説明

合成樹脂製梯子

【課題】ビルの屋上設置の水道水槽に設けた内梯子をコストダウンする。
【解決手段】平行な2本の楕円パイプからなる柱2に、十字状リブで裏打ちされ、かつ、両側にリング4を一体化した多数のステップ3を、一定間隔で取付けた合成樹脂製内梯子1において、前記柱2を、短尺パイプ2Aを複数個継いで構成し、ステップ3を安価な再生射出成形製とし、しかも、前記リング4を短尺パイプ2Aに予め外嵌して該短尺パイプ2Aを金型に収容してブロ−成形することにより、ステップ3を柱2に取付けることによる、設置現場で組立る内梯子1であるから、生産費、在庫費用および物流費のコストダウンとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製梯子、詳しくは、タンク等に用いる内梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より本出願人は、ビル屋上等に設置の水槽等のタンクの頂部に設けたマンホ−ルから出入するための、該タンクに内設する梯子、いわゆる内梯子について開発し、これを多数提供して好評を博している。
【0003】
例えば、意匠登録第1001417号公報に示すように、図3の平面図(a)、側面図(b)にしたがって述べると、平行な2本の、1mから5m程度の継目なしの長尺の楕円状パイプからなる柱(脚部ともいう)22、22に、十字状リブ24で裏面を補強した多数の横木(踏段またはステップともいう)23、23、…を一定間隔で取付けた塩ビ製梯子21において、前記横木23の両端に、該楕円状パイプに外嵌する楕円状リング25をそれぞれ一体成形して、該柱22に外嵌し、図4(図3のB−B矢視断面図)に示すように、該横木23の下面側でリブ24のない空間にピン26により、柱22とリング25とを、予め開口した孔に挿入して縫付けるように、横木23を柱22に取付けた塩ビ製梯子21を提供している。
【0004】
なお、図中、27は柱22、22の下先端を折り曲げたコ字状足を示す。
【0005】
ところが、かかる提案の塩ビ製梯子21では、次のような問題があった。
【0006】
(1)柱22が継目なしの1本の楕円状パイプで構成した梯子になっているので、使用する水槽等のタンクの大きさ、特に、深さに変更があれば、長さを異にする柱22の梯子21を各種用意する必要があり、そのための在庫品が嵩む。
【0007】
(2)柱22、22に対する横木23の取付けは、1本のピン26による縫付けであるので、リング25が遊嵌しておれば、横木23のぐらつきは避けられず、梯子21を昇降する作業者に不安を与える。
【0008】
(3)横木23の柱22への取付けは、生産工場での作業に付き、完成された梯子21をタンク設置現場へ移送する物流費が嵩む。
【0009】
一方、前記(1)、(2)の問題のない浄化槽用梯子の提案が知られている(実公昭50−21号公報、実開昭48−93224号公報)。
【0010】
すなわち、多数の短尺の硬質合成樹脂製パイプを同材質のチ−ズ継手により接着接合して連結し、該チ−ズ継手のT字足に同材質の横木を接着接合して連結して構成した浄化槽用梯子を提案している。
【特許文献1】意匠登録第1001417号公報
【特許文献2】実公昭50−21号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2の梯子では、依然として生産工場における完成品に付き、その手間がかかり、かつ、接着接合作業による生産性の低い製造に付き、物流上の問題が残るばかりか、殊に柱同志および柱と横木とは接着接合による連結のため、接着剤を使用可能とする、例えば硬質塩ビ(PVC)製となり、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)の安価な材質が使用しにくいし、まして再生された略半値となるPP等は使用できず、ひいては、多数の横木をもつ梯子のコストダウンには好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明は、かかる課題を解決するために創作されたもので、その要旨とするところは、1)平行な2本のパイプ状柱に、多数の横木を一定間隔で取付けた梯子にあって、該横木の両端にリングを一体形成し、該リングを前記柱に外嵌して取付けた合成樹脂製梯子において、前記柱を、短尺のパイプを連結して構成し、前記リングを該パイプに予め外嵌して、該パイプをブロ−成形することにより、該リングをパイプに取付けたことを特徴とする合成樹脂製梯子にあり、また、2)前記リングを一体射出成形した横木に、再生合成樹脂を用いた請求項1に記載の合成樹脂製梯子にある。
【発明の効果】
【0013】
柱のブロ−成形により、横木を取付けたので、接着剤を用いない安価な樹脂を選択することができながら、一ぱつ生産でかつ強固に取付けることができ、ひいては、生産費も低減し、安価な梯子にすることができる。
【0014】
しかも、短尺のパイプを複数個連結して柱を構成するので、ブロ−成形の金型を小としながら、各種長さの梯子を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を、添付図面に示す実施例により詳細に述べる。
【0016】
図1は本発明の実施例の要部平面図、図2は図1のA部の管軸線を通る断面詳細図であって、図3の従来例における、(a)は平面図、(b)は側面図のもの、および図4における、図3のB−B矢視断面詳細図のものと、同一部分は同一用語を用いている。
【0017】
本実施例は、ビル屋上設置の水道水等の水槽用タンク頂部に設けたマンホ−ルから点検・掃除のため昇降する目的の、不蝕性内梯子1に関し、平行な2本の柱2、2に、多数の横木3、3…を一定間隔で取付けた、全体形状が周知の梯子1であって、この梯子1は、その生産費(生産ミスのないことや材料費の低減等による)のコストダウンと共に、部品の共通化を図り、しかも、物流コストの低減を図ったものである。
【0018】
特に、強度上問題が生じない再生合成樹脂を用い、リサイクル化に貢献しょうとするものである。
【0019】
そのため、前記柱2に横木3を次のようにして取付けている。
【0020】
先ず、この横木3は、例えばPPまたはPEなどの再生樹脂を射出成形して前記従来例の梯子21と同様の構造にしている。
【0021】
すなわち、横木3を縦断面コ字状のチャンネルで構成し、そのコ字内側の裏面に補強リブ(不図示)を十字状に形成すると共に、その上面を足踏面とし、しかも、その両端に楕円状リング4、4を一体射出成形している。このリング4の軸方向長さ、つまり、巾をコ字の足の略長さにしている。
【0022】
一方、柱2は短尺の原管(楕円パイプ)をブロ−成形した複数の楕円パイプ、すなわち、短尺の柱2Aを複数個連結して構成している。なお、柱2は同一構造の2本の柱につき、以下片側の柱にしたがって述べる。
【0023】
そこで、前記成形ずみの横木3のリング4を、短尺の柱2Aに成形される加熱軟化した短尺の原管に予め外嵌して、コ−ルドパリソン法(大量生産された塩ビ製原管を用い、これを加熱軟化して金型にセットしてから、空気等の加熱加圧流体を該原管に吹込み、該原管を該金型のキャビティに沿わしめるブロ−成形法)を用いる金型(不図示)にセットし、ブロ−成形をすると、このリング4の両端面をその両側から挟持すると共に、リング4の内面に密接して、短尺の柱2Aには取付部5が形成できる。
【0024】
すなわち、短尺の柱2Aにおける、この取付部5には、1対のリング用円錐台状の拡径した底辺側を膨出して当接させる挟持部6、6と、これらの挟持部6、6を連結するリング用内接受部7とが形成され、これらにより横木3が短尺の柱2Aに対し、いわゆるハメゴロシ状態に一体化して取付けられる。
【0025】
そして、この横木3を一体化した短尺の柱2Aを複数個連結して所定の柱2の長さとするため、短尺の柱2Aの両端には連結用嵌着部8を形成している。
【0026】
すなわち、一方の短尺の柱2Aの一端における嵌着部8には、円筒状拡径ストッパ−部9と外嵌部10とを形成し、他方の短尺の柱2Aの他端における嵌着部8には、円筒状拡径ストッパ−部9と内嵌部10Aとを形成し、これらの嵌着部8、8を嵌合して各拡径ストッパ−部9、9に当接する迄、押込めば短尺の柱2A同志が連結する。
【0027】
これらの内外嵌部10、10Aには若干の拡径テ−パおよび縮径テ−パを形成して、いわゆるTS接合するようにし、かつその軸方向中央部には逆止め鋸歯11、11Aを設け、使用現場で一旦嵌合すると、容易に抜けないようにしている。
【0028】
勿論、このTS接合には逆止め鋸歯11、11Aがあるので、現場組立に好都合な接着剤を用いなくてもよいが、更に使用してもよい。
【0029】
したがって、横木3にはブロ−成形取付けにより接着剤が使用困難なPPまたはPE、殊に再生樹脂を使用でき、これとブロ−成形された2本の塩ビ製柱2とを生産工場で良好に結合一体化できて、その結果、2本の短尺の柱2A、2Aと2ないし3段の横木3、3とで構成する2H、または3Hの形状にした基本を在庫品として製造しておき、これを使用現場で複数個連結して所定の梯子1の長さとすることができる。
【0030】
しかも、使用現場ではタンク昇降に際し、柱のブロ−成形によって、巾のあるリング4をガッチリと掴持することから横木3はぐら付がず、使用者に不安を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例の要部平面図である。
【図2】図1のA部断面詳細図である。
【図3】従来例で(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】図3のB−B矢視断面詳細図である。
【符号の説明】
【0032】
1…梯子、2…柱、2A…短尺の柱、3…横木、4…リング、5…取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な2本のパイプ状柱に、多数の横木を一定間隔で取付けた梯子にあって、該横木の両端にリングを一体形成し、該リングを前記柱に外嵌して取付けた合成樹脂製梯子において、
前記柱を、短尺のパイプを連結して構成し、前記リングを該パイプに予め外嵌して、該パイプをブロ−成形することにより、該リングをパイプに取付けたことを特徴とする合成樹脂製梯子。
【請求項2】
前記リングを一体射出成形した横木に、再生合成樹脂を用いた請求項1に記載の合成樹脂製梯子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−307605(P2006−307605A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134466(P2005−134466)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000244224)株式会社メイプラ (2)
【Fターム(参考)】