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合成繊維に含浸させるための二段法
説明

合成繊維に含浸させるための二段法

本発明は、合成繊維にまず水性予備含浸組成物を含浸させ、続いてレゾルシノール−ホルムアルデヒドラテックス(RFL)組成物を含浸させる二段法に関する。この二段法において、予備含浸組成物は、少なくとも三官能性であるイソシアネート基を有する封止イソシアネートとラテックスとを含んでなり、そして封止イソシアネートとラテックスの重量比は9〜0.7、好ましくは4〜1である。さらに本発明は、封止された少なくとも三官能性であるイソシアネート化合物とラテックスとを含んでなり、水と、乳化剤と、2−ビニルピリジン共重合体とをさらに含んでなる合成繊維に含浸させるための予備含浸組成物、および、ゴムと、少なくとも表面部分に(1)封止三官能性イソシアネート化合物、好ましくはHDI三量体、(2)RFL接着剤および(3)現場加硫ゴム化合物が分散されている繊維またはコードとの複合品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維にまず予備含浸組成物を含浸させ、続いてレゾルシノール−ホルムアルデヒドラテックス(RFL)組成物を含浸させる二段法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム化合物に接着する目的で用いられるアラミド繊維のごとき繊維は、一般に、そのような合成繊維のゴムへの接着を強めるための含浸工程に附される。そのような組成物は、複合材料、例えば、補強繊維がタイヤゴム化合物に接合されているタイヤ、を製造するのに用いることができる。
繊維状補強材料、連続フィラメント糸、コードまたは短繊維といったゴム複合材料の製造において、複合材料のゴムマトリクスと強化繊維材料との間の接着性を強めることが重要である。
例えば、アラミド繊維は、タイヤの補強に用いられる繊維である。アラミド繊維の表面が結晶性であるため、アラミドとゴムの接着を実現することは非常に困難である。従って、繊維とゴムとの間に十分な接着性を得るためには、活性予備含浸工程が必要となる。そのような予備含浸工程を行う標準的な方法とは、エポキシ接着剤による予備含浸を行った後にレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL)による含浸を行う方法である。この方法によって、加硫ゴムとアラミド補強繊維との間に良好な接着性が生じる。
【0003】
従って、エポキシドおよびポリエチレンイミンがアラミド繊維のための接着促進剤として提案されている。イエンガー(Iyengar)は、アラミド繊維をゴムに接着させるための二段接着系を提案している。第一段階すなわち予備含浸は、エポキシ化合物から成るべきである(J.Appl.Polym.Sci.,2311,Vol.11(1967))。米国特許第3,872,939号におけるG.E.van Gills(The general Tire and Rubbers Co.)は、1,3−ブタジエン−スチレン−2−ビニルピリジン共重合体と熱反応性2,5−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロロフェノールとから成るサブコートまたはトップコートとしてのグリセロールジグリシジルエーテルの2%溶液の使用を開示している。
【0004】
EP353473では、慣用のエポキシ予備含浸組成物に加えて、フェニル封止4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有する予備含浸組成物が用いられている。これらの溶液は、水およびイソシアネート以外の成分を全く含有していない。我々は、水性封止ジイソシアネート予備含浸組成物によって、ゴムに対する接着性が不十分である繊維およびコードがもたらされることを見い出した。
【0005】
3官能以上のイソシアネート化合物を含有するポリエステル繊維のための予備含浸組成物がJP57187238に記載されている。多官能イソシアネートとジイソシアネートとの混合物を含有するそのような予備含浸組成物はJP51037174に記載されており、封止ポリイソシアネートと(ベントナイトのごとき)クレーとの混合物を含有するそのような予備含浸組成物はJP55062269に記載されている。しかしながら、これらの組成物はいずれも、ゴムへの接着に関してはあまり効果的ではなく、商業的に用いられていなかった。
その頃から開発されてきた接着技術は、事実上、常にエポキシドの使用に基づいてきたが、今日では、エポキシドの使用は、厳しさを増す一方である医療問題および政府規制により、好ましくないとされている。HSE規制によれば、人体がエポキシドに曝されるのは好ましくない。そのような有毒な物質を使用せず、且つ、エポキシドをベースとした接着と実質的に等しい安全な含浸法のニーズが高まっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、合成繊維にまず水性予備含浸組成物を含浸させ、続いてレゾルシノール−ホルムアルデヒドラテックス(RFL)組成物を含浸させる二段法が提供される。この二段法において、前記予備含浸組成物は、少なくとも三官能性であるイソシアネート基を有する封止イソシアネートとラテックスとを含んでなり、前記封止イソシアネートとラテックスの重量比は9〜0.7、好ましくは4〜1である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
このように含浸された繊維は、慣用のエポキシド予備含浸によって得られるような接着性を維持するため、そのようなエポキシド処理は完全に使用放棄することができる。従って、エポキシド含有誘導体を実質的にあるいは全く含有していない予備含浸組成物を用いた含浸法を実施することが好ましい実施態様である。
【0008】
他の実施態様において、予備含浸組成物は、封止された少なくとも三官能性であるイソシアネート化合物とラテックスとを含んでなっていてもよく、さらに水と、乳化剤と、2−ビニルピリジン共重合体とを含んでなっていてもよい。
【0009】
前記予備含浸組成物のラテックス部分は、前記RFL組成物のラテックス部分と同じまたは異なっていてもよく、共役オレフィンブロックと芳香族ブロックとのブロック共重合体である。そのようなブロック共重合体は、当該技術分野において周知である。前記予備含浸組成物のラテックス部分および前記RFL組成物のラテックス部分がビニル−ピリジンブロック共重合体である場合にとりわけ良好な結果が得られることが分かった。好適な共重合体は、2−ビニルピリジン部分と、スチレン部分と、ブタジエン部分とを含んでなる。前記共重合体中のユニットの10〜20%が2−ビニルピリジン状構造体であることが好ましい。従って、好適な共重合体は、式[(CN)(C(Cを有する。前記式中、重量%比 l:(m+n)は1:9〜1:4であり、m:nは2:3〜4:1である。l:m:nは、約15:35:50であることが最も好ましい。
【0010】
本発明による方法は、原則として、タイヤ用ゴム組成物、運搬伝道ベルトなどの補強繊維として一般に用いられるあらゆる合成繊維に適用することができる。そのような繊維は、アラミド、ポリエステルおよびポリエステルテレフタレートのうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。本発明の文脈の中で特に有用な繊維とは、少なくともアラミドを含有する、好ましくはPPTAおよび/またはPPODPTAを含有する繊維である。
本発明による方法は、紡糸として用いられる繊維に含浸させるのに好適である。
【0011】
封止イソシアネートは、少なくとも三官能性のイソシアネート基を有する。そのようなイソシアネートの例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体などが挙げられる。封止基は当該技術分野において周知であり、メチルエチルケトオキシムのごときケトオキシム基、3,5−ジメチルピラゾールのごときピラゾール誘導体、マロン酸エステルのごときエステル、カプロラクタム、およびアルキル化フェノールから選択される。最も好ましい封止イソシアネートは、メチルエチルケトオキシムまたは3,5−ジメチルピラゾール封止ヘキサメチレンジイソシアネート三量体のごとき封止HDI三量体である。
前記RFL含浸組成物は、乳化剤を含有していてもよい。好適な乳化剤は、ゴムラテックスを含んでなる乳化剤から選択される。
【0012】
本発明による非常に好適な予備含浸組成物とは、2.5〜4重量%の水分散3,5−ジメチルピラゾール封止イソシアネート化合物(HDI三量体)と、1〜2.5重量%の2−ビニルピリジン共重合体(ラテックス)と、90〜96重量%の水とを含んでなる組成物である(前記重量%は固体に基づく)。
封止イソシアネートとラテックスの重量比は9〜0.7である。ラテックスの含有量が高過ぎるまたは低過ぎる組成物では、慣用のエポキシ予備含浸組成物の接着性に匹敵する接着性が得られない。
【0013】
さらに具体的に言うと、本発明は、硫黄加硫可能なゴムにアラミド繊維を接着させるための方法、すなわち、(1)(a)2.5〜4重量%の水分散3,5−ジメチルピラゾール封止イソシアネート化合物(HDI三量体)と、(b)1〜2.5重量%の2−ビニルピリジン共重合体と、(c)90〜96重量%の水とで構成される水性分散液に繊維を浸漬させることによって、コーティングされた繊維を作る工程と、(2)前記コーティングされた繊維を乾燥および硬化させることによって、予備含浸された繊維を作る工程と、(3)前記予備含浸された繊維にRFL接着剤を含浸させることによって、含浸された繊維を作る工程と、(4)前記含浸された繊維を乾燥および硬化させることによって、含浸された繊維を作る工程と、(5)硬化させた含浸繊維を硫黄加硫可能なゴムに接触させる工程と、(6)前記加硫可能なゴムを硬化させる工程と、を含んでなる方法を提供する(前記重量%は固体に基づく)。
【0014】
他の実施態様において、本発明は、繊維およびコードに関する。前記繊維またはコードは、少なくともその表面部分に、(1)水分散3,5−ジメチルピラゾール封止イソシアネート化合物(HDI三量体)のごとき封止三官能性イソシアネート、(2)RFL接着剤および(3)現場(in situ)加硫ゴム化合物が分散されている。
【0015】
さらに、ゴムと繊維との複合品が提供される。前記繊維は、少なくともその表面部分に、(1)水分散3,5−ジメチルピラゾール封止イソシアネート化合物(HDI三量体)のごとき封止三官能性イソシアネート、(2)RFL接着剤および(3)現場加硫ゴム化合物が分散されている。
【実施例】
【0016】
下記実施例によって本発明をさらに説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1
本実施例では、アラミド繊維に対する三官能性封止イソシアネートと2−ビニルピリジン共重合体の併用の効果を示すためのアラミド試験サンプルを用いた試験を行った。
接着剤
実験対照としてのアラミド繊維用接着剤は、エポキシとRFLの二重塗布であった。アラミド繊維に多官能エポキシ樹脂予備含浸剤と比較用のRFLトップコートとを含浸させた。
実験用接着剤(サブコート)は、予備含浸剤である3.5重量%のTrixene(登録商標)BI7986(イギリス、Baxenden Chemicals社製の3,5−ジメチルピラゾール封止HDI三量体)および1.5重量%(固体に基づく)のPliocord(登録商標)VP106S(アメリカ、Goodyear Chemicals社製の2−ビニルピリジン共重合体ラテックス)と、トップコートであるRFLとで構成される。
【0017】
コードの加工
双糸構造を用いてアラミドコードを作製した。1680dtexのPPTAヤーン(帝人製のTwaron(登録商標))または1670dtexのPPODPTAヤーン(帝人製のTechnora(登録商標))をZ方向として330tpmで撚った。撚り合わせによって、2本の撚糸を組み合わせ、S方向として330tpmで撚った。この未含浸コードを予備含浸接着剤に浸漬させ、150℃で120秒間乾燥させ、240℃で90秒間硬化させ、RFLに浸漬させ、そして235℃で90秒間硬化させた。
試験用化合物
含浸させたアラミドコードを乗用車用タイヤプライゴム用化合物で試験した。主成分は天然ゴムであった。
結果および考察
Trixene(登録商標)BI7986とPliocord(登録商標)VP106Sの評価を、アラミド接着剤について行った。浸漬させたアラミドコードをRFLにさらに浸漬させ、静的接着および接着の耐熱性について試験した。その結果を表1にまとめた。
【0018】
本実施例および下記実施例において、静的剥離接着および接着の耐熱性の試験は、コードをゴムの中に埋め込んだ後、前記ゴムを金型内で硬化させる試験(ASTM D 4393に基づく。SPAF=Strap Peel Adhesion Force)を指す。次に、前記複合サンプルに、前記ゴムが前記コード層と分離するまで、室温雰囲気(静的接着)または120℃雰囲気(耐熱性)内において負荷をかけた。前記負荷はニュートン(N)で測定した。
【0019】
【表1】

【0020】
実施例2
本発明によるエポキシ非含有予備含浸組成物の接着性および従来技術によるエポキシ予備含浸組成物の接着性を、標準コード(すなわち、Twaron(登録商標)1000、1680dtex/2、1Z 330 × 2S 330)および標準ゴム(Dunlop(登録商標)5320、NRゴム)およびタイヤカーカスゴム(NR/SBR=70/30重量比)を用いて求めた。
ヤーンおよびコード
Twaron(登録商標)1000、1680dtex/2、1Z 440 × 2S 440 (オートバイ用タイヤ用途)
二種類の撚糸機、すなわち、二段撚糸機であるRezzeni ring撚糸機および直接撚糸機であるSaurer Allma、を用いた。
含浸液
標準的な従来技術の含浸液(エポキシ予備含浸液)(2%の三官能グリシジルグリセリンエーテル(エポキシド)/RFL)
本発明による含浸液(エポキシ非含有予備含浸液)(非エポキシド/RFL)
HDI三量体/Vpラテックス=75/25(重量比)、濃度=5%
手順
予備含浸液: 120 s × 150 C (9N) − 90 s × 240 C (9N)
RFL含浸液: 90 s × 235 C (9N)
評価(SPAF)
標準ゴム(Dunlop(登録商標)5320、NR) 150 C × 20 min
BS/FS ゴム (cra) (NR/SBR) 160 C × 20 min
未含浸コードおよび含浸コードの破壊強度を表IIに示す。
【0021】
【表2】

【0022】
接着性
SPAF特性を、エポキシド/RFL(従来技術)および非エポキシド/RFL(本発明)について、NRゴムおよびNR/SBRゴムを用いて、二段撚糸機と直接撚糸機の両方で測定したところ、すべての条件下においてほぼ同じであることが示された。すべての値は、280〜320N/2cmの範囲内であった。
ゴム被覆率
ゴム被覆率は以下のようにして求めた。剥離接着力を測定した後、剥離表面を観察し、残ったゴムの割合を求めた。結果を表IIIに示す。
【0023】
【表3】

【0024】
これらの結果は、エポキシを含有しない予備含浸液は従来技術のエポキシド含浸液に匹敵するものであり、それ故に、新しい接着方法として適用することができることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維にまず水性予備含浸組成物を含浸させ、続いてレゾルシノール−ホルムアルデヒドラテックス(RFL)組成物を含浸させる二段法において、
前記予備含浸組成物は、少なくとも三官能性であるイソシアネート基を有する封止イソシアネートとラテックスとを含んでなり、前記封止イソシアネートとラテックスの重量比は9〜0.7、好ましくは4〜1である、
ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記予備含浸組成物にはエポキシド含有誘導体が実質的に含有されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予備含浸組成物と前記RFL組成物のラテックス部分は、共役オレフィンブロックと芳香族ブロックとのブロック共重合体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ラテックス部分は、ビニル−ピリジンブロック共重合体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記合成繊維は、アラミド、ポリエステルおよびポリエステルテレフタレートのうちの少なくとも1種を含有する繊維である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記合成繊維は、少なくともアラミドを含有する、好ましくはPPTAおよび/またはPPODPTAを含有する繊維である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
紡糸が用いられる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記封止イソシアネートは封止HDI三量体である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
合成繊維に含浸させるための予備含浸組成物であって、
封止された少なくとも三官能性であるイソシアネート化合物とラテックスとを含んでなり、水と、乳化剤と、2−ビニルピリジン共重合体とをさらに含んでなる前記組成物。
【請求項10】
(1)封止三官能性イソシアネート化合物、好ましくはHDI三量体、(2)RFL接着剤および(3)現場加硫ゴム化合物が、少なくともその表面部分に分散されている繊維またはコード。
【請求項11】
ゴムと請求項10に記載の繊維またはコードとの複合品。

【公表番号】特表2007−505228(P2007−505228A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525726(P2006−525726)
【出願日】平成16年9月4日(2004.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009877
【国際公開番号】WO2005/026239
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(501469803)テイジン・トゥワロン・ビー.ブイ. (48)
【Fターム(参考)】