説明

台車の交差点軌道構造

【課題】幅に対して走行方向の長さが短い台車の場合でも、交差点において、台車をスムースに対向するレールに移行することができる台車の交差点軌道構造を提供すること。
【解決手段】レール10,11を跨ぐようにして配置される台車20,21の交差点軌道構造において、前記レールを前記台車の幅W1よりも僅かに長い間隔W2をもって不連続に配置するとともに、レールの端部間中央部に、前記レールの断面形状と同じ断面形状をもったブロック14を立設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車の交差点軌道構造に関するもので、詳しくは、レールを跨ぐようにして配置される台車に適用される交差点軌道構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、軌道を跨ぐようにして配置される台車としては、特許文献1に開示されているようなものがある。
この台車は、下面幅方向中央部に溝が形成され、その溝の側面に転動体の一部が露出するように配設され、レールの側面に沿って走行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−58004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような台車の軌道を単に交差させる場合には、その交差点では互いの軌道を少なくとも台車の幅よりも大きな距離をもって不連続にする必要がある。
ところで、幅に対して走行方向の長さが短い台車の場合には、該台車は交差点を渡ることができず、長さが幅の2倍程度の台車であっても、台車は交差点における走行方向が不安定になって、対向するレールにスムースに移行できない場合もある。
【0005】
本発明は、上記のような実情に鑑みて成されたもので、幅に対して走行方向の長さが短い台車の場合でも交差点において、台車をスムースに対向するレールに移行することができる台車の交差点軌道構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、請求項1の台車の交差点軌道構造は、レールを跨ぐようにして配置される台車の交差点軌道構造において、前記レールを前記台車の幅よりも僅かに長い間隔をもって不連続に配置するとともに、交差点の中央部に、前記レールの断面形状と同じ断面形状をもったガイドブロックを前記レールに対向させて立設したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の台車の交差点軌道構造は、上記請求項1の発明において、上記ガイドブロックを、軸芯を含む断面が上記レールの断面形状と同じ断面形状をもち、軸芯と垂直な断面が円形となるように形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記した請求項1の台車の交差点軌道構造によれば、交差点中央部にガイドブロックが配設されているため、台車は交差点において一方のレールから相対向する他方のレールにガイドブロックを経て進行するため、幅に対して走行方向の長さが短い台車の場合でも交差点において、台車を対向するレールにスムースに移行することができる。
【0009】
また、上記した請求項2の台車の交差点軌道構造によれば、上記の効果に加え、交差点において交差する任意の本数のレールに共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る台車の交差点軌道構造における軌道構造を構成するレールと台車を概念的に示した断面図である。
【図2】本発明に係る台車の交差点軌道構造を示した斜視図である。
【図3】本発明に係る台車の交差点軌道構造の他の実施形態を示した模式図である。
【図4】本発明に係る台車の交差点軌道構造におけるガイドブロックの他の実施形態を示した半断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、上記した本発明に係る台車の交差点軌道構造を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本発明に係る交差点軌道構造では、図1に示すように、1本のレール1を跨ぐようにして台車2が設置されている。例えば、レール1は工場等の床に設置され、台車2には、工具等が取り付けられる。そして、工具がレール1に沿って移動され、台車2の移動域周辺に位置しているワーク等の加工を行なう。
【0013】
レール1は、両側面に長手方向に延びるV字状の突出部1aを備えている。一方、台車2は、下面に開口する溝2aを備えており、その溝2aを画成する側面には、走行方向に延びるV字状の凹部2bが形成されている。さらに、台車2の前記凹部2bの斜面には、一部が露出するようにして転動体2cが配設されている。そして、転動体2cはレール1の前記突出部1aの斜面に当接され、台車2はレール1に沿って走行される。
【0014】
図2に示す交差点軌道構造は、上記構成のレール10,11を直角に交差させたものである。レール10,11は側面に突出部12,13を備えている。この交差点軌道構造では、交差点Aにおいて、それぞれのレール部分10a,10b、11a,11bが台車20,21の幅W1よりも僅かに長い間隔W2をもって不連続に配置され、それらのレール部分10a,10b、11a,11bの不連続端部間中央部に、ガイドブロック14が立設されている。
【0015】
ガイドブロック14は、レール10,11の断面形状と同じ断面形状を有している。即ち、ガイドブロック14は、水平断面が正方形を成し、それらの各側面に、レール10,11と同形のV字状の突出部15を備えている。
【0016】
この交差点軌道構造では、台車20,21が交差点Aに進入すると、先端部は宙に浮くが、他の部分がレール部分10a,11aに保持されているので、走行方向が不安定になることはない。台車20,21がさらに進行すると、先端部はガイドブロック14に嵌合し、それによって台車20,21の進行が保障される。さらに台車20,21が進行すると、先端は再び宙に浮くが、他の部分がレール部分10a,11aおよびガイドブロック14に保持されているので、走行方向が不安定になることはない。そして、台車20,21は、交差点Aの対向するレール10b,11bに嵌合し、交差点Aを通過する。
【0017】
この交差点軌道構造では、台車20,21の幅W1と長さL1がほぼ等しくても、台車20,21をスムースに交差点Aを通過させることができる。
【0018】
図3は本発明に係る交差点軌道構造の他の実施の形態を示している。
この交差点軌道構造では、レール30,31,32を60度の角度をもって互いに交差させている。これらのレール30,31,32の側面には突出部33,34,35がそれぞれ形成されている。そして、交差点Bにおいて、それぞれのレール部分30a,30b、31a,31b、32a,32bが台車40,41,42の幅W3よりも僅かに長い間隔W4をもって不連続に配置され、それらのレール部分30a,30b、31a,31b、32a,32bの不連続端部間中央部に、ガイドブロック36が立設されている。
【0019】
ガイドブロック36は、レール30,31,32の断面形状と同じ断面形状を有している。即ち、ガイドブロック36は、水平断面が正6角形を成し、それらの各側面に、レール30,31,32の突出部33,34,35と同形のV字状の突出部37を備えている。
【0020】
この交差点軌道構造でも、上記実施の形態と同様に、台車40,41,42が交差点Bに進入すると、先端部は宙に浮くが、他の部分がレール部分30a,31a,32aに保持されているので、走行方向が不安定になることはない。台車40,41,42がさらに進行すると、先端部はガイドブロック36に嵌合し、それによって台車40,41,42の進行が保障される。さらに台車40,41,42が進行すると、先端は再び宙に浮くが、他の部分がレール部分30a,31a,32aおよびガイドブロック36に保持されているので、走行方向が不安定になることはない。そして、台車40,41,42は、交差点Bの対向するレール30b,31b,32bに嵌合し、交差点Bを通過する。
【0021】
この交差点軌道構造でも、台車40,41,42の幅W3と長さL2がほぼ等しくても、台車40,41,42をスムースに交差点Bを通過させることができる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、2本のレール10,11が直交する場合と3本のレール30,31,32が60度の角度をもって交差する例を示しているが、レールの本数が4本以上でもあっても同様に構成することができる。
【0023】
また、図4に示すように、ガイドブロック50は、水平断面が円形になるように形成することができる。このガイドブロック50は、軸芯を含む断面Cが、レールの断面形状と同じになるように形成されており、周面に突出部51を備えている。このガイドブロック50は、上記実施の形態の交差点軌道構造ばかりでなく、4本以上のレールを交差させた場合にも共用させることができる。
【0024】
なお、上記実施の形態では、台車が転動体を備え、その転動体がレールの側面に形成した突出部面を転動することによってレールを走行する場合を示しているが、本発明は、転動体を介することなく、台車がレール上を摺動する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 レール
1a 突出部
2 台車
2a 溝
2b 凹部
2c 転動体
10,11 レール
10a,10b,11a,11b レール部分
12,13 突出部
14 ガイドブロック
15 突出部
20,21 台車
30,31,32 レール
30a,30b,31a,31b,32a,32b レール部分
33,34,35 突出部
36 ガイドブロック
37 突出部
40,41,42 台車
A,B 交差点
50 ガイドブロック
51 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを跨ぐようにして配置される台車の交差点軌道構造において、
前記レールを前記台車の幅よりも僅かに長い間隔をもって不連続に配置するとともに、
交差点の中央部に、前記レールの断面形状と同じ断面形状をもったガイドブロックを前記レールに対向させて立設したことを特徴とする、
台車の交差点軌道構造。
【請求項2】
前記ガイドブロックを、
軸芯を含む断面が前記レールの断面形状と同じ断面形状をもち、
軸芯と垂直な断面が円形となるように形成したことを特徴とする、
請求項1に記載の台車の交差点軌道構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229728(P2012−229728A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97722(P2011−97722)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(390039929)三桜工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】