合成床版橋とその施工方法
【課題】合成床版橋のコンクリート層上面を平坦にして要求される厚さを確保し、死荷重の増加を防止して所望の強度を確保すると共に工期を短縮する。
【解決手段】上向きコ字状の鋼殻11の底板部12上面に橋軸方向に固設され、フランジ22を有するリブ21と、リブ間21及びリブ21と鋼殻11の側板部13間に充填され、上面がフランジ22よりも下方の硬質ウレタンフォーム基層31と、硬質ウレタンフォーム基層31の上方の板材支持部材41に載置されて硬質ウレタンフォーム基層31の上面と間隔を有し、かつ橋軸方向と直交する方向の縁62がフランジ22の下方に位置する天端用硬質ウレタンフォーム板61と、天端用硬質ウレタンフォーム板61と硬質ウレタンフォーム基層31間に発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層71と、天端用硬質ウレタンフォーム板61上にリブ21の上端を包含して打設されたコンクリート層81とで合成床板とした。
【解決手段】上向きコ字状の鋼殻11の底板部12上面に橋軸方向に固設され、フランジ22を有するリブ21と、リブ間21及びリブ21と鋼殻11の側板部13間に充填され、上面がフランジ22よりも下方の硬質ウレタンフォーム基層31と、硬質ウレタンフォーム基層31の上方の板材支持部材41に載置されて硬質ウレタンフォーム基層31の上面と間隔を有し、かつ橋軸方向と直交する方向の縁62がフランジ22の下方に位置する天端用硬質ウレタンフォーム板61と、天端用硬質ウレタンフォーム板61と硬質ウレタンフォーム基層31間に発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層71と、天端用硬質ウレタンフォーム板61上にリブ21の上端を包含して打設されたコンクリート層81とで合成床板とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成床版橋とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成床版橋の死荷重の大幅な軽減を図るため、橋軸方向に直交する断面が上向きコ字状を有する鋼殻の底板部上面橋軸方向に、上端にフランジを有するリブを互いに所定の間隔をおいて固設し、リブ間及びリブと鋼殻の側板との間に硬質ウレタンフォームを吹き付け等によって所定の厚みに敷設し、その上に空缶、廃材等の軽量硬質で嵩張る破棄物を配置し、その上から硬質ウレタンフォームを吹き付けて廃棄物が埋設された硬質ウレタン層を引張断面域に形成し、この硬質ウレタン層の上面にコンクリートを打設して合成床版とすることが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−81319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンクリート床板の下面に硬質ウレタン層の上面が接する場合には次の問題が生じる。すなわち、硬質ウレタン層の上面に打設されるコンクリート層の厚みが薄いと、所望の強度が出なくなる。一方、コンクリート層の厚みが厚いと床版橋の死荷重を低減するという目的を達成できなくなる。これら品質確保の観点から、コンクリート層の下部構造である硬質ウレタン層の上面(天端)はできるだけ平らであることが望まれる。硬質ウレタン層の上面に不陸(凹凸)が存在すると、この不陸がコンクリート層の厚みに影響を与えるため、硬質ウレタン層の発泡時に硬質ウレタン層の上面に形成されるスキン層を除去し、レベル調整(硬質ウレタン層上面の水平調整)を行う必要がある。しかし、このレベル調整は、施工効率が悪いうえに、工期が延びる原因となる。しかも、スキン層は、密度が高くて硬い緻密な層であるため、スキン層を剥いだ硬質ウレタン層の上面は、点荷重に対して座屈しやすく、作業時の重みで容易に凹凸ができるため、慎重に作業をする必要があり、これによっても作業の遅延が生じやすくなる。
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、合成床版橋の死荷重の増加防止、強度確保と共に、工期を短縮することができる合成床版橋とその施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、合成床版橋における合成床板が、橋軸方向に直交する断面を上向きコ字状とした鋼殻と、前記鋼殻の底板部上面に橋軸方向と直交する方向の間隔をあけてかつ橋軸方向に沿って固設され、上端には橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジが形成された複数のリブと、前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填されて前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着し、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層と、前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に設けられた板材支持部材に載置されて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面とは間隔を有し、かつ橋軸方向と直交する方向の縁が前記フランジの下方に位置する天端用硬質ウレタンフォーム板と、前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に充填され前記空間を満たして発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層と、前記天端用硬質ウレタンフォーム板上に前記リブの上端を包含して打設されたコンクリート層とを有するものからなることを特徴とする合成床版橋に係る。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を有し、前記貫通孔から前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層との間の空間に充填された硬質ウレタンフォーム原料の発泡により、前記硬質ウレタン充填層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記板材支持部材は硬質ウレタンフォームのブロックからなり、互いの間隔をおいて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面に複数配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2において、前記板材支持部材は前記硬質ウレタンフォームのブロックからなり、前記リブの腹板部に固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、前記リブ上端のずれ止めを包含して前記コンクリート層が打設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、橋軸方向に直交する断面が上向きコ字状の鋼殻の底板部上面に、上端に橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジを有する複数のリブを、橋軸方向と直交する方向の間隔をあけて橋軸方向に固着立設し、前記鋼殻内の前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に硬質ウレタンフォーム原料を吹きつけて発泡させることにより、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層を、前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着させて前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填し、前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁を前記フランジの下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に位置させると共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に板材支持部材を介在させて前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面との間隔をあけ、前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を前記板材支持部材と重ならない位置に複数形成し、前記貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させることにより前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成し、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設してコンクリート層を形成し合成床版とすることを特徴とする合成床版橋の施工方法に係る。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6において、前記複数の貫通孔が、橋軸方向に隣接して配置された前記天端用ウレタン板間の継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、前記継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、前記天端用ウレタンフォーム板の中央と前記フランジの間に形成した貫通孔、前記板材支持部材と最寄りの前記フランジ間に形成した貫通孔からなることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7において、前記複数の貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間へ前記硬質ウレタンフォーム原料を充填する順序が、最初に前記板材支持部材と最寄りの前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の中央と前記フランジ間に形成した貫通孔の順であることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項6から8の何れか一項において、前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置する際に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間にスペーサを介在させ、前記硬質ウレタンフォーム充填層の形成後、前記コンクリート打設前に前記スペーサを除去し、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記スペーサの除去により生じた前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間の隙間に前記コンクリートを充填することを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項6から8の何れか一項において、前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記リブ上端のずれ止めを包含するように前記コンクリートを打設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の合成床版橋によれば、コンクリートの打設面となる天板用ウレタンフォーム板の上面は、硬質ウレタンフォーム基層上に直接発泡形成された硬質ウレタンフォームの上面と異なり、凹凸の不陸が無い平らな面からなるため、コンクリートの打設面となるウレタンフォーム上面のスキン層を除去するレベル調整が不要となる。さらに、本発明によれば、前記スキン層の除去によりウレタンフォーム上面の強度が低下してコンクリート打設時に作業者の荷重等でウレタンフォーム上面が窪んで作業者の足を取られることがなく、コンクリートの打設作業をスムーズに行うことができ、施工期間が短縮されると共に、コンクリート層の厚みを一定にすることができ、強度が一定で死荷重の増加を防止した合成床版橋が容易に得られる。
【0017】
また、板材支持部材を、硬質ウレタンフォーム基層、天端用硬質ウレタンフォーム板および硬質ウレタンフォーム充填層と同一素材からなる硬質ウレタンフォームのブロックとすることにより、密度分布が少なくなり、橋の設計上好ましいものとなる。特に、前記板材支持部材の硬質ウレタンフォームブロックは、硬質ウレタンフォーム基層及び天端用硬質ウレタンフォーム板と同一密度のものがより好ましい。
【0018】
さらに、リブのフランジ上面にずれ止めが突設されている場合、コンクリート層とリブとの一体化が強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。本発明において、コンクリート層のずれを防止する前記ずれ止めとしては、ブロックジベル、スタッドジベル、孔あき鋼板ジベル(PBL)等のジベルや、前記ジベルと併用してリブの腹板部に設けた貫通鉄筋を用いることができる。
【0019】
本発明の合成床版橋の施工方法によれば、前記のように、死荷重の増加を防ぎ、所望の強度を確保した合成床版橋の施工を、期間を短縮して容易に行うことができる。
【0020】
また、橋軸方向に隣接して配置された天端用ウレタン板間の継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、前記継ぎ目における中央部とフランジとの間に形成した貫通孔、天端用ウレタンフォーム板の中央とフランジの間に形成した貫通孔、板材支持部材と最寄りのフランジ間に形成した貫通孔から硬質ウレタンフォーム基層と天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させることにより天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成することにより、硬質ウレタンフォーム原料を天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に偏りなく充填し、発泡させることができる。
【0021】
さらに、貫通孔から硬質ウレタンフォーム原料を充填する際に、最初に前記板材支持部材と最寄りの前記フランジ間に形成した貫通孔、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の継ぎ目における中央部とフランジとの間に形成した貫通孔、次に前記継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の中央とフランジ間に形成した貫通孔の順に充填すれば、硬質ウレタンフォーム原料を天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に偏りなく充填することができると共に、隙間なく充填でき、止水性が確保できる。
【0022】
また、硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置する際に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面とリブのフランジの下面間にスペーサを介在させ、天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成した後、コンクリートの打設前に前記スペーサを除去することにより天端用硬質ウレタンフォーム板の上面の縁とフランジの下面間に生じた隙間にもコンクリートが充填されるため、フランジをコンクリートで包み込むことができ、打設したコンクリートとリブとの一体化が強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。
【0023】
また、リブのフランジ上面にずれ止めが突設されている場合、コンクリート層とリブとの一体化が強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1は本発明の実施例における合成床版橋の合成床版について橋軸に直交する断面を表した斜視図、図2は本発明の一実施例における合成床版の橋軸に直交する断面図、図3は同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面の一部を示す断面図、図4は施工時における硬質ウレタンフォーム基層の吹きつけ形成時を示す断面図、図5は硬質ウレタンフォーム基層充填後を示す断面図、図6は天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す断面図、図7は天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す平面図、図8は橋軸方向と直交する方向の一端の天端用硬質ウレタンフォーム板の部分を示す断面図、図9は貫通孔形成後を示す断面図、図10は貫通孔形成後を示す平面図、図11は硬質ウレタンフォーム充填層形成後を示す断面図、図12はコンクリート打設後を示す断面図、図13は橋軸方向と直交する方向の一端におけるコンクリート打設後の断面図である。
【0025】
本発明の合成床版橋は、図1から図3に示すように、合成床版1において、橋軸方向Lに直交する断面が上向きコ字状をした鋼殻11の底板部12の上面に、橋軸方向と直交する方向Wの間隔を所定間隔開けて、かつ橋軸方向Lに沿って(すなわち橋軸方向と平行に)複数のリブ21が溶接等により固着立設されている。前記リブ21は、断面T字状からなり、上端には橋軸方向と直交する方向Wへ突出したフランジ22が形成されている。前記フランジ22の位置は、前記鋼殻11において圧縮断面域、具体的には後述のコンクリート打設範囲とされる。前記フランジ22の上面にはずれ防止としてスタッドジベル(柱状の突起)24が突設されている。前記リブ21同士のフランジ22間隔は、適宜決定される。たとえば、橋長25200mm、総幅員8390mm、鋼殻11の高さ790mmの場合、前記リブ21のフランジ22上面までの高さ590mm、前記フランジ22の幅310mm、フランジ間隔1200mm、スタッドジベル24の高さ150mmの例を挙げる。
【0026】
前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間には硬質ウレタンフォーム基層31が充填されている。前記硬質ウレタンフォーム基層31は、硬質ウレタンフォーム原料を、前記鋼殻11の側板部13の内面及び底板部12の上面、前記リブ11の腹板部(垂直部)23に吹き付けて発泡硬化させた独立気泡の硬質ウレタンフォームからなり、前記鋼殻11の内面(側板部13の内面及び底板部12の上面)と前記リブ21の腹板部23に密着し、上面33が前記フランジ22よりも下方へ離れて位置している。前記フランジ22の下面から前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33までの距離は適宜とされ、一例として100mmを挙げる。
【0027】
硬質ウレタンフォーム基層31の上方には板材支持部材41が複数設けられている。本実施例では、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33に板材支持部材41が載置されている。前記板状支持部材41はブロック状(直方体形状あるいは立方体形状)からなり、上面42が前記フランジ22の下方に位置している。前記板状支持部材41は、本実施例では、硬質ウレタンフォームのブロック(50×100×100mm)からなり、図7に示すように、前記橋軸方向と直交する方向Wへ前記フランジ22とは間隔をおいて、かつ天端用ウレタンフォーム板61の四隅を支持できる位置に配置されている。前記板材支持部材41を構成する硬質ウレタンフォームのブロックは、硬質ウレタンフォーム基層31と後述の天端用ウレタンフォーム板61を構成する硬質ウレタンフォームと密度が同一のものが好ましい。
【0028】
前記板材支持部材41の上面には天端用ウレタンフォーム板61が載置され、前記天端用ウレタンフォーム板61で前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方が覆われる。前記天端用ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33とは、前記板状支持部材41により所定間隔離れている。前記天板用ウレタンフォーム板61は平面形状が長方形からなり、橋軸方向と直交する方向Wの縁62が前記フランジ22の下側に挿入されている。前記天端用ウレタンフォーム板61の大きさは、橋軸方向と直交する方向のWの寸法が前記フランジ22間の間隔よりも所定寸法、例えば50〜200mm大とされ、かつ前記リブ21の腹板部23間より小とされている。本実施例の天端用ウレタンフォーム板61は硬質ウレタンフォームからなり、一枚の寸法が厚み50mm、平面寸法が500×1000mmである。前記天端用ウレタンフォーム板61を構成する硬質ウレタンフォームの密度は、前記硬質ウレタンフォーム基層31と前記板材支持部材41を構成する硬質ウレタンフォームブロックの密度と同一とするのが好ましい。なお、橋軸方向と直交する方向Wの両端に位置する天端用ウレタンフォーム板61Aは、本実施例では、他の位置の天端用ウレタンフォーム板61よりも幅の狭いものとなっている。
【0029】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31間の空間には、前記空間を満たして発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層71が形成されている。前記硬質ウレタンフォーム充填層71は、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33、前記板材支持部材41の表面、前記フランジ22の下面、前記フランジ22と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間におけるリブ21の腹板部分に密着している。前記硬質ウレタンフォーム充填層71の形成は、図9に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に複数の貫通孔63a〜63dを形成し、前記貫通孔63a〜63dより、硬質ウレタンフォーム原料を前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31間の空間に注入し、発泡させることにより行われる。なお、前記貫通孔63a〜63dにおける硬質ウレタンフォーム原料の注入順序については、後述の施工方法における段落0036〜0038で詳述する。
【0030】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上面には、前記リブ21の上端、すなわち前記フランジ22上のスタッドジベル24を包含して打設されたコンクリート層81が設けられている。さらに前記コンクリート層81の上面にはアスファルト等を敷設して舗装85が施される。また、前記コンクリート層81における橋軸方向と直交する方向Wの両側には地覆部87が形成され、必要に応じて前記地覆部87に高欄が設置される。
【0031】
前記合成床版橋の施工方法の実施例について、図4から図13を用いて説明する。既に図1〜図3で示したように、橋軸方向Lに直交する断面が上向きコ字状からなる前記鋼殻11の底板部12上面に、図4に示すように、上端に橋軸方向と直交する方向Wへ突出した前記フランジ22を有する複数のリブ21を、橋軸方向と直交する方向Wに互いの間隔をあけかつ橋軸方向(図1に示すにL)に沿って、すなわち橋軸方向と平行に、溶接等で固着立設する。橋軸方向と直交する方向Wにおける前記リブ21の間隔、リブ21のフランジ22上面までの高さ、前記フランジ22の幅、前記フランジ間隔、スタッドジベル24の高さ等は、前記のとおりである。
【0032】
そして、前記鋼殻11内の前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に硬質ウレタンフォーム原料Fを、原料注入装置のノズル91により吹き付けて発泡させることにより、図5に示すように、上面33が前記フランジ22よりも下方に位置する独立気泡の硬質ウレタンフォーム基層31を、前記鋼殻11の内面及び前記リブ21の腹板部23と密着させて前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に充填する。前記フランジ22の下面から前記ウレタンフォーム基層31の上面33までの距離は適宜とされ、一例として100mmを挙げる。なお、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33は、発泡により形成されたスキン層が存在する不陸の状態とされ、レベル調整のための平坦とする作業は不要である。
【0033】
次に図6に示すように、発泡硬化後の前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方に所定数の天端用硬質ウレタンフォーム板61を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62を前記フランジ22の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に位置させる。それと共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に板材支持部材41を複数挿入して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に板材支持部材41を介在させ、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33との間隔をあける。これによって、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61は前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方を覆い、かつ前記硬質ウレタンフォーム基層31との間に隙間を残して配置される。
【0034】
前記板材支持部材41の形状は、前記のとおりブロック状(直方体形状あるいは立方体形状)からなる。前記板状支持部材41は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の縁62の上面を前記フランジ22の下面に当接または押圧することができる大きさからなり、本実施例では、硬質ウレタンフォームのブロック(50×100×100mm)からなる。前記板状支持部材41は、図7の平面図に示すように、前記橋軸方向と直交する方向Wへ前記フランジ22とは間隔をおいて、かつ天端用ウレタンフォーム板61の四隅を支持できる位置に配置される。
【0035】
なお、本実施例では、前記橋軸方向と直交する方向Wの両端に配置される天端用硬質ウレタンフォーム板61A(図2に示す)については、図8に示すように、前記鋼殻11の側板部13側の縁62Bを、前記鋼殻11の側板部13の内面に突出しているボルト等の金具Bと前記板材支持部材41の上面42とで挟持し、これによって保持する。一方、天端用硬質ウレタンフォーム板61Aにおける他方の縁62Aについては、他の天端用硬質ウレタンフォーム板61と同様に、前記板材支持部材41の上面42で支持される。
【0036】
そして、図9及び図10に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に上下方向の貫通孔63a〜63dを前記板材支持部材41と重ならない位置にドリル等で複数形成する。前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に形成した複数の貫通孔63a〜63dは、橋軸方向Lに隣接して配置された前記天端用ウレタン板61,61間の継ぎ目64における中央部に形成した貫通孔63a、前記継ぎ目64における中央部と前記フランジ22との間に形成した貫通孔63b、前記天端用ウレタンフォーム板61の中央61aと前記フランジ22の間に形成した貫通孔63c、前記板材支持部材41と最寄りの前記フランジ22間に形成した貫通孔63dで構成される。前記貫通孔63a〜63dの直径は、原料注入装置のノズルが挿入可能な寸法、例えば15mmとされる。また、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61には、前記貫通孔63a〜63dと共に、上下方向に貫通した確認孔65を、前記板材支持部材41と重ならない所定位置におけるフランジ22近くに形成する。
【0037】
前記貫通孔63a〜63dに原料注入装置のノズルを挿入し、前記硬質ウレタンフォーム基層31と前記天端用硬質ウレタンフォーム板61間の空間67に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させる。前記硬質ウレタンフォーム原料の充填は、前記硬質ウレタンフォーム基層31の発泡が終了して前記硬質ウレタンフォーム基層31の温度が低下した後に行う。また、前記硬質ウレタンフォーム原料の充填順序は、適宜とされるが、より好ましくは、前記板材支持部材41と最寄りの前記フランジ22間に形成した貫通孔63d、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の継ぎ目64における中央部と前記フランジ22との間に形成した貫通孔63b、次に継ぎ目64における中央部に形成した貫通孔63a、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の中央61aと前記フランジ22間に形成した貫通孔63cの順が好ましく、この順に行えば、硬質ウレタンフォーム原料を天端用硬質ウレタンフォーム板61と硬質ウレタンフォーム基層31間の空間67に偏りなく充填することができる。なお、本実施例では、橋軸方向と直交する方向Wの両端に配置される前記天端用硬質ウレタンフォーム板61Aは、他の天端用硬質ウレタンフォーム板61よりも幅が狭くなっているため、他の天端用硬質ウレタンフォーム板61よりも貫通孔の数は少なくされる。例えば、前記両端の天端用硬質ウレタンフォーム板61Aにおけるフランジ22に沿って2箇所と鋼殻11の側板部13に沿って2箇所に貫通孔を設ける等である。前記貫通孔は、硬質ウレタンフォーム原料の充填後に栓をして塞いでもよい。
【0038】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と硬質ウレタンフォーム基層31間の空間67に充填された硬質ウレタンフォーム原料は、発泡により前記空間67を満たして、図11に示すように硬質ウレタンフォーム充填層71となる。その際、前記硬質ウレタンフォーム基層31に割れ目や、前記リブ21の腹板部からの剥離等による隙間があれば、前記割れ目や隙間に侵入して発泡し、割れ目や隙間を塞ぐ。なお、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61は、前記空間67内で前記硬質ウレタンフォーム原料が充満することにより上方へ押し上げられることになるが、橋軸方向と直交する方向Wの縁62が前記フランジ22の下面に当接して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上方移動が阻止される。また、前記硬質ウレタンフォーム原料が前記空間67を満たしたことの確認は、前記確認孔65が硬質ウレタンフォーム原料で塞がれたことを目視で確認することにより行われる。
【0039】
前記硬質ウレタンフォーム原料の発泡により形成された硬質ウレタンフォーム充填層71は、発泡により、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33、前記板材支持部材41の表面、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面、前記リブ21のフランジ22と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33との間のリブ21の腹板部、及びフランジ22の下面と密着している。
【0040】
次に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上面に前記リブ21の上端(フランジ22上のスタッドジベル24)を包含するようにコンクリートを打設して、図12に示すように、コンクリート層81を形成し、合成床版1とする。図13は前記合成床版1において橋軸方向と直交する方向Wの一端を示す断面図である。
【0041】
前記コンクリート層81の上面には図1及び図2に示すように、アスファルト等を敷設して舗装85が施される。その後、前記コンクリート層81における橋軸方向と直交する方向Wの両側には、図1及び図2に示した地覆部87が形成され、必要に応じて前記地覆部87に高欄が設置される。
【0042】
前記実施例の合成床版橋は、前記合成床版1においてリブ21がフランジ22の上面にずれ止めとしてスタッドジベル24を有している例であるが、前記フランジ22の上面にずれ止めを有しない例もある。以下に説明する。図14に示す合成床板橋の合成床版1Aは、リブ21がフランジ22の上面にずれ止めを有していない例である。前記合成床版1Aでは、その一部の断面を示す図15のように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に前記コンクリート層81の一部が充填され、前記コンクリート層81で前記フランジ22の上面全体と下面の幅方向両側が包含されている。前記合成床板橋1Aにおけるその他の構成は、先に説明した前記合成床版1と同様である。
【0043】
前記リブ21がフランジ22の上面にずれ止めを有していない場合の合成床版橋の施工方法の実施例について説明する。フランジの上面にずれ止めを有していない場合の合成床版橋の施工方法は、既に説明したフランジ22の上面にスタッドジベル24を有する場合の合成床版橋の施工方法の実施例において、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板61を配置する際、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間にスペーサを配置する工程が加わること、前記硬質ウレタンフォーム充填層71の形成後、前記コンクリート打設前に前記スペーサを除去する工程が加わることが相違するのみである。既に説明した実施例の合成床版橋の施工方法と重複する部分については、説明が冗長となるのを防ぐため、簡略に説明する。
【0044】
まず、図16に示すように、前記鋼殻11内の前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に硬質ウレタンフォーム原料Fを、原料注入装置のノズル91により吹き付けて発泡させることにより、図17に示すように、上面33が前記フランジ22よりも下方に位置する独立気泡の硬質ウレタンフォーム基層31を、前記鋼殻11の内面及び前記リブ21の腹板部23と密着させて前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に充填する。
【0045】
次に、図18に示すように、発泡硬化後の前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方に所定数の前記天端用硬質ウレタンフォーム板61を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62を前記フランジ22の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に位置させる。それと共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に前記板材支持部材41を複数挿入して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に板材支持部材41を介在させ、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33との間隔をあける。さらに、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間にスペーサ27を挿入して介在させる。前記スペーサ27は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61をフランジ22の下面から所定距離離すためのものであり、適宜の材質、例えばゴム等の弾性材からなる紐状あるいは帯状からなるもの、もしくは、離間して設置できるブロック状のもので構成され、適宜の高さ、40〜120mm、好ましくは60〜100mm、具体的には80mmのものとされる。これらによって、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61は前記硬質ウレタンフォーム基層31との間に隙間を残して前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方を覆い、かつ、前記フランジ22の下面から離れた位置に配置される。また、前記スペーサ27が、ブロック状である場合、硬質ウレタンフォーム原料が、リブの腹板部及び鋼殻の側板部からフランジ下方まで、あふれ出る程度に吹きつけ、このあふれ出た硬質ウレタンフォームは、スペーサ27にあわせて適宜トリミングされる。なお、この実施例の前記板状支持部材41は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に、前記スペーサ27が挿入可能な空間を残す高さとされる。
【0046】
図19は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板を配置した状態の平面図であり、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61及び前記板状支持部材41の具体的構成は前述のとおりである。また、図20は前記橋軸方向と直交する方向Wの両端に配置される天端用硬質ウレタンフォーム板61Aにおける前記鋼殻11の側板部13側の縁62Bの保持状態を示す断面図であり、既に説明した実施例の施工方法における保持方法と同様である。
【0047】
次に、図21及び図22に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に上下方向の前記貫通孔63a〜63dを前記板材支持部材41と重ならない位置にドリル等で複数形成し、前記貫通孔63a〜63dに原料注入装置のノズルを挿入し、前記硬質ウレタンフォーム基層31と前記天端用硬質ウレタンフォーム板61間の空間67に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させる。前記貫通孔63a〜63dの具体的な位置や、大きさ、硬質ウレタンフォーム原料の充填順序等は、前述のとおりである。充填した前記硬質ウレタンフォーム原料の発泡により、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31間の空間67に、図23に示すように前記硬質ウレタンフォーム充填層71を形成する。
【0048】
その後、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に介在している前記スペーサ27を除去し、図24に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に隙間28を形成する。
【0049】
次に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上面に前記リブ21の上端(フランジ22)を包含するようにコンクリートを打設して、図25に示すように、コンクリート層81を形成し、合成床版1Aとする。その際、前記コンクリートは前記スペーサ27の除去により生じた前記隙間28(図24に示す)にも充填され、前記フランジ22の部分では、前記コンクリート層81が前記フランジ22の上面全体と下面の幅方向両側を包含(包囲)した状態となる。図26は、前記合成床版1Aにおいて橋軸方向と直交する方向Wの一端を示す断面図である。その後、前記コンクリート層81の上面には、図14及び図15に示すように、アスファルト等を敷設して舗装85が施される。その後、前記コンクリート層81における橋軸方向と直交する方向Wの両側には、図14に示した地覆部87が形成され、必要に応じて前記地覆部87に高欄が設置される。
【0050】
また、前記合成床版橋およびその施工方法の実施例においては、前記板材支持部材41を前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33に単に載置した例を示したが、前記板材支持部材41を前記リブ21の腹板部23に接着等で固定してもよい。図27は前記フランジ22の上面にスタッドジベル24を有する例において、前記板材支持部材41を前記リブ21の腹板部23に固定した場合の合成床版橋の橋軸方向と直交する方向の断面図、図28はその一部を示す断面図である。その場合、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に形成する硬質ウレタンフォーム原料注入用の複数の貫通孔は、前記板材支持部材41と重ならない位置に形成する。なお、前記フランジ22の上面にずれ止めを有しない例においても同様にして、前記板材支持部材41を前記リブ21の腹板部23に接着等で固定してもよい。
【0051】
また、前記フランジ22の上面にスタッドジベル24を有する例においても、前記スタッドジベル24を含むフランジ22の上面全体と下面の幅方向両側がコンクリート層81で包含(包囲)された状態としてもよい。すなわち、前記硬質ウレタンフォーム充填層71を形成する際、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間にスペーサ27を介在させ、前記硬質ウレタンフォーム充填層71の形成後、前記スペーサ27を除去してコンクリートの打設を行なうことにより前記コンクリート層81を形成し、その際に前記フランジ22の下面と前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面間に生じたスペーサ除去後の隙間にもコンクリートを充填するようにしてもよい。このようにすれば、前記コンクリート層81とリブ21との一体化がより強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。
【0052】
また、前記スタッドジベル24を有する場合において、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61とフランジ22間に止水パッキン(図示せず)を挿入して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の貫通孔から硬質ウレタンフォーム原料を充填すれば、硬質ウレタンフォームの発泡時に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61とフランジ22間からウレタンがあふれる事を防ぐことができる。前記止水パッキンは、幅20mm,厚み10mm程度のものを使用する。前記止水パッキンは、前記スペーサ27に代えて使用することもできるし、前記スペーサ27と併用することもできる。併用する場合は、前記フランジ22の下方に止水パッキンを仮止めした後、前記スペーサ27を挿入するのが、好ましい。
【0053】
このようにして構成される合成床版橋及びその施工方法にあっては、コンクリートの打設面となる天板用ウレタンフォーム板は、硬質ウレタンフォーム基層上に直接発泡形成された硬質ウレタンフォームと異なり、凹凸の不陸が無い平らな上面からなるため、コンクリートの打設面となるウレタンフォーム上面のスキン層を除去するレベル調整が不要となり、さらに、スキン層の除去によりウレタンフォーム上面の強度が低下し、コンクリート打設時に作業者の荷重でウレタンフォーム上面が窪んで作業者の足を取られることがないため、コンクリートの打設作業をスムーズに行うことができ、施工期間が短縮されると共に、コンクリート層の厚みを一定にすることができ、強度が一定で死荷重の増加を防止した合成床版が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例における合成床版橋の合成床版について橋軸に直交する断面を表した斜視図である。
【図2】同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面図である。
【図3】同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面の一部を示す断面図である。
【図4】施工時における硬質ウレタンフォーム基層の吹きつけ形成時を示す断面図である。
【図5】硬質ウレタンフォーム基層充填後を示す断面図である。
【図6】天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す断面図である。
【図7】天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す平面図である。
【図8】橋軸方向と直交する方向の一端の天端用硬質ウレタンフォーム板部分を示す断面図である。
【図9】貫通孔形成後を示す断面図である。
【図10】貫通孔形成後を示す平面図である。
【図11】硬質ウレタンフォーム充填層形成後を示す断面図である。
【図12】コンクリート打設後を示す断面図である。
【図13】橋軸方向と直交する方向Wの一端の部分におけるコンクリート打設後を示す断面図である。
【図14】フランジ上面にずれ止めが無い場合の実施例における合成床版橋の合成床版について橋軸に直交する断面を表した斜視図である。
【図15】同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面の一部を示す断面図である。
【図16】フランジ上面にずれ止めが無い場合の施工時における硬質ウレタンフォーム基層の吹きつけ形成時を示す断面図である。
【図17】同実施例における硬質ウレタンフォーム基層充填後を示す断面図である。
【図18】同実施例における天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す断面図である。
【図19】同実施例における天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す平面図である。
【図20】同実施例における橋軸方向と直交する方向Wの一端の部分についてコンクリート打設後を示す断面図である。
【図21】同実施例における貫通孔形成後を示す断面図である。
【図22】同実施例における貫通孔形成後を示す平面図である。
【図23】同実施例における硬質ウレタンフォーム充填層形成後を示す断面図である。
【図24】同実施例におけるスペーサ除去後を示す断面図である。
【図25】同実施例におけるコンクリート打設後を示す断面図である。
【図26】同実施例における橋軸方向と直交する方向Wの一端の部分についてコンクリート打設後を示す断面図である。
【図27】板材支持部材をリブの腹板部に固定した場合の合成床版橋の合成床板における橋軸に直交する断面図である。
【図28】図27の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 合成床版
11 鋼殻
21 リブ
22 フランジ
27 スペーサ
31 硬質ウレタンフォーム基層
41 板材支持部材
61 天端用硬質ウレタンフォーム板
71 硬質ウレタンフォーム充填層
81 コンクリート層
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成床版橋とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成床版橋の死荷重の大幅な軽減を図るため、橋軸方向に直交する断面が上向きコ字状を有する鋼殻の底板部上面橋軸方向に、上端にフランジを有するリブを互いに所定の間隔をおいて固設し、リブ間及びリブと鋼殻の側板との間に硬質ウレタンフォームを吹き付け等によって所定の厚みに敷設し、その上に空缶、廃材等の軽量硬質で嵩張る破棄物を配置し、その上から硬質ウレタンフォームを吹き付けて廃棄物が埋設された硬質ウレタン層を引張断面域に形成し、この硬質ウレタン層の上面にコンクリートを打設して合成床版とすることが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−81319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンクリート床板の下面に硬質ウレタン層の上面が接する場合には次の問題が生じる。すなわち、硬質ウレタン層の上面に打設されるコンクリート層の厚みが薄いと、所望の強度が出なくなる。一方、コンクリート層の厚みが厚いと床版橋の死荷重を低減するという目的を達成できなくなる。これら品質確保の観点から、コンクリート層の下部構造である硬質ウレタン層の上面(天端)はできるだけ平らであることが望まれる。硬質ウレタン層の上面に不陸(凹凸)が存在すると、この不陸がコンクリート層の厚みに影響を与えるため、硬質ウレタン層の発泡時に硬質ウレタン層の上面に形成されるスキン層を除去し、レベル調整(硬質ウレタン層上面の水平調整)を行う必要がある。しかし、このレベル調整は、施工効率が悪いうえに、工期が延びる原因となる。しかも、スキン層は、密度が高くて硬い緻密な層であるため、スキン層を剥いだ硬質ウレタン層の上面は、点荷重に対して座屈しやすく、作業時の重みで容易に凹凸ができるため、慎重に作業をする必要があり、これによっても作業の遅延が生じやすくなる。
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、合成床版橋の死荷重の増加防止、強度確保と共に、工期を短縮することができる合成床版橋とその施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、合成床版橋における合成床板が、橋軸方向に直交する断面を上向きコ字状とした鋼殻と、前記鋼殻の底板部上面に橋軸方向と直交する方向の間隔をあけてかつ橋軸方向に沿って固設され、上端には橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジが形成された複数のリブと、前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填されて前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着し、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層と、前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に設けられた板材支持部材に載置されて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面とは間隔を有し、かつ橋軸方向と直交する方向の縁が前記フランジの下方に位置する天端用硬質ウレタンフォーム板と、前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に充填され前記空間を満たして発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層と、前記天端用硬質ウレタンフォーム板上に前記リブの上端を包含して打設されたコンクリート層とを有するものからなることを特徴とする合成床版橋に係る。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を有し、前記貫通孔から前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層との間の空間に充填された硬質ウレタンフォーム原料の発泡により、前記硬質ウレタン充填層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記板材支持部材は硬質ウレタンフォームのブロックからなり、互いの間隔をおいて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面に複数配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2において、前記板材支持部材は前記硬質ウレタンフォームのブロックからなり、前記リブの腹板部に固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、前記リブ上端のずれ止めを包含して前記コンクリート層が打設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、橋軸方向に直交する断面が上向きコ字状の鋼殻の底板部上面に、上端に橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジを有する複数のリブを、橋軸方向と直交する方向の間隔をあけて橋軸方向に固着立設し、前記鋼殻内の前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に硬質ウレタンフォーム原料を吹きつけて発泡させることにより、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層を、前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着させて前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填し、前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁を前記フランジの下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に位置させると共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に板材支持部材を介在させて前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面との間隔をあけ、前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を前記板材支持部材と重ならない位置に複数形成し、前記貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させることにより前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成し、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設してコンクリート層を形成し合成床版とすることを特徴とする合成床版橋の施工方法に係る。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6において、前記複数の貫通孔が、橋軸方向に隣接して配置された前記天端用ウレタン板間の継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、前記継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、前記天端用ウレタンフォーム板の中央と前記フランジの間に形成した貫通孔、前記板材支持部材と最寄りの前記フランジ間に形成した貫通孔からなることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7において、前記複数の貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間へ前記硬質ウレタンフォーム原料を充填する順序が、最初に前記板材支持部材と最寄りの前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の中央と前記フランジ間に形成した貫通孔の順であることを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項6から8の何れか一項において、前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置する際に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間にスペーサを介在させ、前記硬質ウレタンフォーム充填層の形成後、前記コンクリート打設前に前記スペーサを除去し、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記スペーサの除去により生じた前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間の隙間に前記コンクリートを充填することを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項6から8の何れか一項において、前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記リブ上端のずれ止めを包含するように前記コンクリートを打設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の合成床版橋によれば、コンクリートの打設面となる天板用ウレタンフォーム板の上面は、硬質ウレタンフォーム基層上に直接発泡形成された硬質ウレタンフォームの上面と異なり、凹凸の不陸が無い平らな面からなるため、コンクリートの打設面となるウレタンフォーム上面のスキン層を除去するレベル調整が不要となる。さらに、本発明によれば、前記スキン層の除去によりウレタンフォーム上面の強度が低下してコンクリート打設時に作業者の荷重等でウレタンフォーム上面が窪んで作業者の足を取られることがなく、コンクリートの打設作業をスムーズに行うことができ、施工期間が短縮されると共に、コンクリート層の厚みを一定にすることができ、強度が一定で死荷重の増加を防止した合成床版橋が容易に得られる。
【0017】
また、板材支持部材を、硬質ウレタンフォーム基層、天端用硬質ウレタンフォーム板および硬質ウレタンフォーム充填層と同一素材からなる硬質ウレタンフォームのブロックとすることにより、密度分布が少なくなり、橋の設計上好ましいものとなる。特に、前記板材支持部材の硬質ウレタンフォームブロックは、硬質ウレタンフォーム基層及び天端用硬質ウレタンフォーム板と同一密度のものがより好ましい。
【0018】
さらに、リブのフランジ上面にずれ止めが突設されている場合、コンクリート層とリブとの一体化が強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。本発明において、コンクリート層のずれを防止する前記ずれ止めとしては、ブロックジベル、スタッドジベル、孔あき鋼板ジベル(PBL)等のジベルや、前記ジベルと併用してリブの腹板部に設けた貫通鉄筋を用いることができる。
【0019】
本発明の合成床版橋の施工方法によれば、前記のように、死荷重の増加を防ぎ、所望の強度を確保した合成床版橋の施工を、期間を短縮して容易に行うことができる。
【0020】
また、橋軸方向に隣接して配置された天端用ウレタン板間の継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、前記継ぎ目における中央部とフランジとの間に形成した貫通孔、天端用ウレタンフォーム板の中央とフランジの間に形成した貫通孔、板材支持部材と最寄りのフランジ間に形成した貫通孔から硬質ウレタンフォーム基層と天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させることにより天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成することにより、硬質ウレタンフォーム原料を天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に偏りなく充填し、発泡させることができる。
【0021】
さらに、貫通孔から硬質ウレタンフォーム原料を充填する際に、最初に前記板材支持部材と最寄りの前記フランジ間に形成した貫通孔、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の継ぎ目における中央部とフランジとの間に形成した貫通孔、次に前記継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の中央とフランジ間に形成した貫通孔の順に充填すれば、硬質ウレタンフォーム原料を天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に偏りなく充填することができると共に、隙間なく充填でき、止水性が確保できる。
【0022】
また、硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置する際に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面とリブのフランジの下面間にスペーサを介在させ、天端用硬質ウレタンフォーム板と硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成した後、コンクリートの打設前に前記スペーサを除去することにより天端用硬質ウレタンフォーム板の上面の縁とフランジの下面間に生じた隙間にもコンクリートが充填されるため、フランジをコンクリートで包み込むことができ、打設したコンクリートとリブとの一体化が強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。
【0023】
また、リブのフランジ上面にずれ止めが突設されている場合、コンクリート層とリブとの一体化が強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1は本発明の実施例における合成床版橋の合成床版について橋軸に直交する断面を表した斜視図、図2は本発明の一実施例における合成床版の橋軸に直交する断面図、図3は同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面の一部を示す断面図、図4は施工時における硬質ウレタンフォーム基層の吹きつけ形成時を示す断面図、図5は硬質ウレタンフォーム基層充填後を示す断面図、図6は天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す断面図、図7は天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す平面図、図8は橋軸方向と直交する方向の一端の天端用硬質ウレタンフォーム板の部分を示す断面図、図9は貫通孔形成後を示す断面図、図10は貫通孔形成後を示す平面図、図11は硬質ウレタンフォーム充填層形成後を示す断面図、図12はコンクリート打設後を示す断面図、図13は橋軸方向と直交する方向の一端におけるコンクリート打設後の断面図である。
【0025】
本発明の合成床版橋は、図1から図3に示すように、合成床版1において、橋軸方向Lに直交する断面が上向きコ字状をした鋼殻11の底板部12の上面に、橋軸方向と直交する方向Wの間隔を所定間隔開けて、かつ橋軸方向Lに沿って(すなわち橋軸方向と平行に)複数のリブ21が溶接等により固着立設されている。前記リブ21は、断面T字状からなり、上端には橋軸方向と直交する方向Wへ突出したフランジ22が形成されている。前記フランジ22の位置は、前記鋼殻11において圧縮断面域、具体的には後述のコンクリート打設範囲とされる。前記フランジ22の上面にはずれ防止としてスタッドジベル(柱状の突起)24が突設されている。前記リブ21同士のフランジ22間隔は、適宜決定される。たとえば、橋長25200mm、総幅員8390mm、鋼殻11の高さ790mmの場合、前記リブ21のフランジ22上面までの高さ590mm、前記フランジ22の幅310mm、フランジ間隔1200mm、スタッドジベル24の高さ150mmの例を挙げる。
【0026】
前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間には硬質ウレタンフォーム基層31が充填されている。前記硬質ウレタンフォーム基層31は、硬質ウレタンフォーム原料を、前記鋼殻11の側板部13の内面及び底板部12の上面、前記リブ11の腹板部(垂直部)23に吹き付けて発泡硬化させた独立気泡の硬質ウレタンフォームからなり、前記鋼殻11の内面(側板部13の内面及び底板部12の上面)と前記リブ21の腹板部23に密着し、上面33が前記フランジ22よりも下方へ離れて位置している。前記フランジ22の下面から前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33までの距離は適宜とされ、一例として100mmを挙げる。
【0027】
硬質ウレタンフォーム基層31の上方には板材支持部材41が複数設けられている。本実施例では、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33に板材支持部材41が載置されている。前記板状支持部材41はブロック状(直方体形状あるいは立方体形状)からなり、上面42が前記フランジ22の下方に位置している。前記板状支持部材41は、本実施例では、硬質ウレタンフォームのブロック(50×100×100mm)からなり、図7に示すように、前記橋軸方向と直交する方向Wへ前記フランジ22とは間隔をおいて、かつ天端用ウレタンフォーム板61の四隅を支持できる位置に配置されている。前記板材支持部材41を構成する硬質ウレタンフォームのブロックは、硬質ウレタンフォーム基層31と後述の天端用ウレタンフォーム板61を構成する硬質ウレタンフォームと密度が同一のものが好ましい。
【0028】
前記板材支持部材41の上面には天端用ウレタンフォーム板61が載置され、前記天端用ウレタンフォーム板61で前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方が覆われる。前記天端用ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33とは、前記板状支持部材41により所定間隔離れている。前記天板用ウレタンフォーム板61は平面形状が長方形からなり、橋軸方向と直交する方向Wの縁62が前記フランジ22の下側に挿入されている。前記天端用ウレタンフォーム板61の大きさは、橋軸方向と直交する方向のWの寸法が前記フランジ22間の間隔よりも所定寸法、例えば50〜200mm大とされ、かつ前記リブ21の腹板部23間より小とされている。本実施例の天端用ウレタンフォーム板61は硬質ウレタンフォームからなり、一枚の寸法が厚み50mm、平面寸法が500×1000mmである。前記天端用ウレタンフォーム板61を構成する硬質ウレタンフォームの密度は、前記硬質ウレタンフォーム基層31と前記板材支持部材41を構成する硬質ウレタンフォームブロックの密度と同一とするのが好ましい。なお、橋軸方向と直交する方向Wの両端に位置する天端用ウレタンフォーム板61Aは、本実施例では、他の位置の天端用ウレタンフォーム板61よりも幅の狭いものとなっている。
【0029】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31間の空間には、前記空間を満たして発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層71が形成されている。前記硬質ウレタンフォーム充填層71は、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33、前記板材支持部材41の表面、前記フランジ22の下面、前記フランジ22と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間におけるリブ21の腹板部分に密着している。前記硬質ウレタンフォーム充填層71の形成は、図9に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に複数の貫通孔63a〜63dを形成し、前記貫通孔63a〜63dより、硬質ウレタンフォーム原料を前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31間の空間に注入し、発泡させることにより行われる。なお、前記貫通孔63a〜63dにおける硬質ウレタンフォーム原料の注入順序については、後述の施工方法における段落0036〜0038で詳述する。
【0030】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上面には、前記リブ21の上端、すなわち前記フランジ22上のスタッドジベル24を包含して打設されたコンクリート層81が設けられている。さらに前記コンクリート層81の上面にはアスファルト等を敷設して舗装85が施される。また、前記コンクリート層81における橋軸方向と直交する方向Wの両側には地覆部87が形成され、必要に応じて前記地覆部87に高欄が設置される。
【0031】
前記合成床版橋の施工方法の実施例について、図4から図13を用いて説明する。既に図1〜図3で示したように、橋軸方向Lに直交する断面が上向きコ字状からなる前記鋼殻11の底板部12上面に、図4に示すように、上端に橋軸方向と直交する方向Wへ突出した前記フランジ22を有する複数のリブ21を、橋軸方向と直交する方向Wに互いの間隔をあけかつ橋軸方向(図1に示すにL)に沿って、すなわち橋軸方向と平行に、溶接等で固着立設する。橋軸方向と直交する方向Wにおける前記リブ21の間隔、リブ21のフランジ22上面までの高さ、前記フランジ22の幅、前記フランジ間隔、スタッドジベル24の高さ等は、前記のとおりである。
【0032】
そして、前記鋼殻11内の前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に硬質ウレタンフォーム原料Fを、原料注入装置のノズル91により吹き付けて発泡させることにより、図5に示すように、上面33が前記フランジ22よりも下方に位置する独立気泡の硬質ウレタンフォーム基層31を、前記鋼殻11の内面及び前記リブ21の腹板部23と密着させて前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に充填する。前記フランジ22の下面から前記ウレタンフォーム基層31の上面33までの距離は適宜とされ、一例として100mmを挙げる。なお、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33は、発泡により形成されたスキン層が存在する不陸の状態とされ、レベル調整のための平坦とする作業は不要である。
【0033】
次に図6に示すように、発泡硬化後の前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方に所定数の天端用硬質ウレタンフォーム板61を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62を前記フランジ22の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に位置させる。それと共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に板材支持部材41を複数挿入して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に板材支持部材41を介在させ、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33との間隔をあける。これによって、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61は前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方を覆い、かつ前記硬質ウレタンフォーム基層31との間に隙間を残して配置される。
【0034】
前記板材支持部材41の形状は、前記のとおりブロック状(直方体形状あるいは立方体形状)からなる。前記板状支持部材41は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の縁62の上面を前記フランジ22の下面に当接または押圧することができる大きさからなり、本実施例では、硬質ウレタンフォームのブロック(50×100×100mm)からなる。前記板状支持部材41は、図7の平面図に示すように、前記橋軸方向と直交する方向Wへ前記フランジ22とは間隔をおいて、かつ天端用ウレタンフォーム板61の四隅を支持できる位置に配置される。
【0035】
なお、本実施例では、前記橋軸方向と直交する方向Wの両端に配置される天端用硬質ウレタンフォーム板61A(図2に示す)については、図8に示すように、前記鋼殻11の側板部13側の縁62Bを、前記鋼殻11の側板部13の内面に突出しているボルト等の金具Bと前記板材支持部材41の上面42とで挟持し、これによって保持する。一方、天端用硬質ウレタンフォーム板61Aにおける他方の縁62Aについては、他の天端用硬質ウレタンフォーム板61と同様に、前記板材支持部材41の上面42で支持される。
【0036】
そして、図9及び図10に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に上下方向の貫通孔63a〜63dを前記板材支持部材41と重ならない位置にドリル等で複数形成する。前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に形成した複数の貫通孔63a〜63dは、橋軸方向Lに隣接して配置された前記天端用ウレタン板61,61間の継ぎ目64における中央部に形成した貫通孔63a、前記継ぎ目64における中央部と前記フランジ22との間に形成した貫通孔63b、前記天端用ウレタンフォーム板61の中央61aと前記フランジ22の間に形成した貫通孔63c、前記板材支持部材41と最寄りの前記フランジ22間に形成した貫通孔63dで構成される。前記貫通孔63a〜63dの直径は、原料注入装置のノズルが挿入可能な寸法、例えば15mmとされる。また、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61には、前記貫通孔63a〜63dと共に、上下方向に貫通した確認孔65を、前記板材支持部材41と重ならない所定位置におけるフランジ22近くに形成する。
【0037】
前記貫通孔63a〜63dに原料注入装置のノズルを挿入し、前記硬質ウレタンフォーム基層31と前記天端用硬質ウレタンフォーム板61間の空間67に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させる。前記硬質ウレタンフォーム原料の充填は、前記硬質ウレタンフォーム基層31の発泡が終了して前記硬質ウレタンフォーム基層31の温度が低下した後に行う。また、前記硬質ウレタンフォーム原料の充填順序は、適宜とされるが、より好ましくは、前記板材支持部材41と最寄りの前記フランジ22間に形成した貫通孔63d、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の継ぎ目64における中央部と前記フランジ22との間に形成した貫通孔63b、次に継ぎ目64における中央部に形成した貫通孔63a、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の中央61aと前記フランジ22間に形成した貫通孔63cの順が好ましく、この順に行えば、硬質ウレタンフォーム原料を天端用硬質ウレタンフォーム板61と硬質ウレタンフォーム基層31間の空間67に偏りなく充填することができる。なお、本実施例では、橋軸方向と直交する方向Wの両端に配置される前記天端用硬質ウレタンフォーム板61Aは、他の天端用硬質ウレタンフォーム板61よりも幅が狭くなっているため、他の天端用硬質ウレタンフォーム板61よりも貫通孔の数は少なくされる。例えば、前記両端の天端用硬質ウレタンフォーム板61Aにおけるフランジ22に沿って2箇所と鋼殻11の側板部13に沿って2箇所に貫通孔を設ける等である。前記貫通孔は、硬質ウレタンフォーム原料の充填後に栓をして塞いでもよい。
【0038】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と硬質ウレタンフォーム基層31間の空間67に充填された硬質ウレタンフォーム原料は、発泡により前記空間67を満たして、図11に示すように硬質ウレタンフォーム充填層71となる。その際、前記硬質ウレタンフォーム基層31に割れ目や、前記リブ21の腹板部からの剥離等による隙間があれば、前記割れ目や隙間に侵入して発泡し、割れ目や隙間を塞ぐ。なお、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61は、前記空間67内で前記硬質ウレタンフォーム原料が充満することにより上方へ押し上げられることになるが、橋軸方向と直交する方向Wの縁62が前記フランジ22の下面に当接して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上方移動が阻止される。また、前記硬質ウレタンフォーム原料が前記空間67を満たしたことの確認は、前記確認孔65が硬質ウレタンフォーム原料で塞がれたことを目視で確認することにより行われる。
【0039】
前記硬質ウレタンフォーム原料の発泡により形成された硬質ウレタンフォーム充填層71は、発泡により、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33、前記板材支持部材41の表面、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面、前記リブ21のフランジ22と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33との間のリブ21の腹板部、及びフランジ22の下面と密着している。
【0040】
次に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上面に前記リブ21の上端(フランジ22上のスタッドジベル24)を包含するようにコンクリートを打設して、図12に示すように、コンクリート層81を形成し、合成床版1とする。図13は前記合成床版1において橋軸方向と直交する方向Wの一端を示す断面図である。
【0041】
前記コンクリート層81の上面には図1及び図2に示すように、アスファルト等を敷設して舗装85が施される。その後、前記コンクリート層81における橋軸方向と直交する方向Wの両側には、図1及び図2に示した地覆部87が形成され、必要に応じて前記地覆部87に高欄が設置される。
【0042】
前記実施例の合成床版橋は、前記合成床版1においてリブ21がフランジ22の上面にずれ止めとしてスタッドジベル24を有している例であるが、前記フランジ22の上面にずれ止めを有しない例もある。以下に説明する。図14に示す合成床板橋の合成床版1Aは、リブ21がフランジ22の上面にずれ止めを有していない例である。前記合成床版1Aでは、その一部の断面を示す図15のように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に前記コンクリート層81の一部が充填され、前記コンクリート層81で前記フランジ22の上面全体と下面の幅方向両側が包含されている。前記合成床板橋1Aにおけるその他の構成は、先に説明した前記合成床版1と同様である。
【0043】
前記リブ21がフランジ22の上面にずれ止めを有していない場合の合成床版橋の施工方法の実施例について説明する。フランジの上面にずれ止めを有していない場合の合成床版橋の施工方法は、既に説明したフランジ22の上面にスタッドジベル24を有する場合の合成床版橋の施工方法の実施例において、前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板61を配置する際、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間にスペーサを配置する工程が加わること、前記硬質ウレタンフォーム充填層71の形成後、前記コンクリート打設前に前記スペーサを除去する工程が加わることが相違するのみである。既に説明した実施例の合成床版橋の施工方法と重複する部分については、説明が冗長となるのを防ぐため、簡略に説明する。
【0044】
まず、図16に示すように、前記鋼殻11内の前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に硬質ウレタンフォーム原料Fを、原料注入装置のノズル91により吹き付けて発泡させることにより、図17に示すように、上面33が前記フランジ22よりも下方に位置する独立気泡の硬質ウレタンフォーム基層31を、前記鋼殻11の内面及び前記リブ21の腹板部23と密着させて前記リブ21間及び前記リブ21と前記鋼殻11の側板部13間に充填する。
【0045】
次に、図18に示すように、発泡硬化後の前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方に所定数の前記天端用硬質ウレタンフォーム板61を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62を前記フランジ22の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に位置させる。それと共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に前記板材支持部材41を複数挿入して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33間に板材支持部材41を介在させ、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33との間隔をあける。さらに、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間にスペーサ27を挿入して介在させる。前記スペーサ27は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61をフランジ22の下面から所定距離離すためのものであり、適宜の材質、例えばゴム等の弾性材からなる紐状あるいは帯状からなるもの、もしくは、離間して設置できるブロック状のもので構成され、適宜の高さ、40〜120mm、好ましくは60〜100mm、具体的には80mmのものとされる。これらによって、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61は前記硬質ウレタンフォーム基層31との間に隙間を残して前記硬質ウレタンフォーム基層31の上方を覆い、かつ、前記フランジ22の下面から離れた位置に配置される。また、前記スペーサ27が、ブロック状である場合、硬質ウレタンフォーム原料が、リブの腹板部及び鋼殻の側板部からフランジ下方まで、あふれ出る程度に吹きつけ、このあふれ出た硬質ウレタンフォームは、スペーサ27にあわせて適宜トリミングされる。なお、この実施例の前記板状支持部材41は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に、前記スペーサ27が挿入可能な空間を残す高さとされる。
【0046】
図19は、前記天端用硬質ウレタンフォーム板を配置した状態の平面図であり、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61及び前記板状支持部材41の具体的構成は前述のとおりである。また、図20は前記橋軸方向と直交する方向Wの両端に配置される天端用硬質ウレタンフォーム板61Aにおける前記鋼殻11の側板部13側の縁62Bの保持状態を示す断面図であり、既に説明した実施例の施工方法における保持方法と同様である。
【0047】
次に、図21及び図22に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に上下方向の前記貫通孔63a〜63dを前記板材支持部材41と重ならない位置にドリル等で複数形成し、前記貫通孔63a〜63dに原料注入装置のノズルを挿入し、前記硬質ウレタンフォーム基層31と前記天端用硬質ウレタンフォーム板61間の空間67に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させる。前記貫通孔63a〜63dの具体的な位置や、大きさ、硬質ウレタンフォーム原料の充填順序等は、前述のとおりである。充填した前記硬質ウレタンフォーム原料の発泡により、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61と前記硬質ウレタンフォーム基層31間の空間67に、図23に示すように前記硬質ウレタンフォーム充填層71を形成する。
【0048】
その後、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に介在している前記スペーサ27を除去し、図24に示すように、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間に隙間28を形成する。
【0049】
次に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の上面に前記リブ21の上端(フランジ22)を包含するようにコンクリートを打設して、図25に示すように、コンクリート層81を形成し、合成床版1Aとする。その際、前記コンクリートは前記スペーサ27の除去により生じた前記隙間28(図24に示す)にも充填され、前記フランジ22の部分では、前記コンクリート層81が前記フランジ22の上面全体と下面の幅方向両側を包含(包囲)した状態となる。図26は、前記合成床版1Aにおいて橋軸方向と直交する方向Wの一端を示す断面図である。その後、前記コンクリート層81の上面には、図14及び図15に示すように、アスファルト等を敷設して舗装85が施される。その後、前記コンクリート層81における橋軸方向と直交する方向Wの両側には、図14に示した地覆部87が形成され、必要に応じて前記地覆部87に高欄が設置される。
【0050】
また、前記合成床版橋およびその施工方法の実施例においては、前記板材支持部材41を前記硬質ウレタンフォーム基層31の上面33に単に載置した例を示したが、前記板材支持部材41を前記リブ21の腹板部23に接着等で固定してもよい。図27は前記フランジ22の上面にスタッドジベル24を有する例において、前記板材支持部材41を前記リブ21の腹板部23に固定した場合の合成床版橋の橋軸方向と直交する方向の断面図、図28はその一部を示す断面図である。その場合、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61に形成する硬質ウレタンフォーム原料注入用の複数の貫通孔は、前記板材支持部材41と重ならない位置に形成する。なお、前記フランジ22の上面にずれ止めを有しない例においても同様にして、前記板材支持部材41を前記リブ21の腹板部23に接着等で固定してもよい。
【0051】
また、前記フランジ22の上面にスタッドジベル24を有する例においても、前記スタッドジベル24を含むフランジ22の上面全体と下面の幅方向両側がコンクリート層81で包含(包囲)された状態としてもよい。すなわち、前記硬質ウレタンフォーム充填層71を形成する際、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面と前記フランジ22の下面間にスペーサ27を介在させ、前記硬質ウレタンフォーム充填層71の形成後、前記スペーサ27を除去してコンクリートの打設を行なうことにより前記コンクリート層81を形成し、その際に前記フランジ22の下面と前記天端用硬質ウレタンフォーム板61における橋軸方向と直交する方向Wの縁62の上面間に生じたスペーサ除去後の隙間にもコンクリートを充填するようにしてもよい。このようにすれば、前記コンクリート層81とリブ21との一体化がより強固となり、合成床版橋の強度を高めることができる。
【0052】
また、前記スタッドジベル24を有する場合において、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61とフランジ22間に止水パッキン(図示せず)を挿入して、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61の貫通孔から硬質ウレタンフォーム原料を充填すれば、硬質ウレタンフォームの発泡時に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板61とフランジ22間からウレタンがあふれる事を防ぐことができる。前記止水パッキンは、幅20mm,厚み10mm程度のものを使用する。前記止水パッキンは、前記スペーサ27に代えて使用することもできるし、前記スペーサ27と併用することもできる。併用する場合は、前記フランジ22の下方に止水パッキンを仮止めした後、前記スペーサ27を挿入するのが、好ましい。
【0053】
このようにして構成される合成床版橋及びその施工方法にあっては、コンクリートの打設面となる天板用ウレタンフォーム板は、硬質ウレタンフォーム基層上に直接発泡形成された硬質ウレタンフォームと異なり、凹凸の不陸が無い平らな上面からなるため、コンクリートの打設面となるウレタンフォーム上面のスキン層を除去するレベル調整が不要となり、さらに、スキン層の除去によりウレタンフォーム上面の強度が低下し、コンクリート打設時に作業者の荷重でウレタンフォーム上面が窪んで作業者の足を取られることがないため、コンクリートの打設作業をスムーズに行うことができ、施工期間が短縮されると共に、コンクリート層の厚みを一定にすることができ、強度が一定で死荷重の増加を防止した合成床版が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例における合成床版橋の合成床版について橋軸に直交する断面を表した斜視図である。
【図2】同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面図である。
【図3】同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面の一部を示す断面図である。
【図4】施工時における硬質ウレタンフォーム基層の吹きつけ形成時を示す断面図である。
【図5】硬質ウレタンフォーム基層充填後を示す断面図である。
【図6】天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す断面図である。
【図7】天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す平面図である。
【図8】橋軸方向と直交する方向の一端の天端用硬質ウレタンフォーム板部分を示す断面図である。
【図9】貫通孔形成後を示す断面図である。
【図10】貫通孔形成後を示す平面図である。
【図11】硬質ウレタンフォーム充填層形成後を示す断面図である。
【図12】コンクリート打設後を示す断面図である。
【図13】橋軸方向と直交する方向Wの一端の部分におけるコンクリート打設後を示す断面図である。
【図14】フランジ上面にずれ止めが無い場合の実施例における合成床版橋の合成床版について橋軸に直交する断面を表した斜視図である。
【図15】同実施例における合成床版の橋軸に直交する断面の一部を示す断面図である。
【図16】フランジ上面にずれ止めが無い場合の施工時における硬質ウレタンフォーム基層の吹きつけ形成時を示す断面図である。
【図17】同実施例における硬質ウレタンフォーム基層充填後を示す断面図である。
【図18】同実施例における天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す断面図である。
【図19】同実施例における天端用硬質ウレタンフォーム板配置後を示す平面図である。
【図20】同実施例における橋軸方向と直交する方向Wの一端の部分についてコンクリート打設後を示す断面図である。
【図21】同実施例における貫通孔形成後を示す断面図である。
【図22】同実施例における貫通孔形成後を示す平面図である。
【図23】同実施例における硬質ウレタンフォーム充填層形成後を示す断面図である。
【図24】同実施例におけるスペーサ除去後を示す断面図である。
【図25】同実施例におけるコンクリート打設後を示す断面図である。
【図26】同実施例における橋軸方向と直交する方向Wの一端の部分についてコンクリート打設後を示す断面図である。
【図27】板材支持部材をリブの腹板部に固定した場合の合成床版橋の合成床板における橋軸に直交する断面図である。
【図28】図27の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 合成床版
11 鋼殻
21 リブ
22 フランジ
27 スペーサ
31 硬質ウレタンフォーム基層
41 板材支持部材
61 天端用硬質ウレタンフォーム板
71 硬質ウレタンフォーム充填層
81 コンクリート層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成床版橋における合成床板が、
橋軸方向に直交する断面を上向きコ字状とした鋼殻と、
前記鋼殻の底板部上面に橋軸方向と直交する方向の間隔をあけてかつ橋軸方向に沿って固設され、上端には橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジが形成された複数のリブと、
前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填されて前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着し、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層と、
前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に設けられた板材支持部材に載置されて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面とは間隔を有し、かつ橋軸方向と直交する方向の縁が前記フランジの下方に位置する天端用硬質ウレタンフォーム板と、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に充填され前記空間を満たして発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層と、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板上に前記リブの上端を包含して打設されたコンクリート層とを有するものからなることを特徴とする合成床版橋。
【請求項2】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を有し、前記貫通孔から前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層との間の空間に充填された硬質ウレタンフォーム原料の発泡により、前記硬質ウレタン充填層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成床版橋。
【請求項3】
前記板材支持部材は硬質ウレタンフォームのブロックからなり、互いの間隔をおいて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面に複数配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成床版橋。
【請求項4】
前記板材支持部材は前記硬質ウレタンフォームのブロックからなり、前記リブの腹板部に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成床版橋。
【請求項5】
前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、前記リブ上端のずれ止めを包含して前記コンクリート層が打設されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の合成床版橋。
【請求項6】
橋軸方向に直交する断面が上向きコ字状の鋼殻の底板部上面に、上端に橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジを有する複数のリブを、橋軸方向と直交する方向の間隔をあけて橋軸方向に固着立設し、
前記鋼殻内の前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に硬質ウレタンフォーム原料を吹きつけて発泡させることにより、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層を、前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着させて前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填し、
前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁を前記フランジの下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に位置させると共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に板材支持部材を介在させて前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面との間隔をあけ、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を前記板材支持部材と重ならない位置に複数形成し、
前記貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させることにより前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成し、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設してコンクリート層を形成し合成床版とすることを特徴とする合成床版橋の施工方法。
【請求項7】
前記複数の貫通孔が、橋軸方向に隣接して配置された前記天端用ウレタン板間の継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、前記継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、前記天端用ウレタンフォーム板の中央と前記フランジの間に形成した貫通孔、前記板材支持部材と最寄りの前記フランジ間に形成した貫通孔からなることを特徴とする請求項6に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項8】
前記複数の貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間へ前記硬質ウレタンフォーム原料を充填する順序が、最初に前記板材支持部材と最寄りの前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の中央と前記フランジ間に形成した貫通孔の順であることを特徴とする請求項7に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項9】
前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置する際に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間にスペーサを介在させ、
前記硬質ウレタンフォーム充填層の形成後、前記コンクリート打設前に前記スペーサを除去し、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記スペーサの除去により生じた前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間の隙間に前記コンクリートを充填することを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項10】
前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記リブ上端のずれ止めを包含するように前記コンクリートを打設することを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項1】
合成床版橋における合成床板が、
橋軸方向に直交する断面を上向きコ字状とした鋼殻と、
前記鋼殻の底板部上面に橋軸方向と直交する方向の間隔をあけてかつ橋軸方向に沿って固設され、上端には橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジが形成された複数のリブと、
前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填されて前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着し、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層と、
前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に設けられた板材支持部材に載置されて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面とは間隔を有し、かつ橋軸方向と直交する方向の縁が前記フランジの下方に位置する天端用硬質ウレタンフォーム板と、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に充填され前記空間を満たして発泡形成された硬質ウレタンフォーム充填層と、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板上に前記リブの上端を包含して打設されたコンクリート層とを有するものからなることを特徴とする合成床版橋。
【請求項2】
前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を有し、前記貫通孔から前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層との間の空間に充填された硬質ウレタンフォーム原料の発泡により、前記硬質ウレタン充填層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成床版橋。
【請求項3】
前記板材支持部材は硬質ウレタンフォームのブロックからなり、互いの間隔をおいて前記硬質ウレタンフォーム基層の上面に複数配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成床版橋。
【請求項4】
前記板材支持部材は前記硬質ウレタンフォームのブロックからなり、前記リブの腹板部に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成床版橋。
【請求項5】
前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、前記リブ上端のずれ止めを包含して前記コンクリート層が打設されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の合成床版橋。
【請求項6】
橋軸方向に直交する断面が上向きコ字状の鋼殻の底板部上面に、上端に橋軸方向と直交する方向へ突出したフランジを有する複数のリブを、橋軸方向と直交する方向の間隔をあけて橋軸方向に固着立設し、
前記鋼殻内の前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に硬質ウレタンフォーム原料を吹きつけて発泡させることにより、上面が前記フランジよりも下方に位置する硬質ウレタンフォーム基層を、前記鋼殻内面及び前記リブの腹板部と密着させて前記リブ間及び前記リブと前記鋼殻の側板部間に充填し、
前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置して前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁を前記フランジの下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に位置させると共に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面間に板材支持部材を介在させて前記天端用硬質ウレタンフォーム板の下面と前記硬質ウレタンフォーム基層の上面との間隔をあけ、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板に上下方向の貫通孔を前記板材支持部材と重ならない位置に複数形成し、
前記貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間に硬質ウレタンフォーム原料を充填し、発泡させることにより前記天端用硬質ウレタンフォーム板と前記硬質ウレタンフォーム基層間の空間に硬質ウレタンフォーム充填層を形成し、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設してコンクリート層を形成し合成床版とすることを特徴とする合成床版橋の施工方法。
【請求項7】
前記複数の貫通孔が、橋軸方向に隣接して配置された前記天端用ウレタン板間の継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、前記継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、前記天端用ウレタンフォーム板の中央と前記フランジの間に形成した貫通孔、前記板材支持部材と最寄りの前記フランジ間に形成した貫通孔からなることを特徴とする請求項6に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項8】
前記複数の貫通孔から前記硬質ウレタンフォーム基層と前記天端用硬質ウレタンフォーム板間の空間へ前記硬質ウレタンフォーム原料を充填する順序が、最初に前記板材支持部材と最寄りの前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の継ぎ目における中央部と前記フランジとの間に形成した貫通孔、次に前記継ぎ目における中央部に形成した貫通孔、最後に前記天端用硬質ウレタンフォーム板の中央と前記フランジ間に形成した貫通孔の順であることを特徴とする請求項7に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項9】
前記硬質ウレタンフォーム基層の上方に天端用硬質ウレタンフォーム板を配置する際に、前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間にスペーサを介在させ、
前記硬質ウレタンフォーム充填層の形成後、前記コンクリート打設前に前記スペーサを除去し、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記スペーサの除去により生じた前記天端用硬質ウレタンフォーム板における橋軸方向と直交する方向の縁の上面と前記フランジの下面間の隙間に前記コンクリートを充填することを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の合成床版橋の施工方法。
【請求項10】
前記リブは、前記フランジの上面にずれ止めが突設されており、
前記天端用硬質ウレタンフォーム板の上面に前記リブの上端を包含するようにコンクリートを打設して前記コンクリート層を形成する際に、前記リブ上端のずれ止めを包含するように前記コンクリートを打設することを特徴とする請求項6から8の何れか一項に記載の合成床版橋の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2010−77695(P2010−77695A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247510(P2008−247510)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(390003241)株式会社宮地鐵工所 (8)
【出願人】(598055862)イノアック特材株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(390003241)株式会社宮地鐵工所 (8)
【出願人】(598055862)イノアック特材株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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