説明

同軸線

【課題】 従前の性能を維持しつつ、金属編組シールド線を製作するための金属素線の本数の低減化を図り、同軸線の製作コストを低減する。
【解決手段】 金属編組シールド線6を、各編目6Aからアルミニウム箔テープ4が露呈する面積部分6aを形成する粗い編目密度となるべく、その金属素線をまとめる本数(例えば、2本)と束数(例えば、8束)とに設定したので、アルミニウム箔テープ4と金属編組シールド線6との2重のシールド機能が得られ、しかも、金属編組シールド線6の各編目6Aからアルミニウム箔テープ4が露呈する面積部分6aが形成されるが、アルミニウム箔テープ4(導電性面)及び金属編組シールド線6にそれぞれ接触して軸長方向に沿う略直線状のドレン線5が配索されて、電気的な親和性が増し、シールド機能が高められ、従前の同軸線と変わらぬ性能を維持でき、金属素線をまとめる本数と束数の低減化を図れ、製作コストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンアンテナ、ラジオアンテナ、GPSアンテナなどの各種アンテナの受信信号伝送用、映像信号(RGB信号等)の伝送用などに使用される同軸線に関し、特に、高周波障害や電磁界障害などを対策するためのシールド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の同軸線は、信号線となる芯線を絶縁体で被覆し、その外側にシールド線を配設し、さらにその外側に絶縁被覆となるジャケットを施している。この場合、従来では、金属素線を数本にまとめて1束にし、これを16束或いは24束にして編目状に編んだ金属編組シールド線が用いられている(特許文献1〜4)。
【特許文献1】特開平6−203664号公報
【特許文献2】特公平7−1643号公報
【特許文献3】特開2004−214138公報
【特許文献4】特開2008−277123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の同軸線にあっては、金属素線を数本にまとめて1束にし、これを16束或いは24束にして編目状に編まれてなる金属編組シールド線を設けているため、金属編組シールド線として使用している金属素線の本数がかなり多く、製作コストが嵩み、製品として高価となる問題があった。
【0004】
本発明は、上記のような課題を解決するためなされたものであり、従前の同軸線と変わらぬ性能を維持しつつ、金属編組シールド線を製作するための金属素線の本数の低減化を図り、製作コストを低減して、製品として低価格で市場に提供することができる同軸線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、請求項1に係る発明の同軸線は、芯線と、該芯線を被覆する絶縁体と、該絶縁体の外周面に配設された金属層と、該金属層の外周面に接触して配索され、金属素線を数本にまとめた1束が軸長方向に沿って略直線状に延びるドレン線と、前記金属層の外周面に接触しかつ前記ドレン線に一部が接触して配設され、金属素線を数本にまとめて1束にし、これを数束にして編目状に編んだ金属編組シールド線と、最外周に位置して絶縁被覆となるジャケット、を備えて構成され、前記金属編組シールド線は、各編目から前記金属層が露呈する面積部分が形成されるような粗い編目密度となるべく、その金属素線をまとめる本数と束数とを設定したものであることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記金属編組シールド線は、好ましくは、金属素線を2本にまとめて1束にし、これを8束にして編目状に編んだことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記ドレン線は、好ましくは、金属素線を7本にまとめて1束としたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記金属層は、アルミニウム箔テープ或いは樹脂材にアルミニウム箔を蒸着したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の同軸線によれば、金属層と金属編組シールド線と、の2重のシールド機能が得られ、しかも、金属編組シールド線の各編目から金属層が露呈する面積部分が形成されるが、金属層(導電性面)及び金属編組シールド線にそれぞれ接触して軸長方向に沿う略直線状のドレン線が配索されているため、電気的な親和性が増し、シールド機能が高められ、従前の同軸線と変わらぬ性能を維持できる。このように、金属編組シールド線の各編目から金属層が露呈する面積部分を形成されるような粗い編目密度にした結果、金属素線をまとめる本数と束数の低減化を図れ、製作コストを低減できるため、製品として低価格で市場に提供できる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、金属編組シールド線を形成する金属素線の本数を2、束数を8と、設定することにより、従前の同軸線と変わらぬ性能を維持しつつ金属素線をまとめる本数と束数の低減化を図ることがより効果に実行できる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、ドレン線を、金属素線を7本にまとめて1束とした構成とすることにより、使用する金属素線をできるだけ抑えつつ、より効果的にシールド機能が高められる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、金属層をアルミニウム箔テープ或いは樹脂材にアルミニウム箔を蒸着したものから簡単に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施の形態を詳述する。図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る同軸線の構成を示しており、この同軸線1は、芯線2、絶縁体3、金属層としてのアルミニウム箔テープ4、ドレン線5、金属編組シールド線6及びジャケット7から構成されている。
【0014】
前記芯線2は、信号線として機能するものであり、例えば、銅線又は銅合金等の高導電性金属からなる。前記絶縁体3は、プラスチックなどの樹脂材等からなり、芯線2を被覆している。前記アルミニウム箔テープ4は、絶縁体3の外周面に巻かれるなどして配設されているが、プラスチックなどの樹脂材にアルミニウム箔を蒸着したものを使用しても良い。
【0015】
前記ドレン線5は、アルミニウム箔テープ4の外周面に接触して配索され、例えば、銅線、軟銅線又はこれらに錫や亜鉛等をメッキしたメッキ線等からなる金属素線を数本、好ましくは、7本にまとめて1束とし、これが軸長方向に沿って略直線状に延びている。
【0016】
前記金属編組シールド線6は、アルミニウム箔テープ4の外周面に接触しかつドレン線5に一部が接触して配設され、上述したようなメッキ線等からなる金属素線を、好ましくは、2本にまとめて1束にし、これを8束にして編目状に編んだものである。
【0017】
この場合、金属編組シールド線6は、各編目6Aからアルミニウム箔テープ4が露呈する面積部分6a形成されるような粗い編目密度となっており、金属編組シールド線6の各編目6Aのうち1本の直線に沿った隣接する編目6Aの複数の交点6bがドレン線5にそれぞれ接触している。前記ジャケット7は、最外周に位置して絶縁被覆となるものであり、ポリ塩化ビニ─ルなどから形成されている。
【0018】
従って、かかる同軸コネクタ1によれば、アルミニウム箔テープ4と金属編組シールド線6と、の2重のシールド機能が得られ、しかも、金属編組シールド線6の各編目6Aからアルミニウム箔テープ4が露呈する面積部分6aが形成されるが、アルミニウム箔テープ4(導電性面)及び金属編組シールド線6にそれぞれ接触して軸長方向に沿う略直線状のドレン線5が配索されているため、電気的な親和性が増し、シールド機能が高められ、従前の同軸線と変わらぬ性能を維持できる。
【0019】
このように、金属編組シールド線6の各編目6Aからアルミニウム箔テープ4が露呈する面積部分を形成されるような粗い編目密度にした結果、金属編組シールド線6を形成する際に、金属素線をまとめる本数と束数の低減化を図れ、製作コストを低減できるため、製品として低価格で市場に提供できる。
【0020】
なお、上述の実施の形態では、好ましくは、金属素線を2本にまとめて1束にし、これを8束にして編目状に編むことで、金属編組シールド線6の各編目6Aからアルミニウム箔テープ4が露呈する面積部分6aが効果的に形成されるが、金属素線をまとめる本数と束数とは、これに限るものではない。
【0021】
また、ドレン線5を、金属素線を7本にまとめて1束とした構成とすることにより、使用する金属素線をできるだけ抑えつつ、より効果的にシールド機能が高められるが、金属素線をまとめる本数はこれに限るものではない。さらに、金属層として、アルミニウム箔テープ4或いは樹脂材にアルミニウム箔を蒸着したものを使用すれば、簡単に形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
製品として低価格で市場に提供できるため、テレビジョンアンテナ、ラジオアンテナ、GPSアンテナなどの各種アンテナの受信信号伝送用、映像信号(RGB信号等)の伝送用などに広く使用される同軸線に有効的である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る同軸線の平面図である。
【図2】同上の同軸線の左側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 同軸線
2 芯線
3 絶縁体
4 アルミニウム箔テープ
5 ドレン線
6 金属編組シールド線
6A 編目
6a 面積部分
6b 交点
7 ジャケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と、該芯線を被覆する絶縁体と、該絶縁体の外周面に配設された金属層と、該金属層の外周面に接触して配索され、金属素線を数本にまとめた1束が軸長方向に沿って略直線状に延びるドレン線と、前記金属層の外周面に接触しかつ前記ドレン線に一部が接触して配設され、金属素線を数本にまとめて1束にし、これを数束にして編目状に編んだ金属編組シールド線と、最外周に位置して絶縁被覆となるジャケット、を備えて構成され、前記金属編組シールド線は、各編目から前記金属層が露呈する面積部分が形成されるような粗い編目密度となるべく、その金属素線をまとめる本数と束数とを設定したものであることを特徴とする同軸線。
【請求項2】
前記金属編組シールド線は、好ましくは、金属素線を2本にまとめて1束にし、これを8束にして編目状に編んだことを特徴とする請求項1記載の同軸線。
【請求項3】
前記ドレン線は、好ましくは、金属素線を7本にまとめて1束としたことを特徴とする請求項1又は2記載の同軸線。
【請求項4】
前記金属層は、アルミニウム箔テープ或いは樹脂材にアルミニウム箔を蒸着したものであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の同軸線。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−177058(P2010−177058A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18862(P2009−18862)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390033282)株式会社ワカ製作所 (6)
【Fターム(参考)】