】
前記可溶性Aβが、最大で24個のAβペプチドのモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー及びその組合せからなる群から選択される、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記造影剤が結合する前記可溶性Aβが、Aβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43のモノマー、ダイマー、トリマー及びオリゴマー及びその組合せからなる群から選択される、請求項58記載の方法。
【請求項61】
前記可溶性Aβが、コンゴレッドで染色した場合に、緑色の複屈折を示さないAβからなる群から選択される、請求項58記載の方法。
【請求項62】
可溶性Aβと結合する前記造影剤が、小分子、抗体断片、核酸、ペプチド、抗体、デンドリマー、タンパク質及びポリマーからなる群から選択される、請求項58記載の方法。
【請求項63】
前記造影剤を、放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択されるもので標識する、請求項58記載の方法。
【請求項64】
前記造影剤を、3H、11C、14C、18F、32P、35S、123I、125I、131I、51Cr、36Cl、57Co、59Fe、75Se及び152Euからなる群から選択される放射性同位体で標識する、請求項58記載の方法。
【請求項65】
前記造影剤を、157Gd、55Mn、162Dy、52Cr、及び56Feからなる群から選択される常磁性粒子で標識する、請求項58記載の方法。
【請求項66】
前記造影剤が、蛍光体及び化学発光体からなる群から選択される光学的標識を含む、請求項58記載の方法。
【請求項67】
前記非侵襲的に検出する段階が、陽電子放射断層撮影法、核磁気共鳴画像法画像法、光学的画像法、単光子放出コンピュータ断層撮影法、超音波コンピュータ断層撮影法及びx線コンピュータ断層撮影法からなる群から選択される技術を用いた画像を作成し分析する段階を含む、請求項58記載の方法。
【請求項68】
前記非侵襲的に検出するが、可溶性Aβと結合した前記造影剤の複合体として存在する造影剤の量を測定する段階をさらに含む、請求項58記載の方法。
【請求項69】
アミロイド関連疾患を有するか又は有すると疑われる被検体に、可溶性βーアミロイドに特異的に結合し、検出できる信号を放出するように標識されている造影剤を投与する段階と、非侵襲的画像法を用いてAβと結合した前記造影剤を検出する段階とを含むアミロイド関連疾患を評価する方法。
【請求項70】
前記可溶性Aβが、最大で24個のAβペプチドのモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー及びその組合せからなる群から選択される、請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記可溶性Aβが、Aβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43及びその組合せの群から選択される、請求項69記載の方法。
【請求項72】
可溶性Aβに結合する前記造影剤が、小分子、ペプチド、抗体、デンドリマー、タンパク質、ポリマー、及び抗体断片からなる群から選択される、請求項69記載の方法。
【請求項73】
前記造影剤が、放射性同位体、常磁性粒子及び光学的粒子からなる群から選択される標識を含む、請求項69記載の方法。
【請求項74】
前記アミロイド関連疾患がアルツハイマー病である、請求項69記載の方法。
【請求項75】
前記検出する段階が、被検体内の前記造影剤のレベルを非侵襲的に測定する段階を含む、請求項69記載の方法
【請求項76】
前記検出する段階が、被検体の脳を画像化する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項77】
被検体に、可溶性Aβと結合し、かつ検出するために標識されている造影剤と薬剤用担体を含む組成物の第1の用量を投与する段階と、
被検体内での造影剤のベースライン測定値を非侵襲的に得る段階と、
被検体に評価する治療剤を投与する段階と、
被検体に前記組成物の第2の用量を投与する段階と、
被検体内での造影剤の第2の測定値を非侵襲的に得る段階と、
別個の時間での2以上の測定値を比較する段階と
を含む治療剤の有効性を評価する方法であって、
存在する造影剤の量の増減が治療剤の効能を示す方法。
【請求項78】
可溶性Aβと結合し、かつ検出するために標識されている造影剤と、薬剤として許容される担体とを含む画像化用組成物。
【請求項79】
被検体に、可溶性Aβについて示し、画像化法によって検出可能な分子又は元素を担持する造影剤を投与する段階と、可溶性Aβが存在する場合に活性化される前記造影剤を非侵襲的に検出する段階とを含む方法。
【請求項80】
前記可溶性Aβが、最大で24個のAβペプチドのモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー及びその組合せからなる群から選択される、請求項79記載の方法。
【請求項81】
前記造影剤を活性化する前記可溶性Aβが、Aβ1−38、Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、Aβ1−43のモノマー、ダイマー、トリマー及びオリゴマー並びにその組合せからなる群から選択される、請求項79記載の方法。
【請求項82】
前記可溶性Aβが、コンゴレッドで染色した場合に緑色の複屈折を示さないAβからなる群から選択される、請求項79記載の方法。
【請求項83】
前記造影剤が、小分子、抗体断片、核酸、ペプチド、抗体、デンドリマー、タンパク質及びポリマーからなる群から選択される、請求項79記載の方法。
【請求項84】
前記非侵襲的に検出する段階が、可溶性Aβで活性化される造影剤の量を測定する段階をさらに含む、請求項79記載の方法。

【公表番号】特表2006−528684(P2006−528684A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532458(P2006−532458)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/012559
【国際公開番号】WO2004/100998
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】