説明

合成雲母ベースのフェライト含有真珠光沢顔料

真珠光沢顔料は、(a)合成雲母基材と、(b)該基材に対するか焼されたフェライト被膜と、(c)外側層又は処理層と、を含み、且つ外側層又は処理層を、水中においてか焼されたフェライト被覆合成雲母に添加したことを特徴とする。真珠光沢顔料は、屋外の用途、例えば自動車用塗料系において使用されても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係属中の2006年7月21日出願の米国特許仮出願第60/820099号及び2006年10月11日出願の米国特許仮出願第60/829018号並びに2007年7月21日出願の米国特許出願第11/781249号の優先権を主張し、これらの全体を引用することによって本願の内容に組み込む。
【0002】
本発明は、真珠光沢顔料に関する。特に、本発明は、良好な安定性及び良好な光沢を有する金属酸化物被覆真珠光沢顔料に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの公知の真珠光沢のある又は真珠層を有する顔料は、金属酸化物層が被覆された雲母状又は他の層状の基材を基礎とする。光の反射及び屈折の結果、かかる顔料は、真珠様の光沢を示す。金属酸化物層の厚さに応じて、顔料は、干渉色彩効果を示すこともある。この種の顔料に関する十分な記載が、米国特許第3087828号及び第3087829号において見出され得る。
【0004】
商業ベースで屡々遭遇される殆どの真珠光沢顔料は、二酸化チタン被覆雲母及び酸化鉄被覆雲母の真珠光沢顔料である。また、金属酸化物層をオーバーコートしても良いことも周知である。例えば、上記の米国特許第3087828号は、TiO2に対するFe23の堆積を記載すると共に、米国特許第3711308号は、二酸化チタン及び/又は二酸化ジルコニウムがオーバーコートされた雲母に対して、酸化チタン及び酸化鉄の混合層を含む顔料について記載している。
【0005】
酸化物の被膜は、雲母粒子の表面に堆積される薄膜の形である。これにより得られる顔料は、薄膜の光学特性を有するので、顔料により映し出される色彩は、被膜の厚さに応じて異なる光の干渉から生じる。
【0006】
酸化鉄は、固有の赤色を有するので、かかる酸化物で被覆される雲母は、反射色及び吸収色の両方を有し、前者の反射色は、干渉より得られ、後者の吸収色は、光の吸収により得られる。反射色は、黄色から赤色まで亘り、そして顔料は、“ブロンズ”、“銅”、“茶褐色”等と称されるのが一般的である。顔料は、多くの目的、例えばプラスチック及び化粧品への組み込み、並びに野外用途、例えば自動車用塗料に使用される。
【0007】
フェライト含有の真珠光沢顔料についても知られている。例えば、米国特許第5344488号及びDE4120747は、酸化鉄が被覆された雲母小板に酸化亜鉛を堆積する方法を記載している。米国特許第5344488号では、従来の酸化亜鉛/雲母顔料の課題、すなわち凝集する傾向を回避し、そして良好な皮膚適合性、抗菌作用、有利な光吸収特性及び表面色を得るために、酸化亜鉛層を、予め調製された金属酸化物被覆プレート様基材に対して施すことを記載している。か焼された場合、小さな針状クリスタライトが、表面層に対してランダムに分散されるので、これにより得られる亜鉛フェライト層は、完全に連続的ではない。特許文献は、連続層において酸化亜鉛で完全に被覆された望ましくない基材、すなわちクリスタライトを含む層で被覆された基材は、僅かに凝集する傾向を示すことを記載している。
【0008】
真珠光沢顔料の品質は、雲母基材における被膜の平滑又は連続性に応じて異なるのが一般的である。顔料の品質は、被膜の不連続性の増大と共に急激に低下する。上記の米国特許第5344488号は、不連続性が凝集を回避するための本質的要素であることを示している。従って、使用可能な顔料を得るために、品質を犠牲にする必要がある。
【0009】
Nittaによる米国特許第4828623号は、酸化チタン被覆雲母の真珠光沢顔料の耐水性を増大させる方法について開示し、顔料は、次亜リン酸塩の存在下で形成される水和された酸化ジルコニウムでベース材料を被覆することにより、アルミニウム処理されていても又はされていなくても良い。その後、かかる顔料を、シランカップリング剤で処理しても良い。
【0010】
しかしながら、Nittaは、その後の特許、すなわち米国特許第5223034号において、このように作製された顔料は、屋外暴露試験及び加速耐候性試験において有効ではないことを指摘している。従って、その後の特許では、水和されたコバルト、マグネシウム又はセリウムの酸化物で先願の生成物をオーバーコートしている。
【0011】
屡々、金属酸化物被覆基材をか焼し、その後、水中において更に加工して、別の被膜を加える。一例は、外部使用の真珠光沢顔料であって、アルミニウム又はアルミニウム−セリウムと加水分解されたシランカップリング剤との組み合わせでの処理によって、金属酸化物被覆雲母の耐湿性及び耐候性を改良した真珠光沢顔料を開示する同一出願人の米国特許第5759255号である。かかるオーバーコートは、水性系において金属酸化物被覆雲母を分散させることによって施される。
【0012】
本発明者等は、本発明者等による米国特許第6139615号で開示されるか焼されたフェライト又は酸化鉄被覆天然雲母が、水性系において安定ではなく、その結果、天然の雲母が剥離し、及び/又はフェライト又は酸化鉄の被膜が、コーティング処理中に天然雲母から分離することを発見した。
【0013】
図4〜5は、外側層処理することなく、850℃の条件下で20分間に亘ってか焼された酸化鉄被覆天然雲母を示している。図4は、20000倍の拡大図であり、サンプルは、割れ目を示し、そして酸化鉄被膜は、天然雲母から剥離している。図5は、60000倍の拡大図であり、サンプルは、凸凹な酸化鉄被膜を示している。
【0014】
Topyによる米国特許第5741355号は、酸化鉄を合成雲母に被覆することが可能であることを教示している。Sun Chemical's SunShine社の製品は、TiO2と、必要によりFe23、カルミン又は紺青で被覆される合成フルオロ金雲母を含む。殆どの銘柄は、9〜45、20〜95、40〜250及び95〜730ミクロンの粒径分布で入手可能である。Sun Chemical's SunShine Crystal社の製品は、TiO2及び/又はFe23で被覆された合成雲母を含む。かかる顔料は、25〜150ミクロンの粒径分布を有する。Sun Chemicalによる米国公開第2005/0142084号は、被覆された合成雲母から作製され、且つ粒径が150〜1000ミクロンである真珠層顔料を含む化粧品を開示している。
【0015】
DuPontによる米国特許第3087828号の実施例では、合成金雲母基材を二酸化チタンで被覆している。か焼工程については、記載されていない。
【0016】
Li Teiqing等による"Preparation of Synthetic Mica Pearly Luster Pigment", Journal of Synthetic Crystals, 第19巻, No.2, 166-171頁(1990年5月)では、二酸化チタンで被覆されるフルオロ金雲母を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3087828号
【特許文献2】米国特許第3087829号
【特許文献3】米国特許第3711308号
【特許文献4】米国特許第5344488号
【特許文献5】DE4120747
【特許文献6】米国特許第4828623号
【特許文献7】米国特許第5223034号
【特許文献8】米国特許第5759255号
【特許文献9】米国特許第6139615号
【特許文献10】米国特許第5741355号
【特許文献11】米国公開第2005/0142084号
【特許文献12】米国特許第3087828号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Journal of Synthetic Crystals, 第19巻, No.2, 166-171頁(1990年5月)
【発明の概要】
【0019】
外側層を処理する前に、改良された水安定性を有する顔料により、耐湿性及び耐候性等が改良されるのが望ましい。
【0020】
〔発明の概要〕
本発明者等は、水において再スラリーされ得る真珠光沢顔料を開発することによって上述の課題に対する解決法を見出した。顔料は、板状の合成基材、例えば合成雲母を有する。基材に対して、少なくともフェライト又は酸化鉄層及び外側層を被覆して、例えば耐候性及び耐湿性を与える。か焼されたフェライト被覆合成雲母基材は、か焼されたフェライト被覆天然雲母基材より良好な水安定性を有し、そして水性系において外側層の塗布等の後処理を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、合成雲母ベースの顔料に対して行われた安定性試験の結果を示すグラフであり、
【図2】図2は、天然雲母ベースの顔料に対して行われた安定性試験の結果を示す比較グラフであり、
【図3】図3は、水安定性試験の前における合成雲母ベースの顔料と天然雲母ベースの顔料との間の品質を比較するグラフであり、
【図4】図4は、か焼された酸化鉄被覆天然雲母を示し、
【図5】図5は、か焼された酸化鉄被覆天然雲母を示し、
【図6】図6は、か焼された酸化鉄被覆合成雲母を示し、
【図7】図7は、か焼された酸化鉄被覆合成雲母を示し、
【図8】図8は、本発明の、外側層被覆されたフェライト被覆合成雲母を示している。
【図9】図9は、本発明の、外側層被覆されたフェライト被覆合成雲母を示している。
【図10】図10は、本発明の、外側層被覆されたフェライト被覆合成雲母を示している。
【図11】図11は、本発明の、外側層被覆されたフェライト被覆合成雲母を示している。
【0022】
〔発明の詳細な説明〕
合成雲母:本発明によると、板状の基材を有する真珠光沢顔料が提供される。板状基材は、非剥離性基材(non-delaminating substrate)、例えば合成雲母である。基材は、少なくともフェライト−又は鉄−酸化物/水酸化物層で被覆され、そして顔料には、水性系で施される外側層が設けられて、何らかの形の環境安定性を有する顔料を提供する。本発明の顔料において合成基材を使用することにより、水安定性が改良される。顔料は、特に、水性系で施される外部トリートメント(exterior treatment)に対して有用である。
【0023】
上述したように、本発明で用いられる板状基材は、合成雲母である。
【0024】
合成雲母は、フルオロ金雲母(fluorophlogopite)であることが望ましい。
【0025】
実施形態において、フルオロ金雲母は、Shantou F. T. Z. Sanbao Pearl Luster Mica Tech Co., Ltd., (広東省、中国)から市販されている。フルオロ金雲母、すなわちKMg3AlSi3102は、湿式法プロセス(wet method process)によって作製される湿式プロセスフルオロ金雲母粉末である。Sanbaoのフルオロ金雲母は、SEM測定法によって測定される0.4〜1.3ミクロンの平均厚さを有する。かかる湿式プロセスは、中国特許公開第1693200号(CN1693200A)に記載されている。中国特許公開CN1693199Aは、湿式法によって合成される雲母粉末を正確に分離する方法を開示する関連特許である。両方の特許の出願人は、Sanbaoguangjing Mica Sci. & Tec.であり、これらの特許は、引用することによって本願の内容に組み込まれる。
【0026】
湿式プロセスは、多くの工程で媒体として水を使用する製造方法を称する。第1に、雲母粉末を高圧ウォータポンプに通過させて、水圧破壊し、その後、脱水のため遠心分離し、次に、摩砕のためローラーミルし、そしてパルプ状にする。ローラーミルに雲母を通過させた後、雲母を、分類プールに給送し、最終的に、乾燥ストーブ又は炉に給送して、雲母における水分含有量が1%未満のなるまで焼く。これにより製造されるフルオロ金雲母は、合成雲母におけるプラスの性質、例えば光度、非腐食性及び有害な物質、例えばHg、Pb、Asの不存在を有する。他の顕著な品質特性としては、高い純度、高い色度(98.7%)、低いFe含有量(<0.2%)及び滑らかな表面(平均粗さ濃度(average roughness concentration)は<10mm)である。
【0027】
金属酸化物:合成基材は、スズの酸化物/水酸化物を有しても又は有していないフェライト又は鉄の酸化物/水酸化物で被覆される。フェライトは、酸化鉄と他の金属酸化物、例えば酸化亜鉛との二重酸化物である。フェライトは、式MFe24(但し、Mが、例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、マンガン、マグネシウム、コバルトニッケル、銅等の2価の状態で存在可能な金属のいずれか又はかかる金属の混合物である。)に従うのが一般的である。本発明の真珠光沢顔料は、金属Mの供給源を、鉄化合物及び板状基材、例えばフルオロ金雲母と組み合わせて、鉄及び金属Mの両方を基材に対して堆積させ、その後、鉄及び金属Mを共か焼することによって作製される。水和した鉄化合物の堆積は、金属供給源の添加の前(好ましい)、添加中又は添加後に行われ得る。
【0028】
酸化鉄被覆合成雲母の真珠光沢顔料の調製は、当該分野で周知の天然真珠光沢顔料の被覆方法に類似し、かかる方法を、本願の明細書に詳細に記載する必要はない。大きく見ると、鉄の供給源を、合成雲母基材と組み合わせて、スラリー、通常は水系(aqueous)を形成し、そして反応条件は、水和鉄化合物が合成雲母基材に堆積され、次に、加水分解するように調節される。系のpHを塩基性の値に調節するのは、通常、混合物に塩基を添加することによって達成される。典型的な塩基としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを含む。かかる方法は、所望により蒸気相でも行われ得る。本発明の一の実施形態において、SiO2及び/又はSnO2を、鉄の被膜と基材の間に堆積させることが可能であり、そして連続又は不連続な被膜又は層であっても良い。かかるSnO2の添加は、20nm未満の厚さであっても良く、これにより光学的に不活性な層又は被膜となる。SnO2の厚さに拘わらず、添加したものは、接着剤又は層平滑剤(layer smoother)としての役割を果たすことが可能である。
【0029】
酸化鉄被覆合成雲母をか焼する前は何時でも、金属Mの供給源を、反応材料と組み合わせて、フェライトを形成することが可能である。金属の供給源により、フェライト被膜の形成を妨害しないか、又はクリスタライトを形成しない限り、任意の金属の供給源を使用することが可能である。例えば、金属酸化物、金属塩、例えば塩化物又は硫酸塩等、又は金属錯体であっても使用することが可能である。合成雲母がスラリーの水性形態で存在する場合、金属塩は、水溶性の金属塩であるのが好ましい。金属供給源を添加するのが一般的であり、そして水和鉄化合物が既に堆積された後に、金属は基材に対して堆積する。しかしながら、所望により、水和鉄化合物により、合成雲母基材又はSiO2及び/又はSnO2被覆合成基材に堆積させる前に、金属を添加することが可能である。鉄及び金属を堆積させた後、これにより被覆された基材を、従来の方法で洗浄及び/又はか焼する。か焼の目的は、フェライト層を形成し、そしてフェライト層の密度を高めることである。典型的なか焼時間は、1時間である。か焼は、約1000℃以下で行われても良い。本発明の各々の層は、別個の層で基材に対して被覆されるか、或いは各層は、先の層又は基材を包むことが可能である。
【0030】
水性加工:本発明のか焼されたフェライト被覆合成雲母顔料を、その後、水に添加するか、又は水においてスラリーにして、更に加工する。更なる加工の例示は、屋外用コーティングの塗布、色素層(colorant layer)の塗布、表面変性(例、疎水化処理)、粉末コーティング用サイクロ処理、及び化粧品の用途用アミホープ(Amiphope)処理を含む。
【0031】
本発明の顔料について、顔料に外側層を堆積することにより後処理を行う。外側層は、先の層と連続する層として堆積されるか、又は顔料の周囲を包む層として設けられても良い。外側層により、特に合成雲母基材を使用する場合に耐湿性及び耐光性が改善される。同一出願人による米国特許第5759255号では、かかる外側のコーティング剤を記載し、その全体を引用することによって本願の内容に組み込まれる。例えば、耐候安定性を与えるのに好適で、有用なコーティング剤としては、シランカップリング剤、例えばアミノシラン、アルコキシシラン及びアミノアルコキシシラン、並びにシランカップリング剤と金属酸化物、例えば酸化アルミニウム又はアルミニウム−セリウムの酸化物及び他の金属酸化物/水酸化物との組み合わせを挙げられる。
【0032】
金属酸化物被覆雲母顔料を水和アルミニウムの酸化物でのコーティングそれ自体は、当該分野で公知であり、本願発明において、本発明の金属酸化物被覆合成雲母基材の被覆で使用される。かかる方法は、例えば米国特許第5091011号に記載され、その開示内容は、引用することによって本願の内容に組み込まれる。手短に言えば、顔料は、水において撹拌することによって分散され、その後、アルミニウム化合物、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム又は硫酸アルミニウムカリウム、及び中和剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア又は尿素を、水溶液として同時に添加する。これによる加水分解により、水和酸化物を基材に対して堆積させる。上述したように、アルミニウム化合物は、平滑な連続層を小板において形成可能となるのに十分にゆっくりと添加される必要があり、そして速度は、1gの顔料当たり、1分間に約0.03〜0.1mgのAlの範囲内とする必要があり、好ましくは約0.005〜0.07mgのAl/分/1gの顔料である。顔料の合計質量に対して、約0.05〜1.2%のアルミニウム、好ましくは約0.1〜0.8%のアルミニウムを含む水和アルミニウム酸化物被覆を形成するような量のアルミニウム化合物溶液を使用する。アルミニウムの濃度が約1.2%を超える顔料は、より低い濃度と比較して、安定性の点で有効ではない。被膜の堆積後、生成物をろ過し、水洗し、そして適切な温度条件下で乾燥する。水和アルミニウム酸化物をか焼するのに十分に高い温度の使用は、回避される必要がある。
【0033】
酸化鉄被覆雲母の真珠光沢顔料に、水和されたセリウム及びアルミニウムの酸化物の組み合わせによる被膜をコーティングすることも、それ自体公知である。例えば、同一出願人の米国特許第5423912号に記載され、その開示内容は、引用することによって本願の内容に組み込まれる。手短に言えば、真珠光沢顔料は、セリウム及びアルミニウムを顔料の表面に対して容易に沈殿させることが可能である液体の形で分散される。これは、水性分散液であるのが適切であり、そして好ましい。分散液における固体の顔料は、約5〜30%を含むのが一般的であり、約10〜20%を含むのが好ましく、そしてセリウム及びアルミニウムは、液体媒体に対して溶解性である塩の形で、分散液に対してそれぞれ添加される。他の塩を使用可能であるものの、ニトレート塩が望ましい。また、顔料の合計質量に対して、質量%のセリウムとして計算される約0.1〜1.5%の水酸化セリウム、更に好ましくは0.2〜0.6%の水酸化セリウム、及び質量%のアルミニウムとして計算される約0.1〜1質量%、更に好ましくは0.2〜0.6%の水酸化アルミニウムを堆積するのが望ましい。塩を、スラリーに対して、個々にいずれかの順番で添加し、そして沈殿させるか、或いは好ましくは、同時に添加し、そして沈殿させることが可能である。沈殿は、pHを、約5を超える値、好ましくは約5.5〜7.5の値に上昇させることによって制御される。沈殿工程の後、処理された真珠光沢生成物を、従来の手段、例えばろ過、遠心分離又は沈降によって分散液から分離し、洗浄し、そして乾燥する。
【0034】
アルミニウム−又はアルミニウム−セリウム−処理金属酸化物被覆雲母の真珠光沢顔料を、加水分解されたシランカップリング剤又はかかる試薬の混合物で更に処理する。かかる試薬は、公知のように、有機材料と無機材料との間の界面として作用して、これらの間の親和性を高める化合物である。従って、シランカップリング剤は、有機官能基と、ケイ素に対して直接的又は間接的に結合するケイ素官能基の両方を有するのが一般的である。ケイ素官能基は、アルコキシ基であるのが一般的であり、好ましくはC1-4アルコキシ基、例えばジメトキシ、ジエトキシ、トリメトキシ、及びトリエトキシである。有用な有機官能基の例示は、アミノプロピル、グリシドオキシプロピル、メタアクリルオキシプロピル、イソシアナトプロピル、及びビニルである。
【0035】
本発明で使用され得るシランカップリング剤の例は、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアシリルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−メタアシリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]アンモニウムクロリド、γ−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチル−ジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等である。
【0036】
シランカップリング剤は、使用中に顔料と組み合わせられるであろうコーティングビヒクル(coating vehicle)における有機材料に好適となるように選択される必要がある。有機材料がポリエステルである場合、有機官能基は、メタクリル基を含むのが好ましい。ウレタンである場合、アミノ官能性カップリング剤が望ましい。アクリル酸ビヒクルの場合、アミノエチル、アミノプロピル、メタクリルオキシプロピル、及びグリシドアロキシプロピルトリメトキシシランが適当である。最近の結果では、アミノ及び非アミノカップリング剤の組み合わせにて、最適の結果が生じることが指摘されている。
【0037】
顔料は、乾式又は湿式混合によってシランカップリング剤で処理される。例えば、試薬を水に溶解した水溶液か、試薬を水と有機溶剤の混合物に溶解した水溶液を、真珠光沢顔料の水性スラリーに添加することが可能である。シランは、例えば、カップリング剤を水において、適当な時間に亘って撹拌することによって、予備加水分解されるのが好ましい。また、混合時に加水分解することも可能である。一般に、100質量部の処理される顔料に対して、約0.1〜10質量%、好ましくは約0.25〜5質量%のシランカップリング剤を使用する。カップリング剤及び顔料を、反応が生じるのに十分な時間に亘って組み合わせるが、反応は、数分〜数時間以上、好ましくは約3〜24時間に亘って持続しても良い。その後、処理された顔料を一般的な方法、例えばろ過、遠心分離等によって回収し、そして乾燥することが可能である。また、所望により、カップリング剤処理とアルミニウム/セリウム処理とを組み合わせることも可能である。
【0038】
本発明の顔料は、天然雲母ベースの顔料と比較して、良好な品質及び安定性を有する。か焼されたフェライト被覆天然雲母が劣っていることそれ自体が、か焼されたフェライト被覆天然雲母に外側層を施す過程で明らかとなる。か焼されたフェライト被覆天然雲母顔料の後処理において、顔料は、水に分散され、これにより、雲母が剥離し、及び/又は天然雲母から被膜が分離する。かかる方法の結果は、顔料において不規則な被膜及び/又は割れ目である。かかる課題は、合成雲母を使用する場合に存在しない。図6〜7は、外側層の処理をすることなく850℃の条件下で20分間に亘ってか焼された酸化鉄被覆合成雲母を示している。図6は、20000倍の拡大図であり、サンプルは、1つの長く細い割れ目を示し、酸化鉄被膜が、合成雲母から剥離されない。図7は、60000倍の拡大図であり、サンプルは、図5のサンプルと比較して、滑らかな酸化鉄被膜を示している。か焼されたフェライト被覆合成雲母は、合成雲母における滑らかな被膜及び殆どない割れ目に起因して、か焼されたフェライト被覆天然雲母と比較して、高い光沢を有している。
【0039】
図8は、本発明の一の実施形態を示している。合成雲母基材12は、か焼されたフェライト14と、外側処理層16(outer treatment)と、を有する。図9は、合成雲母基材12とか焼されたフェライト被膜14との間における、酸化スズ又は水酸化スズ或いは他の添加物による任意の層13の存在を示している。図10は、か焼されたフェライト被膜14と外側層16との間における、酸化スズ又は水酸化スズ或いは他の有用な添加物による任意の層15の存在を示している。図11は、両方の任意の層13及び15の存在を示している。任意の層13及び15は、同一又は異なる混合物であっても良い。
【0040】
有用性:合成雲母を有する顔料が環境的に安定であると見出されたので、かかる顔料は、外部での用途に特に有用である。例えば、溶剤を含む被膜及び水性の自動車用塗料系において使用することが可能である。本発明の生成物は、全ての種類の自動車及び工業用塗料の用途において、特に、深い色の強さを必要とする有機着色塗装及びインクの分野で無制限に使用される。例えば、かかる顔料を、全ての種類の自動車及び非自動車系の乗り物を噴霧塗装するための上色において、又はスタイリング剤として使用することが可能である。同様に、かかる顔料を、全てのクレー/フォーマイカ/木材/ガラス/金属/エナメル/セラミック/及び非多孔性又は多孔性の表面に対して使用することが可能である。顔料は、粉末のコーティング組成物において使用され得る。顔料は、玩具産業又は家に適合されるプラスチック製品に組み込まれても良い。かかる顔料を繊維に含浸させて、新規で且つ審美的な色彩を衣類及びカーペットに付与することが可能である。かかる顔料を使用して、靴、ゴム及びビニル/大理石の床材、ヴァイナル・サイディング、及び全ての他のビニル製品の外観を改良することが可能である。更に、かかる色彩を、全ての種類のモデリングホビーに使用することが可能である。
【0041】
本発明の組成物が有用である上述の組成物は、当業者に周知である。例示としては、印刷インク、爪のエナメル、ラッカー、熱可塑性及び熱硬化性材料、天然樹脂及び合成樹脂を含む。一部の非限定例として、ポリスチレン及びその混合ポリマー、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレン、ポリアクリル酸化合物、ポリビニル化合物、例えばポリ塩化ビニル及びポリ酢酸ビニル、ポリエステル及びゴム、更には、ビスコース及びセルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、例えばポリグリコールテレフタレート、及びポリアクリロニトリルから作製されるフィラメントを挙げられる。
【0042】
種々の顔料用途に対して包括的に導入するために、Temple C. Patton, editor, The Pigment Handbook, 第II巻, Applications and Markets, John Wiley and Sons, New York (1973)を参照されたい。更に、例えば、インクに関しては:R. H. Leach, editor, The Printing Ink Manual, Fourth Edition, Van Nostrand Reinhold (International) Co. Ltd., London (1988), 特に282-591頁を参照されたい;塗料に関しては:C. H. Hare, Protective Coatings, Technology Publishing Co., Pittsburgh (1994), 特に63-288頁を参照されたい。上述の文献は、本発明の組成物を使用しても良く、着色剤の量を含む、インク、塗料及びプラスチック組成物、調剤及び媒剤の教示に関して、引用することによって本願の内容に組み込まれる。例えば、顔料は、オフセット平版インクにおいて10〜15%の水準で使用されても良く、且つ残りは、ゲル化及び非ゲル化された炭化水素樹脂、アルキド樹脂、ワックス化合物及び脂肪族溶剤を含む媒剤である。
【0043】
顔料は、例えば、自動車用塗料調剤において、二酸化チタン、アクリル系ラティス、合体剤、水又は溶剤を含んでいても良い他の顔料と共に、1〜10%の水準で使用されても良い。また、顔料は、例えば、ポリエチレンにおいてプラスチックの色彩濃度に対して20〜30%の水準で使用されても良い。
【0044】
[試験方法]
彩度:L*、a*及びb*データは、Richard S. Hunter, The Measurement of Appearance, John Wiley & Sons, 1987に記載されている。このようなCIELab測定法により、生成物の外観を、その、L*によって表される明暗成分、a*によって表される赤緑色成分、及びb*によって表される黄青色成分に関して特徴付ける。
【0045】
追加のパラメータは、L*、a*及びb*データから誘導されても良い:[(a*2+(b*21/2である彩度(C)。彩度は、色の強さ又は鮮やかさを称する。
【0046】
反射率:反射率は、サンプルの表面における入射光線の、表面からの反射光線に対する割合として定義される。反射率は、反射率スペクトルを形成するために波長の関数として分光光度計を使用して測定される。
【0047】
本発明を更に説明するために、種々の実施例を以下に記載する。かかる実施例において、明細書及び特許請求全体と同様に、特段示さない限り、全ての温度は、摂氏温度であり、部及び割合は、質量換算である。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
3L(リットル)のフラスコ中の1Lの水に対して、Shantou F. T. Z. Sanbao Pearl Luster Mica Tech Co., Lte.,(広東省、中国)によって製造された160gのSanbao F1040合成雲母(約10〜40ミクロン)を、添加し、そして室温条件下、8cmのパドル寸法にて320rpmで撹拌した。420ml(579g)の39%のFeCl3溶液の内、3.2のpH(3.1〜3.5の範囲)に到達するまで、一部の39%のFeCl3溶液を0.8ml/分にてフラスコ内にポンプ輸送した。35%のNaOHを用いて3.2のpHを維持しつつ、スラリーを76℃に加熱し、そして残りのFeCl3溶液を0.8ml/分にてポンプ輸送した。35%のNaOHを1ml/分にてポンプ輸送することによって、pHを9.5まで上昇させた。その後、41ml(64.3g)の62.5%のZnCl2溶液を1.6ml/分で添加し、そして35%のNaOHを用いてpHを9.5にて保持した。運転を停止させた。スラリーをろ過し、200mlの水で4回洗浄し、そして825℃の条件下で1時間か焼して、ZnFe24として表される酸化鉄と酸化亜鉛の二重酸化物であるフェライトで被覆された合成雲母の粉末を製造した。過剰量の酸化鉄を用いると、合成雲母におけるFe23とZnFe24の混合物の被膜であった。
【0049】
4gの粉末を得て、これを2種類のサンプルに分けて、水スラリー試験を行った。最初の2gのサンプルを、98gの水を有するビーカーに添加し、80℃に加熱し、200rpmで15分間混合し、ろ過し、そして120℃で乾燥し、その後、ラッカーに添加した(溶剤中における有機膜形成剤)。次の2gのサンプルを、そのまま放置し、ラッカーに添加した。その後、2種類のサンプルは、安定性を試験するために比較された。結果を図1に示す。合成雲母ベースの顔料が安定であることを示す水スラリー試験の後、最大反射率は、2種類のサンプル間で殆ど変わらなかった。彩度は、38.47から37.95に変化した(デルタC=0.52、極めて小さい、本質的に外観の変化無し)。
【0050】
[比較実施例A]
合成雲母を天然雲母の代えて、実施例1の手順にて比較用サンプルを作製した。結果を表2に示す。天然雲母ベースの顔料が安定ではないことを示す水スラリー試験中に、2種類のサンプル間における最大反射率は、大きく変化した。彩度は、28.98から20.10に変化した(デルタC=8.88、極めて大きい及び明らかな外観の変化)。
【0051】
図3では、実施例1の生成物、すなわち合成雲母ベースの顔料を、本比較実施例Aの生成物、すなわち天然雲母ベースの顔料と比較した。合成雲母ベースの顔料は、反射率の数値によって示されるように、天然雲母ベースの顔料に対して反射率の点で優れていた。
【0052】
[実施例2]
か焼を、825℃というよりかはむしろ900℃で1時間行った以外、実施例1の手順を行った。か焼の後、フェライト顔料粉末で被覆された250gのか焼された合成雲母を製造した。100gの粉末を、2Lのフラスコにおける666mlの水に添加し、250rpmで撹拌した。スラリーを78℃に加熱し、1:1のHClで、pHを3.0に調節した。その後、0.75gの硝酸セリウム溶液(20%のCe)及び2.5gの硝酸アルミニウム溶液(4.3%のAl)を添加し、3のpHを再調節することなく15分間撹拌した。次に、0.7ml/分にて3.5%のNaOHを添加することによって、pHを6.5まで上昇させた。6.5にてpHを維持することによって溶液を30分間撹拌し、その後、1.5gのエポキシシランを0.1ml/分で添加した。溶液を、pH制御することなく、更に30分間撹拌した。新たな菅を用いて、1.5gのアミノシランを0.1ml/分で添加し、その後、1時間撹拌した。溶液をろ過し、1Lの水で4回洗浄し、120℃で少なくとも2時間乾燥した。325−メッシュのスクリーンを使用して、脱塊し(de-agglomerate)、そして残骸を除去した。最終生成物は、フェライト及びAl、Ce及びシランで被覆された合成雲母であった。最大反射率は、176%から167%に変化し、彩度は、49.5から48.9に変化した(反射率及び彩度の変化は、両方共に僅かである)。
【0053】
[実施例3]
か焼を、825℃というよりかはむしろ900℃で1時間行った以外、実施例1の手順を行った。か焼の後、250gのか焼された顔料粉末を製造した。100gの粉末を、2Lのフラスコにおける666mlの水に添加し、250rpmで混合した。スラリーを78℃に加熱し、1:1のHClで、pHを3.0に調節した。その後、0.5gの硝酸セリウム溶液(20%のCe)及び1.7gの硝酸アルミニウム溶液(4.3%のAl)を添加し、3のpHを再調節することなく15分間撹拌した。次に、0.7ml/分にて3.5%のNaOHを添加することによって、pHを6.5まで上昇させた。6.5にてpHを維持することによって溶液を30分間撹拌し、その後、1.0gのエポキシシランを0.1ml/分で添加した。溶液を、pH制御することなく、更に30分間撹拌した。新たな菅を用いて、1.0gのアミノシランを0.1ml/分で添加し、その後、1時間撹拌した。溶液をろ過し、1Lの水で4回洗浄し、120℃で少なくとも2時間乾燥した。325−メッシュのスクリーンを使用して、脱塊し、そして残骸を除去した。最終生成物は、フェライト及びAl、Ce及びシランで被覆された合成雲母であった。最大反射率は、172%から168%に変化し、彩度は、49.7から49.5に変化した(反射率及び彩度の変化は、両方共に僅かである)。
【0054】
[実施例4]
3Lのフラスコに対して、Shantou F. T. Z. Sanbao Pearl Luster Mica Tech Co., Lte.,(広東省、中国)によって製造された160gのSanbao F1040合成雲母(約10〜40ミクロンの寸法)を、1Lの水に添加し、そして室温条件下、8cmのパドル寸法にて320rpmで撹拌した。622g(450z)の39%のFeCl3溶液の内、約3.2のpH(3.1〜3.5の範囲)に到達するまで、一部を0.8ml/分にてフラスコ内にポンプ輸送した。ポンプ輸送を停止した。溶液を76℃に加熱し、そして残りのFeCl3溶液を0.8ml/分にてポンプ輸送しつつ、35%のNaOHを用いて3.2にてpHを保持した。35%のNaOHを用い、1ml/分にてpHを9.0まで上昇させ、これを保持し、そしてCuCl2・2H2O溶液(127gのCuCl2・2H2Oを618gのH2Oに溶解、1モル/1kの濃度、17質量%)を5.0ml/分でポンプ輸送した。一般に、十分なCuを添加して、2〜1の範囲のFe:Cuモル比を達成した。運転を停止し、スラリーをろ過し、200mlの水で4回洗浄し、そして825℃の条件下で1時間か焼した。最終生成物は、CuFe24として表される酸化鉄と酸化銅の二重酸化物であるフェライトで被覆された合成雲母であった。最大反射率は、119から112%に変化し、彩度は、7.3から7.1に変化した(反射率及び彩度の変化は、両方共に僅かである)。
【0055】
[実施例5]
6Lのフラスコにおいて、2LのH2Oを、Shantou F. T. Z. Sanbao Pearl Luster Mica Tech Co., Lte.,(広東省、中国)によって製造された320gのSanbao F1040合成雲母に添加した。スラリーを、室温条件下、10cmのパドル寸法にて320rpmで撹拌した。1250gの39%のFeCl3溶液を得て、その一部を、約3.2のpH(3.1〜3.5の範囲)に到達するまで、1.6ml/分にてポンプ輸送した。ポンプ輸送を停止した。溶液を76℃に加熱し、そして残りのFeCl3溶液を1.6ml/分にてポンプ輸送しつつ、35%のNaOHを用いて3.2にてpHを保持した。
【0056】
次に、35%のNaOHを2ml/分にてポンプ輸送することによって、pHを9.5まで上昇させた。その後、62.5%のZnCl2溶液を、35%のNaOHを用いて9.5にてpHを維持することによって3.2ml/分にて供給した。これにより提供されるZnCl2溶液の量は、上記の手順を使用される量のFeCl3に基づいていた。一般に、十分なZnを添加して、4.5〜1の範囲のFe:Znモル比を達成した。62.5%のZnCl2溶液を供給する式は、以下の通りである:
FeCl3の量×0.117gの62.5%のZnCl2溶液。
【0057】
ZnCl2溶液を添加した後、運転を停止した。最終溶液をろ過し、1000mlの水で6回洗浄し、そしてそれぞれ10gを700℃、825℃、及び900℃で1時間か焼した。
【0058】
[実施例6]
フェライトで被覆された合成雲母を、以下の通りにシランで被覆した。8cmのパドルを有する3リットルのフラスコを使用した。フェライトで被覆された合成雲母のスラリーを、670mlの蒸留水において作製した。スラリーを78℃に加熱した。1:1のHCl液滴にてpHを6.5に調節した。0.15ml/分の1.5gのエポキシシラン(γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン)を添加し、これにより得られた物を15分間撹拌した。0.15ml/分の1.5gのアミノガンマ(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を添加し、これにより得られた物を2時間撹拌した。これにより得られた物をろ過し、1リットルの水で4回洗浄し、その後、120℃で2時間乾燥した。生成物は、400メッシュのスクリーンで篩い分けされた。セリウム又はアルミニウムを使用しなかった。
【0059】
生成物を、加速耐候性試験に付した。生成物は、良好な接着である0.5〜0.6のデルタE*を有し、そして外観は変化しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)合成雲母基材と、
(b)該基材上のか焼されたフェライト被膜と、
(c)該か焼されたフェライト被膜上の外側層又は処理層と、
を含み、
外側層又は処理層は、水中においてか焼されたフェライト被覆合成雲母に添加されたものであることを特徴とするエフェクト顔料。
【請求項2】
酸化スズが、合成雲母基材(a)とか焼されたフェライト被膜(b)との間に存在する請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項3】
酸化スズが、か焼されたフェライト被膜と外側層(c)との間に存在する請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項4】
フェライトが、MFe24(但し、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、マンガン、マグネシウム、コバルト、ニッケル、銅のいずれかの金属又はかかる金属の混合物である。)である請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項5】
フェライトが、MFe24(但し、Mは、亜鉛又は銅のいずれか一方の金属又はかかる金属の混合物である。)である請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項6】
合成雲母基材(a)がフルオロ金雲母である請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項7】
外側層又は処理層(c)が少なくとも1種のシランを含む請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項8】
外側層又は処理層(c)が、少なくとも2種の異なるシランの混合物を含む請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項9】
(a)請求項1に記載のエフェクト顔料と、
(b)無機又は有機溶剤と、
を含む自動車用塗料。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−544818(P2009−544818A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521923(P2009−521923)
【出願日】平成19年7月21日(2007.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/074056
【国際公開番号】WO2008/011616
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】