説明

吐出容器

【課題】特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出すること。
【解決手段】容器体2の口部2aに装着され、押し上げ部15を有するキャップ本体10と、流出開口24が形成された天壁部23と、内側が流出開口に連通する連通路R1とされ、押し上げ部を径方向外側から囲む周壁部22と、を有し、キャップ本体に対して上下動可能に装着された吐出ヘッド20と、天壁部にシールされたフィルム40と、を備え、押し上げ部が、吐出ヘッドの上下動に伴って周壁部内に留まる収納位置と、流出開口を超えてフィルムを押し上げる押し上げ位置と、に切替可能とされ、フィルムの外周縁部には非シール部が形成されており、該非シール部と天壁部とで流出開口から流出された内容物を吐出させる吐出口を画成している吐出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を外部に吐出する吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の内容物が収容される容器において、容器が倒れた時に内容物が零れないようにするため、手動式の弁体による開閉機構を設けた容器が知られている(特許文献1参照)。
この容器は、吐出口(注ぎ口)と空気穴とを同じ方向に働くスプリングの付勢力により同一方向から同時に密閉し、さらに空気穴を利用した釦をスプリングの付勢に抗して押すことで、吐出口と空気穴とを同時に開口させて内容物を吐出できるようにした開閉機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3078012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記開閉機構を備えた容器では、内容物の吐出時に毎回釦を押すといった手動による開閉操作を行う必要があり、吐出操作に手間がかかるものであった。そのため、このような操作が不要な開閉構造が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出することができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出容器は、内容物が収容された容器体と、該容器体の口部に装着され、押し上げ部を有するキャップ本体と、流出開口が形成された天壁部と、内側が流出開口に連通する連通路とされ、前記押し上げ部を径方向外側から囲む周壁部と、を有し、前記キャップ本体に対して上下動可能に装着された吐出ヘッドと、前記流出開口を上方から覆うように前記天壁部上に重ねられ、流出開口の径方向外側に位置する外周縁部が周方向に沿って天壁部にシールされたフィルムと、を備え、前記押し上げ部が、前記吐出ヘッドの上下動に伴って前記周壁部内に留まる収納位置と、前記流出開口を超えて前記フィルムを押し上げる押し上げ位置と、に切替可能とされ、前記フィルムの外周縁部には、部分的に前記シールが解かれた非シール部が形成されており、該非シール部と前記天壁部とで前記流出開口から流出された前記内容物を吐出させる吐出口を画成していることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出容器においては、内容物の吐出を行う場合、押し上げ部が周壁部内に留まっている収納位置に位置している状態で容器体を傾ける。これにより、内容物は連通路を介して容器体内から流出開口に流れ込む。そして、この内容物は流出開口から天壁部上にフィルムを押し上げながら流出する。すると、流出した内容物の自重によりフィルムが天壁部から離反する方向に押圧されて変形し、上側に凸となるドーム状に膨らむ。これにより、天壁部とフィルムとの間の隙間が吐出口に繋がる吐出路となる。従って、流出開口から流出した内容物をこの吐出路を通じて吐出口に導き、該吐出口から外部に吐出させることができる。
また、吐出が終了した後、フィルムに内容物の自重がかからない姿勢に容器体を戻すと、フィルムに付与されていた押圧力が解除され、ドーム状に変形していたフィルムが元の状態に戻って天壁部に密着する。そのため、流出開口が再度フィルムによって閉塞されると共に吐出口が閉止される。これにより、容器体の密閉性を確保することができる。
【0008】
このように、本発明に係る吐出容器によれば、容器体を傾け、内容物の自重によりフィルムを変形させるだけの簡単な方法で吐出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に吐出操作を行うことができ、使い易い。
【0009】
しかも、内容物の残量が少なくなった場合であっても、残りの内容物をスムーズに吐出させることができ、内容物を無駄に残すことなく使いきり易い。つまり、内容物の残量が少なくなった場合には、容器体を傾けても自重によってフィルムを押し上げ難くなる。
そこで、吐出ヘッドを上下動させて、押し上げ部の位置を押し上げ位置に移行させる。これにより、押し上げ部は流出開口を超えてフィルムを機械的に押し上げる。そのため、フィルムは上側に凸となるドーム状に膨らんで天壁部から離反する。従って、この状態で容器体を傾けることで、内容物を流出開口から吐出路に流すことができ、該吐出路を通じて吐出口から外部に吐出させることができる。
その結果、内容物が少量になってもスムーズに吐出させることができ、内容物を残すことなく使いきり易い。
【0010】
(2)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記周壁部内には、前記押し上げ部が離脱可能に嵌入される嵌入部が形成され、前記押し上げ部には、前記嵌入部に嵌入されることによって、前記流出開口と前記容器体内とを遮断する係合部が形成されており、前記収納位置が、前記押し上げ部の前記係合部が前記嵌入部に嵌入される遮断位置と、係合部が嵌入部から離脱された解除位置と、を備えており、前記吐出ヘッドの上下動によって、前記遮断位置と、前記解除位置と、前記押し上げ位置と、に切替可能とされ、前記解除位置及び前記押し上げ位置においては、前記流出開口と前記容器体内とが連通していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る吐出容器においては、未使用時の際、吐出ヘッドの上下動により、周壁部内にて押し上げ部を遮断位置に位置させることができる。つまり、押し上げ部の係合部を嵌入部内に嵌入させて、容器体内と流出開口との間を遮断させることができる。これにより、容器体を傾けたとしても、内容物は容器体内から周壁部内の連通路に流れ込むが、この連通路内に留まる状態となる。従って、流通時、販売陳列時或いは保管時等の段階で、内容物が流出開口側に流れてしまうことがない。
また、内容物の吐出を行う場合には、上記の状態から吐出ヘッドを上下動させて、押し上げ部の位置を係合部が嵌入部内から離脱した解除位置に位置させる。これにより、容器体を傾けることで内容物を流出開口に流すことができ、内容物の吐出を行うことができる。なお、内容物が少量になった場合には、吐出ヘッドの上下動により押し上げ部の位置を押し上げ位置に移行させれば良い。
特に、押し上げ部の位置を切り替えることで、流出開口への内容物の流れを制御できるので、内容物の漏出を防止し易い。
【0012】
(3)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記遮断位置に対して、前記吐出ヘッドを下降させることで前記押し上げ位置に移行し、吐出ヘッドを上昇させることで前記解除位置に移行することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る吐出容器においては、遮断位置に対して吐出ヘッドを下降させることで押し上げ部が押し上げ位置に移行し、遮断位置に対して吐出ヘッドを上昇させることで押し上げ部が解除位置に移行する。つまり、押し上げ部を遮断位置から解除位置又は押し上げ位置に移行させる場合には、吐出ヘッドを逆方向に移動させる必要がある。従って、押し上げ部の位置を遮断位置から解除位置又は押し上げ位置に移行させる際に、切替操作を明確に区別して行うことができ、解除位置とすべきところを誤って押し上げ位置に移行させてしまったり、その逆の切替を行ったりしてしまい難い。
【0014】
(4)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記キャップ本体と前記吐出ヘッドとの間には、吐出ヘッドの動きを制限して、前記押し上げ部の位置を前記収納位置に位置決めさせる位置規制部材が破断可能に連結され、前記吐出ヘッドが、前記位置規制部材が破断された後に、前記押し上げ部が前記押し上げ位置に達するように移動が許容されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る吐出容器においては、位置規制部材によって吐出ヘッドの上下動の動きが制限されるので、位置規制部材を取り外さない限り押し上げ部の位置を収納位置にしか設定することができない。そのため、内容物が十分に残っているときに、誤って押し上げ部の位置を押し上げ位置に位置させてしまうことがない。よって、フィルムが押し上げられてしまうことがなく、内容物が過度に吐出され難い。
そして、内容物の残量が少なくなった場合には、位置規制部材を破断してキャップ本体と吐出ヘッドとの間から取り除く。これにより、押し上げ部の位置を押し上げ位置に位置させることができる。そのため、残った少量の内容物を吐出して使いきることができる。
【0016】
(5)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記容器体が、外層に対して内層が剥離可能に積層された積層剥離型容器であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る吐出容器においては、内容物が吐出されると、これに伴って容器体の内層が外層から徐々に剥離して減容変形しはじめる。そのため、容器体の内部への外気の侵入が抑制され、内容物の品質劣化を防止することができると共に、内容物をスムーズに吐出させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吐出容器によれば、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出することができ、使い易い。しかも、内容物が少量になってもスムーズに吐出させることができ、内容物を無駄に残すことなく使いきり易い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る吐出容器の実施形態を示す図であって、蓋体を閉じて吐出ヘッドを覆っている状態の吐出キャップを中心とした吐出容器の断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器を上方から見た図(但し、蓋体は透過した状態)である。
【図3】図2に示すA−A線に沿った断面図である。
【図4】図1に示すB−B線に沿った断面図である。
【図5】図1に示す状態から吐出ヘッドを上方移動させ、栓体の頂壁部分(係合部)を嵌入部から離脱させた状態を示す断面図である。
【図6】図1に示す状態から規制板を取り外した後、吐出ヘッドを下方移動させ、栓体でフィルムを押し上げた状態を示す断面図である。
【図7】図3に示すC−C線に沿った断面図である。
【図8】図5に示す状態から容器体を傾けて内容物を吐出させている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
本実施形態の吐出容器1は、図1から3に示すように、液体状の内容物W(図8参照)が収容される容器体2と、この容器体2の口部2aに装着される吐出キャップ3と、吐出キャップ3を構成する吐出ヘッド20を覆う蓋体4と、を備えている。
【0021】
なお、図1は、蓋体4を閉じて吐出ヘッド20を覆っている状態の吐出キャップ3を中心とした吐出容器1の断面図である。図2は、図1に示す吐出容器1を上方から見た図である。但し、蓋体4は透過した状態で図示している。図3は、図2に示すA−A線に沿った断面図である。
また、本実施形態では、容器体2の容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。また、容器軸Oに沿って容器体2から吐出キャップ3に向かう方向を上側とし、図示しない容器体2の底部側に向かう方向を下側とする。
【0022】
本実施形態の容器体2は、外層5aに対して内層5bが剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)であり、口部2aの外周面には環状の係合突起2bが形成されている。
吐出キャップ3は、容器体2の口部2aに装着されるキャップ本体10と、このキャップ本体10に対して上下動可能に装着される吐出ヘッド20と、で構成されている。
【0023】
キャップ本体10は、容器体2の口部2aを径方向外側から囲む外筒部11と、口部2aの内周面に沿って配設され、この口部2a内に嵌入される内筒部12と、外筒部11の上端と内筒部12の上端とを連設し、口部2aの開口端を塞ぐ頂壁部13と、頂壁部13から上方に向かって突設されたガイド筒14と、ガイド筒14の径方向内方に配設され、頂壁部13から上方に向かって突設された有頂筒状の栓体(押し上げ部)15と、で構成されている。
【0024】
外筒部11の内周面には、口部2a側の係合突起2bの下側に係合する環状の爪部11aが形成されている。これにより、キャップ本体10は、アンダーカット嵌合によって容器体2の口部2aに装着されるようになっている。なお、爪部11aは環状でなくても良く、周方向に間隔を開けて複数形成されていても構わない。
また、外筒部11の上端側の外周面には、後述する蓋体4の周壁部50の下端が嵌合する段部11bが形成されている。更に、この外筒部11の外周面には、蓋体4を開閉可能に連結するヒンジ部16が段部11bの下側に位置するように形成されている。
【0025】
ガイド筒14は、吐出ヘッド20の上下動をガイドする筒であり、容器軸Oから径方向外側に偏心した位置、具体的にはヒンジ部16寄りに形成されており、自身の中心軸Cが容器軸Oとは非同軸とされている。また、ガイド筒14の開口端は、後述する天壁部23の傾斜に合わせて、具体的にはヒンジ部16側が低く、中心軸Cを挟んだ反対側が高くなるように斜めにカットされている。
【0026】
更に、ガイド筒14の内周面の一部には、容器軸Oに沿って延在する縦長のガイド溝14aが形成されている。本実施形態のガイド溝14aは、図4に示すように、中心軸Cを中心として90度毎に3つ形成されている。但し、この場合に限定されるものではない。なお、図4は、図1に示すB−B線に沿った断面図である。
【0027】
栓体15は、図1に示すように、上部がガイド筒14よりも上方に突出するように形成されており、その内側が頂壁部13に形成された開口13aを介して容器体2の内部に連通している。つまり、栓体15の内側は、キャップ本体10の装着状態において、容器体2の内部に連通する第2連通路R2として機能する。
【0028】
栓体15の周面の一部には、スリット状の切欠溝15aが容器軸Oに沿って形成されており、栓体15の内部と外部とを連通させている。なお、本実施形態では、図4に示すように、中心軸Cを中心として周方向に等間隔を開けて3つの切欠溝15aが形成されている場合を例に挙げるが、この数に限定されるものではない。
そして、頂壁部13には、図1及び図4に示すように、これら切欠溝15aにそれぞれ連通する切欠孔13bが形成されている。よって、第2連通路R2は、これら切欠溝15a及び切欠孔13bを通じて開放された状態となっている。
【0029】
吐出ヘッド20は、図1から図3に示すように、キャップ本体10のガイド筒14を径方向外側から囲む外側スライド筒21と、ガイド筒14を径方向内側から囲むと共に、キャップ本体10の栓体15を径方向外側から囲む内側スライド筒(周壁部)22と、これら外側スライド筒21及び内側スライド筒22の上端に連設された天壁部23と、を備えている。
【0030】
そして、この吐出ヘッド20は、外側スライド筒21と内側スライド筒22との間にキャップ本体10のガイド筒14が嵌り込むように、キャップ本体10に対して組み合わされており、ガイド筒14にガイドされながら上下動可能とされている。この際、内側スライド筒22の外周面には、図4に示すように、キャップ本体10側に形成されたガイド溝14aに上下動可能に嵌る3つの縦リブ22aが形成されている。これにより、吐出ヘッド20は、周方向への回転が規制された状態でキャップ本体10に組み合わされ、回転することなく上下動するようになっている。
【0031】
また、吐出ヘッド20がキャップ本体10に組み合わされた際、図1から図3に示すように、キャップ本体10の栓体15は内側スライド筒22内に配置されている。また、内側スライド筒22の内側は、天壁部23に形成された流出開口24に連通しており、流出開口24に連通する第1連通路(連通路)R1として機能する。
これによって、第1連通路R1と第2連通路R2とは、切欠溝15a及び切欠孔13bを介して連通可能とされている。
【0032】
また、本実施形態の内側スライド筒22には、栓体15の係合部(頂壁部分)15bが離脱可能に嵌入される嵌入孔(嵌入部)25aが形成された隔壁25が形成されている。
即ち、前述の通り吐出ヘッド20がキャップ本体10に組み合わされた初期状態において、栓体15の係合部15bが流出開口24と容器体2の内部との連通を遮断するように、嵌入孔25aに嵌入されている。
【0033】
ここで、栓体15は、吐出ヘッド20の上下動に伴って相対的に3つの位置に移行して切り替わるようになっている。
つまり、図1及び図3に示すように、栓体15の係合部15bが嵌入孔25a内に嵌入して流出開口24と容器体2内部との連通を遮断する遮断位置と、図5に示すように、係合部15bが嵌入孔25a内から離脱して前記遮断を解除する解除位置と、図6に示すように、栓体15が流出開口24を超えて後述するフィルム40を押し上げる押し上げ位置と、の3つの位置に切り替わるようになっている。
【0034】
なお、栓体15が上記遮断位置又は解除位置のいずれに位置していたとしても、該栓体15は内側スライド筒22内に留まっている。そのため、遮断位置及び解除位置は、栓体15が内側スライド筒22内に留まる収納位置に含まれる。
また、栓体15が解除位置に位置している場合には、第1連通路R1と流出開口24とが直接連通する。従って、内容物Wは、容器体2内部から第2連通路R2を経由して第1連通路R1に流れた後に、流出開口24に流れるようになっている。また、栓体15が押し上げ位置に位置している場合には、第2連通路R2と流出開口24とが直接連通する。従って、内容物Wは、容器体2内部から第2連通路R2を通じて流出開口24に流れるようになっている。
【0035】
なお、栓体15が遮断位置に位置している状態(図1及び図3に示す状態)から吐出ヘッド20を上方移動させることで、図5に示すように栓体15が解除位置に切り替わるようになっている。また、栓体15が遮断位置に位置している状態(図1及び図3に示す状態)から吐出ヘッド20を下方移動させることで、図6に示すように栓体15が押し上げ位置に切り替わるようになっている。
【0036】
また、栓体15に形成された切欠溝15aは、図1、図3及び図5に示すように、栓体15が遮断位置又は解除位置に位置しているときに第1連通路R1と第2連通路R2とを互いに連通させ、図6に示すように、栓体15が押し上げ位置に位置しているときに第2連通路R2と流出開口24とを互いに連通させるように、栓体15の上部付近まで延びる縦長に形成されている。
【0037】
ところで、外側スライド筒21の内周面には、図1、図3、図5及び図6に示すように、環状の爪部21aが内方に突出するように形成されている。一方、キャップ本体10のガイド筒14の外周面には、栓体15が遮断位置、解除位置又は押し上げ位置に位置したときに、上記爪部21aがそれぞれ嵌り込む環状溝14bが3段に分かれて形成されている。これにより、吐出ヘッド20を上下動した後に位置決めして、栓体15を遮断位置、解除位置又は押し上げ位置に留まらせることが可能とされている。
【0038】
また、本実施形態では、図1、図3及び図7に示すように、キャップ本体10の頂壁部13上に、帯状に延びた規制板(位置規制部材)30が破断可能に連結されている。なお、図7は、図3に示すC−C線に沿った断面図である。
この規制板30は、ガイド筒14を径方向外側から囲むようにリング状に丸まった状態とされており、薄肉部等の弱化部31を介して頂壁部13上に連結されている。規制板30の一端には摘み部30aが形成されており、この摘み部30aを利用して規制板30を容易に破断して頂壁部13上から取り外す(切り離す)ことが可能とされている。
【0039】
そして、上述した吐出ヘッド20は、図1及び図3に示すように、この規制板30上に重なった状態でキャップ本体10に組み合わされている。これにより、吐出ヘッド20は、規制板30を取り外さない限り、図1及び図3に示す状態からの下方移動が規制され、栓体15の位置が遮断位置又は解除位置のいずれにしか切り替わらないように位置決めされている。つまり、吐出ヘッド20は、規制板30が取り外された後に、図6に示すように栓体15が押し上げ位置に達するように下方移動が許容される。
【0040】
ところで、吐出ヘッド20の天壁部23は、図1から図3に示すように、凹曲面状に形成されているうえ容器軸Oに対して傾斜するように形成されている。
具体的には、まず天壁部23は、外側スライド筒21及び内側スライド筒22の上端を塞ぐように形成されている。この際、天壁部23の一方側(中心軸Cを挟んでヒンジ部16とは反対側)は、径方向外側に突出するように形成されている。以下、この突出している側を天壁部23の先端部23aといい、中心軸Cを挟んで先端部23aとは反対側(ヒンジ部16側)を基端部23bという。
【0041】
天壁部23の先端部23aは、基端部23bよりも上方に位置するように傾斜している。更に、天壁部23は、図1及び図3に示すように、天壁部23上において先端部23aと基端部23bとを結ぶ傾斜方向L1に直交する直交方向L2に沿って、外側から内側に向かうにしたがって漸次深くなるように凹曲面状に形成されている。そして、流出開口24は、天壁部23の最深部に位置するように形成されている。
【0042】
また、本実施形態の吐出ヘッド20には、図1から図3に示すように、天壁部23に対して破断可能な弱化部36を介して切取片35が連結されている。
具体的に、この切取片35は、弱化部36を介して天壁部23のうち後述する吐出口42を画成している部分である先端部23aに、径方向外側に突設するように連結されている。弱化部36は、下側に切り欠きが形成された薄肉部とされており、切取片35を上方や下方に向けて捩ったり、側方に引っ張ったりするように操作することで容易に破断できるようになっている。
【0043】
しかも、この切取片35には摘み部35aが連結されている。従って、この摘み部35aを利用して切取片35に効率良く力を伝えることが可能とされ、スムーズに弱化部36を破断して切取片35を天壁部23から分離させることができるようになっている。
【0044】
このように構成された天壁部23上には、図1から図3に示すように、流出開口24を覆うようにフィルム(シート)40が重ねられている。このフィルム40は、破れ難く伸縮性がある材料から形成されたフィルムであり、天壁部23の全体を覆っている。しかも、フィルム40は、天壁部23上だけでなく、切取片35側に延在して、分離する前の切取片35の上面全体を覆うサイズとされている。
なお、前記フィルム40としては、破れ難い一般的なフィルム(伸縮性を有さない)を使用することもできるが、伸縮性を有するフィルムを用いることが好ましい。
【0045】
ところで、このフィルム40は、切取片35を天壁部23から分離する前の段階では、流出開口24の径方向外側に位置する外周縁部が周方向に沿って天壁部23及び切取片35の上面に対してそれぞれシール(固着)されている(図2で示すハッチング領域S)。このときのシールの方法としては、接着剤や熱溶着(融着、圧着等)等の各種の方法を採用して構わない。
このフィルム40は、切取片35を天壁部23から分離させると共に破断する。そして、分離後の天壁部23に着目すると、フィルム40の外周縁部の一部は部分的にシールが解かれた非シール部41となっている。この非シール部41は、フィルム40の破断部分に形成される。
【0046】
本実施形態では、天壁部23の先端部23aに非シール部41が形成されている。そして、この非シール部41と天壁部23とで、流出開口24から流出された内容物Wを吐出させる吐出口42を画成している。
つまり、本実施形態では、切取片35を天壁部23から分離させる前の段階では、図2に示すように、切取片35上において周方向に沿って外周縁部がシールされたフィルム40によって、吐出口42は密封されている。そして、切取片35を天壁部23から分離させることで、この分離に伴って切取片35上にシールされたフィルム40が破断し、図2及び図5に示すように吐出口42が天壁部23の先端部23aに現れるようになっている。
また、上述したように天壁部23は、先端部23aの方が基端部23bよりも上方に位置するように傾斜しているので、吐出口42の方が流出開口24よりも上方に位置するようになっている。
【0047】
蓋体4は、図1から図3に示すように着脱自在にキャップ本体10に被着され、吐出ヘッド20を覆う部材であって、周壁部50と頂壁部51とで有頂筒状に形成されている。
この蓋体4は、ヒンジ部16を介してキャップ本体10と周壁部50とが連結されており、ヒンジ部16回りに開閉することでキャップ本体10に被着されるようになっている。なお、周壁部50がキャップ本体10の段部11bに嵌り込むことで、蓋体4はがたつき等なく安定してキャップ本体10に被着されるようになっている。
【0048】
また、蓋体4がキャップ本体10に被着されている状態において、容器軸Oを挟んでヒンジ部16が接続された反対側の周壁部50には、径方向外方に向けて突出する鍔部50aが形成されており、この鍔部50aを利用して蓋体4の開閉操作(特に開操作)を容易に行えるようになっている。
【0049】
更に、頂壁部51の内側には、筒状の規制部材52が下側に突出するように形成されている。この規制部材52は、例えば、栓体15が解除位置に位置している状態(図5に示す状態)で蓋体4がキャップ本体10に被着されているときに、流出開口24を径方向外側から囲むようにフィルム40を天壁部23に押さえ付ける役割を担っている。
特に、規制部材52の下端部は、天壁部23の凹曲面に倣って湾曲しており、フィルム40を挟んで隙間なく全周に亘って天壁部23に接するように設計されている。
【0050】
次に、このように構成された吐出容器1を利用して内容物Wを吐出する場合について説明する。
はじめに、流通時或いは販売陳列時の段階では、図1から図3に示すように、蓋体4が吐出ヘッド20を覆うようにキャップ本体10に被着されている。これにより、フィルム40が保護されているうえ、フィルム40に塵埃等が付着し難い。
【0051】
また、天壁部23の先端部23aに弱化部36を介して切取片35が連結されており、吐出口42はこの切取片35によって密封された状態となっている。しかも、キャップ本体10の栓体15の係合部15bが吐出ヘッド20の嵌入孔25a内に嵌入して、流出開口24と第1連通路R1との間を遮断する位置に位置している。そのため、容器体2を傾けたとしても、内容物Wが第1連通路R1に流れ込むが、第1連通路R1内に留まる状態となる。従って、内容物Wが流出開口24側に流れてしまう恐れが少ない。
【0052】
次に、内容物Wの吐出を行う場合には、まず、鍔部50aを利用して蓋体4をヒンジ部16回りに回転させて開状態にし、吐出ヘッド20を露出させる。
次いで、摘み部35aを引っ張り操作することで弱化部36を破断して、切取片35を天壁部23から分離させる。これにより、吐出口42の密封を解くことができる。また、これと同時或いは前後して、図5に示すように、吐出ヘッド20を上方移動させて、栓体15の係合部15bを嵌入孔25a内から離脱させて第1連通路R1の遮断を解除する解除位置に位置させる。これにより、第1連通路R1と流出開口24とが直接連通した状態となる。
【0053】
なお、吐出ヘッド20を上方移動させた際、爪部21aが上段の環状溝14bに嵌り込むので吐出ヘッド20が該位置に位置決めされる。よって、意図しないときに吐出ヘッド20が下方移動して、第1連通路R1と流出開口24との連通が不意に遮断されてしまう恐れが少ない。
【0054】
切取片35の除去と吐出ヘッド20の上方移動とが終了した後、図8に示すように、天壁部23の先端部23aが下側になるように容器体2を傾ける。すると、容器体2に収容されている内容物Wは、第2連通路R2から第1連通路R1に流れ込んだ後、流出開口24に流れ込む。そして、この内容物Wは、流出開口24から天壁部23上にフィルム40を押し上げながら流出する。
すると、流出した内容物Wの自重によりフィルム40が天壁部23から離反する方向に押圧されて反転変形し、上側に凸となるドーム状に膨らむ。これにより、天壁部23とフィルム40との間の隙間が吐出口42に繋がる吐出路R3となる。従って、流出開口24から流出した内容物Wをこの吐出路R3を通じて吐出口42に導き、該吐出口42から外部に吐出させることができる。
【0055】
また、吐出が終了した後、フィルム40に内容物Wの自重がかからない姿勢に容器体2を戻すと、フィルム40に付与されていた押圧力が解除され、ドーム状に変形していたフィルム40が反転変形により元の状態に戻って天壁部23に密着する。そのため、図5に示すように、流出開口24が再度フィルム40によって閉塞されると共に吐出口42が閉止される。これにより、容器体2の密閉を確保することができる。
【0056】
その後、保管等を行う場合には、図1に示すように、吐出ヘッド20を下方移動させて元の状態に戻す。つまり、外側スライド筒21の下端部が規制板30に当接した状態に吐出ヘッド20を戻す。すると、栓体15の係合部15bが再び嵌入孔25a内に嵌入するので、第1連通路R1が途中で遮断される。よって、先ほど連通していた第1連通路R1と流出開口24との連通を遮断させることができる。従って、保管中等に誤って容器体2を傾けてしまったとしても、内容物Wが流出開口24側に流れしてしまう恐れが少なく、内容物Wの漏出を防止することができる。
【0057】
なお、吐出ヘッド20を下方移動させた場合も同様に、爪部21aが中段の環状溝14bに嵌り込むので吐出ヘッド20が該位置に位置決めされる。よって、意図しないときに吐出ヘッド20が上方移動して、第1連通路R1と流出開口24とが不意に連通してしまう恐れが少ない。
【0058】
次いで、開いていた蓋体4をヒンジ回りに回転させ、吐出ヘッド20を覆うようにキャップ本体10に被着させる。この際、蓋体4の周壁部50がキャップ本体10の段部11bに嵌り込むので、がたつき等なく蓋体4を被着させることができる。この蓋体4の被着により、フィルム40を再度保護できるうえ、フィルム40への塵埃等の付着を防止することができる。
【0059】
上述したように、本実施形態の吐出容器1によれば、容器体2を傾け、内容物Wの自重によりフィルム40を反転変形させるだけの簡単な方法で吐出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に吐出操作を行うことができ、使い易い。
ところで、内容物Wが吐出されると、これに伴って容器体2の内層5bが外層5aから徐々に剥離して萎むように減容変形しはじめる。なお、外層5aには、外層5aの内外を連通させる図示しない空気孔(例えば、口部や底部等に)が形成されており、これにより内層5bは内容物Wの吐出に伴って減容変形する。
【0060】
しかも、内容物Wの残量が少なくなった場合であっても、残りの内容物Wをスムーズに吐出させることができ、内容物Wを無駄に残すことなく使い切り易い。つまり、内容物Wの残量が少なくなった場合には、容器体2を傾けても自重によってフィルム40を押し上げ難くなる。
【0061】
そこで、この場合には、まずキャップ本体10の頂壁部13上に連結されている規制板30の摘み部30aを摘みながら引っ張り操作等して、該規制板30を頂壁部13から取り外す。これにより、吐出ヘッド20の下方移動が許容される。
次いで、吐出ヘッド20を下方移動させて、キャップ本体10の栓体15の位置を遮断位置から押し上げ位置、或いは、解除位置から遮断位置を越えて押し上げ位置に移行させる。これにより、図6に示すように、栓体15は嵌入孔25a内に嵌入したまま流出開口24を超えてフィルム40を機械的に押し上げる。そのため、フィルム40は上側に凸となるドーム状に膨らんで天壁部23から離反する。
【0062】
なお、この場合も同様に、爪部21aが下段の環状溝14bに嵌り込むので吐出ヘッド20が該位置に位置決めされる。よって、吐出ヘッド20が上方移動して、フィルム40の押し上げが不意に解除されてしまう恐れが少ない。
【0063】
そして、この状態で容器体2を傾けると、内容物Wは切欠溝15aを通じて第2連通路R2から直接流出開口24に流れ込む。この際、フィルム40が既にドーム状に膨らんでいるので、内容物Wを吐出路R3に流すことができ、該吐出路R3を通じて吐出口42から外部に吐出させることができる。
その結果、少量の内容物Wであってもスムーズに吐出させることができ、内容物Wを残すことなく使いきり易い。
【0064】
更に、本実施形態の吐出容器1によれば、以下の作用効果を奏することができる。
即ち、流通時或いは販売陳列時の段階では、切取片35が天壁部23に連結されており、吐出口42が密封されている状態であるので、仮に吐出ヘッド20が上方移動して栓体15の位置が解除位置に位置していたとしても、容器体2の傾きにより内容物Wが吐出されることがない。よって、使用前の段階で、内容物Wの漏出を確実に防止することができる。
また、切取片35を天壁部23から分離する際、摘み部35aを利用して切取片35に力を効率良く伝えることができるので、スムーズに弱化部36を破断することができる。従って、切取片35を弱化部36に沿って分離し易くなる。
【0065】
また、使用中、規制板30によって吐出ヘッド20の上下動の動きが一部規制されるので、規制板30を取り外さない限り、栓体15の位置を遮断位置又は解除位置のいずれかにしか設定することができない。そのため、内容物Wが十分に残っているときに、誤って栓体15の位置を押し上げ位置に位置させてしまうことがない。よって、フィルム40が栓体15によって押し上げられてしまうことがなく、内容物Wを過度に吐出してしまうことを防止することができる。
【0066】
更に、本実施形態の天壁部23は、基端部23bよりも先端部23aの方が上方に位置し、流出開口24よりも吐出口42の方が上方に位置するように傾斜しているので、内容物Wの吐出後、容器体2を元の状態に戻したときに、吐出路R3内に残っている内容物Wが天壁部23の傾斜を利用して自然に流出開口24側に戻り、この流出開口24を通じて容器体2の内部に流れ易い。
しかも天壁部23は、傾斜しているだけでなく凹曲面状に形成されており、最深部に流出開口24が形成されている。よって、この点においても吐出路R3内に残っている内容物Wが天壁部23の湾曲を利用して自然に流出開口24側に戻り、この流出開口24を通じて容器体2の内部に流れ易い。
【0067】
このように、内容物Wが自然に流出開口24側に戻り易いので、吐出路R3に内容物Wが残留し難くなる。従って、ドーム状に膨らむように反転変形したフィルム40が、天壁部23に対して確実に密着した状態に戻り易い。よって、容器体2の密閉性を高めることができる。
【0068】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、容器体2として積層剥離型であるデラミボトルを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、スクイズ変形可能な容器体でも良く、スクイズ時の圧力によって内容物Wを流出開口24から流出させる構成としても構わない。また、一般的な容器体(ブローボトルやパウチ等)でも良い。
【0070】
また、上記実施形態において、キャップ本体10を口部2aに装着する際に、アンダーカット嵌合ではなく螺合によって装着するように構成しても構わない。なお、この場合には、吐出口42が所望する方向に向くように、キャップ本体10を口部2aに対して周方向に位置決めさせる機構を設けることが好ましい。その機構としては、一般的に知られている周方向への回転規制を行う各種の方法を採用すれば良い。
【0071】
また、上記実施形態では、容器体2を直立させた際、吐出ヘッド20の天壁部23が傾斜するように形成したが、容器軸Oに直交する水平面内に沿って延在するように天壁部23を形成しても構わない。また、上記実施形態では、天壁部23が凹曲面状となるように形成したが、平坦なフラット面となるように形成しても構わない。
いずれの場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。なお、天壁部23を平坦に形成した場合には、伸縮性を有するフィルムを採用することになるが、上記実施形態のように凹曲面状とした場合には、フィルム40が反転変形可能となるため、伸縮性を有さない一般的なフィルムを採用することもできる。伸縮性を有するフィルムを採用することで、容器体2を傾けた際に、内容物Wの自重によりフィルムを天壁部23から離反するように弾性変形させることができ、フィルムを上方に凸に膨らむドーム状にして吐出路R3を確実に形成することができる。
【0072】
このように、天壁部23の形状に応じてフィルムの材料を適宜変更し、内容物Wの自重によって反転変形や弾性変形等の各種変形を起こさせて、吐出口42に繋がる吐出路R3が確実に画成されるようにすれば良い。
【0073】
また、上記実施形態では、天壁部23の先端部23aに弱化部36を介して切取片35を連結した構成としたが、この切取片35は必須なものではなく、設けなくても構わない。
また、上記実施形態では、頂壁部13上に規制板30を破断可能に連結した構成としたが、この規制板30は必須なものではなく、設けなくても構わない。但し、内容物Wが十分に残っている段階で、吐出ヘッド20の下方移動を規制して栓体15によるフィルム40の押し上げを確実に防止できるので、設けることが好ましい。
なお、規制板30をキャップ本体10の頂壁部13上に連結したが、吐出ヘッド20の外側スライド筒21の下端部に破断可能に連結させても構わない。この場合であっても、規制板30を取り外さない限り、栓体15の位置を押し上げ位置に位置させることができないので、同様の作用効果を奏することができる。
いずれにしても、規制板30はキャップ本体10と吐出ヘッド20との間に破断可能に連結されていれば構わない。なお、破断可能に連結するのではなく、規制板30をこれらキャップ本体10と吐出ヘッド20とは別体に構成し、キャップ本体10と吐出ヘッド20との間に着脱自在に装着させる構成としても構わない。
【0074】
また、上記実施形態では、内側スライド筒22に嵌入孔25aが形成された隔壁25を設け、吐出ヘッド20の上下動に伴って、栓体15の位置が遮断位置、解除位置又は押し上げ位置の3つの位置に切り替わるように構成したが、次のように構成しても構わない。
即ち、内側スライド筒22に隔壁25を設けず、吐出ヘッド20の上下動に伴って、栓体15の位置が内側スライド筒22内に留まる収納位置と、流出開口24を超えてフィルム40を押し上げる押し上げ位置と、の2つの位置に切り替わるように構成しても構わない。つまり、栓体15を単にフィルム40を押し上げる押し上げ部として機能させる。
【0075】
このように構成した場合であっても、内容物Wが十分にある場合には栓体15を収納位置に位置させたまま容器体2を傾けることで、内容物Wを吐出することができ、内容物Wの残量が少なくなった場合には栓体15を押し上げ位置に位置させた後に容器体2を傾けることで、残りの内容物Wを吐出することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、フィルム40を押し上げる押し上げ部の一例として、有頂筒状の栓体15を例に挙げて説明したが、有頂筒状に限定されず、円筒状に形成された筒部や、中実の棒状部材等を押し上げ部として利用しても構わない。
なお、栓体15の頂壁部分を嵌入孔25内に嵌入させる係合部として利用したが、この場合に限られず、例えば中実の棒状部材を押し上げ部として採用した場合には、部分的に径を大きくした部分を係合部として利用しても構わないし、同径の棒対の一部に溝(凹部)を形成し、この溝を連通路として利用しても構わない。
【0077】
また、上記実施形態では、栓体15が遮断位置に位置している状態から吐出ヘッド20を上方移動させることで解除位置に切り替わり、遮断位置から吐出ヘッド20を下方移動させることで押し上げ位置に切り替わる構成としたが、この場合に限定されるものではない。例えば、遮断位置から吐出ヘッド20を下方移動させることで解除位置に切り替わり、そこからさらに吐出ヘッド20を下方移動させることで押し上げ位置に切り替わるように構成しても構わない。
いずれしても、吐出ヘッド20の上下動に伴って、栓体15の位置が遮断位置と解除位置と押し上げ位置との3つの位置に切り替われば良い。
【0078】
また、上記実施形態では、外側スライド筒21及び内側スライド筒22を有する吐出ヘッド20としたが、キャップ本体10のガイド筒14との間でシール性を確保できれば、どちらか一方のスライド筒だけで吐出ヘッド20を構成しても構わない。
【符号の説明】
【0079】
W…内容物
R1…第1連通路(連通路)
R2…第2連通路
2…容器体
2a…容器体の口部
4…蓋体
5a…容器体の外層
5b…容器体の内層
10…キャップ本体
15…栓体(押し上げ部)
15b…係合部
20…吐出ヘッド
22…内側スライド筒(キャップ本体の周壁部)
23…天壁部
24…流出開口
25a…嵌入孔(嵌入部)
30…規制板(位置規制部材)
35…切取片
36…弱化部
40…フィルム
41…非シール部
42…吐出口
52…蓋体の規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器体と、
該容器体の口部に装着され、押し上げ部を有するキャップ本体と、
流出開口が形成された天壁部と、内側が流出開口に連通する連通路とされ、前記押し上げ部を径方向外側から囲む周壁部と、を有し、前記キャップ本体に対して上下動可能に装着された吐出ヘッドと、
前記流出開口を上方から覆うように前記天壁部上に重ねられ、流出開口の径方向外側に位置する外周縁部が周方向に沿って天壁部にシールされたフィルムと、を備え、
前記押し上げ部は、前記吐出ヘッドの上下動に伴って前記周壁部内に留まる収納位置と、前記流出開口を超えて前記フィルムを押し上げる押し上げ位置と、に切替可能とされ、
前記フィルムの外周縁部には、部分的に前記シールが解かれた非シール部が形成されており、該非シール部と前記天壁部とで前記流出開口から流出された前記内容物を吐出させる吐出口を画成していることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記周壁部内には、前記押し上げ部が離脱可能に嵌入される嵌入部が形成され、
前記押し上げ部には、前記嵌入部に嵌入されることによって、前記流出開口と前記容器体内とを遮断する係合部が形成されており、
前記収納位置が、前記押し上げ部の前記係合部が前記嵌入部に嵌入される遮断位置と、係合部が嵌入部から離脱された解除位置と、を備えており、
前記吐出ヘッドの上下動によって、前記遮断位置と、前記解除位置と、前記押し上げ位置と、に切替可能とされ、
前記解除位置及び前記押し上げ位置においては、前記流出開口と前記容器体内とが連通していることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出容器において、
前記遮断位置に対して、前記吐出ヘッドを下降させることで前記押し上げ位置に移行し、吐出ヘッドを上昇させることで前記解除位置に移行することを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記キャップ本体と前記吐出ヘッドとの間には、吐出ヘッドの動きを制限して、前記押し上げ部の位置を前記収納位置に位置決めさせる位置規制部材が破断可能に連結され、
前記吐出ヘッドは、前記位置規制部材が破断された後に、前記押し上げ部が前記押し上げ位置に達するように移動が許容されることを特徴とする吐出容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記容器体は、外層に対して内層が剥離可能に積層された積層剥離型容器であることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−157082(P2011−157082A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18672(P2010−18672)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】