説明

可逆性感熱記録媒体、並びに可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法

【課題】発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法の提供。
【解決手段】支持体上に少なくとも感熱記録層を有し、該感熱記録層が少なくとも電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有してなり、前記電子受容性化合物が下記構造式(1)で表される化合物であり、前記電子供与性呈色化合物が、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−3−エチルオキシプロピル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン、2−(3−トルイジルノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−ペンチル)アミノフルオランから選択される少なくとも1種である可逆性感熱記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用して、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子供与性呈色性化合物(以下、「発色剤」又は「ロイコ染料」と称することもある)と、電子受容性化合物(以下、「顕色剤」と称することもある)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機等の出力用紙として用いられている。最近では、プリペイドカードやポイントカード等の磁気感熱カードとしても広く使用されているが、環境問題、リサイクルの視点から、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれている。
【0003】
このような可逆性感熱記録媒体としては、例えば、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物又はフェノール化合物を用い、これらと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物が提案されている(特許文献1参照)。更にその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定構造の使用が提案されている(特許文献2、及び特許文献3参照)。前記特許文献2で提案されている構造の化合物の中でも、フェノール基と長鎖アルキル基を有する尿素誘導体は特に消去特性が優れていることが開示されている。
【0004】
このような尿素誘導体を顕色剤として用いた感熱記録媒体は、日常生活での利用環境では十分な性能を有しているが、物流・配送システムでの利用や工場内での工程管理システムでの利用では高温環境に暴露されて褪色や変色が見られたり、短期間での繰り返し利用によって媒体表面にかかる負荷が大きいので、発色画像の劣化が生じる。このような過酷な環境条件における、画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性の向上が望まれている。具体的には、機械読み取りのための十分な濃度、作業者の視認性を確保するための安定した色調が求められている。
【0005】
このため、画像の繰り返し耐久性を向上させる方法として、例えば特許文献4では、感熱記録層中にポリアリレート樹脂を含有する方法が提案されている。また、特許文献5には、支持体と感熱記録層の間に中空粒子を含むアンダー層を設ける方法が提案されている。また、特許文献6には、感熱記録層の厚みの1.1倍以上の平均粒子径を有する粒子を感熱記録層に含有させる方法が提案されている。これらの方法により繰り返し発消色に対する画像耐久性を向上させることは可能である。しかし、これらの提案は、画像の濃度や色味の変化を抑えることはできず、工程管理システムでの利用時に必要となる画像の耐熱保存性については十分満足できる性能を有するものではない。
【0006】
したがって、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れ、物流・配送システムや工場内での工程管理システムなどの過酷な環境下での使用に適した可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法の速やかな提供が望まれているのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特許第2981558号公報
【特許文献2】特許第3380277号公報
【特許文献3】特許第3557076号公報
【特許文献4】特開平10−230676号公報
【特許文献5】特開平8−183254号公報
【特許文献6】特開平6−340171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れ、物流・配送システムや工場内での工程管理システムなどの過酷な環境下での使用に適した可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に少なくとも感熱記録層とを有し、温度に依存して色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録媒体であって、
前記感熱記録層が少なくとも電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有し、
前記電子受容性化合物が、下記構造式(1)で表される化合物であり、
前記電子供与性呈色化合物が、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−3−エチルオキシプロピル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン、2−(3−トルイジルノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−ペンチル)アミノフルオランから選択される少なくとも1種であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体である。
【化2】

ただし、前記構造式(1)中、nは23以上の整数を表す。
<2> 構造式(1)中のnが27〜32の整数である前記<1>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<3> 感熱記録層が、架橋状態にある樹脂を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<4> 架橋状態にある樹脂が、アクリルポリオール樹脂である前記<3>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<5> 架橋状態にある樹脂が、イソシアネート化合物によって架橋されている前記<3>から<4>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<6> 感熱記録層上に保護層を有し、かつ該保護層が架橋状態にある樹脂を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<7> 支持体と感熱記録層との間にアンダー層を有し、かつ該アンダー層が少なくとも中空粒子を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<8> 可逆性感熱記録媒体が、カード状、ラベル状、シート状及びロール状のいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の画像形成面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする可逆性感熱記録ラベルである。
<10> 情報記憶部と可逆表示部とを有し、かつ該可逆表示部が前記<1>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を有することを特徴とする可逆性感熱記録部材である。
<11> 情報記憶部と可逆表示部とが一体化されている前記<10>に記載の可逆性感熱記録部材である。
<12> 情報記録部が、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択されるいずれかである前記<10>から<11>のいずれかに記載の可逆性感熱記録部材である。
<13> 可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成手段、及び可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去手段の少なくともいずれかを有してなり、該可逆性感熱記録媒体が前記<1>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理装置である。
<14> 画像形成手段が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかである前記<13>に記載の画像処理装置である。
<15> 画像消去手段が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかである前記<13>から<14>のいずれかに記載の画像処理装置である。
<16> 可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成工程、及び、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、該可逆性感熱記録媒体が前記<1>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理方法である。
<17> 画像の形成が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかを用いて行われる前記<16>に記載の画像処理方法である。
<18> 画像の消去が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかを用いて行われる前記<16>から<17>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<19> サーマルヘッドを用いて画像を消去しつつ新しい画像を形成する工程を含む前記<16>から<18>のいずれかに記載の画像処理方法である。
【0010】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感熱記録層とを有し、該感熱記録層が、上記構造式(1)で表される化合物と、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−3−エチルオキシプロピル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン、2−(3−トルイジルノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−ペンチル)アミノフルオランから選択される少なくとも1種を含有するので、発色画像の耐熱保存性が向上し、発色と消色との繰り返しを安定に行え、特に、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れ、物流・配送システムや工場内での工程管理システムなどの過酷な環境下での使用に適したものである。
【0011】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、本発明の前記可逆性感熱記録媒体における画像形成面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有する。該可逆性感熱記録ラベルでは、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れている。また、前記接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有するので、前記感熱記録層を直接塗布することが困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手の基板、カードサイズよりも大きなシートサイズの容器、ステッカー、大画面、など広範な用途に適用できる。
【0012】
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が本発明の前記可逆性感熱記録媒体である。該可逆性感熱記録部材は、前記可逆表示部において、前記感熱記録層が、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れている。そして、コントラスト、視認性等に優れた画像が形成される。一方、前記情報記録部では磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット、ホログラム等の種類に応じた記録方式により、文字情報、画像情報、音楽情報、映像情報等の所望の諸情報が記録され消去される。
【0013】
本発明の画像処理装置は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱し、画像を形成する画像形成手段及び画像の消去を行う画像消去手段の少なくともいずれかを有する。該画像処理装置においては、前記画像形成手段が、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する。一方、前記画像消去手段が、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する。本発明では、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れており、実用性の高い書き換え記録を行うことができる。
【0014】
本発明の画像処理方法は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかを行う。該画像処理方法においては、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する。一方、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する。本発明では、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れ、高発色濃度の画像を形成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れ、物流・配送システムや工場内での工程管理システム等の過酷な環境下での使用に適した可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(可逆性感熱記録媒体)
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感熱記録層を有してなり、保護層、アンダー層、中間層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0017】
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、少なくとも電子供与性呈色化合物、及び電子受容性化合物を含有してなり、バインダー樹脂、消色促進剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0018】
前記感熱記録層は、少なくとも電子供与性呈色化合物(発色剤)及び電子受容性化合物(顕色剤)を含有してなり、温度に依存して色調が可逆的に変化するものである。
ここで、前記「温度に依存して色調が可逆的に変化する」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす現象を意味し、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得ることを意味する。この場合、該目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明においては、主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度等の変化があり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後、冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。これらの中でも、第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが特に好ましい。
【0019】
これらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報等)、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報等)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報等)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報)などが挙げられる。
【0020】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、加熱温度及び加熱後の冷却速度の少なくともいずれかにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得るものである。ここで、発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色及び消色現象について説明する。図1は、この可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また、溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0021】
前記可逆性感熱記録媒体においては、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり、結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色及び発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0022】
前記可逆性感熱記録媒体においては、発色記録の形成はサーマルヘッドなどにより一旦溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度又は結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。
【0023】
本発明においては、前記電子受容性化合物として、下記構造式(1)で表される化合物と、前記電子供与性呈色化合物として、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−3−エチルオキシプロピル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン、2−(3−トルイジルノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−ペンチル)アミノフルオランから選択される少なくとも1種とを用いる。前記構造式(1)で表される化合物は、nが23以上であると消去性能に特に優れている。また、前記電子供与性呈色化合物は、6位のアミノ基の分子構造に特徴を有し、塩基性が高く、前記構造式(1)で表される化合物と共融混合し、発色した状態で分子間相互作用力が大きくなると共に、結合力を安定化させることができる。そして両者の相乗効果によって、画像の耐熱保存性に優れ、画像の繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体が得られる。
【化3】

【0024】
前記構造式(1)において、nは23以上の整数であり、23〜35の整数が好ましく、27〜32の整数がより好ましい。前記nが23未満であると、高温環境における画像保存性が低くなり、印字画像が消えてしまうことがある。特に、配送用途等で宛名、内容などが消えてしまうと極めて重大な問題となる。一方、nが35を超えると、消去時に時間がかかるため、発券スピードが停滞してしまう。また、nが35を超えると、構造式(1)で表される化合物の中間体、及び合成反応物の物性的見地から合成上の難度が飛躍的に上がるため、コストアップの原因となることがある。
【0025】
これに対し、前記電子供与性呈色化合物として、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−(エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を用いて感熱記録層を設けた場合に、100回以上の発消色を繰り返すと画像濃度の低下が顕著になる現象が認められている。この現象の詳細なメカニズムはまだ解明しきれていないが、前記電子供与性呈色化合物と前記構造式(1)で表される電子受容性化合物が共融混合し発色した状態の分子間相互作用力によって、特に消去過程に必要なエネルギー量に違いがあり、上記のような相互作用の強い場合は消去温度が高くなるために材料に加わる負荷が増し、このような現象が発生すると考えられる。
【0026】
また、前記電子供与性呈色化合物として、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−(エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を用いて感熱記録層を設けた場合には、画像の耐熱保存性が低く高温環境に保存すると画像濃度の低下や色調が変化する現象が認められている。この現象も詳細メカニズムはまだ解明しきれていないが、前記電子供与性呈色化合物と前記構造式(1)で表される電子受容性化合物が共融混合し発色した状態の結合力が不安定な状態を保っているために発生すると考えられる。
【0027】
前記構造式(1)で表される化合物の具体例を下記に示す。
【化4】

【化5】

【0028】
前記構造式(1)で表される化合物は、例えば「実験化学講座14 有機化合物の合成II−アルコール・アミン−」(日本化学会編)の428頁以降の尿素結合の合成についての記載に基づき、適宜調整して合成することができる。
【0029】
前記電子供与性呈色化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)の混合割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が異なり一概には規定できないが、モル比で発色剤1に対し顕色剤0.1〜20が好ましく、0.2〜10がより好ましい。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下して問題となることがある。なお前記発色剤と前記顕色剤とはマイクロカプセル中に内包させて用いることもできる。
【0030】
−消色促進剤−
本発明においては、前記顕色剤と、消色促進剤として分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基を少なくとも一つ有する化合物を併用することにより、消去状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、消去速度を格段に速くすることが可能である。
【0031】
前記消色促進剤としては、分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基から選択される少なくとも1つを有する化合物であればよく、これらの中でも、下記構造式(2)〜(9)で表される化合物が特に好ましい。
【0032】
−NHCO−R ・・・構造式(2)
−NHCO−R−CONH−R ・・・構造式(3)
−CONH−R−NHCO−R ・・・構造式(4)
−NHCOO−R ・・・構造式(5)
−NHCOO−R−OCONH−R ・・・構造式(6)
−OCONH−R−NHCOO−R ・・・構造式(7)
【化6】

【化7】

【0033】
ただし、前記構造式(2)〜(9)中、R、R、R、R、及びRは炭素数1〜22の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、又は不飽和アルキル基を示し、R,Rは環を形成していてもよく、形成される環はN原子、O原子又はS原子を介していてもよく、芳香族環、脂肪族環を有していてもよい。またアルキル基は水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。Rは炭素数1〜18の2価の官能基、Rは炭素数4〜18の3価の官能基を示す。YはN原子又はO原子を含む2価の基を示し、sは0又は1の整数を示す。
、R、R、R、及びRとしては、例えばヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基及び末端に水酸基を有する炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。
、及びRとしては、例えばメチル基、エチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、シクロヘキシルメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられ、環状の構造を形成する場合にはブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、−COC−基、−CNC−基、−COCOC−基等が挙げられる。
としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、−COC−基、−COC−基、−COCOC−基等が挙げられる。
としては、下記構造式で表されるものが好適に挙げられる。
【0034】
【化8】

【0035】
前記構造式(2)〜前記構造式(9)で表される化合物の具体的な例としては、以下の(1)〜(69)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0036】
(1)C1123CONHC1225
(2)C1531CONHC1633
(3)C1735CONHC1837
(4)C1735CONHC1835
(5)C2141CONHC1837
(6)C1531CONHC1837
(7)C1735CONHCHNHCOC1735
(8)C1123CONHCHNHCOC1123
(9)C15CONHCNHCOC1735
(10)C19CONHCNHCOC19
(11)C1123CONHCNHCOC1123
(12)C1735CONHCNHCOC1735
(13)(CHCHC1435CONHCNHCOC1435(CH
(14)C2143CONHCNHCOC2143
(15)C1735CONHC12NHCOC1735
(16)C2143CONHC12NHCOC2143
(17)C1733CONHCHNHCOC1733
(18)C1733CONHCNHCOC1733
(19)C2141CONHCNHCOC2141
(20)C1733CONHC12NHCOC1733
(21)C17NHCOCCONHC1837
(22)C1021NHCOCCONHC1021
(23)C1225NHCOCCONHC1225
(24)C1837NHCOCCONHC1837
(25)C2143NHCOCCONHC2143
(26)C1837NHCOC12CONHC1837
(27)C1835NHCOCCONHC1835
(28)C1835NHCOC16CONHC1835
(29)C1225OCONHC1837
(30)C1327OCONHC1837
(31)C1633OCONHC1837
(32)C1837OCONHC1837
(33)C2143OCONHC1837、
(34)C1225OCONHC1633
(35)C1327OCONHC1633
(36)C1633OCONHC1633
(37)C1837OCONHC1633
(38)C2143OCONHC1633
(39)C1225OCONHC1429
(40)C1327OCONHC1429
(41)C1633OCONHC1429
(42)C1837OCONHC1429
(43)C2245OCONHC1429
(44)C1225OCONHC1237
(45)C1327OCONHC1237
(46)C1633OCONHC1237
(47)C1837OCONHC1237
(48)C2143OCONHC1237
(49)C2245OCONHC1837
(50)C1837NHCOOCOCONHC1837
(51)C1837NHCOOCOCONHC1837
(52)C1837NHCOOCOCONHC1837
(53)C1837NHCOOC12OCONHC1837
(54)C1837NHCOOC16OCONHC1837
(55)C1837NHCOOCOCOCONHC1837
(56)C1837NHCOOCOCOCONHC1837
(57)C1837NHCOOC1224OCONHC1837
(58)C1837NHCOOCOCOCOCONHC1837
(59)C1633NHCOOCOCONHC1633
(60)C1633NHCOOCOCONHC1633
(61)C1633NHCOOCOCONHC1633
(62)C1633NHCOOC12OCONHC1633
(63)C1633NHCOOC16OCONHC1633
(64)C1837OCOHNC12NHCOOC1837
(65)C1633OCOHNC12NHCOOC1633
(66)C1429OCOHNC12NHCOOC1429
(67)C1225OCOHNC12NHCOOC1225
(68)C1021OCOHNC12NHCOOC1021
(69)C817OCOHNC12NHCOOC17
【0037】
更に、下記構造式で表される化合物が好適に挙げられる。
【化9】

【化10】

【化11】

前記式中、n、n’、n”、n’’’、n’’’’は0〜21の整数を示す。ただし全てが5以下であることはない。Xは、N原子又はO原子を含む2価の基を表す。
【0038】
前記消色促進剤の添加量は、前記顕色剤100質量部に対し0.1〜300質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましい。前記添加量が0.1質量部未満であると、消色促進剤の添加効果が発揮されないことがあり、300質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0039】
−バインダー樹脂−
本発明において、ロイコ染料、顕色剤とともに感熱記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などが挙げられる。
これらバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、前記バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、赤外線、紫外線、電子線等の照射によって、バインダー樹脂を架橋させることが更に好ましい(以下、「架橋状態にある樹脂」という)。
【0040】
前記架橋状態にある樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーとを共重合した樹脂などが挙げられる。
また、前記架橋状態にある樹脂としては、水酸基価70mgKOH/g以上の樹脂が含有される(当初用いられる)。該水酸基価70mgKOH/g以上の樹脂としては、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂などが用いられる。これらの中でも、発色の安定性が良好で、消色性が良好であることから、アクリルポリオール樹脂が特に好ましい。前記水酸基価としては70mgKOH/g以上が好ましく、90mgKOH/g以上がより好ましい。前記水酸基価の大小は架橋密度に影響するため塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。前記水酸基価が70mgKOH/g以上であると、耐久性、塗膜表面硬度、ワレ抵抗性が向上することがある。
なお、水酸基価70mgKOHmg/g以上の樹脂が用いられた可逆性感熱記録材料であるか否かは、残存水酸基の量やエーテル結合の量を分析すること等により確認することができる。
【0041】
前記アクリルポリオール樹脂は、構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとして、例えばヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが挙げられる。これらの中でも、第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性がよいことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましく用いられる。
【0042】
本発明に用いられる硬化剤としては、例えばイソシアネート化合物、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、イソシアネート化合物が好ましく用いられる。
前記イソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、イソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネート変性体などから選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、例えばトリレンジイソシアネートTDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネートNDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)などが挙げられる。
【0043】
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いることもできる。該架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類;有機すず化合物等の金属化合物などが挙げられる。また、前記硬化剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくてもよい。即ち、未反応硬化剤が存在していてもよい。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の硬化剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の硬化剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。
ここで、本発明におけるバインダー樹脂が架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸漬することによって区別することができる。即ち、非架橋状態にある樹脂は、溶媒中に該樹脂が溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質の樹脂構造の有無を分析すればよい。
【0044】
前記感熱記録層の乾燥及び硬化方法は、感熱記録層塗布液を塗布し、乾燥させた後、必要に応じて硬化処理を行う。前記乾燥は恒温槽等を用いて比較的高温で短時間でもよく、また、比較的低温で長時間かけて熱処理してもよい。硬化反応の具体的な条件としては反応性の面から30〜130℃程度の温度条件で1分間〜150時間程度加温することが好ましく、40〜100℃の温度条件で2分間〜120時間程度加温することがより好ましい。また、製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、乾燥過程とは別に架橋工程を設けてもよい。架橋工程の条件としては40〜100℃の温度条件で2分間〜120時間程度加温することが好ましい。
【0045】
前記感熱記録層には、更に必要に応じて感熱記録層の塗布特性などを改善したりするために従来公知の添加剤を用いることができる。これらの添加剤としては、例えば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤などが挙げられる。
【0046】
前記感熱記録層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。前記厚みが、薄すぎると発色濃度が低くなるため、画像のコントラストが低くなることがあり、厚すぎると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、目的とする発色濃度が得られなくなることがある。
【0047】
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0048】
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、などが挙げられる。前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属等が挙げられる。前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、画像鮮明性の高いシートを得るために、支持体単独の曇り度(JIS K7105で規定される曇り度、ヘーズ)が10%以下であるポリエチレンテレフタレート、PET−Gフィルムが特に好ましい。
【0049】
前記支持体は、塗布層の接着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理、等により表面改質することが好ましい。また、前記支持体には、酸化チタン等の白色顔料などを添加して白色にすることが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、数μm〜数mmが好ましく、10〜2,000μmがより好ましく、60〜300μmが更に好ましい。
【0050】
<アンダー層>
前記アンダー層は、印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は支持体と感熱記録層の接着性の改善や支持体への感熱記録層材料の浸透防止を目的として、前記感熱記録層と前記支持体の間に設けられる。
前記アンダー層は、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0051】
前記中空粒子としては、中空部が粒子内に一つ存在する単一中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。前記空隙粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。該市販品としては、例えば、マイクロスフェアーR−300(松本油脂株式会社製)、ローペイクHP1055、ローペイクHP433J(いずれも日本ゼオン株式会社製)、SX866(JSR株式会社製)、などが挙げられる。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜80質量%が好ましい。
【0052】
前記バインダー樹脂としては、前記感熱記録層と同様の樹脂を用いることができる。
また、前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機フィラー、及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダー層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜50μmが好ましく、0.5〜30μmがより好ましい。
【0053】
<保護層>
本発明においては、感熱記録層上に架橋状態にある樹脂を含有する保護層を設けることができる。該保護層に用いられる樹脂としては、前記感熱記録層と同様の熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂などを用いることができる。また、前記保護層中に無機フィラー、有機フィラー、滑剤、紫外線吸収性材料などを含有させてもよい。
前記保護層の厚みは0.1〜20μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥及び硬化方法等は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記感熱記録層で用いられた公知の方法を採用することができる。
【0054】
<中間層>
本発明においては、感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層に含まれる物質による感熱記録層の変質防止、保護層に含まれる添加剤が感熱記録層へ移行すること、又は感熱記録層に含まれる添加剤が保護層へ移行することを防止する目的で、感熱記録層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
前記中間層の厚みは0.1〜20μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥及び硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。更に、前記中間層中に無機フィラー、有機フィラー、滑剤、紫外線吸収性材料などを含有させてもよい。
【0055】
また、本発明において、記録時に可逆性感熱記録媒体に与えられた熱を有効利用して発色感度を向上させるために、支持体と感熱記録層との間に中間層を設けることができる。
前記中間層は、有機又は無機の微小中空体粒子を含有したバインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより形成できる。前記中間層は、前記感熱記録層、又は前記保護層の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
なお、前記中間層には、必要に応じて例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機フィラー;各種有機フィラー、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記中間層を設ける場合には、接着層を介して設けることにより、クラック発生防止やバリの発生が改善される。該接着層は、上記の各層と同様の塗工方式等で形成することができる。
前記微小中空粒子として、最大粒子径(D100)が5.0〜10.0μmであると同時に、50%頻度の粒子径(D50)との比(D100/D50)が2.0〜3.0の条件に適合するものを用いることが好ましい。
【0056】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、特に制限はなく、その用途に応じた形状に加工することができ、例えば、カード状、シート状、ラベル状、ロール状などに加工される。
前記カード状に加工されたものについては、プリペイドカードやポイントカード更にはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、A4サイズなど一般文書サイズに加工されたシート状のものは、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろん、カードサイズよりも大きなシートサイズでは印字する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。
更に、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込むなどして、表示板、掲示板、又は電子黒板に用いることができる。このような表示装置は、塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0057】
(可逆性感熱記録部材)
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部及び可逆表示部を有し、該可逆表示部が本発明の前記可逆性感熱記録媒体を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記可逆表示可能な感熱記録層と情報記憶部とを、同一のカードに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を感熱記録層に表示することにより、カード所有者等は特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には可逆性感熱性記録部の表示を書き換えることで、可逆性感熱記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
【0058】
前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、以下の2つのものに大別できる。
(1)情報記録部を有する部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として、感熱記録層を直接形成したもの。
(2)情報記録部を有する部材に、別途形成された、支持体上に感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
これら(1)及び(2)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定される。したがって情報記憶部の設定位置は、可逆性感熱記録媒体における支持体の感熱記録層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱記録層との間でも、あるいは感熱記録層上の一部に設けることもできる。
【0059】
前記情報記憶部としては、特に制限はないが、例えば、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RF−IDタグ、ホログラムなどが好ましく用いられる。特にカードサイズよりも大きなサイズのシート媒体では、ICメモリ、RF−IDタグが好ましく用いられる。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
【0060】
前記磁気感熱記録層は、例えば酸化鉄、バリウムフェライト、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂等を用い、支持体上に塗工形成されるか、又は蒸着、スパッタリング等の方法により樹脂を用いず形成することができる。前記磁気感熱記録層は支持体における該感熱記録層とは反対側の面に設けてもよいし、支持体と該感熱記録層との間、該感熱記録層上の一部に設けてもよい。また、表示に用いる可逆性感熱記録材料をバーコード、二次元コード等により記憶部に用いてもよい。
前記ホログラムとしては、書き換え可能なものが好ましく、例えば、高分子アゾベンゼン液晶フィルムに干渉光を書き込んだ書き換え可能なホログラムなどが挙げられる。
【0061】
前記情報記録部を有する部材としては、一般的には、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、又はテープカセットがある。具体的には、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等が挙げられる。
【0062】
また、可逆表示部と情報記憶部の双方を有する部材としては、例えば、カードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができるので、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べて利便性が非常に向上することになる。前記情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型IC、又は光メモリが有用である。
具体的には、以下の本発明の可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法などに特に好適に使用することができる。なお、本発明において、可逆性感熱記録媒体表面とは、感熱記録層側表面のことを意味し、保護層に限ったものでなく、印刷層表面、OP層表面など印字消去の際サーマルヘッドに接触する全て又は一部の面を意味している。
【0063】
(可逆性感熱記録ラベル)
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、本発明の前記可逆性感熱記録媒体における画像形成面と反対側の面(支持体の上に前記感熱記録層を有する場合には、該支持体における前記感熱記録層を形成した面の反対側の面)に接着剤層及び粘着剤層の少なくともいずれかを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。なお、支持体として熱融着性のものが用いられた可逆性感熱記録媒体の場合には、支持体の感熱記録層を形成する面と反対の面に接着剤層又は粘着剤層は必ずしも必要ではない。
【0064】
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、シート状、フィルム状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱記録層よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、ホットメルトタイプでもよく、また、剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。
【0065】
前記可逆性感熱記録ラベルは、通常、カード等の基体シートに貼着されて用いられる。なお、前記基体シートに貼り付ける前記可逆性感熱記録ラベルは、前記基体シートの全面であっても、一部であってもよく、また前記基体シートの片面もしくは両面に設けられていてもよく、適宜選択される。
【0066】
前記該基材シートとしては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができ、例えば、塩素含有重合体、ポリエステル樹脂、生分解性プラスチック樹脂、などの材料からなるシートやこれらの積層体が用いられる。
前記塩素含有重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT);あるいはテレフタル酸、イソフタル酸等の酸成分と、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(例えば、PETG:イーストマンケミカル社の商標)などが挙げられる。
前記生分解性プラスチック樹脂としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニルアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等が挙げられる。
更に、ポリアセテート樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂シート又は合成紙等が挙げられ、これら材料を適宜組み合わせてもよく、これら材料を積層したものでもよい。
【0067】
前記可逆性感熱記録ラベルが前記接着剤層及び前記粘着剤層の少なくともいずれかを有していると、前記感熱記録層の塗布が困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手基板の全面又は一部に、貼付可能であり、磁気に記憶された情報の一部を表示可能とすることができる。
【0068】
前記可逆性感熱記録ラベルは、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化型記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット上の表示ラベルの代替品とすることができる。
【0069】
図2は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をMDのディスクカートリッジ70上に貼付した例を示す。この場合、MDへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。なお、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに本発明の前記可逆性感熱記録ラベルを貼付してもよい。
図3は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をCD−RW71上に貼付した例を示す。この場合、CD−RWの代わりにCD−R等の追記型ディスク上に、前記可逆性感熱記録ラベルを貼付して、そのCD−Rに追記した記憶情報の一部を書き換え表示することが可能である。
【0070】
図4は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をビデオカセット72上に貼付した例を示す。この場合、ビデオテープカセットへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。
【0071】
前記可逆性感熱記録機能を、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、及びテープカセットのいずれかの上に設ける方法としては、前記可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に前記感熱記録層を直接塗布する方法、予め、別の支持体上に前記感熱記録層を形成しておき、前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及び前記テープカセット上に該感熱記録層を転写する方法、などが挙げられる。前記感熱記録層を転写する方法の場合には、前記感熱記録層上にホットメルトタイプなどの前記接着層や前記粘着層を設けておいてもよい。前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及びテープカセットなどのように剛直なものの上に前記可逆性感熱記録ラベルを貼付したり、前記感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させて画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層、又はシートを剛直な基体とラベル若しくは前記感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0072】
本発明の前記可逆性感熱記録ラベル及び前記可逆性感熱記録部材の少なくともいずれかは、特に制限はなく、各種画像処理方法及び画像処理装置により、画像処理することができるが、後述する本発明の画像処理装置を用いて好適に画像の形成及び消去を行うことができる。
【0073】
(画像処理方法及び画像処理装置)
本発明の画像処理装置は、画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、搬送手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像処理方法は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び消去の少なくともいずれかを行い、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、搬送工程、制御工程等を有してなる。
【0074】
本発明の画像処理方法は、本発明の画像処理装置により好適に実施することができ、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかは前記画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかにより行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0075】
−画像形成手段及び画像消去手段−
前記画像形成手段は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を形成する手段である。また、前記画像消去手段は、前記本発明の可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を消去する手段である。
前記画像形成手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーマルヘッド、レーザーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記画像消去手段としては、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を消去する手段であり、例えば、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、ヒートブロック、熱風等や、サーマルヘッド、レーザー照射装置、などが挙げられる。これらの中では、セラミックヒータが好適である。前記セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。前記セラミックヒータの設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0076】
前記サーマルヘッドを用いることにより、更に小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。また、前記画像の記録及び消去を兼ねて一つのサーマルヘッドとすることができ、この場合は、更に小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで記録と消去とを行う場合、一旦前画像を全部消去した後、改めて新しい画像を記録してもよいし、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を記録していくオーバーライト方式も可能である。該オーバーライト方式においては、前記画像の記録及び消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。
前記感熱記録層と情報記憶部とを有する可逆性感熱記録部材(カード)を用いる場合、上記装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段、書き換える手段なども含まれる。
【0077】
前記搬送手段は、前記可逆性感熱記録媒体を順次搬送する機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ベルト、搬送ローラ、搬送ベルトと搬送ローラとの組合せ、などが挙げられる。
【0078】
前記制御手段は、前記各工程を制御する機能を有する限り特に制限はなく、各工程の制御を行うことができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0079】
本発明の画像処理装置により本発明の画像処理方法を実施する一の態様について、図5A及び図5Bを参照しながら説明する。図5Aに示す画像処理装置は、前記加熱処理手段としてのサーマルヘッド53と、セラミックヒータ38と、磁気ヘッド34と、搬送ローラ31、40及び47とを備えている。
図5Aに示すように、この画像処理装置においては、まず、可逆性感熱記録媒体の磁気感熱記録層に記憶された情報を磁気ヘッドで読み取る。次に、セラミックヒータで感熱記録層に記録された画像を加熱消去する。次いで、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、感熱記録層に記録される。その後、磁気感熱記録層の情報も新たな情報に書き換えられる。
図5Aに示す画像処理装置においては、感熱記録層の反対側に磁気感熱記録層を設けた可逆性感熱記録媒体5は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、或いは搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。可逆性感熱記録媒体5は、磁気ヘッド34及び搬送ローラ31間で磁気感熱記録層に磁気記録乃至消去され、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間で画像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド53及び領域搬送ローラ47間で画像形成される。その後、装置外に搬出される。先に説明したように、セラミックヒータ38の設定温度は90℃以上が好ましく、100℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。ただし、磁気記録の書き換えはセラミックヒータによる画像消去の前であってもよいし、後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間を通過後、又はサーマルヘッド53及び搬送ローラ47間を通過後、搬送路を逆方向に搬送される。セラミックヒータ38よる再度の熱処理、サーマルヘッド53による再度の印字処理を施すことができる。
【0080】
図5Bの画像処理装置においては、出入口30から挿入された可逆性感熱記録媒体5は、一点破線で図示されている搬送路50に沿って進行し、或いは搬送路50に沿って装置内を逆方向に進行する。出入口30から挿入された可逆性感熱記録媒体5は、搬送ローラ31及びガイドローラ32により記録装置内を搬送される。搬送路50の所定位置に到達するとセンサ33により制御手段34cを介してその存在を認識され、磁気ヘッド34とプラテンローラ35との間で磁気感熱記録層に磁気記録或いは記録消去され、ガイドローラ36及び搬送ローラ37間を通過し、ガイドローラ39及び搬送ローラ40間を通過し、センサ43により、セラミックヒータ制御手段38cを介してその存在を認識して作動するセラミックヒータ38とプラテンローラ44との間で画像消去のため加熱処理され、搬送ローラ45、46及び47により搬送路50内を搬送され、所定位置にてセンサ51により、サーマルヘッド制御手段53cを介してその存在を認識して作動するサーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で画像形成され、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出される。ここで、セラミックヒータ38の設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述したように、90℃以上が好ましく、100℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0081】
また、所望により、搬送路切換手段55aを切り替えることにより搬送路56bに導き、可逆性感熱記録媒体5の押圧により入力するリミットスイッチ57aの作動により逆方向に動く搬送ベルト58によって、可逆性感熱記録媒体5を再度、サーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で熱処理した後、搬送路切換手段55bを切り替えることにより通じる搬送路49b、リミットスイッチ57b、搬送ベルト48を介して順方向に搬送し、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出することができる。更に、このような分岐した搬送路及び搬送切換手段は、セラミックヒータ38の両側に設けることもできる。その場合には、センサ43aを、プラテンローラ44と搬送ローラ45との間に設けることが好ましい。
【0082】
本発明の画像処理装置及び画像処理方法によると、可逆性感熱記録媒体として本発明の前記可逆性感熱記録媒体を用いているので、発色画像の耐熱保存性と画像の繰り返し耐久性に優れ、高発色濃度の画像を形成できる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0084】
(実施例1)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
・下記構造式で表される顕色剤(融点145℃)・・・3質量部
【化12】

・アクリルポリオール樹脂の50質量%メチルエチルケトン(MEK)溶液・・・9質量部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・70質量部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液にロイコ染料〔2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−3−エチルオキシプロピル)アミノフルオラン〕(山田化学工業株式会社製、BLACK 500)1質量部、及びアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75質量%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)2質量部を加え、よく攪拌して感熱記録層塗布液を調製した。
次に、上記組成の感熱記録層塗布液を、厚み250μmの磁気層付き白色PETフィルム(大日本インキ化学工業株式会社製)上にワイヤーバーを用いて塗布し、115℃にて1分間乾燥した後、60℃で24時間加熱して、厚み9μmの感熱記録層を形成した。
【0085】
次に、得られた感熱記録層上に下記組成からなる中間層塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、90℃にて1分間で乾燥した後、60℃にて2時間加熱して、厚み2.0μmの中間層を設けた。
〔中間層塗布液〕
・ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業株式会社製、タケラックU−21)の10質量%メチルエチルケトン(MEK)溶液・・・100質量部
・酸化亜鉛(住友大阪セメント株式会社製)・・・10質量部
・コロネートHL(日本ポリウレタン株式会社製)・・・15質量部
【0086】
次に、前記中間層上に、下記組成からなる保護層塗布液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を12m/分の搬送速度で通し、硬化させて厚み3μmの保護層を形成した。以上により、実施例1の可逆性感熱記録媒体を作製した。
〔保護層塗布液〕
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、C7−157)・・・7質量部
・ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性アクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)・・・3質量部
・シリカ(水沢化学株式会社製、P−527)・・・1.5質量部
・酢酸エチル・・・90質量部
【0087】
(実施例2)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中のロイコ染料を、ロイコ染料〔2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン(山田化学工業株式会社製、BLACK 305)〕に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0088】
(実施例3)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中のロイコ染料を、ロイコ染料〔2−(3−トルイジルノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン(山本化成株式会社製、ODB−7)〕に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0089】
(実施例4)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物(融点145℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化13】

【0090】
(実施例5)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物(融点145℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化14】

【0091】
(実施例6)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物(融点145℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化15】

【0092】
(実施例7)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中のロイコ染料を、ロイコ染料〔2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−ペンチル)アミノフルオラン(山田化学工業株式会社製、S−205)〕に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0093】
(比較例1)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中のロイコ染料を、ロイコ染料〔2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン(山本化成株式会社製、ODB)〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0094】
(比較例2)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中のロイコ染料を、ロイコ染料〔3−N−(エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山田化学工業株式会社製、ETAC)〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0095】
(比較例3)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物(融点145℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化16】

【0096】
(比較例4)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物(融点140℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化17】

【0097】
(比較例5)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物(融点141℃)に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化18】

【0098】
(比較例6)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、下記の感熱記録層塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
−感熱記録層塗布液の調製−
・下記構造式で表される顕色剤(融点145℃)・・・3質量部
【化19】

・ポリアリレート樹脂(ユニチカ株式会社製、U−100)・・・5質量部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・75質量部
次に、上記組成物をボールミルを用いて平均粒径が約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液にロイコ染料〔2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン〕(山本化成株式会社製、ODB)1質量部を加え、よく攪拌して、感熱記録層塗布液を調製した。
【0099】
(比較例7)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、下記組成をよく混合してアンダー層塗布液を調製し、該アンダー層塗布液を、厚み250μmの磁気層付き白色PETフィルム(大日本インキ化学工業株式会社製)上にワイヤーバーを用いて塗布し、115℃にて1分間乾燥した後、60℃で24時間加熱して、厚み10μmのアンダー層を形成した。
−アンダー層塗布液の組成−
・中空粒子エマルジョン(ローム&ハース社製、ローペイクHP−91、中空率50%、粒子径1μm)・・・30質量部
・ポリウレタン樹脂エマルジョン(固形分濃度35質量%、第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス150)・・・28質量部
・完全ケン価ポリビニルアルコール水溶液(固形分濃度16質量%)・・・9質量部
・水・・・50質量部
【0100】
次いで、前記アンダー層上に、下記組成の感熱記録層塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、115℃にて1分間乾燥した後、60℃で24時間加熱して、厚み9μmの感熱記録層を形成した以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
−感熱記録層塗布液の調製−
・下記構造式で表される顕色剤(融点145℃)・・・3質量部
【化20】

・シリカ(富士シリシア株式会社製、サイリシア470、粒径14μm)・・・0.5質量部
・アクリルポリオール樹脂の50質量%メチルエチルケトン(MEK)溶液・・・9質量部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・70質量部
上記組成の感熱記録層塗布液をボールミルを用いて、平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液にロイコ染料〔2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン〕(山本化成株式会社製、ODB)1質量部、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75質量%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)2質量部を加え、よく攪拌して感熱記録層塗布液を調製した。
【0101】
(比較例8)
−可逆性感熱記録媒体の作製−
実施例1において、感熱記録層塗布液中の顕色剤を、下記構造式で表される化合物に変えた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【化21】

【0102】
<印字評価>
次に、作製した各可逆性感熱記録媒体をクレジットカード状に打ち抜き、カードプリンター(R−28000、パナソニックコミュニケーションズ社製)にて消去印字モードで印字を行い、以下のようにして繰り返し耐久性及び耐熱保存性を評価した。結果を表1に示す。
【0103】
<繰り返し耐久性>
消去モードにて最も画像が消えた条件を消去条件とし、消去印字モードにて200回の印字を繰り返した後のベタ画像濃度を初期の画像濃度と比較した。なお、印字濃度はX−Rite社製濃度計938で測定した。
【0104】
<耐熱保存性>
印字された可逆性感熱記録媒体を高温(70℃)環境下にて24時間保存し、保存前後の画像濃度及び色調を比較した。
〔測定方法〕
印字濃度はX−Rite社製濃度計938のV濃度、色調は同濃度計のLab測色系のa値及びb値を測定した後、下記数式から求めた色差で評価した。なお、機械読み取りの点から画像濃度は1.0以上が好ましく、視認性の点から色差は3以下が好ましい。
【数1】

【0105】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、カード状に加工されたものについてはプリペイドカード、ポイントカード、更には、クレジットカードなどに用いられる。カードサイズよりも大きなシートサイズでは印字する範囲が広くなるため、一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。従って、本発明の可逆性感熱記録媒体は、入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理用途などの大きな画面、多様な表示に幅広く用いることができ、特に、物流・配送システムや工場内での工程管理システムなどの過酷な環境下での使用に適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の可逆性感熱記録媒体における発色・消色特性(発色及び消色現象)を示す図である。
【図2】図2は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルを光情報記録媒体(CD−RW)上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルをビデオカセットに貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図5A】図5Aは、面像の消去をセラミックヒータ、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行う場合の画像処理装置の概略図を示す。
【図5B】図5Bは、本発明の画像処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0108】
5 可逆性感熱記録媒体
10 可逆性感熱記録ラベル
30 出入口
31 搬送ローラ
32 ガイドローラ
33 センサ
34 磁気ヘッド
34c 制御手段
35 プラテンローラ
36 ガイドローラ
37 搬送ローラ
38 セラミックヒータ
38c セラミックヒータ制御手段
39 ガイドローラ
40 搬送ローラ
43 センサ
43a センサ
44 プラテンローラ
45 搬送ローラ
46 搬送ローラ
47 搬送ローラ
48 搬送ベルト
49b 搬送路
50 搬送路
51 センサ
52 プラテンローラ
53 サーマルヘッド
53c サーマルヘッド制御手段
55a 搬送路切換手段
55b 搬送路切換手段
56a 搬送路
56b 搬送路
57a リミットスイッチ
57b リミットスイッチ
58 搬送ベルト
59 搬送ローラ
60 ガイドローラ
61 出口
70 MDディスクカートリッジ
71 CD−RW
72 ビデオカセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に少なくとも感熱記録層とを有し、温度に依存して色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録媒体であって、
前記感熱記録層が少なくとも電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有し、
前記電子受容性化合物が、下記構造式(1)で表される化合物であり、
前記電子供与性呈色化合物が、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−3−エチルオキシプロピル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン、2−(3−トルイジルノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−ペンチル)アミノフルオランから選択される少なくとも1種であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】

ただし、前記構造式(1)中、nは23以上の整数を表す。
【請求項2】
構造式(1)中のnが27〜32の整数である請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
感熱記録層が、架橋状態にある樹脂を含有する請求項1から2のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
架橋状態にある樹脂が、アクリルポリオール樹脂である請求項3に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項5】
架橋状態にある樹脂が、イソシアネート化合物によって架橋されている請求項3から4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項6】
感熱記録層上に保護層を有し、かつ該保護層が架橋状態にある樹脂を含有する請求項1から5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
支持体と感熱記録層との間にアンダー層を有し、かつ該アンダー層が少なくとも中空粒子を含有する請求項1から6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項8】
可逆性感熱記録媒体が、カード状、ラベル状、シート状及びロール状のいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の画像形成面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
【請求項10】
情報記憶部と可逆表示部とを有し、かつ該可逆表示部が請求項1から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を有することを特徴とする可逆性感熱記録部材。
【請求項11】
可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成手段、及び可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去手段の少なくともいずれかを有してなり、該可逆性感熱記録媒体が請求項1から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
画像形成手段が、サーマルヘッドである請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像消去手段が、サーマルヘッド及びセラミックヒータのいずれかである請求項11から12のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項14】
可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成工程、及び、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、該可逆性感熱記録媒体が請求項1から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
画像の形成が、サーマルヘッドを用いて行われる請求項14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
画像の消去が、サーマルヘッド及びセラミックヒータのいずれかを用いて行われる請求項14から15のいずれかに記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2007−245491(P2007−245491A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71189(P2006−71189)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】