説明

合成スメクタイト鉱物を製造するための高せん断方法

乾燥粘土と乾燥銅源とを混合することにより、銅/粘土混合物を製造すること;乾燥粘土と乾燥硫黄源を混合することにより、硫黄/粘土混合物を製造すること;銅/粘土混合物と硫黄/粘土混合物とを混合して、水銀収着媒予備混合物を形成すること;及び水銀収着媒予備混合物をせん断して、水銀収着媒物質を形成することを含む、水銀収着媒物質の製造方法。当該水銀収着媒物質は、4重量%未満の水を含有するとき、層間隔d(001)が12Å未満であり、当該水銀収着媒物質の粉末X線回折パターンは、2.73±0.01Åの回折ピークが実質的に存在せず、当該水銀収着媒物質のζ電位は、乾燥粘土のζ電位よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年6月16日に出願された米国特許出願第12/485,561号の優先権を主張し、その開示を全体として本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ガス流(例えば、天然ガス、工業の煙突等)から水銀(有機水銀、Hg、Hg及び/又はHg2+)を除去するための組成物、当該組成物の製造方法、及び、当該組成物の使用方法に関する。組成物「水銀除去媒体(mercury removal media)」は、石炭燃焼火力発電所から排出される燃焼ガスから水銀を除去するのに特に有用である。当該Hg除去媒体は、層状のフィロケイ酸塩、硫黄及び銅を含み、結果として銅/硫黄/粘土(clay)物質となる、均一で、好ましくはせん断された組成物を含む。当該銅は、粘土の陽イオンとイオン交換されており、当該硫黄は、イオン交換され、遊離した銅と反応して、機構の組み合わせによりフィロケイ酸塩が結合した硫化銅相を形成する。
【背景技術】
【0003】
石炭燃焼火力発電所及び石油燃焼火力発電所からの水銀の排出は、環境的に大きな懸案事項となってきた。水銀(Hg)は、非常に低濃度で人体の健康に影響を与える強力な神経毒素である。米国における水銀の最も大きい排出源は、石炭燃焼火力発電所である。これらの石炭燃焼火力発電所は、米国における全水銀排出量の3分の1から半分を占める。
【0004】
水銀の排出は、主に、燃焼する石炭から放出される燃焼ガス(排ガス)を通じてである。燃焼ガス中のHgには、元素のHg、酸化されたHg、粒子に結合したHgの3つの基本的な形態がある。
【0005】
今のところ、石炭燃焼火力発電所及び石油燃焼火力発電所からの水銀の排出を減少する最も一般的な方法は、燃焼排ガス流に粉末活性炭を注入することである。活性炭は、水銀が吸着する及び水銀が結合した粒子が凝集するための高い表面積をもたらす。燃焼排ガス流に活性炭を加えることの不利な点は、飛散灰の排出流れに活性炭が滞留することである。石炭燃焼発電所からの飛散灰がコンクリートにひんぱんに加えられると、活性炭の存在が性能に悪影響を及ぼす。
【0006】
Hgの排出を減少させる別の方法は、水銀と反応して、元素のHg及び酸化されたHgを化学的に吸着する化学種を加えることである。Hgと化学的に反応することが可能な物質の1種は、金属硫化物である。米国特許第6,719,828号明細書には、粘土(clay)の層間に金属硫化物を有する粘土のような層状の収着媒を製造することが記載されている。層状の収着媒を製造するのに用いられる方法は、イオン交換プロセスに基づいており、高いイオン交換容量を有するもののみに基質の選択を限定する。また、開示されたイオン交換は、再現性、性能、拡張性、装置の要求事項及び収着媒のコストを著しく損なういくつかの湿式プロセス工程を含み、時間のかかるものである。米国特許第6,719,828号明細書の記載に従った収着媒の製造方法は、酸性化した溶液中で粘土を膨潤させ、金属塩の溶液に導入し、粘土の層間で金属イオンを交換させ、イオン交換した粘土をろ過し、溶液中に粘土を再分散させ、硫化物溶液に加えることにより粘土を硫化し、最後に物質をろ過及び乾燥することを含む。米国特許第6,719,828号明細書に開示された方法の別の欠点は、イオン交換プロセスの副生物、すなわち金属イオンの廃液及び生成する硫化水素の環境賠償責任である。
【0007】
公開された米国特許出願第11/291,091号明細書には、ガス流から水銀を除去するための金属硫化物/ベントナイト複合体を製造することが記載されている。当該出願明細書には、複合体を製造するために、インシピエント・ウェットネス(incipient wetness)プロセスと固体反応粉砕(solid-state reactive grinding)プロセスの2つの方法が記載されている。2つの方法は、銅塩をベントナイト粘土と混合し、その後硫化物塩を加える点で類似している。2つのプロセスは、硫化物塩を加える方法が異なる。第一の方法では、水中に硫化物塩を溶解させ、水溶液として銅/粘土混合物に加える「インシピエント・ウェットネス」手順により、硫化物塩が加えられる。第二の方法では、硫化物塩水和物を水和した銅/粘土混合物とともに粉砕する「固体反応粉砕」プロセスにより、硫化物塩が加えられる。さらに、当該出願明細書には、インシピエント・ウェットネス法及び固体粉砕法は、ベントナイト粘土の陽イオンに対する銅イオンのイオン交換がないため、米国特許第6,719,828号明細書の「湿式」法とは異なることが記載されている。当該出願で製造される物質の複合体の性質は、銅藍(CuS)の生成の証拠を提供する粉末X線回折スペクトルによりサポートされており、同じ銅硫化物が、米国特許第6,719,828号明細書で製造されている。
【0008】
米国特許出願第11/291,091号は、イオン交換を権利放棄(disclaim)しているが、銅塩及びベントナイト粘土は、直ちにかつ容易にイオン交換し、非常に安定な銅/粘土組成物が得られる。例えば、Ding, Z. and R. L. Frost “Thermal study of copper adsorption on montmorillonites”, Thermochimica Acta, 2004, 416, 11-16参照。こうした組成物を分析的に解析することにより、層間のイオン交換(インターカレーション(intercalation))及び銅塩の端吸着(edge adsorption)の両方が確認された。例えば、El-Batouti et al., “Kinetics and thermodynamics studies of copper exchange on Na-montmorillonite clay mineral”, J. Colloid and Interface Sci., 2003, 259, 223-227参照。
【0009】
改良された汚染防止収着媒及びその製造方法を提供することへの継続的な要求が依然として存在する。容易にかつ安価に製造できる基質上に金属硫化物を含む収着媒を提供することが望ましいであろう。この点において、イオン交換プロセスに関与する多数の工程を必要としない、直ちに入手できる基質を化学的収着媒に効率的に転換する簡潔で環境に優しい方法が必要である。
【発明の概要】
【0010】
水銀収着媒物質(mercury sorbent material)の製造は、約15重量%未満の水を有する乾燥粘土(clay)と、実質的にその分子の水和水のみからなる含水量を有する乾燥銅源(copper source)とを混合することにより、銅/粘土混合物を製造し;約15重量%未満の水を有する乾燥粘土と、実質的にその分子の水和水のみからなる含水量を有する乾燥硫黄源(sulfur source)とを混合することにより、硫黄/粘土混合物を製造し;前記銅/粘土混合物と前記硫黄/粘土混合物とを混合して、水銀収着媒予備混合物を形成し、そして、前記水銀収着媒予備混合物をせん断して、水銀収着媒物質を形成して行う。ここで、水銀収着媒物質は、約4重量%の水を含有するとき、層間隔d(001)が12Å未満であり、水銀収着媒物質のX線回折パターンは2.73±0.01Åの回折ピークが実質的に存在せず、水銀収着媒のζ電位は、乾燥粘土のζ電位よりも大きい。好ましい実施形態において、せん断は、水銀収着媒物質を約15重量%〜約40重量%の含水率で、より好ましくは約20重量%〜約30重量%の含水率で、押出機に通すことにより達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】せん断混合により水銀収着媒物質を製造するプロセス図。
【図2】粉末X線回折により測定される間隔d(001)を示すモンモリロナイトの構造図。
【図3】ナトリウムモンモリロナイトの粉末X線回折パターンの合成図。線は、約0.9重量%〜約24.4重量%の水を含有するナトリウムモンモリロナイトの低角(low angle)回折パターンを示す。
【図4】本明細書に記載する水銀収着媒物質の粉末X線回折パターンの合成図。線は、約0.6重量%〜約22重量%の水を含有する物質の低角回折パターンを示す。
【図5】ナトリウムモンモリロナイト、約4.5重量%の銅藍(covellite)を含有するナトリウムモンモリロナイト、4.5重量%の硫化銅相当量を含有する本明細書に記載する水銀収着媒物質の試料の2・Θが約30°と35°の間の粉末X線回折パターンの合成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載する水銀収着媒物質は、収着媒成分、特に粘土、銅源及び硫黄源をせん断することにより製造される、銅と硫黄を含有する層状粘土物質である。本明細書で開示する方法は、粘土の陽イオンを収着媒銅成分の陽イオンとイオン交換すること及び標準的な反応経路を途絶することの両方により達成される。本明細書に記載する水銀収着媒物質の分析的な解析により、当該物質は先行技術に記載された速度論的反応生成物(kinetic reaction product)を含まないことが示される。
【0013】
本明細書に開示する方法及び物質の一態様によると、水銀収着媒物質は、ケイ酸塩の粘土物質を含む。ケイ酸塩の粘土(フィロケイ酸塩)は、スメクタイト粘土、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト(volkonskoite)、ソーコナイト(sauconite)、ステベンサイト(stevensite)及び/又は合成スメクタイト誘導体、特に、フルオロヘクトライト及びラポナイト;混合層状粘土、特に、レクトナイト(rectonite)及びその合成誘導体;バーミキュライト、イライト、雲母質鉱物(micaceous minerals)及びその合成誘導体;層状水和化結晶ポリケイ酸塩、特に、マカタイト(makatite)、カネマイト(kanemite)、オクトシリケート(octaslilicate)(イリエライト(illierite))、マガディアイト(magadiite)及び/又はケニヤアイト(kenyaite);アタパルジャイト(attapulgite)、パリゴルスカイト(palygorskite)、セピオライト;又はそれらの任意の組み合わせであってよい。粘土物質は交換性の陽イオンを有さなければならない。好ましくは、ケイ酸塩粘土物質は、交換性のカルシウムイオン及び/又はナトリウムイオンを有するモンモリロナイトである。
【0014】
本明細書に開示する方法及び物質の別の重要な態様は、反応性の銅化合物である。本明細書においては、反応性の銅化合物は、硫黄及び/又は硫化物イオンと反応する銅含有物質である。反応性の銅化合物は、本明細書で開示する方法及び物質に銅源を提供する。銅源は、好ましくは乾燥物質である。ここで、乾燥銅源は、粉末状、フレーク状又は結晶状の形態で、固体の銅化合物の結晶構造内の水和水を超えて水を含有しない反応性の銅化合物として定義される。銅源を提供する銅化合物の限定されない例としては、酢酸銅、銅アセチルアセトネート、臭化銅、炭酸銅、塩化銅、クロム酸銅、エチルヘキサン酸銅、蟻酸銅、グルコン酸銅、水酸化銅、ヨウ化銅、モリブデン酸銅、硝酸銅、酸化銅、過塩素酸銅、ピロリン酸銅、セレン化銅、硫酸銅、テルル化銅、テトラフルオロホウ酸銅、チオシアン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅(copper triflate)、銅金属、銅合金、及びそれらの混合物の無水及び水和の形態が挙げられる。好ましくは、銅源は、銅の陽イオン及び銅塩の陰イオンを有する銅(II)塩であり、より好ましくは、銅源は、銅塩の陰イオンとナトリウムイオンとの対化が銅の陽イオンとの対化よりもエンタルピー的に好ましい銅(II)塩であり、さらにより好ましくは、銅塩の陰イオンとカルシウムイオンとの対化が銅の陽イオンとの対化よりもエンタルピー的に好ましい銅(II)塩であり、さらにより一層好ましくは、銅源は硫酸銅である。
【0015】
また、本明細書に開示する方法及び物質の別の重要な態様は、反応性の硫黄化合物である。本明細書においては、反応性の硫黄化合物は、銅及び/又は銅イオンと反応し、硫黄原子又は多硫化物(polysulfide)をもたらす硫黄含有物質である。反応性の硫黄化合物は、本明細書で開示する方法及び物質に硫黄源を提供する。硫黄源は、好ましくは乾燥物質である。ここで、乾燥硫黄源は、粉末状、フレーク状、結晶状又は気体状の形態で、固体の硫黄源の結晶構造内の水和水を超えて水を含有しない反応性の硫黄化合物として定義される。硫黄源を提供する硫黄化合物の限定されない例としては、硫化ナトリウム、二硫化ナトリウム、多硫化ナトリウム、硫化アンモニウム、二硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム、硫化カリウム、二硫化カリウム、多硫化カリウム、多硫化カルシウム、及びそれらの混合物の無水及び水和の形態が挙げられる。硫黄源を提供する硫黄化合物の限定されない例としては、硫黄、硫化水素、二硫化水素、硫化アルミニウム、硫化マグネシウム、チオ酢酸、チオ安息香酸、及びそれらの混合物の無水の形態が挙げられる。好ましくは、硫黄源は硫化物の塩又は多硫化物の塩であり、より好ましくは、硫黄源は硫化物の塩であり、さらにより好ましくは、硫黄源は硫化ナトリウムであり、より一層好ましくは、硫黄源はNaS、NaS・3HO及びNaS・9HOから選択され、さらにより一層好ましくは、硫黄源はNaS・3HOである。
【0016】
また、本明細書に開示する方法及び物質の別の重要な態様は、反応性化合物のせん断に先立って、銅+硫黄の化学反応がないことである。化合物のせん断に先立って、銅+硫黄の化学反応の反応性を阻止する一つの手段は、銅源及び硫黄源を粘土物質で希釈することである。反応速度は濃度に依存し、銅源と硫化物源の反応も同様に依存するであろうことを当業者は認識するであろう。また、銅源と硫化物源の反応は、自由水が存在しないことにより阻害される。水を加えること、及び、銅溶液及び/又は硫化物溶液が形成する可能性があることは、銅源と硫化物源との反応速度を著しく高めるであろう。本明細書において、あらゆる固体状態反応は、イオンの移動性及び銅源と硫化物源の曝された表面積に依存するであろうし、したがって、この固体状態反応は非常に遅いであろう。
【0017】
好ましくは、後述する機械的せん断装置に銅/粘土混合物を加える前に、銅源は粘土物質と混合される。同様に、好ましくは、機械的せん断装置に硫黄/粘土混合物を加える前に、硫黄源は粘土物質と混合される。所望により、機械的せん断装置に水銀収着媒予備混合物を加える前に、銅/粘土混合物と硫黄/粘土混合物を混合して、水銀収着媒予備混合物を形成してよい。また、機械的せん断装置に物質を供給する別の方法は、粘土物質を銅源及び硫黄源と混合することである(所望により、最初に粘土物質に銅源を加え、それから水銀収着媒予備混合物の硫黄源を加えてよく、又は、順番を任意に変えてもよい)。加える順番は特定の(反応化合物)源によって変わることを当業者なら理解するであろう。あるいは、銅/粘土混合物と硫黄/粘土混合物は、それぞれ独立して、機械的せん断装置に加えてもよい。単一の又は複数の乾燥物質を機械的せん断装置に加えることは、当業者に利用可能な任意の手段によって行うことができる。
【0018】
ある実施形態において、銅/粘土混合物及び硫黄/粘土混合物は、銅源及び硫黄源が粘土物質に加えられる単一のプロセスで製造され、混合される。それから、当該混合物は、粘土物質全体にわたって銅源及び硫黄源が分布されるように非せん断混合機を用いて撹拌され、水銀収着媒予備混合物が形成される。非せん断混合機の一例は、パドル型の混合機である。
【0019】
加えられる硫化物源に対して加えられる銅源の質量は、銅イオンと硫化物イオンが好ましいモル比になるよう調整される。好ましいモル比は、銅原子と硫黄原子の目安であると理解される。例えば、硫黄源が多硫化物であるとき、硫化物イオンに対する銅イオンの比は、硫黄原子に対する銅原子(イオン)のモル比を表し、硫化物イオンはXが1より大きいS2−の式で表される。硫化物イオンに対する銅イオンの比は、約0.1〜約10の範囲内である。好ましくは、(Cu:S)の比は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6,1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9又は3.0である。硫化物源が多硫化物であるとき、当該比は、一般的に1未満である。ある好ましい実施形態において、硫黄イオンに対する銅イオンの比は、約1未満であり、より好ましくは約0.5未満である。別の好ましい実施形態において、当該比は約1より大きく、より好ましくは約2より大きい。
【0020】
銅源は、粘土の陽イオンの交換容量とほぼ一致する重量比で粘土物質に加えられる。陽イオンの交換容量は、粘土の交換性陽イオンのモル当量の目安であり、重量比は、粘土に加えられる陽イオンの銅イオンのモル当量の目安である。好ましくは、粘土物質に銅源を加えることは、約100gの粘土に約10〜約300ミリモル(mmol)の銅を加えることであり、より好ましくは、約100gの粘土に約20〜約200mmolのCuを加えることであり、さらにより好ましくは、約100gの粘土に約50〜約150mmolのCuを加えることである。
【0021】
また、本明細書に開示する方法及び物質の別の重要な態様は、水銀収着媒予備混合物のせん断である。機械的なせん断方法は、押出機、射出成型機、Banbury(登録商標)型の混合機、Brabender(登録商標)型の混合機、ピンミキサー等を用いてよい。せん断は、押出機(一軸(single screw)又は二軸(double screw))の一端に銅/粘土混合物と硫黄/粘土混合物を導入し、押出機の他端でせん断された物質を受け取ることによっても達成できる。押出機に入る物質の温度、押出機の温度、押出機に加える物質の濃度、押出機に加える水の量、押出機の長さ、押出機内の物質の滞留時間、及び押出機の設計(一軸、二軸、単位長さ当たりのねじ山(flight)の数、溝の深さ、ねじ山クリアランス、混合ゾーン等)は、物質に付与されるせん断量を制御するいくつかの変数である。
【0022】
好ましくは、水銀収着媒予備混合物のせん断並びに銅と粘土の反応(イオン交換)及び銅と硫黄の反応を促進するために、機械的せん断ユニットに水を加える。大部分の機械的せん断ユニットの設計における変動性、例えば供給容量、のために、ユニットに加える水の量は、好ましくは、せん断される物質中の水の重量パーセントにより定義される。好ましくは、水銀収着媒物質は、機械的せん断ユニットを出た後、約15重量%〜約40重量%の水を含み、より好ましくは約20重量%〜約30重量%の水、さらにより好ましくは約23重量%〜約28重量%の水を含む。
【0023】
本明細書に開示する物質の構造及び組成を測定する一つの方法は、粉末X線回折(粉末XRD)である。粘土物質の粉末X線回折パターンは、層間のケイ酸塩に対応するブロードな低い角度のピークを特徴とする。図2参照。水膨潤性の粘土の含水量を測定するのによく用いられる、この低い角度のピークのピーク最大値は、層間が増大するのに伴って減少する。図3参照。ここで、ピークの最大値は、層間に吸着された水が増大するのに伴って減少する。例えば、ナトリウムモンモリロナイト粘土の2シータ(2Θ)が約7°の回折角は、層間隔d(001)(interlayer d(001) spacing)約12Åに対応し、2Θが約9°の角度は、層間隔d(001)約9Åに対応し、粘土小板(clay platelet)の厚みに近い。モンモリロナイト粘土及び銅イオンを添加した粘土試料の層間隔d(001)の変化は、”The Orientation and Interaction of Ethylenediamine Copper (II) with Montmorillonite”, Clays and Clay Minerals, 1977, 25, 113-118において、BurbaとMcAteeによって徹底的に調査された。その中で、銅イオンのインターカレーション(intercalation)及び多小板(multi-platelet)結合が報告され、銅(II)モンモリロナイト粘土試料の平均層間隔d(001)は約12.5Åであった。米国特許第6,719,828号明細書に開示された層状の銅−硫化物//ケイ酸塩//銅−硫化物物質は、銅−硫化物層の厚みが加えられるため、12.5Åよりも著しく大きい層間隔d(001)を有するであろう。米国特許出願第11/291,091号明細書に開示された、表面に析出した銅硫化物物質は、元々のモンモリロナイトと同じ層間隔d(001)を示すであろう(例えば、図3参照)。記載されているように、銅−硫化物は粘土の表面にのみ析出するからである。本明細書においては、方法及び物質は、物質の含水率が4重量%未満であるとき、層間隔d(001)は12Å未満であることが見いだされた。例えば図4参照。このことは、本明細書に記載の物質及び方法が先行技術に記載の構造と一致しないことを示している。
【0024】
また、本明細書に開示する水銀収着媒物質は、銅藍(covellite)、米国特許出願第11/291,091号明細書に開示された銅硫化物鉱物を実質的に有さない。銅藍は、銅(II)イオンと硫化物イオン(S2−)との速度論的生産物(kinetic product)であり、CuSの式で表される。銅藍の粉末XRDパターンは、少なくとも4つの反射特徴を含む。これらの反射のうち3つは、モンモリロナイト粘土物質の反射と重なる。2.73±0.01Åにおける反射(反射の位置の変動性は、回折計の正確性に部分的に依存する)は、銅藍物質の特徴であり、粘土が主な試料において観察される。図5は、2・Θが30°〜35°の範囲の3つの粉末XRDパターンを示す。銅硫化物を有さない粘土のXRDパターンは下部に示されている。4.5重量%の銅藍を含有する粘土のXRDパターンは真ん中に示されている。本明細書に開示する4.5重量%の銅硫化物の相当物を含有する粘土物質のXRDパターンは上部に示されている。2.73Åにおける銅藍の反射は、垂直の点線で印されている。粉末XRDパターンによって明確に示されるように、本明細書に開示する物質は、2.73±0.01Åにおける回折ピークを実質的に有さない。
【0025】
また、本明細書に開示する物質及び方法の別の重要な態様は、水銀収着媒物質のゼータ(ζ)電位(potential)が、水銀収着媒物質の製造に用いられる粘土物質のζ電位よりも高い(より負でない)ことである。微粒子、例えば粘土、の表面電荷は、ζ電位及び/又は電気泳動移動度の測定により求められる。本明細書に適用できる粘土の構造は、Crystal Structures of Minerals, pp. 166-382 (Cornell University Press 1965)においてBraggらによって記載されたようなケイ素−酸素(ケイ酸塩)配列から部分的になり、ケイ酸塩物質の構造及び式を本明細書に援用する。粘土のケイ酸塩部分は、多くの場合、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の陽イオンを包含することにより物質中で釣り合いを取る陰イオンの電荷を有する。これらの物質の懸濁及びそのζ電位の測定により、粘土物質中におけるイオン対化(ケイ酸塩に対する陽イオン)を評価する手段が提供される。ζ電位が低ければ低い(より負である)ほど、陽イオンとケイ酸塩との間の弱いイオン相互作用の割合は大きい。ζ電位が高ければ高い(より負でない)ほど、陽イオンとケイ酸塩との間のイオン相互作用又は共有結合相互作用はより強いことを示す。粘土物質に中性の物質を配合することは、粘土物質のζ電位を変えないであろうと予想される。粘土物質のアルカリ金属陽イオン及び/又はアルカリ土類金属陽イオンのイオン交換は、交換されるイオンがケイ酸塩と異なる結合エネルギーを有する場合、ζ電位を変えるであろうと予想される。
【0026】
また、本明細書に開示する物質及び方法の別の重要な態様は、石炭燃焼発電所中の粒子捕集器で捕捉される物質の粒子径である。平均粒子径は、好ましくは0.1μmよりも大きく、より好ましくは1μmよりも大きい。本明細書に記載する水銀収着媒物質の好ましい平均粒子径は、燃焼排ガス中の水銀を収着するために、個々の発電所の粒子捕集器に依る。粒子捕集器の例としては、バグハウス(bag-house)織布ろ過器、電気集塵器、サイクロン集塵器が挙げられる。一般的に、当該技術分野で周知のように、より大きい粒子は、燃焼排ガスから除去するのがより容易である。好ましくは、粒子の大半は、約1〜約100μmの範囲内の径を有し、より好ましくは約1〜約50μmの範囲内の径を有し、さらにより好ましくは約10〜約25ミクロンの範囲内の径を有する。
【0027】
予想外に、本明細書に開示する物質は、上記したせん断プロセスにより、大きさが減少しなかった。せん断、具体的には高せん断混合(high-shear mixing)は、ケイ酸塩層の層間剥離(delamination)により、粘土物質の粒子径を減少させる。本明細書において、せん断された物質は、乾燥(含水率約15重量%未満)粘土出発物質よりも大きい粒子径を有していることがわかった。また、粒子径分布は、機械的せん断方法に基づいて変わることがわかった。ピンミキサーでせん断された試料は、大半の平均粒子径が約3.8μmであり、少数の平均粒子径が約20μmであることがわかった。押出機でせん断された試料は、同じ平均粒子径を有し、付加的な少数の平均粒子径は約40μmであることがわかった。何ら特定の理論にとらわれずに、20μm及び40μmの粒子径の物質の成長は、粘土物質の層間剥離、ステップ端(step edge)における銅硫黄物質の成長、及び、荷電した銅硫黄相上又はその周辺の曝された粘土面の凝集の特徴であると仮定される。
【0028】
また、本明細書に開示する物質及び方法の別の重要な態様は、燃焼排ガス流れから本明細書に開示の水銀収着媒物質への水銀の不可逆的な結合である。本明細書において、不可逆的な結合とは、捕捉された水銀が主に水である水又は溶媒により水銀収着媒物質から浸出しないことである。
【0029】
水銀収着媒物質は、飛散灰(fly ash)の排出流れ中に保持されてよい。飛散灰を含有する活性炭は、コンクリートの形成及び安定性に有害であり得る一方、飛散灰を含有する水銀収着媒物質は、好ましくはコンクリートの形成及び/又は安定性に有害ではない。好ましくは、水銀収着媒物質は、コンクリートの形成に必要な空気連行剤(air-entrainment agent(AEA))の量を増大させない。その目安は、泡指標試験(Foam Index test)の値である。より好ましくは、水銀収着媒物質は、AEAに吸着せず、AEAと反応しない。さらにより好ましくは、水銀収着媒物質は、完成コンクリート内に安定な10〜250μmのポケットを形成する際にAEAの助けとなる。また、収着された(捕捉された)水銀は、好ましくは、コンクリートの形成プロセスの間又はその後に水銀収着媒物質から浸出しない。さらに、水銀収着媒物質を包含することは、好ましくは、コンクリートの劣化を阻止する。コンクリートの劣化を阻止する方法は、アルカリケイ酸塩の反応、コンクリートの中性化(carbonation)、硫酸塩劣化(sulfate attack)、浸出、及び/又は、凍結/融解サイクルからの構造的損傷を限定及び/又は防止することを含む。何ら特定の理論にとらわれずに、本明細書に開示する物質は、好ましくは、水が吸着すること及び膨張が限定されることによるコンクリートの劣化を阻止し、それによりコンクリートの凍結/融解サイクルを向上させ、及び/又は、イオンの浸出を防止する。本明細書に開示する物質の更なる利点は、バルク構造の点で、セメント、ケイ酸塩−アルミン酸塩と類似していることであり、好ましくは調製されたコンクリートに水銀収着媒物質が化学的に結合する助けとなる。
【0030】
水銀収着は、様々異なる条件下でその性能を試験し、評価することができる。
【0031】
実験室のベンチスケールの試験には、窒素、空気又は模擬の燃料排ガスを用い、通常、収着媒は固定床(fixed bed)に配置する。模擬の燃料排ガスは、上昇した温度下で、SO、NO、HCl、CO、O、HO及びHgの組成を有する。ガスは、一定の流速で収着媒床を通り抜ける。流出したガスは、水銀分析計により、その水銀濃度が分析される。試験は、吸着平衡に到達するまで進行させる。水銀除去効率及び収着容量の両方は、試験終了時に結論づけることができる。結果に影響を及ぼす因子は、温度、水銀の酸化状態及び燃焼排ガスの組成である。ベンチスケールの試験は、収着媒をスクリーニングするのに非常に経済的な方法である。
【0032】
パイロットスケールの試験は、実際の工業的条件に近似した条件下での収着媒の性能を研究するのに非常に有効である。試験ユニットは、実際の試験のために標準的にセットアップされる。模擬燃焼排ガス又はスリップストリーム(slip stream)の燃焼排ガスは、発電所のESP(電気集じん器)等の工業的設備から抜き取ることができ、又は、織布フィルターユニットは、収着媒を収納するのに用いることができる。収着媒を試験システムに注入して、水銀濃度の変化を検出する。収着媒と燃焼排ガスの接触時間は、ほんの数秒である必要がある。
【0033】
最後に、フルスケールの発電所での試験を準備する。注入システムの設計・選択及び水銀濃度の迅速かつ正確な測定は、評価期間の間重要な因子である。
【実施例】
【0034】
本発明を説明するために以下の実施例を提供するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0035】
実施例1
KITCHENAID(キッチンエイド)のスタンドミキサー(stand mixer)のボウル(bowl)で、368.5 gのナトリウムベントナイト(325メッシュを85%通過)、16.5 gの塩化ナトリウム(United Salt社、20メッシュ通過)、57.0 gの硫化銅五水和物(Old Bridge Chemicals社、40メッシュ通過)及び31.0 gの硫化ナトリウム三水和物(Chem One社)を5分間混合した。それから、混合物に74.0 gの脱イオン水を加え、混合物を5分間撹拌した。それから、型板(dieplate)を有する実験室スケールの押出機を用いて、水銀収着媒混合物を3回押し出した。それから、押出物を100℃でオーブン乾燥した。乾燥した押出物をすり砕き、325メッシュの篩いを通過する粒子を収集した。この試料の最終的な含水率は、約2重量%であった。
【0036】
実施例2
KITCHENAIDのスタンドミキサーのボウルで、232.0 gのナトリウムベントナイト、26.4 gの塩化ナトリウム、91.2 gの硫化銅五水和物及び49.6 gの硫化ナトリウム三水和物を5分間混合した。それから、混合物に52.4 gの脱イオン水を加え、混合物を5分間撹拌した。それから、型板を有する実験室スケールの押出機を用いて、水銀収着媒混合物を3回押し出した。それから、押出物を70℃でオーブン乾燥した。乾燥した押出物をすり砕き、325メッシュの篩いを通過する粒子を収集した。この試料の最終的な含水率は、約3.5重量%であった。
【0037】
実施例3
2,060 lb(ポンド)のナトリウムベントナイト、92.2 lbの塩化ナトリウム、318.6 lbの硫化銅五水和物及び173.3 lbの硫化ナトリウム三水和物をパドルミキサー(paddle mixer)のボウルで混合することにより、水銀収着媒混合物を製造した。混合物を20分間化合させ、それから、5インチREADCO連続プロセッサー(Readco Manufacturing社)に供給速度約900 lb/時で供給した。水銀収着媒混合物をプロセッサーに供給したので、水は、(乾燥混合物供給ポートとは分離している)液注入ポートを通じて約0.35ガロン/分でプロセッサーに供給した。押出物を約100℃で乾燥し、粒子サイズになるまですり砕いた。水銀収着媒物質は、約5〜約25μmの平均粒子径で、含水率が10重量%未満であることがわかった。
【0038】
実施例4
700 lbのナトリウムベントナイト、31.3 lbの塩化ナトリウム、108.3 lbの硫化銅五水和物及び59.0 lbの硫化ナトリウム三水和物をパドルミキサーのボウルで混合することにより、水銀収着媒混合物を製造した。混合物を20分間化合させ、それから、16’’のピンミキサー(Mars Mineral)に供給速度約1,100 lb/時で供給した。水銀収着媒混合物をピンミキサーに供給したので、水は、(乾燥混合物供給ポートとは分離している)液注入ポートを通じて約0.35ガロン/分でプロセッサーに供給した。押出物を約100℃で乾燥し、粒子サイズになるまですり砕いた。水銀収着媒物質は、約5〜約25μmの平均粒子径で、含水率が10重量%未満であることがわかった。
【0039】
以上の記載は、理解を明確にするためにのみ提供するものであり、当該記載から不必要な限定は理解するべきではなく、本発明の範囲内である変更は、当業者にとって明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘土及び銅塩を含有する銅/粘土混合物と、粘土及び硫黄源を含有する硫黄/粘土混合物とを混合して、水銀収着媒予備混合物を形成すること、及び、
前記水銀収着媒予備混合物をせん断して、水銀収着媒物質を形成すること
を含む、水銀収着媒物質の製造方法であって、
前記水銀収着媒物質は、4重量%未満の水を含有するとき、層間隔d(001)が12Å未満であり、
前記水銀収着媒物質の粉末X線回折パターンは、2.73±0.01Åの回折ピークが実質的に存在せず、
前記水銀収着媒物質のζ電位は、乾燥粘土のζ電位よりも大きい
ことを特徴とする、水銀収着媒物質の製造方法。
【請求項2】
交換性陽イオンと、銅の陽イオン及び銅塩の陰イオンを有する銅塩とを含有する粘土の混合物をせん断することを含む、水銀収着媒物質の製造方法であって、
粘土の交換性陽イオンと銅塩の陰イオンとのイオン対化が、銅の陽イオンと銅塩の陰イオンとのイオン対化よりもエンタルピー的に好ましく、
せん断することが発熱性であり、
水銀収着媒物質が、ガス流から水銀を除去することができる
ことを特徴とする、水銀収着媒物質の製造方法。
【請求項3】
粘土と銅塩を硫黄源とともにせん断することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
銅塩及び硫黄源が、自由水を実質的に全く有さないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
粘土が、約15重量%未満の水を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
せん断することが、混合物を押出機に通すことを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
せん断することが、混合物をピンミキサーに通すことを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
せん断された混合物が約15重量%〜約40重量%の水を含むように、せん断する間に混合物に十分な水を加えることをさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
粘土が、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト、ソーコナイト、ステベンサイト、フルオロヘクトライト、ラポナイト、レクトナイト、バーミキュライト、イライト、雲母質鉱物、マカタイト、カネマイト、オクトシリケート(イリエライト)、マガディアイト、ケニヤアイト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト、セピオライト、及びそれらの混合物からなる群より選択されるフィロケイ酸塩を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
粘土が、モンモリロナイトを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
銅塩が、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、臭化銅、炭酸銅、塩化銅、クロム酸銅、エチルヘキサン酸銅、蟻酸銅、グルコン酸銅、水酸化銅、ヨウ化銅、モリブデン酸銅、硝酸銅、酸化銅、過塩素酸銅、ピロリン酸銅、セレン化銅、硫酸銅、テルル化銅、テトラフルオロホウ酸銅、チオシアン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、銅合金、及びそれらの混合物からなる群より選択される無水銅化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
銅塩が、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、臭化銅、炭酸銅、塩化銅、クロム酸銅、エチルヘキサン酸銅、蟻酸銅、グルコン酸銅、水酸化銅、ヨウ化銅、モリブデン酸銅、硝酸銅、酸化銅、過塩素酸銅、ピロリン酸銅、セレン化銅、硫酸銅、テルル化銅、テトラフルオロホウ酸銅、チオシアン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、銅合金、及びそれらの混合物からなる群より選択される銅化合物水和物を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
硫黄源が、硫化ナトリウム、硫化ナトリウム三水和物、硫化ナトリウム九水和物、二硫化ナトリウム、多硫化ナトリウム、硫化アンモニウム、二硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム、硫化カリウム、二硫化カリウム、多硫化カリウム、多硫化カルシウム、及びそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
硫黄源が、硫化ナトリウム三水和物であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
硫黄源が、硫化水素、二硫化水素、硫化アルミニウム、硫化マグネシウム、チオ酢酸、チオ安息香酸、及びそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
水銀収着媒物質が、粉末X線回折により測定される粘土/銅藍複合体を実質的に有さないことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法で製造された水銀収着媒物質。
【請求項17】
硫化物イオンに対する銅イオンの比が1未満であることを特徴とする、請求項16に記載の水銀収着媒物質。
【請求項18】
硫化物イオンに対する銅イオンの比が0.5未満であることを特徴とする、請求項17に記載の水銀収着媒物質。
【請求項19】
硫化物イオンに対する銅イオンの比が1よりも大きいことを特徴とする、請求項16に記載の水銀収着媒物質。
【請求項20】
硫化物イオンに対する銅イオンの比が2よりも大きいことを特徴とする、請求項19に記載の水銀収着媒物質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−529988(P2012−529988A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516117(P2012−516117)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/037580
【国際公開番号】WO2010/147781
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(510209513)アンコル インターナショナル コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】