説明

可逆性感熱記録媒体、並びに可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法

【課題】紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行える可逆性感熱記録媒体、並びに可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体上に感熱記録層と、該感熱記録層上に保護層とを有してなり、前記感熱記録層が電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化し、前記保護層が、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物から選択される2種のアクリレート化合物を含む組成物の重合物を含有する可逆性感熱記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体、並びに該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子供与性呈色性化合物(以下、「発色剤又はロイコ染料」と称することもある)と、電子受容性化合物(以下、「顕色剤」と称することもある)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサ、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されている。このような実用化されている感熱記録媒体は、環境問題上、リサイクルや使用量の減量化などの見直しが迫られているが、不可逆的な発色であるため、一度記録した画像を消去して繰り返し使用することはできないし、新しい情報は画像が記録されていない部分に追記できる程度であり記録可能な部分の面積は限られている。そのため、記録する情報量を減らしたり、記録エリアがなくなった時点でカードを作り直しているのが実状である。そこで、近年のゴミ問題や森林破壊問題を背景として、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれている。
【0003】
これらの要求から、様々な可逆性感熱記録媒体が提案されてきた。例えば、透明・白濁という物理的変化を利用した高分子タイプの可逆性感熱記録媒体が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、新たに化学的変化を利用した染料タイプの可逆性感熱記録媒体も提案されている。具体的には、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組み合わせを用いるもの(特許文献3参照)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(特許文献4参照)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を感熱記録層に含有するもの(特許文献5、特許文献6、及び特許文献7参照)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたもの(特許文献8参照)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸又は没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(特許文献9及び特許文献10参照)などが提案されている。
【0004】
また、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基を有する有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物又はフェノール化合物を用い、該化合物と発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物、及びこれを感熱記録層に用いた可逆性感熱記録媒体が開発されている(特許文献11、特許文献12、及び特許文献13参照)。
しかし、従来の可逆性感熱記録媒体においては、サーマルヘッドなどの加熱体により加熱して画像形成する際に、加熱体と感熱記録層との摩擦力が大きいためにスティッキングしたり、加熱体の熱及び圧力により表面が変形しやすいために表面にサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸ができ、画像形成と消去を繰り返すうちにその変形量が増大して、鮮明な画像を形成することは困難であった。
【0005】
この問題を解決するため、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなどの保護層を設けて表面の摩擦係数を小さくする方法が提案されている(特許文献14参照)。しかし、この保護層は感熱記録層との接着性が不十分なため、繰り返しの機械的作用により剥がれ、画像が劣化するという問題がある。また、この接着性を改善するため、感熱記録層上に樹脂を主成分とする中間層と、耐熱性樹脂を主成分とする保護層とを順次設けた可逆性感熱記録媒体が提案されている(特許文献15参照)。この提案によれば、中間層によって接着性は改善され、耐熱性樹脂からなる保護層によって可逆性記録媒体表面の変形は小さくなる。しかし、この提案においても、印字と消去を何回も繰り返すとスティッキングにより傷が発生したり、保護層の一部が剥離してサーマルヘッドに付着し、その剥離物が蓄積することでサーマルヘッドからの熱伝導が低下し、鮮明な画像を形成することは困難であった。
【0006】
更にこれら問題点を解決するため、感熱記録層上に250℃以下のtanδ(tanδ=動的(貯蔵)弾性率G’と動的弾性損失率G”の比G”/G’)のピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度を有さない保護層を有する可逆性感熱記録媒体が提案されている(特許文献16参照)。この提案では、保護層によってサーマルヘッド等の加熱体による画像形成と消去を繰り返し行ってもサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生をかなり抑制できる。
しかし、画像形成及び消去を行う画像処理装置の画像処理高速化にともない、サーマルヘッド等での画像処理を短縮するために、エネルギー印加時間を数msecオーダーの短パルスにした場合や、鮮明な画像を得るためにサーマルヘッド等の加熱体による印加圧力を高くした場合において、画像形成と消去を繰り返すと保護層表面にクラックが生じるという問題がある。また、クラック発生量の増加に伴って保護層の表面状態が悪化し、画像処理装置における搬送性が悪化することでスティッキングが発生し、画像が劣化するという問題がある。
【0007】
これらの問題点を解決するため、保護層が紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、又はジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有し、かつ該保護層のtanδピーク温度、又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下になるように、照射エネルギー150mJ/cm〜1,500mJ/cmの紫外線を照射することにより形成された保護層を有する可逆性感熱記録媒体が提案されている(特許文献17参照)。
しかし、これまで提案されてきた可逆性感熱記録媒体は、プリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カード用途として広く使用され、該分野では、上述したように画像形成及び消去を行う画像処理装置におけるサーマルヘッドと可逆性感熱記録媒体の相互作用のみ議論され、作業者による可逆性感熱記録媒体の折り曲げは、その形態の大きさやカードの厚みから全く想定されていなかった。
【0008】
ところが、最近の可逆性感熱記録媒体では、試し刷りや1回限りの使用でしかない会議資料などのOA用途や工場などでの部品管理及び工程管理用途にまで急速に広まりつつあり、このような分野では、従来のカード分野と比べて、表示エリアがカンバン(A6)サイズからA5サイズ、A4サイズ、A3サイズにまで広く求められている。そのため、従来のプリペイドカード、ポイントカード等の磁気感熱カード用途では全く想定されていない、紙のような取り扱い方が行われるため、サーマルヘッドとの物理的強度に重視していた従来の保護層では、該保護層が硬すぎて、繰り返し印刷する以前の取扱い時点で媒体表面にクラックが発生することで画像が劣化したり、また繰り返し画像形成及び消去をした場合には感熱記録面側に可逆性感熱記録媒体がカールするなどという、いままで予知できなかった新たな問題が発生し、これらの速やかな解決が望まれているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−107584号公報
【特許文献2】特開平4−78573号公報
【特許文献3】特開昭60−193691号公報
【特許文献4】特開昭61−237684号公報
【特許文献5】特開昭62−138556号公報
【特許文献6】特開昭62−138568号公報
【特許文献7】特開昭62−140881号公報
【特許文献8】特開昭63−173684号公報
【特許文献9】特開平2−188293号公報
【特許文献10】特開平2−188294号公報
【特許文献11】特開平5−124360号公報
【特許文献12】特開平6−210954号公報
【特許文献13】特開平10−95175号公報
【特許文献14】特開昭62−55650号公報
【特許文献15】特開平1−133781号公報
【特許文献16】特開平9−142037号公報
【特許文献17】特開平11−334220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行える可逆性感熱記録媒体、並びに、該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、支持体と、該支持体上に感熱記録層と、該感熱記録層上に保護層とを有する可逆性感熱記録媒体において、前記保護層が、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートの2種を併用し、一方がペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基とエステル結合を有した重合性基が直接結合したアクリレート化合物(A)であり、もう一方がペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基とエステル結合を有した重合性基の間に、エステル結合を有した置換基も有してよい炭化水素基を有するアクリレート化合物(B)であることで効果が高まり、更に前記2種類のアクリレート化合物(A)及び(B)の配合質量比を(A)/(B)=1.0/9.0〜5.0/5.0とすることで、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、クラック、カール、及び接着性を向上させることが可能になることを知見した。
【0012】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に感熱記録層と、該感熱記録層上に保護層とを有する可逆性感熱記録媒体において、
前記感熱記録層が、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化し、
前記保護層が、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物から選択される2種のアクリレート化合物を含む組成物の重合物を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体である。
<2> 2種のアクリレート化合物のうち、一方がペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかと、エステル結合を有する重合性基とが直接結合したアクリレート化合物(A)であり、
他方がペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかと、エステル結合を有する重合性基との間に、エステル結合を有する置換基を有していてもよい鎖状の炭化水素基を有するアクリレート化合物(B)である前記<1>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<3> 2種のアクリレート化合物(A)及び(B)の配合質量比が(A)/(B)=1.0/9.0〜5.0/5.0である前記<2>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<4> 2種のアクリレート化合物が、下記構造式(1)及び(2)で表される前記<1>から<3>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
【化6】

【化7】

ただし、前記構造式(1)及び(2)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表す。Yは、−CHO−、−CHCHO−、−CHCHCHO−、−CHCHCHCHO−、−CHCHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−、又は−CO−CHCHCHCHCHO−を表す。Zは、−H、又は−CO−CH=CHを表す。aは1〜5、bは1〜5、cは1〜12をそれぞれ表す。
<5> 電子受容性化合物が下記構造式(3)及び(4)のいずれかで表されるフェノール化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
【化8】

ただし、前記構造式(3)中、X及びYは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表す。Rは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。nは1〜3の整数、mは1〜20の整数、rは0〜3の整数を表す。
【化9】

ただし、前記構造式(4)中、nは、1〜3の整数を表す。Xは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表す。Rは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。
<6> 保護層の支持体側の面と接する層が、ペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかを有するアクリレート化合物を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<7> ペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかを有するアクリレート化合物が、下記構造式(5)で表されるアクリレート化合物(C)である前記<6>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
【化10】

ただし、前記構造式(5)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表す。aは1〜5、bは1〜5を表す。
<8> アクリレート化合物(C)の含有率が、アクリレート化合物(C)の乾燥質量/該アクリレート化合物(C)を含有する層の乾燥質量=0.01〜0.10である前記<7>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<9> 保護層の支持体側の面と接する層が、感熱記録層である前記<6>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<10> 保護層の支持体側の面と接する層が、感熱記録層と保護層の間の中間層である前記<6>から<8>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<11> 感熱記録層と支持体との間に、少なくとも中空粒子を含有する断熱層を有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<12> 中空粒子が、中空率70%以上であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0〜10.0μmであると共に、50%頻度の粒子径(D50)との比率(D100/D50)が2.0〜3.0であり、前記中空粒子を形成する材料がアクリロニトリル及びメタアクリロニトリルの少なくともいずれかをモノマー単位とする共重合体である前記<11>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<13> 可逆性感熱記録媒体がラベル状、シート状及びロール状のいずれかの形態に加工されている前記<1>から<12>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<14> 可逆性感熱記録媒体の画像を形成する面及び反対側の面の少なくともいずれか一方の面の少なくとも一部に、不可逆な可視情報及び印刷可能部分の少なくともいずれかを有する前記<1>から<13>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする可逆性感熱記録ラベルである。
<16> 情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が前記<1>から<12>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を有することを特徴とする可逆性感熱記録部材である。
<17> 情報記録部が、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択されるいずれかである前記<16>に記載の可逆性感熱記録部材である。
<18> 可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去手段との少なくともいずれかを有してなり、該可逆性感熱記録媒体が前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理装置である。
<19> 画像形成手段が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかである前記<18>に記載の画像処理装置である。
<20> 画像消去手段が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかである前記<18>から<19>のいずれかに記載の画像処理装置である。
<21> 可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成工程、及び、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、該可逆性感熱記録媒体が前記<1>から<14>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理方法である。
<22> 画像の形成が、サーマルヘッド又はレーザー照射装置のいずれかを用いて行われる前記<21>に記載の画像処理方法である。
<23> 画像の消去が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかを用いて行われる前記<21>から<22>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<24> サーマルヘッドを用いて画像を消去しつつ新しい画像を形成する工程を含む前記<22>から<23>のいずれかに記載の画像処理方法である。
【0013】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に感熱記録層と、該感熱記録層上に保護層とを有してなり、
前記感熱記録層が、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化し、
前記保護層が、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物から選択される2種のアクリレート化合物を含む組成物の重合物を含有する。その結果、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行える。
【0014】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、本発明の前記可逆性感熱記録媒体における画像形成面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有する。該可逆性感熱記録ラベルは前記接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有するので、前記感熱記録層を直接塗布することが困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手の基板、カードサイズよりも大きなシートサイズの容器、ステッカー、大画面、など広範な用途に適用できる。
【0015】
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が本発明の前記可逆性感熱記録媒体であるので、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行える。一方、前記情報記録部では磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット、ホログラム等の種類に応じた記録方式により、文字情報、画像情報、音楽情報、映像情報等の所望の諸情報が記録され消去される。
【0016】
本発明の画像処理装置は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱し、画像を形成する画像形成手段及び画像の消去を行う画像消去手段の少なくともいずれかを有する。該画像処理装置においては、前記画像形成手段が、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する。一方、前記画像消去手段が、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する。本発明では、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行え、実用性の高い書き換え記録を行うことができる。
【0017】
本発明の画像処理方法は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかを行う。該画像処理方法においては、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する。一方、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する。本発明では、前記可逆性感熱記録媒体として前記本発明の可逆性感熱記録媒体を用いているので、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行え、高発色濃度の画像を形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、紙のように扱われても表面クラックが発生することなく、繰り返しても媒体がカールすることなく、かつ従来の媒体が備え持った印刷性、接着性、及び搬送性を両立し得、発色と消色の繰り返しが安定に行える可逆性感熱記録媒体、並びに、該可逆性感熱記録媒体を用いた可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(可逆性感熱記録媒体)
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に感熱記録層と、該感熱記録層上に保護層とを有してなり、アンダー層、中間層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0020】
<保護層>
今まで提案されてきた可逆性感熱記録媒体は、プリペイドカードやポイントカード等の磁気感熱カード用途として広く使用され、該分野では、画像形成及び消去を行う画像処理装置におけるサーマルヘッドと可逆性感熱記録媒体の相互作用のみが議論されてきた。しかし、OA用途や工場などの部品管理及び工程管理用途のような分野では、従来のカード分野では全く想定されていなかった可逆性感熱記録媒体が紙のように取り扱われるため、サーマルヘッドとの物理的強度を重視していた従来の保護層では、該保護層が硬すぎて、繰り返し印刷する以前の取扱い時点で媒体表面にクラックが発生することで画像が劣化したり、また繰り返し画像形成及び消去をした場合には感熱記録層面側に可逆性感熱記録媒体がカールするなど、いままで予知できなかった新たな問題が発生した。
作業者の取扱い時点で媒体表面にクラックが発生するメカニズムは、作業者が可逆性感熱記録媒体を紙のようにつまんだり、曲げたり、折ったりするため、その際、支持体の柔軟性に対して最外層にある保護層の柔軟性が追随できず、保護層表面に亀裂が発生し、そこが起点となって支持体方向に亀裂が延びてクラックとなる。
【0021】
また、紙のような可逆性感熱記録媒体とするには、プリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カード用途と比べて、全体の総厚みを薄膜にしなければならない。なぜなら、作業者にとってシートの厚みが厚いと重くなり、作業効率が低下するためである。しかし、薄膜化した基材ではコシがなくなるため、繰り返し画像形成及び消去を行うと感熱記録面側に可逆性感熱記録媒体がカールする。このメカニズムは、繰り返しによるサーマルヘッドとの物理的強度を上げるために塗膜硬度の高い材料を保護層に使っているが、カード分野では、保護層の縮む力に対して、基材が厚いことで戻ろうとする力が強く、カールしにくい。しかし、OA用途や工場などでの部品管理及び工程管理用途のような分野では、作業性から基材を薄膜化するため、従来の保護層を展開した場合、サーマルヘッドの熱に対して、基材の戻ろうとする力より保護層の縮む力が上回ることが原因であることを明確にした。
【0022】
即ち、今まで開示されてきた従来の保護層設計に関する先行技術報では、サーマルヘッドとの物理的強度を上げるために保護層を硬くする方向に進んでいたことが、新たな分野での新たな使われ方では対応できないことを知見した。
【0023】
本発明者らが鋭意検討した結果、支持体の柔軟性に追随できるように保護層にも柔軟性を与えることで解決できるに至った。しかし、単純に柔軟性の高い紫外線硬化性樹脂組成物からなる保護層では、クラックとカールは改善できるが、従来から媒体が備え持った印刷性、接着性、搬送性、発色と消色の繰り返し安定性の両立は困難である。
【0024】
そこで、本発明者らは、前記保護層が、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物から選択される2種のアクリレート化合物を含む紫外線硬化性樹脂組成物の重合物を含有することで、いままで予見できなかった作業者の取り扱い時における表面クラックという新たな課題を解決することができる。
前記2種のアクリレート化合物のうち、一方がペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基とエステル結合を有した重合性基が直接結合したアクリレート化合物(A)であり、他方がペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基とエステル結合を有した重合性基の間に、エステル結合を有した置換基も有してよい炭化水素基を有するアクリレート化合物(B)であることで前記問題点を更に解決できるに至った。
【0025】
前記アクリレート化合物(A)には印刷性、接着性、搬送性、発色と消色の繰り返し安定性に対して非常に効果があり、前記アクリレート化合物(B)は、該化合物が有するエステル結合を有した置換基も有してよい炭化水素基が、塗膜に柔軟性を与え、クラックやカールに対して非常に効果がある。
前記2種のアクリレート化合物(A)及び(B)は、下記構造式(1)及び(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0026】
【化11】

【0027】
【化12】

ただし、前記構造式(1)及び(2)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表し、Yは−CHO−、−CHCHO−、−CHCHCHO−、−CHCHCHCHO−、−CHCHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CO−CHCHCHCHCHO−を表し、Zは−H、―CO−CH=CHを表し、aは1〜5、bは1〜5、cは1〜12を表す。
【0028】
前記2種のアクリレート化合物(A)及び(B)の配合質量比は、(A)/(B)=1.0/9.0〜5.0/5.0であることで印刷性、接着性、搬送性、発色と消色の繰り返し安定性とクラックやカールの両立に対して著しい効果がある。前記2種類のアクリレート(A)及び(B)の配合質量比は(A)/(B)=1.0/9.0〜5.0/5.0がより好ましく、(A)/(B)=1.5/8.5〜4.5/5.5が更に好ましく、(A)/(B)=2.0/8.0〜4.0/6.0が特に好ましい。前記アクリレート化合物(A)及び(B)の配合質量比が(A)/(B)=5.0/5.0を超えると、塗膜に十分な柔軟性を与えられないので、クラックやカールに対して効果が得られず、アクリレート化合物(A)及び(B)の配合質量比が(A)/(B)=1.0/9.0未満であると、塗膜に十分な柔軟性を与えられるが、カール、印刷性、搬送性、発色と消色の繰り返し安定性に対して効果が得られない。
【0029】
前記2種のアクリレート化合物の前記組成物における合計含有量は、50質量%〜100質量%が好ましく、60質量%〜100質量%がより好ましい。
【0030】
前記保護層にはフィラーを添加してもよく、該フィラーとしては無機フィラーと有機フィラーに大別することができる。前記無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミ二ウム、含水ケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩;アルミナ、酸化鉄などの水酸化物;酸化亜鉛、酸化インジウム、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物;硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物あるいは硫酸化合物;チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタニウム、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物等が挙げられる。
【0031】
前記有機フィラーの材料としては、例えばシリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、ポリスチレン・ビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いることもできるが、2種類以上含まれてもよく、複合粒子であってもよい。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。
【0032】
また、前記保護層に滑剤を添加してもよく、滑剤の具体例としては、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類:硬化ひまし油等の植物性ワックス類:牛脂硬化油等の動物性ワックス類:ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類:マルガリン酸、ラウリン酸、ミスチレン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類:ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類:ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。
【0033】
前記保護層は、離型剤、及び紫外線吸収剤を含有してもよく、更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
前記離型剤としては、例えば、重合性基を持つシリコーン、シリコーングラフトをした高分子、ワックス、ステアリン酸亜鉛、シリコーンオイル等が挙げられる。
前記離型剤の添加量としては、前記保護層の樹脂成分全質量に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、1質量%〜30質量%が更に好ましい。前記添加量が0.01質量%未満であると、添加による効果を得ることができなくなり、前記添加量が50質量%を超えると、下層との接着性に問題が生じることがある。
前記その他の成分としては、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
【0034】
前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、保護層の塗工方法、乾燥方法、硬化方法等は後述する感熱記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
前記保護層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1.5μm〜6μmが更に好ましい。前記厚みが0.1μm未満であると、記録されている画像の消去及び印字を繰り返した際に保護層が破壊されてしまい十分な耐久性が得られなく、また、薬品などに対して容易に冒され、可逆性感熱記録媒体としての機能を失ってしまうことがあり、前記厚みが20μmを超えると、ドット再現性(印字画像の精細性)が悪いぼやけた画像しか得られず、また熱伝導性の問題から印字及び消去に使用するエネルギーが増大し、装置にかかる負担が増加することがある。
【0035】
本発明においては、保護層の支持体側の面と接する層が、ペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかを有するアクリレート化合物を含有することが好ましい。これにより、更に接着性とクラックの両立を向上させることができる。
前記保護層の支持体側の面と接する層としては、感熱記録層、感熱記録層と保護層の間の中間層などが挙げられる。前記感熱記録層及び中間層については後述する。
【0036】
前記ペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかを有するアクリレート化合物としては、下記構造式(5)で表されるアクリレート化合物(C)であることが好ましい。これにより、アクリレート化合物(C)のもつ水酸基(ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基と水素基の結合による水酸基部分)が保護層中の成分と結合し層間結着力を増加させることで、クラック、カール、接着性の両立を更に向上させることができる。
【化13】

ただし、前記構造式(5)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表す。aは1〜5、bは1〜5を表す。
【0037】
前記アクリレート化合物(C)の含有率が、アクリレート化合物(C)の乾燥質量/該アクリレート化合物(C)を含有する層の乾燥質量=0.01〜0.10であることが好ましい。これにより、クラック、カール、接着性の両立に対して著しい効果がある。
前記アクリレート化合物(C)の含有率は、アクリレート化合物(C)の乾燥質量/該アクリレート化合物(C)を含有する層の乾燥質量=0.01〜0.10が好ましく、0.01〜0.08がより好ましく、0.01〜0.07が更に好ましい。前記アクリレート化合物(C)の乾燥質量/該アクリレート化合物(C)を含有する層の乾燥質量が、0.01未満では、接着性とクラックの両立に対して著しい効果が得られず、0.10を超えると、発色と消色の繰り返し安定性が悪くなることがある。
【0038】
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有してなり、温度に依存して色調が可逆的に変化する。
本発明においては、前記感熱記録層が、保護層の支持体側の面と接する層である場合には、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物のいずれかを含有することが好ましく、具体的には、上記構造式(5)で表されるアクリレート化合物(C)を含むことが好ましい。
【0039】
前記感熱記録層における「温度に依存して色調が可逆的に変化する」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす現象を意味し、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得ることを意味する。この場合、目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明においては、主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後、冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。これらの中で
も、第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが特に好ましい。
【0040】
これらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報)、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報など)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報など)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報)等が挙げられる。
【0041】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、加熱温度及び加熱後の冷却速度の少なくともいずれかにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得るものである。ここで、発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色及び消色現象について説明する。図1は、この可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0042】
前記可逆性感熱記録媒体においては、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり、結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色及び発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
本発明の可逆性感熱記録媒体は、発色記録の形成はサーマルヘッドなどにより一旦溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度又は結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。
【0043】
−電子受容性化合物−
前記電子受容性化合物(顕色剤)としては、熱を因子として発消色を可逆的に行うことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)電子供与性呈色化合物(発色剤)を発色させる顕色能を有する構造(例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基など)、及び(ii)分子間の凝集力を制御する構造(例えば、長鎖炭化水素基が連結した構造)、から選択される構造を分子内に1つ以上有する化合物が好適である。なお、連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また、長鎖炭化水素基中にも同様の連結基及び芳香族基の少なくともいずれかが含まれていてもよい。これらの中でも、下記構造式(3)で表されるフェノール化合物、下記構造式(4)で表されるフェノール化合物が特に好ましい。
【0044】
【化14】

ただし、前記構造式(3)中、X及びYは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表す。Rは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。nは1〜3の整数、mは1〜20の整数、rは0〜3の整数を表す。
【0045】
【化15】

ただし、前記構造式(4)中、nは、1〜3の整数を表す。Xは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表す。Rは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。
【0046】
前記構造式(3)及び(4)におけるRは、置換基により置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表す。
前記Rとしては、以下に示すものが好適に挙げられる。
【0047】
【化16】

ただし、前記式中のq、q’、q’’、及びq’’’は、それぞれ前記Rの炭素数を満足する整数を表す。これらの中でも、−(CH−が特に好ましい。
【0048】
前記構造式(3)及び(4)におけるRは、置換基により置換されていてもよい炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基を表し、炭素数は8〜18が好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基に結合している置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等がある。なお、R及びRの炭素の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上がより好ましい。
前記Rとしては、以下に示すものが好適に挙げられる。
【化17】

ただし、前記式中のq、q’、q’’、及びq’’’は、それぞれ前記Rの炭素数を満足する整数を表す。これらの中でも、−(CH−CHが特に好ましい。
【0049】
前記構造式(3)及び(4)におけるX及びYは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表し、特に窒素原子又は酸素原子を含む2価の有機基が好ましく、例えば、下記構造式で表される基を少なくとも1個以上有する2価の有機基を表す。
【化18】

【0050】
前記2価の有機基としては、下記構造式で表される基が好適に挙げられる。
【化19】

【0051】
これらの中でも、特に好ましい基としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。
【化20】

【0052】
前記構造式(3)で表されるフェノール化合物としては、下記構造式(3−1)〜(3−4)で表される化合物が挙げられる。
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

ただし、前記構造式(3−1)〜(3−4)中、q、q'、q''、及びsは、それぞれ独立に0〜20の整数を表し、これら整数の和は8以上である。Y、Y'、及びY''は、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表し、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
前記構造式(3)で表されるフェノール化合物の具体的としては、例えば、構造式(3−1)及び構造式(3−2)の例として、下記表1に示した化合物が挙げられる。また、ここでは構造式で示さないが、前記構造式(3−3)、構造式(3−4)で表される化合物の場合もX及びYについては、下記表1と同様なものが具体例として挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0054】
【表1】

【0055】
前記構造式(4)で表されるフェノール化合物としては、例えば、下記構造式(4−1)及び下記構造式(4−2)のいずれかが好適に挙げられる。
【化25】

ただし、前記構造式(4−1)及び(4−2)中、mは、5〜11を表す。nは、8〜22を表す。
【0056】
前記構造式(4−1)及び構造式(4−2)で表されるフェノール化合物の具体的な例を下記に示す。
【0057】
【化26】

【0058】
【化27】

【0059】
−電子供与性呈色化合物−
前記電子供与性呈色化合物(発色剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロイコ染料などが好適に挙げられる。
前記ロイコ染料としては、フルオラン化合物、アザフタリド化合物が好適であり、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、などが挙げられる。
【0060】
また、前記電子供与性呈色化合物(発色剤)としては、前記のフルオラン化合物、アザフタリド化合物の他に、従来公知のロイコ染料を使用することができ、例えば、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる色調に発色する層を積層することによってマルチカラー、フルカラーにすることもできる。
【0061】
前記電子供与性呈色化合物(発色剤)と前記電子受容性化合物(顕色剤)の混合割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が異なり一概には規定できないが、モル比で発色剤1に対し顕色剤0.1〜20が好ましく、0.2〜10がより好ましい。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下して問題となることがある。また、発色剤と顕色剤とはマイクロカプセル中に内包させて用いることもできる。
【0062】
−消色促進剤−
本発明においては、前記顕色剤と、消色促進剤として分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基を少なくとも一つ有する化合物を併用することにより、消去状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、消去速度を格段に速くすることが可能である。
【0063】
前記消色促進剤としては、分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基から選択される少なくとも1つを有する化合物であればよく、これらの中でも、下記構造式(5)〜(11)で表される化合物が特に好ましい。
【0064】
−NHCO−R ・・・構造式(5)
−NHCO−R−CONH−R ・・・構造式(6)
−CONH−R−NHCO−R ・・・構造式(7)
−NHCOO−R ・・・構造式(8)
−NHCOO−R−OCONH−R ・・・構造式(9)
−OCONH−R−NHCOO−R ・・・構造式(10)
【化28】

ただし、前記構造式(5)〜(11)中、R、R、及びRは、炭素数7〜22の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を表す。Rは、炭素数1〜10の2価の有機基を表す。Rは、炭素数4〜10の3価の官能基を表す。
【0065】
、R、及びRとしては、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、等が挙げられる。
としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘプタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、−COC−基、−COC−基、−COCOC−基、等が挙げられる。
としては、下記構造式で表されるものが好適に挙げられる。
【0066】
【化29】

【0067】
前記構造式(5)〜前記構造式(11)で表される化合物の具体的な例としては、以下の(1)〜(81)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0068】
(1)C1123CONHC1225
(2)C1531CONHC1633
(3)C1735CONHC1837
(4)C1735CONHC1835
(5)C2141CONHC1837
(6)C1531CONHC1837
(7)C1735CONHCHNHCOC1735
(8)C1123CONHCHNHCOC1123
(9)C15CONHCNHCOC1735
(10)C19CONHCNHCOC19
(11)C1123CONHCNHCOC1123
(12)C1735CONHCNHCOC1735
(13)(CHCHC1435CONHCNHCOC1435(CH
(14)C2143CONHCNHCOC2143
(15)C1735CONHC12NHCOC1735
(16)C2143CONHC12NHCOC2143
(17)C1733CONHCHNHCOC1733
(18)C1733CONHCNHCOC1733
(19)C2141CONHCNHCOC2141
(20)C1733CONHC12NHCOC1733
(21)C17NHCOCCONHC1837
(22)C1021NHCOCCONHC1021
(23)C1225NHCOCCONHC1225
(24)C1837NHCOCCONHC1837
(25)C2143NHCOCCONHC2143
(26)C1837NHCOC12CONHC1837
(27)C1835NHCOCCONHC1835
(28)C1835NHCOC16CONHC1835
(29)C1225OCONHC1837
(30)C1327OCONHC1837
(31)C1633OCONHC1837
(32)C1837OCONHC1837
(33)C2143OCONHC1837、
(34)C1225OCONHC1633
(35)C1327OCONHC1633
(36)C1633OCONHC1633
(37)C1837OCONHC1633
(38)C2143OCONHC1633
(39)C1225OCONHC1429
(40)C1327OCONHC1429
(41)C1633OCONHC1429
(42)C1837OCONHC1429
(43)C2245OCONHC1429
(44)C1225OCONHC1237
(45)C1327OCONHC1237
(46)C1633OCONHC1237
(47)C1837OCONHC1237
(48)C2143OCONHC1237
(49)C2245OCONHC1837
(50)C1837NHCOOCOCONHC1837
(51)C1837NHCOOCOCONHC1837
(52)C1837NHCOOCOCONHC1837
(53)C1837NHCOOC12OCONHC1837
(54)C1837NHCOOC16OCONHC1837
(55)C1837NHCOOCOCOCONHC1837
(56)C1837NHCOOCOCOCONHC1837
(57)C1837NHCOOC1224OCONHC1837
(58)C1837NHCOOCOCOCOCONHC1837
(59)C1633NHCOOCOCONHC1633
(60)C1633NHCOOCOCONHC1633
(61)C1633NHCOOCOCONHC1633
(62)C1633NHCOOC12OCONHC1633
(63)C1633NHCOOC16OCONHC1633
(64)C1837OCOHNC12NHCOOC1837
(65)C1633OCOHNC12NHCOOC1633
(66)C1429OCOHNC12NHCOOC1429
(67)C1225OCOHNC12NHCOOC1225
(68)C1021OCOHNC12NHCOOC1021
(69)C817OCOHNC12NHCOOC17
【化30】

【0069】
前記消色促進剤の添加量は、前記顕色剤100質量部に対し0.1質量部〜300質量部が好ましく、3質量部〜100質量部がより好ましい。前記添加量が0.1質量部未満であると、消色促進剤の添加効果が発揮されないことがあり、300質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0070】
前記感熱記録層には、前記成分以外にも、バインダー樹脂、更に必要に応じて感熱記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり、制御するための各種添加剤を用いることができる。該添加剤としては、例えば、架橋剤、架橋促進剤、フィラー、滑剤、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、可塑剤などが挙げられる。
【0071】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン樹脂、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、アクリル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、などが挙げられる。
これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つところにある。したがって、前記バインダー樹脂としては、耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。また、前記バインダー樹脂としては、架橋剤を添加し、例えば、熱、紫外線、電子線などで架橋可能な硬化性樹脂を用いることが好ましい(以下、「架橋状態にある樹脂」と称することもある)。前記感熱記録層に硬化性樹脂を含有することによって、感熱記録層の耐熱性及び塗膜強度が向上し、可逆性感熱記録媒体の繰り返し耐久性が向上する。
【0072】
前記硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂、などが挙げられる。
これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が特に好ましい。
また、前記硬化性樹脂の水酸基価としては、耐久性、塗膜表面硬度及びワレ抵抗性を向上させる点から、70KOHmg/g以上が好ましく、90KOHmg/g以上がより好ましい。前記水酸基価の大小は、架橋密度に影響するため、塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。
【0073】
前記アクリルポリオール樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、カルボン酸基を有する不飽和単量体、水酸基を有する不飽和単量体、及びその他のエチレン性不飽和単量体とを用い、公知の溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等に従って合成することができる。前記水酸基を有する不飽和単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4−ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが挙げられ、これらの中でも、第1級水酸基を持つモノマーを使用した方が、塗膜のワレ抵抗性や耐久性がよいことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
【0074】
前記架橋剤としては、特に制限はなく、従来公知のイソシアネート系化合物、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等の中から目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、イソシアネート系化合物が特に好適である。
【0075】
前記イソシアネート系化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体などが挙げられる。また、前記変性体を形成するイソシアネート単量体としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
前記架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。該架橋促進剤としては、例えば、1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、架橋剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくてもよい。即ち、未反応架橋剤が存在していてもよい。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の架橋剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の架橋剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、ポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。即ち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。そこで、溶質中にポリマー構造の存在が確認できなければ、該ポリマーは非架橋状態にあることが言え、架橋状態のポリマーと区別することができる。ここでは、これをゲル分率で表すことができる。
【0076】
前記ゲル分率とは、溶媒中で樹脂溶質が相互作用により独立運動性を喪失して集合し個化した状態(ゲル)を生じるときのそのゲルの生成比率を意味する。該樹脂は、ゲル分率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましい。前記ゲル分率が小さいと繰り返し耐久性が低下するので、ゲル分率を向上させるには、樹脂中に熱、紫外線照射(UV)、電子線照射(EB)等によって硬化する硬化性樹脂を混合するか、樹脂自身を架橋すればよい。
ここで、前記ゲル分率測定方法としては、支持体より膜を剥離してその膜の初期質量を測定し、その後、膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の質量を測定することができる。
前記ゲル分率は、下記数式1により求めることができる。
【0077】
【数1】

【0078】
この計算によりゲル分率を算出するときに、感熱記録層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の質量を除いて計算を行う。この際、予め有機低分子物質の質量が分からないときには、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により質量比率を求めて、有機低分子物質の質量を算出して、ゲル分率値を算出すればよい。
また、前記測定の際に、支持体上に感熱記録層が設けられており、その上に保護層等の他の層が積層されている場合や、支持体と感熱記録層の間に他の層がある場合には、まず、前記した透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の断面観察により感熱記録層及びその他の層の厚みを測定しておき、該その他の層の厚み分の表面を削り、感熱記録層表面を露出させると共に、感熱記録層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率の測定を行えばよい。
【0079】
また、前記ゲル分率の測定方法において、前記感熱記録層上層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層等がある場合には、保護層等が混入するのを極力防ぐために、保護層分の厚み分を削ると共に、該感熱記録層表面も少し削ってゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
記録層中に、前記保護層で記載した無機フィラー及び/又は有機フィラーの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。
【0080】
前記フィラーの含有量は、体積分率で通常5体積%〜50体積%が好ましい。
前記滑剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類;硬化ひまし油等の植物性ワックス類;牛脂硬化油等の動物性ワックス類;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸類;ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。
前記滑剤の前記感熱記録層における含有量は、体積分率で0.1体積%〜95体積%が好ましく、1体積%〜75体積%がより好ましい。
【0081】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
【0082】
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、などが挙げられる。
【0083】
前記感熱記録層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記バインダー樹脂、前記電子供与性呈色化合物、及び前記電子受容性化合物を溶媒中に溶解乃至分散させた感熱記録層塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にするのと同時に又はその後に架橋する方法、(2)前記バインダー樹脂のみを溶解した溶媒に、前記電子供与性呈色化合物及び前記電子受容性化合物を分散させた感熱記録層塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にすると同時に又はその後に架橋する方法、(3)溶媒を使用せず、前記バインダー樹脂と前記電子供与性呈色化合物、及び前記電子受容性化合物とを加熱溶融して互いに混合し、この溶融混合物をシート状等に成形して冷却した後に架橋する方法、などが好適に挙げられる。なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の可逆性感熱記録媒体として成形することもできる。
【0084】
前記(1)又は(2)において用いる溶剤としては、前記バインダー樹脂、前記電子供与性呈色化合物、及び前記電子受容性化合物の種類等によって異なり一概には規定することはできないが、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン、などが挙げられる。
なお、前記電子受容性化合物は前記感熱記録層中では粒子状に分散して存在している。
【0085】
前記感熱記録層塗布液には、コーティング材料用としての高度な性能を発現させる目的で、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加してもよい。
前記感熱記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
【0086】
前記感熱記録層塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で10分間〜1時間程度である。
【0087】
前記感熱記録層における前記樹脂を硬化させるには、加熱、紫外線照射、電子線照射などにより行うことができる。
前記紫外線照射は、特に制限はなく、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記可逆性感熱記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
前記電子線照射は、公知の電子線照射装置を用いて行うことができ、該電子線照射装置は、走査型(スキャンビーム)又は非走査型(エリアビーム)の2種に大別でき、その条件としては照射面積、照射線量等に応じて選択することができる。また、電子線照射条件は、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送スピードを考慮し、下記数式2から決定することができる。
【0088】
【数2】

ただし、前記数式(2)中、Dは、必要線量(Mrad)を表す。△E/△Rは、平均エネルギー損失を表す。ηは、効率を表す。Iは、電子流(mA)を表す。Wは、照射幅(cm)を表す。Vは、搬送速度(cm/s)を表す。
なお、工業的には、前記数式(2)を簡略化し、下記数式(3)を用いることが好ましい。
【0089】
【数3】

ここで、装置定格は、Mrad・m/minで表され、電子流定格は、20〜500mA程度が選択される。
【0090】
前記感熱記録層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。
前記感熱記録層の厚みが、薄すぎると発色濃度が低くなるため、画像のコントラストが低くなることがあり、厚すぎると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、目的とする発色濃度が得られなくなることがある。
【0091】
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、などが挙げられる。前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属等が挙げられる。前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、画像鮮明性の高いシートを得るために、支持体単独の曇り度(JIS K7105で規定される曇り度、ヘーズ)が10%以下であるポリエチレンテレフタレート、PET−Gフィルムが特に好ましい。
前記支持体は、塗布層の接着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理、等により表面改質することが好ましい。また、前記支持体には、酸化チタン等の白色顔料などを添加して白色にすることが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm〜2,000μmが好ましく、20μm〜1,000μmがより好ましく、20μm〜300μmが更に好ましく、20μm〜200μmが特に好ましい。
前記支持体は、感熱記録層と同一面及び反対面の少なくともいずれかに磁気感熱記録層を有していてもよい。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は粘着層等を介して、他の媒体へ貼り付けることもできる。
【0092】
<断熱層>
断熱層は、印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は支持体と感熱記録層の接着性の改善や支持体への感熱記録層材料の浸透防止を目的として、前記感熱記録層と前記支持体の間に設けられ、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子としては、中空部が粒子内に一つ存在する単一中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂としては、前記感熱記録層と同様の樹脂を用いることができる。
また、前記断熱層には、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記断熱層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記断熱層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜100μmが好ましく、1μm〜80μmがより好ましく、5μm〜50μmが更に好ましく、5μm〜40μmが特に好ましい。
【0093】
本発明においては、サーマルヘッド方式での消去エネルギー領域の拡大に対し、中空粒子を含有する断熱層を設置し、その中空粒子として中空率が70%以上で、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであると同時に、50%頻度の粒子径(D50)との比率(D100/D50)が2.0〜3.0である中空粒子を用いることにより可能である。
ここで、前記50%頻度の粒子径とは、粒子径分布を小さい方から累積%で表したときに、累積%が50%に達するときの粒子径を意味している。
【0094】
本発明において、中空粒子の最大粒子径は5μm〜10μmであることが好ましい。前記最大粒子径が10μmより大きい場合は、これらを用いた断熱層上に感熱記録層を設けると断熱層の大きな粒子の部分は感熱記録層が形成されない部分ができ、ベタ画像を印字した場合に白抜けが発生しやすい。一方、前記最大粒子径が5μmより小さい場合は、中空率70%以上を確保することが困難になり、その結果感度が低くなる。従って、中空粒子の最大粒子径は5μm〜10μmであることが好ましい。また、発色濃度の高濃度化のみを考えた場合、中空率は60%以上あれば効果を発現することは可能であるが、可逆性感熱記録媒体は消去過程を有しており、中でもサーマルヘッドを用いた消去方式では、熱ローラを用いた方式と比べて消去に供するエネルギーが極端に小さくなる特徴があるため、印加エネルギーの有効活用の程度がより高くする必要がある。従って、サーマルヘッドを用いた消去方式での消去濃度、消去エネルギー領域の拡大を確保するためには断熱層に用いる中空粒子の中空率は70%以上が必要となる。
【0095】
本発明において、中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)と最大粒子径(D100)の比率(D100/D50)は2.0〜3.0が好ましいが、3.0より大きい場合は、粒子径分布がブロード状態にあることを示しており、粒子径1μm以下の微小粒子の割合が多くなり、これらを用いた断熱層は層内の中空粒子の分布不均一になり感度が低下する現象を引き起こす。一方、2.0未満の場合は非常にシャープな粒子径分布を有することになり合成条件の点から実現が難しいのが現状である。従って中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)と最大粒子径(D100)の比率D100/D50は2.0〜3.0が好ましい。
【0096】
本発明において、中空粒子の2μm以下の割合は5%〜10%が好ましいが、10%を超える場合は、粒子径1μm以下の微小粒子の割合が多くなり、これらを用いた断熱層は層内の中空粒子の分布不均一になり感度が低下する現象を引き起こす。一方、5%未満の場合は非常にシャープな粒子径分布を有することになり合成条件の点から実現が難しいのが現状である。従って中空粒子の2μm以下の割合は5%〜10%が好ましい。
【0097】
前記中空粒子は中空率が70%以上であると同時に、中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmであると同時に、50%頻度の粒子径(D50)との比率D100/D50が2.0〜3.0を満足することが特徴であり、従来この条件を満足するような中空粒子を可逆感熱記録材料に利用することは知られていなかった。従来、可逆性感熱記録材料で用いられている中空粒子は、中空率60%以上を達成するためには揮発性物質を熱可塑性ポリマーに内包させて揮発発泡させる方法が必要であるが、粒子径は20μm以上の中空粒子しかなかった。一方、粒子径を小さくするためにはシード重合を利用して水等を内包させた粒子から水を放出することにより粒子径1μm以下のタイプは存在したが、中空率が50%以下しかなかった。本発明では、シェル材、重合方法、揮発性内包剤の検討から中空率が70%以上と、中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0μm〜10.0μmと、50%頻度の粒子径(D50)との比率D100/D50が2.0〜3.0を満足する中空粒子を得ることができ、それを可逆性感熱記録材料に初めて展開するための繰り返し試行を通じて、それらのパーフォマンスを逐次確認することにより、良好な可逆性感熱記録材料を実現することができるに至った。
【0098】
前記中空粒子のガラス転移温度(Tg)は、95℃〜150℃が好ましく、95℃〜120℃がより好ましい。前記Tgが95℃より低い場合、これらを用いた断熱層はサーマルヘッドによる印字時に感熱発色層と融着しその結果スティッキングが発生し良好な印字が困難になる現象が認められる。一方、前記Tgが150℃より高い場合は、サーマルヘッドによる印字時に断熱層が剛直な状態にあり柔軟性が不足するためにヘッドとの密着性が低下し感度が低下する現象が認められる、従って、中空粒子のTgは95℃〜150℃が好ましい。
このように、可逆性感熱記録媒体の断熱層に中空率が70%以上であり、最大粒子径(D100)は10.0μm以下が好ましく、5.0μm〜10.0μmがより好ましい。50%頻度の粒子径(D50)と最大粒子径(D100)の比率(D100/D50)は3.0以下が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。更に、2μm以下の割合は10%以下が好ましく、5%〜10%がより好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は95℃以上が好ましく、95℃〜150℃の中空粒子を用いることにより、断熱性、ヘッド密着性が向上し、サーマルヘッドの熱が効率よく可逆性感熱記録媒体表面へ伝わるため高感度化が達成させると共に、可逆性感熱記録媒体の表面を均一に保ち、印字白ぬけの発生を防止し、印字画像の均一性が向上する。
【0099】
前記粒径の値は、全てレーザー回折式粒径分布測定装置(堀場製作所製、LA−900)を用いて測定したものである。メジアン径は50%頻度の粒径でありD50と記し、最大粒子径は分布の最大粒子径でありD100と記す。このプラスチック球状中空微粒子の中空度は、中空粒子の外径と内径の比であり下記式で表示されるものである。
【0100】
【数4】

【0101】
前記Tgはガラス転移温度のことであり、中空粒子の樹脂成分のTgを表す。これは、中空粒子の樹脂成分と同一の樹脂で固形物を形成し、その固形物について通常の方法(DSC、DTA、TMA等)によってガラス転移(Tg)を測定したものである。
【0102】
本発明において、中空粒子は断熱材として作用すると共に弾力性を有することから、サーマルヘッドからの熱エネルギーを効率よく活用し発色感度向上をもたらす。感度の点から中空率は70%以上が好ましく、75%〜98%がより好ましく、85%〜95%が更に好ましい。前記中空率が70%未満であると、前記の効果が少なくなり、前記中空率が98%を超えると、膜厚が薄くなるため強度が低下することがある。
【0103】
前記中空粒子の製造方法としては、種々提案されているが、本発明の中空粒子を製造する方法としては、ポリマーの芯物質として揮発性物質を内包させ、外層は熱可塑性ポリマーからなり、揮発発泡させる方法が、通常用いられる。具体的な方法としては、WO99/46320号公報、特開2000−24488号公報に開示されている方法が該当する。この方法においては、加熱発泡時に中空率を70%以上とするためには、シェル材の透過性が低いことが要件である。従来の塩化ビニリデンを含むポリマーは、透過性は低いが環境上問題があった。そこで、本発明者らは、透過性の低い中空粒子のシェル材として、塩化ビニリデンではなく、架橋されたビニルポリマーを用いることにより、透過性を低く、かつ中空率を70%以上にできる。
【0104】
前記ビニルポリマーとしては、例えばアクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、イタコン酸等のカルボン酸を分子内に有するモノマー;アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸亜鉛等のカルボン酸金属塩;分子内にカルボン酸と反応性の基を有しているN−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、マグネシウムモノアクリレート、ジンクモノアクリレート等;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、メチルメタアクリレート、t−ブチルメタアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミドなどが挙げられる。
【0105】
前記中空粒子は、中空率が高くなると同時にシェルの厚みが薄くなることが必要になる。前記シェルが薄くなると、圧力等に対する強度が弱くなり破壊されやすくなってしまう。一方、単にシェルを固くして強度を持たせようとした場合、脆くなる傾向があり屈曲により破壊されやすくなってしまう。従って、固さと柔軟性のバランスがシェル材には必要であり、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルは固さと柔軟性を併せ持つ好ましいシェル材として挙げられる。しかし、前記粒径及び中空率の中空粒子が、該特定なシェル材、重合方法、揮発性内包剤でしか実現できない訳ではなく、他の手段によっても実現可能である。
【0106】
前記中空粒子は、架橋構造を形成することも可能である。架橋構造を形成する材料即ち架橋剤としては、前記ビニルモノマーと共に2官能性以上のモノマーを共重合することで達成される。また、ビニル基を一分子当り2個以上有するビニルモノマー又はジビニルベンゼンが好適である。
前記架橋性モノマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート3−アクロイルオキシグリセリンモノアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、フタル酸ジアリール、ジビニルベンゼン、等一般の架橋性モノマーを用いることができる。架橋性モノマーとしても、塩素原子等のハロゲン原子を含まないものが使用され、また、中空粒子の最大粒径を10μm以下とするためには、形成された中空粒子の粒径分布がシャープであることが必要であり、そのためには前記式(1)で表されるアクリルモノマーを含有した共重合体は、粒子の粒径分布がシャープとなるという特性を有し、この点で優れた効果を示す。該式(1)の左の環であるノルボルナンのクロスした結合手の末端は水素であるが、メチル基であってもよい。本発明で使用する架橋剤の使用量はモノマー中に0.1%〜10%程度が好ましい。
【0107】
実際のマイクロカプセル作製に当たっては、従来からの発泡性マイクロカプセルの作製方法が一般に用いられる。即ち、水系として分散剤はコロイダルシリカ系のゲルを用いる。補助分散剤として水溶性高分子化合物を用いる。
水溶性高分子としてジエタノールアミンアジピン酸縮合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン系ポリマーなど両性かカチオン系の水溶性高分子を用いる。
【0108】
また、本発明には多量の水溶性モノマーを使用するために無機金属塩を使用する。水溶性金属塩として塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ソーダなど中性又は酸性領域で水に溶解する化合物を用いる。
使用量は水性混合物への飽和量〜(飽和量−5%)の濃度で行う。前記混合物をpH3〜5に調整し、水系とする。
【0109】
油相は均一に混合して用いる。前記したラジカル反応性の不飽和2重結合を持つモノマー混合物、合成に適した沸点を有する溶剤混合物、ラジカル開始剤混合物が油相として用いられる。溶剤は合成に適した温度以下の沸点を有する有機溶剤が用いられるが、外壁ポリマーに溶解せず発泡効率の高いものなら何でも使用できるが、高温時に使用するために溶剤としては沸点が50℃〜200℃範囲の炭化水素型の溶剤が使用に適している。例えばn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、イソデカン、その他石油分留成分が適時使用されるが、比較的低沸点の溶剤を使用すると発泡開始温度番は低下する傾向にある。
【0110】
前記ラジカル開始剤としては、2種類以上を混合して用いる。10時間半減期の温度差が20℃以上である2種類以上の触媒を併用することが、残存するアクリロニトリルモノマーを無くするのに好ましい。使用できる触媒としては、過酸化物型、アゾビス型いずれでもよいが10時間半減期が0℃〜130℃が好ましく、20℃〜100℃がより好ましい。
【0111】
具体的には、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、ラウロイルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが使用され、アゾビスイソブチロニトリルと1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)の併用又はアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)と1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)の併用がより好ましい。
【0112】
本発明においては、前記粒子の特性の一つである感度向上に対し中空粒子を使用すると共にその結着剤として疎水性エマルジョン樹脂、紫外線硬化樹脂、水溶性樹脂等を使用しその含有量を中空粒子100質量部に対し結着剤が100質量部〜300質量部が好ましく、100質量部〜200質量部がより好ましい。これにより、大幅に感度向上できることが判明した。これは、断熱層内で充填された中空粒子の空隙を埋めることにより中間層表面の平滑性が更に向上した結果と考えられ、前記結着剤が100質量部より少ない場合は中空粒子の空隙が残るために発色濃度の低下を引き起こすことがあり、300質量部を超えると、断熱層内の中空粒子の割合が低下するため断熱層の断熱性が低下して感度低下を引き起こすことがある。
【0113】
前記断熱層に使用される疎水性樹脂としては、例えばスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリルエステル共重合体のラテックスや酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリルエステル共重合体、アクリルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
また、断熱層に用いられる紫外線硬化樹脂としてはウレタンアクリレート系水溶性紫外線硬化樹脂、エポキシアクリレート系水溶性紫外線硬化樹脂、アルコキシアクリレート系紫外線硬化樹脂、ポリウレタンアクリレート系紫外線硬化エマルジョン、アクリル系モノマー、ウレタンアクリル系オリゴマー、エーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー、エステル系ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
更に、断熱層に使用される水溶性樹脂としては、完全けん化ポリビニルアルコール、カルボキシル変成ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、スルホン酸変成ポリビニルアルコール、シリル変成ポリビニルアルコール、アセトアセチル変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール等各種変成ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0114】
本発明においては、感度等の品質を阻害しない範囲で公知の水溶性高分子を組み合わせて使用できる。公知の水溶性高分子、水性高分子エマルジョンなどのバインダーとしては澱粉又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン、等が挙げられる。水溶性エマルジョンとしてはスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリルエステル共重合体のラテックスや酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリルエステル共重合体、アクリルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
【0115】
本発明において、ヘッドマッチング向上のために前記断熱層にアルカリ性増粘剤を用いることも可能である。アルカリ性増粘剤は、アルカリ条件下で増粘する結着剤を意味する。このようなアルカリ増粘性結着剤の代表例としては、スチレン−ブタジエン共重合体を主成分としたエマルジョンラテックスが挙げられる。本発明では、アルカリ増粘性結着剤を単独で用いることも可能であるが、結着剤成分を分散粒子として安定に存在させるために、例えば不飽和カルボン酸の共重合体であるカルボキシル化ラテックス等を用いることが好ましい。即ち、カルボキシル化ラテックスはpHを高くすると粒子表面の高カルボキシル化ポリマーが水中に溶解するために増粘し、このため前記結着剤の増粘性を更に向上することができるからである。前記断熱層は前記構成としたことから、プラスチック微小中空粒子の分散安定性が増大するので、従来のようにソディウムモンモリロナイトあるいは変性ポリアクリル酸等の通常添加される増粘剤を添加する必要が無い。また、アルカリ増粘性結着剤は増粘作用の他に中空粒子同士を強固に結着させるため、前記増粘剤を用いた時に較べてサーマルヘッドとのマッチング性が著しく改善される。
前記アルカリ増粘性結着剤は、中空粒子100質量部に対し1質量部〜80質量部が好ましく、5質量部〜50質量がより好ましい。また、該結着剤はスチレン−ブタジエン共重合体であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、アルカリ条件下で増粘するものであればどのようなものでもよい。また、断熱層液をアルカリ下に保つためにpH調整剤が必要となるが、そのようなものとして、例えば、NH水などが用いられるが、著しく発色を阻害するものでなければこれに限定されるものでは無い。なお、断熱層には、プラスチック微小中空粒子及びアルカリ増粘性結着剤に加え、必要に応じて更にこの種の可逆性感熱記録媒体に慣用される補助添加成分、例えばフィラー、熱可溶性物質、界面活性剤等を使用することができる。この場合フィラー及び熱可溶性物質の具体例としては後記において感熱記録層成分との関連で示された各種のものが挙げられる。
【0116】
前記断熱層には、前記の中空粒子及びバインダーと共に、必要に応じて更にこの種の可逆性感熱記録媒体に慣用される補助添加成分、例えばフィラー、熱可融性成分、界面活性剤等を使用することができる。また、これら断熱層成分を均一に、かつ、更に高速に塗工するためには中空粒子の20%水分散液の液温20℃における粘度が200mPa・s以下であることが好ましい。200mPa・sを超える粘度の場合、前記のようにして作製した塗工液は粘度が高くなり、塗工ムラが発生する。また、前記のようにして支持体上に形成された断熱層の表面をより平滑にするために断熱層形成後、キャレンダー処理することにより平面を平滑にしてもよい。
【0117】
<中間層>
前記中間層は、前記感熱記録層と前記保護層の接着性向上、保護層の塗布による感熱記録層の変質防止、保護層中の添加剤の感熱記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく、これによって発色画像の保存性が改善できる。
【0118】
前記中間層が、保護層の支持体側の面と接する層である場合には、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物のいずれかを含有することが好ましく、具体的には、下記構造式(5)で表されるアクリレート化合物(C)を含み、バインダー樹脂、及び紫外線吸収剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【化31】

ただし、前記構造式(5)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表す。aは1〜5、bは1〜5を表す。
【0119】
前記バインダー樹脂としては前記感熱記録層で用いられた樹脂を用いることができ、これらの中でも、硬化性樹脂を添加することにより、可逆性感熱記録媒体の耐熱性が更に向上し、より良好な繰り返し耐久性が得られる。
【0120】
前記紫外線吸収剤としては、有機化合物系では、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、ケイ皮酸系の紫外線吸収剤が挙げられ、これらの中でもベンゾトリアゾール系が好適である。
前記紫外線吸収剤の含有量は、前記中間層の樹脂成分100質量部に対し0.5質量部〜80質量部の範囲が好ましい。前記中間層には、紫外線吸収性又は遮蔽性の無機化合物、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
【0121】
また、前記中間層中に、前記保護層で記載した無機フィラー及び/又は有機フィラーの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。前記フィラーの含有量は、体積分率で通常5体積%〜50体積%が好ましい。
前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥方法、硬化方法等は、前記感熱記録層、保護層で用いられた公知の方法を用いることができる。
前記中間層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましい。
【0122】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、特に制限はなく、その用途に応じた形に加工することができ、例えば、シート状、ラベル状、ロール状などに加工される。
A4サイズなど一般文書サイズに加工されたシート状のものは、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、カードサイズよりも大きなシートサイズでは印字する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。
更に、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板、掲示板又は電子黒板に用いることができる。このような表示装置は、塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0123】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、非可逆性感熱記録層を併用しても構わない。この場合、それぞれの感熱記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。また、本発明の可逆性感熱記録媒体の感熱記録層と同一面の一部もしくは全面、又は反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷(印刷可能部分)、又はインクジェットプリンター、熱転写プリンター、昇華型プリンターなどによって任意の絵柄などの不可逆な情報を形成することができる着色層を設けてもよい。更に着色層上の一部分もしくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。前記任意の絵柄としては、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報、などが挙げられる。また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
更に、本発明の可逆性感熱記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
【0124】
前記可逆性感熱記録媒体に対する画像の形成及び消去は、公知の画像処理装置を用いて行うことができ、後述する本発明の画像処理装置を用いて行うのが好ましい。
前記画像処理装置としては、例えば、前記可逆性感熱記録媒体に対し、画像の形成を行うための画像形成手段と、画像の消去を行うための画像消去手段とを備えたものが好適に挙げられ、これらの中でも、処理時間が短い点で、前記画像形成手段と前記画像消去手段とを兼用した画像形成兼消去手段を備えたものが好ましい。具体的には、サーマルヘッドを用い、該サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させることにより画像を処理可能な画像処理装置、又は、画像形成手段がサーマルヘッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、セラミックヒータ(アルミナ基板上に発熱抵抗体をスクリーン印刷した発熱体)、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段、あるいは温風や赤外線などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される画像処理装置などが挙げられる。
【0125】
(可逆性感熱記録部材)
本発明の可逆性感熱記録部材は、情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が本発明の前記可逆性感熱記録媒体を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記可逆表示可能な感熱記録層と情報記憶部とを、同一のカードに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を感熱記録層に表示することにより、カード所有者等は特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には可逆性感熱性記録部の表示を書き換えることで、可逆性感熱記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
【0126】
前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の2つのものに大別できる。
(1)情報記録部を有する部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として、感熱記録層を直接形成したもの。
(2)情報記録部を有する部材に、別途形成された、支持体上に感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
これら(1)及び(2)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうであれば、情報記憶部の設定位置は、可逆性感熱記録媒体における支持体の感熱記録層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱記録層との間でも、あるいは感熱記録層上の一部に設けることもできる。
前記情報記憶部としては、特に制限はないが、例えば、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RF−IDタグ、ホログラムなどが好ましく用いられる。特にカードサイズよりも大きなサイズのシート媒体では、ICメモリ、RF−IDタグが好ましく用いられる。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
【0127】
前記磁気感熱記録層としては、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等と塩化ビニル系やウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂等を用い、支持体上に塗工形成されるか、又は蒸着、スパッタリング等の方法により樹脂を用いず形成される。前記磁気感熱記録層は支持体における該感熱記録層とは反対側の面に設けてもよいし、支持体と該感熱記録層との間、該感熱記録層上の一部に設けてもよい。また、表示に用いる可逆感熱材料をバーコード、二次元コード等により記憶部に用いてもよい。これらの中でも、磁気記録、ICが更に好ましい。
前記ホログラムとしては、書き換え可能なものが好ましく、例えば、高分子アゾベンゼン液晶フィルムに干渉光を書き込んだ書き換え可能なホログラムなどが挙げられる。
【0128】
前記情報記録部を有する部材としては、一般的には、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、又はテープカセットがある。具体的には、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等が挙げられる。
また、可逆表示部と情報記憶部の双方を有する部材としては、例えば、カードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0129】
前記情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型IC、又は光メモリが有用である。
【0130】
前記磁気感熱記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、又は樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における感熱記録層をバーコード、二次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
ここで、更に具体的には、以下の本発明の可逆性感熱記録ラベル、可逆性感熱記録部材、画像処理装置及び画像処理方法などに特に好適に使用することができる。なお、本発明において、可逆性感熱記録媒体表面とは、感熱記録層側表面のことを意味し、保護層に限ったものでなく、印刷層表面、OP層表面など印字消去の際サーマルヘッドに接触する全て又は一部の面を意味している。
【0131】
本発明の可逆性感熱記録部材は、前記可逆表示可能な感熱記録層と情報記憶部とを有し、該情報記憶部の好適なものとしてRF−IDタグが挙げられる。
図2は、RF−IDタグ85の概略図を示す。このRF−IDタグ85はICチップ81と、該ICチップに接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は記憶部、電源調整部、送信部、受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRF−IDタグ85とリーダライタのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RF−IDのアンテナ82がリーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導等により起電力が発生する。これにより、RF−IDタグ内のICチップ81が起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RF−IDタグ85から信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
【0132】
前記RF−IDタグ85はラベル状又はカード状に加工されており、図3に示すように、RF−IDタグ85を本発明の前記可逆性感熱記録媒体90に貼り付けることができる。RF−IDタグ85は感熱記録層面又はバック層面に貼ることができるが、バック層面に貼ることが好ましい。RF−IDタグ85と可逆性感熱記録媒体を貼り合わせるためには公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。
【0133】
図4A及び図4Bは、可逆性感熱記録媒体を産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録部材)90に適用した例を示す。図4Aに示すように、感熱記録層側(おもて面)には書き換え可能な表示部91が設けられており、裏面(バック層)には、図4Bに示すように、RF―IDタグを貼り合わせなくてもよく、また、図3に示すように、RF−IDタグ85を貼り付けてもよいが、利便性が向上する点でRF−IDタグ85を有するものが好ましい。なお、図4A中、92はバーコード印字を示す。
【0134】
図5に、本発明の前記可逆性感熱記録媒体(リライタブルシート)とRF−IDタグを組み合わせた産業用リライタブルシートの使い方の例を示す。まず、納品された原材料に対して物品名と数量などの情報をシートとRF−IDタグに記録し、通い箱等に添付し検品される。次工程では納入された原材料に加工指示が与えられ、リライタブルシートとRF−IDタグに情報が記録され加工指示書となり加工工程へと進む。次いで、加工された商品には発注指示書として発注情報が記録されたリライタブルシートとRF−IDタグが添付され、商品出荷後にリライタブルシートを回収し、出荷情報を読み取り、再度納品書
として使われる。
【0135】
(可逆性感熱記録ラベル)
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、本発明の前記可逆性感熱記録媒体における画像を形成する面と反対側の面(支持体の上に前記感熱記録層を有する場合には、該支持体における前記感熱記録層を形成した面の反対側の面)に接着剤層及び粘着剤層の少なくともいずれかを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。なお、支持体として熱融着性のものが用いられた可逆性感熱記録媒体の場合には、支持体の感熱記録層を形成する面と反対の面に接着剤層又は粘着剤層は必ずしも必要ではない。
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば前記形状としては、シート状、フィルム状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱記録層よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0136】
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、ホットメルトタイプでもよく、また、剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。
【0137】
前記可逆性感熱記録ラベルは、通常、カード等の基体シートに貼着されて用いられる。なお、前記基体シートに貼り付ける前記可逆性感熱記録ラベルは、前記基体シートの全面であっても、一部であってもよく、また前記基体シートの片面もしくは両面に設けられていてもよく、適宜選択される。
【0138】
前記該基材シートとしては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができ、例えば、塩素含有重合体、ポリエステル樹脂、生分解性プラスチック樹脂、などの材料からなるシートやこれらの積層体が用いられる。
【0139】
前記塩素含有重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0140】
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、あるいはテレフタル酸、イソフタル酸などの酸成分と、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(例えば、PETG:イーストマンケミカル社の商標)などが挙げられる。
【0141】
前記生分解性プラスチック樹脂としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニルアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等が挙げられる。
更に、ポリアセテート樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂シート又は合成紙等が挙げられ、これら材料を適宜組み合わせてもよく、これら材料を積層したものでもよい。
【0142】
前記積層体としては、例えば、厚み250μmの白色ポリ塩化ビニル樹脂シートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に厚み100μmの透明ポリ塩化ビニル樹脂シートをオーバーシートとして積層したもの、また、例えば、厚み250μmの白色PETGシートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に厚み100μmの透明PETGをオーバーシートとして積層したものなどが挙げられる。
【0143】
前記基体シートと前記可逆性感熱記録ラベルを貼り付ける方法としては、例えば、図6に示されるように、可逆性感熱記録ラベル3と基体シート4とを対向するように重ね合わせたものを2枚の鏡面板2で挟み込んだ後、熱板1で熱を加えながらプレスをかけて行われる。
更に、図7に示されるように、コアシート6とオーバーシート7とを重ね合わせてなる基体シート4を用いる以外は、図6と同様にして行うこともできる。
【0144】
熱圧着は、公知手段、例えば熱板1が設けられた熱プレス機を用いて、通常、5kgf/cm〜70kgf/cm、好ましくは10kgf/cm〜50kgf/cmの加圧下に、80℃〜170℃、好ましくは90℃〜150℃の範囲で行われる。
前記基体シートとして、例えば、透明ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/透明ポリ塩化ビニルシートのような積層体を用いた場合には、前記熱圧着時の加熱温度は、130℃〜150℃程度が好ましい。また透明PETG/白色PETG/白色PETG/透明PETGのような積層体を用いた場合の加熱温度は、100℃〜130℃程度が好ましい。
【0145】
また、可逆性感熱記録ラベルと基体シートとを貼り付ける別の方法として、予め熱接着した後に熱貼り合わせすることもできる。前記熱接着はゴムロール等を押し当てて行われ、その後熱貼り合わせて熱接着が終了する。
前記熱接着の条件は、特に制限はなく、用いる基体シートによって最適な条件が決定されるが、通常、90℃〜130℃の温度で1時間以下、1〜50分間保持した状態で行うことができる。
【0146】
本発明においては、例えば、フィラー等によって表面を荒らした保護層を有する可逆性熱記録ラベルをカード等の基体シート上に熱圧着した場合には、熱圧着により保護層表面のフィラーが保護層中又は下層に押し込まれて表面光沢が上がって、フィラーの効果がなくなって繰返し耐久性が低下したり、更に表面光沢が上がった状態で記録及び消去を繰り返すと、記録及び消去を行った部分の光沢が低下して、非記録及び消去部との光沢差が光沢ムラとして認識されるようになってしまうが、本発明の可逆性感熱記録媒体の保護層を設けることにより、このような問題も解決できる。この場合、前記可逆性感熱記録媒体の表面粗さが0.15μm以下であると更に光沢感が得られるので好ましい。
【0147】
前記可逆性感熱記録ラベルが前記接着剤層及び前記粘着剤層の少なくともいずれかを有していると、前記感熱記録層の塗布が困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手基板の全面又は一部に、貼付可能であり、磁気に記憶された情報の一部を表示可能とすることができる。
【0148】
前記可逆性感熱記録ラベルは、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット上の表示ラベルの代替品とすることができる。
【0149】
図8は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をMDのディスクカートリッジ70上に貼付した例を示す。この場合、MDへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。なお、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに本発明の前記可逆性感熱記録ラベルを貼付してもよい。
【0150】
図9は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をCD−RW71上に貼付した例を示す。この場合、CD−RW71の代わりにCD−R等の追記型ディスク上に、前記可逆性感熱記録ラベル10を貼付して、そのCD−Rに追記した記憶情報の一部を書き換え表示することが可能である。
【0151】
図10は、AgInSbTe系の相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)上に、本発明の前記可逆性感熱記録ラベル10を貼付した例である。このCD−RWの基本的な構成は、案内溝を有する基体111上に、第1誘電体層110、光情報記憶層109、第2誘電体層108、反射放熱層107、中間層106がこの順に設けられ、基体111の裏面にハードコート層112を有する。このCD−RWの中間層106上に、本発明の可逆性感熱記録ラベル10が貼付されている。可逆性感熱記録ラベル10は、接着剤層及び粘着剤のいずれかの層105、バック層104、支持体103、感熱記録層102、及び保護層101をこの順に有してなる。なお、前記誘電体層は必ずしも前記光情報記憶層の両側に設ける必要はないが、前記基体がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低い材料の場合には、第一誘電体層110を設けることが好ましい。
【0152】
図11は、本発明の可逆性感熱記録ラベル10をビデオカセット72上に貼付した例を示す。この場合、ビデオテープカセット72への記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。
前記可逆性感熱記録機能を、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、及びテープカセットのいずれかの上に設ける方法としては、前記可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に前記感熱記録層を直接塗布する方法、予め、別の支持体上に前記感熱記録層を形成しておき、前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及び前記テープカセット上に該感熱記録層を転写する方法などが挙げられる。前記感熱記録層を転写する方法の場合には、前記感熱記録層上にホットメルトタイプなどの前記接着層や前記粘着層を設けておいてもよい。前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及びテープカセットなどのように剛直なものの上に前記可逆性感熱記録ラベルを貼付したり、前記感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させて画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層、又はシートを剛直な基体とラベル若しくは前記感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0153】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、例えば、図12に示すように、支持体11上に、可逆性感熱記録層13、中間層14、及び保護層15を設け、支持体11の裏面にバック層16を設けてなるフィルム、又は、図13に示すように、支持体11上に、可逆性感熱記録層13、及び保護層15を設け、支持体11の裏面にバック層16を設けてなるフィルム、などの態様をとることができる。
【0154】
これら各態様のフィルム(可逆性感熱記録媒体)は、例えば、図4に示すRF−IDタグ85を設けたシート状の各種産業用リライタブルシートなどに好適に使用することができる。また、例えば、図14Aに示すように、印刷表示部23を有する可逆性感熱記録カード21に加工した形態として使用することができる。なお、図14Bに示すように、カードの裏面側は磁気記録部と、該磁気記録部の上にバック層24が形成されている。
【0155】
また、図15Aに示す可逆性感熱記録部材(カード)は、支持体上に、可逆性感熱記録層、保護層を設けてなるフィルムをカード状に加工し、ICチップを納める窪み部25を形成すると共に、カード状に加工したものである。図15Aでは、カード状の可逆性感熱記録媒体に書き換え記録部26がラベル加工されるとともに、カードの裏面側には所定箇所にICチップ埋め込み用窪み部25が形成されている。この窪み部25に、図15Bに示すようにウエハ231が組込まれて固定される。ウエハ231は、ウエハ基板232上に、集積回路233が設けられると共に、集積回路233に電気的に接続されている複数の接触端子234がウエハ基板232に設けられる。この接触端子234はウエハ基板232の裏面側に露出しており、専用のプリンタ(リーダライタ)が、接触端子234に電気的に接触して所定の情報を読み出したり書き換えたりできるように構成されている。
【0156】
次に、前記可逆性感熱記録カードについて図16を参照しつつ、その機能について説明する。
図16Aは、集積回路233を示す概略の構成ブロック図である。また、図16Bは、RAMの記憶データの一例を示す構成ブロック図である。集積回路233は、例えば、LSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU235と、CPU235の動作プログラムデータを格納するROM236と、必要なデータの書き込み及び読み出しができるRAM237を含む。更に、集積回路233は、入力信号を受けてCPU235に入力データを与えるとともにCPU235からの出力信号を受けて外部に出力する入出力インターフェース238と、図示を省略しているが、パワーオンリセット回路、クロック発生回路、パルス分周回路(割込パルス発生回路)、アドレスデコード回路とを含む。
CPU235は、パルス分周回路から定期的に与えられる割込パルスに応じて、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。また、アドレスデコード回路は、CPU235からのアドレスデータをデコードし、ROM236、RAM237、入出力インターフェース238にそれぞれ信号を与える。入出力インターフェース238には、複数(図16A中では8個)の接触端子234が接続されており、前記専用プリンタ(リーダライタ)からの所定データがこの接触端子234から入出力インターフェース238を介してCPU235に入力される。CPU235は、入力信号に応答して、かつROM236内に格納されたプログラムデータに従って、各動作を行い、かつ所定のデータ、信号を入出力インターフェース238を介してシートリーダライタに出力する。
【0157】
図16Bに示すように、RAM237は、複数の記憶領域239a〜239gを含む。例えば、記憶領域239aにはシート番号が記憶されている。例えば、記憶領域239bには、シート管理者の氏名、所属、電話番号等のIDデータが記憶されている。例えば、記憶領域239cには、使用者の使用しうる残存余白又は取り扱いに関する情報が記憶されている。例えば、記憶領域239d、記憶領域239e、記憶領域239f及び記憶領域239gには、前管理責任者、前使用者に関する情報、などが記憶される。
【0158】
本発明の前記可逆性感熱記録ラベル及び前記可逆性感熱記録部材の少なくともいずれかは、特に制限はなく、各種画像処理方法及び画像処理装置により、画像処理することができるが、後述する本発明の画像処理装置を用いて好適に画像の形成及び消去を行うことができる。
【0159】
(画像処理方法及び画像処理装置)
本発明の画像処理装置は、画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、搬送手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像処理方法は、前記本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び消去の少なくともいずれかを行い、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、搬送工程、制御工程等を有してなる。
本発明の画像処理方法は、本発明の画像処理装置により好適に実施することができ、前記本発明の可逆性感熱記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかは前記画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかにより行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0160】
−画像形成手段及び画像消去手段−
前記画像形成手段は、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を形成する手段である。また、前記画像消去手段は、前記本発明の可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を消去する手段である。
前記画像形成手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーマルヘッド、レーザーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記画像消去手段としては、本発明の前記可逆性感熱記録媒体を加熱して画像を消去する手段であり、例えば、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、ヒートブロック、熱風等や、サーマルヘッド、レーザー照射装置、等が挙げられる。これらの中では、セラミックヒータが好適である。前記セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。前記セラミックヒータの設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、110℃以上が好ましく、112℃以上がより好ましく、115℃以上が更に好ましい。
前記サーマルヘッドを用いることにより、更に小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。また、前記画像の記録及び消去を兼ねて一つのサーマルヘッドとすることができ、この場合は、更に小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで記録と消去とを行う場合、一旦前画像を全部消去した後、改めて新しい画像を記録してもよいし、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を記録していくオーバーライト方式も可能である。該オーバーライト方式においては、前記画像の記録及び消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。
前記感熱記録層と情報記憶部とを有する可逆性感熱記録部材(カード)を用いる場合、前記装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段、書き換える手段なども含まれる。
前記搬送手段は、前記可逆性感熱記録媒体を順次搬送する機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ベルト、搬送ローラ、搬送ベルトと搬送ローラとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する機能を有する限り特に制限はなく、各工程の制御を行うことができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0161】
本発明の画像処理装置により本発明の画像処理方法を実施する一の態様について、図17〜図19を参照しながら説明する。
図17に示すように、画像処理装置100は、ヒートローラ96と、サーマルヘッド95、及び搬送ローラを備えている。この画像処理装置においては、ヒートローラ96にて感熱記録層に記録された画像を加熱消去する。次いで、処理された新しい情報がサーマルヘッド95により感熱記録層に記録される。なお、図17中、97は給紙トレイ、98はリライタブルシート(可逆性感熱記録媒体)を表す。
【0162】
また、可逆性感熱記録媒体がRF−IDタグを有している場合には、図18及び図19に示すように、更に、RF−ID読み取り装置99を備えている。この場合、図19に示すような並列タイプの画像処理装置の態様もある。
図18及び図19に示すように、この画像処理装置100においては、最初、可逆性感熱記録媒体に貼り付けられたRF−IDタグの情報をRF−IDリーダライタ99により読み取り、新しい情報をRF−IDに入力した後に、ヒートローラにて感熱記録層に記録された画像を加熱消去する。更に、RF−IDリーダライタによって読み取り書き換えた情報を基にして、処理された新しい情報をサーマルヘッドにより感熱記録層に記録される。なお、RF−IDリーダライタ以外ではバーコード読み取り装置や、磁気ヘッド等を用いてもよい。バーコード読み取り装置の場合には可逆感熱記録層に既に記録されているバーコード情報を読み取った後、ヒートローラにより可逆感熱記録層に記録されたバーコード及び可視化情報を消去し、バーコードから読み取った情報を基に処理された新しい情報がバーコード及び可視化情報としてサーマルヘッドにより可逆感熱記録層に記録される。
【0163】
図17又は図18に示す画像処理装置については、可逆性感熱記録媒体をスタックしておくトレイがあり、ここから媒体がフリクションパッド方式等の給紙方法により1枚ずつピックアップされる。搬送された媒体は搬送ローラにより搬送され、RF−IDリーダライタ部分へと送られ、ここでデータの読み書きが行われる。更に、搬送ローラにより消去ユニットであるヒートローラ部へ可逆性感熱記録媒体が搬送され、媒体に記録されている可視化情報が消去される。その後、サーマルヘッド部へと搬送され、可逆性感熱記録媒体に新しい情報を記録する。その後、搬送ローラにより可逆性感熱記録媒体が搬送され、上部の排紙部より媒体が搬出される。
ここで、ヒートローラの設定温度は可逆性感熱記録媒体の消去温度にマッチングする温度設定にすることが好ましい。例えば、ヒートローラ表面温度は、100℃以上190℃以下が好ましく、110℃以上180℃以下がより好ましく、115℃以上170℃以下が更に好ましい。
【0164】
更に、図20A及び図20Bを参照しながら説明する。図20Aに示す画像処理装置は、前記加熱処理手段としてのサーマルヘッド53と、セラミックヒータ38と、磁気ヘッド34と、搬送ローラ31、40及び47とを備えている。
図20Aに示すように、この画像処理装置においては、最初、可逆性感熱記録媒体の磁気感熱記録層に記憶された情報を磁気ヘッドで読み取る。次に、セラミックヒータで可逆性感熱記録層に記録された画像を加熱消去する。更に、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、可逆性感熱記録層に記録される。その後、磁気感熱記録層の情報も新たな情報に書き換えられる。
【0165】
図20Aに示す画像処理装置においては、感熱記録層の反対側に磁気感熱記録層を設けた可逆性感熱記録媒体5は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、或いは搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。可逆性感熱記録媒体5は、磁気ヘッド34及び搬送ローラ31間で磁気感熱記録層に磁気記録乃至消去され、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間で画像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド53及び領域搬送ローラ47間で画像形成される。その後、装置外に搬出される。先に説明したように、セラミックヒータ38の設定温度は110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。ただし、磁気記録の書き換えはセラミックヒータによる画像消去の前であってもよいし、後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間を通過後、又はサーマルヘッド53及び搬送ローラ47間を通過後、搬送路を逆方向に搬送される。セラミックヒータ38よる再度の熱処理、サーマルヘッド53による再度の印字処理を施すことができる。
【0166】
図20Bの画像処理装置においては、出入口30から挿入された可逆性感熱記録媒体5は、一点破線で図示されている搬送路50に沿って進行し、或いは搬送路50に沿って装置内を逆方向に進行する。出入口30から挿入された可逆性感熱記録媒体5は、搬送ローラ31及びガイドローラ32により記録装置内を搬送される。搬送路50の所定位置に到達するとセンサ33により制御手段34cを介してその存在を認識され、磁気ヘッド34とプラテンローラ35との間で磁気感熱記録層に磁気記録或いは記録消去され、ガイドローラ36及び搬送ローラ37間を通過し、ガイドローラ39及び搬送ローラ40間を通過し、センサ43により、セラミックヒータ制御手段38cを介してその存在を認識して作動するセラミックヒータ38とプラテンローラ44との間で画像消去のため加熱処理され、搬送ローラ45、46及び47により搬送路50内を搬送され、所定位置にてセンサ51により、サーマルヘッド制御手段53cを介してその存在を認識して作動するサーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で画像形成され、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出される。ここで、セラミックヒータ38の設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述したように、110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0167】
また、所望により、搬送路切換手段55aを切り替えることにより搬送路56bに導き、可逆性感熱記録媒体5の押圧により入力するリミットスイッチ57aの作動により逆方向に動く搬送ベルト58によって、可逆性感熱記録媒体5を再度、サーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で熱処理した後、搬送路切換手段55bを切り替えることにより通じる搬送路49b、リミットスイッチ57b、搬送ベルト48を介して順方向に搬送し、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出することができる。更に、このような分岐した搬送路及び搬送切換手段は、セラミックヒータ38の両側に設けることもできる。その場合には、センサ43aを、プラテンローラ44と搬送ローラ45との間に設けることが好ましい。
【実施例】
【0168】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0169】
(実施例1)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が0.1μm〜1.0μmになるように粉砕分散した。
・2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン(固形分100質量%)・・・1質量部
・下記構造式で表される電子受容性化合物(顕色剤、固形分100質量%)・・・4質量部
【化32】

・ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハルリーンSB、固形分100質量%)・・・1質量部
・アクリルポリオール樹脂40質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR327)・・・10質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
得られた分散液にイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL、固形分75質量%)4質量部を加え、よく撹拌して、感熱記録層塗布液を調製した。次に、得られた感熱記録層塗布液を、厚み188μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン社製、テトロンフィルム)上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間加熱して、厚み12μm〜13μmの感熱記録層を設けた。
【0170】
−保護層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が2μm〜3μmになるように粉砕し、分散させて、保護層塗布液を調製した。
・上記構造式(1)で表される化合物
ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA、固形分100質量%)・・・4質量部
・上記構造式(2)で表される化合物
ジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−60)・・・21質量部
構造式(1)の化合物/構造式(2)の化合物=1.6/8.4(質量比)
・シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)・・・2質量部
・光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)・・・1質量部
・イソプロピルアルコール・・・60質量部
・トルエン・・・10質量部
得られた保護層塗布液を前記感熱記録層上にワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、厚み3μmの保護層を設けた。以上により、実施例1の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0171】
(実施例2)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が0.1〜1.0μmになるように粉砕分散した。
・2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン・・・1質量部
・下記構造式で表される電子受容性化合物(顕色剤)・・・4質量部
【化33】

・ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハクリーンSB)・・・1質量部
・アクリルポリオール樹脂40質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR327)・・・10質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
得られた分散液にイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)4質量部を加え、よく撹拌して、感熱記録層塗布液を調製した。次に、得られた感熱記録層塗布液を、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間加熱して、厚み12μm〜13μmの感熱記録層を設けた。
【0172】
−保護層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が2μm〜3μmになるように粉砕し、分散させて、保護層塗布液を調製した。
・上記構造式(1)で表される化合物
ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)・・・7質量部
・上記構造式(2)で表される化合物
ジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPEA−12)・・・18質量部
構造式(1)の化合物/構造式(2)の化合物=2.8/7.2(質量比)
・シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−527)・・・3質量部
・光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)・・・1質量部
・イソプロピルアルコール・・・60質量部
・トルエン・・・10質量部
得られた保護層塗布液を前記感熱記録層上にワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、厚み3μmの保護層を設けた。以上により、実施例2の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0173】
(実施例3)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が0.1μm〜1.0μmになるように粉砕し、分散した。
・2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン・・・1質量部
・下記構造式で表される電子受容性化合物(顕色剤)・・・4質量部
【化34】

・ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハクリーンSB)・・・1質量部
・アクリルポリオール樹脂40質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR340)・・・10質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
得られた分散液にイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)4質量部を加え、よく撹拌して、感熱記録層塗布液を調製した。次に、得られた感熱記録層塗布液を、厚み100μmの白濁ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、テトロンフィルム)上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間加熱して、厚み12μm〜13μmの感熱記録層を設けた。
【0174】
−保護層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が2〜3μmになるように粉砕し、分散させて、保護層塗布液を調製した。
・上記構造式(1)で表される化合物
ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)・・・9質量部
・上記構造式(2)で表される化合物
ペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD THE−330)・・・16質量部
構造式(1)の化合物/構造式(2)の化合物=3.6/6.4(質量比)
・タルク(富士タルク工業株式会社製、LMS−300)・・・3質量部
・光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)・・・1質量部
・イソプロピルアルコール・・・60質量部
・トルエン・・・10質量部
得られた保護層塗布液を前記感熱記録層上にワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、厚み3μmの保護層を設けた。以上により、実施例3の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0175】
(実施例4)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が0.1〜1.0μmになるように粉砕分散した。
・2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン・・・1質量部
・下記構造式で表される電子受容性化合物(顕色剤)・・・4質量部
【化35】

・ジアルキル尿素(日本化成株式会社製、ハクリーンSB)・・・1質量部
・アクリルポリオール樹脂40質量%溶液(三菱レイヨン株式会社製、LR340)・・・10質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
得られた分散液にイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)4質量部を加え、よく撹拌して、感熱記録層塗布液を調製した。次に、得られた感熱記録層塗布液を、厚み75μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU3L99W)上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間加熱して、厚み12〜13μmの感熱記録層を設けた。
【0176】
−保護層の作製−
下記組成物をボールミルを用いて平均粒径が2〜3μmになるように粉砕分散し、保護層塗布液を調製した。
・上記構造式(1)で表される化合物
ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)・・・12質量部
・上記構造式(2)で表される化合物
ペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD TPA−330)・・・13質量部
構造式(1)の化合物/構造式(2)の化合物=4.8/5.2(質量比)
・タルク(富士タルク工業株式会社製、LMS−300)・・・3質量部
・光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)・・・1質量部
・イソプロピルアルコール・・・60質量部
・トルエン・・・10質量部
得られた保護層塗布液を前記感熱記録層上にワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下で架橋させて、厚み3μmの保護層を設けた。以上により、実施例4の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0177】
(実施例5)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
実施例1で得られた分散液に質量比が0.01になるようにジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA、固形分100質量%)を添加した以外は。実施例1と同様にして、感熱記録層を設けた。
−保護層の作製−
実施例1において、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)の替わりに、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0178】
(実施例6)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
実施例2と同様にして感熱記録層を設けた。
【0179】
−中間層の作製−
前記感熱記録層上に下記組成物を混合撹拌した中間層塗布液をワイヤーバーで塗布し100℃で加熱乾燥して、厚み1.5μmの中間層を設けた。
・酸化亜鉛(住友大阪セメント株式会社製、ZS303、固形分32質量%)・・・4質量部
・熱硬化性樹脂(三菱レーヨン株式会社製、LR503、固形分50質量%)・・・2質量部
・コロネートHL(日本ポリウレタン株式会社製、固形分75質量%)・・・0.5質量部
・メチルエチルケトン・・・4質量部
質量比が0.02になるようにジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA、固形分100質量%)を添加した。
・ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)・・・0.02質量部
【0180】
−保護層の作製−
実施例2において、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)の替わりに、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)を用いた以外は、実施例2と同様にして、保護層を設けた。
【0181】
−バック層の作製−
下記組成物を混合して、常法によりバック層塗布液を調製した。
・ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)・・・3質量部
・紫外線硬化型帯電防止剤
(新中村化学株式会社製、U−201PA−60)・・・7質量部
・光重合開始剤
(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)・・・0.5質量部
・シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)・・・1質量部
・イソプロピルアルコール・・・17.5質量部
次に、前記感熱記録層、中間層、及び保護層を塗布済み支持体の塗工されていない側の面上に、前記バック層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、100℃にて2分間で乾燥後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚み4μmのバック層を形成し、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0182】
(実施例7)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
実施例3と同様にして感熱記録層を設けた。
−中間層の作製−
実施例6と同様にして中間層を設けた。
−保護層の作製−
実施例3において、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)の替わりに、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)を用いた以外は、実施例3と同様にして、保護層を設けた。
−バック層の作製−
実施例6と同様にしてバック層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0183】
(実施例8)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−感熱記録層の作製−
実施例4と同様にして感熱記録層を設けた。
−中間層の作製−
実施例6と同様にして中間層を設けた。
−保護層の作製−
実施例4において、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)の替わりに、上記構造式(1)で表される化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)を用いた以外は、実施例4と同様にして、保護層を設けた。
−バック層の作製−
実施例6と同様にしてバック層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0184】
(実施例9)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−断熱層の作製−
下記組成物を中空粒子が十分ほぐれるまで粉砕分散して断熱層塗布液を調製した。次に、得られた断熱層塗布液を、厚み188μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルム)上にワイヤーバーを用いて塗布し、110℃にて4分間乾燥して、厚み22μm〜24μmの断熱層を設けた。
・中空粒子の水分散液(固形分濃度30質量%)・・・30質量部
中空粒子:ガラス転移温度(Tg)105℃、中空率89%、D100=10μm、D100/D50=2.2
・ポリウレタン樹脂エマルジョン・・・28質量部
(固形分濃度35質量%、第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス150)
・完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液(固形分濃度16質量%)・・・9質量部
・水・・・50質量部
【0185】
−感熱記録層の作製−
実施例5と同様にして感熱記録層を設けた。
−中間層の作製−
実施例6において、中間層のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)0.02質量%添加を、質量比が0.05になるようにペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD PET−30、固形分100質量%)0.05質量%添加した以外は、実施例6と同様にして、中間層を設けた。
−保護層の作製−
実施例5において、保護層組成物の構造式(1)の化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)の替わりに構造式(1)の化合物であるジペンタエリスルトールアクリレート(根上工業株式会社製、UN−3320HA)を用いた以外は、実施例5と同様にして、保護層を設けた。
−バック層の作製−
実施例6と同様にして、バック層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0186】
(実施例10)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−断熱層の作製−
実施例9において、厚み188μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン社製、テトロンフィルム)の替わりに厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた以外は、実施例9と同様にして、断熱層を設けた。
−感熱記録層の作製−
実施例6同様にして感熱記録層を設けた。
−中間層の作製−
実施例6において、ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)0.02質量%添加の替わりにペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD PET−30)0.06質量%添加にした以外は、実施例6と同様にして、中間層を設けた。
−保護層の作製−
実施例6において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)の替わりにジペンタエリスルトールアクリレート(根上工業株式会社製、UN−3320HA)を用いた以外は、実施例6と同様にして、保護層を設けた。
−バック層の作製−
実施例6と同様にしてバック層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0187】
(実施例11)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−断熱層の作製−
実施例9において、厚み188μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルム)の替わりに厚み100μmの白濁ポリエステルフィルム(東レ株式会社製)を用いた以外は、実施例9と同様にして、断熱層を設けた。
−感熱記録層の作製−
実施例7同様にして感熱記録層を設けた。
−中間層の作製−
実施例7において、ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)0.02質量%添加の替わりにペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD PET−30)0.07質量%添加にした以外は、実施例7と同様にして、中間層を設けた。
−保護層の作製−
実施例7において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)の替わりにジペンタエリスルトールアクリレート(根上工業株式会社製、UN−3320HA)を用いた以外は、実施例7と同様にして、保護層を設けた。
−バック層の作製−
実施例7と同様にしてバック層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0188】
(実施例12)
<可逆性感熱記録媒体の作製>
−断熱層の作製−
実施例9において、厚み188μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルム)の替わりに厚み75μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU3L99W)を用いた以外は、実施例9と同様にして、断熱層を設けた。
−感熱記録層の作製−
実施例8同様にして感熱記録層を設けた。
−中間層の作製−
実施例8において、ジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)0.02質量%添加の替わりにペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD PET−30)0.08質量%添加にした以外は、実施例8と同様にして、中間層を設けた。
−保護層の作製−
実施例8において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD D−310)の替わりにジペンタエリスルトールアクリレート(根上工業株式会社製、UN−3320HA)を用いた以外は、実施例8と同様にして、保護層を設けた。
−バック層の作製−
実施例8と同様にしてバック層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0189】
(比較例1)
実施例1において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)4質量部、及びジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−60)21質量部の替わりにジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)25質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0190】
(比較例2)
実施例2において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7質量部、及びジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPEA−12)18質量部の替わりにジペンタエリスルトールアクリレート(根上工業株式会社製、UN−3320HA)25質量部を用いた以外は、実施例2と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0191】
(比較例3)
実施例3において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)9質量部、及びペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD THE−330)16質量部の替わりにジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)4質量部、及びジペンタエリスルトールアクリレート(根上工業株式会社製、UN−3320HA)21質量部を用いた以外は、実施例3と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0192】
(比較例4)
実施例4において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)12質量部、及びペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD TPA−330)13質量部の替わりにジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−60)25質量部を用いた以外は、実施例4と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0193】
(比較例5)
実施例3において、保護層組成物のジペンタエリスルトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)9質量部、及びペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD THE−330)16質量部の替わりにジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−60)9質量部、及びジペンタエリスリトールアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−12)16質量部を用いた以外は、実施例3と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0194】
次に、実施例1〜12及び比較例1〜5を纏めると、下記表2−1〜表2−3に示すとおりである。
【0195】
【表2−1】

【0196】
【表2−2】

【0197】
【表2−3】

【0198】
次に、作製した各可逆性感熱記録媒体について、以下のようにして、クラック、カール、印刷適性、接着性、搬送性、耐薬品性、及び繰り返し消去印字テストを行った。結果を表3に示す。
【0199】
<クラック>
作製した各可逆性感熱記録媒体を、直径4mmの鉄筒に巻きつけ記録媒体表面を目視により評価し、下記の評価基準に基づき評価した。
〔評価基準〕
◎:可逆性感熱記録媒体表面は正常でクラックなし
○:可逆性感熱記録媒体表面にほんの少しクラックが発生した
△:可逆性感熱記録媒体表面にクラックが発生した
×:可逆性感熱記録媒体表面にクラックが大きく発生し、表面が破壊した
【0200】
<カール>
作製した各可逆性感熱記録媒体を、三和ニューテック株式会社製シートプリンター(Prepeat3100)を用いて、消去と印字の繰返し画像形成を100回行った後に記録媒体のカールを定規により評価し、下記の評価基準に基づき評価した。
〔評価基準〕
◎:可逆性感熱記録媒体のカールがほとんど観察されなかった
○:可逆性感熱記録媒体のカールが1〜5mm未満だった
△:可逆性感熱記録媒体のカールが5〜10mm未満だった
×:可逆性感熱記録媒体のカールが10mm以上だった
【0201】
<印刷適性>
作製した各可逆性感熱記録媒体上にRIテスターにて、OPニス(T&K TOKA社製、UP2L)を1μm形成し、80w/cmの紫外線ランプで架橋させて印刷を行ったときの印刷ののり具合を下記の評価基準に基づき評価した。
〔評価基準〕
○:印刷がねらい通り塗工され、爪で引っかいても剥がれなかった
△:印刷がねらい通り塗工されたが、爪で引っかくと剥がれた
×:印刷できなかった
【0202】
<接着性>
作製した各可逆性感熱記録媒体上に碁盤目試験機を使い、カッターの刃で媒体面上に傷を設け、該傷にセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製)を貼り、それをはがしたときの保護層の剥がれ具合を下記の評価基準に基づき評価した。
◎:剥がれなし
○:90%以内の剥がれ
△:50%以内の剥がれ
×:50%以上の剥がれ
【0203】
<搬送性>
作製した各可逆性感熱記録媒体を、PCC社製カードプリンター(R28000)を用いて、消去と印字の繰返し画像形成を100回行った後に記録媒体表面を目視により評価し、下記の評価基準に基づき評価した。
〔評価基準〕
○:記録媒体表面は正常でキズなし
△:記録媒体表面にキズが発生した
×:記録媒体表面にキズが大きく発生し、表面が破壊した
【0204】
<耐久性>
作製した各可逆性感熱記録媒体を、PCC社製カードプリンター(R28000)を用いて、消去と印字の繰返し画像形成を100回行った後にマクベス濃度計RD−914、X−Rite938にて発色部と消色部の画像濃度値を測定した。
【0205】
【表3】

表3の結果から、保護層中に、2種のアクリレート化合物のうち、一方がペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基とエステル結合を有した重合性基が直接結合したアクリレート化合物(A)であり、他方がペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基とエステル結合を有した重合性基の間に、エステル結合を有した置換基も有してよい炭化水素基を有するアクリレート化合物(B)を含有する実施例1〜12は、比較例1〜5に比べて、クラック、カール、印刷適性、接着性、搬送性、耐薬品性、及び繰り返し消去印字テストのいずれも優れた効果を有することが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、カード状からカードサイズよりも大きなシートサイズで幅広く用いられ、一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。従って、本発明の可逆性感熱記録媒体は、入出チケット、冷凍食品用容器、工業製品、各種薬品容器等のステッカー、物流管理用途、製造工程管理用途などの大きな画面、多様な表示に幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】図1は、本発明の可逆性感熱記録媒体における発色・消色特性(発色及び消色現象)を示す図である。
【図2】図2は、RF−IDタグの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、可逆性感熱記録媒体のバック層面側にRF−IDタグを貼り合せた状態を示す概略図である。
【図4A】図4Aは、産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録媒体)の一例を示す概略図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの裏面を示す概略図である。
【図5】図5は、産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録媒体)の使用方法を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明における可逆性感熱記録ラベルと基体シートの熱圧着工程の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明における可逆性感熱記録ラベルと基体シートの熱圧着工程の他の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルを光情報記録媒体(CD−RW)上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルを光情報記録媒体(CD−RW)上に貼付した状態の一例を示す概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の可逆性感熱記録媒体ラベルをビデオカセットに貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の可逆性感熱記録媒体の層構成の一例を示す概略断面図である。
【図13】図13は、本発明の可逆性感熱記録媒体の層構成の別の一例を示す概略断面図である。
【図14A】図14Aは、本発明の可逆性感熱記録媒体の一例をカード状に加工したものの表面側の概略図である。
【図14B】図14Bは、図14Aの裏面側の概略図である。
【図15A】図15Aは、本発明の可逆性感熱記録媒体の一例を他のカード状に加工した例の概略図である。
【図15B】図15Bは、図15AのICチップ用窪み部に埋め込まれるICチップの概略図である。
【図16A】図16Aは、集積回路を示す概略の構成ブロック図である。
【図16B】図16Bは、RAMが複数の記憶領域を含むことを示す概略図である。
【図17】図17は、本発明の画像処理方法に用いる画像処理装置の一例を示す概略図である。
【図18】図18は、本発明の画像処理方法に用いる画像処理装置の別の一例を示す概略図である。
【図19】図19は、本発明の画像処理方法に用いる画像処理装置の更に別の一例を示す概略図である。
【図20A】図20Aは、面像の消去をセラミックヒータ、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行う場合の画像処理装置の概略図を示す。
【図20B】図20Bは、本発明の画像処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0208】
1 熱板
2 鏡面板
3 可逆性感熱記録ラベル
4 基体シート
5 可逆性感熱記録媒体
6 コアシート
7 オーバーシート
10 可逆性感熱記録ラベル
11 支持体
13 感熱層
14 中間層
15 保護層
16 バック層
21 可逆性感熱記録カード
22 書き換え記録部
23 印刷表示部
24 バック層
25 窪み部
26 書き換え記録部
30 出入口
31 搬送ローラ
32 ガイドローラ
33 センサ
34 磁気ヘッド
34c 制御手段
35 プラテンローラ
36 ガイドローラ
37 搬送ローラ
38 セラミックヒータ
38c セラミックヒータ制御手段
39 ガイドローラ
40 搬送ローラ
43 センサ
43a センサ
44 プラテンローラ
45 搬送ローラ
46 搬送ローラ
47 搬送ローラ
48 搬送ベルト
49b 搬送路
50 搬送路
51 センサ
52 プラテンローラ
53 サーマルヘッド
53c サーマルヘッド制御手段
55a 搬送路切換手段
55b 搬送路切換手段
56a 搬送路
56b 搬送路
57a リミットスイッチ
57b リミットスイッチ
58 搬送ベルト
59 搬送ローラ
60 ガイドローラ
61 出口
70 MDディスクカートリッジ
71 CD−RW
72 ビデオカセット
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ
90 産業用リライタブルシート(可逆性感熱記録部材)
91 表示部
92 バーコード
94 セラミックヒータ
95 サーマルヘッド
96 ヒートローラ
97 給紙トレイ
98 可逆性感熱記録媒体(リライタブルシート)
99 RF−IDリーダライタ
100 画像処理装置
101 保護層
102 感熱層
103 支持体
104 バック層
105 接着剤層又は粘着剤層
106 中間層
107 反射放熱層
108 第2誘電体層
109 光情報記憶層
110 第1誘電体層
111 基体
112 ハードコート層
231 ウエハ
232 ウエハ基板
233 集積回路
234 接触端子
235 CPU
236 ROM
237 RAM
238 入出力インターフェース
239a〜239g 記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に感熱記録層と、該感熱記録層上に保護層とを有する可逆性感熱記録媒体において、
前記感熱記録層が、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化し、
前記保護層が、ペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物及びジペンタエリスリトール基を有するアクリレート化合物から選択される2種のアクリレート化合物を含む組成物の重合物を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【請求項2】
2種のアクリレート化合物のうち、一方がペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかと、エステル結合を有する重合性基とが直接結合したアクリレート化合物(A)であり、
他方がペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかと、エステル結合を有する重合性基との間に、エステル結合を有する置換基を有していてもよい鎖状の炭化水素基を有するアクリレート化合物(B)である請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
2種のアクリレート化合物(A)及び(B)の配合質量比が、(A)/(B)=1.0/9.0〜5.0/5.0である請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項4】
2種のアクリレート化合物が、下記構造式(1)及び(2)で表される請求項1から3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【化1】

【化2】

ただし、前記構造式(1)及び(2)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表す。Yは、−CHO−、−CHCHO−、−CHCHCHO−、−CHCHCHCHO−、−CHCHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−、又は−CO−CHCHCHCHCHO−を表す。Zは、−H、又は−CO−CH=CHを表す。aは1〜5、bは1〜5、cは1〜12をそれぞれ表す。
【請求項5】
電子受容性化合物が、下記構造式(3)及び(4)のいずれかで表されるフェノール化合物である請求項1から4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【化3】

ただし、前記構造式(3)中、X及びYは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表す。Rは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。nは1〜3の整数、mは1〜20の整数、rは0〜3の整数を表す。
【化4】

ただし、前記構造式(4)中、nは、1〜3の整数を表す。Xは、ヘテロ原子を含む2価の有機基を表す。Rは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。
【請求項6】
保護層の支持体側の面と接する層が、ペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかを有するアクリレート化合物を含有する請求項1から5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項7】
ペンタエリスリトール基及びジペンタエリスリトール基のいずれかを有するアクリレート化合物が、下記構造式(5)で表されるアクリレート化合物(C)である請求項6に記載の可逆性感熱記録媒体。
【化5】

ただし、前記構造式(5)中、Xは、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を表す。aは1〜5、bは1〜5を表す。
【請求項8】
アクリレート化合物(C)の含有率が、アクリレート化合物(C)の乾燥質量/該アクリレート化合物(C)を含有する層の乾燥質量=0.01〜0.10である請求項7に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項9】
保護層の支持体側の面と接する層が、感熱記録層である請求項6から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項10】
保護層の支持体側の面と接する層が、感熱記録層と保護層の間の中間層である請求項6から8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項11】
感熱記録層と支持体との間に、少なくとも中空粒子を含有する断熱層を有する請求項1から10のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項12】
中空粒子が、中空率70%以上であり、該中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0〜10.0μmであると共に、50%頻度の粒子径(D50)との比率(D100/D50)が2.0〜3.0であり、前記中空粒子を形成する材料がアクリロニトリル及びメタアクリロニトリルの少なくともいずれかをモノマー単位とする共重合体である請求項11に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項13】
可逆性感熱記録媒体が、ラベル状、シート状及びロール状のいずれかの形態に加工されている請求項1から12のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項14】
可逆性感熱記録媒体の画像を形成する面及び反対側の面の少なくともいずれか一方の面の少なくとも一部に、不可逆な可視情報及び印刷可能部分の少なくともいずれかを有する請求項1から13のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
【請求項16】
情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が請求項1から12のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を有することを特徴とする可逆性感熱記録部材。
【請求項17】
情報記録部が、磁気感熱記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、ホログラム、RF−IDタグカード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択されるいずれかである請求項16に記載の可逆性感熱記録部材。
【請求項18】
可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去手段との少なくともいずれかを有してなり、該可逆性感熱記録媒体が請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項19】
画像形成手段が、サーマルヘッド及びレーザー照射装置のいずれかである請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
画像消去手段が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかである請求項18から19のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項21】
可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に画像を形成する画像形成工程、及び、可逆性感熱記録媒体を加熱して該可逆性感熱記録媒体に形成された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、該可逆性感熱記録媒体が請求項1から14のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
画像の形成が、サーマルヘッド又はレーザー照射装置のいずれかを用いて行われる請求項21に記載の画像処理方法。
【請求項23】
画像の消去が、サーマルヘッド、セラミックヒータ、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロック及びレーザー照射装置から選択されるいずれかを用いて行われる請求項21から22のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項24】
サーマルヘッドを用いて画像を消去しつつ新しい画像を形成する工程を含む請求項22から23のいずれかに記載の画像処理方法。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【公開番号】特開2007−331382(P2007−331382A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63267(P2007−63267)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】