説明

合成糸を引出しかつ延伸するための方法並びに該方法を実施する装置

本発明は、合成糸を引出しかつ延伸して完全に延伸された糸を形成する方法及び装置に関する。この場合糸は、押し出された複数のフィラメントをまとめることによって形成され、駆動される複数のゴデット対の加熱されたガイド周壁の周囲に接触させながら案内される。フィラメントを可能な限り穏やかにもしくは優しくかつ高い均一性をもって処理するために、本発明によれば糸は、紡糸ゾーンからの引出し時及び延伸の前に、互いに逆方向に駆動される2つのガイド周壁を備えた第1のゴデット対によって、S字形又はZ字形の糸走路において案内される。これによって糸を、その両側においてガイド周壁の周囲と直に接触させて加熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部記載の方法、すなわち合成糸を引出しかつ延伸して完全に延伸された糸(FDY)を形成する方法であって、押し出された複数のフィラメントをまとめることによって糸を形成し、該糸を、駆動される複数のゴデット対の加熱されたガイド周壁の周囲に接触させて案内する形式の方法、並びに請求項11の上位概念部記載の装置、すなわち上記方法を実施する装置に関する。
【0002】
合成糸を特に織物に使用するために製造する場合には、マルチフィラメント糸は溶融紡糸の後で、製造される糸型式に応じて程度の差こそあれ延伸されることが一般に知られている。延伸の程度に応じて、いわゆるPOT糸とFDY糸とが区別される。POT糸(予備配向された糸(Pre Oriented Yarn))は、まだ完全には延伸されていない、予備配向された構造を有しており、一般的に第2のプロセスステップ例えば仮撚りテクスチャード加工において最終的な糸へとさらに処理される。これに対して、FDY糸(完全に延伸された糸(Full Drawn Yarn))は、完全に延伸されていて、直ぐに、面状繊維製品のさらなる加工のために使用することができる。
【0003】
合成糸の延伸は、複数のゴデットの駆動されるガイド周壁によって行われ、糸はガイド周壁の周囲に接触しながら案内される。ゴデットのガイド周壁は、糸の延伸及びリラクゼーションを目的として糸を暖めるために、少なくとも部分的に加熱されている。一方では大きな延伸は、ゴデットのガイド周壁間における相応に高い差速度を必要とし、かつ他方では加熱されたガイド周壁による接触によって糸は加熱されるので、高い速度の場合には糸を加熱するために糸とガイド周壁との間において大きな接触長さが必要である。このような理由から、合成糸を引出しかつ延伸して完全に延伸された糸を形成するためには、一般的に複数のゴデット対が使用され、これらのゴデット対は、同じ周速度で駆動される2つのガイド周壁を有していて、糸を該周壁に複数回巻き掛けて案内する。このような方法及びこのような装置は、DE19958245A1に基づいて公知である。
【0004】
公知の方法及び公知の装置では、ゴデット対はそれぞれ、駆動される2つのガイド周壁を有しており、これらのガイド周壁には糸が複数回巻き掛けられて案内される。従ってゴデット対のうちの1つのゴデット対の両方のガイド周壁は、糸において熱処理を実施するため及び糸をその紡糸ゾーンから引き出すため又は延伸ゾーンにおいて延伸するために、共働する。ガイド周壁における巻掛けの回数は、速度に関連して、ガイド周壁からの糸の走出後に所望の延伸温度が得られているように、選択されている。基本的にはしかしながら、糸とガイド面との間における各接触によって摩擦効果が発生し、この摩擦効果は糸のマルチフィラメント構造に基づいて個々のフィラメントにおける不均一性を惹起することがある。
【0005】
DE3146054A1に基づいて公知の、マルチフィラメント糸を引出しかつ延伸する方法及び装置では、糸は引出しのために、1つのゴデットのガイド周壁において複数回巻き掛けられて案内される。このガイド周壁はしかしながら加熱されていないので、糸は後続のゾーンにおいて常温で延伸される。このような常温で延伸された糸にはしかしながら基本的に、極めて高い延伸力が生ぜしめられねばならないという欠点があり、このような極めて高い延伸力は、特に互いに平行に案内される複数の糸を製造する場合に極めて大きな問題を生ぜしめる。公知の方法における別の欠点としては、ゴデットのガイド周壁における巻掛けが1回の場合に、延伸力を常に同じようにスリップなしに伝達することが極めて困難である、ということが挙げられる。
【0006】
従来技術においてはしかしながらまた、基本的には、糸の加熱を無接触式に放射加熱を用いて行うような方法及び装置も公知である。例えばWO2007/115703A1に開示された、マルチフィラメント糸を引出しかつ延伸する方法及び装置では、糸はゴデットのガイド周壁に1回巻き掛けられて案内されている。この場合ガイド周壁の間には自由な処理ゾーンが形成されていて、これらの処理ゾーンは、放熱ヒータによって糸を加熱するために利用される。従ってこのような方法及び装置は、高速度の場合にも糸に対する十分な温度調節を可能にするために、かなり大きな自由なガイド区間を必要とする。
【0007】
ゆえに本発明の課題は、マルチフィラメント糸を引出しかつ延伸してFDY糸を形成する、冒頭に述べた形式の方法及び装置を改良して、引出し速度が高い場合や糸とガイド周壁との間における接触長さが比較的短い場合においても、糸を優しくもしくは穏やかに加熱することができるようにすることである。
【0008】
本発明の別の課題は、冒頭に述べた形式の方法及び装置を改良して、加熱処理及び延伸を可能な限り小さな構造空間において実施できるようにすることである。
【0009】
上記課題は本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の方法によって、かつ請求項11の特徴部に記載の、方法を実施する装置によって解決された。
【0010】
すなわち上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明の方法では、冒頭に述べた形式の方法において、糸を、紡糸ゾーンからの引出しのためにかつ延伸の前に、互いに逆方向に駆動される2つのガイド周壁を備えた第1のゴデット対によって、S字形又はZ字形の糸走路において案内するようにした。
【0011】
また請求項11記載の本発明の構成では、複数のゴデット対が設けられており、該ゴデット対の駆動されかつ加熱されるガイド周壁において、少なくとも1つの糸が引出し及び延伸のために案内される形式の装置において、第1のゴデット対のガイド周壁の駆動装置は、互いに異なった回転方向を有する2つの電動機によって形成されているようにした。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明は、細い番手を有する織物に使用するための合成糸における糸ガイドの形式は、糸の加熱に対して影響を及ぼすという認識に基づいている。従来技術では、駆動されかつ加熱されるそれぞれ2つのガイド周壁を備えたゴデット対は、基本的には同じ巻掛け方向で糸によって複数回巻き掛けられる。このような形式の糸ガイドによって、マルチフィラメント糸は内側と外側とを有しているので、糸の内側に配置されたフィラメントストランドは常に繰り返し、ゴデット対のガイド周壁の加熱された表面において案内されることになる。従って糸の、外側に位置するフィラメントストランドの加熱は、もっぱらフィラメントストランドの内部における熱伝達によって行われる。しかしながらこのような熱伝達形式によって、糸のフィラメント束の内部においては個々のフィラメントの熱処理が不均一になり、これは、例えば後続のプロセスにおける染色においてむらとして現れる。
【0014】
これに対して本発明は、糸がゴデット対のガイド周壁において両側から均一に加熱されるという特別な利点を有している。そのために糸は、紡糸ゾーンからの引出しのためにかつ延伸の前において、互いに逆方向に駆動される2つのガイド周壁を備えた第1のゴデット対によって、S字形又はZ字形の糸走路において案内される。これによって一方では、糸のフィラメントを極めて均一に加熱することができ、かつ他方では、ガイド周壁の速度が高速でも接触長さを比較的短くすることができる。これによって特に、糸のフィラメントの処理履歴を著しく均一化することができる。そして糸の内側に位置しているフィラメントストランドと外側に位置しているフィラメントストランドとは、ガイド周壁のうちの1つのガイド周壁の加熱された表面と交互に接触することになる。
【0015】
本発明による方法を実施するための本発明による装置は、そのために1つのゴデット対を有していて、該ゴデット対においてガイド周壁の駆動装置は、互いに異なった回転方向を有する2つの電動機によって形成されていて、ガイド周壁を同じ周速度で駆動するようになっている。このようにしてガイド周壁は、単数の糸を又は互いに平行に並んで案内される複数の糸を、紡糸ゾーンから引き出すために、最適に共働することができる。
【0016】
本発明による方法の別の実施態様では、糸を、延伸後に、互いに逆方向に駆動される2つのガイド周壁を備えた第2のゴデット対によって、S字形又はZ字形の糸走路において案内し、この際に糸をゴデット対の間に形成された延伸ゾーンにおいて延伸するようになっている。このような実施形態は特に、糸のリラクゼーションを目的とした、熱による糸の後処理のために適している。第2のゴデット対のガイド周壁の周速度が、延伸を行うために極めて高速であるにもかかわらず、比較的短い接触長さにおいても、糸の均一な加熱を達成することができる。この実施態様においても糸は内側及び外側からそれぞれ、ガイド周壁の加熱された表面と交互に接触させられる。その結果、糸の内部におけるすべてのフィラメントストランドを特に均一に処理することができ、かつ糸の熱力学的な最終状態を素早く得ることができる。
【0017】
糸を加熱するための十分な接触長さのみならず、大きな延伸力を形成するための高い巻掛け摩擦をも、ガイド周壁における1回の巻掛けにおいて得るために、本発明の特に有利な実施態様では、糸を、ゴデット対のガイド周壁において、それぞれ個々のガイド周壁に少なくとも180°の巻掛け角をもって部分的に巻き掛けて案内する。このようにすると、例えば150〜250mmの範囲における通常のゴデット直径において、通常のすべての番手範囲のFDY糸を、ポリマ材料とは無関係に確実に延伸することができる。
【0018】
単数又は複数の糸を同時に延伸してFDY糸を形成するためには、加熱はそれぞれの糸材料に合わせられ、これによりポリマ型式に応じて均一に流れる延伸の範囲に達することができ、その結果、延伸時において均一な分子構造を形成することができる。
【0019】
1つの糸にまとめられるフィラメントの数とは無関係に、かつフィラメント番手とは無関係に、ガイド周壁の加熱された表面における糸の交互の接触時に、十分な加熱を達成するために、本発明の別の有利な態様では、延伸の前に糸を加熱するために、第1のゴデット対の両方のガイド周壁を、等しい表面温度に又は互いに異なった表面温度に加熱する。
【0020】
このような効果は、特に、糸の延伸後における熱による後処理に対しても得ることができるので、本発明の別の態様では、延伸後に糸を加熱するために、第2のゴデット対の両方のガイド周壁を、等しい表面温度に又は互いに異なった表面温度に加熱する。
【0021】
方法の実施態様を実施するために本発明による装置は、各ガイド周壁のために有利には個別の加熱装置を有していて、それぞれの加熱装置は、複数の制御装置によって、各ガイド周壁における表面温度を調節するために互いに無関係に独立して制御可能である。
【0022】
しかしながら基本的には、ゴデット対のガイド周壁のうちの1つを、有利には糸走路において後続のガイド周壁を、パッシブに加熱すること、例えばゴデットボックスの内部における温度調整された周囲空気によって、加熱することが可能である。
【0023】
異なった表面温度を生ぜしめるためにガイド周壁を別個に加熱することは、さらに、糸とガイド周壁との間における接触長さが異なっている場合及び両方のガイド周壁のガイド速度が同じ場合に、ゴデット対のうちの1つのゴデット対においてすべてのフィラメントを均一に加熱するために、特に有利である。
【0024】
糸の内側と外側とを交互に加熱するためには、互いに異なった直径を有するガイド周壁を使用することも可能である。このような場合、例えば、小さな外径を有するガイド周壁の表面温度が高温に調節される。ゴデット対のうちの1つのゴデット対のガイド周壁における直径差は、この場合同時に、速度差を調節するために利用することができる。特に延伸後における糸の後処理時に、糸のフィラメントにおける収縮過程が導入され、この収縮過程は、特に最後のゴデット対においてガイド周壁の間において実施される。
【0025】
しかしながら方法を実施するために有利な装置形態では、ゴデット対のうちの1つのゴデット対のガイド周壁は、等しい大きさの部分巻掛け時に糸とガイド周壁との間において等しい接触長さを形成するために、同一の外径を有している。しかしながらまた接触長さは、ガイド周壁における異なった部分巻掛けによって変化させることもできる。
【0026】
糸材料を、ガイド周壁の極めて低い表面温度によって、ひいては可能な限り僅かなエネルギによって加熱するために、特に有利な方法の形態では、糸を乾燥状態において又は、20%未満の僅かな水分含有量、有利には10%未満の僅かな水分含有量を有する湿された状態において引き出す。このようにすると、ガイド周壁の表面において準備された熱エネルギは直に糸材料を加熱するために利用される。これによって糸における異物を完全に回避すること又は最少に減じることができるので、糸のこのような異物を加熱するためのエネルギは不要となる。
【0027】
糸長さに関するフィラメントの均一性を最適化するのに最適な方法の態様では、糸のフィラメントを、ゴデット対のガイド周壁との最初の接触前に、帯形状の配置形態へと導く。これによって、1つの糸にまとめられたすべてのフィラメントを直に、ゴデット対のガイド周壁と接触させることができ、その結果各フィラメントは加熱及び表面接触に関してほぼ等しい処理履歴を有することになる。
【0028】
このような方法の形態を実施するために本発明による装置の有利な態様では、第1のゴデット対に糸走路において前置されたガイド手段が設けられていて、該ガイド手段によって糸のフィラメントは帯形状の配置形態へと変化可能である。
【0029】
FDY糸のために一般的である延伸特性をフレキシブルに調節できるようにするために、有利な方法の態様では、糸を、第1のゴデット対のガイド周壁の周囲において1200m/分〜3500m/分の範囲における周速度で案内し、第2のゴデット対のガイド周壁の周囲において3500m/分〜6000m/分の範囲における第2の周速度で案内する。これによって、種々異なった糸番手を有する通常のすべてのポリマ型式から、それぞれFDY糸を製造することができる。特に、太い糸番手の場合に本発明による方法は、糸を無接触式に赤外線放射によって付加的に加熱することによって、さらに改善することができる。この付加的な加熱は、糸の延伸の前に実施することも延伸の後に実施することもでき、この場合そのために有利には自由に糸の延伸が利用される。
【0030】
次に図面を参照しながら、本発明による方法及び方法を実施するための装置の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による方法を実施するための本発明による装置の第1実施形態のゴデット配置形式を示す図である。
【図2】図1に湿した実施形態における1つのゴデット対を示す横断面図である。
【図3】本発明による装置の別の実施形態のゴデット配置形式を示す図である。
【図4】本発明の1実施形態によるゴデット装置を備えた紡糸装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、本発明による方法を実施する本発明による装置の第1実施形態のゴデット装置を示す図である。
【0033】
この実施形態は、互いに並んで配置された2つのゴデット対1.1,1.2によって形成されている。第1のゴデット対1.1は、等しい周速度で駆動される2つのガイド周壁2.1,2.2を有している。ゴデット対1.1のガイド周壁2.1,2.2は互いに上下に配置されていて、それぞれ別個の電動機3.1,4.1によって駆動される。ガイド周壁2.1の電動機3.1は、左回転するように形成されていて、ガイド周壁2.1を逆時計回り方向に駆動する。電動機4.1は、右回転するように形成されていて、ガイド周壁2.2を時計回り方向に駆動する。これによってガイド周壁2.1とガイド周壁2.2とは互いに逆向きに回転する。電動機3.1,4.1は有利には、1つの共通の電動機制御装置によって運転される。
【0034】
ガイド周壁2.1,2.2はそれぞれ、該ガイド周壁2.1,2.2を加熱するために図示されていない加熱装置を有している。例えばガイド周壁2.1は表面温度Tに加熱され、かつガイド周壁2.2は表面温度Tに加熱されている。
【0035】
第2のゴデット対1.2は、図示の実施形態では第1のゴデット対1.1と同じに構成されている。つまりガイド周壁2.3,2.4は電動機3.2,4.2によって駆動され、ガイド周壁2.3とガイド周壁2.4との間においては収縮処理のために速度差を調節することができる。電動機3.2は左回転するように形成され、ガイド周壁2.3を逆時計回り方向で駆動する。電動機4.2は右回転するように形成され、ガイド周壁2.4を時計回り方向で駆動する。このようにしてゴデット対1.2の両ガイド周壁2.3,2.4は同様に逆方向に駆動され、電動機3.2,4.2は有利には電動機制御装置によって運転される。
【0036】
ガイド周壁2.3,2.4には同様にそれぞれ別個の加熱装置(図示せず)が配属されているので、両ガイド周壁2.3,2.4を異なった温度で加熱することができる。例えばガイド周壁2.3は表面温度Tを有し,ガイド周壁2.4は表面温度Tを有している。
【0037】
マルチフィラメント糸を紡糸装置から引き出すため及びFDY糸(完全に延伸された糸)に延伸するために、糸5は最初にゴデット対1.1のガイド周壁2.1によって引き出され、S字形の糸走路でガイド周壁2.1及び隣接したガイド周壁2.2に巻き掛けられて案内される。糸5は個々の巻掛けで、最初は内側がガイド周壁2.1に接触して案内され、次いで巻掛け方向の変化によって外側がガイド周壁2.2の表面に接触して案内される。これによって糸5において内側に位置するフィラメントと外側に位置するフィラメントとは交互にかつ直接、ガイド周壁2.1,2.2の加熱された表面と接触させられる。
【0038】
図示の実施形態ではガイド周壁2.1,2.2は同じ大きさの外径をもって形成されており、ゴデット対1.1,1.2の配置形式は、ガイド周壁2.1,2.2における巻付け角度がそれぞれ180°の値を上回るように選択されている。巻掛け角度は図1では符号αで示されている。基本的には、ゴデット配置形式に応じてガイド周壁2.1,2.2において種々異なった巻掛け角度を形成することができる。さらに糸が鏡像的に供給される場合には、ガイド周壁2.1,2.2に糸をZ字形に巻き掛けることも可能である。
【0039】
ガス転移温度の範囲における温度に又はガス転移温度を上回る温度に糸材料を加熱するために、ガイド周壁2.1,2.2はこの実施形態では等しい表面温度で加熱されている。これによってガイド周壁2.1の表面温度Tはガイド周壁2.2の表面温度Tと同じであり、60℃〜200℃の範囲にあってよい。
【0040】
しかしながらまた、ガイド周壁2.1,2.2における表面温度T,Tを異なった温度に調節することも可能である。このことは特に次のような場合、すなわちガイド周壁2.1,2.2に糸を1回巻き掛けることによって例えばガイド周壁の異なった直径に基づいて又はガイド周壁における異なった巻掛け角度に基づいてガイド周壁において異なった接触長さが存在しているような場合に、必要である。
【0041】
第2のゴデット対1.2は第1のゴデット対1.1の横に並んで配置されており、糸5はガイド周壁2.2からの進出後に直接、ゴデット対1.2の下側のガイド周壁2.3に案内される。これによって第1のゴデット対1.1のガイド周壁2.2と第2のゴデット対1.2のガイド周壁2.3との間に延伸ゾーンが形成され、この延伸ゾーンにおいてマルチフィラメント糸5は延伸される。そのために第2のゴデット対1.2のガイド周壁2.3,2.4は、第1のゴデット対1.1のガイド周壁2.1,2.2よりも高い周速度で駆動される。糸5は第2のゴデット対1.2のガイド周壁2.3,2.4にS字形に巻き掛けられて案内されるので、糸5は全体としてゴデット装置において1回の巻掛けで案内可能である。これによってゴデット対1.1,1.2における極めてコンパクトでかつ短いガイド周壁が形成可能である。
【0042】
ゴデット対1.2はゴデット対1.1とほぼ同じに構成されているので、ガイド周壁2.3,2.4は同じ大きさの外径を有している。しかしながらまた、駆動回転数が等しい場合にガイド周壁2.3,2.4の異なった外径によって、糸を後処理するための所望の速度差をゴデット対1.2において得ることも可能である。外径の大きさとは無関係に、各ガイド周壁2.3,2.4においてはそれぞれ、通常は180°の値を上回る巻掛け角度αが形成される。延伸された糸の熱による後処理を第2のゴデット対1.2において直に導入するために、ガイド周壁2.3,2.4は80℃〜200℃の範囲の表面温度に加熱される。この実施形態ではガイド周壁2.3の表面温度Tとガイド周壁2.4の表面温度Tとは同じ高さの温度に調節されている。基本的にはしかしながらまた、例えば糸とガイド周壁との間における接触長さを相殺するために、ガイド周壁2.3,2.4において異なった表面温度を形成することも可能である。通常はガイド周壁2.3,2.4の表面温度は、ガイド周壁2.1,2.2の表面温度よりも高く調節されている。それというのは、規定された糸固有のプロセスを実施するためには異なった温度が必要であり、もちろんガイド周壁2.3,2.4の周速度はガイド周壁2.1,2.2の周速度よりも明らかに高く、ひいてはガイド周壁2.3,2.4とガイド周壁2.1,2.2とにおける滞在時間が異なっているからである。例えばゴデット対1.1は有利には1200m/分〜3500m/分の範囲における案内速度で駆動される。第2のゴデット対1.2の案内速度は3500m/分〜6000m/分の範囲である。
【0043】
図2には、例えば図1の実施形態におけるゴデット対1.1又はゴデット対1.2として使用可能なゴデット対が横断面図で示されている。この場合にはゴデット対1.1が示されている。ゴデット対1.1は機械フレーム6に保持されている。そのために機械フレーム6には2つのゴデット保持体11.1,11.2が互いに間隔をおいて配置されており、両ゴデット保持体11.1,11.2にはガイド周壁2.1,2.2が回転可能に保持されている。ガイド周壁2.1,2.2の構造は同じであるので、図2においてはガイド周壁2.1だけが横断面図で示されている。ガイド周壁2.1は、電動機3.1によって駆動される駆動軸8と結合されている。ガイド周壁2.1は中空円筒形状に形成されていて、その周壁で加熱装置7.1に被せられている。例えば誘導コイルによって形成されている加熱装置7.1は、加熱保持体10に保持されていて、外部の制御装置9.1と電気的に接続されている。この制御装置9.1を介して、その都度ガイド周壁2.1における所望の表面温度を調節することができる。表面温度の調整及び監視のために設けられているセンサは、図示の実施形態では示されていない。
【0044】
ゴデット対1.1は従って、所属のガイド周壁2.1,2.2の接続された加熱装置7.1,7.2を互いに無関係に独立して制御及び調整するために、2つの制御装置9.1,9.2を有している。
【0045】
左回転の電動機3.1と右回転の電動機4.1とは、ガイド周壁2.1,2.2を駆動するために一緒に1つの電動機制御装置35を介して等しい駆動回転数で運転される。ガイド周壁2.1,2.2の外径が等しい大きさの場合に、両ガイド周壁2.1,2.2は同じ周速度で駆動される。そのためにゴデット対1.1の電動機3.1,4.1は電動機制御装置35と接続されている。
【0046】
付言すると、図2に示したゴデット対の構造設計は単に一例である。基本的には、ガイド周壁を駆動及び加熱するための他の構造原理も使用することが可能である。例えばガイド周壁のうちの少なくとも1つの加熱を、外側からの熱対流及び熱放射によってパッシブに行うことも可能である。通常は、特に熱損失を回避するために、ゴデット対はゴデットボックス内に配置されている。アクティブに加熱されるガイド周壁に基づいてゴデットボックスの内部において生じる熱エネルギは、アクティブに加熱されない隣接したガイド周壁を暖めるために利用することができる。さらに、ゴデットボックスの内部に例えば、直に糸を加熱する又はガイド周壁における糸を加熱する赤外線ヒータのような付加的な熱源を配置することも可能である。
【0047】
さらにシミュレーション計算によれば、ゴデット対のうちの1つのゴデット対のガイド周壁の表面温度は、ガイド周壁の間における自由な糸区間に関連して選択されねばならない。つまりフィラメント束の内部においては、もたらされた熱エネルギが均一化され、この熱エネルギの均一化は付加的に周囲からの影響を受ける。ガイド周壁の間における長い糸区間によって、マルチフィラメント糸における熱エネルギは良好に分配されるので、ゴデット対の後続のガイド周壁における表面温度は、第1のガイド周壁の表面温度よりも低い温度に保つことができる。本発明による方法及び本発明による装置は、従って、ゴデット対のガイド周壁のうちの1つがガイド周壁間における自由な糸区間を変化させるために可動に保持されているという実施形態において、運転することも可能である。ガイド周壁の可動性によって、自由な糸区間の長さのみならず、巻掛けの角度、ひいては糸とガイド周壁との間における接触長さにも影響を与えることができる。本発明はゆえに、FDY糸を形成するために、極めてフレキシブルに利用可能である。
【0048】
図3には、本発明による方法を実施することができるようにするために、ゴデット装置の別の実施形態が示されている。この実施形態では、ゴデット対1.1,1.2は互いに上下に配置されている。ゴデット対1.1,1.2の構造は、図1に示した実施形態におけるのと同じであるので、以下においては相違点についてだけ述べる。
【0049】
紡糸装置からマルチフィラメント糸を引き出すために、第1のゴデット対1.1には、ガイド手段12が糸走路に前置されている。このガイド手段12はこの実施形態では、自由回転可能に支承された2つの変向ローラ13.1,13.2によって形成されている。糸5は変向ローラ13.1,13.2にそれぞれ部分巻掛けされて案内され、これによって糸5のフィラメントは帯形状の配置形態になる。そしてフィラメントが帯形状の配置形態を有する糸5は、第1のゴデット対1.1のガイド周壁2.1に案内される。第1のゴデット対1.1のガイド周壁2.1,2.2は、等しい周速度でかつ逆向きに駆動され、糸5によってS字形に巻き掛けられる。フィラメントが帯形状に整列配置されていることによって、糸の加熱時及び案内時において高い均一性が達成される。この高い均一性は延伸ゾーンにおける糸5の延伸後においても継続し、第2のゴデット対1.2のガイド周壁2.3,2.4における均一化された後処理にも役立つ。両ゴデット対1.1,1.2が互いに上下に配置されていることによって、ガイド周壁2.2とガイド周壁2.3との間に延在する延長された延伸ゾーンが形成される。第2のゴデット対1.2のガイド周壁2.2,2.4はこの配置形式ではZ字形に糸によって巻き掛けられる。そのためにガイド周壁2.3は右回転の電動機(図示せず)によって時計回り方向に駆動される。第2のゴデット対1.2の第2のガイド周壁は従って左回転の電動機によって逆時計回り方向において同じ周速度で駆動される。
【0050】
ここで明確に述べておくと、図1及び図3に示した実施形態におけるゴデット対1.1,1.2の構成は一例である。基本的にはガイド周壁2.1〜2.4は互いに異なった大きさで形成されていてもよい。さらにまた、第2のゴデット対1.2を同方向で駆動されるガイド周壁2.3,2.4をもって形成することも可能である。択一的にガイド周壁は、両方のゴデット対がZ字形に糸によって巻き掛けられるように、配置及び駆動されてもよい。
【0051】
図4には、紡糸装置内において本発明による方法を実施するための本発明による装置の1実施形態が示されている。有利には複数のマルチフィラメント糸を溶融紡糸するために、加熱される紡糸ビーム14が設けられており、この紡糸ビーム14はその下側に複数の紡糸ノズル15備えている。紡糸ビーム14は図平面に対して垂直に方向付けられているので、図4ではそのうちの1つの紡糸ビーム14だけが見える。各紡糸ノズル15はその下側に多数のノズル開口を有しており、これらのノズル開口を通して、例えばポリエステル又はポリアミド製のポリマ溶融物が押し出されてフィラメント15が形成される。紡糸ノズル15は1つの溶融物供給路16に接続されている。溶融物供給路16は、例えば押出機である図示されていない溶融物源と連結されている。紡糸ビーム14の内部には、溶融物案内及び溶融物搬送のための別の部材が配置されていてよいが、これらの部材についてはここでは詳しく触れない。
【0052】
紡糸ビーム14の下には冷却装置18が設けられており、この冷却装置18は冷却ダクト20とブロー装置19とから形成されている。冷却ダクト20は紡糸ノズル15の下に、紡糸ノズル15から押し出された多数のフィラメント17が冷却ダクト20を貫通走行するように配置されている。ブロー装置18を介して冷却空気流を生ぜしめることができ、この冷却空気流は冷却ダクト20内に導入され、これにより紡糸ノズル15を通して押し出されたフィラメント17は均一に冷却される。冷却ダクト20の下には、フィラメント17を1つの糸5にまとめるために集合位置ガイド21が設けられている。この集合位置ガイド21はそのために紡糸ノズル15の下において中心に配置されており、これによりフィラメント17は集合位置ガイド21において均一にまとめられる。
【0053】
冷却ダクト20に隣接した降下ダクト34の下には、本発明による装置が糸を延伸するために配置されている。そのためにまず初めに糸5は走入糸ガイド22によって互いに処理間隔をおいた位置にもたらされ、これによって糸5は互いに平行に3〜8mmの範囲の短い間隔をおいて、ゴデット対1.1,1.2のガイド周壁2.1,2.4の上方へと案内される。降下ダクト34の下に配置されたゴデット対1.1,1.2の構造は、図1に示した実施形態と同じなので、これについてのさらなる説明は省く。
【0054】
ただ付言すれば、ゴデット対1.1,1.2の電動機は2つの別個の電動機制御装置によって制御されるので、第1のゴデット対1.1と第2のゴデット対1.2との間における速度差を、糸を延伸するために調節することができる。第2のゴデット対1.2のガイド周壁2.3,2.4はしかしながら、同じ駆動回転数において収縮処理のための僅かな速度差を得るために、異なった直径を有していてよい。
【0055】
ゴデット対1.1の前の糸走路には、糸ブレーキとして働くガイド手段12が配置されており、このガイド手段12によって糸5のフィラメント17は1つの帯状体に拡開されることができる。
【0056】
ゴデット対1.1,1.2の下にはプレパレーション装置23と交絡装置24とが複数のシングルゴデット25.1,25.2,25.3の間に配置されている。このようにして糸5には巻上げの前にそれぞれ糸結合部もしくは糸結節部(Fadenschluss)がプレパレーション及び交絡によって形成される。
【0057】
延伸された糸を巻き上げるために巻上げ装置26が設けられており、この巻上げ装置26は、突出した2つの巻上げスピンドル29.1,29.2を備えた回転可能なスピンドル保持体30を有している。このスピンドル保持体30はフレーム31に支承されている。この場合巻上げスピンドル29.1,29.2は交互に、ボビンを巻き上げるための運転領域とボビンを交換するための交換領域とに案内される。フレーム31には、糸をそれぞれ1つのボビン33に巻き上げるために綾振り装置27と圧着ローラ28とが設けられている。綾振り装置27の上においては各巻上げ箇所に変向ローラ32が配属されており、それぞれの変向ローラ32によって巻上げ箇所を通る糸5の走入が案内されている。
【0058】
図4に示された紡糸装置の実施形態では、押し出されたばかりの糸5は溶融紡糸後に直ぐに、フィラメント17の乾燥状態において、ゴデット対1.1,1.2へと案内されて、1つのFDY糸へと延伸される。
【0059】
しかしながらまた択一的に、糸5を延伸前においてフィラメントをまとめる際に、可能な限り水分含有量の少ないプレパレーション剤によって湿すことも可能である。特にプレパレーション剤における水分含有量は、糸をガス転移温度に加熱するためにより多くのエネルギを必要とすることが分かっている。従って、20%未満の水分含有量、有利には10%未満の水分含有量しか有していないプレパレーション剤が適している、ということが判明している。
【0060】
しかしながらまた、プレパレーション量を複数回の部分プレパレーション塗布によって糸に供給することも可能である。この場合例えば第1の部分プレパレーションは紡糸の直後及び延伸の直前に糸に供給される。この際には、糸ガイド及びガイド周壁における糸の走行特性を改善するために、極めて少量のプレパレーション剤が使用される。糸の後処理のために必要な湿しは、次いで延伸後及び巻上げ前に第2の部分プレパレーションにおいて行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1.1,1.2 ゴデット対、 2.1,2.2,2.3,2.4 ガイド周壁、 3.1,3.2 右回転の電動機、 4.1,4.2 左回転の電動機、 5 糸、 6 機械フレーム、 7.1,7.2 加熱装置、 8 駆動軸、 9.1,9.2 制御装置、 10 加熱保持体、 11.1,11.2 ゴデット保持体、 12 ガイド手段、 13.1,13.2 変向ローラ、 14 紡糸ビーム、 15 紡糸ノズル、 16 溶融物供給路、 17 フィラメント、 18 冷却装置、 19 ブロー装置、 20 冷却ダクト、 21 集合糸ガイド、 22 走入糸ガイド、 23 プレパレーション装置、 24 交絡装置、 25.1,25.2,25.3 シングルゴデット、 26 巻上げ装置、 27 綾振り装置、 28 圧着ローラ、 29.1,29.2 巻上げスピンドル、 30 スピンドル保持体、 31 フレーム、 32.1,32.2,32.3 変向ローラ、 33 ボビン、 34 降下ダクト、 35 電動機制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成糸を引出しかつ延伸して完全に延伸された糸(FDY)を形成する方法であって、押し出された複数のフィラメントをまとめることによって糸を形成し、該糸を、駆動される複数のゴデット対の加熱されたガイド周壁の周囲に接触させて案内する形式の方法において、
糸を、紡糸ゾーンからの引出しのためにかつ延伸の前に、互いに逆方向に駆動される2つのガイド周壁を備えた第1のゴデット対によって、S字形又はZ字形の糸走路において案内することを特徴とする、合成糸を引出しかつ延伸するための方法。
【請求項2】
糸を、延伸後に、互いに逆方向に駆動される2つのガイド周壁を備えた第2のゴデット対によって、S字形又はZ字形の糸走路において案内し、この際に糸をゴデット対の間に形成された延伸ゾーンにおいて延伸する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
糸を、ゴデット対のうちの1つのゴデット対のガイド周壁において、それぞれ個々のガイド周壁に少なくとも200°の巻掛け角をもって部分的に巻き掛けて案内する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
延伸の前に糸を加熱するために、第1のゴデット対の両方のガイド周壁を、等しい表面温度(T)に又は異なった表面温度(T;T)に加熱する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
延伸後に糸を加熱するために、第2のゴデット対の両方のガイド周壁を、等しい表面温度(T)に又は異なった表面温度(T;T)に加熱する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
糸と、ゴデット対のうちの1つのゴデット対のガイド周壁又は両方のゴデット対のガイド周壁との間における接触長さを、ほぼ等しい長さに又は互いに異なった長さに形成する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
糸を乾燥状態において又は、20%未満の水分含有量、有利には10%未満の水分含有量を有する湿された状態において引き出す、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
糸のフィラメントを、ゴデット対のガイド周壁との最初の接触前に、帯形状の配置形態へと導く、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
糸を、第1のゴデット対のガイド周壁の周囲において1200m/分〜3500m/分の範囲における周速度で案内し、第2のゴデット対のガイド周壁の周囲において3500m/分〜6000m/分の範囲における第2の周速度で案内する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
糸を延伸前及び/又は延伸後に、付加的に赤外線放射によって無接触式に加熱する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実施する装置であって、複数のゴデット対(1.1,1.2)が設けられており、該ゴデット対(1.1,1.2)の駆動されかつ加熱されるガイド周壁(2.1,2.2,2.3,2.4)において、少なくとも1つの糸(5)が引出し及び延伸のために案内される形式の装置において、
第1のゴデット対(1.1)のガイド周壁(2.1,2.2)の駆動装置は、互いに異なった回転方向を有する2つの電動機(3.1,4.1)によって形成されていることを特徴とする、方法を実施する装置。
【請求項12】
第2のゴデット対(1.2)のガイド周壁(2.3,2.4)の駆動装置は、互いに異なった回転方向を有する2つの電動機(3.2,4.2)によって形成されており、両方のゴデット対(1.1,1.2)の、延伸ゾーンを張設するガイド周壁(2.2,2.3)は、それぞれ所属の電動機(4.1,3.2)によって逆方向に又は同方向に駆動可能である、請求項11記載の装置。
【請求項13】
ゴデット対(1.1,1.2)のガイド周壁(2.1,2.2,2.3,2.4)は、糸(5)がゴデット対(1.1,1.2)のガイド周壁(2.1,2.2,2.3,2.4)において該ガイド周壁のそれぞれに少なくとも180°の巻掛け角をもって部分的に巻き掛けられて案内可能であるように、互いに配置されている、請求項11又は12記載の装置。
【請求項14】
各ガイド周壁(2.1,2.2)に個別の加熱装置(7.1,7.2)が配属されていて、該加熱装置(7.1,7.2)は、複数の制御装置(9.1,9.2)によって、各ガイド周壁(2.1,2.2)における表面温度を調節するために互いに無関係に独立して制御可能である、請求項11又は12記載の装置。
【請求項15】
ゴデット対のうちの1つのゴデット対(1.1)のガイド周壁(2.1,2.2)は、等しい大きさの部分巻掛け(α)時に糸(5)とガイド周壁(2.1,2.2)との間において等しい接触長さを形成するために、同一の外径を有している、請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
第1のゴデット対(1.1)に糸走路においてガイド手段(12)が前置されていて、該ガイド手段(12)によって糸(5)のフィラメントは帯形状の配置形態へと変化可能である、請求項11から15までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−533694(P2012−533694A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520914(P2012−520914)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062642
【国際公開番号】WO2011/009497
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】