説明

各台装置および遊技媒体貸越方法

【課題】大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止すること。
【解決手段】遊技台に対応して設けられる各台装置において、遊技台から受け取った遊技媒体を各台装置が計数し、遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を各台装置が取得し、特賞信号が取得された場合に、所定数の遊技媒体の貸越を各台装置が行い、貸越が行われた遊技媒体の数を計数された遊技媒体の計数値に基づいて各台装置が相殺するように各台装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技台に対応して設けられる各台装置および遊技媒体貸越方法に関し、特に、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止することができる各台装置および遊技媒体貸越方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ店等の遊技店に設置されるパチンコ機やパチスロ機といった遊技台に並設される遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機(以下、「各台装置」と記載する)が知られている。
【0003】
遊技客は、各台装置から貸し出された遊技媒体を遊技台の遊技領域に打ち込んで遊技を行い、「特賞」を獲得した場合(以下、「大当り」と記載する)、大当りに対して払出される遊技媒体(以下、「賞球」と記載する)を獲得する。
【0004】
ここで、遊技台で大当りが確定してから賞球を獲得する際にも遊技媒体を打ち込む必要がある。しかし、手持ちの遊技媒体がなくなった場合には、遊技客は追加して紙幣を挿入等して遊技媒体の貸出処理を行う必要がある。
【0005】
そこで、近年では、遊技客が賞球に基づいて相殺することを前提に遊技媒体を前借りすることができる各台装置、すなわち、大当り確定時に各台装置が貸越して遊技媒体を貸し出す各台装置を設置する遊技店もある。
【0006】
たとえば、特許文献1には、大当り確定時に各台装置が貸越して遊技媒体を貸し出し、追加で紙幣を挿入することなく遊技を継続することができる各台装置が開示されている。
そして、特許文献1の各台装置では、大当り終了後に遊技客が遊技媒体の貸出処理を行う際に、貸越した遊技媒体の数を控除することで相殺を行うこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2873078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の各台装置では、大当り終了後に遊技客によって遊技媒体の貸出処理が行われなかった場合に、大当り確定時に各台装置が貸越した遊技媒体を回収することができずに、遊技店が不利益を被ってしまうという問題があった。
【0009】
たとえば、大当り終了後に遊技客が遊技を終了する場合に、そもそも遊技客は、遊技媒体の貸出処理を行うことはない。したがって、大当り確定時に各台装置が貸越した遊技媒体を回収することができない。
【0010】
これらのことから、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止することができる各台装置および遊技媒体貸越方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止することができる各台装置および遊技媒体貸越方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、遊技台に対応して設けられる各台装置であって、前記遊技台から受け取った遊技媒体を計数する計数手段と、前記遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を取得する特賞信号取得手段と、前記特賞信号取得手段によって前記特賞信号が取得された場合に、所定数の前記遊技媒体の貸越を行う貸越手段と、前記貸越手段によって貸越が行われた前記遊技媒体の数を前記計数手段によって計数された前記遊技媒体の計数値に基づいて相殺する相殺手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記貸越手段は、前記計数手段によって計数された前記遊技媒体の前記計数値が所定数に満たない場合に、前記遊技媒体の貸越を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記貸越手段によって貸越を行う前記遊技媒体の数を変更する変更手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記貸越手段によって前記遊技媒体の貸越が行われた旨を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記貸越手段は、賞球を伴う前記特賞信号が前記特賞信号取得手段によって取得された場合に、前記遊技媒体の貸越を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記計数値から前記貸越手段によって貸越が行われた前記遊技媒体の数を減算した値を初期値として前記計数手段に計数を行わせることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、遊技台から受け取った遊技媒体を計数する計数工程と、前記遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を取得する特賞信号取得工程と、前記特賞信号取得工程によって前記特賞信号が取得された場合に、所定数の前記遊技媒体の貸越を行う貸越工程と、前記貸越工程によって貸越が行われた前記遊技媒体の数を前記計数工程によって計数された前記遊技媒体の計数値に基づいて相殺する相殺工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遊技台に対応して設けられる各台装置において、遊技台から受け取った遊技媒体を各台装置が計数し、遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を各台装置が取得し、特賞信号が取得された場合に、所定数の遊技媒体の貸越を各台装置が行い、貸越が行われた遊技媒体の数を計数された遊技媒体の計数値に基づいて各台装置が相殺することとしたので、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、計数された遊技媒体の計数値が所定数に満たない場合に、遊技媒体の貸越を各台装置が行うこととしたので、大当り時に手持ちの遊技媒体が十分ある場合には貸越は行われず、不必要な遊技媒体の払出を防止することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、貸越を行う遊技媒体の数を各台装置が変更することとしたので、遊技台で大当りが確定してから賞球を獲得するまでの間が長く、遊技媒体を多く必要とする遊技台にも対応することができ、また、少ない遊技媒体数を所望する遊技客にも対応することができ、遊技店は柔軟な貸越サービスを提供することができるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、遊技媒体の貸越が行われた旨を各台装置が報知することとしたので、遊技客が獲得した遊技媒体の計数後に、計数値である持玉数が少ない等、遊技客に対して疑念を抱かれることを防止することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、賞球を伴う特賞信号が取得された場合に、各台装置が遊技媒体の貸越を行うこととしたので、貸越が行われた遊技媒体を必ず相殺することができることで遊技店の不利益を防止することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、計数値から貸越が行われた遊技媒体の数を減算した値を初期値として各台装置が計数を行わせることとしたので、貸越が行われた遊技媒体を早急に相殺することができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、遊技台から受け取った遊技媒体を各台装置が計数し、遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を取得し、特賞信号が取得された場合に、所定数の遊技媒体の貸越を行い、貸越が行われた遊技媒体の数を計数された遊技媒体の計数値に基づいて相殺することとしたので、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る各台装置および遊技媒体貸越方法の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、各台装置の外観図である。
【図4】図4は、貸越玉数および持玉数の一例を示す図である。
【図5】図5は、各台装置が実行する貸越処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図6】図6は、変形例に係る各台装置を示す図である。
【図7】図7は、変形例に係る表示部の表示例を示す図である。
【図8】図8は、変形例に係る各台装置が実行する貸越相殺処理手順の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法についての実施例を図2〜図8を用いて説明することとする。まず、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法の概要について図1を用いて説明する。なお、以下ではパチンコ機に併設される各台装置を例に説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法の概要を示す図である。図1に示すように、本発明に係る各台装置は、パチンコ機に併設され、遊技客が獲得したパチンコ玉(以下、「持玉」と記載する)を計数する計数機能を有する。
【0029】
そして、パチンコ機が大当り確定時に持玉数が所定値に満たない場合、本発明に係る各台装置は、遊技客がパチンコ玉を前借りすることができるとともに、大当り終了時に、大当り中に計数された持玉数から前借りしたパチンコ玉の数を減算して相殺することができる点に主たる特徴がある。
【0030】
このように前借り、すなわち、貸越してパチンコ玉の貸し出しをおこなうことで、本発明に係る各台装置は、大当り時に手持ちのパチンコ玉がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができる。
【0031】
また、本発明に係る各台装置では、大当り中に計数された持玉数から貸越したパチンコ玉の数を減算することによって必ず相殺することができるので、遊技店の不利益も防止することができる。
【0032】
図1の(A)に示すように、本発明に係る各台装置は、遊技客によって挿入される紙幣やプリペイド価値が関連付けられたカードに基づいてパチンコ玉の貸し出しを行い、貸し出すパチンコ玉の払出しを行っている。また、各台装置では、遊技客が獲得した持玉を計数した持玉数と貸越が行われた際に使用する貸越玉数とを記憶し、管理している。
【0033】
ここで、図1の(B)に示すように、パチンコ機が大当り確定となった場合に(図1の(1)参照)、賞球を獲得するために遊技客はパチンコ玉を打ち込む必要がある。そこで、手持ちのパチンコ玉がなくなる、または、所定数より少ない場合に、各台装置は貸越して貸し出すパチンコ玉の払出しを行う(図1の(2)参照)。
【0034】
各台装置は、貸越して貸し出したパチンコ玉の数を貸越玉数として記憶し、持玉数とともに貸越玉数を表示部へ表示し、遊技客に対して貸越が行われた旨を報知する(図1の(3)参照)。たとえば、20玉のパチンコ玉を貸越して払出されたとすると、各台装置は、「持玉数0玉、貸越玉数20玉」と表示する。
【0035】
その後、図1の(C)に示すように、各台装置は、遊技客が獲得した賞球を計数して持玉数として記憶し(図1の(4)参照)、大当り終了後に、持玉数から貸越玉数を減算することによって貸越玉数を相殺する(図1の(5)参照)。
【0036】
具体的には、各台装置は、計数された持玉数が500玉であった場合、貸越玉数の20玉を減算し(500玉−20玉=480玉)、貸越玉数を0玉に戻し、「持玉数480玉、貸越玉数0玉」と表示する。
【0037】
このようにすることで、本発明に係る各台装置では、パチンコ機が大当り確定時に貸越したパチンコ玉を、賞球したパチンコ玉、すなわち持玉数から減算することによって、貸越したパチンコ玉を、もれなく相殺することができる。したがって、本発明に係る各台装置では、遊技店の不利益を生じることはない。
【0038】
ここでは、大当り終了後に、持玉数から貸越玉数を減算することによって貸越玉数を相殺することとしたが、相殺のタイミングについては賞球が計数されるごとに相殺することとしてもよいし、大当り時に持玉数から貸越玉数をすべて減算してしまい、その後、賞球の計数を行うこととしてもよい。
【0039】
以下では、図1を用いて説明した本発明に係る各台装置についての実施例を詳細に説明する。まず、本実施例に係る各台装置10の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る各台装置10の構成を示すブロック図である。なお、図2では、各台装置10の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0040】
図2に示すように、各台装置10は、玉払出部11と、表示部12と、記憶部13と、制御部14とを備えている。また、制御部14は、特賞信号取得部14aと、貸越部14bと、相殺部14cと、持玉計数部14dとをさらに備えており、記憶部13は、貸越払出数13aと、貸越玉数13bと、持玉数13cとを記憶する。
【0041】
玉払出部11は、ノズルを備え、持玉の払出しを行う。たとえば、図示しない持玉払出ボタンが押下された場合に、持玉計数部14dで計数された持玉数13cから払出数を減算して、玉払出部11経由でパチンコ機20へパチンコ玉を投出する。
【0042】
なお、ノズルを備えた玉払出部11はなくてもよく、その場合は、パチンコ機20から持玉を投出するようにしてもよい。表示部12は、持玉数13cおよび貸越玉数13bを表示する。
【0043】
記憶部13は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部13は、貸越して払出すパチンコ玉数を貸越払出数13aとして記憶する。なお、各台装置10は、遊技客または従業員によって表示操作部24等から貸越払出数13aを変更できることとしてもよい。
【0044】
また、記憶部13は、貸越部14bで貸越して払出されたパチンコ玉数を貸越玉数13bとし、持玉計数部14dで計数したパチンコ玉数を持玉数13cとして記憶して記憶する。
【0045】
ここで、各台装置10の概要構成を説明するために、図3を用いて各台装置10の外観について説明しておく。図3は、各台装置10の外観図である。なお、同図には、各台装置10が併設されるパチンコ機20を破線で示している。
【0046】
図3に示すように、各台装置10は、各台装置10の装置状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部21と、パチンコ玉の払出のための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部22とを備えている。
【0047】
また、各台装置10は、持玉払出操作を受け付けたり、持玉数13cや貸越玉数13bを表示したりする表示操作部24と、パチンコ玉を払出すノズルを備えた玉払出部11とを備えている。
【0048】
さらに、各台装置10は、持玉数やプリペイド価値や貯玉数が関連付けられたカード(会員カードまたはビジターカード)の受け付け、会員カードの返却、および、ビジターカードの発行を行うカードR/W(リーダ/ライタ)部25を備えている。なお、カードR/W部25の内部には、複数枚のビジターカードが収納されているものとする。
【0049】
ここで、貯玉とは、遊技客(会員)が獲得したパチンコ玉を遊技店に預けることができるサービスのことで、遊技店側は、遊技客が預けたパチンコ玉の数を貯玉数として図示しない管理コンピュータで管理する。そして、遊技客は、貯玉数が関連付けられた会員カードによって当日または翌日以降にパチンコ玉を払出してパチンコ機20で貯玉による遊技(以下、「再プレイ」と記載する)を行うことができる。
【0050】
なお、各台装置10では、再プレイを行う際、会員カードが挿入されたならば、会員によって入力された認証用の暗証番号に基づいて挿入された会員カードの所有者本人であるか否かの認証を行う。所有者本人であると認証されたならば、各台装置10は、表示操作部24に設けられる再プレイボタンが押下された場合に、所定数のパチンコ玉を払出す。
【0051】
ここで、各台装置10は、パチンコ玉の払出しの際、会員によって挿入された会員カードに関連付けられた貯玉数、すなわち、管理コンピュータで管理される貯玉数から払出数を減算する処理を併せて行う。
【0052】
また、各台装置10は、持玉を計数する持玉計数部14dと、持玉を貯留する玉貯留部27とを備えている。また、玉貯留部27の前面には、持玉数13cと貸越玉数13bとを表示する表示部12をさらに備えている。
【0053】
各台装置10は、図3に示すパチンコ機20の下皿28から遊技客が獲得したパチンコ玉である持玉を玉貯留部27へ誘導し、持玉計数部14dで持玉の数量を計数する。
【0054】
各台装置10は、表示操作部24や玉貯留部27の前面に設けられる図示しない持玉払出ボタンが押下された場合には、持玉計数部14dで計数された持玉数13cから払出数を減算し、玉払出部11経由で上皿29へパチンコ玉を投出する。また、各台装置10は、パチンコ機20が大当り確定時に、持玉数13cが所定数より少ない場合に、貸越して貸し出す貸越払出数13aのパチンコ玉を玉払出部11経由で上皿29へ投出する。
【0055】
また、パチンコ機20の上皿29には、各台装置10の制御部14と電気的に接続されている玉貸ボタンが設けられている。パチンコ機20は、この玉貸ボタンが押下された場合は、紙幣挿入部22へ挿入された各種紙幣の残額あるいはカードR/W部25に挿入されたカードに関連付けられたプリペイド価値から所定の価値を減算し、パチンコ機20へパチンコ玉を投出する。
【0056】
なお、本実施例では、各台計数機能と玉貸機能とを兼ね備えた1台の台間装置10に対して本発明を適用した場合について説明したが、各台計数機能を有する各台計数装置と、玉貸機能を有する玉貸装置とを併設するシステム(以下、「ダブルサンド方式」と記載する)に対して本発明を適用することとしてもよい。
【0057】
また、本実施例では、貯玉数が関連付けられた会員カードによって貯玉による遊技を行うこととした。しかし、会員カードの替わりに遊技客の所有する携帯端末を使用することとしてもよい。この場合、各台装置10は携帯読取手段を備え、遊技客の所有する携帯端末の識別子であるIDmを読み取り、IDmに関連付けられた貯玉数から払出数を減算して、パチンコ機20からパチンコ玉を投出することとなる。
【0058】
図2の説明に戻り、各台装置10についての説明をつづける。制御部14は、各台装置10の全体制御を行う制御部である。特賞信号取得部14aは、パチンコ機20から大当りになった通知である特賞信号を取得する処理を行う処理部である。
【0059】
なお、パチンコ機20によって、大当りの種類によって賞球が少ない、または、賞球がない場合がある。賞球数が貸越払出数13aより少ない場合には、各台装置10では、貸越玉数13bを相殺することができなくなる。
【0060】
必ず相殺することができるように、各台装置10は、特賞信号の種類が、賞球数が貸越払出数13aより多い大当りである(以下、「特賞信号」と記載する)場合に、貸越を行うこととする。したがって、特賞信号取得部14aは、賞球を伴う特賞信号を取得したら貸越指示を貸越部14bへ通知する処理を併せて行う。
【0061】
なお、特賞信号取得部14aは、賞球を伴う特賞信号を取得したら貸越指示を貸越部14bへ通知することとした。しかし、特賞信号取得部14aは、賞球を伴う特賞信号を取得したら表示操作部24等に貸越を行う旨を報知し、遊技客に確認させるようにしてもよい。この場合、特賞信号取得部14aは、図示しないOKボタン等が押下されることによって貸越指示操作を受け付けた場合に、貸越指示を貸越部14bへ通知することとしてもよい。
【0062】
貸越部14bは、特賞信号取得部14aから貸越指示を受け付けたならば、貸越払出数13aのパチンコ玉を貸越して払出すよう玉払出部11へ指示し、貸越玉数13bへ貸越払出数13aをセットする処理を行う処理部である。また、貸越部14bは、貸越が行われた旨を表示部12へ表示する処理を併せて行う。
【0063】
相殺部14cは、持玉計数部14dによって大当り中に賞球が計数されるたびに貸越玉数13bを減算することによって貸越玉を相殺するとともに、持玉数13cから貸越玉数13bを相殺した旨を表示部12へ表示する処理を併せて行う。
【0064】
持玉計数部14dは、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数し、計数した持玉数13cを表示部12へ表示する処理を行う処理部である。
【0065】
つぎに、貸越玉数13b、持玉数13cおよび表示部12へ表示する表示詳細について図4を用いて説明する。図4は、貸越玉数13bおよび持玉数13cの一例を示す図である。
【0066】
図4の(A)に示すように、貸越玉数13bが0玉、持玉数13cが3玉である場合には、各台装置10は、表示部12へ持玉数13cと同数の「3」と表示する。ここで、パチンコ機20が大当り確定となった場合に、持玉数13cが所定数より少ない場合に、各台装置10は貸越払出数13aのパチンコ玉を貸越する。
【0067】
たとえば、所定数を5玉および貸越払出数13aが20玉とした場合、持玉数13c(3玉)は所定数の5玉より少ないので、各台装置10では貸越して貸し出すパチンコ玉の払出しが行われる。
【0068】
これにより、図4の(B)に示すように、貸越玉数13bは20玉、持玉数13cは3玉となり、表示部12には、持玉数13cと貸越玉数13bとの差分(3玉−20玉=−17玉)、すなわち「−17」と表示される。
【0069】
このように、表示部12にマイナスの玉数が表示されることによって遊技客は持玉数13cから貸越してパチンコ玉が払出されたことがわかる。なお、表示部12は、貸越が行われた際に、表示する数値の表示色を変更してもよいし、点滅させて強調表示することとしてもよい。
【0070】
そして、図4の(C)に示すように、大当りの賞球が持玉計数部14dによって1玉計数されると、貸越玉数13bから1玉減算することによって貸越玉を相殺するとともに、表示部12には持玉数13cと貸越玉数13bとの差分「−16」が表示される。
【0071】
このように、各台装置10では、貸越玉数13bが1玉以上ある間は、大当りの賞球を1玉計数するごとに貸越玉を相殺する処理を行う。そして、図4の(D)に示すように、貸越玉数13bが0玉になった時点で、貸越相殺処理を終了して、持玉計数部14dでは、相殺を行わない場合の持玉計数処理が開始される。
【0072】
つぎに、本実施例に係る各台装置10が実行する貸越処理について図5を用いて説明する。図5は、各台装置10が実行する貸越処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0073】
図5に示すように、特賞信号取得部14aは、パチンコ機20から特賞信号を取得したら(ステップS101)、賞球を伴う特賞信号か否かを判定する(ステップS102)。特賞信号取得部14aによって賞球を伴う特賞信号であると判定された場合(ステップS102,Yes)、貸越部14bは、持玉数13cが所定数より少ないか否かを判定する(ステップS103)。一方、貸越部14bは、特賞信号取得部14aによって賞球を伴う特賞信号ではないと判定された場合(ステップS102,No)、処理を終了する。
【0074】
つづいて、貸越部14bでは、持玉数13cが所定数より少ない場合(ステップS103,Yes)、貸越払出数13aのパチンコ玉を貸越して玉払出部11より払出し(ステップS104)、貸越玉数13bへ貸越払出数13aをセットする(ステップS105)。また、持玉計数部14dは、ステップS103で、持玉数13cが所定数以上であった場合(ステップS103,No)、貸越処理を行わずに処理を終了する。
【0075】
そして、持玉計数部14dは、大当りの賞球である持玉を1玉計数し(ステップS106)、相殺部14cは、貸越玉数13bから1玉減算することによって貸越玉を相殺する(ステップS107)。
【0076】
また、相殺部14cは、貸越玉数13bが0玉になったか否かを判定し(ステップS108)、貸越玉数13bが0玉である場合(ステップS108,Yes)、各台装置10が実行する一連の貸越処理を終了する。
【0077】
一方、相殺部14cは、貸越玉数13bが0玉でない場合、すなわち、1玉以上ある場合(ステップS108,No)、ステップS106へ処理を移行し、持玉の計数および貸越玉数の減算を継続する。
【0078】
ところで、本実施例においては、各台装置10が賞球を伴う特賞信号を取得した場合に、貸越してパチンコ玉を貸し出し、大当り終了時に、大当り中に計数された持玉数から貸越したパチンコ玉の数を減算して相殺する各台装置10について説明した。
【0079】
しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。そこで、以下では、各台装置の変形例について図6〜図8を用いて説明する。まず、ノズルを備えず、パチンコ機から持玉の払出しを行う各台装置、および、ダブルサンド方式の各台装置で貸越したパチンコ玉を相殺する場合の変形例について図6を用いて説明する。
【0080】
図6は、変形例に係る各台装置を示す図である。図6の(A)には、ノズルを備えていない各台装置を、図6の(B)には、ダブルサンド方式の各台装置を、それぞれ示している。
【0081】
まず、図6の(A)に示すように、パチンコ機20aが備える玉投出機構から持玉および貸玉の払出しを行う各台装置10aは、1回の払出で一定数のパチンコ玉を投出する。
【0082】
このような変形例に係る各台装置10aによれば、計数した持玉によって貸越玉数を相殺する方法に加えて、玉貸ボタンが押下された際に、貸し出すパチンコ玉の数から貸越玉数13bを減算することによって相殺することとしてもよい。
【0083】
たとえば、1回の払出で25玉パチンコ玉を貸し出す各台装置10aでは、大当り時に貸越して25玉パチンコ玉を貸し出し、玉貸ボタンが押下された際に、25玉を減算し、玉貸数が0玉となるのでパチンコ玉を投出しないことによって相殺することができる。
【0084】
また、図6の(B)に示すように、各台計数機能を有する各台計数装置10bと、玉貸機能を有する玉貸装置10cとを併設するいわゆるダブルサンド方式の各台装置では、大当り時に貸越して、各台計数装置10bに備えるノズルからパチンコ機20bへパチンコ玉を投出する。そして、各台計数装置10bは、大当り中に計数された持玉数から貸越したパチンコ玉の数を減算して相殺する。
【0085】
つづいて、表示部12に貸越してパチンコ玉が払出された旨を表示する表示例の変形例について図7を用いて説明する。図7は、変形例に係る表示部の表示例を示す図である。本実施例においては、図4を用いて説明したように、持玉数13cから貸越玉数13bを減算した玉数を表示部12へ表示することとした。
【0086】
しかし、図7に示すように、各台装置は、表示部12や表示操作部24へ持玉数13cと貸越玉数13bとを表示して、貸越してパチンコ玉が払出された旨を表示することとしてもよい。たとえば、図7の(A)に示すように、貸越玉数13bが0玉、持玉数13cが3玉である場合について説明する。
【0087】
図7の(B)に示すように、各台装置10は、パチンコ機20が大当り確定となり、20玉のパチンコ玉を貸越して払出した場合に、「貸越玉数13b:20玉、持玉数13c:3玉」と表示する。なお、表示する貸越玉数13bの表示色を変更してもよいし、点滅させて強調表示することとしてもよい。
【0088】
そして、図7の(C)に示すように、各台装置10は、大当りの賞球が持玉計数部14dによって1玉計数されると、貸越玉数13bから1玉減算することによって貸越玉を相殺するとともに、「貸越玉数13b:19玉、持玉数13c:3玉」と表示する。
【0089】
図7の(D)に示すように、各台装置10は、貸越玉数13bが0玉になるまで、上述した処理を繰り返すことによって貸越相殺処理を行う。その後、貸越玉数13bが0玉になったならば、持玉計数部14dでは、相殺を行わずに持玉計数処理が行われ、1玉計数されるごとに、持玉数13cに加算して、図7の(E)に示すように表示する。
【0090】
つぎに、各台装置10が賞球のない特賞信号を取得した場合にも貸越処理を行い、その後、玉貸指示を受け付けた際に貸越相殺処理を行う変形例について図8を用いて説明する。図8は、変形例に係る各台装置が実行する貸越相殺処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0091】
図8に示すように、変形例に係る各台装置では、賞球のない特賞信号を取得した場合であっても(ステップS201)、貸越してパチンコ玉を払出して(ステップS202)、貸越玉数13bへ貸越払出数13aをセットする(ステップS203)。
【0092】
そして、変形例に係る各台装置は、挿入された各種紙幣の残額あるいは貯玉数や持玉数が関連付けられたカードが挿入されているか否かを判定する(ステップS204)。残額またはカードがありと判定された場合(ステップS204,Yes)、変形例に係る各台装置は、玉貸ボタンが押下されたことによってパチンコ機から玉貸指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS205)。
【0093】
玉貸指示を受け付けたと判定された場合(ステップS205,Yes)、変形例に係る各台装置は、玉貸指示を受け付けた際に払出すパチンコ玉の貸出玉数から貸越玉数13bを減算して相殺する(ステップS206)。
【0094】
そして、変形例に係る各台装置は、貸越玉数13bを0にクリアして(ステップS207)、貸出玉数のパチンコ玉を払出し(ステップS208)、変形例に係る各台装置が実行する一連の貸越処理を終了する。
【0095】
一方、変形例に係る各台装置は、ステップS205で玉貸指示を受け付けないと判定された場合(ステップS205,No)、その後、遊技を終了する遊技客によってカード返却指示を受け付け(ステップS209)、指示に従って残額が対応付けられたカードを発行するまたはカードを返却する(ステップS210)。
【0096】
ここでは、残額返却指示またはカード返却指示を受け付けたことによって貸越してパチンコ玉が払出された遊技客が、貸越玉数13bを相殺しないまま遊技を終了したことが考えられる。したがって、この場合、変形例に係る各台装置は、新たに遊技をはじめる別の遊技客に対して貸越玉数13bを相殺してしまうことがないように、貸越玉数13bを0にクリアして(ステップS211)、処理を終了する。
【0097】
また、ステップS204で残額またはカードがなしと判定された場合(ステップS204,No)、紙幣が挿入された、または、持玉数が関連付けられているカードが挿入された場合(ステップS212)、別の遊技客が遊技を開始したことが考えられる。したがって、この場合、変形例に係る各台装置は、別の遊技客に対して貸越玉数13bを相殺してしまうことがないように、貸越玉数13bを0にクリアして(ステップS213)、処理を終了する。
【0098】
なお、上記変形例では、カードの挿入/返却や現金投入が発生したときに遊技客が交代したと判断して貸越玉数をクリアしたが、パチンコ玉の払出や遊技台へ打ち込まれるパチンコ玉を検知するためのアウト信号およびセーフ信号がない状態が所定時間を超えて継続した場合にも、同様の処理を行ってもよい。
【0099】
また、貸越玉数をクリアした際には、クリアした貸越玉数やクリア時刻や台番号等の情報を管理コンピュータに送信して、集計ができるように管理したりクリア状況等を検索できるようにしてもよい。
【0100】
上述してきたように、本実施例および変形例に係る各台装置および遊技媒体貸越方法は、賞球を伴う特賞信号を取得したら、所定数のパチンコ玉を貸越して払出し、各台装置では賞球を持玉数として計数し、計数された持玉数から貸越して払出したパチンコ玉数を減算して相殺することとした。
【0101】
したがって、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法は、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合であっても、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、もれなく相殺できることによって遊技店の不利益も防止することができる。
【0102】
なお、本発明の請求項に記載の各台装置は各台装置10、計数手段は持玉計数部14d、特賞信号取得手段は特賞信号取得部14a、貸越手段は貸越部14b、相殺手段は相殺部14cの一例として挙げられる。
【0103】
なお、上述した実施例では、各台装置10で貸越処理および相殺処理を行うこととしたが、処理の一部を遊技島に設けられた一群のパチンコ機および各台装置10を束ねる中継装置である島コントローラや管理装置で行うようにしてもよい。これにより、各台装置10の処理負担を低減することができる。
【0104】
また、上述した実施例では、各台装置10で、貸越玉数13bおよび持玉数13cを記憶することとした。しかし、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で各台装置10と接続された管理装置等で記憶することとしてもよい。また、管理装置が、各台装置10の貸越払出数13aを変更できることとしてもよい。
【0105】
また、上述した実施例では、各台装置10は、大当り時に、貸越して貸し出した貸越玉数を持玉数から減算して相殺することとしたが、貸越玉数に手数料として所定の玉数を加算した玉数を持玉数から減算して相殺することとしてもよい。
【0106】
また、上述した実施例では、パチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合、または、パチスロ遊技のみを対象とした場合にも同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明に係る各台装置および遊技媒体貸越方法は、大当り時に手持ちの遊技媒体がなくなった場合に有用であり、特に、遊技客が追加で遊技媒体を借りることなく遊技を継続することができるとともに、遊技店の不利益も防止させたい場合に適している。
【符号の説明】
【0108】
10 各台装置
11 玉払出部
12 表示部
13 記憶部
13a 貸越払出数
13b 貸越玉数
13c 持玉数
14 制御部
14a 特賞信号取得部
14b 貸越部
14c 相殺部
14d 持玉計数部
20 パチンコ機
21 状態表示部
22 紙幣挿入部
24 表示操作部
25 カードR/W部
27 玉貯留部
28 下皿
29 上皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技台に対応して設けられる各台装置であって、
前記遊技台から受け取った遊技媒体を計数する計数手段と、
前記遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を取得する特賞信号取得手段と、
前記特賞信号取得手段によって前記特賞信号が取得された場合に、所定数の前記遊技媒体の貸越を行う貸越手段と、
前記貸越手段によって貸越が行われた前記遊技媒体の数を前記計数手段によって計数された前記遊技媒体の計数値に基づいて相殺する相殺手段と
を備えたことを特徴とする各台装置。
【請求項2】
前記貸越手段は、
前記計数手段によって計数された前記遊技媒体の前記計数値が所定数に満たない場合に、前記遊技媒体の貸越を行うことを特徴とする請求項1に記載の各台装置。
【請求項3】
前記貸越手段によって貸越を行う前記遊技媒体の数を変更する変更手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の各台装置。
【請求項4】
前記貸越手段によって前記遊技媒体の貸越が行われた旨を報知する報知手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の各台装置。
【請求項5】
前記貸越手段は、
賞球を伴う前記特賞信号が前記特賞信号取得手段によって取得された場合に、前記遊技媒体の貸越を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の各台装置。
【請求項6】
前記計数値から前記貸越手段によって貸越が行われた前記遊技媒体の数を減算した値を初期値として前記計数手段に計数を行わせることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の各台装置。
【請求項7】
遊技台から受け取った遊技媒体を計数する計数工程と、
前記遊技台が特賞状態であることを示す特賞信号を取得する特賞信号取得工程と、
前記特賞信号取得工程によって前記特賞信号が取得された場合に、所定数の前記遊技媒体の貸越を行う貸越工程と、
前記貸越工程によって貸越が行われた前記遊技媒体の数を前記計数工程によって計数された前記遊技媒体の計数値に基づいて相殺する相殺工程と
を含んだことを特徴とする遊技媒体貸越方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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