説明

同軸ケーブル及びその製造方法

【課題】外被への気泡の侵入を防止して平滑な外被表面を得ることができる同軸ケーブル及び同軸ケーブルの製造方法を提供する。
【解決手段】同軸ケーブル10は、中心導体11と、この中心導体11の外周に配設された内部絶縁体12と、この内部絶縁体12の外周に複数の導体素線13aが横巻きされて配設された外部導体13と、この外部導体の外周に配設された外被14とを有する。外被14が二層(内側層14a及び外側層14b)の紫外線硬化型樹脂からなり、内側層14aの厚さhが外被14の総厚さHの22%以上76%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型樹脂の外被を有する同軸ケーブル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
極細の同軸ケーブルは、超音波診断装置、内視鏡装置のような医療機器や、ノートパソコンのような電子機器や、携帯電話のような通信機器等、幅広い用途に用いられている。この同軸ケーブルは、一般に、中心導体に絶縁体を被覆し、その絶縁体に複数の導体素線を横巻きして外部導体を形成し、さらにその外部導体を外被で被覆した構造となっている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1に記載の同軸ケーブルでは、中心導体の周囲に絶縁塗料を塗布して絶縁層を形成するとともに、外部導体の外側にも紫外線硬化型樹脂等の絶縁塗料を塗布して外被を形成している。また、特許文献2に記載の同軸ケーブルでは、外部導体の外側に紫外線硬化型樹脂を塗布して外被を構成している。
【0004】
また、特許文献3に記載の同軸ケーブルでは、ワイヤ心線(中心導体)の外側に絶縁層を備え、絶縁層の外側にシールド層(外部導体)を設け、シールド層の表面に粗化のための酸化銅被膜層を付け、さらにその外側に保護樹脂層として紫外線硬化型樹脂を用いることができることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−143314号公報
【特許文献2】特開2002−352642号公報
【特許文献3】特開平5−81938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、紫外線硬化型樹脂の外被を形成する際には、紫外線硬化型樹脂組成物を充填したダイスに、シールドコア(中心導体、内部絶縁体、外部導体までを形成したもの)を通過させて紫外線硬化型樹脂組成物を塗布した後、紫外線を照射して硬化させる。その際、内部絶縁体の外周に複数の導体素線が巻き付けられて形成された外部導体がダイスの紫外線硬化型樹脂組成物中に入る時に、その表面の導体素線間の溝(凹凸)により気泡を巻き込みやすく、樹脂中に気泡が侵入しやすい。この気泡は紫外線硬化型樹脂組成物が硬化する前に割れて、外被の外表面にクレータ状に凹部が形成され外観不良となる。外被を貫通する穴ができた場合や凹部において外被の実質的な厚さが非常に薄くなった場合は、耐電圧特性が不良となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、外被への気泡の侵入を防止して平滑な外被表面を得ることができる同軸ケーブル及び同軸ケーブルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる同軸ケーブルは、中心導体と、前記中心導体の外周に配設された内部絶縁体と、前記内部絶縁体の外周に複数の導体素線が横巻きされて配設された外部導体と、前記外部導体の外周に配設された外被とを有する同軸ケーブルであって、前記外被が二層の紫外線硬化型樹脂からなり、内側の紫外線硬化型樹脂の層の厚さが前記外被の総厚さの22%以上76%以下であることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決することのできる本発明に係る同軸ケーブルの製造方法は、中心導体と、前記中心導体の外周に配設された内部絶縁体と、前記内部絶縁体の外周に複数の導体素線が横巻きされて配設された外部導体と、前記外部導体の外周に配設された外被とを有する同軸ケーブルの製造方法であって、前記外部導体の外周に紫外線硬化型樹脂を二度塗りして前記外被を形成し、その際、内側の紫外線硬化型樹脂の層の厚さを前記外被の総厚さの22%以上76%以下とすることを特徴とする。
【0010】
また、前記紫外線硬化型樹脂の塗布時における粘度を2Pa・s以上10Pa・s以下とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外被を二層の紫外線硬化型樹脂で構成し、内側層の厚さを外被の総厚さの22%以上76%以下とすることで、内側層により外部導体の外側面の凹凸を埋めて平滑化した後、外側層を塗布して外被を形成することができる。このため、外被の表面に気泡による凹凸が形成されることを防止して、耐電圧特性を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る同軸ケーブル及びその製造方法の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
図1(A)は本実施形態の同軸ケーブルを示す断面図、図1(B)は外被の内側層の厚さと総厚さを示す模式図である。
【0013】
図1(A)に示すように、本実施形態の同軸ケーブル10は、中心導体11と、この中心導体11の外周に配設された内部絶縁体12と、この内部絶縁体12の外周に複数の導体素線13aが横巻きされて配設された外部導体13と、この外部導体の外周に配設された外被14とを有する。同軸ケーブル10は、直径が0.35mm以下の極細の同軸ケーブルであり、AWG(American Wire Gauge)で40番よりも細い線である。
【0014】
この同軸ケーブル10は、径方向の断面内の中心に中心導体11を有している。中心導体11は、複数本(ここでは、例えば7本)の直径がおよそ0.03mm以下の導体素線11aを撚り合わせて、直径がおよそ0.09mm以下に形成されている。なお、中心導体としては1本の導体素線からなるものであっても良い。
【0015】
中心導体11の外周には内部絶縁体12が設けられている。内部絶縁体12の厚さは、およそ0.05mm程度であり、内部絶縁体12の外周面までの直径は、およそ0.25mm以下である。内部絶縁体12の外周は、直径がおよそ0.03mmの複数本(ここでは、例えば21本)の導体素線13aが横巻きされて構成されている外部導体13によって覆われている。外部導体13の外周面までの直径は、およそ0.31mm以下である。さらに、外部導体13の層の外周は、紫外線硬化型樹脂からなる外被14により被覆されている。
【0016】
外被14は、内側層14aと外側層14bとの二層から構成されており、内側層14aの厚さh(図1(B)参照)が外被14の二層の総厚さHの22%以上76%以下、すなわち、0.22H≦h≦0.76Hの範囲内である。内側層14aは、外部導体13を構成する導体素線13a間の一部に侵入して、外部導体13の凹凸を埋めるようにコートする役目を果たしている。なお、内側層14aを形成する際に、気泡が入ることがあるが、その気泡の大きさは、内側層14aの厚さ未満の微小なものに限られる。そのため、内側層14aの外表面は、少なくとも外部導体13の外表面より大幅に平滑化された(断面の外周が円形に近い)表面となる。そして、平滑化された内側層14aの外側に外側層14bが形成されているため、外側層14bに気泡が侵入するのを防止することができ、外被14の薄肉部分が形成されず、厚さが周方向に略均一化されるため、耐電圧特性が良好である。
【0017】
図2には、外部導体13の層の外径が235μmのシールドコア(中心導体11、内部絶縁体12、外部導体13までを形成したもの)に、内側層14aと外側層14bとの二層から構成される外径290μmの外被14を形成した同軸ケーブル10において、内側層14aの厚さhを変化させたときの外被14(同軸ケーブル10の長さ6cmあたり)に含まれる長さ50μm以上の気泡数を示している。外被14の中に存在する気泡は楕円球の形状であるがその最も長い部分の長さが50μm以上になると割れが発生して外表面にクレータ状の窪みを与える可能性が大きくなるので、ここでは、50μm以上の気泡の発生について数の変化を見ている。なお、長さ60μm以上の気泡は割れてピンホール(外被を貫通する穴)になる可能性が高い。
【0018】
なお、内側層14aと外側層14bとの二層の総厚さHは27.5μmであり、図中、内側層14aの厚さhが0μmとは、内側層14aを設けずに、外側層14bのみで外被14を構成している場合に相当する。また、内側層14aの厚さhが27.5μm(すなわち、外被14の総厚さHと等しい)であるとは、外側層14bを設けずに、内側層14aのみで外被14を構成している場合に相当する。内側層14a及び外側層14bを同じ紫外線硬化型樹脂で形成する場合には、内側層14aの厚さhが0μmである場合と厚さhが27.5μmである場合とは、実質的に同じ形態を示している。
【0019】
図2に示すように、内側層14aの厚さhが6〜21μmのときに気泡の数が大きく減少し、内側層14aを設けたことによる気泡抑制効果が大きいことがわかる。内側層14aの厚さhが6μm未満では、内側層14aの外表面の凹凸平滑化が十分ではないために、外側層14bに気泡が侵入すると考えられる。また、内側層14aの厚さhが21μmを超える場合には、気泡が侵入した内側層14aの上にそのまま外側層14bが被覆されるためと考えられる。このことから、前述したように内側層14aの厚さhが6〜21μmであることが好ましく、すなわち、内側層14aの厚さhを外被14の総厚さHの22%以上76%以下(0.22H≦h≦0.76H)の範囲内とすることにより気泡抑制効果を良好に得られることがわかる。
【0020】
外被14を形成する紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂にエポキシアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂を配合したもの等を使用することができる。なお、内側層14a及び外側層14bは共に紫外線硬化型樹脂であり、両方の層14a,14bを同じ組成の紫外線硬化型樹脂で形成することができるが、それぞれの層14a,14bを異なる組成の紫外線硬化型樹脂で形成することも可能である。
【0021】
このような同軸ケーブル10によれば、外被14を二層(内側層14a及び外側層14b)の紫外線硬化型樹脂で構成し、内側層14aの厚さhを外被14の総厚さHの22%以上76%以下としているため、外部導体13の外周面の凹凸を埋めて平滑化することができる。これに伴い、従来の同軸ケーブルのように外被14に気泡が含まれるのを防止することができ、耐電圧特性を向上させることができる。
【0022】
次に、本発明に係る同軸ケーブルの製造方法の第1実施形態について説明する。
図3は本実施形態の同軸ケーブルの製造方法に用いられる被覆形成装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態の同軸ケーブルの製造方法は、シールドコア(中心導体11、内部絶縁体12、外部導体13までを形成したもの)15における外部導体13(図1(A)参照)の層の外周に紫外線硬化型樹脂を二度塗りして外被14を形成し、その際、紫外線硬化型樹脂の内側層14aの厚さh(図1(B)参照)を二度塗りした紫外線硬化型樹脂の総厚さHの22%以上76%以下とするものである。
【0023】
図3に示すように、この被覆形成装置20では、中心導体11の外側に内部絶縁体12が設けられ、内部絶縁体12の外側に外部導体13が形成されたシールドコア15が巻き取られた供給ボビン21を有している。供給ボビン21の下流側には、ガイドローラ22を介して、外被14の内側層14aを形成する内側層用ダイス23と、外側層14bを形成する外側層用ダイス24が設けられている。内側層用ダイス23及び外側層用ダイス24には、それぞれ紫外線硬化型樹脂組成物が充填されている。なお、紫外線硬化型樹脂の塗布時における粘度(紫外線硬化型樹脂組成物の粘度)は、2Pa・s以上10Pa・s以下の範囲とするのが望ましい。
【0024】
紫外線硬化型樹脂組成物としては、例えば、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂にエポキシアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂を配合したもの等の樹脂組成物を使用することができる。
具体的には、モノマー又はオリゴマーとしては、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオール、トリレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート;ポリテトラメチレングリコール、トリレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート;トリレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート等から選ばれるオリゴマーとトリシクロデカンジアクリレート;N−ビニルピロリドン;イシボニルアクリレート;ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオールジアクリレート;ラウリルアクリレート;ビスフェノールAアポキシアクリレート;エチレンオキサイド付加ノニルフェノールアクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
また、紫外線硬化型樹脂組成物に用いる光重合開始剤としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。光重合開始剤の含有量は樹脂組成物に対し、0.5重量%〜5.0重量%であることが好ましい。
その他、必要に応じて紫外線硬化型樹脂組成物に各種の添加剤を配合することができる。
【0026】
さらに、外側層用ダイス24の下流側には、紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させるための例えば紫外線ランプを有する紫外線照射装置25が設けられており、紫外線照射装置25の下流側には、ガイドローラ26、引取装置27、巻取装置28が順次設けられている。
【0027】
供給ボビン21から供給されたシールドコア15は内側層用ダイス23に供給されて、外部導体13の外側に紫外線硬化型樹脂組成物を薄くコートして、外表面が平滑化された内側層14aを形成する。内側層14aがコートされたシールドコア15は、外側層用ダイス24に供給され、紫外線硬化型樹脂組成物からなる外側層14bが塗布される。紫外線硬化型樹脂組成物が塗布されたシールドコア15は紫外線照射装置15に送られ、紫外線を照射されて硬化され、紫外線硬化型樹脂の外被14が形成される。これにより、同軸ケーブル10が製造される。同軸ケーブル10は、ガイドローラ26によってパスラインの向きを変えた後、引取装置27によって引き取られ、巻取装置28に巻き取られる。
【0028】
図4は、外被14を形成する際の紫外線硬化型樹脂(紫外線硬化型樹脂組成物)の粘度に対する、外被14に含まれる外径50μm以上の気泡数の変化を示すグラフである。図4に示すように、樹脂粘度が上昇するとともに外被14に含まれる気泡の数は減少する傾向にある。これは、ダイス23,24の樹脂液面23a,23b(図3参照)にシールドコア15が送り込まれた際に、シールドコア15の外表面に気泡が発生し、その気泡が外被14中に巻き込まれるためと考えられる。すなわち、粘度が高くなると液面が硬くなって泡が立ちにくくなるため、気泡の発生が抑えられることによるものと考えられる。
【0029】
粘度が2.0Pa・s未満では、外被14に含まれる気泡の数が多く、外被14を二層構造とする効果が少ない。一方、粘度が10Pa・sを超える場合には、塗布性が悪くなり、線速200m/s以上になると樹脂切れが発生する可能性があるため、生産性の観点から好ましくない。このため、紫外線硬化型樹脂の塗布時の樹脂粘度は、2Pa・s以上10Pa・s以下が好ましい。樹脂粘度が4Pa.s以上10Pa・s以下であれば気泡数がさらに少なく好ましい。なお、樹脂粘度の調整は、所望の樹脂粘度を有する紫外線硬化型樹脂を用いることにより行うことができるが、塗布時における樹脂温度を調整することによって行うことも可能である。したがって、所望の樹脂粘度ではない組成の紫外線硬化型樹脂を塗布する際には、ダイス23,24の温度を調整することにより、所望の樹脂粘度で外被14を形成することができる。
【0030】
以上説明した同軸ケーブルの製造方法によれば、外被14を二層14a,14bの紫外線硬化型樹脂で構成し、内側層14aの厚さhを外被14の総厚さHの22%以上76%以下としているため、外部導体13の外周面の凹凸を埋めて平滑化することができる。これに伴い、外被14に気泡が侵入することを防止して、同軸ケーブル10の耐電圧特性を向上させることができる。
また、外被14を形成する紫外線硬化型樹脂の塗布時における粘度を2Pa・s以上10Pa・s以下としているため、外被14に気泡が含まれることを効果的に防止して耐電圧特性を良好にすると共に、生産性を向上させることができる。
【0031】
次に、本発明に係る同軸ケーブルの製造方法の第2実施形態について説明する。図5に、第2実施形態に係る同軸ケーブルの製造方法に用いる被覆形成装置30を示す。なお、前述した第1実施形態に係る被覆形成装置10と共通する部位には、同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0032】
前述した第1実施形態に係る同軸ケーブルの製造方法に用いた被覆形成装置10では、図3に示したように、被覆14を構成する内側層14aは内側層用ダイス23を用いて形成し、外側層14bは外側層用ダイス24を用いて形成した。図5に示すように、この第2実施形態に係る同軸ケーブルの製造方法に用いる被覆形成装置30においては、内側層14aを形成するために、内側層用ダイス23とピンホール29を用いる。すなわち、内側層用ダイス23によって内側層14aとなる紫外線硬化型樹脂組成物を塗布した後、硬化させる前に所定径(例えば、穴径260μm)の貫通穴(穴の長さは10μm〜1mm程度)を有するピンホール29を通過させることにより、内側層14aを所定径にすり切るとともに、内側層14aの外周面を均すようにした。ここで、ピンホール29の材質は
超硬合金、もしくはSUS、Alなどであると良く、超硬合金孔にダイヤモンドコーティングしたものが更に良い。ピンホール29の穴はフォトエッチングや放電による微細穿孔などで作製することができる。あるいは、虹彩絞りを用いることも可能である。
【0033】
次に、本発明に係る同軸ケーブルの製造方法の第3実施形態について説明する。この製造方法に用いる被覆形成装置(図示省略)では、第2実施形態にかかる被覆形成装置30におけるピンホール29の代わりに、例えばナイロン等の繊維を用いて内側層14aを所定径に拭き取った後に外側層14bを形成する。なお、繊維で拭き取った後の内側層14aは、外側層14bとなる紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する前に硬化させても良いし、外側層14bとなる紫外線硬化型樹脂組成物を塗布した後に硬化させても良い。このように、紫外線硬化型樹脂組成物を繊維を用いて拭き取ると、内側層14aの表面を傷付けないため、断線なく良好な塗布が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は本発明に係る同軸ケーブルの実施形態の例を示す断面図、(B)は内側層の厚さと被覆の総厚さを示す模式図である。
【図2】内側層の厚さに対する外被に含まれる外径50μm以上の気泡数の変化を示すグラフである。
【図3】本発明に係る同軸ケーブルの製造方法に用いられる被覆形成装置の一例を示す構成図である。
【図4】紫外線硬化型樹脂の粘度に対する外被に含まれる外径50μm以上の気泡数の変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係る同軸ケーブルの製造方法に用いられる被覆形成装置の別の例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0035】
10 同軸ケーブル
11 中心導体
12 内部絶縁体
13 外部導体
14 外被
h 内側層の厚さ
H 外被の総厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体と、前記中心導体の外周に配設された内部絶縁体と、前記内部絶縁体の外周に複数の導体素線が横巻きされて配設された外部導体と、前記外部導体の外周に配設された外被とを有する同軸ケーブルであって、
前記外被が二層の紫外線硬化型樹脂からなり、内側の紫外線硬化型樹脂の層の厚さが前記外被の総厚さの22%以上76%以下であることを特徴とする同軸ケーブル。
【請求項2】
中心導体と、前記中心導体の外周に配設された内部絶縁体と、前記内部絶縁体の外周に複数の導体素線が横巻きされて配設された外部導体と、前記外部導体の外周に配設された外被とを有する同軸ケーブルの製造方法であって、
前記外部導体の外周に紫外線硬化型樹脂を二度塗りして前記外被を形成し、その際、内側の紫外線硬化型樹脂の層の厚さを前記外被の総厚さの22%以上76%以下とすることを特徴とする同軸ケーブルの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の同軸ケーブルの製造方法であって、
前記紫外線硬化型樹脂の塗布時における粘度を2Pa・s以上10Pa・s以下とすることを特徴とする同軸ケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−110819(P2009−110819A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282243(P2007−282243)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】