説明

合成開口レーダ画像再生装置、合成開口レーダ画像再生方法及び合成開口レーダ画像再生プログラム

【課題】バックプロジェクションアルゴリズムの処理時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】寄与データ抽出部は、再生画像の各点の再生に寄与する情報を含んだパルス圧縮データが全て入力されることを待つことなく、データ入力部6がパルス圧縮データを入力する度に、観測対象範囲に含まれる画素毎に、その画素の再生画像の生成に寄与する寄与データをパルス圧縮データから抽出する。乗算部11は、寄与データ抽出部が寄与データを抽出する度に、プラットフォームの移動情報に基づき生成された参照データと、寄与データとを乗算して乗算データを生成する。加算部12は、乗算部11が乗算データを生成する度に、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから生成された乗算データを加算してエリア毎に画像を再生し、再生画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、航空機や衛星等に搭載する高分解能レーダに関するものである。特に、地表や海面等を観測し、画像化するための合成開口レーダ(SAR : Synthetic Aperture Radar)装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダ装置は、航空機や衛星等の移動プラットフォームに搭載され、移動しつつ側方に電波を送受信して観測を行うレーダである。合成開口レーダ装置は、得られた目標からの受信信号に対し、プラットフォームの移動によって生じるドップラー周波数変化を用いて信号を分解し、二次元の高分解能画像を得る。
このようなレーダの受信信号から二次元の高分解能画像を得る処理を画像再生処理と呼び、その処理方法を画像再生アルゴリズムと呼ぶ。画像再生アルゴリズムとしては、例えば、バックプロジェクションアルゴリズムがある。
【特許文献1】特表平11−512531号公報
【非特許文献1】吉田孝著,「改定レーダ技術」,電子情報通信学会,1996年10月,275−280頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バックプロジェクションアルゴリズムは、画像の1点毎に自機との間の距離を計算し、この距離に相当する信号を抽出して積分することにより、合成開口レーダ画像を得る方法である。しかし、バックプロジェクションアルゴリズムは、画像の1点毎に個別に処理を行う。そのため、画像の各点をまとめて処理を行うことで演算量を削減するバックプロジェクションアルゴリズム以外の画像再生アルゴリズム(例えば、レンジドップラーアルゴリズム、ポーラーフォーマットアルゴリズム等)に比べて、演算に時間がかかるという課題がある。特に、プラットフォーム上で、受信信号を取得すると同時に画像再生処理を行うリアルタイム系の装置においては、演算に時間がかかることが大きな課題である。
本発明は、例えば、バックプロジェクションアルゴリズムの処理時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る画像再生装置は、例えば、移動するプラットフォームに搭載された合成開口レーダが観測対象範囲を観測して取得したパルスデータから上記観測対象範囲の再生画像を生成する画像再生装置であり、
合成開口レーダが一連の観測により取得した複数のパルスデータをレンジ方向に圧縮して生成された複数のパルス圧縮データを所定の順序で入力するデータ入力部と、
上記データ入力部がパルス圧縮データを入力する度に、上記観測対象範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データを上記パルス圧縮データから抽出する寄与データ抽出部と、
上記寄与データ抽出部が寄与データを抽出する度に、上記プラットフォームの移動情報に基づき生成された参照データと、上記寄与データとを乗算して乗算データを生成する乗算部と、
上記乗算部が乗算データを生成する度に、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから生成された乗算データを加算してエリア毎に画像を再生し、再生画像を生成する加算部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る画像再生装置によれば、所定の順序でレンジ圧縮データが入力されると、全てのレンジ圧縮データが入力されるのを待つことなく画像再生処理が開始される。したがって、画像再生処理の処理時間の短縮が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
この実施の形態では、従来のバックプロジェクションアルゴリズムの処理手順を改良し、処理時間を短縮したバックプロジェクションアルゴリズムを実行する画像再生装置1について説明する。
【0007】
図1は、バックプロジェクションアルゴリズムにより画像を再生する一般的な構成の画像再生装置1の機能ブロック図である。画像再生装置1は、移動する移動プラットフォームに搭載された合成開口レーダ装置が観測対象範囲を観測して取得したパルス信号から観測対象範囲の再生画像を生成する。画像再生装置1は、例えば、移動プラットフォームに搭載されていてもよいし、移動プラットフォームとは異なる場所に備えられてもよい。
画像再生装置1は、動揺センサ3、信号送受信部4、パルス圧縮部5、データ入力部6、画像再生処理部7、合成開口レーダ画像記憶部13を備える。
【0008】
動揺センサ3は、移動プラットフォームの運動を処理装置により計測して、運動情報として記憶装置に記憶する。移動プラットフォームの運動とは、例えば、移動プラットフォームの緯度・経度・高さの位置、速度、加速度や、ロール、ピッチ、ヨウで表される移動プラットフォームの姿勢等である。動揺センサ3は、計測した運動情報を画像再生処理部7へ処理装置により入力する。
信号送受信部4は、航空機や衛星等の移動プラットフォームに搭載されたアンテナ2から処理装置により生成した高周波パルス信号を空間に放射する。また、信号送受信部4は、観測対象範囲から反射して戻ってきた反射信号をアンテナ2を介して受信する。さらに、信号送受信部4は、受信した信号を処理装置により増幅して、AD変換器でサンプリングを行い、デジタル信号に変換する。
パルス圧縮部5は、信号送受信部4がサンプリングして変換したデジタル信号を処理装置により短いパルス幅に圧縮してレンジ方向への高分解能化を実現する。つまり、パルス圧縮部5は、デジタル信号をレンジ方向へ圧縮してパルス圧縮データを処理装置により生成する。
データ入力部6は、パルス圧縮部5が生成したパルス圧縮データを画像再生処理部7へ処理装置により入力する。
【0009】
画像再生処理部7は、データ入力部6が入力したパルス圧縮データと、動揺センサ3が入力した運動情報とに基づき、観測対象範囲の再生画像を処理装置により生成する。画像再生処理部7は、遅延部8、補間部9(寄与データ抽出部)、参照信号生成部10、乗算部11、加算部12を備える。
遅延部8は、データ入力部6が入力したパルス圧縮データを補間部9へ入力する第1の遅延部と、動揺センサ3が入力した運動情報を補間部9と参照信号生成部10とへ入力する第2の遅延部とを備える。第1の遅延部と第2の遅延部とは、データ入力部6と動揺センサ3とから入力されたデータを補間部9と参照信号生成部10とへ入力するタイミングをずらす。これは、合成開口レーダ装置の観測方法と画像再生アルゴリズムの特性に起因して行われる。合成開口レーダ装置は移動しながら所定の間隔で電波を送受信する。つまり、合成開口レーダ装置は所定の時間をかけて徐々に信号を受信する。一方、画像再生アルゴリズムは、所定の量の信号を受信しなければ画像再生処理を開始することができない。そこで、第1の遅延部は、所定の量のパルス圧縮データがデータ入力部6から入力されるまで、補間部9への入力を遅延させる。ここで、合成開口レーダ装置が電波を送受信する時間間隔をパルス繰り返し時間間隔と呼ぶ。つまり、信号送受信部4はパルス繰り返し時間間隔毎に反射信号を受信する。また、パルス圧縮部5は、パルス繰り返し時間間隔毎に信号送受信部4からデジタル信号を受信し、データ入力部6はパルス繰り返し時間間隔毎にパルス圧縮データを第1の遅延部へ入力する。そこで、第1の遅延部は、パルス繰り返し時間間隔の定数倍だけ各パルス圧縮データの入力を遅延させ、処理に必要な所定の量のパルス圧縮データをまとめて、同時に補間部9へ入力する。また、第2の遅延部も第1の遅延部と同様に、処理に必要な所定の量の運動情報をまとめて、同時に補間部9と参照信号生成部10とへ入力する。
補間部9は、パルス圧縮後の信号に対して、処理装置により補間処理を行い、補間データを生成する。補完処理については後述する。
参照信号生成部10は、補間部9が補間処理を行った後のデータと乗算される参照データを処理装置により生成する。参照データの生成については後述する。
乗算部11は、補間部9が生成した補間データと、参照信号生成部10が生成した参照データとを処理装置により乗算して乗算データを生成する。
加算部12は、乗算部11が生成した乗算データを加算して再生画像(合成開口レーダ画像)を処理装置により生成する。
合成開口レーダ画像記憶部13は、加算部12が生成した再生画像を記憶装置に記憶する。
【0010】
次に、合成開口レーダ装置の動作について説明する。
まず、図2に基づき、観測方法について説明する。図2は、合成開口レーダ装置による観測処理の概念図である。
合成開口レーダ装置は、移動プラットフォームに搭載される。移動プラットフォームが所定の時間移動しながら合成開口レーダ装置が側方に高周波パルス信号を送信することにより、観測対象から反射信号を受信信号として得る。
具体的には、まず、t=0における移動プラットフォームの位置で信号を送受信する。次に、t=1*Tにおける移動プラットフォームの位置で電波を送受信し、以降、t=2*T、t=3*T、と繰り返す。ここで、Tは上述したパルス繰り返し時間間隔である。
【0011】
図3は、上述したように合成開口レーダ装置が観測対象範囲を観測して得た受信信号の概念図であり、バックプロジェクションアルゴリズムの動作概念図である。
図3(a)は、観測対象物と移動体プラットフォームとの位置や、移動体プラットフォームの移動方向等の観測条件を示す図である。
図3(b)は、パルス圧縮後の受信信号の概念図である。図3(b)では、1回の観測毎に得られる信号を図のレンジ方向に格納し、移動しながら繰り返して観測した信号をパルス方向に並べ、二次元の受信信号として表示している。
図3(c)は、図3(b)に示す受信信号から再生された再生画像を示す図である。
【0012】
図3(a)に示すように、観測領域内の任意の点として、点A、Bを考える。点A、Bからの受信エコーを信号送受信部4が受信した位置(格納位置)は、電波を送受信した時刻における移動プラットフォームの位置と、点A、Bとの相対距離R、Rによって決まる。このため、点A、Bからの受信エコーは、図3(b)に示すように格納される。ただし、図3(b)では、簡単のため、パルス圧縮部5が受信信号をパルス圧縮した後の信号で表している。パルス圧縮前は、点Aからの受信エコーがレンジ方向に広がっているが、パルス圧縮処理後は、レンジ方向において1点に圧縮されている。データ入力部6は、図3(b)に示すパルス圧縮データを画像再生処理部7へ入力する。そして、画像再生処理部7は、バックプロジェクションアルゴリズムにより再生画像を生成する。
【0013】
バックプロジェクションアルゴリズムは、まず、受信信号から点Aの受信エコーを抽出する。点Aの受信エコーとは、受信信号に含まれる情報のうち、点Aから反射された情報である。つまり、点Aの受信エコーは、点Aの再生画像を生成することに用いられる情報である。ここで、受信信号は、AD変換器により離散的にサンプリングされているため、サンプル点とRとは重ならないことがある。このため、点Aからの受信エコーを得るために、各サンプル点から、点Aの受信エコーを補間する。補間部9は、この受信エコーを補間する処理を実行する。補間処理は、従来から様々な方法が存在するが、ここではどの方法であっても構わない。
ここで、補間部9が補間処理によって抽出した点Aの受信エコーs(t)(点Aの寄与データ)は、以下の式1で表される。また、参照信号生成部10が生成する参照データは、以下の式2で表される。
【0014】
【数1】

【0015】
乗算部11は、寄与データと、参照データとを乗算する。ここで寄与データと乗算される参照データは、寄与データが抽出された受信信号を受信した際の移動プラットフォームの運動情報から生成された参照データである。
そして、加算部12は、乗算後の信号をパルス方向に加算することにより、点Aの再生画像を生成する。これらを所望の画像化領域の点数(画素数)だけ、レンジ方向及びレンジと直交方向のアジマス方向とに繰り返すことにより、二次元の高分解能な再生画像が生成される。
【0016】
図4に基づき、以上で説明した画像再生処理をまとめる。図4は、画像再生装置1の画像再生処理を示すフローチャートである。
信号送受信処理(S101)では、信号送受信部4が高周波パルス信号をアンテナ2を介して送信し、観測対象範囲からの反射信号を受信して、デジタル信号に変換する。
パルス圧縮処理(S102)では、パルス圧縮部5が(S101)で変換されたデジタル信号をパルス圧縮してパルス圧縮データを生成する。
データ入力処理(S103)では、データ入力部6が(S102)で生成されたパルス圧縮データを画像再生処理部7へ入力する。
運動計測処理(S104)では、(S101)から(S102)までと並列に、動揺センサ3が移動プラットフォームの運動を計測して、運動情報として画像再生処理部7へ入力する。
第1遅延処理(S105)では、第1の遅延部が(S103)で入力されたパルス圧縮データの補間部9への入力を遅延させ、所定の量のデータを同時に補間部9へ入力する。
第2遅延処理(S106)では、第2の遅延部が(S104)で入力された運動情報の補間部9と参照信号生成部10とへの入力を遅延させ、所定の量のデータを同時に補間部9へ入力する。
補間処理(寄与データ抽出処理)(S107)では、補間部9がパルス圧縮データの補間を行い、補間データを生成する。また、補間部9が例えば式1に基づき再生する点の受信エコー(再生する点の再生に寄与する寄与データ)を抽出する。
参照データ生成処理(S108)では、参照信号生成部10が例えば式2に基づき参照データを生成する。
乗算処理(S109)では、乗算部11が(S107)で抽出した受信エコーと、(S108)で生成した参照データとを乗算して乗算データを生成する。
加算処理(S110)では、加算部12が(S109)で生成した乗算データを加算して(積分して)再生画像を生成する。
再生画像記憶処理(S111)では、合成開口レーダ画像記憶部13が(S110)で生成した再生画像を記憶する。
【0017】
図5に基づき、受信信号と再生画像との関係について説明する。図5は、受信信号と再生画像との関係を示す図である。
図5(a)は、パルス圧縮後の受信信号を示す図である。図5(a)は、縦1列が1つのパルス圧縮データである。つまり、パルス繰り返し時間間隔毎に、図5(a)の縦1列の情報が入力されることを示す。
図5(b)は、再生画像を示す図である。図5(b)において、各升は、再生画像の各点(画素)を示す。
図5(b)に示す再生画像における網掛け部分の点から伸びた点線により接続された図5(a)に示す円弧状の信号は、図5(b)に示す点の画像を生成するために使用される受信信号の成分を示す。つまり、図5(a)に示す受信信号において、網掛け部分は、図5(b)の網掛け部分から伸びた点線により接続された円弧の全てを含むため、再生画像の網掛け部分の全ての升の画像を再生するために用いられる。
これまでのバックプロジェクションアルゴリズムでは、再生画像のある点を再生するのに必要な全ての成分が入力されて、その点を再生する画像再生処理を開始していた。つまり、円弧aの情報が全て入力されてから、再生画像の点aを再生する画像再生処理を開始していた。すなわち、図5(a)の左端の縦1列の受信信号から網掛け部分の縦1列の受信信号までが入力されてから、点aを再生する画像再生処理を開始していた。そのため、図1に示す画像再生装置1の遅延部8は、図5(a)のある円弧状の信号が全て揃うまで補間部9と参照信号生成部10とへの情報の入力を遅延させていた。つまり、遅延部8は、各円弧状の信号が含まれるパルス圧縮データを上述した所定の量のパルス圧縮データとして、補間部9と参照信号生成部10とへ入力していた。
図6は、図5と同様に、受信信号と再生画像の関係を示す図である。図6では、網掛けの受信信号に含まれる情報が寄与する再生画像の全ての点を示す。
【0018】
しかし、受信信号が入力されると、つまり、図5(a)の縦1列の信号が入力されると、再生画像の点毎に、その受信信号からその点の再生に寄与する寄与データを抽出することが可能である。すなわち、補間部9は、各円弧状の信号が含まれるパルス圧縮データが入力されることを待つことなく補完処理を行い、寄与データを抽出することが可能である。これは、移動プラットフォームと再生画像の各点との間の距離を運動情報から得られるためである。つまり、移動プラットフォームと再生画像の各点との間の距離から、受信信号に含まれる情報のどの情報が再生画像のある点の再生に寄与するかを判断できるためである。すなわち、図5(a)の網掛けの升の受信信号が入力されると、直ちに、その受信信号から再生画像の網掛けの部分の再生に寄与する寄与データを、再生画像の点毎に計算可能である。これを利用して処理の順序を改良することができる。
【0019】
図7は、処理の順序を改良した画像再生装置1の機能ブロック図である。
図7に示す画像再生装置1は、図1に示す画像再生装置1と同様の機能を備える。しかし、図7に示す画像再生装置1の画像再生処理部7は、図1に示す画像再生装置1の画像再生処理部7とは処理順序が異なる。
図7に示す画像再生装置1は、データ入力部6が画像再生処理部7へ入力したパルス圧縮データを遅延部8が遅延させることなく、補間部9へ入力する。また、動揺センサ3が入力した運動情報を遅延部8が遅延させることなく、補間部9と参照信号生成部10とへ入力する。つまり、データ入力部6がパルス圧縮データを入力し、動揺センサ3が運動情報を入力する度に、補間部9は補完処理を行うとともに、再生画像に含まれる点(エリアの一例)の再生に寄与する寄与データを点毎に抽出する。また、動揺センサ3が運動情報を入力する度に、参照信号生成部10は参照データを生成する。そして、補間部9が寄与データを抽出し、参照信号生成部10が参照データを生成する度に、乗算部11は寄与データと参照データとを乗算して乗算データを生成する。乗算部11が乗算データを生成すると、遅延部8は再生画像の各点の再生に必要な乗算データが揃うまで加算部12への入力を遅延させる。そして、遅延部8は、再生に必要な乗算データが揃った点の乗算データから加算部12へ入力する。乗算データが入力されると、加算部12は加算を行い、その点の再生画像を生成する。そして、全ての点の再生画像が生成されると、加算部12は各再生画像を統合して観測対象範囲全体の再生画像を生成する。
【0020】
ここで、加算部12は加算処理を行うだけであるため、遅延部8で遅延させた信号が全て揃うことを待つ必要はない。つまり、乗算部11が乗算データを入力する度に、加算部12が加算処理を行うことが可能である。すなわち、図7に示す画像再生装置1の画像再生処理部7は、遅延部8を備える必要はない。したがって、図7に示す画像再生装置1は、パルス圧縮データが入力された場合には、何ら処理を遅延させることなく再生画像を生成することが可能である。
【0021】
図8に基づき、以上で説明した画像再生処理をまとめる。図8は、処理順序を改良した画像再生装置1の画像再生処理を示すフローチャートである。
(S201)から(S204)までは、図4に示す(S101)から(S104)までと同様である。
補間処理(S205)では、(S203)と(S204)とでパルス圧縮データと運動情報とが入力される度に、補間部9が入力されたパルス圧縮データの補間を行い補間データを生成するとともに、再生画像の各点の再生に寄与する受信エコー(寄与データ)を点毎に抽出する。
参照データ生成処理(S206)では、(S204)で運動情報が入力される度に、参照信号生成部10が例えば式2に基づき参照データを生成する。
乗算処理(S207)では、(S205)で受信エコーが抽出され、(S206)で参照データが生成される度に、乗算部11が受信エコーと参照データとを乗算して乗算データを生成する。
遅延処理(S208)では、遅延部8が(S207)で生成された乗算データの加算部12への入力を遅延させ、各点の再生に寄与する受信エコーを同時に加算部12へ入力する。
加算処理(S209)では、加算部12が同一の点の再生画像の生成に寄与する受信エコーから生成された乗算データを加算して点毎に画像を再生する。そして、全ての点の再生をすることにより、再生画像を生成する。
(S210)は、図4の(S111)と同様である。
なお、上述したように、加算部12は加算処理を行うだけであるため、遅延処理(S208)を行わなくても構わない。つまり、(S207)で乗算データが生成される度に、加算処理(S209)で加算部12が乗算データを加算するとしても構わない。
【0022】
図1に示す画像再生装置1の構成では、補間部9と参照信号生成部10とは、遅延部8からの入力データを処理に必要な分だけ蓄積してから、以降の処理を行う必要があった。つまり、図1に示す画像再生装置1の構成では、所定の時間、入力データ待ちの状態が発生していた。
これに対して、図7に示す画像再生装置1の構成では、入力データを蓄積せず、データが入力される度に処理を進めることが可能である。そのため、再生画像を生成するまでの時間を短縮することができる。
【0023】
図9は、図7に示す画像再生装置1による処理時間を短縮する効果を示す概念図である。
図1に示す画像再生装置1は、パルス圧縮データや運動情報のデータ取得処理(S101−S106)にt時間を要する。そして、t時間経過後、蓄積したデータに基づき、再生画像を生成する処理(S107−S110)を行い、t時間を要する。したがって、図1に示す画像再生装置1がデータの入力から再生画像の生成までに、t+t時間を要する。
図7に示す画像再生装置1は、図1に示す画像再生装置1と同様に、パルス圧縮データや運動情報のデータ取得処理(S201−S204)にt時間を要する。しかし、パルス圧縮データや運動情報の入力処理(S201−S204)とほぼ平行して、再生画像を生成する処理(S205−S209)を行うことができる。したがって、パルス圧縮データや運動情報の入力処理(S201−S204)と、再生画像を生成する処理(S205−S209)とを平行して行うことができる時間tだけ処理時間を短縮することができる。
【0024】
また、図1に示す画像再生装置1は、入力されたデータを蓄積する必要があるため、大容量の記憶装置が必要であった。しかし、図7に示す画像再生装置1は、入力されたデータを随時処理するため、データを蓄積する必要がない。したがって、大容量の記憶装置を必要としない。
【0025】
以上のように、この実施の形態に係る画像再生装置1によれば、画像再生処理の時間を短縮することができる。この実施の形態に係る画像再生装置1によれば、メモリ等の記憶装置の容量を削減することができる。
【0026】
実施の形態2.
この実施の形態では、実施の形態1に係る画像再生装置1よりも、さらに処理時間を短縮したバックプロジェクションアルゴリズムを実行する画像再生装置1について説明する。
この実施の形態に係る画像再生装置1は、一度に再生する点の数を制限することにより、キャッシュメモリ以外のメモリ(記憶装置)を使用せず再生画像を生成する。キャッシュメモリ以外のメモリを使用しないため、画像再生処理の処理時間を短縮できる。
【0027】
図10は、この実施の形態に係る画像再生装置1の機能を示す機能ブロック図である。
図10に示す画像再生装置1は、図7に示す画像再生装置1が備える機能に加え、さらに、分割範囲設定部14(キャッシュメモリ割当部)を備える。
分割範囲設定部14は、補間部9、参照信号生成部10、乗算部11に対し、キャッシュメモリを処理装置により割り当てる。ここで、画像再生装置1は、一般的なコンピュータと同様に、メモリよりも処理速度の速いキャッシュメモリを備える。キャッシュメモリは、再生画像を生成する過程において発生するデータを記憶する記憶装置である。
【0028】
実施の形態1に係る画像再生装置1は、使用するメモリを少なくできる。しかし、この実施の形態に係る画像再生装置1の分割範囲設定部14は、補間部9、参照信号生成部10、乗算部11が再生画像を生成するために使用するキャッシュメモリの容量を計算し、画像再生装置1が備えるキャッシュメモリの記憶容量以下で補間部9、参照信号生成部10、乗算部11が再生画像を生成可能となるように、一度に処理する点数(エリア)を決定する。つまり、観測対象範囲の再生画像を生成する際に発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量を超える場合には、発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量以下となるサイズに観測対象範囲を分割して複数の分割範囲を処理装置により設定する。そして、補間部9、参照信号生成部10、乗算部11にキャッシュメモリを割り当て、再生画像を生成する過程でキャッシュメモリ以外のメモリを使用しないように制限する。つまり、補間部9、参照信号生成部10、乗算部11は、メモリとしてキャッシュメモリだけを使用して再生画像の生成を行う。
キャッシュメモリのみで計算することにより、演算をより高速化でき、再生画像を生成するまでにかかる処理時間を短縮することができる。
【0029】
図11に基づき、以上で説明した画像再生処理をまとめる。図11は、キャッシュメモリ以外のメモリを使用しない画像再生装置1の画像再生処理を示すフローチャートである。
(S301)から(S304)までは、図4に示す(S201)から(S204)までと同様である。
(S305)では、分割範囲設定部14が観測対象範囲の再生画像を生成する際に発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量を超えるか否かを判断する。発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量を超える場合には、分割範囲設定部14は、発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量以下となるサイズに観測対象範囲を分割して複数の分割範囲を設定する。発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量を超える場合には、観測対象範囲を分割せず処理を進める。この場合、観測対象範囲全体を分割範囲として以下の処理を実行する。
以下、分割範囲設定部14が設定した分割範囲1つずつ順番に対して以下の(S306)から(S311)までの処理を行う。ここで、(S306)から(S311)までは、(S205)から(S210)までと同様である。つまり、補間部9、参照信号生成部10、乗算部11、加算部12は、分割範囲設定部14が設定した1つの分割範囲の再生画像を生成して、合成開口レーダ画像記憶部13が再生画像を記憶する。
つまり、補間部9は、入力されたパルス圧縮データの補間を行い、補間データを生成するとともに、分割範囲設定部14が設定した複数の分割範囲の所定の分割範囲を再生範囲として、再生範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する受信エコーを抽出する。乗算部11は、補間部9が抽出した受信エコーを参照データと乗算して乗算データを生成する。加算部12は、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから乗算部11が生成した乗算データを加算して上記再生範囲の再生画像を生成する。
【0030】
(S312)では、分割範囲設定部14が全ての分割範囲の再生画像を生成したか否かを判定する。全ての分割範囲の再生画像を生成した場合(S312でYes)、(S313)へ進む。一方、全ての分割範囲の再生画像を生成していない場合(S312でNo)、(S306)と(S307)とへ戻り、次の分割範囲の再生画像を生成する。
(S313)では、加算部12が各分割範囲の再生画像を統合して、観測対象範囲全体の再生画像を生成する。
(S314)では、合成開口レーダ画像記憶部13が観測対象範囲全体の再生画像を記憶する。
【0031】
なお、加算部12は、単なる加算処理を行うのみであり、例えば加算回路であるため、メモリを使用することはない。そのため、分割範囲設定部14は、加算部12を考慮せずに分割範囲を定めていた。しかし、加算部12がメモリを使用するのであれば、分割範囲設定部14は、加算部12によるキャッシュメモリの使用量も考慮して、再生画像を生成する際に発生するデータがキャッシュメモリの記憶容量以下となるサイズの分割範囲を設定する。そして、分割範囲設定部14は、補間部9、参照信号生成部10、乗算部11だけでなく、加算部12にもキャッシュメモリを割り当てる。
また、上記説明では、キャッシュメモリと、メモリとを備えていることを前提として説明したが、上記キャッシュメモリとは、速度の速い記憶装置の意味であり、メモリとは、キャッシュメモリよりも処理速度の遅い記憶装置の意味である。つまり、例えば、上記キャッシュメモリをハードディスクドライブとして、メモリを磁気テープ装置として読み替えても構わない。
【0032】
また、上記説明では、分割範囲設定部14が定める分割範囲は、観測対象範囲から選択された所定の数の点である。つまり、観測対象範囲に含まれる点のうち、離れた位置の点を1つの分割対象範囲としても構わない。
また、上記説明では、観測対象範囲の再生画像を生成するとした。しかし、観測対象範囲全体の再生画像を再生するのではなく、観測対象範囲の一部の再生対象範囲の再生画像を再生するとしても構わない。つまり、合成開口レーダ装置が観測を行うのが観測対象範囲であり、画像再生装置1が再生画像を生成するのが再生対象範囲である。
【0033】
次に、上記実施の形態におけるのハードウェア構成について説明する。
図12は、画像再生装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、画像再生装置1は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、タッチパネル902、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。また、CPU911には、キャッシュメモリが内蔵されている。
【0034】
ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。RAM914、キャッシュメモリは、揮発性メモリの一例である。ROM913とRAM914とは、記憶装置の一例である。通信ボード915とタッチパネル902とは、入力装置の一例である。また、通信ボード915は、出力装置の一例である。さらに、通信ボード915は、通信装置の一例である。また、さらに、LCD901は、表示装置の一例である。
【0035】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0036】
上記プログラム群923には、上記の説明において「動揺センサ3」、「信号送受信部4」、「パルス圧縮部5」、「データ入力部6」、「画像再生処理部7」、「遅延部8」、「補間部9」、「参照信号生成部10」、「乗算部11」、「加算部12」、「合成開口レーダ画像記憶部13」、「分割範囲設定部14」等として説明した機能を実行するプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において、「受信信号」、「パルス圧縮データ」、「補間データ」、「寄与データ」、「参照データ」、「乗算データ」、「再生画像」等として説明した情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース」の各項目として記憶される。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0037】
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】バックプロジェクションアルゴリズムにより画像を再生する一般的な構成の画像再生装置1の機能ブロック図。
【図2】合成開口レーダ装置による観測処理の概念図。
【図3】バックプロジェクションアルゴリズムの動作概念図。
【図4】画像再生装置1の画像再生処理を示すフローチャート。
【図5】受信信号と再生画像の関係を示す図。
【図6】受信信号と再生画像の関係を示す図。
【図7】処理の順序を改良した画像再生装置1の機能ブロック図。
【図8】処理順序を改良した画像再生装置1の画像再生処理を示すフローチャート。
【図9】処理時間を短縮する効果を示す概念図。
【図10】実施の形態2に係る画像再生装置1の機能を示す機能ブロック図。
【図11】キャッシュメモリ以外のメモリを使用しない画像再生装置1の画像再生処理を示すフローチャート。
【図12】画像再生装置1のハードウェア構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 画像再生装置、2 アンテナ、3 動揺センサ、4 信号送受信部、5 パルス圧縮部、6 データ入力部、7 画像再生処理部、8 遅延部、9 補間部、10 参照信号生成部、11 乗算部、12 加算部、13 合成開口レーダ画像記憶部、14 分割範囲設定部、901 LCD、902 タッチパネル、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動するプラットフォームに搭載された合成開口レーダが観測対象範囲を観測して取得したパルスデータから上記観測対象範囲の再生画像を生成する画像再生装置であり、
合成開口レーダが一連の観測により取得した複数のパルスデータをレンジ方向に圧縮して生成された複数のパルス圧縮データを所定の順序で入力するデータ入力部と、
上記データ入力部がパルス圧縮データを入力する度に、上記観測対象範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データを上記パルス圧縮データから抽出する寄与データ抽出部と、
上記寄与データ抽出部が寄与データを抽出する度に、上記プラットフォームの移動情報に基づき生成された参照データと、上記寄与データとを乗算して乗算データを生成する乗算部と、
上記乗算部が乗算データを生成する度に、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから生成された乗算データを加算してエリア毎に画像を再生し、再生画像を生成する加算部と
を備えることを特徴とする合成開口レーダ画像再生装置。
【請求項2】
上記合成開口レーダ画像再生装置は、さらに、
再生画像を生成する際に発生するデータを記憶するキャッシュメモリと、
上記観測対象範囲の再生画像を生成する際に発生するデータが上記キャッシュメモリの記憶容量を超える場合には、発生するデータが上記キャッシュメモリの記憶容量以下となるサイズに上記観測対象範囲を分割して複数の分割範囲を設定する分割範囲設定部とを備え、
上記寄与データ抽出部は、上記分割範囲設定部が設定した複数の分割範囲の所定の分割範囲を再生範囲として、上記再生範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データを抽出し、
上記乗算部は、上記寄与データ抽出部が抽出した寄与データを参照データと乗算して乗算データを生成し、
上記加算部は、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから上記乗算部が生成した乗算データを加算して上記再生範囲の再生画像を生成するとともに、上記複数の分割範囲の全ての分割範囲の再生画像を生成した場合には、上記複数の分割範囲の各分割範囲の再生画像を統合して再生画像を生成し、
上記寄与データ抽出部は、上記画像再生部が上記複数の分割範囲の全ての分割範囲の再生画像を生成していない場合には、上記複数の分割範囲の中の再生画像が生成されていない所定の分割範囲を再生範囲として、上記再生範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データを抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の合成開口レーダ画像再生装置。
【請求項3】
移動するプラットフォームに搭載された合成開口レーダが観測対象範囲を観測して取得したパルスデータから上記観測対象範囲の再生画像を生成する合成開口レーダ画像再生プログラムであり、
合成開口レーダが一連の観測により取得した複数のパルスデータをレンジ方向に圧縮して生成された複数のパルス圧縮データを所定の順序で入力するデータ入力処理と、
上記データ入力処理でパルス圧縮データを入力する度に、上記観測対象範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データを上記パルス圧縮データから抽出する寄与データ抽出処理と、
上記寄与データ抽出処理で寄与データを抽出する度に、上記プラットフォームの移動情報に基づき生成された参照データと、上記寄与データとを乗算して乗算データを生成する乗算処理と、
上記乗算処理で乗算データを生成する度に、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから生成された乗算データを加算してエリア毎に画像を再生し、再生画像を生成する加算処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする合成開口レーダ画像再生プログラム。
【請求項4】
移動するプラットフォームに搭載された合成開口レーダが観測対象範囲を観測して取得したパルスデータから上記観測対象範囲の再生画像を生成する合成開口レーダ画像再生方法であり、
合成開口レーダが一連の観測により取得した複数のパルスデータをレンジ方向に圧縮して生成された複数のパルス圧縮データを所定の順序で入力される度に、処理装置が、上記観測対象範囲に含まれる所定のエリア毎に、そのエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データを上記パルス圧縮データから抽出する寄与データ抽出ステップと、
上記寄与データ抽出ステップで寄与データを抽出する度に、処理装置が、上記プラットフォームの移動情報に基づき生成された参照データと、上記寄与データとを乗算して乗算データを生成する乗算ステップと、
上記乗算ステップで乗算データを生成する度に、処理装置が、同一のエリアの再生画像の生成に寄与する寄与データから生成された乗算データを加算してエリア毎に画像を再生し、再生画像を生成する加算ステップと
を備えることを特徴とする合成開口レーダ画像再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate