説明

可視光応答型光触媒と、それを用いた水素生成デバイス及びエネルギーシステム

【課題】640nmよりも長波長域の光の利用を可能とする可視光応答型光触媒を提供することを目的とする。さらに、この光触媒を利用した水素生成デバイス及びエネルギーシステムを提供することも目的とする。
【解決手段】本発明の可視光応答型光触媒は、一般式:BaBi1-xInx3(一般式中、xは、0<x<0.3を満たす)で表される組成を有する。本発明の水素生成デバイスは、本発明の可視光応答型光触媒(例えば当該光触媒を備えた光電極70)と、前記光触媒と接触する、水を含む電解液74と、前記光触媒と前記電解液とを収容する筐体73と、を備え、前記光触媒への光の照射により水が分解されて水素が生成される。本発明のエネルギーシステムは、本発明の水素生成デバイスと、燃料電池と、水素生成デバイスで生成された水素を燃料電池へ供給するラインと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光応答型光触媒と、それを用いた水素生成デバイス及びエネルギーシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガス排出削減、エネルギーのクリーン化の観点から、水素エネルギーシステムが注目されている。水素をエネルギー媒体に使うことにより、燃料電池で電気や熱、直接燃焼で熱や動力として使用できる。この時、最終生成物は無害で安全な水となり、クリーンなエネルギー循環サイクルが創出できる。エネルギー媒体としての水素は、天然にも存在するが、ほとんどは、石油や天然ガスから触媒によるクラッキングにより製造される。また、水を電気分解することによって水素と酸素とを製造することも可能であるが、電気分解するための電気エネルギーが必要であり、根本的な解決策とはいえない。なお、太陽電池によって光エネルギーを電気に変え、その電力で電気分解するシステムも可能である。しかし、太陽電池の製造コスト、エネルギー消費量及び蓄電技術を考慮すると、このようなシステムを利用する水素の製造方法は、必ずしも有効な方法とはいえない。
【0003】
これに対し、光触媒を用いた水素生成は、水と太陽光とから直接水素を製造するシステムであり、太陽光エネルギーを有効に水素エネルギーに変換できる。ただし、代表的な光触媒のアナタース型のTiO2を用いても、太陽光変換効率は0.5%程度であり、まだまだ効率を向上させる必要がある。
【0004】
光触媒の課題の一つとして、材料の可視光励起化が挙げられる。可視光励起が可能な光触媒材料として代表的なものに、TaON、Ta35、BaBi24及びBaBiO3等がある(例えば特許文献1、2、3及び非特許文献1)。
【0005】
TiO2は波長が400nm以下の光しか吸収できない。これに対し、TaON、Ta35は、それぞれ、波長が500nm、620nmまでの光を吸収することができる。また、BaBi24、BaBiO3は、それぞれ、波長が640nm、600nmまでの光を吸収することができる。このうち、TaON及びTa35は水の完全分解が可能な可視光応答型光触媒として、BaBi24及びBaBiO3は可視光に応答する有機物除去光触媒として、それぞれ注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−66333号公報
【特許文献2】特開2002−233769号公報
【特許文献3】特開2004−358332号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Yeら著 JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY C、 2007年、 111巻、 34号、 12779ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の材料では、例えば最も長波長の光を吸収することができるBaBi24においても、640nmよりも長波長域の赤色光を吸収することができず、全太陽光のせいぜい44%を利用しているに過ぎなかった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、640nmよりも長波長域の光の利用を可能とする可視光応答型光触媒を提供することを目的とする。さらに、本発明は、この光触媒を利用した水素生成デバイス及びエネルギーシステムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
一般式:BaBi1-xInx3
(前記一般式中、xは、0<x<0.3を満たす)
で表される組成を有する、可視光応答型光触媒を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記本発明の可視光応答型光触媒と、前記可視光応答型光触媒と接触する、水を含む電解液と、前記可視光応答型光触媒と前記電解液とを収容する筐体と、を備え、前記可視光応答型光触媒への光の照射により、前記水が分解されて水素が生成される、水素生成デバイスも提供する。
【0012】
また、本発明は、上記本発明の水素生成デバイスと、燃料電池と、前記水素生成デバイスで生成された水素を前記燃料電池へ供給するラインと、を備えた、エネルギーシステムも提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の可視光応答型光触媒によれば、640nmよりも長波長域の光も、水分解や有機物分解に利用することができるので、太陽光の利用効率を向上させることができる。また、このような光触媒を用いる本発明の水素生成デバイス及びエネルギーシステムによれば、従来よりも長波長域の光も利用できるので、太陽光の利用効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】BaBi1-xInx3(x=0.1及び0.25)のX線回折パターンを示す図である。
【図2】実施例1で用いた水素生成実験装置の概略図である。
【図3】実施例1における水素生成実験の結果を示すグラフである。
【図4】実施例1及び比較例1,2の試料の紫外光−可視光分光光度分析の結果を示すグラフである。
【図5】本発明の水素生成デバイスの一実施形態を示す概略図である。
【図6】本発明のエネルギーシステムの一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の可視光応答型光触媒は、BaBiO3を母体とし、3価のビスマス原子の一部を3価の元素であるインジウムで置換した材料であり、
一般式:BaBi1-xInx3
(前記一般式中、xは、0<x<0.3を満たす)
で表される組成を有する。
【0017】
本発明者らは、第一原理計算によるバンドギャップシミュレーションを行い、母体であるBaBiO3における3価のビスマスの一部を3価のインジウムに置換していくことで、バンドギャップが小さくなっていき、可視光応答化していくという予測を得た。このような現象は、ビスマス原子とインジウム原子の大きさの違いに起因する結晶構造の歪みによるものと考えられる。これらの知見等に基づき、本発明者らは、上記一般式の組成を有する本発明の可視光応答型光触媒に到達した。
【0018】
なお、母体であるBaBiO3は、大気中及び水中で、化学的にも機械的にも安定なペロブスカイト型酸化物であり、前述の通りビスマスの一部をインジウムで置換していくと、ペロブスカイト構造を維持したまま電気伝導性が向上していくことが、既に報告されている(W.T.Fuら、Materials Reseach Bulletin、2000年、35巻、1205ページ)。
【0019】
次に、本発明の光触媒の作製方法の一例を説明する。本発明の光触媒である、一般式がBaBi1-xInx3で表される組成を有する材料は、一般的な高温固相反応により合成できる。例えば、酢酸バリウム、酸化ビスマス及び酸化インジウムの粉末原料を、それぞれ所定の量で混合し、ボールミルにて、ジルコニアボール(直径2mm)と共にエタノール溶媒を用いて粉砕混合を行う。充分に混合した後、溶媒を除去し、更にバーナーで脱脂して、メノウ乳鉢中で粉砕混合を繰り返す。その後、円柱状にプレス成形して、例えば600℃で、10時間〜12時間焼成を行う。焼成したものを粗粉砕、その後シクロヘキサン溶媒中で遊星ボールミル粉砕を行なう。得られた粉末を再度円柱状にプレス成形し、直ちに650℃〜700℃、10時間程度焼成して、焼結体を合成する。このようにして得られる焼結体を、本発明の光触媒として用いることができる。なお、ここで説明した方法はあくまで一例であり、用いる溶媒、焼成温度及び焼成時間等はこれらに限定されない。
【0020】
後に示す本発明の光触媒の実施例では、組成、紫外光−可視光吸収分光特性、光触媒特性等の諸物性を調べるため、上記のような方法で作製した焼結体をメノウ乳鉢で粉状とし、各々分析調査を行なった。物性の分析方法については、後述する。
【0021】
バンドギャップシミュレーションによって求められるバンドギャップエネルギーから、本発明の光触媒の材料は、その最大吸収波長が640nmよりも長波長であることが確認できる。さらに、後述の実施例でも確認されるように、本発明の光触媒は、640nmよりも長波長域の光を吸収して光触媒活性を示すことが可能であり、640nmよりも長波長域の光を利用して水分解及び有機物分解が可能である。
【0022】
長波長域の光を利用したより高い光触媒活性を得るために、本発明の光触媒では、前記一般式中のxを0.25以下とすることが好ましい。また、同様の理由から、前記一般式中のxを0.1以上とすることが好ましい。より好ましくは、前記一般式において、xが0.1≦x≦0.25を満たすことである。
【0023】
本発明の光触媒は、触媒活性をより促進させるために、その表面が金属で修飾されていてもよく、例えばその表面が白金で修飾されていてもよい。白金以外に、例えば酸化ニッケル、ルテニウム、ロジウム等で光触媒の表面が修飾されていてもよい。
【0024】
[実施例]
以下に、実施例を挙げて本発明の可視光応答型光触媒を説明するが、本発明の可視光応答型光触媒はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
実施例1では、BaBi0.9In0.13及びBaBi0.75In0.253の組成を有する材料、すなわち、前記一般式:BaBi1-xInx3においてx=0.1及び0.25を満たす材料を、前述の高温固相反応により合成した。酢酸バリウム、酸化ビスマス及び酸化インジウムの粉末原料を、Ba:Bi:Inの組成比が1:0.9:0.1、及び、1:0.75:0.25になるようにそれぞれ混合し、ボールミルにて、ジルコニアボール(直径2mm)と共にエタノール溶媒を用いて粉砕混合を行った。充分に混合した後、溶媒を除去し、更にバーナーで脱脂して、メノウ乳鉢中で粉砕混合を繰り返した。その後、円柱状にプレス成形して、600℃で12時間焼成を行った。焼成したものを粗粉砕し、その後シクロヘキサン溶媒中で遊星ボールミル粉砕を行なった。得られた粉末を再度円柱状にプレス成形し、直ちに700℃で10時間程度焼成して、焼結体を合成した。
【0026】
図1に、本実施例において得られた焼結体のX線回折パターンを示す。得られた焼結体の回折ピークは、全てBaBi0.9In0.13及びBaBi0.75In0.253に帰属されていた。したがって、BaBi0.9In0.13及びBaBi0.75In0.253の生成が確認された。
【0027】
得られた焼結体(BaBi0.9In0.13及びBaBi0.75In0.253)を試料として、水分解により発生する水素生成量を測定することにより、光触媒活性を明らかにした。
【0028】
実験は、水中に粉末状の試料を分散させ、光照射したときの水素の発生量をガスクロマトグラフィーで評価することによって行った。なお、水分解による水素及び酸素の発生反応は、試料の材料表面で同時に進行すると考えられるので、材料表面の水素と酸素との再結合、及び、液中、気体捕集上での再結合を考慮して、酸化反応及び還元反応のどちらか一方を抑制する犠牲試薬を用い、水素及び酸素の生成量を別々に測量した。水素発生を観る本実施例での犠牲試薬としては、正孔補足剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を選択し、0.01M(mol/L)のEDTA水溶液(200mL)を用いた。
【0029】
水素生成実験用の粉末状試料には、メノウ乳鉢で粉砕した前記焼結体試料を0.3g秤量したものを用いた。また、水素生成実験用の試料には、より触媒活性を促進させるために、白金助触媒を1wt%の重量比で含浸固着させた。
【0030】
実験は、図2に示す実験装置を用いて行った。
【0031】
図2に示すように、粉末状にした前記焼結体試料を分散させた分散液21を石英セル20内に保持し、石英セル20の横側から分散液21に光源22(420nm以下の波長をカットした420nm〜800nmの連続スペクトルを有するキセノンランプ)を用いて光29を照射し、所定時間おきに、生成する水素量を、石英セル20とガスライン23を通じて連結されたガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製GC−14b)24を用いてTCD(Thermal Conductivity Detector)検出器により定量した。カラムにはモレキュラーシーブを用いた。また、温度を一定に保つために、石英セル20自体を冷却装置25が設けられた恒温槽26に浸漬させた状態で、実験を行った。さらに、分散液21において試料が沈降しないよう、攪拌子27及びスターラー28を用いて分散液21を攪拌しながら実験を行った。
【0032】
結果を図3に示す。光反応による水分解反応であることを確認するために、実験開始から100時間は光を照射せず、100時間後に光源22のスイッチを入れて光照射を開始した。その結果、BaBi0.9In0.13及びBaBi0.75In0.253ともに、波長420nm〜800nmの光に応答して光触媒反応を起こし、水を分解して水素を生成することが確認された。
【0033】
光触媒特性を調べる方法には、有機物の分解、接触角の測定等、いくつかあるが、実施例1では、直接的に試料に波長420nm〜800nmの連続スペクトルを持つキセノンランプ光を照射し、最も酸化還元が困難な、水を直接分解する反応で調査した。水の分解が可能であるということは、同様に、有機物の分解も可能な材料であるといえる。したがって、この結果から、実施例1の光触媒は、従来の光触媒では困難であった長波長域の光を利用して、水分解や有機物分解に利用することができることが確認された。
【0034】
(比較例1)
比較例1では、BaBiO3の組成を有する材料を合成した。酢酸バリウム及び酸化ビスマスの粉末原料をBa:Biの組成比が1:1となるように混合し、実施例1と同様にして、比較例1の材料を合成した。
【0035】
(比較例2)
比較例2では、BaBi0.7In0.33の組成を有する材料を合成した。すなわち、前記一般式:BaBi1-xInx3においてx=0.3である材料を、比較例2とした。酢酸バリウム、酸化ビスマス及び酸化インジウムの粉末原料をBa:Bi:Inの組成比が1:0.7:0.3となるように混合し、実施例1と同様にして、比較例2の材料を合成した。
【0036】
さらに、以上のように作製した実施例1の試料(BaBi0.9In0.13、BaBi0.75In0.253)と、比較例1及び2の試料(BaBiO3、BaBi0.7In0.33)について、光触媒材料の最も一般的な評価方法の一つである、紫外光−可視光分光光度分析を行った。吸光度分析は、日本分光株式会社製のU−650 Spectrophotometerを用い、Kubelka−Munk変換して、分析した。
【0037】
紫外光−可視光分光光度分析の結果を図4に示す。さらに、これらの結果をまとめたものを表1に示す。表1に示したバンドギャップは、以下の(式1)を用いて算出した。
【0038】
(式1)
バンドギャップ(eV)=1240/吸収端波長(nm)
【0039】
【表1】

【0040】
比較例1のBaBiO3と比較して、本発明の光触媒であるBaBi0.9In0.13及びBaBi0.75In0.253は、長波長域の光まで吸収できることがわかった。比較例2のBaBi0.7In0.33は、伝導性が大きすぎるため、半導体の光学特性を有しておらず、吸収端を計測することができなかった。
【0041】
(実施の形態2)
本発明の水素生成デバイスの実施の形態について説明する。本実施の形態の水素生成デバイスは、本発明の可視光応答型光触媒を用い、当該光触媒に光を照射することによって水を分解して水素を生成するものである。
【0042】
本実施の形態の水素生成デバイスは、実施の形態1で説明したような本発明の可視光応答型光触媒を用いている。本実施の形態の水素生成デバイスの概略図を、図5に示す。なお、本発明の水素生成デバイスは、図5に示す構造に限定されない。
【0043】
導電基板上に本発明の光触媒を設けた光電極70と、導電性材料からなる対極(金属及び炭素等の導体物質からなる対極、もしくは、導電基材に金属を担持した構造を有する対極)71と、水を含む電解液74と、これらを収容する筐体73と、を備えている。光電極70と対極71とは、外部回路72によって互いに連結されている。光電極70に設けられる光触媒は、必ずしも単一相の半導体である必要はなく、複数種類の半導体からなる複合体であってもよいし、助触媒として機能する金属等が担持されていてもよい。また、光電極70と対極71との間に、バイアスを印加できるような機構が設けてあってもよい。
【0044】
光電極70と対極71とは、電解液74と共に筐体73内に収められている。電解液74は水を含んでいればよく、支持電解質、酸化還元材料及び/又は犠牲試薬等をさらに含んでいてもよい。
【0045】
筐体73の光電極70側の面の一部は、光電極70に照射する光を透過させる材料によって構成されており、例えば850nm以下の波長を有する光の少なくとも一部を透過させる材料で構成されている。筐体73には、光電極70側で発生した気体を排出するための光電極側排気口76と、対極71側で発生した気体を排出するための対極側排気口77とが設けられている。
【0046】
光電極70と対極71との間は、光電極70側で発生する気体と、対極71側で発生する気体とを分離するために、セパレーター75により分離されていることが望ましい。セパレーター75は、液体とそれに含まれるイオンは透過させるが、気体は遮断するような材質からなっていることが好ましい。
【0047】
光電極70で生成した気体は光電極側排気口76から、対極71で生成した気体は対極側排気口77から、それぞれ筐体73の外部へ排出される。
【0048】
筐体73には、分解により減少した水を導入する機構をさらに設けてもよい。
【0049】
また、筐体73に、電解液74の導入口と排水口を光電極側と対極側にそれぞれ設け、電解液74を流通させる構造にしてもよい。この場合、必ずしも光電極側排気口76及び対極側排気口77を設ける必要はなく、生成した気体を、流通している水と混在した状態で、筐体73の外に設けた気液分離装置まで運搬し、そこで水素もしくは酸素を得る構造としてもよい。
【0050】
(実施の形態3)
本発明のエネルギーシステムの実施の形態について説明する。本実施の形態のエネルギーシステムは、本発明の可視光応答型光触媒を備えた本発明の水素生成デバイスを利用したシステムであり、光触媒への光照射により水を分解し、生成した水素を燃料電池に供給して電気エネルギーに変換するものである。
【0051】
本実施の形態のエネルギーシステムは、実施の形態2で説明したような水素生成デバイスを備えている。図6は、太陽光を利用した本実施の形態のエネルギーシステムの概略図を示す。なお、本発明のエネルギーシステムは、図6に示す構造に限定されない。
【0052】
本実施の形態のエネルギーシステムは、実施の形態2で説明したような本発明の水素生成デバイス80と、燃料電池82と、水素生成デバイス80で生成された水素を燃料電池82へ供給するライン81と、を備えている。
【0053】
水素生成デバイス80は、例えば屋根の上のような太陽光が良く照射される場所83に設置される。このとき、水素生成デバイス80が効率良く太陽光を受光できるように、水素生成デバイス80の光触媒が設けられている面を太陽に対向させることが望ましい。水素生成デバイス80内部において、光触媒反応により水が分解されて得られた水素は、ライン81を導通して水素生成デバイス80の外部に排出され、燃料電池82に供給される。
【0054】
ライン81上には、水素を貯蔵するための水素貯蔵設備、また水素中の水分を除去するための除湿装置、貯蔵の際に水素を圧縮する必要がある際には、コンプレッサー設備等が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかる可視光応答型光触媒は、例えば太陽光から水素を生成するデバイス、空質浄化装置等の脱臭デバイス、抗菌膜、防汚膜、超親水性膜、防曇膜、水質浄化デバイス及びCO2と水からのメタノール合成等の、光触媒関連技術に有用である。
【符号の説明】
【0056】
20 石英セル
21 分散液
22 光源
23 ガスライン
24 ガスクロマトグラフィー
25 冷却装置
26 恒温槽
27 攪拌子
28 スターラー
29 光
70 光電極
71 対極
72 外部回路
73 筐体
74 電解液
75 セパレーター
76 光電極側排気口
77 対極側排気口
80 水素生成デバイス
81 ライン
82 燃料電池
83 設置場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:BaBi1-xInx3
(前記一般式中、xは、0<x<0.3を満たす)
で表される組成を有する、可視光応答型光触媒。
【請求項2】
前記一般式中、xが0.25以下である、請求項1に記載の可視光応答型光触媒。
【請求項3】
前記一般式中、xが0.1以上である、請求項1又は2に記載の可視光応答型光触媒。
【請求項4】
表面が金属で修飾されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の可視光応答型光触媒。
【請求項5】
表面が白金で修飾されている、請求項4に記載の可視光応答型光触媒。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の可視光応答型光触媒と、
前記可視光応答型光触媒と接触する、水を含む電解液と、
前記可視光応答型光触媒と前記電解液とを収容する筐体と、
を備え、
前記可視光応答型光触媒への光の照射により、前記水が分解されて水素が生成される、水素生成デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の水素生成デバイスと、
燃料電池と、
前記水素生成デバイスで生成された水素を前記燃料電池へ供給するラインと、
を備えた、エネルギーシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−35172(P2012−35172A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176164(P2010−176164)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】